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AI Coding の次は何を目指すべき?組織で整備していくべき AI インフラ

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August 04, 2025
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AI Coding の次は何を目指すべき?組織で整備していくべき AI インフラ

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August 04, 2025
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  1. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 2 自己紹介 • 株式会社キカガク

    • 普段は Next.js, NestJS, PostgreSQL など • toB 向けプロダクトの開発してます • 2人の子どもに囲まれコーディングしてます • Zenn 主催の AI Agent Hackathon で受賞しました @tetsuro_b
  2. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 5 アジェンダ 1 2

    3 課題の問いかけ Claude Code がもたらした価値とその影 組織で整備していくべき AI インフラ
  3. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 6 ©2017-2025 kikagaku, Inc.

    All Rights Reserved. 6 実装は早くなったけど 価値提供までのスピードも上がっている?
  4. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 7 Claude Code がもたらした価値

    ▪ Claude Code 以前 ・モデルを Rules で縛りあげ、人間が操縦可能な状態にする ・→ 新規プロダクトや Vibe Coding では圧倒的な生産性を手に入れる ・しかし、既存プロダクトの複雑な仕様やコードベースには対応がむずかしい ▪ Claude Code 以後 ・モデルの挙動チューニングは Claude Code に内包。 ・→ 既存プロダクトへの対応力が格段にアップ ・価値提供までのスピードも格段にアップ!(ホント?)
  5. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 8 Claude Code 以後の世界で見えた課題

    ・小さなバグ改修は劇的にスピードが上がっている ・それ以外の機能開発では.. リ リ ー ス 作 業 • PR が増えたことでリリー スの頻度が増えた • = PR レビューやその他に 使う時間が相対的に減る • ※ リリーストラブルによる 対応も増える レ ビ ュ ー • レビュー自体の工数はそこ まで変わっていない • ※ AI レビューは大幅な工 数削減に繋がりにくい • むしろ PR が増えたことに より、レビュー待ちの時間 が増えた • commit するスピードと量 が上がった • それと比例して CI を通す タイミングも増えた • 結果的に 1 日の中で CI を 待つ時間が増えた CI(Test, Lint)
  6. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 9 ツール(LLM)の進化はすべての課題を解決しない • AI

    ツールや LLM は私たちが何も努力しなくても日々進化していく • コーディングのスピードや品質はこれからも上がり続ける • しかし、LLM の性能向上の恩恵を受けない部分は勝手に進化しない • = その部分こそ組織で改善していくべき課題 「コーディング 10 → 11 に上げる努力」は引き続き + 「それ以外を 5 → 8 に上げる努力」に注力する
  7. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 10 ツール(LLM)の進化はすべての課題を解決しない 要件定義 設計

    実装 レビュー リリース コーディング部分のツール導入&改善は楽しい。 が、コーディングという開発の1プロセスだけに注目するのではなく 開発工程の最初から最後まで見通し、ボトルネックを発見し アプローチしていくことが重要である = 特に AI の進化による恩恵を受けにくい箇所は重点的にフォロー
  8. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 11 ©2017-2025 kikagaku, Inc.

    All Rights Reserved. 11 実装は早くなったけど 価値提供までのスピードも上がっている?
  9. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 12 組織で整備していくべき AI インフラ

    1 2 3 4 デザイナーコミュニケーション 各種 CI コードレビュー リリース 要件定義 設計 実装 レビュー リリース 1 2 3 4 どの組織にも転用できる考え + 弊社の取り組みも紹介
  10. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 13 ©2017-2025 kikagaku, Inc.

    All Rights Reserved. 13 デザイナーコミュニケーション
  11. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 14 デザイナーコミュニケーション ▪ 課題

    • 要件定義もコーディングもエンジニアの作業は加速し続けている • その中間に位置するデザイナー領域においてはエンジニアほどの進化がない • 進化がない = 精度高く生産性が上げられるツールがない デザイナーのアウトプットスピードの向上 = プロダクトの価値提供スピードを上げる要因になりえる 要件定義 デザイン 実装
  12. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 15 コードの垣根を超えたエンジニアとデザイナーの協業 ▪ デザイナーも

    Cursor を使える環境整備 • モックデザイン程度なら Cursor でいくつかパターン出しは即時可能 • 仕様調整でもその場ですぐにイメージを固められる • 従来の「持ち帰り→ FB → 修正…」の所要時間を短縮 ▪ デザイナーが PR を出せる環境整備 • デザインシステム改修時の反映は Devin を使いデザイナーが行う • 従来エンジニアに指示を出していた先が Devin に置き換わるイメージ • これまではエンジニア側のリソース調整をしたうえでの反映になっていたがスピード感持ってより 統一感のあるプロダクトデザインを提供可能に • 先月はデザイナーチームだけで 15 個のプロダクト改善(PR)を実施済み
  13. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 18 各種 CI の改善

    ▪ 課題 • AI はエディタから Lint や型エラーを都度汲み取って直してくれない • AI にそれらのエラーを伝えるには CLI でのコマンド実行が必須 • AI Coding ではコマンドの実行回数が従来よりも多いため「コマンドの実行回数 x 時間」が 生産性に顕著に現れる = これまで以上に CI のスピードが重要 • Claude Code の hooks で都度実行もできるが実行時間が長いとつらい… • (極論、コード生成都度実行しても支障がないレベルを目指したい) 実装 CI 実装 CI 実装 どれだけ AI Coding でアウトプットスピードが上がっても CI の待ち時間が長いと全体の時間は短縮されずらい
  14. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 19 各種 CI の改善

    ▪ Jest → Vitest • CI 実行時間が約半分になった(8min 前後 → 4min 前後) • レビュー修正後の再レビュー依頼の待ち時間も削減 ▪ ESLint/Prettier → Biome • 一部のカスタムルールが Biome に移行しずらい(できない)説があるのでまだ試せていない • 公式サイトには Prettier と比較して最大で 35 倍と記載がある • 世間のブログを読んでいるとそれ以上の結果も見かけたりする • 新規の環境では採用を積極的に検討していきたい
  15. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 21 コードレビューの改善 ▪ 課題

    • AI Coding によって生成されるコード量&PR 数が増えた • その分、人間のレビュー負担が増加。結果、レビュー渋滞が発生 • 各種 AI レビューツールもあれど一般的なレビューコメントも割合も多い • 単純に「AI レビューツールの導入 = レビュー工数の削減」とまでは言いづらい ▪ レビュー部分をどう改善していくか 主に以下の2軸でコードレビューは改善していく • AI 時代におけるレビュー観点の再整理 • ツールでのアプローチ
  16. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 22 ツールでのコードレビューへのアプローチ ▪ Devin

    によるコードレビュー • Devin によるコードレビューを入れたりしています • diff だけ見てレビューするのではなくリポジトリのドキュメントなど参照してからレビューしてくれる • Knowledge や Playbook など組織のルールのインプットもしやすい • 一般的な観点だけのレビュワー = 組織のレビュープロフェッショナルとして育成中… • コスト面でも人数毎の課金ではないので Devin を既に使っていたら導入しやすい ▪ Devin によるレビュー修正 • レビューではなくレビュー修正にも Devin を活用しています • PR に特定のラベルを付けたらレビューコメントに応じて Devin が自動でレビュー修正済みの PR 作成 • レビューワーはレビューコメントと PR をレビューイに投げるみたいな運用もできるので、PR 増加に 伴うレビュー修正渋滞も緩和できる • = マージまでのスピードアップに貢献
  17. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 24 リリースの改善 ▪ 課題

    • AI Coding によってマージされる PR が増加 = リリース時の QA 工数の増加 • AI Coding によって浮いた時間が結局リリース工数、加えてリリース増加に伴うトラブル対 応への工数に一部置き換わっているようにも見える • リリース作業自体をなくす or 完全 AI 自動化は現実的ではないので改善していく必要性あり • (CI/CD の整備は大前提)
  18. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 25 リリースの改善 ▪ リリース手順書の自動作成

    • リリース前にマージ PR に記載された QA 項目をリリース手順書に転記する作業が存在 • GitHub MCP を活用してその手順を自動化(5-10 分 → 1-2分 に削減) ▪ (これから)Playwright MCP を活用した QA 自動化 • 上記の QA 項目に対して自動で QA &結果報告(理想) • 現実的には信頼性の担保がむずかしいので、デザイン変更部分をスクショ→報告など一部の QA で活 用ができないか検証中 ▪ (これから) E2E テストの徹底した整備 • 既存機能の改修も増えたことで既存機能のデグレードの QA も都度手作業で実施する機会増 • 結果的にリリース工数の増加につながってしまっているのでこれまで以上に E2E を強化する • (実行時間とのトレードオフではるので E2E の実行タイミングもあわせて検討していく)
  19. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 26 まとめ • AI

    Coding だけに注力していては全体の生産性はあがらない • = 価値提供までのスピードは上がっていかない • どこを改善すれば AI Coding のアウトプットスピードをフル活用できるか考えることが重要 要件定義 設計 実装 レビュー リリース
  20. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 27 採用情報 株式会社キカガクでは様々なポジションでエンジニアを募集中です! Zenn

    もやっているので求人とあわせてみていただけたらうれしいですー! https://findy-code.io/companies/958/jobs https://zenn.dev/p/kikagaku
  21. ©2017-2025 kikagaku, Inc. All Rights Reserved. 28 参考資料 • コードの90%をAIが書く世界で何が待っているのか

    @r-kagaya (https://speakerdeck.com/rkaga/what-awaits-us-in-a-world-where-90-percent-of-the-code-is- written-by-ai) • AIの自律開発を目指して 〜Cursorを用いたドキュメント管理〜 @nambu (https://speakerdeck.com/gonambu/aiming-for-autonomous-development-of-ai)