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Platform開発が先行する Platform Engineeringの違和感

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September 08, 2025

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  1. Platform開発が先行する Platform Engineeringの違和感 2025/09/08 Platform Engeering Meetup #14 Kinto Technologies

    Corporation Platform Group / Platform Engineering Team Senior Cloud Engineer / Assistant Manager Jumpei Shimamura Platform Engineer Tetsuya Sugiyama
  2. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 2 プロフィール KINTOテクノロジーズ株式会社 プラットフォーム開発部 /

    Platform Group Platform Engineering Team Senior Cloud Engineer / Assistant Manager 島村 純平(しまむら じゅんぺい) <経歴> 2009〜2021 新卒で航空系システム子会社へ入社 インフラエンジニアとして勤務 2021〜 KINTOにDevOps担当として入社 文化浸透の活動や標準化活動などを実施 現在はPlatform Engineering Teamのリーダーとして 生産性向上のためのツール開発・社内展開を実施
  3. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 3 Index 1 Platform Engineeringの違和感

    2 KTCにおける実践と振り返り 3 目次 3 CustomerSuccessEngineerの取り組み 4 まとめ
  4. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 5 持っている違和感 Monitoring サービス開発 Platform

    Platform Platform Engineering ここである「Platform」は同じ意味? = 多分同じ意味 Platform Engineering = 共通基盤を作ることになっていないか
  5. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 6 持っている違和感 誰に 何を どうやって

    Application開発者 Application運用者 生産性 セキュリティー Kubernetesで! BackStageで! 共通サービス基 盤を提供して! 共通Auth基盤! SaaS! … … Platform
  6. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 7 持っている違和感 誰に 何を どうやって

    Application開発者 Application運用者 生産性 セキュリティー Kubernetesで! BackStageで! 共通サービス基 盤を提供して! 共通Auth基盤! どうなった SaaS! ・・・ … … ここの話が欲しい ここの話が欲しい Platform
  7. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 8 なぜか 解決手段(How)は個社最適で、多くのソリューションが存在する • 発生した問題とその分析・解決手段の策定

    • 実装した解決手段が本当に課題解決したのか • 提供先のレスポンスとフィードバック 多くの示唆があり、ソリューション事例よりも Platform Engineeringをうまく回すためのヒントになりえるのではないか?
  8. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 9 顧客が本当に必要だったものは何か? 最近、TPS (トヨタ生産方式)のお話を社内でやってます DevOps/Cloud

    Engineer目線で必要だと思うから作る ガナバンス・セキュリティを満たすために準備・使えば楽だから作る 世間一般でのツールはここらへんがあるから作る 目の前の問題を解決するために作る = 投げ込まれた依頼を処理する テクニカルな課題は受け入れやすいが、業務フローや全体を見渡した際の変化は嫌がってない? 作業フローを見直したら、シンプル化できる部分の作業に対してツールを作っている Platform Teamは業務フロー(Golden Path)を改善する集団(Platformを作るのは手段) こういうのは問題だ、これが存在しない、あると便利だろうになってないか? 顧客(開発者)が困っていてボトルネックになっている部分か? そもそも不要な作業ではないか?
  9. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 10 端的な例だけど AppEngineer Platform ログの運用がしづらくて…

    なるほど、それは問題ですね 新しい基盤を作りましたんで これ使ってください 使いやすいですよ! またやり方とかを 学ぶ必要があるんですか… 検索手順がわからない 新しいツールの習熟コスト発生 いいものができて 効率化だ
  10. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 11 とはいいつつ、KINTOテクノロジーズで生えているもの Stability/Agility強化 • IaC化(Terraform)/コンテナ(ECS)化

    • システムパッケージ モニタリング強化 • ログ(OpenSearch)基盤 • モニタリング(Prometheus)基盤 • 分散トレーシング(X-Ray)基盤 • 監視基盤サイドカー DevSeqOps強化 • 静的解析ツール(SonarQube) • CI/CD(GitHub Actions)テンプレート • CMDB • Auto Provisioningツール • Bluegreen Deployment • 負荷試験基盤 • オペレーション補助CLIツール • EOL/SBOM • AI駆動開発ツール • 生成AIアラート根本原因分析ツール セキュリティ強化 • クラウド活用ガイドライン • ガードレールレポート • セキュリティプリセット環境 ※これら以外にも多数のツールなどを提供
  11. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 12 なぜか Platform / Infrastructureは間接部門

    • 手順書を定期的に見直して、整備し続けました • 既知のシステムの状態を確認して、廃棄しました どっちの方が評価されやすいのか… • AI使って開発生産性があがる(であろう)ツールを作りました • 新しいSaaSを評価して導入しました と
  12. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 14 導入の歴史 アプリケーション開発者向けのTool群 障害原因分析解析ツール 2025/05

    SBOM / EOL ScanPipeline 2024/01 CICD Template 2022/04 Sutta(Auto Provisioning) 2022/11 CMDB(Contents Management DB) 2022/12 Log Platform(OpenSearch) 2021/10 APM (Prometheus + Grafana) 2021/12 コード静的解析ツール(SonarQube) 2020/10 DevOps Team PE Team
  13. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 15 導入の歴史 アプリケーション開発者向けのTool群 障害原因分析解析ツール 2025/05

    SBOM / EOL ScanPipeline 2024/01 CICD Template 2022/04 Sutta(Auto Provisioning) 2022/11 CMDB(Contents Management DB) 2022/12 Log Platform(OpenSearch) 2021/10 APM (Prometheus + Grafana) 2021/12 コード静的解析ツール(SonarQube) 2020/10 DevOps Team PE Team PlatformG 提案 PlatformG 提案 PlatformG 提案 PlatformG 提案 PlatformG 提案 PlatformG 提案 PlatformG 提案 上位層依頼
  14. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 17 何が発生していたか? Platform AppEngineer こういうものが必要だと思う

    (DevOps文脈・セキュリティ・ガバナンス) 作ったので、使ったら楽になるよ (使用は任意) ここらへん、使い勝手が悪いから 修正したり改善しよう 改善したから、使ったら楽になるよ (使用は任意) 使う時は使うけど、まあいいか (たまにIssue ) プロダクトユーザ不在・ルールから発生する想定での開発
  15. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 18 コミュニケーション プロダクト 管理 開発

    Test/QA Prodへの Deploy Prod運用 SRE Platform Engineering プロダクションの運用にCommit 信頼性などを改善する →運用開始から始まる個別最適 開発前からリリース・運用のための整備を行い 開発者の負荷を下げて、生産性を上げる →開発前から始まる全体最適 開発PH あなたの興味は信頼性?それとも生産性? SREとしてのキャリアに悩むみなさまに伝えたい選択肢 https://speakerdeck.com/jacopen/anatanoxing-wei-haxin-lai-xing-soretomosheng-chan-xing-sretositenokiyarianinao-muminasamanichuan-etaixuan-ze-zhi 参考 ・プラットフォームチーム ・X-as-a-Service ・イネイブリングチーム ・コラボレーション アプリケーションチームとのコミュニケーションの薄さ → 定例会を実施していたが最近は縮小・終了気味(意見が出ない、こういうのを作りました共有) → SREチームが直接サポートしているアプリケーションは、要望を聞いて調査して改善(ただし、SaaS)
  16. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 19 コミュニケーション イネイブリングチーム ファシリテーション プラットフォームチーム

    X-as-a-Service 勉強会などでの周知などをして、知ってもらう必要があるという課題は持っていた。 チームメンバー5名で、アンケートや話を聞いてみたりする実働は1名 ストリームアラインドチーム PlatformG ・受け身の情報収集になっていた ・横断的な情報を実施しても、表面的な話にならざるを得ない(コラボレーションしていない) ストリームアラインドチーム ストリームアラインドチーム
  17. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 20 何をするべきだったか? イネイブリングチーム(常設) ファシリテーション プラットフォームチーム

    X-as-a-Service ・こちらから各Gの課題ややりたいことを見つける動き ・話を聞きに行き、協働による開発サポートを行うことが増えた ストリームアラインドチーム PlatformG ・能動的な情報収集とコラボレーション・提案活動 ・グループ内での情報連携・共有の活性化 イネイブリングチーム(都度) コラボレーション Support ストリームアラインドチーム ストリームアラインドチーム ストリームアラインドチーム ストリームアラインドチーム Market 作ることではなく、落ちているものを探す、チームとツールを知ってもらう活動をする
  18. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 22 プロフィール KINTOテクノロジーズ株式会社 プラットフォーム開発部 /

    Platform Group Platform Engineering Team PlatformEngineer 杉山 哲也(すぎやま てつや) <経歴> 2021〜2025 経済学部を卒業後、新卒からSES企業やSierにて インフラエンジニアとして従事 2025〜 KTCへPlatform Engineerとして入社 オブザーバビリティ基盤の設計・構築をしながら、 社内でCustomerSuccessEngineerとして 開発者体験の向上に邁進
  19. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 24 Customer Success Engineer(CSE)ってなに? -

    Customer Success Engineer (CSE)とは、企業が提供する製品やサービスを通じて、顧客が 自社のビジネスを成功させることを支援する職種のこと(明確に定義されているわけではな いですが) - 技術的バックグラウンドと顧客の事業への理解を兼ね備えた、ユーザと接点が近い存在で す User CSE ユーザの事業成功 に向けてサポート エンジニア部門へ 要件連携 Engineer Product 開発 ユーザの課題に応 じて解決策を提供
  20. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 25 Platform EngineeringにおけるCustomer Success Engineer(CSE)

    - Platform Engineeringの文脈では、以下の図のような関係になりそう - ユーザの認知負荷を軽減するため、ユーザの課題や要望に応じて解決策を提供する - Platformを開発して提供するだけでなく、手順書を整備したりフローを用意したり する。ユーザの課題や要望を解決することが目的。 - ユーザが抱える課題を解決できるようなPlatformを開発できるよう、Platform Engineerに要件を連携する CSE 社内のEngineerの 認知負荷軽減に向 けて支援 エンジニア部門へ 要件連携 Platform Engineer Platform 開発 ユーザの課題に応 じて解決策を提供 社内の Engineer
  21. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 26 CSE 社内のEngineerの 認知負荷軽減に向 けて支援

    エンジニア部門へ 要件連携 Platform Engineer Product 開発 ユーザの課題に応 じて解決策を提供 社内の Engineer Platform EngineeringにおけるCustomer Success Engineer(CSE) - Platform Engineeringの文脈では、以下の図のような関係になりそう - ユーザの認知負荷を軽減するため、ユーザの課題や要望に応じて解決策を提供する - Platformを開発して提供するだけでなく、手順書を整備したりフローを用意したり する。ユーザの課題や要望を解決することが目的。 - ユーザが抱える課題を解決できるようなPlatformを開発できるよう、Platform Engineerに要件を連携する
  22. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 27 Platform EngineeringのCSEで重視すること ユーザの課題や要望を理解するには、以下4つのことを理解することが大切。 Platformを通じて会社や社会に利益をもたらすという意識を持つこと。

    - 経営を理解する - 会社はコンプライアンスを遵守しながら利益を追求する存在。Platform Engineering も利益に繋がる必要がある。 - 事業を理解する - 社内のEngineerは事業に必要なプロダクトを開発している。開発者が直面する課題や 要望を理解するうえでの背景となる。 - 開発者が直面する課題を理解する - Platform Engineeringで対処すべき課題になる。この的が外れると使ってもらえない Platformになってしまう。 - 自分たちが提供するPlatformを理解する -自分たちが提供するPlatformがどういう課題を解消できるのかを理解しないと、ユーザ へ適切に提案ができない。
  23. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 29 意識する視座を変えると見えてくる世界が変わる(例えば) モニタリングツールを例に考えてみる。モニタリングツールは以下のようなロジックで、 ユーザの課題を改善させて結果として会社の利益獲得に貢献できる。 CSE

    Platform Engineer モニタリングツール 開発 社内の Engineer 事業を遂行 する人たち 経営層 利益獲得 顧客の定着 システムの 信頼性向上 システムの 可観測性を上げる <ユーザの課題> 障害の根本原因分析精 度・スピードの向上 ダウンタイム削減 損失リスクの低下
  24. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 30 今考えているCSEの整理フレームワーク Platform Engineeringチームが提供するProductがどのように会社に利益をもたらすか、 OKRのように整理する営みをKTCで実施。ユーザとなる社内のEngineerをとりまく状況を理

    解することが大切。 CSE Platform Engineer Platform 開発 社内の Engineer 事業を遂行 する人たち 経営層 Object Object Object ツールが提供する価値 KeyResult KeyResult KeyResult
  25. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 31 OKRを整理するわけ 今まで整理したようなOKRは机上での想定の話も含まれる。 ただ、OKRを整理しておくことで、 闇雲に周知するのではなく、どのような人に必要とされそうかを検討することができ、

    どのように価値貢献できるかを説明できるようになる。 また提供しているPlatformの効果測定やKPI設定の判断材料にもなる。 このOKRは、 Platformを利用している人たちからの行動やアンケートで収集して、正しいか どうかを検証していき、より精度を上げていく必要はある。
  26. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 32 価値貢献ができているか計測をする 提供しているPlatformが適切に利用されているかを計測&可視化し、ユーザの課題が解消で きているのか、また改善するポイントがあるかを議論できるようにする。 弊社では以下の指標を収集し、時系列での推移確認できるようにしている。

    - 社内でのPlatform利用率 - 機能別の利用頻度 - 月次アクティブユーザ数 ※ どの指標を収集するかはデジタルマーケティングの 考え方を参考にしている。 状況を可視化することで、「ユーザにとって使い勝手が悪いのか?」「そもそも設定知って いるカスタマーストーリーが違っているのか?」など仮説が立ってくるので、それを踏まえ てどう改善するかを検討する。
  27. ©KINTO Corporation. All rights reserved. 34 まとめ Platform EngineeringにおいてPlatformを作ることは、ユーザとなるエンジニアの負担を下 げるための手段であり、目的ではない。

    そこを念頭に置きながら、 ユーザの持っている課題や要望に対して、解決策を提示し、その結果どのようになったか計 測&改善を繰り返すことで、価値貢献を行う活動”CSE”を推進しています。