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ある製造業の会社全体のAI化に1エンジニアが挑んだ話

 ある製造業の会社全体のAI化に1エンジニアが挑んだ話

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北見海貴

April 13, 2026

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  1. confidential 自己紹介 2 北見 海貴 (Kaiki Kitami) @kita3222 所属 •

    株式会社 Almondo FDE / SWE 経歴 • 新卒でスタートアップに入社し、介護 /医療メーカー向けの プロダクトなどいくつかのプロダクト開発案件を SWEとして 経験(3年) • 昨年10月よりAlmondoにSWEとして参画し、現在は大手 製造業1社のAI化にFDEとして従事
  2. confidential 会社概要 4 会社名 本社 代表 設立 社名の由来 事業内容 株式会社Almondo(アーモンド)

    東京都渋谷区渋谷2-24-12 WeWork 渋谷スクランブルスクエア内 伊藤 滉太 2023年2月1日 “AI”で”mondo”(イタリア語で世界の意) に「希望」 (Almondoの花言葉) を生み出す会社でありたい ・データ基盤構築 ・特化型アルゴリズム開発 ・AIシステム導入 など テクノロジーの社会実装を加速させる 東京大学松尾研究室発の AIのスタートアップ 4
  3. confidential 事業紹介 5 AIソリューション事業 ワンストップのAIソリューション、SI産業を刷新する開発基盤構築、自社発の新規事業探索、 この3つをBiz・AI・SW一体のフルスタック体制 で推進します。 顧客固有の課題を解決するため、 フルカスタマイズ でAIを導入・運用します。

    要件定義からモデル設計、システム連携、 運用保守までをワンストップで担い、 Biz・AI・SWが一体となったフルスタック 体制でスピードと品質を両立します。 PoCを週次単位で回し、本番導入まで最短距離 で到達する開発プロセスが強みです。 with AI-SI開発基盤の構築 従来型 SI の長期サイクルを前提から見直し、 “AI 時代に最適化された開発プロセス ” を ゼロから設計する挑戦です。 • テンダ社など SI パートナーで得た実務知見 をもとに、要件定義〜運用までを少数精鋭で 高速に回せる共通基盤を構築 • with AIを前提として工程ごとに検証しながら、 プロセス自体を段階的にブラッシュアップ 新規事業探索 「開発会社から企画会社へ 」 AIネイティブ前 提でビジネスモデルを再設計する複数のテー マを進行中です。 既存事業で蓄積した技術・データ・顧客接点を 活かし、Almondoならではの形で新たな価値 創造に挑戦します。 キーワード: データ基盤/リアルタイム音声解析 /ダイナミックプ ライシング/感情工学/芸術/etc
  4. confidential FDEとは? 7 • FDE(Forward Deployed Engineer)とは、顧客の現場の最前線に入り込み、課題定義から 実装・導入までを担う エンジニア。 •

    その過程で得た知見を、自社のプロダクト・プラットフォーム、あるいは技術基盤の改善につ なげる役割も担う。 ① 顧客現場への入り込み 顧客の現場の最前線の業務に深く入り込 む ② 課題の具体化から導入ま でを一貫して担う ヒアリング・設計・実装・定着支援を一貫し て担う ③ 現場知見を製品・基盤へ 還元する 現場知見を自社のプロダクト・プラット フォーム・技術基盤へと還元
  5. confidential なぜFDEが必要なのか 8 • AI開発の対象は、完全に標準化された定型業務だけではなく、 現場で暗黙知的に行われている判断 や、マニュアル化されていないベテラン業務を扱うケースが多い 。 ◦ 例:製造業の品質確認の工程における「この検査はあの検査の後にしかできない」といった制約

    が、マニュアルではなくベテランの頭の中にのみ存在する • こうした暗黙知がAIで扱えるのか、扱えるならどのようなアプローチが有効か、どの程度のコストで実現 できるのかは、技術を理解したエンジニア自身が現場に行かなければ判断が難しい   そのため、現場と開発をつなぐ架け橋として、自ら現場に入り実装につなぐ FDEが必要になる。
  6. confidential AI活用機会の探索・提案 現場ヒアリングを通じて課題を特定し、 AI化テーマを探索・提案。 その後、実現性と業務インパクトを踏まえて優先テーマを選定し、開発へつなげる。 ① 初回業務ヒアリングの実施 6事業部それぞれに対して、実業務を 把握するためのヒアリングを実施。 ②

    AI化候補テーマの技術調査・提案 AI化可能性、適用技術、開発期間を整 理し、AI化候補テーマを提案。 ③ 事業部・経営層による優先度付け 提案テーマに対して優先度付けを行 い、着手すべきテーマを選定。 13
  7. confidential AI活用機会の探索・提案 ② AI化候補テーマの技術調査・提案 • arXiv による最新論文の調査や国内外の事例調査、過去 PJでの実績をもとに、各テーマに対する AI化ア プローチを検討

    • 提案時には、簡易的なフロー図を用いながら、 AI化後の業務イメージをすり合わせ ① 仕様書 インプット ⑥ 評価結果 ③データ突合 ④評価・採点 ユーザー LLM ②インプットデータ前 処理 基準書類 ⓪事前に インプット ⑤評価レポート生成 ナレッジDB 初回ヒアリングで抽出した各事業部ごとの AI化候補テーマに対して、技術アプローチを調査し、提案を実施 フロー図イメージ 15
  8. confidential AI活用機会の探索・提案 ③ 事業部・経営層による優先度付け 16 • 提案したAIテーマに対して、事業部および経営層の双方から評価を実施 。 • 実現可能性、事業インパクト、横展開余地などの観点から

    優先度付けを行い、着手すべきテーマを絞り 込む 新規性・独自性 これまでのAI化の取り組みと かぶっていないか 実現可能性 技術的・業務的に実行可能か 横展開可能性 他部門・他業務へ広げられる か 開発期間 どの程度の期間で立ち上げら れるか 予測効果 工数削減、品質向上、意思決 定支援などの効果が見込める か
  9. confidential AI活用機会の探索・提案 ③ 事業部・経営層による優先度付け 35件 初回ヒアリングで幅広く候補を抽出 19件 実現可能性と業務インパクトを踏まえて Almondoが提案内容を整理 3件

    各事業部・経営層が優先度の高いテーマを 厳選し、当年度に優先して取り組むテーマを 特定。 3つの工程を通じて、 AI化候補を抽出・整理し、お客様が年度内に取り組むテーマを納得感を持って選定で きる状態まで伴走 17
  10. confidential 実装・改善・現場定着支援 前フェーズで厳選したテーマに対して、詳細な現場ヒアリングを通じて要件を定義し、プロトタイプ実装と先方 フィードバックのループを回しながら、現場業務への定着までを支援 現場で運用可能な水準に なるまで改善を重ねる ② プロトタイプ構築 短期間で動くものを現場へ提 供

    ③ フィードバック 実際に触ってもらい、使い勝 手・出力・運用上の違和感を 観察 ④ 改善 フィードバックを取り込みなが ら反復し、使われる形へ近づ ける ① 要件定義 詳細な業務ヒアリングを通し て入力・出力形式・運用フ ローなどを定義 19
  11. confidential 実装・改善・現場定着支援 ① 要件定義 - 現行業務の理解 • 現場に足を運び、実際の業務を見学。可能であれば業務も体験し、現行業務への理解を深める 。 ◦

    現行業務を把握する上では、 実際に現場へ足を運ぶことが最も早い。 • 実際に業務を担っている複数の担当者にインタビューを行い、 暗黙知的な業務における共通項を探 る。 ◦ 全員が共通してやっていることは、 後のAI化におけるルール化候補となる。 • 業務フローが存在しない場合は作成し、 それを通じて暗黙知を形式知化し、認識のすり合わせを進め る。 ◦ 可能であればFigjamやMiroなどのツールを使用 業務フロー図イメージ 20
  12. confidential 実装・改善・現場定着支援 ① 要件定義 - AI化後のイメージのすり合わせ • 精度が安定するワークフローか • 現場負担が増えない入出力形式か

    • Human-in-the-Loop をどこに組み込むとアウトプットの手戻りが少ないか 把握した現行業務をもとに、 AI化後のワークフローや入出力形式について、精度の安定性と現場負担の両 立が可能な形をすり合わせる。 21
  13. confidential 実装・改善・現場定着支援 ②~④ プロトタイプ構築・フィードバック・改善 • 要件をもとに、自社の技術基盤を活用しながらプロトタイプを高速に開発 。 ◦ 構築したプロトタイプを現場の方に実際に触ってもらい、アウトプットを評価してもらうことで、 要件

    定義時には見えていなかった追加要件を発掘 。 ◦ 実際にアウトプットを見ることで、「実はこういう制約もあった」といった気づきが生まれやすい た め、最初の要件定義からなるべく早い段階でプロトタイプを提示し、限られた PJ期間の中でできる だけ多くの要件を拾い上げる。 • 新たに明らかになった要件は 数日単位で反映し、再度フィードバックを得る改善サイクルを回す 。 ◦ 改善サイクルは、可能な限り短いスパンで回す 。 22
  14. confidential 実装・改善・現場定着支援 事例: 製品の品質チェック計画の自動立案 1 2 属人的な計画立案 複数の制約条件を同時に考慮 計画立案の明示的なマニュアル化が現場では行われておらず、 担当者の経験に依存。

    日程・設備・担当部署・前後関係など、多数の制約を一度に見渡す 必要がある。 課題 • 製造現場における製品の品質チェック工程では、インフラ・人員・検査項目ごとの制約など、複数の条 件を同時に満たす工程表の作成が必要。 • しかし、こうした複雑な計画立案が、製品に関する知識が豊富なベテランに依存しやすい業務となっ ていた 23
  15. confidential 実装・改善・現場定着支援 事例: 製品の品質チェック計画の自動立案 プロトタイプ構築・フィードバック・改善 • 当初はLLMのみで工程表作成まで行う想定だったが、ロット数が多いケースでは出力がプロトタイプ時点 だと不安定だった。 ◦ そのため、LLMによるルール解釈

    と 数理最適化による工程表作成 を組み合わせるハイブリッド 方式へ改善期間の中で転換することでロット数に依存せず、安定した出力へ改善 ルールのインプット 現場担当者が文章ベースのルールとして記 述し、現場側で調整可能な形に。 LLMによる変換 LLMがルールを解釈・構造化し、数理最適 化エンジンが扱える形式へ変換。 OR-Toolsで計画算出 複雑な制約条件のもとで OR-Toolsが安定的 に計画を算出。精度と再現性を確保。 26
  16. confidential 開発で得た知見を社内に還元 各PJの知見を技術基盤へ還元し、開発サイクルを高速化する 出典:マシュー・スケルトン、マニュエル・パイス『チームトポロジー 価値 あるソフトウェアをすばやく届ける適応型組織設計』 • ソフトウェア組織のチーム設計フレームワークである Team Topologies

    を 参考に設計 • 各PJで得た知見を、モジュールや設計パターンとして技術基盤へ還元 • 毎回ゼロから作るのではなく、 再利用可能な形で蓄積 • 顧客向けにカスタマイズしたシステムを、より低コストかつ高速に構築 28
  17. confidential 開発で得た知見を社内に還元 技術基盤: RAG Mart 精度向上に寄与する要素をパーツ化し、お客様の状況に応じてセミカスタマイズで提供。各 PJで 得た知見をパーツの拡張という形で反映し、技術基盤を継続的に強化していく。 データ前処理パーツ ベクトルDB構築パーツ

    PDF、Word、CSVなど異なる形式のデータを取り込み、メタデータ付 与やチャンク分割も⾃動化し、検索品質の基盤を構築。 Azure OpenAIやBedrockを活⽤し、ベクトルDBを構築。意味の近さ や単語の出現頻度での検索に対応し、⾼速な情報検索を実現。 情報検索パーツ 回答⽣成パーツ 複数の検索戦略を組み合わせ、精度の⾼い情報抽出を⾏います。クエ リ解析と拡張機能により検索精度を向上。 Azure OpenAIやBedrock上のLLMを活⽤し、検索結果を元に⾼品質 な回答を⽣成。⽤途に応じたテンプレートで出⼒形式を最適化。 Preprocess データ前処理 Indexing ベクトルDB構築 情報検索 Retrieval Generate 回答⽣成 RAG Mart コアエンジン 30