Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
千住に愛された日本画家 高橋廣湖 / TAKAHASHI Koko
Search
AdachiCityMuseum
July 09, 2020
Education
3
1.1k
千住に愛された日本画家 高橋廣湖 / TAKAHASHI Koko
AdachiCityMuseum
July 09, 2020
Tweet
Share
More Decks by AdachiCityMuseum
See All by AdachiCityMuseum
千住の琳派 / Rimpa school of Senju
adachicitymuseum
0
910
千住の文人 建部巣兆 / TAKEBE Socho
adachicitymuseum
0
880
足立に遊んだ関東文人の総帥 谷文晁と二人の文一 / Buncho and Bunichi
adachicitymuseum
0
910
足立の狩野派 / KANO School of Adachi
adachicitymuseum
0
680
与謝野晶子を支えた足立の歌人画家 千ヶ崎悌六 / CHIGASAKI Teiroku
adachicitymuseum
0
730
Other Decks in Education
See All in Education
NTTコムウェアの東海支店でもアジャイル人材育てんとかんやん!結果どえらい人材が育ったがね!
mizuki_fujita
0
600
Matz に頼られたので張り切って2時間ほどドイツと日本の互いの Ruby 学習事情についてディスカッションした話
yasulab
1
370
Adobe Express
matleenalaakso
1
7.4k
英語学習から海外発表までの流れ
yasulab
18
4.2k
小・中・高等学校における情報教育の体系的な学習を目指したカリキュラムモデル案/curriculum model
codeforeveryone
1
2.1k
Evaluation Methods - Lecture 6 - Human-Computer Interaction (1023841ANR)
signer
PRO
0
670
Library Prefects 2024-2025
cbtlibrary
0
100
PSYC-560 R and R Studio Setup
jdbedics
0
510
SQL初級中級_トレーニング【株式会社ニジボックス】
nbkouhou
0
17k
寺沢拓敬 2024. 09. 「言語政策研究と教育政策研究の狭間で英語教育政策を考える」
terasawat
0
200
アニメに学ぶチームの多様性とコンピテンシー
terahide
0
200
20241004_Microsoft認定資格のFundamentals全部取ってみた
ponponmikankan
2
310
Featured
See All Featured
The Straight Up "How To Draw Better" Workshop
denniskardys
232
140k
How to Ace a Technical Interview
jacobian
275
23k
The Language of Interfaces
destraynor
154
24k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
132
8.9k
ReactJS: Keep Simple. Everything can be a component!
pedronauck
664
120k
YesSQL, Process and Tooling at Scale
rocio
167
14k
Optimising Largest Contentful Paint
csswizardry
33
2.9k
Speed Design
sergeychernyshev
24
570
The Invisible Side of Design
smashingmag
297
50k
Facilitating Awesome Meetings
lara
49
6k
Building a Modern Day E-commerce SEO Strategy
aleyda
38
6.9k
Sharpening the Axe: The Primacy of Toolmaking
bcantrill
37
1.8k
Transcript
千住に愛された 日本画家 高橋 廣湖 たかはし こうこ 高橋廣湖(中心)と家族 (高橋廣湖ご遺族蔵) 令和 2
年 7 月 9 日
高橋 廣湖 (明治8~明治45/大正元年、1875~1912) ・熊本県山鹿市出身の日本画家。 たかはし こうこ ・美術界の指導者、岡倉天心にも 実力を認められました。 中村春洋 《高橋廣湖像》
(当館蔵 高橋廣湖ご遺族旧蔵) ・千住の人々と親しく交流し、廣湖 の活動を支援する団体が千住 で結成されました。 や ま が お か く ら て ん し ん 明治日本画壇の俊才
・父の浦田雪翁は、水墨画の流派 「雲谷派」の絵師で、廣湖は父に 絵の基礎を学びました。 画業のはじまり ・廣湖の生家、浦田家は熊本県 北部の山鹿市で画塾を営む 絵師の家でした。 浦 田 雪
翁 ・ 浦 田 廣 香 《 人 物 山 水 図 》 当 館 蔵 ( 高 橋 廣 湖 ご 遺 族 旧 蔵 ) ※ 廣 湖 の 父 、 雪 翁 と 、 弟 の 廣 香 に よ る 合 作 。 う ら た せ つ お う う ん こ く は や ま が
上京への転機 –高橋こうとの出会い- ・高橋こうは幕末明治の新吉原 で人気を博した元花魁です。 ・明治以降は舞台女優となり、 熊本で出会った廣湖の画才を 見込んで東京へ導きました。 ・上京した廣湖は、恩人こうの養子 となって「高橋」姓になりました。 浮世絵に描かれた高橋こう
歌川房種画 (当館蔵 千住・名倉家寄贈) お い ら ん
東京画壇での廣湖 ・22歳で上京した廣湖は、歴史画の 大家、松本楓湖が浅草の自宅で 開いた画塾「安雅堂」に入門します。 松 本 楓 湖 《 児
島 高 徳 図 》 ( 当 館 蔵 千 住 仲 町 ・ 石 出 通 治 氏 寄 贈 ) ※ 『 太 平 記 』 に 登 場 す る 武 将 、 児 島 高 徳 を 描 く 。 ・同門には、巨匠として画壇に名を残す 今村紫紅や速水御舟がいました。 ・この他に、岡倉天心を中心とする 日本美術院など様々な美術団体に 参加して、高く評価されます。 ま つ も と ふ う こ あ ん が ど う い ま む ら し こ う は や み ぎょ しゅ う
廣湖の作品 《大原女》 明治時代後期 (当館蔵 高橋廣湖ご遺族旧蔵) ・京都北郊の大原から薪や農作物を 売りに来る行商女性「大原女」を、 少ない線描と淡い色彩で描きます。 お は
ら め お お は ら ま き
廣湖の作品 《花屋之図》 明治時代後期 (当館蔵 高橋廣湖ご遺族旧蔵) ・行商の花売りから花を 求める母子。歴史・故事 を得意とした廣湖です が、明治の社会風俗も 観察し、画題としました。
は な や の ず
廣湖の作品 《 養 老 の 瀧 図 》 明 治
時 代 後 期 当 館 蔵 《 阿 弥 陀 三 尊 像 》 明 治 時 代 後 期 当 館 蔵 《 狗 図 》 明 治 時 代 後 期 当 館 蔵
千住とのつながり ・明治30年頃、廣湖と親交を 結んでいた千住の人々が支援 団体「芳廣会」を結成します。 廣 湖 の 支 援 者
だ っ た 千 住 の 旧 家 に 伝 来 し た 《 武 内 宿 禰 図 》 ( 当 館 蔵 名 倉 家 寄 贈 ) ※ 武 内 宿 禰 は 出 世 長 寿 の 吉 祥 画 題 。 ・芳廣会の人々は、生活の中で 使う掛軸や屏風などの制作を 廣湖に依頼していました。 ほ う こ う か い か け じ く
千住に伝来した 廣湖の屏風 《春秋野径図屏風》 ・銀箔貼の屏風に貼られた、 田舎道を行く女性たち(右) と、家路につく親子(左)の 図です。 全体 しゅんじゅう やけい
ず びょうぶ 明治時代後期 (当館蔵 名倉新宅寄贈) ぎ ん ぱ く ば り
早すぎる逝去 ・明治45(大正元、1912)年、 廣湖は朝鮮・満州の旅の 途中で病を得て、37歳の 若さで早逝しました。 ・没後、「故高橋廣湖作品 遺墨展覧会」が開催され、 千住からも多くの作品が 出展されました。 「故高橋廣湖作品遺墨展覧会」に合わせて
刊行された『故高橋廣湖作品画集』(当館蔵)。 せいきょ そ う せ い い ぼ く
千住 芳廣会から出展された作品 《 鍾 馗 図 》 ( 『 故
高 橋 廣 湖 作 品 画 集 』 よ り ) 《 鍾 馗 図 》 ( 『 故 高 橋 廣 湖 作 品 画 集 』 よ り )
千住 芳廣会から出展された作品 《 曲 水 の 宴 》 ( 『
故 高 橋 廣 湖 作 品 画 集 』 よ り ) ※ 庭 園 の 遣 水 に 盃 を 流 し て 詩 歌 を 詠 む 「 曲 水 の 宴 」 を 描 い た 六 曲 一 双 の 大 作 。 き ょ く す い え ん
お わ り 足立区立郷土博物館 高橋廣湖の東京画壇での活躍は 15年ほどでしたが、 その記憶と作品は、 千住・足立の人々の中に残り、 今日まで伝えられてきたのです。 編集:学芸員
小林優