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SustainabilityReport2025

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June 01, 2025
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  1. TBM Sustainability Report 2025 2 目次 目次 Introduction 04 企業理念体系

    05 トップメッセージ 07 社外取締役インタビュー 09 TBMサマリー 事業概要 12 事業概要サマリー 13 TBMの事業概要 18 グループ事業概要 サステナビリティ推進 21 CSuOメッセージ 23 社会的インパクトへの道筋(ロジックモデル) 24 サステナビリティアドバイザーインタビュー 26 マテリアリティ一覧 27 価値創造プロセス 28 サステナビリティ推進体制 29 マテリアリティ① 思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり 36 マテリアリティ② TBM Pledge 2030の達成 40 コラム|LCAについて Appendix 48 会社概要 49 コーポレートロゴ 50 直近の外部評価とイニシアティブ 51 レポートに関する情報と改訂履歴 Databook 53 E(環境) 57 S(社会) 59 G(ガバナンス) 編集方針 報告対象組織 • 株式会社TBM • 株式会社Bioworks(GHG排出量の算定のみ) 報告対象期間 2024年度 (2024年1月1日~2024年12月31日) ※一部当該年度以外の情報も記載しています。 • 公開日 2025年6月2日 • 報告頻度 年1回 参考としたガイドライン • 環境省「環境報告ガイドライン(2018年版)」 • インパクト企業の資本市場における情報開示及び対話の ためのガイダンス • 国際統合報告フレームワーク お問い合わせ先 株式会社TBM サステナビリティ本部 [email protected]
  2. TBM Sustainability Report 2025 4 TBM Compass 企業理念体系 TBMでは、ミッション(Mission)、ビジョン(Vision)、 バリュー(Values)などの企業理念体系を「TBM

    Compass」と呼んでいます。 私たち一人ひとりが迷ったとき、判断の拠り所として自然に取り出せる「羅針盤」です。 Mission 私たちの使命であり、宿命 進みたい未来へ、橋を架ける Vision 私たちが目指す場所であり、チームの姿 過去を活かして未来を創る。 100年後でも持続可能な循環型イノベーション。 Values 私たちの価値観であり、人格を形づくるもの 1 非常識に挑戦しよう 2 両立主義で行こう 3 自分ゴトを拡げよう 4 約束への逆算思考 5 感謝と謙虚で繋がろう Introduction /
  3. TBM Sustainability Report 2025 5 サステナビリティを体現する存在であり続ける トップメッセージ 進みたい未来へ、橋を架ける これが、TBMのミッションです。 進みたい未来は向こうからやって来ない。強い意志を

    持って、思い描いて、挑戦して、自らが創り上げなけれ ば、進みたい未来へはたどりつけない。そう信じていま す。 目の前を今、巨大な河が流れている。黒く濁った水が激 しくぶつかりあい、行く手を阻んでいる。人々は立ち止 まり、あきらめ、そこで日々を過ごす。河を渡れば素晴 らしい世界にたどりつけることを、知らないまま。それ が、私たちが生きている時代であり、河の向こうに待つ のが目指すべき理想の未来なら、その河に橋を架ける のが、私たちの仕事だと思っています。途方も無い時間 がかかっても。簡単には理解してもらえなくても。それ でも、橋を架け終えることができたなら、10年、いや 100年後も、人類の幸せに貢献できる。それが、私たち の仕事です。 サステナビリティを体現する 2024年も、日本列島そして世界各地は、異常ともいえ る暑さに見舞われました。局地的な豪雨や熱波による 災害も頻発し、暮らしへ深刻な影響が及びました。気候 変動が、もはや“将来のリスク”ではなく、“現在の現実” であることを改めて突きつけられた一年だったと感じ ています。 こうした中、TBMが果たすべき役割はますます重く、そ して明確になってきています。創業以来、私たちは「石 からプラスチックや紙の代替素材をつくる」という、常 識を超えた挑戦を続けてきました。LIMEXや再生材料 の開発・普及に加え、資源循環プラットフォームの構築、 さらにはCO₂の資源化といった、人類にとって未知の 領域へと進化を遂げています。 サステナビリティという言葉が日常的に使われるように なった今だからこそ、私たちはそれを「掲げる」だけでな く、「体現する」存在でありたい。素材そのものが環境へ の解決策であること。 “使った後”まで責任を持って循 環の仕組みごと社会に実装すること。それが、TBMの サステナビリティの根本にあります。 仲間のため 「なんのためにTBMをやっていますか?」と問われれ ば、「仲間のため」と答えます。2011年にTBMを創業し てから、幸運にも多くの素晴らしい仲間たちと出会うこ とができました。TBMにジョインしてくれたメンバーは もちろんのこと、会社の外でもTBMに共感して戦って くださる仲間がいます。その仲間たちと共に進みたい 未来へ進むことが、自分の喜びです。 Introduction /
  4. TBM Sustainability Report 2025 6 前例がないからこそ前例をつくり、社会に新しい価値を トップメッセージ 前例をつくり、未来をつくる 2024年、TBMは、素材やプロダクトの進化に加え、自 治体や企業との共創による資源循環プラットフォーム構

    築など、着実に実績を積み上げてきました。そして今、 当社の事業領域は日本国内にとどまらず、アジアや欧 州など世界へと広がりつつあります。前例のないこと に挑むのは容易ではありません。しかし、だからこそ私 たちがその“前例”をつくり、社会に新しい未来の選択 肢を提示していきたいのです。 私たちは、後追いではなく「先に変化を起こす」側であり 続けたい。環境や社会課題に対するアクションは、もう 待ったなしです。だからこそ当社は、スピード感と胆力 を持って、これからも挑戦を続けていきます。 コンフォートゾーンを超えて 背負って、勝つ これが、TBMの2025年のスローガンです。現状に安 住せず、あえて挑戦と変化を選び、組織や社会の未来を 自分たちの手で切り拓いていこうという意志の表明で す。個々の役割に閉じこもるのではなく、ひとりひとり が「当事者」として物事を“背負い”、失敗を恐れずに動 き、成長しながら突破口を生み出す。その積み重ねの先 に、当社としての“勝ち”──つまり、社会に新しい価値 を提供できる未来があると、私たちは信じています。 この精神は、スタートアップであるTBMのDNAそのも のです。仲間のために、社会の期待に応えるために、常 に考え、動き、時に攻め、時に守りながら、そのバランス をとって歩んできました。 社会にまだ十分に理解されていない新しい技術や素材 を世に出すには、並外れた忍耐と胆力が求められます。 私たちのような、いわゆる“社会課題の解決に役立つ革 新的な技術=ディープテック”の企業は、成果が見える までに時間がかかります。だからこそ、自分たちの想い と価値を、丁寧に、一貫して、伝え続けなければなりま せん。 すべてのステークホルダーの皆様へ 私たちのこの歩みが、皆様の中にある「こうだったらい いのに」という想いや、「未来は変えられる」という希望 と共鳴し、共に進む仲間となれたなら、これほど嬉しい ことはありません。 どうか今後とも、当社の挑戦にご期待ください。 株式会社TBM 代表取締役 CEO 山﨑 敦義 Introduction /
  5. TBM Sustainability Report 2025 7 「人を大切にする」組織文化が大切に育まれている 社外取締役インタビュー 当社の社外取締役であり、サステナビリティや組織開発に関わる知見を多く持つ薄羽美江氏に、TBMの組織や人に対する印象、 心に残っているエピソード、取締役会での議論、地域・消費者との関わり、そして企業価値向上への期待について伺いました。 Q.

    TBMの人や組織に対する印象を お聞かせください。 VUCAと呼ばれる予測不可能、不確実性に揺らぐ時代 ですが、TBMには強い意志と未来志向を持ち、自己と 向き合いながら社会の変化に挑戦していこうとする人 が数多く在籍していますね。社員の皆さんの真っ直ぐな 眼差しから、誠実な使命感が伝わってきます。TBMの 組織文化や価値観が深く根付いているからでしょう。 「志のあるプロフェッショナル」が集い、丁寧さとスピー ドを両立させながら社会的意義のある事業に取り組む 姿勢が際立っています。環境課題や社会的要請に対し ても、単に合理的なビジネス視点にとどまらず、「よりよ い未来」というヴィジョン(卓見)とパーパス(存在意義) から行動する文化がTBMの持続可能性の土台になっ ていると感じています。 Q. 当社での印象的なエピソードがあれば 教えてください。 毎年全社員が集う研修「TBM CAMP」での出来事をお 伝えしたいと思います。代表自らが社員の前で涙を流す 姿があり、「失敗してもいい、でも一緒に挑戦しよう」と 心を明かして語りかける自己開示力に深く感銘を受け ました。トップ自らが社員への信頼を言葉と行動で示す 正直な姿勢に、強固な組織文化と心理的安全性が体現 されていました。また、社員一人ひとりを主役にした記 録映像制作や対話の場の設計など、「人を大切にする」 という思想と実践が、「社会とステークホルダーの未来 を大切にする」という責任の醸成につながっていること が印象的です。こうした積み重ねが、TBMの独自性や 社会的信頼の源になっているのだと感じています。 Q. 取締役会での議論やガバナンスについて どのようにお感じですか? 経営会議における実に丁寧な準備と分析、計画を経て 報告が行われていますので、誠実で透明性のある議論 が取締役会において求められています。例えば、エシカ ル視点から事前に投げかけた質問には、正確な回答を 得ることができています。また、取締役会において話し 合われた意見がしっかりと検証され、改善に向けた実際 の経営判断に反映されていることを実感しています。特 に、研究開発や循環型ビジネスの方向性などに関する 提言が共有され、それが戦略に取り入れられていく過程 においては、経営の意思決定に社外の視点が有機的に 統合されていることに信頼を抱いています。 TBMには、 ガバナンスを単なる統制機能にとどめることなく、「共 に考え、最善を築く」対話をも重視している印象があり ます。 Introduction /
  6. TBM Sustainability Report 2025 8 倫理観と戦略性を兼ね備えたエシカルトランスフォーメーションに期待 社外取締役インタビュー Q. 消費者や地域との関わりにおいて、TBMが 果たすべき役割について教えてください。

    TBMは「リアルな現場の姿」と「社会的意義」をつなぐ 発信力をより強化するべきだと感じます。たとえば、横 須賀サーキュラー工場の資源循環の現場では、日々 様々な困難と向き合いながら、社員の皆さんが手を動 かし循環を支えています。「分ければ資源、混ぜればゴ ミ」という現場のリアリティを、消費者や市民の皆様に 目にみえる形で伝えていくことが、資源循環への理解 と共感を生み出すはずです。地域と共に世代を交えて、 エシカル消費を学ぶ場、考える場の創出に期待していま す。TBMの取り組みが「共に未来をつくる」共創型の関 係へと広がっていくことを願っています。 Q. 企業価値向上に向けて、 当社に期待することはなんですか? 企業価値向上の本質は、数字だけではなく、「社会から どれだけ信頼され、必要とされるか」にあると考えてい ます。その中でTBMにもっとも期待するのは、人材が財 産となることを起点とした価値創造のさらなる進化で す。TBMは、社会課題に対する答えを素材や技術で提 示するだけでなく、倫理観と戦略性を兼ね備えたビジネ スモデルで持続可能性を推進する企業です。そのため には、地道であっても誠実なものづくり、そして、組織と しての一貫したビジョンと行動が必要です。 今後は、TBM社員皆さんが「エシカルトランスフォーメ ーション(倫理的変革)」の担い手として、国内外でその 存在感をさらに高めていくことを心から期待していま す。TBMが描く未来が、企業の在り方そのものに問い を投げかけるような存在になることを願ってやみませ ん。 薄羽 美江(うすば よしえ) 1982年 ソニー企業株式会社 銀座ソニーショールーム入社 1984年 フリーアナウンサー集団エムシープランニングを起業 1996年 株式会社エムシープランニング創業 代表取締役(現任) 2018年 一般社団法人日本エシカル推進協議会理事(現任) 2022年 株式会社TBM 取締役就任(現任) Introduction /
  7. TBM Sustainability Report 2025 9 数字で見るTBMのサステナビリティ TBMサマリー ※数値は、別途記載がない限り2024年度の実績または2024年12月末時点のものです。 温室効果ガス排出量 Scope

    1・Scope 2 73%減少 基準年(2020年)に対する実績 資源循環 循環量 4万トン 国数 5カ国 2030年までに100万トンのLIMEXとプラスチックを 50カ国で循環させるとしたTBM Pledge 2030に 対する進捗 再生可能エネルギー電力比率 98% プラスチック使用削減貢献量 1,041トン 登録特許件数 件数 253件 国数 52カ国 対外イベントへの登壇件数 17回 温室効果ガス排出削減貢献量 11,494トン-CO2e 東京ドーム 約5杯分 自動車 約5,200台分 従業員数 312人 女性従業員比率 28% 女性管理職比率 11% エンゲージメントスコア 3.8/5点 2024年上期・下期の平均・5点満点 従業員平均年齢 39.1才 育児休業取得率 女性 取得率 100% 平均取得日数 156日 男性 取得率 58% 平均取得日数 45日 Introduction /
  8. TBM Sustainability Report 2025 10 TBMのあゆみ TBMサマリー *ISO 14001 認証の対象拠点は東京本社・テクノロジーセンター・東北LIMEX工場・横須賀サーキュラー工場です。

    Introduction / 多賀城工場 竣工 (現:東北LIMEX工場) 横須賀工場 竣工 (現:横須賀サーキュラー工場) ベトナムに「TBM VN Co.,Ltd」を設立 CR LIMEX 販売開始 株式会社TBM設立 2011 白石工場 竣工 LIMEXの特許承認 2015 米国に「Times Bridge Management Global,Inc.」を設立 LIMEX名刺 販売開始 2016 Bioworks株式会社を グループ会社化 COP24にてLIMEX製の レジ袋、ゴミ袋、ショッパーを発表 2018 TBM Pledge 2030 策定 2021 2022 2024 事業拠点 生産拠点 製品 サステナビリティ推進 SBTi認定取得/ The Climate Pledge 署名 D&I Policy/環境方針制定 人権方針/調達方針制定 行動規範制定 CDPへの回答開始 2017 TBM Compass 策定 LIMEX 電飾シート 販売開始 2019 再生素材CirculeX を発表 2020 100%再生可能エネルギーの電力を LIMEXの生産拠点に導入 Times Bridge Media 開設 サプライヤー行動規範制定 ISO 14001 認証取得*
  9. TBM Sustainability Report 2025 12 TBMの事業展開 事業概要サマリー LIMEX (ライメックス)事業では、無機物を主原料とす るLIMEX製品の開発、製造、販売等を行っています。

    LIMEXは、世界中に豊富に存在する石灰石を使用する ことで石油等の希少な資源の保全と温室効果ガス排出 量(GHG排出量)の削減を目指すことから始まりました。 さらに近年ではカーボンリサイクル技術を用いて、工場 から大気に放出されるCO2を回収し生成した炭酸カルシ ウムで製造するCR LIMEXへと進化の歩みを進めてい ます。 資源循環事業では、プラスチックの資源循環を力強く推 進してきました。横須賀サーキュラー工場には最新技術 を導入し、プラスチック製容器包装を自動選別、洗浄、再 資源化してきました。 これに加え、LIMEXの回収・再資源化の仕組みも構築し ていきます。使用済みのLIMEXやプラスチックを原料と して再生利用した「CirculeX」や、資源循環をコーディ ネートするサービス「Maar」を通じて、マテリアルリサイ クルを推進し、循環型社会の実現に貢献します。 LIMEXと資源循環に加え新規事業にも挑戦し、脱炭素・ 循環型社会の実現を目指します。 TBMの事業展開モデル 事業概要 /
  10. TBM Sustainability Report 2025 13 LIMEX事業 TBMの事業概要 なぜLIMEXなのか 1. 枯渇リスクの高い資源の保全

    LIMEXは、炭酸カルシウムを主原料にしています。炭酸カルシウムは、世界中に豊富に 埋蔵されている石灰石や工業プロセス等から大気に放出されるCO2から生成され、ま た、紙のように製造時に大量の水を必要としないことから、石油や水といった枯渇リス クの高い資源の保全につながります。 2. 温室効果ガス排出量の削減 石油由来プラスチックと比較して、製品のライフサイクル全体でCO2等の温室効果ガス 排出量を、製品によっては25%以上削減することができます。TBMは製品のライフサ イクルで生じる環境影響の定量化とその抑制に取り組んでいます。 3. 資源循環社会の構築への貢献 LIMEXはマテリアルリサイクル(使用済みの製品を新たな製品の原料として再利用する こと)が可能なため、資源循環を推進します。 LIMEXはプラスチックや紙の代替として、既に10,000以上の企業や自治体等で採用 されています。 LIMEXは、炭酸カルシウム等の無機物を主原料としたリサイクル可能な環境配慮型素材です。 炭酸カルシウム等の無機物と熱可塑性樹脂を混ぜ合わせてつくられ、プラスチックや紙の代わりになる機能を持っています。 外部評価 『Worldstar Global Packaging』 2025年、LIMEXのプラスチックやCO 2 の削減が見込める 環境性能が評価され、WPO(世界包装機構)が主催する世界 の優れたパッケージデザインや技術革新を表彰する国際的な アワード「Worldstar Global Packaging Awards」を受 賞しました。 事業概要 /
  11. TBM Sustainability Report 2025 14 LIMEX製品 TBMの事業概要 TBMはLIMEXの生産拠点として、東北LIMEX工場を操業しています。この工場で生 産されたLIMEX Sheetには、用途に応じた印刷や加工が施されます。パートナー・ユ

    ーザー企業が自由に印刷・加工できる中間製品としても販売しています。 また、粒状のLIMEX Pelletは既存の設備を活用して製造、成形ができるように開発 されています。この強みを生かし、国内外のパートナー企業でLIMEX Pelletを用いて 多様なLIMEX製品が生産されるファブレスモデルを構築しています。 事業概要 /
  12. TBM Sustainability Report 2025 15 資源循環事業 TBMの事業概要 TBMの中核となるもう一つの事業が資源循環事業です。天然資源の消費を抑制し環境への負荷を低減しながら経済成長を実現するサーキュラーエ コノミーへの移行が世界的に求められています。当社は、資源循環の新しいモデルを確立し、世界へ広げ、サステナビリティ革命の実現を目指します。 資源循環が求められる背景

    天然資源の消費を減らし、環境への負担を抑える「サー キュラーエコノミー(循環経済)」への移行が世界中で求 められています。日本でも、2000年に「循環型社会形成 推進基本法」ができてから、長年にわたり資源を無駄な く使う取り組みが続けられてきました。2018年には「第 五次環境基本計画」で、地域ごとに資源を補い支え合う 「地域循環共生圏」という考え方が提案されました。今後 の「第六次環境基本計画」でも、地域資源を活用して天然 資源の使用やゴミの量を減らす方向性が示されていま す。一方、経済成長や人口増加により、世界中で資源を 奪い合う動きが強まっています。コロナ禍やウクライナ情 勢によって、必要な資源が手に入りにくくなったことも あり、自国や近隣地域で資源を確保し、効率よく使うこ との重要性が改めて注目されています。こうした背景か ら、経済産業省は2023年3月に「成長志向型の資源自 律経済戦略」をまとめました。資源を輸入に頼る日本に とって、国内で資源を循環させることは経済成長のチャ ンスにもなります。 また、廃プラスチックの問題もあります。日本では年間 769万トンの廃プラスチックが発生していますが、その うち約7割が焼却処理されています。さらに、国際条約 の厳格化によって海外への廃プラ輸出も難しくなり、国 内でのリサイクルや再資源化が求められています。 ※出典 2023年プラスチック製品の生産・廃棄・再資源化・処理処分の状況 マテリアルフロー図(一般社団法人 プラスチック循環利用協会) 事業概要 / 2023年廃プラスチック総排出量の処理・処分別内訳
  13. TBM Sustainability Report 2025 16 資源循環の4つの事業 TBMの事業概要 1. リサイクルプラント運営 リサイクルプラント運営事業では、廃プラスチックと使用

    済みのLIMEX製品を自動選別・再生利用できる世界初 の工場を神奈川県横須賀市で2022年に始動しました。 今までのリサイクルは、製品製造工程で発生した材料を 再利用するポストインダストリアルリサイクル(PIR)が中 心でしたが、使用済みの製品を新たな材料に再利用する ポストコンシューマリサイクル(PCR)を拡大させること を目指しています。PCRは簡単ではないからこそ、付加 価値の高い資源循環を目指し技術やオペレーションを磨 いています。 2. 資源循環プロデュース 資源循環プロデュース事業では、廃プラスチックや再生 可能な資源を有価で買い取り、必要とするエンドユーザ ーやリサイクラーへ販売します。排出元とのネットワーク を築き、様々な種類と量、品質を確保することが競争力 に繋がります。 3. 資源循環プラットフォーム 資源循環プラットフォーム事業は、再生材の売り手(排出 元)と買い手(調達先)とをデジタルプラットフォーム上で マッチングするサービスを提供しています。再生材売買 のパートナー企業との取引で得られた知見やフィールド 営業の力を活かし、トレーサビリティや環境負荷をデジタ ルプラットフォームで可視化し、再生材の効率的な売買 を支援する取り組みです。 4. 再生材・再生材製品の開発・販売 再生材・再生材製品の開発・販売事業では、パートナー企 業や横須賀サーキュラー工場と連携して、お客様のご要 望の再生材を使用した製品をつくっています。製品に最 適な物性やお客様の求める色や量等、求められる要素も 多く複雑ですが、再生材の付加価値を高めるという点で は、非常に将来性がある事業と考えています。 事業概要 /
  14. TBM Sustainability Report 2025 17 TBMの主な生産・開発拠点 TBMの事業概要 東北LIMEX工場 東北LIMEX工場は、復興支援として宮城県内の雇用創 出を目指し、2015年に経済産業省の「津波・原子力災害

    被災地域雇用創出企業立地補助金(製造業等立地支援 事業)」に採択され、多賀城市の復興牽引拠点と位置付け られているさんみらい多賀城・復興団地内に2021年2 月に竣工しました。年間約2.3万トンの生産能力を持つ とともに、LIMEXのモデル工場として、世界への技術輸 出の拠点となっています。 横須賀サーキュラー工場 2022年11月に竣工した横須賀サーキュラー工場は、年 間約4万トンの処理能力、年間約2.4万トンの再生ペレッ トの生産能力を持ち、プラスチックのマテリアルリサイク ルのプラントとしては国内最大級の規模を誇ります。ま た、近赤外線による素材検知・選別や、他素材から LIMEXのみを自動選別する独自のプログラム等を実装 し、リサイクルシステムのモデルケースとして国内外に展 開していく予定です。 テクノロジーセンター テクノロジーセンターでは、独自に培った環境配慮型素 材の開発ノウハウを軸に、世界中で当たり前に使われる サステナブルなモノづくりを目指し、グローバルに展開 する、日本発の技術革新に挑戦し続けています。樹脂開 発、成形、無機材料研究など様々な分野の研究者、多様 な背景と経験を持つスペシャリストが集い、地球の未来 に向けた挑戦をしています。 事業概要 /
  15. TBM Sustainability Report 2025 18 Bioworks株式会社 グループの事業概要 Bioworks(バイオワークス)株式会社は、 改質ポリ乳酸コンパウンド(PlaX )および製品の開発・製造・販売を行っています。

    事業概要 Bioworks株式会社は、「つくる喜びと、着る豊かさが 続く、新たな⽣態系(エコシステム)」をビジョンに、ポリ 乳酸を原料とする植物由来の次世代合成繊維「PlaX」 の製造・販売を行うマテリアルクリエイションカンパニー です。2015年の創業以来、ポリ乳酸の研究開発で蓄積 された知見をもとに、2021年より繊維事業へと展開。 ファッション業界における⽯油由来原料からの脱却の⼀ 翼を担う素材として、国内外の繊維企業やブランドから 注⽬を集め、採⽤が始まっています。 PlaX とは PlaX は、サトウキビなどの植物由来の再生可能資源 を原料とするバイオマス素材「ポリ乳酸(PLA)」に、 Bioworksが独自に開発した植物由来の添加剤を加え ることで、従来のPLAが持っていた課題を克服した新 素材です。具体的には、耐久性・耐熱性の向上や染色性 の飛躍的な向上といった特長があり、これまでPLAの 使用が難しいとされていた分野への展開を可能にしま した。 このPlaX は、カーボンニュートラルの実現に貢献する 植物由来の素材で、石油由来の合成樹脂や繊維の代替 として使用できる汎用性を備えており、環境負荷の低減 と製品機能の両立を図ることができます。繊維化が可 能である点も大きな特長で 、糸として紡績された PlaX は、ニットや織物など様々な生地に加工できま す。編み方や他素材との混紡により、手触りや風合い、 吸水速乾性、伸縮性などの質感が自在に設計でき、従 来の合成繊維では得られなかった抗菌性など乳酸由来 の新たな機能性を備えています。 現在、PlaX を使用した生地は、環境配慮型製品の需 要が高まるアパレル業界を中心に、抗菌防臭性や着心 地の良さといった機能性とサステナビリティの両立が 高く評価され、多くの国内外ブランドやメーカーに採用 されています。 MKtoU emmi MARGARET HOWELLL BeBe Fillot de bebe reduction Tartine et Chocolat emmi YVON INED N.vague White Mountaineering 2nd 森美術館 TRUNK(HOTEL) RHYTHM&BALAMCE SHIPS human woman 事業概要 /
  16. TBM Sustainability Report 2025 19 Bioworks株式会社の2024年度活動実績 グループの事業概要 PlaX の⻑繊維量産開始でスポーツ・アウトドア など幅広い⽤途に展開

    台湾紡糸メーカーと提携し、植物由来の次世代合成繊 維PlaX の長繊維の量産を開始しました。これにより、 従来はポリエステルなどの石油由来合成繊維が適して いた機能性ジャージ素材でも使用できるようになり、ス ポーツ・アウトドア衣料など新たな製品用途における PlaX の普及が期待されます。台湾では、年内に10ト ン以上の長繊維量産を目指し、今後のグローバルな需 要に応えて世界展開を加速していきます。 「エコテックス®︎スタンダード100」認証取得 PlaX の原綿(短繊維)、原糸(長繊維)において、世界 最高水準の安全な繊維製品の証である「エコテックス®︎ スタンダード100」の認証を「Annex 6 製品クラスⅠ (乳幼児用製品)」として取得しました。 サステナビリティに関連する規制が強まる欧州では、 REACH規則を筆頭に、サプライチェーン全体を管理対 象とした化学物質の情報登録義務が拡大しており、安全 性評価の基準も厳格化されています。とくに繊維製品 は人の肌に直接触れるものであるため、人体に有害な 化学物質の使用については、企業や消費者から情報開 示が求められています。 Bioworks Sustainability Vision 未来へのコミットを可視化するためにSustainability Visionを制定しました。 PlaX を軸に、循環型・脱炭素を加速させる新たなエコ システムを構築し、繊維・アパレル産業と地球の持続可 能性に貢献していきます。 また、Sustainability Visionの実現に向け 「Progress Report 2025」*も公開しました。 *「Progress Report 2025」はこちらからご覧いただけます。 https://bioworks.co.jp/uploads/Progress-Report_JPN.pdf 事業概要 /
  17. TBM Sustainability Report 2025 21 新しい「アタリマエ」をつくり、進みたい未来へ、橋を架ける CSuOメッセージ 新しい「アタリマエ」をつくる TBMは「進みたい未来へ、橋を架ける」というミッション を掲げています。私たちが目指す「進みたい未来」とは、持

    続可能な社会であり、イノベーションを起こし続ける組織 であり、そして一人ひとりの自己実現でもあります。私自 身がTBMで成し遂げたいことは、環境や社会に真に貢献 するビジネスという、新しい「アタリマエ」をつくることで す。これまで外部化されてきた環境問題や社会問題をビ ジネスに内部化させ、価値を生み出す。そして、サステナ ビリティを成長のエンジンにしていく。そんな企業のあり 方を、国内外に提示していきたいと考えています。わたし たちは「サステナブルな素材の開発」と「循環の仕組みづ くり」という挑戦を通じて、従来の選択肢に変わる、新し い道を社会に示していきます。 サステナビリティ専任チームの存在意義 TBMのサステナビリティの取り組みには、いくつかの大 きな特徴があります。ひとつは、サステナビリティを「全社 横断のテーマ」と位置づけ、製品開発、営業、調達、製造、 バックオフィスなど、あらゆる部門が連携しながら取り組 んでいることです。「自社のサステナビリティが社会全体 のサステナビリティにつながる」ーーそんな共通認識のも とで、行動しています。 もう一つの特徴は、スタートアップでありながら、サステ ナビリティ専任のチームを有していることです。この体制 があるからこそ、外部との対話や情報開示、ESG評価へ の対応はもちろん、サステナビリティの機動的な推進に繋 がっています。 このチームの取り組みの多くは、TBMのプロダクトに深く 根ざしています。私たちのプロダクトそのものが環境問題 の解決手段であり、その循環スキームやライフサイクルア セスメントをも内製化している。つまり、理念だけでなく、 それをビジネスとして回す「実装力」こそが、TBMの本質 です。サステナビリティを「製品の付加価値」にとどめず、 「製品そのものの存在意義」として追求している点が、私 たちのユニークさだと思います。 サステナビリティ推進 /
  18. TBM Sustainability Report 2025 22 「自分の庭先」 そして自分ゴトを広げていく CSuOメッセージ 自分の庭先 私がサステナビリティを推進において大切にしているの

    は、まず「自分の庭先をきれいにすること」です。つまり、 お客様のサステナビリティ取り組みをご支援する立場とし て、「環境負荷が低い素材を使いましょう」「GHG排出量 の開示要請に一緒に対応しましょう」とお客様にご提案す るのであれば、まずは私たち自身が率先してそれを実践 しているべきだと考えています。様々な課題に直面しな がら、足元から一歩ずつ取り組むことで、社外との誠実な 対話が生まれると信じています。 自分ゴトを広げる 私にとって、サステナビリティを追求することは、自分ゴ トを広げることです。今のことだけでなく、未来のこと。見 えていることだけでなく、見えていないこと。時間的、地 理的、そして構造的な距離を超えて、自分ゴトを広げてい くことで、私たちが外部化してきてしまった歪みを直して いけるのではないかと思っています。自分が恵まれた環 境にいるからこそ、自分ゴトを広げることから始めたい。 そして、多くの人たちの自分ゴトがいつの間にか広がって いる世界をつくりたい。そんな思いです。 サプライヤーの皆様との連携強化 2024年には、行動規範や人権方針といった、私たちの 活動の基盤となる方針文書の改定・新設を行いました。活 動の土台を、より強く、より揺るぎないものへと鍛え直す 一年でした。中でも、調達方針やサプライヤー行動規範を 大きく見直し、サプライヤーの皆様には新たなサプライヤ ー行動規範への同意をお願いしました。その結果、今回対 象とさせていただいたすべてのサプライヤーの皆様から 同意書をご提出いただくことができ、大きな一歩を踏み 出すことができました。 変化を起こす、大河の一滴 私たちの挑戦の多くは、前例のない領域です。その道のり は決して楽なものではありません。時に、その道のりの険 しさや果てしなさに無力感を覚えることをあります。そん な時に私は「大河の一滴」という言葉を思い出します。進 みたい未来への大きなうねりを起こすんだ、と大河の一 滴としての意志と誇りを持ち続けることで、挑み、実践し、 変化し続けることができます。サステナビリティとは「静 的な理想」ではなく「動的な取り組み」だと私たちは考え ています。 大河の一滴は、多様な仲間と手を取ることで、大きなうね りになります。これからも当社は、ステークホルダーの皆 様と共に、進みたい未来へ橋を架けてまいります。 どうか、私たちの挑戦にご期待ください。 株式会社TBM 執行役員 CSuO 兼 サステナビリティ本部 本部長 羽鳥 徳郎 サステナビリティ推進 /
  19. TBM Sustainability Report 2025 23 TBM Sustainability Report 2025 23

    パートナー 社会 顧客 TBMが目指す世界 社会的インパクトへの道筋(ロジックモデル) 当社は「進みたい未来へ、橋を架ける」をミッションに、LIMEX事業と資源循環事業の2つ の事業を中心に据え、社会の価値観を変え、地球全体の気温上昇の抑制と枯渇資源の使用 抑制・循環型社会の実現による豊かな社会の実現という「サステナビリティ革命」を目指して います。また、社会に対するインパクトだけでなく、顧客企業やパートナー企業といった当社 と関わりを持つステークホルダーについても、事業を通じて共に成長し、地域経済を活性化 していくことに貢献していきたいと考えています。 社会全体における 枯渇可能性が高い 資源利用量の削減 優秀な人材の確保 Activity Input Output Outcome サステナビリティ 革命の実現 事業活動における 枯渇可能性が高い 資源の使用量削減 新素材の開発と 製造・販売 資源循環事業の 拡大 LIMEX製品を含む 新素材の製品 再生材を使った製品 製品・サービスの 市場拡大・拡充 新たな成長機会や 協業の創出 事業の持続的成長 人材・資金・ 生産設備・技術 気温上昇の抑制 産業革命前に対して 1.5℃以内 資源の確保による 生活水準の 維持向上 地域経済の活性化 事業の持続的成長 パートナー企業や 自治体との ネットワーク構築 企業イメージ向上 ESG評価向上 環境負荷の小さい 製品を当然に選ぶ 価値観の醸成 事業活動における GHG排出量の削減 社会全体における GHG排出量の削減 パートナー企業や 自治体の募集 サステナビリティ推進 /
  20. TBM Sustainability Report 2025 24 スピード感ある進化に大きな驚きと敬意 サステナビリティアドバイザーインタビュー 当社は2025年8月に会社設立から14年を迎えます。当社のサステナビリティアドバイザーを務める株式会社ニューラル代表取締役CEO 夫馬 賢治氏にTBM東北LIMEX工場へいらしていただき、当社の現在地と今後の展望について話を伺いました。

    Q. 東北LIMEX工場をご覧になった感想を お聞かせください。 まず驚いたのは、工場の“綺麗さ”でした。整理整頓とい った表面的な清潔感にとどまらず、粉塵や騒音、労災リ スクへの対策など構造設計段階から緻密に配慮されて いることが伝わってきました。これは、企業としてのポリ シーやカルチャーが現場にまで浸透している証だと感じ ます。また、工場見学ルートの整備や安全対策の徹底に も、見せることを前提とした自信と誠実さがにじみ出て いました。この工場が「マザープラント」として位置づけら れていることにも納得がいきます。国内外で展開される 将来の生産拠点のモデルケースとして、十分に誇れる水 準であると感じました。 Q. TBMと出会ってからの印象の変化を どう感じられていますか。 TBMと初めて出会ったのは、レジ袋有料化などの議論 が盛り上がる中でした。当時、プラスチックの代替素材で ある石灰石由来のLIMEXの登場は、業界にとってまさ に“異色の新星”であり、正直なところ初期段階では評価 が難しい存在でもありました。素材の環境性能やサプラ イチェーンの信頼性など、多くの点で“未知数”だったか らです。しかし、その後数年を経てTBMが見せたスピー ド感ある進化には大きな驚きと敬意を感じています。単 なる素材提供から資源循環事業へと事業領域を広げ、製 造工程やサプライチェーンの透明化にも着実に取り組ん でいます。特に、横須賀での再生素材の量産体制構築 は、リニア経済からサーキュラーエコノミーへの大きな一 歩として評価されるべきでしょう。 夫馬 賢治(ふま けんじ) 東京大学教養学部(国際関係論専攻)卒。ハーバード大学大学院リベラル アーツ(サステナビリティ専攻)修士課程修了。サンダーバード・グローバル 経営大学院MBA課程修了。サステナビリティ経営・ESG金融アドバイザリ ー会社を2013年に創業し現職。東証プライム上場企業や大手金融機関 の社外取締役やアドバイザー、スタートアップ企業やベンチャーキャピタル の顧問も多数務める。環境省、経済産業省、農林水産省等の有識者委員を 歴任。信州大学グリーン社会協創機構特任教授。著書『超入門カーボンニ ュートラル』(講談社)『データでわかる 2030年 地球のすがた』(日本経 済新聞出版)、『ESG思考』(講談社)他。ニュースサイト「Sustainable Japan」編集長。 サステナビリティ推進 /
  21. TBM Sustainability Report 2025 25 世界に通用する真のサステナビリティ企業としての成長に期待 サステナビリティアドバイザーインタビュー Q. TBMの強みをどうご覧になっていますか。 TBMの強みは、大きく二つあると考えます。第一に、素

    材の設計思想が常に循環型を志向していることです。石 灰石という非再生資源を起点としながらも、それをどう 回収し、再生し、社会実装につなげていくかという流れが、 技術的にもビジネス的にも組み込まれ始めています。第 二に、グローバルな視野と地道な現場力の両立です。ベ トナム、インド、韓国など国外での採用実績がある一方で、 代理店任せではなく自社でも営業活動を展開している点 には、“自らの手で市場を開拓する”という強い意思を感 じます。これは、新素材を世の中に浸透させていくうえで 非常に重要な姿勢であり、海外展開における大きな強み です。 Q. TBMの課題と今後への期待について お聞かせください。 TBMの課題は、大きく二つの軸で整理できます。まず一 つ目は、サプライチェーンも含む製造工程のサステナビ リティの統合です。素材そのものがサステナブルである ことと、原材料生産と製造過程が環境・労働の観点で持 続可能であることは、必ずしもイコールではありません。 だからこそ、TBMが取り組むべきは、製造現場と上流サ プライチェーンにおける環境フットプリントや人権リスク への管理体制の強化です。東北LIMEX工場の高い水準 は希望の兆しですが、これを国内外の全拠点、そしてサ プライチェーンへどう広げていくかが今後のカギになり ます。 二つ目は、対外コミュニケーションの強化です。LIMEX の知名度は高まってきた一方、その“本当の良さ”や“循 環構造を内包する素材”としての意義が広く知られてい るとは言えません。特に、欧米の消費者や環境団体、サス テナブル調達を重視する大企業、投資家や金融機関に対 しては、データに裏付けられた明快なストーリーと信頼 ある第三者評価が必要です。グローバル企業による採用 事例や推薦の声が今後の飛躍のカギとなるでしょう。 また、サプライチェーンの透明性確保も極めて重要です。 上流のサプライヤーへ行動規範への同意取得を進めてい る点は評価できますが、それをもとに「誇れるサプライチ ェーン像」を対外的に語れる状況づくりが欠かせません。 サステナブルブランドとして世界で通用するためには、 「日本らしさ」一辺倒のメッセージでは限界があります。 国際基準で、同じ土俵で戦えるグローバルな視点と発信 力が不可欠です。 TBMは素材開発にとどまらず、社会課題への本質的な アプローチを志す企業です。その道のりには困難も多い ですが、だからこそ社会にとって価値ある挑戦です。世 界に通用するサステナビリティ企業としての成長を期待 しています。 サステナビリティ推進 /
  22. TBM Sustainability Report 2025 26 マテリアリティ マテリアリティ一覧 当社は「2030年に向けて解決するべき最も重要な課題」 を2つに集約し、マテリアリティとしました。環境・社会問題の解決に貢献して価値を創造し続ける ために、活動の源となるケイパビリティの向上と、私たちが目指す環境・社会へのインパクトの両方の観点から、マテリアリティを2024年に見直しました。

    当社は「2030年に向けて解決するべき最も重要な課 題」を2つに集約し、マテリアリティとしました。環境・社 会問題の解決に貢献して価値を創造し続けるために、活 動の源となるケイパビリティの向上と、私たちが目指す 環境・社会へのインパクトの両方の観点から、マテリアリ ティを2024年に見直しました。 マテリアリティ特定プロセス サステナビリティに関するガイドライン等を広く参照しつ つ、これまでのステークホルダーとの対話において言及 された事項も取り入れながら、当社が関与する環境・社 会課題を上記の定義に照らして抽出・評価し、社内での 議論を経てマテリアリティとそれに含まれる要素を決定 しました。 SDGsに対するコミットメント 当社はマテリアリティへの取り組みを通じて、 「SDGs (持続可能な開発目標)」が定める社会的課題の解決への 貢献を目指していきます。 TBMのマテリアリティ ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり Circular People Management TBM Compassの体現 メンバーの幸せと成長 ダイバーシティ&インクルージョンの推進 基盤づくり 安全衛生防災の推進 リスク管理とコンプライアンスの徹底 コーポレートガバナンスの実効性向上 さらなる挑戦へのチケットの獲得 お客様等のステークホルダーからの信頼獲得 財務的健全性の保持 ②TBM Pledge 2030の達成 Go Carbon Negative GHG排出量の低減 GHG排出削減貢献量の増大 Go Circular LIMEXの普及と資源循環量の増大 地球規模の資源循環への貢献 意義のあるイノベーション 豊かな地球を引き継ぐ新技術の開発 新規事業の開発・事業提携 ルールメイキングへの関与 行動変容を促す発信 サステナビリティ推進 /
  23. TBM Sustainability Report 2025 27 経営資本の循環によって持続的成長と環境・社会へのインパクトの創出を目指す 価値創造プロセス TBMは、LIMEX事業および資源循環事業を軸に、新規事業にも挑戦しています。 LIMEX事業では、石灰石および大気や排ガス中のCO2から生成される炭酸カルシウム を主原料とし、紙やプラスチックの代替となる日本発の革新的な素材であるLIMEXの

    普及に努めています。資源循環事業では、廃プラスチックや使用済みのLIMEXの再資源 化の技術開発と仕組みづくりを進めています。事業推進を支えているのが、多様な背景 と専門性を持つ300人超の人材と250件以上の特許やノウハウ等の知的財産、そして 人材と知財から生み出される技術力です。これらの技術力や当社に共感くださった皆様 とのパートナーシップを活かし、脱炭素社会および循環型社会の実現に向けた取り組み をグローバルに加速させています。 ※数値は2024年12月末時点のものです。 TBM Compass インプット 企業価値の向上 アウトプット アウトカム (環境・社会へのインパクト) マテリアリティ② TBM Pledge 2030の 達成 財務資本 ・累計調達額 428億円 製造資本 ・東北LIMEX工場 ・横須賀サーキュラー工場 知的資本 ・保有特許権 253件 ・テクノロジーセンター ・リサイクルプラント運営ノウハウ 人的資本 ・従業員数 312人 ・多様な背景と専門性 社会関係資本 ・顧客数 10,000以上 ・パートナー企業 750社以上 ・資源循環協議会会員数 230 事業活動 新規事業 資源循環事業 LIMEX事業 マテリアリティ① 思いっきり挑戦し続ける 組織づくりと人づくり パートナー企業との 新たなビジネス機会の創出 循環型社会への 移行支援 環境配慮型製品 GHG排出量削減 枯渇資源使用量削減 循環型社会の実現 財務資本 ・財務基盤の拡充 製造資本 ・工場設備の拡充 ・生産性の向上 知的資本 ・保有特許権の増加 ・挑戦によるノウハウの積み重ね 人的資本 ・従業員増加 ・エンゲージメント向上 ・スキル向上 ・挑戦による経験の積み重ね 社会関係資本 ・顧客数/パートナー数の増加 ・資源循環協議会会員数増加 企業の持続的成長 サステナビリティ推進 /
  24. TBM Sustainability Report 2025 28 サステナビリティを起点とした経営 サステナビリティ推進体制 サステナビリティを経営の意思決定と業務執行の両方に組み込むために、TBMではサステナビリティ委員会・サステナビリティ本部・各部門・拠点が 密に連携して取り組みを推進しています。 サステナビリティ推進体制

    当社では、サステナビリティを推進する施策の企画や実 行を担当する部署として、サステナビリティ本部を設置し ています。各拠点や各部門、グループ会社、海外拠点とも 連携し、毎年計画的に新たな施策に着手しています。 サステナビリティ委員会 当社では、代表取締役CEOの諮問機関としてサステナビ リティ委員会を設置しています。一方、サステナビリティ 推進に係る重要な取り組みについては、取締役会にも付 議し、その監督のもとで取り組みを進めています。サステ ナビリティ委員会には社外アドバイザーも出席し、幅広い 助言や提言を得ています。 2024年の主な協議事項 • 環境マネジメントシステムの構築・運用 • サステナビリティに関する目標「TBM Pledge 2030」のモニタリング • GHG削減貢献量についての取り組み • マテリアリティの見直し • 行動規範、人権方針、環境方針、調達方針 • サプライヤー行動規範 • 人材育成の仕組み サステナビリティ浸透の取り組み 従業員一人ひとりがサステナビリティへの理解を深め、 その取り組みをさらに推進するために、様々な取り組み を行っています。 主な取り組み • 新卒研修・オンボーディング研修 • 部門別サステナビリティ研修 • サステナビリティ通信の定期的な配信 取締役会 代表取締役CEO コンプライアンス委員会 経営会議 各部門 サステナビリティ委員会 監督 監督 付議・報告 報告・答申 付議・報告 指示・諮問 指示・監督 報告 メンバー • 代表取締役CEO • 執行役員CSuO(委員長) • 各部門(テーマに応じて) • 社外アドバイザー • サステナビリティ本部(事務局) サステナビリティ推進 /
  25. TBM Sustainability Report 2025 29 メンバーの幸せと成長のために マテリアリティ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり|Circular People Management TBM

    Compassの体現 TBM Compassはミッション(Mission)、ビジョン (Vision)、 バリュー(Values)からなる企業理念体系の 総称です。部門別、チーム別でも業務やチームの特徴に 応じて設定され、上司との1on1ミーティングで定期的 に振り返りをしています。人事評価では行動評価項目と して設定され、TBM Compassを体現している従業員 への表彰の基準となるなど、従業員一人ひとりの判断の 拠り所として根付いています。 エンゲージメントサーベイ 当社では四半期に1回エンゲージメントサーベイを行って います。サーベイの結果はメンバーの幸せと成長実感の 指標として、日々のマネジメントや組織運営に生かされ ています。 メンバーの幸せと成長 当社ではメンバーの幸せと成長を達成すべき最も重要 な項目の一つとして捉え、挑戦を通じて得られるやりが いや達成感、成長実感がメンバーの幸せに貢献するもの と考えています。挑戦の場は年齢や役職に関係なく提供 され、若くしてプロジェクトリーダーに登用されたり、海 外のイベントで登壇したりするメンバーも年々増えてい ます。 社内研修 社内の研修制度は従業員の階層別に実施しています。 • 本部長・部門長研修 年12回 • 副部門長・マネージャー研修 年12回 • 新卒研修 入社後約1か月間 • オンボーディング研修 入社後3日間 ※メンバーや組織については「Times Bridge Media」にてさらに詳しくご紹介しています。 外部評価 CSA賞 一般財団法人エン人材教育財団が主催する「CSA賞〜 20代に薦めたい「次世代型人材」創出企業〜」を受賞 しました。チャレンジングな業務に20代でも重要な立 場で挑戦できる風土を評価いただきました。 サステナビリティ推進 /
  26. TBM Sustainability Report 2025 30 誰もが活躍できる組織を目指して マテリアリティ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり|Circular People Management ダイバーシティとインクルージョン(D&I)

    当社は多様性を尊重する組織文化の醸成、制度の構築を 通じて、事業上の多様なニーズへ対応し、様々なステーク ホルダーとの持続可能な社会に向けた共創を目指します。 D&I Policy D&I Policyは2022年に制定されました。当社は性別、 性自認および性的指向、年齢、家族構成、出自、障害、疾 病、言語、国籍、民族、宗教など互いの違いを尊重し、徹 底的に人との関わり合いが持つ可能性を信じながら、一 人ひとりが最大の能力を発揮できるチームを目指してい ます。 女性管理職比率 2024年12月末現在、女性従業員比率は27.9%、女性 管理職比率は10.9%となっています。女性活躍推進法 に基づき、2026年末までに女性管理職比率15%以上 を目指し、1on1を通じたキャリア形成支援策の拡充や仕 事と育児の両立を支援する社内制度の周知の徹底等を 行っていきます。 男性の育児への参加推進 2024年の男性従業員の育児休業取得率は58%、平均 取得日数は45日となりました。次世代育成支援対策推 進法に基づき、2026年までに男性の育児休業取得率 50%以上を目指し、制度の社内周知の徹底や上長への 理解促進に取り組んでいます。 社内研修等 D&Iについては、新卒や中途採用者に対して入社時に研 修を行っています。また、D&I Monthや国際女性デー における社内への情報発信等を通じて、社内の意識向上 を図っています。 現状では障がい者の安定的な雇用や外国籍従業員の登 用が課題と認識しており、今後もD&Iの更なる推進に力 を入れていきます。 外部評価 D&I Award 2024 2024年にはこれまでの取り組みが評価され、D&I Awardにおいてアドバンス認定を受賞しました。 PRIDE指標2022 LGBT+等のセクシュアル・マイノリティ(以下、LGBT+) に関する取り組みの評価指標「PRIDE 指標」において ゴールド認定を獲得しました。 58%(+18%) 男性従業員 育児休業取得率 2026年目標 50%以上 11%(+1%) 女性管理職比率 2026年目標 15%以上 45日(+32日) 男性従業員育児休業 平均取得日数 2.4%(+0.6%) 障がい者雇用率 サステナビリティ推進 / 括弧内は前年差
  27. TBM Sustainability Report 2025 31 安全への取り組み マテリアリティ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり|基盤づくり 安全衛生防災の推進 当社では「安全はすべてに優先する」と考え、安全衛生 管理体制の改善を図っています。

    トップメッセージ 2024年7月に安全衛生に関するトップメッセージを発 信しました。この中でミッション遂行のためには、誰もが 安心して安全に働ける職場環境の実現が最優先事項で あることを代表取締役CEOから全従業員に伝えました。 安全衛生防災推進体制 当社では、各拠点で毎月安全衛生委員会(または安全委 員会)を実施するとともに、年に4回全社安全衛生防災 委員会を開催し、各拠点の事例を共有し、全社で協調し て安全衛生防災の推進に取り組んでいます。 労働災害 2024年の労働災害(通勤災害を除く)は8件、うち休 業災害は3件でした。災害要因を分析した結果、設備ト ラブルの対応中が5件と最多でした。トラブル時の手順 書の作成や設備の改善・更新等の対策をとり、労働災害 ゼロに向けて是正対応と周知徹底を図っていきます。 健康診断 当社では、雇入れ時及び定期健康診断の他、工場等で 法令に定められた業務に従事する従業員に対し必要な 健康診断を実施しています。2024年の定期健康診断 受診率は94%でした。今後も受診率100%へ向けて、 メンバーが健康に働くことができる環境を目指します。 8件(▲3件) 労働災害発生件数 2024年 93%(▲1%) 健康診断受診率 2024年 全社安全衛生防災委員会 安全衛生防災責任者 (ピープル&カルチャー室 管掌執行役員) 安全衛生防災事務局 法令対応・衛生・防災 (ピープル&カルチャー室・労務) 労働災害予防 (サステナビリティ本部・品質保証本部) 東北LIMEX工場 工場長 横須賀サーキュラー工場 工場長 各事業所 職場管理者 管理者・推進者 管理者・推進者 管理者・推進者 サステナビリティ推進 / 括弧内は前年差
  28. TBM Sustainability Report 2025 32 安全への取り組み マテリアリティ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり|基盤づくり 安全衛生教育 工場等では雇入れ時の入場時研修や技能・資格の取得・ 維持に必要な研修を随時実施しています。また、従業員

    の資格・スキルマップを作成し、必要な人数を充足する よう運営しています。 2024年に実施した主な研修内容 • 雇入れ時安全衛生教育 • 安全管理者選任時研修 • 防火・防災管理講習 • フルハーネス型安全帯使用作業特別教育 • フォークリフト技能講習 • 粉じん作業特別教育 • 低圧電気取扱者特別教育 • 廃棄物処理施設技術責任者講習 設備安全 2024年に設備導入時のリスクアセスメントを見直しま した。設備導入プロセスに基づいてリスクアセスメント が必要なタイミングを設定し、手順に沿って実施してい ます。また、設置後も年に1回以上のリスクアセスメント を実施するとともに安全教育を行うこととしています。 防災訓練 工場等では年2回火災・地震を想定した訓練を実施して います。また、化学物質が漏洩した場合の対処方法等に ついても随時実施し、手順を確認しています。 外部評価 中央労働災害防止協会進歩賞・銅賞 東北LIMEX工場は無災害記録日数1,000日、 白石工場は2,100日を達成し、中央労働災害防 止協会より東北LIMEX工場は進歩賞(第二種)、 白石工場は銅賞(第三種)を授与されました。 サステナビリティ推進 /
  29. TBM Sustainability Report 2025 33 事業継続の基盤づくり マテリアリティ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり|基盤づくり リスク管理とコンプライアンスの徹底 化学物質管理 当社では2024年4月に化学物質管理マニュアルを制定

    し、リスクアセスメントの手順を明確化して安全面・環境 面のリスク低減対策を実施しています。 また、2024年の労働安全衛生法改正への対応として、 新規化学物質のデータ取得とリスクアセスメントを実施 し、必要な措置をすべて完了しました。 品質保証 当社では、製品開発の各工程で設計内容を確認するデザ インレビュー(DR)を行っています。製品開発を営業、マ ーケティング、コスト、技術、サプライチェーンを含めた生 産体制、品質、安全、環境など様々な観点で検討し、厳し い条件に適合した製品のみを販売する体制を整えてい ます。 コンプライアンス推進体制 当社ではコンプライアンスを経営基本方針の重要項目と し、TBM行動規範や就業規則に基づいて、全ての役員お よび従業員に対して、法令、条例、規則等の遵守および 高い倫理に基づいた行動を求め、誠実かつ公正な経営お よび業務の遂行に努めています。 また、コンプライアンスの取り組みを推進する体制として、 コンプライアンス委員会を設けています。同委員会は、役 員および従業員の法令等に違反する行為、また、その指 示、命令、教唆、強要、許可、承認または黙認に対する行 為への防止策および是正措置を講じています。 2024年度は、重大なコンプライアンス違反はありませ んでした。 全社コンプライアンス研修 当社では全社コンプライアンス研修を毎年定期的に実施 しています。2024年は以下の項目について実施し、受 講率は100%でした。 • ハラスメント • 公務員との付き合い方 • 営業秘密 ハラスメント相談窓口とコンプライアンス通報窓口 当社では従業員(契約社員・アルバイト・派遣労働者・退職 者を含む)を対象としたハラスメント等に対する相談窓 口及びコンプライアンス規程に基づく通報窓口を社内で 運用しています。通報窓口に情報提供があった場合には、 情報提供者のプライバシーを保護し、不利益な取り扱い を行わないと同時に、コンプライアンス委員会でその対 応にあたります。 サプライヤー行動規範 2024年に見直しを行ったサプライヤー行動規範につい て、主要なサプライヤー23社に規範への同意書を送り、 すべてのサプライヤーから同意する旨の回答を得ました。 TBMの製品開発工程 商品企画 開発試作 工場試作 量産試作 初期量産 通常量産 DR0 企画審査 DR1 試作審査 DR2 試作審査 DR3 試作審査 DR4 量産審査 サステナビリティ推進 /
  30. TBM Sustainability Report 2025 34 社会からの信頼を得るために マテリアリティ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり|基盤づくり コーポレートガバナンスの向上 当社はコーポレートガバナンスの向上に取り組み、社会 的信用を高めることが必要不可欠なことと考えています。

    役員の多様性 当社の取締役会は、社外取締役や女性・外国人取締役を 含む多様な取締役によって構成されています。また、取 締役会での決議事項を一部議題を除き社内全員に展開 し、透明性を高めるとともに全社員の経営者意識の向上 にも取り組んでいます。 取締役会 当社の重要事項を決定し、取締役の業務の執行状況を監 督します。取締役会規程に基づき、原則月1回の開催に 加え、必要に応じて臨時開催し、法令及び定款に定めら れた事項並びに経営上の重要事項の決議を行います。取 締役の選任は、株主総会において議決権を行使すること ができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出 席し、出席した当該株主の議決権の過半数をもって行い ます。取締役会の議長は、取締役会においてあらかじめ 指名された取締役が議長となります。但し、取締役会に おいて指名された者がいないときは出席取締役の過半 数の賛成をもって議長を定めています。 監査役・監査役会 監査役会は、原則月1回の開催に加え、必要に応じて臨 時開催しています。必要に応じ、本社及び各事業所に関 して、業務現状の聴取、重要な会議体の議事録並びに稟 議書その他重要文書の閲覧、そして会計に関する帳簿、 書類の調査等を実施しています。監査役は、監査役監査 規程に基づき、取締役会にも出席し、取締役の職務執行 が法令又は定款に違反し、適法性を欠くおそれがある場 合には、取締役会に報告します。 会計監査人 会計監査人は、本社、工場その他必要のある拠点に対し て、会社法に基づく監査を実施しています。 63%(+3%) 社外取締役比率 25%(+5%) 女性取締役比率 取締役・監査役(2025年3月末現在) 性別 社外 取締役 山﨑 敦義 男 坂本 孝治 男 小林 孝至 男 片地 格人 男 〇 杉森 実 男 〇 薄羽 美江 女 〇 中澤 英子 女 〇 リー・ジョンファン 男 〇 監査役 加藤 公一 男 〇 水野 勝 男 〇 髙田 大記 男 〇 株主総会 会計監査人 監査役会 取締役会 選任・解任 選任・解任 選任・解任 内部監査担当 代表取締役CEO コンプライアンス委員会 経営会議 各部門 サステナビリティ委員会 監査 選任・解任 選任・解任 報告 付議・報告 報告・答申 付議・報告 連携 指示・諮問 指示・監督 報告 サステナビリティ推進 / 括弧内は前年差
  31. TBM Sustainability Report 2025 35 ステークホルダーとのエンゲージメント マテリアリティ①思いっきり挑戦し続ける組織づくりと人づくり|さらなる挑戦へのチケットの獲得 お客様等のステークホルダーからの信頼拡大 当社はお客様や従業員、株主、投資家、サプライヤー、地 域住民、省庁や自治体等の幅広いステークホルダーの皆

    様の信頼がミッションの実現に不可欠と考え、コミュニケ ーションを通じてその信頼の獲得と拡大に努めています。 従業員との対話 毎月1回全社員を対象とする「Same Boat Meeting」 を実施し、経営状況や事業の進捗などを共有しています。 また、年に1回開催する「TBM Camp」では全拠点から 社員が集まり、経営陣や互いの対話を通じて、企業理念 や事業戦略への理解を深め、一体感を高めています。 取引先、パートナーとの対話 2024年12月には、社員一人ひとりがホストとなり、 TBMの事業活動を支援いただいている約500人のゲ ストをお迎えし、日頃の感謝と2024年の振り返り、 2025年の飛躍を誓う「感謝会」を開催しました。当社が 目指す世界に対して、大きな期待の声を数多く頂きまし た。 また、工場見学も実施し、東北LIMEX工場では37組、 横須賀サーキュラー工場では148組の見学を受け入れ ました。 地域社会との対話 東北LIMEX工場での中学生向けの授業の他、LIMEX を題材にした出張授業を小学校で行い、生徒の皆様にサ ステナビリティの重要性やTBMの事業についての理解 を深めて頂いています。 株主、投資家との対話 株主総会の他、面談を随時実施し、事業への理解と信頼 の獲得に努めています。 財務的健全性の保持 当社は株主の方からお預かりした資金を原資に、補助金 等の受給や銀行からの借り入れも行って、事業を営んで います。その大切なお金を1円たりとも無駄に使わない よう、費用支出にあたって事前稟議制を採用し、厳正な 管理を徹底しています。 サステナビリティ推進 /
  32. TBM Sustainability Report 2025 36 脱炭素社会の実現を目指して マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|Go Carbon

    Negative TBM Pledge 2030は、TBMのミッションである「進 みたい未来へ、橋を架ける」の実現に向けた目標として 策定されました。 Go Carbon Negative Go Circular の2つを目標として掲げています。 ここではGo Carbon Negativeに関する進捗をご報 告いたします。 GHG排出量の低減 Go Carbon Negativeでは、GHG排出量の低減を 掲げ、数値目標として 1. 当社からの直接排出量 (Scope 1およびScope 2)をゼロにする 2. バリューチェーン上のGHG排出量 (Scope 3)を2020年度比で半減させる を目指しています。 1については、再生可能エネルギーの導入効果等により、 2024年の排出量は329 t-CO2eqとなり、2020年 と比較して73%の削減となりました。一方、2について は2020年と比較して474%の増加となりました。 2024年の数値には2020年には含まれていないファ ブレス(外部製造委託)製品、横須賀サーキュラー工場、 Maar事業の値が含まれていること影響し、大きく増加 しています。 GHG排出削減貢献量の増大 Go Carbon Negativeでは、製品やサービスの提供 によって社会全体のGHG排出削減に貢献することを目 標とし、製品やサービスのライフサイクルにおけるGHG 排出量の最小化を目指しています。 2024年のGHG排出削減貢献量は、前年比33%増の 11,494 t-CO2eqとなりました。東京ドームの容積に 換算すると、約5杯分の年間排出量に相当します。 2030年目標 2030年目標 11,494t-CO2eq (+33%) GHG排出削減貢献量 73%減少 Scope 1・Scope 2 排出量 2020年比 474%増加 Scope 3 排出量 2020年比 サステナビリティ推進 / 0 500 1,000 1,500 2,000 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2030年 Scope 1・2 排出量(マーケットベース) Scope 1 Scope 2 単位:t-CO2-eq 0 40,000 80,000 120,000 160,000 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2030年 Scope 3 排出量 単位:t-CO2-eq 括弧内は前年比
  33. TBM Sustainability Report 2025 37 脱炭素社会の実現に向けた取り組み マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|Go Carbon

    Negative アパホテルの宿泊施設の客室ゴミ袋に LimeAirBagが採用 LIMEXを使用したポリ袋LimeAir Bagがアパホテル株 式会社が全国で運営する宿泊施設の客室で使用される ゴミ箱用ポリ袋に採用されました。同社は「いつも気持ち の良い環境」をテーマに、人に、地球に、快適な社会を創 造する「APA快適・環境宣言」を掲げ、環境対策に取り組 んでいます。従来使用していたポリエチレン製の袋を LimeAir Bagに切り替えることによって、石油由来プラ スチックの使用量を年間約21%削減、温室効果ガス排 出量を約21%削減する効果が見込まれます。 カネヨ石鹸「カネヨン」のボトルに LIMEX Pellet が採用 カネヨ石鹸株式会社のクレンザー「カネヨン」のボトルに 当社が製造するLIMEX Pelletが採用されました。 LIMEX Pelletのプラスチック使用量の削減が見込ま れる環境性能と、コストの上昇が抑えられる経済的なメ リットを評価いただきました。従来のプラスチック製のボ トルと比較して、プラスチック使用量を約31%、温室効 果ガスの排出量を約14%削減できる見込みです。初年 度に100万本の生産が予定され、他の商品にもLIMEX Pelletの採用が見込まれています。 「キッチンオリジン」「オリジン弁当」の タペストリーに LIMEX Sheet が採用 オリジン東秀株式会社が運営する「キッチンオリジン」と 「オリジン弁当」で、 屋内外で使用するキャンペーン用の タペストリーにLIMEX Sheetが採用されました。関東・ 近畿地方の約400店舗で使用されています。LIMEX Sheetは耐久性や耐水性に優れているため、屋外や水 回りなどの様々な環境下で使用できます。また、一般的 な合成紙製のタペストリーと比較して、石油由来プラスチ ックの使用量を約10%、温室効果ガス排出量を約26% 削減できる見込みです。 *推定に基づく概算値であり、保証値ではありません。製造条件等に応じて、数値変更の可能性があります。 また、温室効果ガス(GHG)排出量や石油由来プラスチックの使用量は、今後のグレード追加や変更等により変動する可能性があります。 GHG排出量 約 14%削減* プラスチック使用量 約31%削減* GHG排出量 約26%削減* プラスチック使用量 約10%削減* GHG排出量 約21%削減* プラスチック使用量 約21%削減* サステナビリティ推進 /
  34. TBM Sustainability Report 2025 38 脱酸素社会の実現に向けた取り組み マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|Go Carbon

    Negative LIMEXを使用した 食品包材用シーラントフィルムが石井食品に採用 石井食品株式会社が展開する「地域と旬」シリーズで、 2024年2月より「神奈川三浦のキャベツを使ったハン バーグトマトソース(ロールキャベツ風)」に、2024年5 月より「白子町の新玉ねぎを使ったハンバーグ」に、 LIMEXを使用した食品包材用シーラントフィルムが採用 されました。このシーラントフィルムでは、フィルムの一 部にLIMEX Pelletを使用し、従来のプラスチック製フ ィルムと遜色ない機能物性を保持したまま石油由来プラ スチック使用量や温室効果ガス排出量を削減することが 可能です。 カーボンリサイクル技術を用いた 低炭素素材CR LIMEXの販売を開始 2024年の世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会 議)で発表したカーボンリサイクル技術を活用した低炭素 素材CR LIMEXの販売を開始しました。本素材開発に おいては既に国内特許を取得し、CO2固定化技術の先 進的な実用化を実現しました。当社は、鉱物由来の炭酸 カルシウムを主原料とする従来のLIMEXの普及を促進 しながら、CO2の固定化技術によるCR LIMEXの普及 と新たな用途開発を進め、同時にカーボンクレジットの 創出も目指しています。 TOPPANの建装材用途向け化粧シートに LIMEX Sheetが採用 LIMEX SheetがTOPPAN株式会社の建装材用途向 けの化粧シートの基材に採用され、LIMEX Sheetを使 用 し た 化 粧 シ ー ト と し て 初 の 事 例 と な り ま し た 。 TOPPANが推進する建装材分野での環境対応の取り組 みとして、主に住宅分野を中心に使用されている化粧シ ートにおいて、石油由来プラスチックから環境配慮型素 材への切り替えを検討しており、その中で温室効果ガス 排出抑制や石油由来プラスチックの使用量削減が可能な LIMEX Sheetの環境性能が評価され、採用に至りまし た。 *推定に基づく概算値であり、保証値ではありません。製造条件等に応じて、数値変更の可能性があります。 また、温室効果ガス(GHG)排出量や石油由来プラスチックの使用量は、今後のグレード追加や変更等により変動する可能性があります。 GHG排出量 約9%削減* プラスチック使用量 約40%削減* GHG排出量 約24%削減* プラスチック使用量 約26%削減* GHG排出量 約 34%削減* プラスチック使用量 約34%削減* サステナビリティ推進 /
  35. TBM Sustainability Report 2025 39 外部イニシアティブと外部評価 マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|Go Carbon

    Negative 外部イニシアティブ Science Based Targets initiative(SBTi) 当社は、世界の平均気温の上昇を1.5℃に抑えるという 目標の達成に向けて、温室効果ガスの排出量削減につい て科学的知見に基づいた目標を設定し、SBTi認定を取 得しています。 The Climate Pledge 当社はAmazonとGlobal Optimismが立ち上げた 「気候変動対策に関する誓約」に署名し、2040年までに ネットゼロカーボンを達成することを公約しています。 GXリーグ GXリーグは、2050年カーボンニュートラル実現と社会 変革を見据えて、企業が官・学と共に協働する場です。当 社はGXリーグの基本構想への賛同を表明しています。 気候変動イニシアチブ 「脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」 という宣言に賛同し、LIMEXの普及を促進することで、 脱炭素社会の実現を目指します。 外部評価 CDP CDPは環境に関する情報開示を求める国際的な非営利団体です。 投資家や企業が環境リスクを理解し、持続可能な経営判断を行うた めの情報基盤として活用されています。現在すべての東証プライム 市場上場企業に対して回答が要請されていますが、当社も2017年 から毎年自主的に回答を続けています。2023年は「気候変動」「水 セキュリティ」においてともに8段階中、上から3番目に位置するB スコアに認定されました。 EcoVadis EcoVadis(エコバディス)は、企業のサステナビリティ(持続可能 性)に関する取り組みを評価する国際的な評価機関です。環境・労働 と人権・倫理・持続可能な調達の4つのテーマを基に、企業の社会的 責任(CSR)に関する活動をスコア化し、評価レポートとして提供し ます。この評価は、取引先や顧客との信頼関係を築くうえで重要な 要素となっており、世界中の多くの企業が取引先選定の基準として 活用しています。当社は昨年初めて評価され、コミットメントバッジ を獲得しました。 *EcoVadisによる評価結果は、バッジをクリック又はQRコードか ら閲覧が可能です。 Science Based Targets イ ニ シ ア テ ィ ブ ( SBTi ) と は| WWF ジ ャ パ ン サステナビリティ推進 / ダ イ ア グ ラ ム , ベ ン 図 表 AI に よ っ て 生 成 さ れ た コ ン テ ン ツ は 間 違 っ て い る 可 能 性 が あ り ま す 。
  36. TBM Sustainability Report 2025 40 環境負荷低減の可能性を追求するために コラム|LCAについて LCA(ライフサイクルアセスメント)とは、製品やサービス のライフサイクル全体またはその一部の環境影響を定量 的に評価する手法です。この手法は、温室効果ガス排出

    量などを数値化し、持続可能な意思決定の拠り所を提供 します。 Go Carbon Negativeの活動では、製品が環境に与 える影響をできる限り客観的に評価することが必要で す。そのため、当社ではLCAの取り組みに特に力を入れ ています。 なぜ当社はLCAに取り組むのか 2011年創業の当社は、環境負荷を抑えた素材開発等を 通じて社会課題の解決に挑んできました。その取り組み を支えるのが、環境影響の定量評価です。当社は、ISO 14040シリーズに準拠した製品・サービスのLCA(ライ フサイクルアセスメント)を行い、環境負荷低減の可能性 を追求しています。特に、製品の組成や製造プロセスな どの機密性の高い情報を要するLCAと、迅速な開発の 両立を目指す中で、LCAの内製化は不可欠なステップで した。 LCA推進の歩み 2018年、当社はLCAの内製化をスタートしました。特定 非営利活動法人 日本環境管理協会(JEMAI)や一般社 団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO)と協力し、 開発から販売までの全プロセスへのLCAの組み込みに 取り組んできました。2022年からはLCA日本フォーラ ムの「GHGの削減貢献量算定」や「プラスチックのリサイ クルを考えるII」の研究会に参画し、アカデミアとも連携 しながら最新のLCA知見を事業に反映しています。 専門性の強化と社外発信 当社は社内外での専門性向上を進めています。2024年 には、SuMPO主催の「LCAエキスパート養成塾」を通じ て1名が「LCAエキスパート」資格を取得し、組織内の知 見 を 拡 充 し ま し た 。 同 年 11 月 に は 、 日 本 LCA 学 会 (ILCAJ)主催の「EcoBalance 2024」に登壇。LCA 日本フォーラムの研究会への参加企業と共に、当社の LIMEX事業および資源循環事業におけるGHG削減貢 献量の成果を発表し、業界内外に向けて取り組みを発信 しました。 サステナビリティ推進 /
  37. TBM Sustainability Report 2025 41 組織文化としてのLCA コラム|LCAについて 先進的なInternal-PCRの取り組み 当社は、LIMEX製品のLCA評価をさらに進化させるた め、2024年に独自のInternal-PCR(プロダクトカテ

    ゴリールール)を策定し、SuMPOから承認を取得しまし た。この取り組みは、業界全体の標準化を見据えたもの で、この制度での初の承認事例の一つでした。これによ り、製品の環境価値を定量的かつ客観的に示す体制が強 化され、顧客への信頼性向上と環境負荷低減に関する訴 求力の強化につながりました。 社内へのLCA浸透と組織文化の醸成 当社はLCAを組織の共通言語として定着させるため、社 内教育に取り組んでいます。開発部門では製品設計にあ たってLCAを事前に実施できる体制づくりや開発プロセ スのゲート(関門)でのLCA評価結果のレビューを行って いる他、製造部門では工程がLCA結果に及ぼす影響を 解説し、日々の改善活動と環境影響のつながりが感じら れるようにしています。また、営業部門にはLCAを活用 した環境価値の訴求方法を研修することで、LCAを意思 決定や顧客提案の基盤としました。さらに、事例共有や 勉強会を通じて、全社的なLCAリテラシーの向上を図り、 環境視点での価値創出が組織文化として根付いていくこ とを目指しています。 環境性能の表示について LCAによって科学的かつ定量的に評価された環境負荷 を、当社の素材・製品を使用する事業者、消費者に対して、 正しく伝えるために、当社では環境省が定める「環境表 示ガイドライン」に則って情報開示に取り組んでいます。 また、ブランドガイドラインを定め、LIMEXロゴマーク等 の使用には事前の審査を設け、環境表示の適切な運用 体制を構築しています。 当社が開発した新素材「LIMEX」を使用し、製品全体で 炭酸カルシウムなど無機物が50%以上(重量比)含まれ る製品に使用可能な環境表示 当社が提供する炭酸カルシウムを配合した素材を使用し、 「プラスチックの使用量」、「CO₂を含む温室効果ガスの 排出量」の削減効果の見込みが、使用条件を満たす際に 表示できる環境ラベル サステナビリティ推進 /
  38. TBM Sustainability Report 2025 42 Go Circularでは数値目標として、2030年までに 100万トンのLIMEXとプラスチックを50カ国で循環 させることを掲げています。これは、2019年に日本国 内でマテリアルリサイクルされたプラスチックの量に相

    当します。 LIMEXの普及と資源循環量の増大 2024年のLIMEXとプラスチックの循環量40,229ト ンで2023年と比較して10%増加し、2030年目標の 達成率は4%となりました。 地球規模の資源循環への貢献 2024年のLIMEXとプラスチックの循環国数は前年と 同じ5カ国となり、2030年目標の達成率は10%とな りました。 0 200 400 600 800 1,000 2022年 2023年 2024年 2030年 LIMEXとプラスチックの循環量 単位:千トン 2030年目標 0 10 20 30 40 50 2022年 2023年 2024年 2030年 LIMEXとプラスチックの循環国数 単位:カ国 2030年目標 約 4万トン LIMEX・プラスチック 循環量 5カ国 LIMEX・プラスチック 循環国数 外部評価 東京都の「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業 (TOKYO SUTEAM)」の協定事業者である株式会社ソ ーシャル・エックスが提供する、官民共創型アクセラレーシ ョンプログラムにて、審査員特別賞に選ばれました。再生 材や再生原料の調達を支援するプラットフォーム「Maar 再生材調達」を通じて、再生材を活用した地域産業の発 展をテーマにした、日本初の「新たな地域インフラ」の提 案が評価されました。 資源循環型社会の実現を目指して マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|Go Circular サステナビリティ推進 /
  39. TBM Sustainability Report 2025 43 資源循環型社会の実現に向けた取り組み マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|Go Circular

    清水建設と協業、再生材由来の カラーコーンを再製品化 清水建設株式会社と協業し、建築現場におけるサーキュ ラー・エコノミーの推進を目的に、再生材由来のカラーコ ーンを再製品化しました。今回の取り組みは、清水建設 主催の2022年度アクセラレータープログラム「SHIMZ NEXT」にて、当社が採択企業に選定されたことで実現 した協業事例です。清水建設が施工を手掛けた物流施設 (神奈川県相模原市)の建設現場で使用された外壁保護 フィルムの残材を回収、当社が運営する横須賀サーキュ ラー工場にて再資源化し、再生材由来のカラーコーンを 500個製作しました。カラーコーンは完成した物流施設 で使用されています。 宅配水「クリクラ」の空きボトルを ボールペンに再製品化 株式会社ナックが展開する宅配水「クリクラ」の空きボト ルを回収・再資源化し、マテリアルリサイクルを通じてボ ールペンに再製品化しました。当社が提供するトレーサビ リティ情報等を付与した再生材や再生原料の調達プラッ トフォーム「Maar 再生材調達」のDPP*を活用し、再生 材含有率や原料から再製品化までのトレーサビリティを 可視化するなど、環境性、循環性の訴求に取り組みまし た。ボールペンは、国内外の教育支援施設等へ寄贈され る予定です。 *DPP (デジタルプロダクトパスポート)とは、原材料からリサイクルに至るまでの製品のライフサイクル全体にアクセスできる電子的な記録で、製造とそのサプライチェ ーンに関するデータを収集し、バリューチェーン全体で共有した上で、製品や材料を購買することを目的としています。 サステナビリティ推進 /
  40. TBM Sustainability Report 2025 44 ブランド価値の向上と事業提携の拡大 マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|意義のあるイノベーション 豊かな地球を引き継ぐ新技術の開発

    知財管理 当社は知的財産を「豊かな地球を引き継ぐ技術の礎」と 捉え、その管理体制を強化しています。保有する特許権 等、知的財産を戦略的に活用するための基盤整備を進め ています。 まず、質的評価に基づく保有権利の棚卸を継続的に実施 し、既存技術から得られる価値の最大化や、価値の高い 技術への経営資源の集中を実現する体制を構築しまし た。 また、知的財産に関する情報の一元管理、申請・承認フロ ーのデジタル化、外部委託手続きの一部内製化を推進し、 権利情報の把握と意思決定の迅速化を実現しました。こ れらの取り組みにより当社製品の技術・ブランド価値の 最大化とイノベーションの加速、持続的な企業価値の向 上を実現していきます。 新規事業の開発・事業提携カーボンニュートラル達成に 向けて「カーボンクレジット」の創出・流通を推進する 株式会社バイウィルと業務提携 株式会社バイウィルは、日本のカーボンニュートラル達成 に貢献することを目指し、カーボンクレジットの活用を促 すことで全国各地の地域脱炭素に取り組んでいます。両 社が事業を通じて培ってきた「環境価値と経済価値の循 環」に関するノウハウやサービスを活かし、カーボンクレ ジット市場、資源循環市場の活性化に寄与する取り組み を連携します。 株式会社フォーステックとサーキュラー・エコノミーの 実現に向けて戦略的業務提携 株式会社フォーステックは「循環する力を」を事業理念と して掲げ、IoTスマートゴミ箱「SmaGO」の設置、普及を 通じて、「誰もが心地よく過ごせる良好な都市環境の実 現」「ゴミ回収の効率化」「ゴミ回収車の運行頻度低減に よるCO 2 削減効果」など、行政、企業、街の人々が一体と なって複層的な社会的インパクトを創出する取り組みを 推進しています。相互送客や製品の代理販売を通じて、 LIMEX な ど を 使 用 し た 環 境 配 慮 型 製 品 の 普 及 と 「SmaGO」の設置拡大を同時に加速させます。 ※株式会社フォーステックのIoTゴミ箱「SmaGO」のラッピングシートにはLIMEX Sheet、ゴミ袋には「LimeAir Bag」が使用されています。 253(+24) 特許保有数(国内外含む) 52カ国(±0) 特許保有国数 サステナビリティ推進 / 括弧内は前年差
  41. TBM Sustainability Report 2025 45 全国に広がる自治体との連携 マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|意義のあるイノベーション 自治体との連携

    当社は全国各地の自治体と連携して、プラスチックの資 源循環の促進やLIMEXなどの環境配慮型素材の活用な どに取り組んでいます。2023年には経済産業省が製作 する行政職員向け資料「行政との連携実績のあるスター トアップ100選」の環境部門にTBMが掲載されました。 直近では、新たに宮城県多賀城市、愛知県豊田市、大阪 府泉佐野市と連携・協業を開始しました。今後も自治体 との連携をさらに進め、持続可能な社会の実現を目指し ていきます。 多賀城市との持続可能なまちづくりに 関する包括連携協定 多賀城市とは持続可能なまちづくりに関する包括連携協 定を締結しました。「ゼロカーボンシティ」の実現を目指し た地球温暖化対策をはじめとする取り組みを強化すると ともに、市内企業や起業家とのビジネスマッチングや新 事業の創出等によって、経済・社会・環境が好循環する持 続可能なまちづくりを推進していきます。 豊田市との「Maar再生材調達」を活用した実証実験 豊田市とは、当社が提供している再生材や再生原料の調 達を支援するプラットフォーム「Maar再生材調達」を活 用した実証実験を開始しました。当社が参画する「豊田市 つながる社会実証推進協議会」の取り組みとして、豊田 市内の企業に対して、安定した再生材の調達や販売を支 援し、地域産業の発展に寄与する資源循環のインフラ構 築を目的としています。 泉佐野市からのサーキュラーエコノミー推進実証 プロジェクト業務受託 泉佐野市では、これまで容器包装プラスチックとして排 出されていたペットボトルキャップを市内の小学校や市 役所窓口にて回収し、新たな製品の原料として活用する ことを目指します。泉佐野市が目指している廃棄物の減 量化と再資源化に向けて、廃プラスチックの資源循環の 高度化を図る地域資源循環モデルを構築していきます。 サステナビリティ推進 / 2024年 多賀城市と持続可能なまちづくり に関する包括連携協定 2025年 豊田市と再生材プラットフォーム 「Maar再生材調達」を活用した実証実験で 協業 2025年 泉佐野市のサーキュラーエコノミ ー推進実証プロジェクト業務を採択 2018年 鯖江市、慶応義塾大学大学院メディ アデザイン研究科共にSDGs への貢献を目指 す相互連携協定 2021年 京丹後市と経済・社会・環境が好循環 する持続可能なまちづくりとSDGsに貢献する 包括連携協定 2019年 横浜市と循環型イノベーションに向け た連携協定 2022年 横須賀市と連携し、「プラ新法」にお ける大臣認定を取得 2019年 神奈川県葉山町と環境配慮型の素材 活用に向けた包括連携協定
  42. TBM Sustainability Report 2025 46 パートナーとの協働と外部への発信 マテリアリティ②TBM Pledge 2030の達成|意義のあるイノベーション ルールメイキングへの関与

    資源循環協議会の活動 一般社団法人資源循環協議会は、サーキュラーエコノミ ーや気候変動対策を推進するスタートアップや中小・大 企業等のリーディングカンパニー、自治体、有識者、省庁、 関連団体等パートナーと協働する団体で、 2023年8月 に設立され、当社が事務局を運営しています。2023年 末に110だった会員数は2024年12月末時点で230 に達しました。 2024年は、会員向けのオンラインセミナーやマテリアル リサイクル工場の見学、メールマガジンの配信などを実 施し、会員同士の交流機会を設けるとともに、会員の新 規事業創出やネットワークの拡大を目的とした官公庁や 外部団体との連携を進めました。 行動変容を促す発信 当社では様々なイベントにおいて登壇し、当社の理念や 目指す世界について継続的に発信をしています。2024 年の主な登壇は右の通りです。 J-Startup Hour (経済産業省主催、2024年2月22日) インパクトフォーラム (インパクトコンソーシアム主催、2024年5月16日) Sushi Tech Tokyo 2024 Global Startup Program (東京都主催、2024年5月15~16日) VIVA TECHNOLOGY 2024 (PUBLICIS GROUPE / Groupe Les Echos Le Parisien主催、 2024年5月22~25日) 第6回カーボンリサイクル産学官国際会議2024 (経済産業省、NEDO主催、2024年10月11日) EcoBalance 2024 (日本ライフサイクルアセスメント協会主催、2024年11月4~6日) マッチングピッチ 2024 (内閣府主催、2024年11月28日) 230(+120) 資源循環協議会会員数 2024年末 17回 対外イベントへの登壇回数 サステナビリティ推進 / 括弧内は前年差
  43. TBM Sustainability Report 2025 48 会社概要 Appendix 社名 株式会社TBM 代表取締役CEO

    山﨑 敦義 設立年月日 2011年8月30日 資本金 1億円(資本準備金含み、120億3,546万円 / 2023年12月末時点) 社員数 312名(うち正社員 264名 / 2024年12月末時点) 事業内容 環境配慮型の素材開発及び製品の製造、販売、資源循環を促進する事業等 事業所 東京本社 〒100-0006 東京都千代田区有楽町1-2-2 東宝日比谷ビル15F テクノロジーセンター 〒116-0001 東京都荒川区町屋1-38-16 Jプロ町屋ビル1F(ラボ)/ 2F(受付) 神奈川オフィス 〒131-0015 神奈川県横浜市中区尾上3-35 横浜第一有楽ビル3F 名古屋オフィス 〒450-6411 愛知県名古屋市中村区名駅3-28-12 大名古屋ビルヂング11F 大阪オフィス 〒532-0011 大阪府大阪市淀川区西中島6-1-1 新大阪プライムタワー20F 福岡オフィス 〒812-0011 福岡県福岡市博多区博多駅前2-1-1 福岡朝日ビル1・2階 東北LIMEX工場 〒985-0874 宮城県多賀城市八幡字一本柳117-13 横須賀サーキュラー工場 〒239-0832 神奈川県横須賀市神明58-9 国内グループ会社 Bioworks株式会社 〒619-0237 京都府相楽郡精華町光台1-7 けいはんなプラザラボ棟7F 海外子会社 TBM VN Co.,Ltd 4F, NO3-T7 Building, Ngoai Giao Doan Area, Xuan Tao Ward, Bac Tu Liem District, Ha Noi, Viet Nam SK TBMGEOSTONE Co.,Ltd 27, Godeung 1-gil, Iwol-myeon, Jincheon-gun, Chungcheongbuk-do, Korea Times Bridge Management 8605 Santa Monica Blvd 80071, West Hollywood, CA, 90069-4109, Global, Inc United States Appendix /
  44. TBM Sustainability Report 2025 49 コーポレートロゴ Appendix TBMのコーポレートロゴは、 新企業理念体系「TBM Compass」のシンボルとして2020年に策定されました。

    それぞれのアルファベットのデザインには意味が込められています。 T 非シンメトリーによる水平の動き・未来への時の流れ B メビウス形による循環(サステナビリティ)・無限性 M V形の軌跡を描く達成・イノベーションによる発展 TBM(Times Bridge Management)のロゴデザインは、動きのある現代性と安定 感のある伝統要素、日本的なモチーフとアルファベットの融合により、永続性と国際性 を備えた未来への架け橋となるTBMのミッションを象徴する事が意図されています。 デザイン Clouds Architecture Office 曽野正之/オスタップ・ルダケヴィッチ ニューヨークを拠点に建築・アート・サイエンスの知見を融合する創造性に特化したデザ イン手法により文化施設・パブリックアートから宇宙建築に及ぶ設計に携わる。2005年 ニューヨーク・スタテンアイランド9.11メモリアル国際コンペ優勝作品により米国建築家 協会公共建築賞。2015年NASA火星住居国際設計コンペ優勝。2016年米国建築家 協会インテリア栄誉賞等。2013年プラット美術大学建築学部客員教授。 TBMという社名は「Times Bridge Management」の頭文字から来ています。 コーポレートロゴに込められた当社のありたい姿、そのストーリーをご紹介します。 Photograph © Akiko Ichikawa Appendix /
  45. TBM Sustainability Report 2025 50 直近の外部評価とイニシアティブ Appendix 直近の外部評価 J-Startup Impact

    社会的・環境的課題の解決や新たなビジョンの実現と持続的な経済成長 をともに目指すインパクトスタートアップのロールモデルと期待される 30社のうちの1社として、経済産業省より選出されました。 東京金融賞 2023 東京都が主催する「東京金融賞2023」において、ESG投資の普及や SDGsの実践で優れた企業としてESG投資部門を受賞しました。 TiE Global Award 世界に与える影響力や将来への貢献可能性を基準に受賞者が選出され る ア メ リ カ 発 祥 の ビ ジ ネ ス ア ワ ー ド 「 TiE Global Award 」 の 「Sustainability Excellence Award」を当社及び代表取締役CEO の山﨑が受賞しました。 外部イニシアティブ 当社は、グローバル規模の課題を解決し持続的な社会を実現するために も、国内外の様々なイニシアティブに賛同・参画し、グローバル社会の一 員として課題解決に積極的に役割を果たしていきます。 世界経済フォーラム(ダボス会議) 当社は世界経済フォーラムのユニコーン・コミュニティの一員として参画、 他企業と活発な意見交換を通じて、地球規模の課題に対しての解決策を 提言していきます。 一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連) サステナブルな社会の実現に向けて、グローバルでの事業展開を加速し、 会員の企業や団体とのネットワークを構築しながら、活動に積極的に参 加しています。 インパクトスタートアップ協会 当社はインパクトスタートアップ協会の設立時から正会員として加盟して います。他の会員企業と共に社会課題の解決と持続可能な成長の両立を 目指します。 ロ ゴ 画 像 1 官 民 に よ る イ ン パ ク ト ス タ ー ト ア ッ プ 育 成 支 援 プ ロ グ ラ ム 「 J-Startup Impact 」 を 設 立 | J-Startup Appendix /
  46. TBM Sustainability Report 2025 51 レポートに関する情報と改訂履歴 Appendix レポートの第三者保証について 当社では、本レポートに掲載されるGHG排出量排出量等について、外部機関等第三者による保証を受けていません。今後、第三者保証を受けることを検討していきます。 使用フォントについて

    本レポートには、ユニバーサルデザインフォント、「BIZ UDPGothic」を使用しています。 ユニバーサルデザインフォントは、年齢や障がいの有無にかかわらず、誰もが読みやすいように工夫して設計されたフォントです。 ユニバーサルデザインの理念に基づき、すべての読者にとって利用しやすい情報提供を目指していきます。 改訂履歴 Appendix / Version 日付 改訂内容 1.0 2025年5月30日 Version 1.0 発行
  47. TBM Sustainability Report 2025 53 GHG排出量 ESG情報 E(環境) ※数値は別途記載がない限り、2024年度の実績または2024年12月末時点のものです。 *Scope

    3 / Category 12 において、2024年から新たに資源循環事業を算定範囲の対象としました。 単位 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 Scope 1 t-CO2eq 475 512 463 447 242 Scope 2 t-CO2eq 742 1,326 232 110 109 ロケーション基準 t-CO2eq 1,018 1,988 2,547 4,125 4,316 合計 t-CO2eq 1,217 1,838 695 557 350 Scope 3 Category 1 購入した製品・サービス t-CO2eq 4,218 7,358 11,284 13,787 19,128 Category 2 資本財 t-CO2eq 14,696 27,318 1,143 1,479 1,570 Category 3 燃料及びエネルギー活動 t-CO2eq 284 454 514 817 737 Category 4 輸送、配送(上流) t-CO2eq 312 194 272 646 2,925 Category 5 事業から出る廃棄物 t-CO2eq 250 247 145 2,863 2,754 Category 6 出張 t-CO2eq 25 40 63 188 236 Category 7 雇用者の通勤 t-CO2eq 53 77 62 106 111 Category 8 リース資産(上流) t-CO2eq - - - - - Category 9 輸送、配送(下流) t-CO2eq 57 43 113 244 1,208 Category 10 販売した製品の加工 t-CO2eq - - - - - Category 11 販売した製品の使用 t-CO2eq - - - - - Category 12 販売した製品の廃棄 t-CO2eq 478 1,245 3,444 9,607 89,758* Category 13 リース資産(下流) t-CO2eq - - - - - Category 14 フランチャイズ t-CO2eq - - - - - Category 15 投資 t-CO2eq - - - - - 合計 t-CO2eq 20,372 36,977 17,040 29,736 118,427 合計 t-CO2eq 21,589 38,814 17,735 30,293 118,777 GHG排出削減貢献量* t-CO2eq - - - 8,639 11,494 Databook /
  48. TBM Sustainability Report 2025 54 GHG排出量 Scope 3の算定方法 ESG情報 E(環境)

    算定方法 Category 1 購入した製品・サービス GHG排出量 = Σ { (自社が購入・取得した製品またはサービスの物量・金額データ) × (排出原単位※) } ※インベントリデータベースIDEA Ver3.2 重質炭酸カルシウ ムについては、インベントリデータベースIDEA Ver3.2をもとに独自に計算、CCU炭酸カルシウムについてはサプライヤーからの報告値を反映 Category 2 資本財 GHG排出量 = Σ { (新たに取得した資本財の価格 (建設費用)) × (排出原単位※) } ※サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単 位データベース(Ver3.1)(環境省) Category 3 燃料及びエネルギー活動 GHG排出量 = Σ { (自社が購入したエネルギーの物量データ) × (排出原単位※) } ※インベントリデータベースIDEA Ver3.2 Category 4 輸送、配送(上流) GHG排出量 = Σ{ (輸送トンキロ) × (排出原単位※) } ※インベントリデータベースIDEA Ver3.2 輸送距離は、国内輸送については一律500km、海上輸送について は一律4,781kmと仮定して計算 Category 5 事業から出る廃棄物 GHG排出量 = Σ { (廃棄物種類・処理方法別の廃棄物処理・リサイクル量) × (廃棄物種類・処理方法別の排出原単位※) } ※インベントリデータベースIDEA Ver3.2 排出原単位は、廃棄物の種類別・処理方法別に設定 Category 6 出張 GHG排出量 = (移動手段別) Σ { (交通費支給額) × (排出原単位※) } ※交通機関についてはサプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排 出原単位データベース(Ver3.1)(環境省)、宿泊についてはインベントリデータベースIDEA Ver3.2 Category 7 雇用者の通勤 GHG排出量 = (移動手段別) Σ { (交通費支給額) × (排出原単位※) } ※サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベー ス(Ver3.1)(環境省) Category 8 リース資産(上流) (関連性なし)当社では、上流のリース資産を保有していないため、本カテゴリは関連性がないと判断しています。 Category 9 輸送、配送(下流) GHG排出量 = Σ{ (輸送トンキロ) × (排出原単位※) } ※インベントリデータベースIDEA Ver3.2 国内輸送については一律500km、海上輸送については一律 4,781kmと仮定して計算 Category 10 販売した製品の加工 (関連性なし)当社の製品の多くは中間材料であり、最終製品の顧客や用途に関する信頼できるデータを得ることは困難です。WBCSDの「化学業界のバリューチェーンに おける企業のGHG排出量算定および報告に関するガイダンス」において「用途及び顧客構成が多様であることにより信頼性のある数字を入手することが困難であるため、 化学会社にはスコープ3カテゴリー10排出量を報告する義務がない」と記載されている条項に従い、本カテゴリには関連性がないと判断しています。 Category 11 販売した製品の使用 (関連性なし)当社が販売する製品は使用時にエネルギーを必要としないため使用中に排出されるGHG排出量はありません。よって本カテゴリは関連性がないと判断して います。 Category 12 販売した製品の廃棄 GHG排出量 = Σ { (廃棄物種類・処理方法別の廃棄物処理・リサイクル量) × (廃棄物種類・処理方法別の排出原単位※) } ※インベントリデータベースIDEA Ver3.2 出荷量の50%が一般廃棄物、残りの50%が産業廃棄物として焼却されたと仮定して計算 Category 13 リース資産(下流) (関連性なし)当社では下流のリース資産を保有していないため、本カテゴリは関連性がないと判断しています。 Category 14 フランチャイズ (関連性なし)当社にはフランチャイズ事業はないため、本カテゴリは関連性がないと判断しています。 Category 15 投資 (関連性なし)当社の主たるビジネスは金融業ではないため、本カテゴリは関連性がないと判断しています。 Databook /
  49. TBM Sustainability Report 2025 55 エネルギー/水使用量/認証/評価 ESG情報 E(環境) 単位 2020年

    2021年 2022年 2023年 2024年 エネルギー使用量 購入電力 MWh 2,287 4,544 5,776 9,358 9,743 熱 MWh換算 0 101 166 155 0 ガソリン・軽油・灯油 MWh換算 107 148 145 163 73 都市ガス・LPG MWh換算 2,134 2,362 2,176 2,151 1,336 合計 MWh換算 4,529 7,155 8,263 11,827 11,144 再生可能エネルギー電力比率 % 33 37 93 98 98 水資源 総取水量 上水道および工業用水 ㎥ 5,340 9,675 11,381 12,912 13,676 地下水 ㎥ 0 0 148 19,865 41,633 合計 ㎥ 5,340 9,675 11,529 32,777 55,309 総排水量 下水道への排水 ㎥ 2,684 7,077 8,654 29,504 47,673 産業廃棄物として処理 ㎥ 68 248 248 215 136 河川への排水 ㎥ 2,511 1,776 1,905 2,789 68 合計 ㎥ 5,263 9,102 10,806 32,508 47,877 総消費量 ㎥ 77 573 723 269 7,432 ISO14001認証取得済み事業所数 事業所数 0 0 0 0 4 CDP回答スコア 気候変動 - B B B B - 水セキュリティ - B B B B - LIMEXとプラスチック 循環量 t - - 17,968 36,692 40,229 循環国数 カ国 - - 3 5 5 Databook /
  50. TBM Sustainability Report 2025 56 プラスチック循環量/産業廃棄物 ESG情報 E(環境) ※原材料には横須賀サーキュラー工場で引き受けているプラスチック製容器包装等は含まれていません。 ※産業廃棄物には横須賀サーキュラー工場で発生する残渣が含まれています。

    単位 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 原材料 仕入量 プラスチック類 t - 643 1,067 1,035 828 化学物質 t - 54 62 53 23 産業廃棄物 発生量 廃プラスチック類 t - 515 201 4,747 7,078 廃油 t - 3 3 28 9 汚泥 t - 177 200 370 574 廃金属 t - 0 8 2 0 木くず t - 0 33 0 4 廃酸 t - 76 56 43 4 鉄くず t - 0 0 0 0 合計 t - 771 501 5,190 7,668 再資源化量 廃プラスチック類 t - 514 201 4,747 7,078 廃油 t - 3 3 28 9 汚泥 t - 174 195 369 574 廃金属 t - 0 8 2 0 木くず t - 0 33 0 4 廃酸 t - 76 56 43 4 鉄くず t - 0 0 0 0 合計 t - 769 496 5,189 7,668 合計 焼却 t 0 2 5 1 0 再資源化 t 372 769 496 5,189 7,668 不明 t 0 1 0 0 0 合計 t 372 771 501 5,190 7,668 再資源化率 % 100.0 99.7 99.0 99.9 100.0 Databook /
  51. TBM Sustainability Report 2025 57 従業員情報/エンゲージメント/多様性 ESG情報 S(社会) 単位 2020年

    2021年 2022年 2023年 2024年 従業員 従業員数 正社員 人 177 214 254 273 264 正社員以外 人 15 25 30 45 48 女性 人 42 61 76 85 87 男性 人 150 178 208 233 225 20代 人 47 55 50 65 59 30代 人 90 109 124 128 120 40代 人 32 49 72 79 81 50代 人 21 24 32 35 44 60代以上 人 2 2 6 11 8 合計 人 192 239 284 318 312 平均年齢 女性 才 33.4 34.3 35.6 35.9 36.9 男性 才 37.1 37.5 39.0 39.3 39.8 合計 才 36.3 36.7 38.1 38.4 39.0 やりがい エンゲージメントスコア(5点満点/上期・下期の平均) 点 - - - 3.9 3.7 多様性 女性比率 女性従業員比率 % 21.9 25.5 26.8 26.7 27.9 女性管理職比率 % - - 4.8 10.3 10.9 女性取締役比率 % 20.0 25.0 男女賃金差異 全体 % - - - 71.9 69.0 正規 % - - - 84.3 84.2 非正規 % - - - 51.9 54.1 障がい者雇用比率 % 1.4 0.6 0.7 1.8 2.4 (法定雇用率) % (2.2) (2.3) (2.3) (2.3) (2.5) Databook /
  52. TBM Sustainability Report 2025 58 働き方/労働安全衛生/コンプライアンス違反/知的財産 ESG情報 S(社会) *1 度数率/強度率平均値

    厚生労働省 労働災害動向調査(事業所調査(事業所規模100人以上)及び総合工事業調査)の状況 より *2 公益社団法人全国産業資源循環連合会 産業廃棄物処理業における労働災害の発生状況(令和6年6月) より 単位 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 働き方 月平均残業時間 時間 - - 14.7 14.9 15.0 年次有休休暇 年次有給休暇取得率 % - 55 63 63 65 平均取得日数 日 - 7.2 8.0 8.1 8.3 育児休業 女性の育児休業割合 % - - 100.0 100.0 100.0 女性の育児休業平均日数 日 - - 212 127 156 男性の育児休業割合 % - - - 40.0 58.3 男性の育児休業平均日数 日 - - - 13 45 労働安全衛生 労働災害発生件数 件 0 2 2 11 8 うち死亡 件 0 0 0 0 0 うち休業災害 件 0 0 0 0 3 度数率 - 0.00 0.00 0.00 0.00 5.10 (製造業平均・事業規模100人以上)*1 - (1.21) (1.31) (1.25) (1.29) - (一般・産業廃棄物処理業平均・事業規模100人以上)*2 - (6.95) (7.36) (6.52) (6.42) - 強度率 - 0.00 0.00 0.00 0.00 0.15 (製造業平均・事業規模100人以上)*1 - (0.07) (0.06) (0.08) (0.08) - (一般・産業廃棄物処理業平均・事業規模100人以上)*2 - (0.48) (0.17) (0.51) (0.18) - 定期健康診断受診率 % - - - 94 93 ストレスチェック受検率 % - - - 86 83 知的財産 保有特許(国内・海外)件数 件 121 140 181 229 253 特許保有国数 カ国 41 44 46 52 52 Databook /
  53. TBM Sustainability Report 2025 59 役員の多様性 ESG情報 G(ガバナンス) 単位 2020年

    2021年 2022年 2023年 2024年 取締役会 社内 女性 人 0 0 0 0 0 男性 人 5 6 5 4 3 合計 人 5 6 5 4 3 社外 女性 人 0 0 2 2 2 男性 人 2 4 3 4 3 合計 人 2 4 5 6 5 合計 人 7 10 10 10 8 社外比率 % 28.6 40.0 60.0 60.0 62.5 女性比率 % 0.0 0.0 20.0 20.0 25.0 監査役会 社内 女性 人 0 0 0 0 0 男性 人 0 0 0 0 0 合計 人 0 0 0 0 0 社外 女性 人 0 0 0 0 0 男性 人 3 3 3 3 3 合計 人 3 3 3 3 3 合計 人 3 3 3 3 3 社外比率 % 100.0 100.0 100.0 100.0 100.0 女性比率 % 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 執行役員 女性 人 0 0 0 0 0 男性 人 3 4 4 7 9 合計 人 3 4 4 7 9 女性比率 % 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 Databook /