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ソフトウェア品質を数字で捉える技術。事業成長を支えるシステム品質の マネジメント

ソフトウェア品質を数字で捉える技術。事業成長を支えるシステム品質の マネジメント

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takuya542

July 03, 2025
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  1. 登壇者情報 
 恩田 拓也
 (おんだ たくや) 
 経歴
 入社
 役割


    ※写真を挿入※ エンジニアリング本部 
 プラットフォーム エンジニアリング部 
 部長
 2023年6月
 新卒でゲームプラットフォーム事業を展開するIT企業に入社後、バッ クエンドエンジニアとしキャリアをスタート。 
 マッチングアプリを制作・運営する企業に転職後はインフラ・SRE領域 を担当。SRE、情シス、セキュリティ部門の技術統括を経て2023年6月 にタイミーに入社。
 現在はプラットフォームエンジニアリング部のエンジニアリングマネー ジャーを務めています。

  2. タイミーの開発組織 チームトポロジーでいうところの複数の Stream Aligned Team + Platform Teamで構成 (参考 -

    去年の弊社VPoE発表資料:実践チームトポロジー: プラットフォーム性とイネイブリング性の戦略)
  3. 15 戦略的意図と生産性の関係性 プロダクト主導型組織において狭義のプロダクト戦略とは、マーケティングとイノベーションに対し て戦略的意図(顧客ニーズに応える新しいプロダクトやサービスをどう生み出し、どう市場に届ける か)を策定することを指す。この戦略的意図を実現するための具体的なアクションプランがプロダク トイニシアチブと呼ばれます (少なくともタイミー社内においては) 戦略的意図とプロダクトイニシアチブ 
 プロダクトイニシアチブは、戦略的意図を実現するための具体的なアクションプランです。この実行に

    は、人的資源や物的資源への投資が不可欠です。リソースを最適に運用し、人的・物的資源の投資効率を 高めることがプロダクト戦略の成功を左右します。 資金を投下した人的資源と物的資源に対する投資効率生産性は「運営の仕事」として戦略を支えるリソー ス管理の役割を果たし、プロダクト戦略の実行を下支えする、という関係性。また、最終的には実現付加 価値の生産性という形で売上という形に変換されます プロダクトイニシアチブの実行効率 

  4. 17 タイミーの開発生産性への取り組み / 考え方 • プロダクト開発組織がプロダクトイニシアチブを爆速でデリバリーできる状態を維持する。 • プロダクトのあたりまえ品質をユーザーへ提供する。 目指す状態 


    • 試行回数を増やす事でPMFを速やかに実現 or 撤退を決められる組織になりたいから • 技術負債解消の遅延コストを最小化させたいから • システム品質と開発生産性は相互作用する関係だと考えるから なぜ目指すのか? 

  5. 21 開発生産性とシステム品質の関係 • 内部品質への向き合い ◦ モジュール性,再利用性,解析性,修正性,試験性 • 信頼性エンジニアリングのプラクティスの整備 ◦ CICD

    / 高品質なテスト基盤 / リリースエンジニアリング / o11y / IaC /etc • システムコストが下がれば投資余力を生み出せる ◦ キャパシティプランニング上の財務的余力 / ツールやシステム、人への投資 • バグ / 脆弱性の早期発見は修正コストを下げる ◦ いわゆるShift Leftなメソドロジー システム品質を上げる取り組みはデリバリーを加速させる 

  6. 22 開発生産性/システム品質を数字で見る事の意味 • パフォーマンス指標 = 4KeysやSRE PracticeにおけるSLIなど。 • 重要な課題の仮説立てと検証、改善の活動を続ける仕組みと文化が大事。数字は結果指標 •

    数値化されたソフトウェア品質/開発生産性をエンジニア個人やチームの業績評価指標に用いない パフォーマンス指標と正の相関のあるケイパ/プラクティスに目を向ける 
 参考:https://dora.dev/research (DORA’s Research Program)
  7. 23 プロダクト/組織が大きくなると何が起こるか • 事業拡大>投資拡大 / 様々なステークホルダーニーズ / プロダクトと組織の安定運用へのニーズ • 会社/プロダクトが必要とする専門性の深度に応じた専門性カットのチームが立ち上がる。

    専門性による組織細分化と分業化 
 • 安定運用が期待されるOps(QAやSecurityなども含) と納期コミットが期待されるDevの構図が典型例 • リリースのフェーズゲート化 (リリース前判定会議/特定組織によるレビュー必須化) • 意思決定のデリゲーションレベル低下 (エライ人同士で優先度決めてくれないと動けない) • 説明コストの増加 (技術負債?なんで今対応するの?) チーム間で注力するパフォーマンス指標が直交し始める = サイロ化の始まり 

  8. 28 タイミーの生産性への取り組み - 具体例編 • ソフトウェア品質のフィードバックループを回す • ボトルネックに目を向ける • 一次情報の観測から課題仮説を作る

    • 獲得すべきケイパビリティ / 実践すべきプラクティスのフレームワークを持つ 観察 / 課題仮説 / 改善のフレームワーク / フィードバックループ 

  9. 29 タイミーの生産性への取り組み - 具体例編 • ソフトウェア品質のフィードバックループを回す • ボトルネックに目を向ける • 一次情報の観測から課題仮説を作る

    • 獲得すべきケイパビリティ / 実践すべきプラクティスのフレームワークを持つ 観察 / 課題仮説 / 改善のフレームワーク / フィードバックループ 

  10. 31 ソフトウェア品質のフィードバックループを回す • チームが担当するユーザジャーニーの体験悪化アラート / トリアージ / Runbook整備 • ポストモーテムとNext

    Actionの策定、対策状況のトラッキング • テスト設計や品質保証活動を組織内分業せずチームで行う。 開発者自身がデリバリしたソフトウェアのシステム品質の 
 フィードバックを受ける 
 • コードベースとユーザジャーニー体験アラートのマッピング • 検証を複数チームが並列(待ちや相互依存が発生しない) で精度高く (本番同様のEnd to End 試験が実施できる / 非機能要件まで含めた試験が可能など)実施できる環境を提供するなど。 • 銀の弾丸はないし、愚直な改善を回す。 フィードバックをラクに / 早く受け取る 

  11. 32 タイミーの生産性への取り組み - 具体例編 • ソフトウェア品質のフィードバックループを回す • ボトルネックに目を向ける • 一次情報の観測から課題仮説を作る

    • 獲得すべきケイパビリティ / 実践すべきプラクティスのフレームワークを持つ 観察 / 課題仮説 / 改善のフレームワーク / フィードバックループ 

  12. 33 ボトルネックに目を向ける • 開発生産性 x SDLC | バリューストリーム切り口でのボトルネック • 信頼性

    x ソフトウェアアーキテクチャ上のボトルネック ボトルネックとは、業務プロセス全体の中で最も処理速度が遅く、全体の効率 を低下させてる原因 

  13. 34 開発生産性 x SDLC上のボトルネックに着目する • ビジネス要件の把握コスト / 業務要件 | 制約事項の把握コスト

    • コードベース把握のコスト / 影響箇所把握のコスト • レビューのコスト / レビューアサインのコスト • 手動テストのコスト/ テストデータ用意のコスト / テストスコープ決定のコスト • リリースのコスト / 異常検知とロールバック判断のコスト • 定量 / 定性からボトルネックを突き止める。 コーディング工程の前後に目を向ける 

  14. 35 バリューストリーム上のムダと苦痛に着目する • 部分的に完成した仕事 / 余分な処理 / 余分な機能 • タスク切り替え

    / 待機 / 動作 / 不良 / 非標準的な作業や手作業 / 超人的な作業 • 「常にxxチームに作業依頼が必要」といった状態は、パフォーマンス指標の直交が原因で生まれた可 能性があるので特に注意が必要 顧客価値を送り届ける間に必要(とされている) プロセスがボトルネックを生ん でいないか? 
 Toil切り口 - プロダクションサービスを動作させることに関係する作業でボトル ネックはないか? 
 “Toilとは、プロダクションサービスを動作させることに関係する作業で、手作業で繰り返し行わ れ、自動化することが可能であり、戦術的で長期的な価値を持たず、作業量がサービスの成長に比 例するといった傾向を持つもの” 

  15. 36 信頼性 x ソフトウェアアーキテクチャ上のボトルネック • 新規登録/ログイン/求人検索/マッチング/出退勤/振込/etc • 求人出稿/勤怠管理/報酬確定/帳票ダウンロード/請求/etc • タイミーのワーカ/クライアント双方のクリティカルユーザジャーニーに基づいたモニタリングと目

    標信頼性/パフォーマンスの設定 > 技術ボトルネックの特定と対応を繰り返す。 ユーザジャーニー軸 
 • ユーザジャーニー上重要な処理がSPOFな実行基盤となっていないか? • システムの可用性をクラウドコストとトレードオフにできる(お金で買える) 構成になっているか? • カスケード障害の発生がありえる箇所は? • 将来的にはSRE Agentの活用なども視野に(ソフトウェア信頼性におけるボトルネック特定と対策立 案、実装からリリースまでを人がコストかけずに行う手段という位置づけ) アーキテクチャ / データフロー軸 

  16. 37 [余談] AIエージェント / LLMツールのインパクト • 極端な例だが、要件定義やコードレビュー、リリース作業が渋滞したら意味ないよねという事 • First Commit

    > PR作成の前後での活用拡大に時間投資できているかが重要になるという考え • タイミーでは現在コーディング業務での利用を中心に、 Flaky Testの解消サポート、テストケース作 成の自動化 / 簡素化、PRの自動サマリー作成とレビューなどでも利用中。 開発工程全体のボトルネックに目を向けなければ開発生産性/品質へのイン パクトは限定的になる 
 • AIを中心に添えたDevelopment Lifecycleを再考する転換期 開発工程の頭からのAI適用を考える必要性 

  17. 38 タイミーの生産性への取り組み - 具体例編 • ソフトウェア品質のフィードバックループを回す • ボトルネックに目を向ける • 一次情報の観測から課題仮説を作る

    • 獲得すべきケイパビリティ / 実践すべきプラクティスのフレームワークを持つ 観察 / 課題仮説 / 改善のフレームワーク / フィードバックループ 

  18. 40 タイミーの生産性への取り組み - 具体例編 • ソフトウェア品質のフィードバックループを回す • ボトルネックに目を向ける • 一次情報の観測から課題仮説を作る

    • 獲得すべきケイパビリティ / 実践すべきプラクティスのフレームワークを持つ 観察 / 課題仮説 / 改善のフレームワーク / フィードバックループ 

  19. 41 巨人の肩に乗る - Capability / Best Practice • Dora Core

    Model • Security Framework • FinOps Framework 改善の道筋立ての指針として活用する 

  20. 42 まとめ • プロダクト開発組織がプロダクトイニシアチブを爆速でデリバリーできる状態を維持する。 • プロダクトのあたりまえ品質をユーザーへ提供する。 タイミーの開発組織が目指すところ 
 • ソフトウェア品質のフィードバックループを回す

    • ボトルネックに目を向ける • 一次情報の観測から課題仮説を作る • 獲得すべきケイパビリティ / 実践すべきプラクティスのフレームワークを持つ どう目指すのか 
 

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