て 汽 車 の 笛 鳴 れ ば 岸 の 黄 が ち の 葦 う ご き 初 む 「 霧 」 ( 『 冬 柏 』 第 一 巻 第 九 号 ) 足 立 を 歌 う 悌 六 氏 は 、 歌 人 と し て 多 く の 和 歌 を 作 り 、 文 芸 雑 誌 に 寄 せ ま し た 。 そ の 中 に は 、 親 し ん だ 八 潮 ・ 足 立 周 辺 の 情 景 を 詠 ん だ 歌 も 多 く あ り ま す 。 十 二 月 欅 の 木 立 中 川 の 水 に う つ れ る 網 の ご と く に 「 河 畔 」 ( 『 冬 柏 』 第 三 巻 第 一 号 ) 綾 瀬 川 な つ か し 蟹 の 背 の ご と く 煉 瓦 の 屑 の こ ぼ れ し 岸 も 「 か つ し か 」 ( 『 冬 柏 』 第 三 巻 第 二 号 ) 鐘 ヶ 淵 瓦 斯 の タ ン ク を 先 づ 消 し て 河 を 渡 れ る 霜 月 の 雨 「 霜 月 」 ( 『 冬 柏 』 第 三 巻 第 十 二 号 ) 北 千 住 野 菜 市 場 の 中 に 立 つ 柳 の 枝 の 切 ら れ た る 冬 「 冬 」 ( 『 冬 柏 』 第 六 巻 第 一 号 ) 葛 飾 の 芹 を 入 れ た る 籠 を 置 く 朝 の 厨 の 三 和 土 の 隅 に 「 春 雨 」 ( 『 冬 柏 』 第 十 四 巻 第 五 号 ) あ し そ か な ま ち け や き こ だ ち か に れ ん が く ず か ね が ふ ち が す ま せ り か ご く り や み た き す み 8