Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Agentic Workflowという選択肢を考える
Search
takuya kikuchi
June 24, 2025
Technology
1
200
Agentic Workflowという選択肢を考える
2025-06-24 AIエージェント開発Night でのLT資料です。
takuya kikuchi
June 24, 2025
Tweet
Share
More Decks by takuya kikuchi
See All by takuya kikuchi
生成AI時代のソフトウェアエンジニアが持つべきケイパビリティを考える
tkikuchi1002
8
5.6k
RAGをテーマに考える、LLMの認知アーキテクチャとソフトウェア設計
tkikuchi1002
3
1.5k
生成AIの不確実性と向き合うためのオブジェクト指向設計
tkikuchi1002
3
7.1k
Azure AI SearchとPromptFlowではじめるRAG
tkikuchi1002
2
1.5k
法人向けChatGPTにおける Azure OpenAI Serviceの課題解決の過程と現在
tkikuchi1002
2
2.2k
LLMエンジニアリングを加速させるソフトウェアアーキテクチャ
tkikuchi1002
2
6.1k
WebAPIのバリデーションを、型の力でいい感じにする
tkikuchi1002
0
110
GoとDDDでモバイルオーダープラットフォームを 型安全に作り直した話
tkikuchi1002
0
130
Kotlinのcoroutine、async/awaitと同じでしょ?って思ってたけど意外と洗練されててすごいなぁって思った話をさせてほしい
tkikuchi1002
0
150
Other Decks in Technology
See All in Technology
Claude Code どこまでも/ Claude Code Everywhere
nwiizo
52
31k
IIWレポートからみるID業界で話題のMCP
fujie
0
620
What's new in OpenShift 4.19
redhatlivestreaming
1
460
Cloud Native Scalability for Internal Developer Platforms
hhiroshell
2
490
Observability в PHP без боли. Олег Мифле, тимлид Altenar
lamodatech
0
220
OTFSG勉強会 / Introduction to the History of Delta Lake + Iceberg
databricksjapan
0
110
評価の納得感を2段階高める「構造化フィードバック」
aloerina
1
280
VISITS_AIIoTビジネス共創ラボ登壇資料.pdf
iotcomjpadmin
0
140
Observability infrastructure behind the trillion-messages scale Kafka platform
lycorptech_jp
PRO
0
120
ハノーバーメッセ2025座談会.pdf
iotcomjpadmin
0
140
Oracle Audit Vault and Database Firewall 20 概要
oracle4engineer
PRO
2
1.6k
LinkX_GitHubを基点にした_AI時代のプロジェクトマネジメント.pdf
iotcomjpadmin
0
150
Featured
See All Featured
Adopting Sorbet at Scale
ufuk
77
9.4k
Building Adaptive Systems
keathley
43
2.6k
The Straight Up "How To Draw Better" Workshop
denniskardys
233
140k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
Balancing Empowerment & Direction
lara
1
330
Large-scale JavaScript Application Architecture
addyosmani
512
110k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
37
3.3k
How GitHub (no longer) Works
holman
314
140k
Building Applications with DynamoDB
mza
95
6.5k
Easily Structure & Communicate Ideas using Wireframe
afnizarnur
194
16k
Build your cross-platform service in a week with App Engine
jlugia
231
18k
Fight the Zombie Pattern Library - RWD Summit 2016
marcelosomers
233
17k
Transcript
© 2025 Algomatic inc. 菊池 琢弥 株式会社Algomatic ネオセールスカンパニーCTO 2025-06-24 AIエージェント開発
Night @_pochi Agentic Workflow という選択肢を考える
© 2025 Algomatic inc. 複数事業を同時多発的に展開する⽣成AIスタートアップです 今⽇は「ネオセールスカンパニー」での話をします Algomaticという会社からきました
© 2025 Algomatic inc. 菊池 琢弥 Kikuchi Takuya 株式会社Algomatic ネオセールスカンパニーCTO
フィンテックスタートアップにおいて、開発リードやVPoEとし て開発組織構築を担当したほか、モバイルオーダープラット フォームを⼿がけるShowcase GigではVPoTとして技術領域全 般を管掌。2024年、AlgomaticにカンパニーCTOとして参画 し、2025年に営業AIエージェント「アポドリ」をリリース。 ソフトウェア開発、設計、ドット絵が好き X: @_pochi
© 2025 Algomatic inc. 今年1⽉ 営業AIエージェント「アポドリ」リリース
© 2025 Algomatic inc. 今⽇のテーマ
© 2025 Algomatic inc. 今⽇のテーマ 「⾃律型エージェント」と「Agentic Workflow」 Agentic Workflowの構築ステップと開発のコツ
© 2025 Algomatic inc. ⾃律型エージェントとAgentic Workflow
© 2025 Algomatic inc. ⾃律型エージェント 知覚→判断→⾏動を⾃律的に回し、⽬的を達成する メリット 課題 • ⾼い柔軟性
• 初期実装コスト低 • 実⾏コストが⾼い • 結果の予測可能性が低 い • 利⽤においては試⾏錯 誤が前提となる
© 2025 Algomatic inc. Agentic Workflow あらかじめ設計されたワークフローを順に実⾏し、⽬的を達成する メリット 課題 •
ステップごとに精度担 保することで品質を保 ちやすい • 望ましい⼿順通りに実 ⾏することを保証でき る • 実装コスト⾼ • 柔軟性が低い
© 2025 Algomatic inc. 「⾃律型エージェント」と「Agentic Workflow」 機能開発 実装コスト ⭕ サクッと動かす分には簡単に作れる
🔺 ワークフローを設計した上での実装が必要 柔軟性、拡張容易性 ⭕ ツールやナレッジの追加、プロンプトの変更の みで機能拡張可能 🔺 実装の変更が必要になることが多い ガバナンス 出力の透明性担保 🔺 LLMの推論過程を示すくらい ⭕ 各ステップごとに評価を行い、精度を担保する ことで、ある程度担保可能 リスク制御 🔺 出力の正確性は担保できない 自律型エージェント Agentic Workflow ⾼い柔軟性とガバナンスのトレードオフ。ユースケースに合わせた選択が⼤事
© 2025 Algomatic inc. Agentic Workflowを選ぶべきユースケース ❶ 失敗が許されない • リスク許容度が低いタスク
• 「違ったらもう1回やればいい」で済まない ❷ 作業の型が決まっている • 効果的に成果を得るための⼿順が定まっているタスク
© 2025 Algomatic inc. アポドリはどうか 営業! お願い! 利⽤者の分⾝としてアプローチを⾏う → 失敗は許されない
© 2025 Algomatic inc. アポドリはどうか リスト 提供 企業情報収集 企業名や住所、URL情報からWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価
⼈物収集 企業の役員‧従業員の情報をWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価 1to1⽂章⽣成 企業情報、担当者情報を元に、ターゲットリストに最適なオリ ジナルの1to1メッセージを作成、評価 アプローチ実⾏ メール/問い合わせフォーム/SNS/⼿紙などのあらゆるチャネル からアプローチを実施 データ分析 どういった内容、業界、役職、部署へのアプローチが効果的で あったか分析し提⽰ アプローチ先 情報収集 連絡先、問い合わせフォームをWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価 アプローチまでの⾏動は、営業エキスパートの⾏動をトレース → 型が決まっている
© 2025 Algomatic inc. アポドリはどうか ❶ 失敗が許されない ❷ 作業の型が決まっている ↓
Agentic Workflow
© 2025 Algomatic inc. ⼤事なこと:⾃律型エージェントとAgentic Workflowは⼆者択⼀ではない アポドリにおいても、⾃律型エージェントがフィットするステップが存在する リスト 提供 企業情報収集
企業名や住所、URL情報からWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価 ⼈物収集 企業の役員‧従業員の情報をWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価 1to1⽂章⽣成 企業情報、担当者情報を元に、ターゲットリストに最適なオリ ジナルの1to1メッセージを作成、評価 アプローチ実⾏ メール/問い合わせフォーム/SNS/⼿紙などのあらゆるチャネル からアプローチを実施 データ分析 どういった内容、業界、役職、部署へのアプローチが効果的で あったか分析し提⽰ アプローチ先 情報収集 連絡先、問い合わせフォームをWeb‧独⾃DBを探索し、収集 収集したデータの加⼯や評価
© 2025 Algomatic inc. Agentic Workflowの構築プロセスとコツ
© 2025 Algomatic inc. Agentic Workflowの構築プロセス 1. まずは⼿動で業務を遂⾏する。 ワークフローの解像度を上げる &簡易的なツールを実装してAI化の検証
企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析
© 2025 Algomatic inc. 1. まずは⼿動で業務を遂⾏する。 ワークフローの解像度を上げる &簡易的なツールを実装してAI化の検証 2. ⼈⼿でやっていたステップを徐々にAI化。
100%の精度を⽬指さないことが⼤事 Agentic Workflowの構築プロセス 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析 AI化 AI化 AI化 AI化
© 2025 Algomatic inc. 1. まずは⼿動で業務を遂⾏する。 ワークフローの解像度を上げる &簡易的なツールを実装してAI化の検証 2. ⼈⼿でやっていたステップを徐々にAI化。
100%の精度を⽬指さないことが⼤事 3. ⾃動ワークフロー化し、⼈の介在を最⼩限に ステップごとの精度担保とガードレールが重要 Agentic Workflowの構築プロセス 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化
© 2025 Algomatic inc. 1. まずは⼿動で業務を遂⾏する。 ワークフローの解像度を上げる &簡易的なツールを実装してAI化の検証 2. ⼈⼿でやっていたステップを徐々にAI化。
100%の精度を⽬指さないことが⼤事 3. ⾃動ワークフロー化し、⼈の介在を最⼩限に ステップごとの精度担保とガードレールが重要 Agentic Workflowの構築プロセス 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化
© 2025 Algomatic inc. 1. まずは⼿動で業務を遂⾏する。 ワークフローの解像度を上げる &簡易的なツールを実装してAI化の検証 2. ⼈⼿でやっていたステップを徐々にAI化。
100%の精度を⽬指さないことが⼤事 3. ⾃動ワークフロー化し、⼈の介在を最⼩限に ステップごとの精度担保とガードレールが重要 Agentic Workflowの構築プロセス 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化
© 2025 Algomatic inc. AI化プロトタイピングのためのDify ドメインエキスパートの知⾒が⼤事。 Difyを利⽤して「ドメインエキスパートが直接プロトタイプ実装できる」環境を整備 エンジニア ドメインエキスパート プロンプト‧ワークフ
ローチューニング Difyプラグイン実装 アウトプット
© 2025 Algomatic inc. 1. まずは⼿動で業務を遂⾏する。 ワークフローの解像度を上げる &簡易的なツールを実装してAI化の検証 2. ⼈⼿でやっていたステップを徐々にAI化。
100%の精度を⽬指さないことが⼤事 3. ⾃動ワークフロー化し、⼈の介在を最⼩限に ステップごとの精度担保とガードレールが重要 Agentic Workflowの構築プロセス 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化
© 2025 Algomatic inc. 「100%の精度を⽬指さない」とは? インプットや世の中の情報は多様である。開発時点で全てのエラーパターンを網羅し、 「100%うまく動く」ステップは実装できない 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先
情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化 企業HPが⾒つからない 所属が複数あるが、 この⼈でいいだろうか ⽂章⽣成のために必要な 事業情報が⾒つからない …
© 2025 Algomatic inc. 「100%の精度を⽬指さない」とは? あらかじめ「うまくいかない可能性」を考慮してお く。 情報収集失敗だけでなく、「情報が薄くて⽂章の 品質が低い」というケースも想定しておき、その場 合も⼈間にフォールバックする
1to1⽂章⽣成 事業情報収集 (企業HP、IR等) 事業情報ベースに 1to1⽂章⽣成 ⼈間が別⼿段で 調査し、⽂章を作⽂ 収集失敗 作⽂失敗
© 2025 Algomatic inc. 1. まずは⼿動で業務を遂⾏する。 ワークフローの解像度を上げる &簡易的なツールを実装してAI化の検証 2. ⼈⼿でやっていたステップを徐々にAI化。
100%の精度を⽬指さないことが⼤事 3. ⾃動ワークフロー化し、⼈の介在を最⼩限に ステップごとの精度担保とガードレールが重要 Agentic Workflowの構築プロセス 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ データ分析 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化 AI化
© 2025 Algomatic inc. ステップごとの精度担保とガードレール • ワークフローにおける⼿前のステップの精度を最優先で担保する ◦ 後続ステップ全てに波及するため ◦
「⼈間チェック」も厭わず、気合いで精度を保つ ◦ アポドリにおいては「企業情報収集」がそれ • 「ここでミスったら取り返しつかない」 という処理の直前にガードレールを配置する ◦ ここが信頼度⾼く構築できれば、各ステップは カジュアルに変更‧改善できる ◦ ガードレールによるリジェクト数を精度指標にできる ◦ アポドリにおいては「メール送信」など 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ まずここの精度を最優先で 担保する ガードレールはここで 実施
© 2025 Algomatic inc. ステップごとの精度担保とガードレール • ワークフローにおける⼿前のステップの精度を最優先で担保する ◦ 後続ステップ全てに波及するため ◦
「⼈間チェック」も厭わず、気合いで精度を保つ ◦ アポドリにおいては「企業情報収集」がそれ • 「ここでミスったら取り返しつかない」 という処理の直前にガードレールを配置する ◦ ここが信頼度⾼く構築できれば、各ステップは カジュアルに変更‧改善できる ◦ ガードレールによるリジェクト数を精度指標にできる ◦ アポドリにおいては「メール送信」など 企業情報収集 ⼈物収集 アプローチ先 情報収集 1to1⽂章⽣成 アプローチ実⾏ まずここの精度を最優先で 担保する ガードレールはここで 実施
© 2025 Algomatic inc. 精度をどう測る?信頼性を担保する? • LLMの出⼒において「絶対正しい」ものはない → 全てチェックすべき •
ただし「⼈間が」全てチェックすべきとは限らない ◦ ⼈は間違える⽣き物 ◦ 数千件規模の出⼒チェックにおいて、 ⼈間の精度はむしろ低い • では⼈間の得意領域は? ◦ 数が限られた「微妙なライン」の判定 1. LLMで⼀次判定 2. アヤシイ部分を⼈間が最終判定 ここの判定体験設計も重要
© 2025 Algomatic inc. まとめ • ⾃律型エージェントとAgentic Workflow ◦ アポドリはAgentic
Workflowだよ ▪ 失敗が許されない ▪ 作業⼿順のベストプラクティスが存在している • Agentic Workflow構築ステップ ◦ チームでワークフローの解像度を⾼める ◦ LLMで100%を⽬指さない ◦ ⼈間も100%ではない • ワークフローに基づき、LLMと⼈間それぞれの得意領域で分業する ことで、信頼性の⾼いAIエージェントを構築できる
© 2025 Algomatic inc. 「失敗が許されないAIエージェント」 開発は難しい
© 2025 Algomatic inc. が、世の中はそれを求めている!!はず
© 2025 Algomatic inc. たのしいAgentic Workflowライフを
© 2025 Algomatic inc. ありがとうございました 話せなかったこと沢⼭あるので、ぜひ質問ください ソフトウェアエンジニア積極採⽤中です テックブログやってます https://recruiting.algomatic.jp/ https://tech.algomatic.jp/