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脱予算経営 2年半の軌跡 (DevOpsDays Tokyo 2026)
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hiroki-arai
April 15, 2026
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脱予算経営 2年半の軌跡 (DevOpsDays Tokyo 2026)
DevOpsDays Tokyo 2026 でお話した、脱予算経営 2年半の軌跡 -経営をエンジニアリングして組織の適応力を高める話- のスライドです。
hiroki-arai
April 15, 2026
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Transcript
脱予算経営 2年半の軌跡 経営をエンジニアリングして組織の適応⼒を⾼める話 DevOpsDays Tokyo 2026 クリエーションライン株式会社 VPoE 荒井
経験主義の実践 固定計画の再定義 可視化と確認の場
⾃⼰紹介 Hiroki Arai | 荒井 裕貴 クリエーションライン株式会社 VP of Engineering
DevOpsDays Tokyo / スクフェス沖縄 実⾏委員 コミュニティ経理 ⼀般社団法⼈DevOpsDays Tokyo / ⼀般社団法 ⼈スクラムギャザリング東京実⾏委員会 エンジニア 暗算が得意、2進数から10進数の変換が速 い 趣味 沖縄の釣りんちゅ © Creationline Inc. 1
今⽇お話しすること 1 この取り組みが必要とされた経緯 2 お⾦の流れと組織のエンジニアリング 3 振り返りと現在進⾏形の実験 © Creationline Inc.
2
01 なぜ「経営のエンジニアリング」が 必要だったか © Creationline Inc. 3
計画駆動型の経営の構造 予算編成のパターン 1 税務都合の 年次会計 2 予算編成の 固定化 3 トップダウンの
⽬標設定 4 ⽬標 = 計画として ロック © Creationline Inc. 4
計画駆動型の経営がもたらしたもの ズレても動かせない 3ヶ⽉で予測は外れ始めるが数字 は固定されたまま。毎⽉外し続け る報告が続く モチベーションの喪失 ズレたまま⾛り続けて⾚字着地。
粗い解像度の⽬標はなおさら外れ やすい 現場との摩擦 アジャイルな現場と硬直した経営 システム。 組織の変化スピードに対して 予算がボトルネック。 © Creationline Inc. 5
None
経営危機 — 2023年10⽉ 事業再建からのリスタート ⼤型顧客の突然の失注で構造の問題が⼀気に表⾯化 売上よりも原価‧販管費が上回る⾚字の状態 組織構造の体質的な問題。サイロ型のヒエラルキーに価値観の違いを感じていた
売上を上げるだけでは解決しない、本質的な再建が必要 VPoEに任命。⾃分の中にある引き出しで⽴ち向かうことを決めた © Creationline Inc. 6
LEAN Agile DevOps の学びで⽴ち向かう ⾃分の中に根差している価値観と実践を経営に持ち込む LEAN ムダの排除と 継続的な価値の流れ
Agile 経験主義と 繰り返し型の適応 DevOps カルチャーと プロセスの変⾰ © CREATIONLINE, Inc. 7
Beyond Budgeting (脱予算経営) とは 「予算をなくす」ではなく、予算の役割を再定義する リーダーシップ Y理論ベース 意義のある⽬的
学習と改善のための透明性 ⾃律を重視した組織運営 プロセス 予算ゲームを避ける 野⼼的で相対的な⽬標 正直で正確な意思決定のための⾒通し 必要性と機会に応じたリソース配分 © Creationline Inc. 8
02 経営のOSをどう書き換えたか © Creationline Inc. 9
まずは可視化 過去データの「発掘」と洞察の発⾒ © Creationline Inc. 10 現状の可視化 改善の第⼀歩は現状を⾒えるようにすること • 過去の数字と現在の数字を繋げる
• 事業の健全性を⽰す指標を探した • まず過去データを掘り起こすところからスタート
None
確認するイベントを作る 可視化しただけでは組織は変わらない ⽬的 ⾒えるようにしたものを 確認し続けるイベントが必要 運⽤⽅針 共通セット: 状況確認 + OST議論
+ ふりかえり 改善サイクル: イベント⾃体もふりかえりで改善し 続ける © Creationline Inc. 12
⾒積りは当たらない — 不確実性の罠 ソフトウェア開発と予算策定が同じ罠にハマっている 開発 半年後のリリース⽇は当たらない。でも来週の作業量なら当たる 予算 来⽉の売上⾒通しは当たるが、1年後はほぼ当たらない 未来が遠いほど⾒積りの精度は落ちる —
にもかかわらず1年分を固定するという⽭盾 この気づきが組織に浸透し、予算改善に繋がった © Creationline Inc. 14
None
QBR(四半期ビジネスレビュー) 全メンバーで定量情報を確認する「検査」のイベント 全員で確認 全メンバーがオンライン 定量報告 KPI説明責任者が定量報告 共通認識を作る
状態を全員で把握 © Creationline Inc. 15
OSTと適応 QBRで確認した情報を元に「適応」する OST(Open Space Technology )は話し合いの⼿法 原則:「ここにやってきた⼈は誰でも適任者」「何が起ころうと起こるべきことが起きる」 集まった⼈たちがその瞬間にその場で感じている議題を提案し、合意が次の事業⽬標に DevOpsDays Tokyo
Day 3でもOSTを実施 — おなじみの⼿法 © Creationline Inc. 16
検査と適応のサイクル こうして経営のOSを⼀つずつ書き換えていった 検査と適応 定量情報の確認 QBR 現状を全員で把握 共通認識 ⽬標の議論‧修正 OST 次の四半期へ
実⾏ © Creationline Inc. 17
OSTで起きた変化 経営チームから降りてきた⽬標が、話し合いで変わった 経営⽬標の変更 合宿で事前に設定した営業利益率⽬標が、 OSTの議論を経て現場主導で変更された 不整合の早期発⾒ 特定事業での利益率追求が「事業的にアンマッチ」であ ると判明。 従来の進め⽅では歪みが拡⼤していたリスクを回避 質の⾼い対話と成⻑
対等な話し合いにより議論の質と参加者の主体性が向上。リーダー個⼈の成⻑を促進する場へと変化 © Creationline Inc. 18
トップダウンでもボトムアップでもなく ヒエラルキーを前提としない意思決定 © Creationline Inc. 19 ヒエラルキー前提の⼒の構図 トップダウン ⼤きな影響⼒を発揮するが、現場
の詳細を知らない⼈が決定するこ とになる ボトムアップ 詳細度は⾼いが、声が届くまでに 時間がかかる OST 役職ではなく情報の質で判断 し、協⼒する前提で進める
None
HRTが透明性を担保する 数字のハックを防ぐのはルールではなく信頼関係 性善説を持って公開する、という前提を合意する Humility 謙虚であること Respect 互いを尊重する Trust 信頼しあうこと ©
Creationline Inc. 20
None
03 2年半の振り返りと現在進⾏形の実 験 © Creationline Inc. 21
得られた成果 収益 黒字化達成 ⾚字からの回復 予算サイクル 3ヶ⽉ 1年から短縮 異常検知 1ヶ⽉以内 全メンバーが把握
© Creationline Inc. 22
組織と⼈の変化 仕組みの変化が⼈の変化を⽣んだ © Creationline Inc. 24 組織の透明性 全現場リーダーが組織全体で 何が起きているかを説明できる
状態に 数字への意識 チームが⾃分たちの数字を意識 するようになった — 数字に対する⾃律 ⾃発的な学習 リーダーが経営の勉強を始め、 新卒メンバーが⾃発的に 事業分析を実施
正解のインストールではなく、継続的改善 可視化して検査と適応を繰り返した先に、 ⾃分たちにとっての最適解が⾒えてきた 我々のケースにおける、脱予算経営 © Creationline Inc. 25
この取り組みを⽀える2つの価値観 2年半の⼟台にあるもの Y理論 — 信じること ⾃分以外の誰かが、常に良い仕事をすると 信頼する。信頼するから権限を委ねられる 振り返りはいくらやっても良い 変化が激しい時代だからこそ、 継続的に改善することを前提に進め⽅を考える
© Creationline Inc. 27
現在進⾏形の実験 完成形ではなく、今も進化の途中 ⽉次予算 ⽉1回の予算⾒直しに挑戦開 始 即応的な戦略修正 四半期を待たず即座に 適応する仕組みへ © Creationline
Inc. 26
04 まとめ © Creationline Inc. 21
経営にもDevOpsを エンジニアリングと経営はまったくの別物ではない 広範な領域への波及 脱予算経営は予算だけの話ではない。リーダーシップ、プロ セス、カルチャーにもおよぶ 構成要素の統合 アーキテクチャと組織、プロセス、カルチャー、継続的改 善、⾃動化、⾃律したチーム 取り組みの本質 今⽇お話ししたことの本質は継続的改善そのもの
⾃律的な進化 正解をインストールするのではなく、改善の先に⾃分たちの 最適解を⾒いだす © Creationline Inc. 28
None
明⽇から試せるヒント 01. まずは可視化から お⾦の流れが⾒えていないなら、まずそこから。 ⾼価なツールは不要、スプレッドシートでいい 02. 継続的フィードバックのイベント 週1の振り返り、⽉1の全社レベルの場、
QBRのような取り組みを始める この2つがあれば 可視化と継続的に確認する場があれば、改善は回る © Creationline Inc. 29
コミュニティに感謝 コミュニティの経験 脱予算経営の実践にはコミュニ ティの経験がフルに活きている 学びを経営へ DevOpsDays Tokyo /
スクラムフェ スで学んだことがそのまま経営に 活きた 感謝 コミュニティの皆さんに ⼼から感謝 © Creationline Inc. 30
クリエーションライン ブースでお待ちしています © Creationline Inc. 31 挑戦する組織 脱予算経営を組織全体で 実践中の会社です
カジュアル雑談 お気軽に お声がけください
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