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投資戦略202501.pdf

Pragmaworks
January 29, 2025
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  1. 利下げサイクル終盤戦の投資戦略 PWのポートフォリオ構築のための投資戦略骨子を確認します。 ◦経済情勢と大局観 2024年はインフレを鎮静化させ始めた欧米各国中銀がそろって政策金利の引き下げを進めましたが、米国は利下げサイクルの終盤戦に入りつつあるようです。今後の利 下げのペースはインフレおよび労働市場を反映したものになると想定されます。また、米大統領選挙ではトランプ氏が勝利し、議会選挙も共和党が完勝したことで、2025 年以降の政策動向が注目され、米国の持続的な財政赤字(債務動向)そしてインフレが米金利のキーワードとなっていきます。中央銀行と政府が連携し、債務を制 御する計画がなければ⾧期金利高止まりが想定され、その間は債券投資の実行に有利な局面。一方で、高金利による株価のリプライシング、実体経済の悪化が顕在 化してくれば、株式・AT1(優先株式預託証券、CoCos)といったリスクアセットに好機が訪れるでしょう。ヒストリカルには種々のアセットクラスがピーク圏にあるため、ポー トフォリオのバランスをとること、およびインフレヘッジ資産(株式、不動産、金等)も考慮したポートフォリオ運営を実施することを推奨します。(2025年1月時点) 株式

    債券 通貨 オルタナティブ 1. 金利 ✓ 米10年利回りは、インフレ動向にも 左右されるが、米国債務を制限する ための施策がなければ高止まり想定。 買いの好機にも。 ✓ 市場のポジションの偏り解消による突 発的な金利低下には注意 ✓ 超⾧期については水準次第 2. クレジット ✓ ポートフォリオのインカムゲインを維持す るパーツとして利用 ✓ ⾧期の高クオリティ銘柄の活用 ✓ 景気後退時に時間分散・円ベース単 価を勘案しながらAT1を仕込む 3. デュレーション ✓ イールドカーブがスティープ化し、短期 から⾧期セクターに妙味が遷移 ✓ ポートフォリオとしては緩やかなラダーを 構成 4. セクター・エリア ✓ 新興国については、米金利の高止ま りによる相対的な魅力低下、インフレ リスク・取引コスト等の観点から引き 続き慎重な見方 ✓ 2025年はトランプの政策発動の 影響及び日銀の利上げスタンスが 注目ポイント。上下どちらにもぶれ る可能性があることを心しておく。 ✓ 一方、構造的にドル安円高が進 みにくくなっていることにも留意。 ✓ 想定レンジは140-160。この間で ボラティリティ高く上下する展開を予 想。 ✓ ドルの押し目は積極的かつ丁寧に、 タイミングを分散してドル購入を進 める。 ✓ 原則、外貨は米ドルのみで良い 1. REIT ✓ 日本は個別銘柄中心に検討。歴 史的割安水準であるが円金利上 昇リスクがあることに留意 米国はインデックス投資を推奨 2. コモディティ ✓ インフレヘッジを目的とした金投資 は検討していく 3. ヘッジファンド ✓ ヘッジファンドの銘柄を見て一部検 討 ✓ 流動性と残高に留意しつつファン ドマネージャーを吟味する 4. プライベート投資 (エクイティ、デット) ✓ プライベートデットは、有望な投資 機会につき検討する 仕組債 ✓ 円建てのニーズに対しては私募SB, CLNの活用を検討 Pragmaworksの投資戦略骨子 ✓ 10年の計で投資評価するならば 2025年の下げ相場は良い買い 場と考えるが、大統領就任2年目 となる2026年が近づいており、25 年も一定の注意を要する。 ✓ 銘柄選択の基本スタンスとしては、 構成銘柄の幅広さ、米国市場を 代表する優良銘柄の組入状況 及び過去のリスクリターンを勘案し、 S&P500指数を推奨。また、ハイ テクが集中するQQQ(ナスダック 100)にも併せて注目。 ✓ Mag7を筆頭に大型テック系企業 は2025年も相場を一定牽引す る見込み。 ✓ ハイパーグロースや赤字決算のハ イテク企業は、Fedの金融緩和に 伴い時間分散でエントリーすること を推奨(基本は押し目買い)。 但しグロース企業が須らく上昇す るわけではなく、強靭なビジネスモ デルを有する一部のグロース企業 が選好される可能性が高い。選 別が重要。
  2. 投資戦略(株式) 12 株式(Equity) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 株式投資の原則 株式投資は、投資先の事業の中身に着目し、マーケットタイミングは考えない。ウォーレン・バフェットですらマーケットタイミングは判断できないとしており、バフェットでも実行できないことを目指すことは 合理的とは言えないのがその理由。 また、全米もしくはその一部をカバーする指数(例.S&P500)や、ファンダメンタルズが強靭な企業の株式をターゲットとするも、購入はマーケット要因あるいは個社の一過性要因などで株価が大き

    く下落したポイントや、時間分散で小刻みにエントリーすることを基本とする。 1. Fedの利下は株式には強力な追風であり、この先もマーケットのボラティリティ は見られるであろうが、この様な、「Big Picture」を頭に入れておくことが重要。 2. MMFは依然として高水準で推移。投資に向かう大量の実弾とも言えるが、 利下によってMMFから得られるリターンも減少するため、投資家はよりリターン の高い他のリスク資産に目を向け始める可能性が高い。 3. 米国10年債利回りの推移。2023年秋口に5%に瞬間タッチした後、足下 では4%台後半で推移。トランプの政策を受けて⾧期金利が再度5%に駆 け上がっていくと、株式には調整が入る可能性大。 4. 一方でリスクも横たわっており、足元最大のリスクは地政学リスク及び米国政 府の財政問題。イーロン・マスクの米政府内におけるポジションも要注視。 5. 利下トレンドの下では金利に敏感な小型株(ラッセル2000)に資金が集 まる可能性が高い。但し、一本調子で上昇している局面での順張り投資は リスク大。随所で訪れる短期的な調整時にエントリーし、リスクを軽減すること を推奨。 1. 生成AIブームは⾧期トレンドに乗る可能性が高い。その場合、生成AIを駆動 する基盤であるAI半導体は⾧期で期待できる。 2. 生成AIが企業の生産性向上を後押しする可能性が高く、この生産性向上が 上手くいけば米国経済の軟着陸(いわゆるソフトランディング)実現につながる。 3. ソフトランディングによる強い経済と利下が同時に実現した場合、米国株式市 場には強力な追い風となる。 4. 2025年は大統領就任初年度の年。大統領選4年サイクルの中では就任初 年度の年のリターンは3番目(つまり下から2番目。最もリターンが小さいのは就 任2年目⇒2026年)。1年を通してマイナスに着地する可能性は小さいと思 われるが、23~24年のような上昇は期待できない可能性が大きい。 【原則】 1. 強固な参入障壁を持ち、決算が順調な会社はホールド(相場全体が崩れても、 決算に問題ない限り売却しない)。 2. もし決算をミスした場合、そのミスの内容を確認することが重要。一過性の要因で 決算が不調だった場合はホールドを継続。 3. 利下トレンドに入っており、これは株式には強力な好材料だが、地政学リスク・米 政府財政問題・インフレ再燃リスク等には警戒を要するため、購入は時間分散を 推奨。 4. 株式市場全体の下落に連れて優良銘柄も下落している局面は、それら優良銘 柄を購入する好機であるため積極的に購入する。 【具体的戦略】 1. チャートだけを頼りに順張りで上値を追うことなく、安値圏で推移しているタイミング で、S&P500連動のETF購入(構成銘柄の幅広さ、米国市場を代表する優良 銘柄の組入状況、及び過去のリスクリターンを勘案)を推奨。また、ハイテクが集中 するQQQ(ナスダック100)にも併せて注目。 2. Mag7を筆頭に大型テック系企業は2025年も相場を一定牽引する見込み。 3. 利下トレンドにおいては、強靭なビジネスモデルを有する一部のグロースは選好され る可能性が高い。個社事由とは関係なく、市場全体が大きく下がったところでは買 い向かいたい。 4. 2024年はアノマリーが殆ど的中しなかったが、25年は基本に立ち返りつつ、アノマ リーを参考にしながら押し目があれば時間分散で丁寧に拾いに行くことを推奨。
  3. 債券(Fixed Income) ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(債券) 債券投資の原則 債券投資は、クオリティの高い発行体を選択し、時価に一喜一憂せず、ポートフォリオの中核資産として腰を据えて維持することが基本。発行体 の信用が著しく毀損した場合や、ポートフォリオ内の著しい偏りが生じた場合などを除いては、拙速な売買は避け、中⾧期目線でキャッシュフローを しっかりと受取り、積み上げていくスタンスが肝要。

    1. 1月末のFOMCでは一旦現状維持が見込まれる。ただしFRBウォ ラー理事の発言からは、インフレが落ち着けば2025年前半に追加 利下げが実施される可能性が示唆された。 2. 足元の米金利上昇は強い経済とトランプ氏による財政(持続的な 財政赤字)の影響を受けており、key wordはインフレ、債務動向。 3. ドットチャートが明確に上方修正(利下げ回数の減少)され、実質 的に利下げサイクルの終わりを感じさせるタカ派のFOMC(12月)。 4. 株式対比で債券の魅力度が高い状態は継続。投資適格債に妙味。 5. 1月発表のCPIはコア指数の伸びが予想を下回ったが、ディスインフ レ傾向は停滞。 6. イールドカーブがスティープ化し、短期から⾧期セクターに妙味が遷移。 (イールドカーブの正常化へ。) 1. 昨年末から振り返るとトランプトレード(金利約+80bps)→ベッセント ラリー(金利-30bps程度)→インフレ(利下げペース低下観測)およ び国債増発・財務リスク(金利+65bps程度)という流れ。 2. 中期的には10年債4%+程度を中心としたレンジ想定を維持するが、 国債発行増のタームプレミアム上昇が強く加わる場合には、4-5%レンジ に切りあがる可能性に注意。(スティープニング傾向。) 3. 米国債務を制限するための計画がなければ長期金利高止まり想定。 4. 4%台後半~5%近辺は、ヘッジファンドが債券売りポジションを解消す るなど見られており、短期的なヘッドラインやリスクオフにより金利低下に 瞬発的に振れる水準でもある。 1. 質の高い発行体選択、分散(発行体・資本構成・タイミング)が重要。 ポートフォリオの中核資産として質の高い発行体のポジションを維持し、中⾧ 期目線でキャッシュフローをしっかりと受取るスタンスを維持。ポート内、ドル、 円バランスに配慮。徐々にポートの中心デュレーションを少し長めに推移さ せていくイメージでラダーポート構築を意識。 2. 金利低下時にアウトパフォームするのはIG債と想定。 シニア、劣後債を優 先的に取り組み、年限を分散したポートへ。発行体は各国トップ銀行を中 心に選択(現時点ではAT1も継続保有可)。欧州銀のハイベータネーム 新規はシニア、選択的に劣後債までが望ましい。相対的に高リスク発行体、 低弁済順位債はポート内の中短期ゾーンで活用。 3. 逆イールド形状が緩和され、短期ゾーンの妙味が後退。欧米金融IG債に 投資妙味(金利上昇が続く局面では、随時償還する短年限の債券を金 利の高い環境下で順次再投資するのが有効)。米銀なら5%台~(10 年程度の劣後債ならば5%台半ば)を目線としてエントリしたい。 4. 確定利回りの目線をそれぞれ設定し、高クオリティの投資適格債を高金利 環境下で、為替とのバランスを考慮して買い付けていくことが肝要。 5. イールドカーブの正常化および左記レンジの切りあがりの際は、10年金利 節目の水準として、年初来ピークであった①4月末の4.7%そして、③ 2023年10月時点の5%近辺が意識されるため、丁寧に買い下がりた い局面。 6. ⾧期債(10年近辺)は最終利回りのみならず途中売却も視野に入れ、 直利も考慮。金利低下ベット及び為替のダウンサイドリスクには10年超~ 20年の米国ストリップス債や、ベース金利に近い(クレジットスプレッドよりも ベース金利部分の影響が大きい)ハイクオリティ銘柄、IG債が選択肢に。
  4. 通貨(Currency)/米ドル円 ①足元のテーマ ②方向感 ③投資戦略 投資戦略(為替/ドル円) 1. トランプの政策実行の影響 2. 米国景気と金利動向 3.

    日銀の政策変更スタンス 1. 前回執筆時(12/20ごろ)以降の動きは、年末年始挟みということ もあり狭いレンジ(主に156円-158円)での推移となった。直近は 米物価指数の落ち着きもありレンジ下抜けあるいは下限近辺での動 きとなっている。 2. 1/20、いよいよトランプ大統領が就任する。就任直後から多くの大統 領令を発令する見込み。トランプ政策にはドル高にもドル安にも振れ る材料が含まれ非常に先を見通しにくい。トレンド形成が困難な中、 150-160をメインレンジに激しく上下する展開か。 3. 日銀がややタカ派に見えること、またトランプ政策のうち関税政策はリ スクオフ材料にされやすいことから、まずはドル安円高が進行しやすいと 想定。 外貨投資の原則 外貨投資においては、為替の方向感にベットして為替差益を狙うような投機的な取引はしない。あくまでも、円資産への集中リスクを回避するための⾧ 期的な通貨分散、資産分散を目的とする。 よって、マーケットタイミングを判断するよりも、購入タイミングを分散することでリスクを軽減しながら、上記目的を達成することを推奨する。 1. 原則USDポジションをキープし、USD建運用のメリットを享受。 2. 各々の資産運用プラン(例:ドル建債券の購入)を実行するため に必要なドルの手当てについては積極的に進める。その際、購入する 資産の円高抵抗力の検証をすること、及び購入タイミングを分散する ことが重要。 3. 方向性を見極めにくい環境になった。150円台前半からドルの購入 準備を開始。タイミングを分散し丁寧に買い下がりたい。
  5. ご留意いただくポイント 〇想定リスク 各シミュレーションから算出された数値は、一定の前提条件の元で計算さ れた概算値のため、実行にあたっては、必ず金融商品取引業者等の専門 機関にご相談ください。 〇その他 本資料の内容は、2020年6月1日時点の税法、その他関連法規に準拠して います。今後の関連法規の改正等により相違が生じることがあり、対策内 容の見直しが必要になる場合があります。 今後の政治経済情勢、業界動向の変化によっては、本資料の内容が適合

    しなくなる可能性があります。 〇免責事項 本資料は、一般的な考え方の一部を参考資料として記載したものであり、 特定の取引の実現性・実効性を保証し、または実施を勧誘するものではあ りません。 弊社は、お客様に対し法律、税務、あるいは会計上の助言を供するもので はなく、本資料に関する法律、税務、あるいは会計上の十分性、適切性、有 効・妥当性について、いかなる見解を示すものでもありません。 〇その他 本資料に掲載された税務・会計・法律等に関わる事項に関しては、予めお 客様の顧問税理士、公認会計士、弁護士等の専門家にご相談のうえ、総合 的にご判断ください。 免責事項