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訪問介護におけるシフトスケジューリングモデルと自社データによる検証 / orsj 2023 fall

SMS tech
October 04, 2023

訪問介護におけるシフトスケジューリングモデルと自社データによる検証 / orsj 2023 fall

2023/9/14-15 に開催された日本オペレーションズ・リサーチ学会 2023年秋季研究発表会 https://orsj.org/nc2023f/ での発表資料です。

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October 04, 2023
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Transcript

  1. 1
    © SMS Co., Ltd.
    訪問介護におけるシフトスケジューリングモデルと
    自社データによる検証
    株式会社エス・エム・エス
    Analytics & Innovation推進部
    *小貝 洸希(Ogai Koki) 小林 秀(Kobayashi Shu)
    2023/09/15
    日本OR学会 2023年秋季研究発表会

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  2. 2
    © SMS Co., Ltd.
    研究概要
    池上[1]の訪問介護のシフトスケジューリングモデルを
    弊社プロダクト『カイポケ』に蓄積されている実データに適用し
    モデルの有用性や改善点を考察
    基礎的なモデルを実装・試用してみて
    実用化までどのくらい距離があるかを把握する

    ※会社のエンジニアブログにも書いています
    数理最適化によって訪問介護のシフトスケジューリングモデルを作ってみた話
    - エス・エム・エス エンジニア テックブログ

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  3. 3
    © SMS Co., Ltd.
    発表の流れ
    ● 研究の背景
    ○ 少子高齢化による介護業界での課題
    ○ カイポケとは
    ● 訪問介護シフトスケジューリングモデルの定式化
    ● 実データへの適用結果と考察
    ● 実用化に向けた課題

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  4. 4
    © SMS Co., Ltd.
    少子高齢化による介護業界での課題
    急速な少子高齢化によって現役世代の負担がより深刻になり
    質の高い医療・介護サービスの提供が困難になりつつあります
    出典: [2]~[4]

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  5. 5
    © SMS Co., Ltd.
    介護事業者・従事者の課題
    介護サービスを受ける高齢者とその家族が安心して暮らすためには
    事業者と従事者の課題解決が必要です
    介護事業者(法人・事業所)
    ・人手不足(8割が従業員数50人以下)
    ・介護報酬の減少
    ▶ 倒産件数の増加(2022年は過去最多)
    介護従事者(働く人)
    ・煩雑な業務
    ・IT活用の遅れ(紙→紙への転記 など)
    ▶ 利用者に向き合う時間が減る
    高齢者・その家族
    ・介護サービスの質が低下
    ・介護離職・老後の不安
    ▶ 安心して暮らせない
    出典: [5], [6]
    出典: [7], [8]

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  6. 6
    © SMS Co., Ltd.
    介護事業者向け経営支援プロダクト『カイポケ』
    『カイポケ』は介護事業者経営に関わる業務を効率化するプロダクトです

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  7. 7
    © SMS Co., Ltd.
    介護事業者向け経営支援プロダクト『カイポケ』
    ORでココをもっと効率化したい

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  8. 8
    © SMS Co., Ltd.
    関連研究
    ● 池上[1]
    ○ 訪問介護シフトスケジューリング問題に対して
    数パターンの定式化と効率的なアルゴリズムを提案
    ■ そのうち最も基礎的な定式化を本研究で使用
    ● 伊藤・高嶋[9]
    ○ 千葉県野田市・流山市と連携し、様々な数理的アプローチによって
    地域包括ケアシステムの構築・運用に貢献
    要介護状態になっても住み慣れた地域で最期まで生活できるように
    地域で一体的に医療・介護・生活支援などのサービスを提供する体制

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  9. 9
    © SMS Co., Ltd.
    発表の流れ
    ● 研究の背景
    ○ 少子高齢化による介護業界での課題
    ○ カイポケとは
    ● 訪問介護シフトスケジューリングモデルの定式化
    ● 実データへの適用結果と考察
    ● 実用化に向けた課題

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  10. 10
    © SMS Co., Ltd.
    シフト作成の流れ
    事業所の管理者
    介護ヘルパー
    ケアマネジャー
    翌月のサービス利用票
    翌月の希望シフト
    2つを照らし合わせて
    各サービスにヘルパーを割り当てる
    前提:国への保険請求が月単位なのでシフトも月ごとに作る
    ヘルパー間の公平性などを考えつつ
    数時間〜数日かかることも…

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  11. 11
    © SMS Co., Ltd.
    問題設定
    ● 希望シフトを守って各サービスにヘルパーを1人ずつ割り当てる
    ● 各ヘルパーの月間勤務時間を一定範囲内にする(今回は8H/日)
    ● サービス間の移動時間を確保する
    ● 利用者宅間の1回の移動距離を一定以下にする
    基礎的な問題を解くことにフォーカスし、以下の制約条件のみを考えます
    ● ヘルパーが正社員 or パート によってシフトの組み方を変える
    ● 一部のサービスには2人のヘルパーで担当する
    ● 訪問時に事業所に寄る or 直行直帰 を考慮して効率的に訪問する
    …etc
    ※実際には…

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  12. 12
    © SMS Co., Ltd.
    定式化(池上[1]によるもの)

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    © SMS Co., Ltd.
    定式化(池上[1]によるもの)
    ・サービスにヘルパーが未割り当て
    ・ヘルパーの月間勤務時間が過不足する
    ときのペナルティを最小化
    制約を満たさなかったら
    ペナルティを増やす
    ヘルパー1人が同時に担当できない
    サービスへの割当を禁止
    移動距離が一定以上になる
    サービスのペアもここに入れる

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    © SMS Co., Ltd.
    発表の流れ
    ● 研究の背景
    ○ 少子高齢化による介護業界での課題
    ○ カイポケとは
    ● 訪問介護シフトスケジューリングモデルの定式化
    ● 実データへの適用結果と考察
    ● 実用化に向けた課題

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    © SMS Co., Ltd.
    数値実験の設定
    ● 対象データ:全国の小〜中規模の10事業所
    ○ 問題のサイズ
    ■ ヘルパー数:10〜20人
    ■ 利用者数:5〜60人
    ■ 月間サービス数:50〜2000回
    ● 移動時間T [分] は地図上の直線距離D [m] から計算
    ○ 東京都内(自転車):T = 1.5D / 500 ※分速500m
    ○ それ以外(車):T = 1.5D / 250 ※時速30km

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    © SMS Co., Ltd.
    実際とモデルによるシフトの移動時間の比較
    ヘルパー1人あたりの移動時間(月間の合計)[分]
    平均して実際よりも移動時間が短くなるシフトが得られました
    なによりある程度効率的なシフトが自動で得られたことに価値があります
    ※10事業所の平均値

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    © SMS Co., Ltd.
    地図上へのシフトの可視化
    遠距離の移動が減り、コンパクトな訪問ルートが得られています
    とある事業所の一日のシフト
    色はヘルパーに対応し、①などはヘルパーごとの訪問順
    実際(移動時間の合計:25分) モデル(移動時間の合計:15分)

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    © SMS Co., Ltd.
    事業所の規模と計算時間
    月間サービス数[回] と 計算時間[秒]の分布
    月間サービス数が1000回を超える程度から(?)計算時間が大きく増えますが
    1分以内には求解できています
    計算資源
    ソルバ:CBC
    CPU:2.5GHz
    メモリ:4GB

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    © SMS Co., Ltd.
    実用化に向けた課題
    ● 事業所に寄る or 直行直帰 などを設定できるようにする
    ● 複数ヘルパーの同行に対応する
    ● 効率的に巡回するために、配送計画のようなアプローチも検討する
    ● 施設+訪問 を組み合わせたシフト作成に対応する(大手向け)
    モデルの課題
    プロダクトの課題
    ● データをきちんと入力してもらえるように設計する
    ● 他に有用なデータを入力できるようにする
    ○ ヘルパーと利用者の相性 など
    課題は多いものの、これらを把握できたことに意義があります

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  20. 20
    © SMS Co., Ltd.
    参考文献
    1. 池上敦子(2018): ナース・スケジューリング―問題把握とモデリング―, 近代科学社
    2. 内閣官房内閣府・財務省・厚生労働省(2018): 2040年を見据えた社会保障の将来見通し
    3. 厚生労働省(2018): 医療従事者の需給に関する検討会看護職員給分科会中間とりまとめ
    4. 厚生労働省(2018): 第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について
    5. 厚生労働省(2021): 介護サービス施設・事業所調査の概況
    6. 東京商工リサーチ(2023): 『老人福祉・介護事業』の倒産状況
    7. 総務省(2012): ICTが成長に与える効果に関する調査研究
    8. 経済産業省: 将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会報告書
    9. 伊藤真理・高嶋隆太(2020): 地域包括ケアシステム実現に向けた数理的なアプローチ ―千
    葉県野田市・流山市との地域連携 ―, オペレーションズ・リサーチ:経営の科学, 65, pp.
    477–483

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