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DevTools でパフォーマンスチューニング入門 / Introduction to Per...
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forrep
December 11, 2023
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DevTools でパフォーマンスチューニング入門 / Introduction to Performance Tuning with DevTools
今と昔のWebサイトパフォーマンスの違いと Chrome DevTools を利用したフロントエンドのパフォーマンスチューニング入門
forrep
December 11, 2023
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Transcript
DevTools でパフォーマンス チューニング入門 ~ Webサイトのボトルネック、今と昔 ~ 1 株式会社ラクーンホールディングス 技術戦略部 羽山純
自己紹介 • 名前 ◦ 羽山 純(Jun Hayama) • 所属 ◦
株式会社ラクーンホールディングス 技術戦略部 • 技術領域 ◦ バックエンド・インフラ ◦ パフォーマンス改善 ◦ AI(企業審査AI) • 個人活動 ◦ アプリ開発 2
アジェンダ • 今と昔のWebサイト表示パフォーマンスの違い • DevTools を利用したボトルネックの探し方 3
今と昔のWebサイト表示パフォーマンスの違い 4
バックエンド 処理 今と昔ではボトルネックが変化 5 TLS ハンド シェイク TCP 接続 TCP
接続 データフェッチ リソース転送 リソース転送 ブラウザ メインスレッド ブラウザ メインスレッド 昔のWebサイト(2010年代 前半くらいまで) 今のWebサイト(2023年 現在) バックエンド処理 データフェッチ 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% • 時代の中央値を表した模式図で、厳密ではありません ◦ 今と昔でボトルネックの違いを比較します • どちらが速いという趣旨ではありません
バックエンド 処理 TCP接続とTLSハンドシェイク 6 TLS ハンド シェイク TCP 接続 TCP
接続 データフェッチ リソース転送 リソース転送 ブラウザ メインスレッド ブラウザ メインスレッド (昔) (今) バックエンド処理 データフェッチ 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% • TCP接続は今も昔も変わらず(※一部サイトを除く) • 今後 HTTP/3.0 の普及で変化の兆し(UDP化) • TLSハンドシェイクの時間分が純増 ◦ 昔は http が主流、ログインのみ https を利用 ◦ セッションIDは保護されない問題
バックエンド 処理 バックエンド処理の変化 7 TLS ハンド シェイク TCP 接続 TCP
接続 データフェッチ リソース転送 リソース転送 ブラウザ メインスレッド ブラウザ メインスレッド (昔) (今) バックエンド処理 データフェッチ 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% • 昔はバックエンドがデータフェッチ(DB)を実行 ◦ HTML生成はバックエンドの仕事(SSR) • 今はバックエンドの役割が大幅縮小 ◦ CSR によりバックエンド処理の簡易化
バックエンド 処理 リソース転送の変化 8 TLS ハンド シェイク TCP 接続 TCP
接続 データフェッチ リソース転送 リソース転送 ブラウザ メインスレッド ブラウザ メインスレッド (昔) (今) バックエンド処理 データフェッチ 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% • 昔はリソースが少なめ、しかし転送効率は低い ◦ HTTP/1.1 による同時転送数の制限(6接続/ホスト) • 今はリソースが肥大化、しかし転送効率はUP ◦ CSS/JS/画像 の巨大化、Webフォントの利用 ◦ バックエンド軽量化のため、転送が早期に開始 ◦ HTTP/2.0 による効率的な転送
バックエンド 処理 ブラウザのメインスレッドの役割拡大 9 TLS ハンド シェイク TCP 接続 TCP
接続 データフェッチ リソース転送 リソース転送 ブラウザ メインスレッド ブラウザ メインスレッド (昔) (今) バックエンド処理 データフェッチ 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% • 昔は転送されたHTMLをパースして表示するだけ ◦ JavaScript は軽微な利用のみ、DOM生成をほとんどしない • 今はブラウザのメインスレッドの役割が拡大 ◦ CSR(クライアントサイドレンダリング) ◦ データフェッチ後にDOM生成
ボトルネックはブラウザのメインスレッド メインスレッドでしかできない処理が多数あります • HTMLのパース(DOM構築) • スタイルシートのパース(CSSOM構築) ◦ UI表現の高度化 • JavaScript
の実行 ◦ CSR(クライアントサイドレンダリング) ◦ 外部 SaaS ツールのスクリプト埋め込みによる機能拡張 結果、今はほぼブラウザのメインスレッドがボトルネックです そこで Chrome DevTools が登場します 10
DevTools を利用したボトルネックの探し方 11
DevTools でパフォーマンスの計測 12 1. 計測対象ページで DevTools > Performance を開きます 2.
Start profiling and reload page を押して計測スタート ※ Disable JavaScript samples をチェックすると情報は減りますが、全体の見通 しは良くなります ① ※ ②
Performance 分析結果の概要 13 Main に着目します これらはメイン以外の 処理スレッド等です メイン以外で実行可能な 処理を担当します
HTMLのパース 14 HTMLドキュメントが約80ms で転送されています 青色はHTMLパース処理です マウスで選択すると処理時間や 処理対象が表示されます 158~1470行目の解析を 36.78ms かけて実行してます
Total Time を参照します
JavaScriptの実行(同期/インライン/非同期) 15 HTMLパースを停止して実行 HTMLパース中に実行 HTMLパースとは独立して実行 同期/インライン/非同期にかかわらず、メインスレッドで実行さ れます インライン スクリプト 同期スクリプト
非同期スクリプト
メインスレッドを俯瞰する 16 JavaScript の実行(オレンジ色)が 259ms で、 最もメインスレッドを占有しています Load イベントは 259ms
分だけ遅延します Loadイベント
表示を遅延させる犯人捜し Evaluate Script のうち、横幅の長いものを選択します それがメインスレッドを占有する犯人です 17 横幅を広げて見やすくしましょう
表示を遅延させる犯人捜し 18 マウスで選択すると Summary に 詳細が表示されます マウスでホバー/クリックすると、 なんのスクリプトか分かります メインスレッドを 50ms
占有するのはページ表示が 50ms 遅延す るのと同じ意味です Google Analytics のスクリプトに 47.51ms かかっています
ブラウザの拡張機能はメインスレッドで動作します 拡張機能を無効化したシークレットウインドウ(Ctrl-Shift-N)を 利用しましょう ブラウザの拡張機能に注意!! 19 55.90 ms 実行しているスクリプト の正体はブラウザの拡張機能
実際にチューニングした例 ①で 50ms の処理が5回実行されていました 外部サービスのスクリプト だったので、調整して削除したところ 50ms × 5 =
250ms のパフォーマンス改善しました 20 1
実際にチューニングした例 それ以外のスクリプトも整理したところ ページ表示速度が 約1.5秒 → 約1.0秒 に改善しました (※RUM で Loadイベント発火までの時間を計測)
参考: Raccoon TechBlog 広告タグを整理してWebサイトのパフォーマンスを改善した話 21 元々は約1.5秒 約1.0秒まで改善
サイト速度の計測は? サイト速度の計測にはタグマネージャと GA4 を利用しています 無料で RUM(Real User Monitoring)ができるのでオススメです 参考: Raccoon
TechBlog [GA4] Google Analytics 4 でサイト速度を計測する方法 22
まとめ 今はブラウザ側のパフォーマンスを見ないとダメですよ 慣れが大切なのでまずは DevTools を触ってみましょう! 23
24 ご清聴ありがとうございました