Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
脱予算経営 2年半の軌跡 (DevOpsDays Tokyo 2026)
Search
hiroki-arai
April 15, 2026
Business
190
0
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
脱予算経営 2年半の軌跡 (DevOpsDays Tokyo 2026)
DevOpsDays Tokyo 2026 でお話した、脱予算経営 2年半の軌跡 -経営をエンジニアリングして組織の適応力を高める話- のスライドです。
hiroki-arai
April 15, 2026
More Decks by hiroki-arai
See All by hiroki-arai
Value Stream Mappingワークショップ@Agile Japan 沖縄サテライト
hirokiarai
1
490
GitLab Meetup Tokyo #19 w/GitLab team-members Sponsor LT
hirokiarai
2
670
Value Stream Mapping ワークショップ @ IVE Connect
hirokiarai
0
830
Value Stream Mapping ワークショップ @ DevOpsDays Tokyo 2019
hirokiarai
1
4.7k
LeanとDevOpsの科学[Accelerate] 発売記念イベント~DevOpsを成功させるための必要な要素とプロセス~
hirokiarai
4
1.7k
コンテナ時代のセキュリティとは
hirokiarai
0
910
Other Decks in Business
See All in Business
JAPANSHOP大阪/POP-UPセミナースライド
superpenguin
PRO
0
150
現実は、会話から生まれる。〜 1on1とチームの場を繋ぐ、社会構成主義的実践 〜
emi0726
1
340
株式会社スタイルブレッド 会社紹介資料
yuzurukikuta
0
580
28卒_新卒エンジニア会社説明資料
divarecruiting
0
140
会社紹介資料
sbs5780
0
1.6k
サムコ株式会社 第47期第3四半期決算概要
tsuchihashi
0
950
株式会社ショーエイ_採用説明資料
shoeidex
0
230
タスクマネジメント入門
nozomuiino
0
180
روشهای افزایش ممبر ایتا
maronpocar12
1
230
ClaudeCode × Hubspot 営業・マーケティングAI段階的成長ロードマップ
nagatsu
0
740
okr and devops -- Why OKRs Fail and DevOps as the Practice to Make Them Work
ikuodanaka
0
2.7k
Kasanare_Recruitng_Pitch
kyoichi_yasuda
0
580
Featured
See All Featured
Exploring anti-patterns in Rails
aemeredith
3
440
Visualization
eitanlees
152
17k
Navigating the Design Leadership Dip - Product Design Week Design Leaders+ Conference 2024
apolaine
1
370
Writing Fast Ruby
sferik
630
63k
Unsuck your backbone
ammeep
672
58k
Why You Should Never Use an ORM
jnunemaker
PRO
61
9.9k
Stewardship and Sustainability of Urban and Community Forests
pwiseman
0
250
New Earth Scene 8
popppiees
3
2.4k
Color Theory Basics | Prateek | Gurzu
gurzu
0
380
Intergalactic Javascript Robots from Outer Space
tanoku
273
27k
Test your architecture with Archunit
thirion
1
2.3k
The Cult of Friendly URLs
andyhume
79
6.9k
Transcript
脱予算経営 2年半の軌跡 経営をエンジニアリングして組織の適応⼒を⾼める話 DevOpsDays Tokyo 2026 クリエーションライン株式会社 VPoE 荒井
経験主義の実践 固定計画の再定義 可視化と確認の場
⾃⼰紹介 Hiroki Arai | 荒井 裕貴 クリエーションライン株式会社 VP of Engineering
DevOpsDays Tokyo / スクフェス沖縄 実⾏委員 コミュニティ経理 ⼀般社団法⼈DevOpsDays Tokyo / ⼀般社団法 ⼈スクラムギャザリング東京実⾏委員会 エンジニア 暗算が得意、2進数から10進数の変換が速 い 趣味 沖縄の釣りんちゅ © Creationline Inc. 1
今⽇お話しすること 1 この取り組みが必要とされた経緯 2 お⾦の流れと組織のエンジニアリング 3 振り返りと現在進⾏形の実験 © Creationline Inc.
2
01 なぜ「経営のエンジニアリング」が 必要だったか © Creationline Inc. 3
計画駆動型の経営の構造 予算編成のパターン 1 税務都合の 年次会計 2 予算編成の 固定化 3 トップダウンの
⽬標設定 4 ⽬標 = 計画として ロック © Creationline Inc. 4
計画駆動型の経営がもたらしたもの ズレても動かせない 3ヶ⽉で予測は外れ始めるが数字 は固定されたまま。毎⽉外し続け る報告が続く モチベーションの喪失 ズレたまま⾛り続けて⾚字着地。
粗い解像度の⽬標はなおさら外れ やすい 現場との摩擦 アジャイルな現場と硬直した経営 システム。 組織の変化スピードに対して 予算がボトルネック。 © Creationline Inc. 5
None
経営危機 — 2023年10⽉ 事業再建からのリスタート ⼤型顧客の突然の失注で構造の問題が⼀気に表⾯化 売上よりも原価‧販管費が上回る⾚字の状態 組織構造の体質的な問題。サイロ型のヒエラルキーに価値観の違いを感じていた
売上を上げるだけでは解決しない、本質的な再建が必要 VPoEに任命。⾃分の中にある引き出しで⽴ち向かうことを決めた © Creationline Inc. 6
LEAN Agile DevOps の学びで⽴ち向かう ⾃分の中に根差している価値観と実践を経営に持ち込む LEAN ムダの排除と 継続的な価値の流れ
Agile 経験主義と 繰り返し型の適応 DevOps カルチャーと プロセスの変⾰ © CREATIONLINE, Inc. 7
Beyond Budgeting (脱予算経営) とは 「予算をなくす」ではなく、予算の役割を再定義する リーダーシップ Y理論ベース 意義のある⽬的
学習と改善のための透明性 ⾃律を重視した組織運営 プロセス 予算ゲームを避ける 野⼼的で相対的な⽬標 正直で正確な意思決定のための⾒通し 必要性と機会に応じたリソース配分 © Creationline Inc. 8
02 経営のOSをどう書き換えたか © Creationline Inc. 9
まずは可視化 過去データの「発掘」と洞察の発⾒ © Creationline Inc. 10 現状の可視化 改善の第⼀歩は現状を⾒えるようにすること • 過去の数字と現在の数字を繋げる
• 事業の健全性を⽰す指標を探した • まず過去データを掘り起こすところからスタート
None
確認するイベントを作る 可視化しただけでは組織は変わらない ⽬的 ⾒えるようにしたものを 確認し続けるイベントが必要 運⽤⽅針 共通セット: 状況確認 + OST議論
+ ふりかえり 改善サイクル: イベント⾃体もふりかえりで改善し 続ける © Creationline Inc. 12
⾒積りは当たらない — 不確実性の罠 ソフトウェア開発と予算策定が同じ罠にハマっている 開発 半年後のリリース⽇は当たらない。でも来週の作業量なら当たる 予算 来⽉の売上⾒通しは当たるが、1年後はほぼ当たらない 未来が遠いほど⾒積りの精度は落ちる —
にもかかわらず1年分を固定するという⽭盾 この気づきが組織に浸透し、予算改善に繋がった © Creationline Inc. 14
None
QBR(四半期ビジネスレビュー) 全メンバーで定量情報を確認する「検査」のイベント 全員で確認 全メンバーがオンライン 定量報告 KPI説明責任者が定量報告 共通認識を作る
状態を全員で把握 © Creationline Inc. 15
OSTと適応 QBRで確認した情報を元に「適応」する OST(Open Space Technology )は話し合いの⼿法 原則:「ここにやってきた⼈は誰でも適任者」「何が起ころうと起こるべきことが起きる」 集まった⼈たちがその瞬間にその場で感じている議題を提案し、合意が次の事業⽬標に DevOpsDays Tokyo
Day 3でもOSTを実施 — おなじみの⼿法 © Creationline Inc. 16
検査と適応のサイクル こうして経営のOSを⼀つずつ書き換えていった 検査と適応 定量情報の確認 QBR 現状を全員で把握 共通認識 ⽬標の議論‧修正 OST 次の四半期へ
実⾏ © Creationline Inc. 17
OSTで起きた変化 経営チームから降りてきた⽬標が、話し合いで変わった 経営⽬標の変更 合宿で事前に設定した営業利益率⽬標が、 OSTの議論を経て現場主導で変更された 不整合の早期発⾒ 特定事業での利益率追求が「事業的にアンマッチ」であ ると判明。 従来の進め⽅では歪みが拡⼤していたリスクを回避 質の⾼い対話と成⻑
対等な話し合いにより議論の質と参加者の主体性が向上。リーダー個⼈の成⻑を促進する場へと変化 © Creationline Inc. 18
トップダウンでもボトムアップでもなく ヒエラルキーを前提としない意思決定 © Creationline Inc. 19 ヒエラルキー前提の⼒の構図 トップダウン ⼤きな影響⼒を発揮するが、現場
の詳細を知らない⼈が決定するこ とになる ボトムアップ 詳細度は⾼いが、声が届くまでに 時間がかかる OST 役職ではなく情報の質で判断 し、協⼒する前提で進める
None
HRTが透明性を担保する 数字のハックを防ぐのはルールではなく信頼関係 性善説を持って公開する、という前提を合意する Humility 謙虚であること Respect 互いを尊重する Trust 信頼しあうこと ©
Creationline Inc. 20
None
03 2年半の振り返りと現在進⾏形の実 験 © Creationline Inc. 21
得られた成果 収益 黒字化達成 ⾚字からの回復 予算サイクル 3ヶ⽉ 1年から短縮 異常検知 1ヶ⽉以内 全メンバーが把握
© Creationline Inc. 22
組織と⼈の変化 仕組みの変化が⼈の変化を⽣んだ © Creationline Inc. 24 組織の透明性 全現場リーダーが組織全体で 何が起きているかを説明できる
状態に 数字への意識 チームが⾃分たちの数字を意識 するようになった — 数字に対する⾃律 ⾃発的な学習 リーダーが経営の勉強を始め、 新卒メンバーが⾃発的に 事業分析を実施
正解のインストールではなく、継続的改善 可視化して検査と適応を繰り返した先に、 ⾃分たちにとっての最適解が⾒えてきた 我々のケースにおける、脱予算経営 © Creationline Inc. 25
この取り組みを⽀える2つの価値観 2年半の⼟台にあるもの Y理論 — 信じること ⾃分以外の誰かが、常に良い仕事をすると 信頼する。信頼するから権限を委ねられる 振り返りはいくらやっても良い 変化が激しい時代だからこそ、 継続的に改善することを前提に進め⽅を考える
© Creationline Inc. 27
現在進⾏形の実験 完成形ではなく、今も進化の途中 ⽉次予算 ⽉1回の予算⾒直しに挑戦開 始 即応的な戦略修正 四半期を待たず即座に 適応する仕組みへ © Creationline
Inc. 26
04 まとめ © Creationline Inc. 21
経営にもDevOpsを エンジニアリングと経営はまったくの別物ではない 広範な領域への波及 脱予算経営は予算だけの話ではない。リーダーシップ、プロ セス、カルチャーにもおよぶ 構成要素の統合 アーキテクチャと組織、プロセス、カルチャー、継続的改 善、⾃動化、⾃律したチーム 取り組みの本質 今⽇お話ししたことの本質は継続的改善そのもの
⾃律的な進化 正解をインストールするのではなく、改善の先に⾃分たちの 最適解を⾒いだす © Creationline Inc. 28
None
明⽇から試せるヒント 01. まずは可視化から お⾦の流れが⾒えていないなら、まずそこから。 ⾼価なツールは不要、スプレッドシートでいい 02. 継続的フィードバックのイベント 週1の振り返り、⽉1の全社レベルの場、
QBRのような取り組みを始める この2つがあれば 可視化と継続的に確認する場があれば、改善は回る © Creationline Inc. 29
コミュニティに感謝 コミュニティの経験 脱予算経営の実践にはコミュニ ティの経験がフルに活きている 学びを経営へ DevOpsDays Tokyo /
スクラムフェ スで学んだことがそのまま経営に 活きた 感謝 コミュニティの皆さんに ⼼から感謝 © Creationline Inc. 30
クリエーションライン ブースでお待ちしています © Creationline Inc. 31 挑戦する組織 脱予算経営を組織全体で 実践中の会社です
カジュアル雑談 お気軽に お声がけください
None