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ServiceDesignGuideline202503

kouzoukaikaku
March 30, 2025
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 ServiceDesignGuideline202503

kouzoukaikaku

March 30, 2025
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  1. 4 1 章 サービスをデザインするとは このガイドラインの考え方と使い方 2 章 東京都におけるサービスデザイン サービス開発プロセスの概要とツール 3章

    サービスを考える 東京都サービスキャンバスを作成する 4章 サービスを実現する サービスを開発するための大切な考え方 目次 企画 - 仮説検討 1 p.27 企画 - サービス立案 2 p.40 企画 - 要件定義・調達 3 p.51 はじめに p.2 p.6 このガイドラインが目指すこと 1 p.8 「サービスデザイン」の考え方 2 p.9 このガイドラインの使い方 3 p.11 p.13 サービス開発プロセスの全体像 1 p.15 ユーザーの声をサービスに取り入れる 2 p.16 「東京都サービスキャンバス」の使い方 3 p.20 p.23 設計 – 基本設計 / 詳細設計 1 p.63 開発 2 p.68 テスト・改善 3 p.69 リリース 4 p.70 問い合わせ先・参考文献一覧・担当者コメント p.72 p.60 サービスデザインにおける生成AI利活用 4 p.55
  2. 5 版数 発行日 改訂内容 VERSION 1.0.0 2023年3月31日 初版発行 VERSION 2.0.0

    2024年3月29日 サービス開発プロセスの追加と記載、 ユーザーテストガイドラインの内容を統合 等 VERSION 2.1.0 2025年3月27日 生成AI利活用コラムの追加、 ガイドライン全体の情報追加・更新 等 ガイドライン全体の情報追加・更新 生成AI利活用コラムの追加 生成AIの利活用が進む中で、サービスデザインプロセスにお ける生成AIの利活用方法やユースケースに関するコラムを追 加しました ユーザーレビューの内容に触れながら「リリース後の改善」の 情報を更新。また、ガイドラインとしての読みやすさを考慮し 全体的に情報を追加・更新しました VERSION 2.1.0 更新の主なポイント 本ガイドラインは2025年3月にリニューアルしました 本ガイドラインは、ガイドラインの運用によって得られた知見や職員の方々の意見を踏まえつつ、随時内容の見直しや改定を行って います。
  3. 7 1章では、本ガイドラインの概要と、活用する ために知って欲しいことを紹介します。ぜひ サービス作りに取り掛かる前に読んでください。 初めに、本ガイドラインの目的や作られた背景、 基本となる「サービスデザイン」の考え方を紹 介します。 次に、東京都が発行する他のガイドラインとの 関係性や本ガイドラインの使い方を解説します。 7

    サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 1章 1章 の 内 容 このガイドラインが目指すこと 1 p.8 「サービスデザイン」の考え方 2 p.9 このガイドラインの使い方 3 p.11
  4. 8 このガイドラインが目指すこと 1 出典:東京都デジタルサービス局 『デジタル10か条 』(2022年) 本質的な課題を解決するための サービス作りを後押しします サ ー

    ビ ス を デ ザ イ ン す る と は 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 1章 東京都は『デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針 』で、より良いデジタルサービスの実現を通して都民のQ OL(生活の質)を向上させていくことをビジョンとして掲 げています。またその実現のために都職員が共有していく 価値観として、『デジタル10か条』を掲げています。 都民のQOL向上に寄与するためには、東京都に暮らす誰も が、必要なサービスを必要な時に利用できるようにしなけ ればなりません。社会課題が複雑化し、価値観も多様化し ている現在、それは容易ではありません。さらに、人口減 少に伴い働き手は減っており、限られたリソースの中でよ り良いサービスを実現していく必要があります。だからこ そ、職員の皆さんの本質的な課題解決へ向けた試行錯誤が 不可欠です。「間違ってはならない」と強く思い過ぎると、 試行錯誤によってより良いものを生み出すことが難しくな ります。本ガイドラインを手がかりに、より良いサービス 作りの一歩を踏み出してください。
  5. 9 2 「サービスデザイン」の考え方 利用者と一緒に価値を生み出す仕組みを作る、 それがサービスデザインです 本ガイドラインは「サービスデザイン」という事業開発の 考え方や手法に基づいています。 サービスデザインでは、モノやコトを通じて利用者と提供 者が一緒に価値を生み出すことを「サービス」と捉えます。 皆さんの業務も「サービス」を作ることに他なりません。

    なぜなら、皆さんの仕事はウェブサイトやアプリといった モノを作るだけではなく、実際に利用してもらうことに よって便利さ、嬉しさ、快適さ…といった価値を生み出し、 利用者のQOL向上を実現することだからです。 大切なのは、一人ひとりの利用者の気持ちや体験を中心に して、どうすればそれをより良くできるかという視点で、 「サービス」を利用者と共に考えていくことです。 職員 都民の役に立つ 効率的なサービス を作りたい! 高齢者 フレイル予防の 情報が知りたい! 子を持つ親 保育園の 申し込みがしたい! サービスを届ける側、使う側双方の立場や状況に思いを巡らせ ながら、それぞれの「困りごと」を「嬉しい!」に変えていく ことがサービスデザインです。 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 1章
  6. 10 利用者に とっての価値 提供者に とっての価値 利用者にとって価値があることが前提とはいえ、あらゆる要求を実現 しようとするとサービスは持続できません。提供者視点も加味し、双 方のバランスがとれた状態を目指すことが重要です。 2 「サービスデザイン」の考え方

    「利用者」も「提供者」もサービスのユーザーです サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 1章 利用者にとっての価値を提供することは、すべてのサービ スにおける基本です。 しかし、サービスのユーザーには「利用者」だけでなく、 皆さんのようなサービスの「提供者」も含まれています。 利用者にとっては魅力的でも、提供者にとって運用が難し 過ぎたり予算がかかり過ぎたりするサービスは、持続が難 しく、全体的に見ると利用者のQOL向上に貢献できている と言えないかもしれません。 持続的な良いサービスは、全体最適の視点で以下のように 利用者と提供者双方の価値創出を継続的に目指していくこ とができるものと言えます。 ⚫ 利用者が普段の生活の中で無理なく使うことができ、困 りごとを解決できる ⚫ 提供者が有限のリソースを有効活用でき、予算と社会的 成果のバランスが良い ⚫ 提供者が利用者の声を聴き、継続的にサービスを改善し ていくことができる
  7. 11 3 このガイドラインの使い方 より良いデジタルサービス作りに活用してください 本ガイドラインは、デジタルサービス局が作成した「東京都デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針」の 構成要素の1つです。より良いサービス作りを行うためにも、下記の関連ドキュメントもぜひお読みください。 デジタルサービスの開発・運用に携わる すべての職員のミッションと使命を定義 (リンク) 東京都公式ホームページ作成に関する統一

    基準(改訂版) 公式ウェブサイトについて、誰もが見やすく 使いやすいサイトを作るための基準(リンク) 東京都公式ホームページデザインに係るガ イドライン(改訂版) 公式ウェブサイトの統一感を持たせ、発信力向 上を図るためのガイドライン(リンク) プロジェクト監理基準 デジタルサービスの開発、サービス開始及び 維持等に係る各工程において予め定めた基準 に適合しているかを、確認/協議する仕組み その他の関連ドキュメント 行動規範(デジタル10か条) デジタルサービスの 開発・運用に係る行動指針 東京都行政手続デジタル化QOS向上ガイ ドライン 都の行政手続デジタル化について、QOS向上 に向けた品質基準と実現に向けたアクション が記載されたガイドライン(リンク) 行動指針実現のために都職員が共有する価値観を定義 機能別技術ガイドライン データ利活用ガイドライン セキュリティガイドライン 事例集 ユーザーテスト実施手順書 サービスデザインガイドライン 顧客視点でサービスを開発するための具体的な考え方や手法を 記載(リンク) ガイドラインを活用した庁内のサービス開発事例を掲載 ユーザーテスト(ユーザーリサーチ/プロトタイピング/ユーザ ビリティテスト)の実施手順を記載 データを整備する際の基本方針と遵守事項を記載(リンク) サイバーセキュリティ対策について記載 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 1章
  8. 12 3 このガイドラインの使い方 本ガイドラインはサービス開発プロセスに沿って構成されています 章 主な内容※1 想定読者 主な利用タイミング 1 章

    サービスを デザイン するとは • 本ガイドラインの概要 • サービスデザインの考え方 全職員 • サービスデザインの考え方を学びたい 時 2 章 東京都にお けるサービ スデザイン • サービス開発プロセス概要 • ユーザーの意見を取り入れる方法 • 「東京都サービスキャンバス」概要 • サービス開発プロセスの全体像や、東 京都サービスキャンバスの概要を知り たい時 3 章 サービスを 考える • サービス検討における、 企画から要件定義・調達までの プロセスと重要事項 • サービスデザインにおける、 生成AI利活用の手法 実際に サービス開発に関与 する職員 ※サービスデザイン の重要項目から押さ えたい方は、各タス クの [ 実施するこ と] [ 重要な考え方 ] をお読みください • サービス企画に取り組むことになり、 各工程で気を付けるべきことを知りた い時 • ユーザーリサーチの実施手順や東京都 サービスキャンバスの書き方を知りた い時 4 章 サービスを 実現する • サービス開発における、 設計からリリースまでの プロセスと重要事項 • 事業者とのコミュニケーションやプロ トタイピング、ユーザビリティテスト における注意事項を学びたい時 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 1章 本ガイドラインは4章構成です。各章の内容や想定読者、利用タイミングは以下の表を参考にしてください。 なお、各章で様々な成果物やツールに言及していますが、実際の検討状況に合わせて必要なものを選ぶようにしてください。 1〜2章はサービスデザイン の考え方や検討の進め方の概 要を記しており、学習のため にもサービス開発に取りかか る前にお読みください。 3〜4章では実際のサービス 開発プロセスに沿って必須事 項や重要な考え方を説明して おり、実際にサービス開発を 推進する方々にとって役立つ 内容となっています。
  9. 14 2章では、東京都におけるサービスデザインを 紹介します。 まず、どのようにサービスを考え、実現するの か、サービス開発プロセスの全体像について説 明します。次にユーザーの声を取り入れるため の取組と、サービスの検討や全体像の整理を支 援する「東京都サービスキャンバス」の概要や 使い方についても紹介します。 14

    東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 の 内 容 サービス開発プロセスの全体像 1 p.15 ユーザーの声をサービスに取り入れる 2 p.16 「東京都サービスキャンバス」の使い方 3 p.20
  10. 15 サービス開発プロセスの全体像 より良いサービスづくりのため、開発プロセスの各工程で サービスデザインのタスクを実施しましょう 1 企画ではユーザーリサーチをもとに「東京都サービスキャンバス」を作成し、サービスの全体像を整理します。要件定義・ 調達では実現するサービス要件を整理します。次に、設計 / 開発 /

    テスト・改善ではプロトタイピングなどによりサービス を検証しながら開発を進め、テストや改善を行います。さらに、リリース後も継続的にサービスを改善していきます。 リリース テスト・ 改善 開発 要件定義・調達 定性調査・定量調査など リサーチ結果を分析 提供者エリア / 利用者エリ ア / 価値エリア 記入 リサーチ結果整理 ユーザーリサーチ 東京都サービス キャンバス記入 東京都サービス キャンバス ユーザーリサーチ 結果 ペルソナ、カスタマー ジャーニーマップなど 課題・解決策の整理 仮説の検証 目指す成果の整理 解決策エリア 記入 東京都サービス キャンバス記入 東京都サービス キャンバス 要件定義 仕様書作成 プロトタイピング 設計レビュー ユーザビリティ テスト 開発 リリース 仮説(解決策など)をチーム メンバーでレビュー ワイヤーフレーム など 東京都サービスキャンバスを もとにサービス要件を整理 要件定義書 調達(業務委託契約等)に向 けた仕様書を作成 仕様書 サービス仕様が企画に沿って いるかレビュー 基本設計書、詳細 設計書 事業者の開発業務を理解し、 マネジメント ユーザーによるサービスの使 い勝手を検証 β版、テスト実施計 画、テスト実施結果 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 ユーザーにサービス案を試し てもらい、ユーザーの課題を 解決できそうか検証 プロトタイプ、 テスト実施計画、 テスト実施結果 サービス、プロダ クト、ユーザーレ ビュー結果など リリース後も、利用状況の データやユーザーの声(ユー ザーレビュー)をもとに、継 続的な改善を実施 成果物例 タスク 凡例 … プロセス
  11. 16 サービスデザインは、ユーザーにとって「望ましい体験」 を考えることが重要です。そのサービスが本当にユーザー にとって望ましいものか検証し、ユーザーの声を取り入れ ながら開発する必要があります。例えば、アンケートやイ ンタビューを行いユーザーの課題を的確に把握する、サー ビス開発中の作成物を見てもらい意見をもらう、などです。 本ガイドラインでは、サービスデザインにおける重要な観 点として「ユーザーが価値を感じられるか?」「正しく機 能するか?

    」「見やすく使いやすいか? 」の3つを意識 することをおすすめします。例えば価値については企画段 階で検証することで、サービスの目指す姿が明らかになり、 品質向上に繋げることができます。 「価値」「機能」「見た目や使いやすさ」の3点を検証し、 それらを統合することでサービス体験を形作る必要があります。 サービス 体験 ユーザーが価値を 感じられるか? 正しく機能 するか? 見やすく 使いやすいか? サービスデザインにおいては、 ユーザーの声をサービス開発の中で取り入れることが重要です サービスデザインの重要な観点*出典1 ユーザーの声をサービスに取り入れる 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2
  12. 17 2 ユーザーの声をサービスに取り入れる ユーザーテストを実施し、ユーザーの声をサービスに反映しましょう 東 京 都 に お け

    る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 ユーザーテストとは、ユーザーとのコミュニケーションを能動的に行い、抱えている要望や課題・サービスの問題点を発見・ 確認する取り組みを指します。東京都のユーザーテストは、「ユーザーリサーチ」「プロトタイピング」「ユーザビリティテ スト」の3つで構成されています。実施手順の詳細については、「ユーザーテスト実施手順書(リンク) 」をご確認ください。 ユーザーリサーチ 最適な解決策を導くために、サービス利 用者の潜在的なニーズや真の課題を見つ け出します 行動や意識の背後にある、ニーズや課題 を捉え、提供すべき価値を導き出すこと ができるかを検証します プロトタイピング 開発工程前の試作品をテスターに試して もらい、サービス利用者の期待に応えら れているかを確認します サービス利用者が最も実現したいことが 提供できているか、コアとなる部分の使 い勝手は問題ないかを検証します ユーザビリティテスト サービスの品質を保証するために、設計 時の目的どおりの体験を実現できている か、最終確認を行います 重要なアクションをストレスなしに行え るか、プロトタイピング時のポイントが 反映されているかを検証します リリース テスト・ 改善 開発 要件定義・調達 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計 概要 検証 観点 機能 見た目・使いやすさ 価値 価値 機能 見た目・使いやすさ 価値
  13. 18 2 . 1 ユーザーテストのポイント① ユーザーとなる都民の方々の意見をサービスに生かしましょう 事項 概要 要件1 職員で代替できない

    高齢者や子供を対象としているなど 職員では利用者目線を代替できない 要件2 案件の重要度が高い (影響度、政策的観点) 医療関係や子育て関係など 都民の生命や生活への影響度が高い 全庁を挙げて取り組むなど 政策的観点で重要である ユーザーテストの実践例 ※1:職員もサービスを利用する場合などは、職員がテスターを代替することが可能です。 2 ユーザーの声をサービスに取り入れる 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 満足度の高いサービスを作るには、「ユーザーの意見」を聞くのが一番です。都民向けのサービスは原則、都民にテスター としてユーザーテストに参加してもらいましょう※1。特に下記の要件の場合は必ず都民にテストしてもらいましょう。
  14. 19 東 京 都 に お け る サ ー

    ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 プロトタイピングでは、「モックアップ」「デザインプロトタイプ」などの目的に応じた作成物を用いることで、具体的な サービスの流れや画面デザインが企画内容と相違ないか確認します。またユーザビリティテストでは、テスト環境のβ版を 準備し、設計の目的どおりのサービスが実現できているか確認します。 リリース テスト・ 改善 開発 要件定義・調達 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計 デザインプロトタイプ 画面の操作の流れを検証するた めに、ビジュアルや画面遷移、 動きを作成したもの モックアップ 画面の要素を確認するために 画面のビジュアルを作成した もの 画面遷移(一部) プロトタイピング ユーザビリティテスト β版 サービスリリース前に設計物を最 終確認するために、テスト環境で 用意されたサンプルシステム 画面遷移(全て) ワイヤーフレーム サービスが提供できる価値や、 利用の流れを確認するため、手 書きなど素早く作れる方法で画 面要素を表したもの 2 . 2 ユーザーテストのポイント② ユーザーテストの種類や目的に応じて作成物を使い分けましょう 2 ユーザーの声をサービスに取り入れる 参考:企画時に活用する作成物の例
  15. 20 必要な項目を網羅的に整理し サービスの全体像を描くためのツールです これまで説明したとおり、良いサービスを考える上で はユーザーの声を取り入れながら目的や価値を整理す る必要があります。この時、整理するツールとして有 用なものが「東京都サービスキャンバス」です。 より良いサービスを考えるためには、利用者・提供者 それぞれから期待される価値を明確にし、解決策を導 き出すことが重要です。そして最終的に実現するため

    の条件や制約を考慮した上で、全体のバランスをとる ことが必要です。 「東京都サービスキャンバス」はそのために把握すべ き項目を一枚の資料で網羅しており、サービスの全体 像を俯瞰的に捉えながら検討することができます。 3 「東京都サービスキャンバス」の使い方 サービスを作る場合には、新規開発、改良、いずれの場合でも、予算検討や 仕様書作成の前段階から「東京都サービスキャンバス」を作成してください 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 過去の東京都のサービス開発におけるキャンバスの記入例や活用シーンについては、「事例集(リンク) 」をご確認ください。 キャンバスなど本ガイドラインで扱う各ツールの記入用フォーマットや記入例は、「付録 東京都サービスキャンバスほか成果物(リンク)」に掲載しております。
  16. 21 1 提供者エリア 提供者の置かれている状況や実現し たいこと 2 利用者エリア リサーチに基づいた、利用者の置か れている状況や実現したいこと 3

    価値エリア 利用者や提供者の実現したいことを踏ま えた「望ましい体験」や「あるべき姿」 4 解決策エリア 取り組むべき課題 サービス提供によって解決すべき課 題 5 解決策エリア 解決策(実施内容) 価値を実現するための解決策 6 解決策エリア 目指す成果 行政としてどのような社会を目指す かというビジョン 7 解決策エリア 活動評価指標 目指す成果と因果関係のある計測が 可能な活動評価指標 8 解決策エリア 施策を普及させるための手段 解決策を実現するための活動とリソース 3 「東京都サービスキャンバス」の使い方 1 8 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 1 3 2 4 5 6 7 8 8 本ガイドラインでは、サービスを新規企画する場合を想定し、 〜 を基本的な流れとして書き方を解説します。 事業によっては予算、期間等の制約条件が決められている場合 もあるため、状況によって順番を変えて内容を検討してくださ い。キャンバスの上半分は利用者と提供者双方の視点からサー ビスの価値を、下半分ではその価値を実現するための解決策を、 全体のバランスを考慮しながら考えます。 各エリアの記入内容を理解しましょう
  17. 22 キャンバスは繰り返し書き直しながら更新しましょう 3 「東京都サービスキャンバス」の使い方 「東京都サービスキャンバス」は、項目を埋めただけで完 成するものではありません。キャンバスを利用することで サービス全体像を描き出すだけでなく、記載内容の議論や 深掘りを通じてサービス企画の精度を高めることができる、 いわばサービスを「育てていく」ためのコミュニケーショ ンツールでもあるのです。サービスの企画からリリース以

    降も継続して利用できますので、一度書き終えた後も都度 見直し、キャンバス内容を更新していきましょう。 3章-企画プロセスにてキャンバスを書き終えた後も、ユーザーテスト の結果や本ガイドラインを参考にキャンバスを見直しましょう。 東京都サービスキャンバスを活用するタイミング キャンバス 活用イメージ サービス開発 全体像 初版 精緻化 継続・新規 取り組み に活用 仮説展開 情報共有ツールとして 都度更新しながら活用 リリース テスト・ 改善 開発 企画 調達 要件定義 設計 詳細設計 基本設計 サービス立案 仮説検討 要件定義 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 2章 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章
  18. 24 3章では、2章で紹介した全体プロセスの内、 サービスを企画し、要件をまとめるまでのプロ セスを追っていきましょう。 この工程では「東京都サービスキャンバス」を 作成しますが、各プロセスでどのように考えて キャンバスを書き進め、ユーザーの声を取り入 れるのか、これらの観点も踏まえて順を追って 紹介します。 要点を把握するためにも、各タスクの「実施す

    ること」「重要な考え方」は必ず読んでくださ い。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 24 3章 の 内 容 企画 - 仮説検討 1 p.27 企画 - サービス立案 2 p.40 要件定義・調達 3 p.51 サービスデザインにおける生成AI利活用 4 p.55
  19. 25 サービス開発の全体像と各プロセスの重要なポイントを 理解しましょう 本ガイドラインはサービス開発の進め方に沿って、各プロセスの概要やサービス開発を実施する上で皆さんに知ってもらい たい情報を記載しています。特に「実施すること」で記載されている内容には注意して読み進めるようにしてください。ま た各タスクでの「成果物」は例となりますので、プロジェクト毎に必要に応じて作成するようにしてください。 1章 サ ー ビ

    ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3章、4章の読み方 3・4章のガイドラインのページ構成はプロセスやタスクの内容により階層(深さ)が3つに分かれます 詳細説明 1.1 実践のポイント 1.1.1 概要説明 1
  20. 26 サービスの全体像を描く企画 / 要件定義・調達 まずはサービス全体像の企画を検討した後、サービス実現に向けて要件を整理します。特に企画段階では、検討すべき項目 を集約した「東京都サービスキャンバス」や、ユーザーリサーチ、課題と解決策の整理、ワイヤーフレームでの価値検証な ど様々な考え方・手法を活用し、企画の精度を向上させましょう。 3章の全体像・使い方 1章 サ

    ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 設計 / 開発 / テスト・改善 /リリース 企画 サービス立案 仮説検討 要件定義・調達 1 2 3 ユーザーリサーチを実施後、結果を整 理し、利用者視点を踏まえてサービス の提供価値を定める。東京都サービス キャンバスの上半分を記入する。 課題と解決策を整理し、優先順位付 けや仮説の検証を通してサービスを 形作る。東京都サービスキャンバス の下半分を記入する。 東京都サービスキャンバスの記入内容をもと に、サービスの実現のために必要な要件を具 体化する。サービスの仕様書を作成し、調達 を実施して事業者の選定を進める。 リサーチ結果整理 ユーザーリサーチ 東京都サービス キャンバス記入 課題・解決策の整理 仮説の検証 目指す成果の整理 東京都サービス キャンバス記入 要件定義 仕様書作成 ユーザーリサーチ 結果 ペルソナ、カスタ マージャーニー マップなど 東京都サービス キャンバス ワイヤーフレーム など 要件定義書 仕様書 東京都サービス キャンバス 課題一覧、 課題の解決策案 成果物例 タスク 凡例 … プロセス
  21. 27 • ユーザーリサーチを実施 • ターゲットユーザー像を特定 進め方 • ユーザーの潜在的な課題や要望の探 索 •

    ペルソナなどの成果物作成・関係者 共有 • 東京都サービスキャンバスの提供 者エリア・利用者エリア記入 • 利用者・提供者にとっての価値を 検討 • 東京都サービスキャンバスの価値 エリア記入 • キャンバス上半分の見直し 1.1 ユーザー リサーチ 1.2 リサーチ 結果整理 1.3 利用者/提供者 エリア記入 1.4 価値エリアの 記入 タスク • ユーザーリサーチ結果 • 東京都サービスキャン バス (提供者/利用者エリア) • ペルソナ • カスタマージャーニー マップ • 共感マップ • 東京都サービスキャン バス (価値エリア) 成果物例 仮説検討の全体像 企画 - 仮説検討 1 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 サービス企画の第一歩として、ユーザーが求め ている価値はどのようなものか、仮説を検討し ます。 精度の高い仮説を作るためには思い込みやその 場のアイデアではなく、リサーチ結果などの事 実をもとにユーザーの人物像や背景にある状況 を深く理解する必要があります。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  22. 28 ユーザーリサーチの進め方 まずユーザーリサーチ計画としてリサーチ目的と調査手法を 検討します。調査手法としては定性調査と定量調査の2種類 が存在し、目的に応じて実施内容を検討しましょう。 サービスのターゲットユーザー(想定利用者)像を設定※1し、 インタビューやアンケートでその特徴や行動を調査します。 この工程を経て利用者の潜在的な要望や課題を明らかにする ことが、良いサービスを企画する基盤となり、結果として サービス開発全体の時間や費用の削減にも繋がります。

    1 . 1 ユーザーリサーチ ※1:リサーチを実施する対象は、基本的にはサービスのターゲットユーザーを想定しています。背景にある事業目的やサービスコンセプトを踏まえて検討しましょう。 定性調査 インタビューなどから、課題を 具体的に把握 ◦◦システムの 使い勝手について 詳しく教えて ください 定量調査 アンケートなどから、仮説とし て持っている課題を検証 〇〇は課題だと 思いますか? 1. 思う 2. 思わない • リサーチ目的、調査手法の検討 (インタビュー・アンケート) 計画 • ターゲットユーザー像の検討、テスター確保 • 質問項目の作成、テスト環境確保 準備 • インタビューやアンケートの実施、結果分析 実施、 結果分析 ユーザーリサーチを通じて以下の内容を明らかにします。 • ターゲットユーザー像 • ターゲットユーザーの特徴や行動 • ターゲットユーザーの抱える要望や課題、サービスの利用動機 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 重要な考え方 ⚫ リサーチ目的や状況に応じて調査手法を検討する ⚫ ターゲットユーザー像として利用者の属性などを最初に定義 し、リサーチを通じてその特徴や行動を明らかにする ⚫ ターゲットユーザーのサービスの利用動機を検討・整理する 実施すること ✓ 事業目標や仮説に基づき、ユーザーリサーチ計画を立てる ✓ ユーザーリサーチ計画に基づき定性調査や定量調査を実施する
  23. 29 1 . 1 . 1 ユーザーリサーチの要点 利用者を理解し、本質的な課題や新しい価値を見つけましょう ユーザーリサーチでは、新しい発見を目的として「定性調 査」を重視し、利用者が行動する状況や動機、その背景に

    ある要因を探ります。選択肢式アンケートといった統計 データを得るための定量調査と異なり、定性調査では利用 者の「ありのまま」を理解することが大切です。 定性調査で得られたリサーチ結果は、サービス開発に活用 するために分析を行います。定性調査で主に扱うのは数字 ではなく言語であり、ユーザーの発言や行動から「新しい 価値」を探します。 例えばインタビュー対象者の発言内容を整理・グループ化 し、共通点を見出すことで、課題や要望の傾向を分析する ことができます。 詳細は「ユーザーテスト実施手順書(リンク)」をご確認ください。 また、データを活用したリサーチの考え方は「データ利活用ガイドライン(リンク) 」も参考にしてください。 サービスデザインにおけるリサーチでは発見型の定性調 査を重視して実施します。 定性調査 発見型 定性データから新し い価値を発見する 例)行動観察調査、 インタビューなど 定量データから新た な意味を見出す 例)データマイニン グなど 定量調査 検証型 サービスの仮説を検証 する 例)プロトタイピング、 ユーザビリティテスト など 定量データを統計的に 処理し仮説を検証する 例)選択肢式アンケー トなど *出典2 ポイント 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入
  24. 30 リサーチ結果をもとにサービスデザインの代表的な分析手法 (ペルソナ・カスタマージャーニーマップなど)を用いて、 ターゲットユーザーの潜在的な要望や課題を明らかにします。 1 . 2 リサーチ結果整理 観点 捉えるもの

    「東京都サービス キャンバス」の該当項目 代表的な 分析方法 属性 利用者が持っ ている性質 • 利用者はどんな人 ペルソナ 行動 利用者の特徴 的な行動と場 面ごとの感情 • 困りごと • 嬉しいこと カスタマー ジャーニー マップ 考え方 利用者の 価値観 • 困りごと • 嬉しいこと • 利用者が最も実現 したいこと 共感マップ 利用者を捉えるための3つの観点と分析方法 「属性」「行動」「考え方」という3つの観点から利用者を 捉えることが重要です。 ユーザー像を明らかにし共有することの重要性 関係者間で具体的なユーザー像を共有しておくことで、サー ビス開発における必要な機能や品質の優先順位をつけやすく なり、スムーズな意思決定が可能になります。 ペルソナ、カスタマージャーニーマップなどの記入用フォーマットは「付録 東京都サービスキャンバスほか成果物(リンク)」に掲載していますのでご活用ください。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 重要な考え方 ⚫ ターゲットユーザー像を具体的に定義し、その考え方や要望を 明確にする ⚫ 関係者でユーザー像の共通認識を持つために、ペルソナ、カス タマージャーニーマップ、共感マップなどの成果物を作成する ⚫ 成果物は想定する利用者の声をもとに作成し、関係者で継続し て共有・改善を行う 実施すること ✓ 定性調査や関係者ヒアリングなどのリサーチ結果をもとに、 潜在的な要望や課題がないか、分析・検討する
  25. 31 ペルソナは、利用者の立場に立ってサービ スを企画・開発する際に、関係者間で利用 者の「属性」について共通認識を得るため の手法です。 ペルソナの作成時は、インターネットなど で情報を収集し、利用者に関して自分なり の仮説を作ることから始めてみることをお すすめします。最終的にはユーザーインタ ビューなどによって得られた生の声(一次

    情報)に基づいて肉付けするようにしてく ださい。作成したペルソナを元に、キャン バスの利用者エリアの「利用者はどんな 人?」の項目を考えていきましょう。 ペルソナに記載する項目は、 想定しているサービス内容に 併せて適宜変更・追加しま しょう。 記載する項目としては、大き く以下の2種類の属性情報があ ります。 ・デモグラフィック属性 年代、職業、家族構成など人 口統計学的な性質の総称 ・サイコグラフィック属性 性格や価値観、ライフスタイ ルなど心理的な性質の総称 1 . 2 . 1 「属性」を捉える ペルソナの活用 ペルソナシートの記入例(テーマ:シニア層向け地域活動紹介サイト) 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入
  26. 32 カスタマージャーニーマップは、利用者の一連の「行 動」を可視化する手法です。 利用者の行動を理解するためには、「何をしている か」だけではなく、「いつ・どこで・どのような状 況で・誰と・どのような手段で、しているか」まで 掘り下げて理解することが重要です。それにより、 現状の体験が可視化され、不満に感じる瞬間や、既 存サービスの改善点を発見することができます。 なお、利用者の行動は、サービスの利用中だけでは

    なく、利用する前、利用開始時、利用後も含めて考 えます。時系列を広くとることで、サービスが使わ れない理由、サービス利用前や利用後に提供者側が 支援すべきことに気付くことができます。 体験前に想像する 体験する 利用前 利用中 利用後 体験を振り返る 利用者の体験を時系列で書き出し、それぞれの瞬間で、利用者が考えて いることや気持ちなどを整理します。利用者の立場で体験を捉えること で、サービスの改善ポイントをより深く検討することができます。 この作業は「利用者の価値」や「提供者の価値」を考える上で何が課題 となるのか、時系列の体験として捉えられる重要な作業となります。 利用者の行動 • いつ • どこで • どのような状況で • 誰と • どのような手段で タッチポイント (利用者との接触点) 利用者の感情 不安 安心 疑問 カスタマージャーニーマップのイメージ図(テーマ:税務署での確定申告)*出典3 説明職員 受付窓口 申込書 税務署を訪問し、 職員のサポートを 受ける 受付窓口で完了の 通知を受ける 申込書を税務署に 行く前に準備する 初めての確定 申告。時間も かかるし難し そうだな… 職員のサポート を受けながら作 成して安心。間 違えないように 集中しなきゃ! これで本当に完 了だよね…? 次回はデジタル 手続きにできる のかな? 1 . 2 . 2 「行動」を捉える カスタマージャーニーマップの活用 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  27. 33 利用者が価値を実感できなければサービスが利用さ れることはないため、「考え方」を捉えることは サービス開発において非常に重要となります。その ために有効な手法が共感マップです。 共感マップでは、「利用者の置かれている状況」や 「行動」「感情」などの7つの観点で整理します。 リサーチから得られた利用者の考えや行動に関する 情報を整理して意味付けすることで、利用者の考え 方や価値観を分析することが特徴です。

    共感マップを活用して得られた分析結果は、必要に 応じて「東京都サービスキャンバス」に転記しま しょう。 共感マップでは、まず利用者の状況や行動を①〜⑥の順で整理し、その内容 を踏まえて⑦の「考え」「感情」を分析します。 ユーザーリサーチの実施者が、実際の利用者の反応なども踏まえて「利用者 の目から世界がどう見えるか? 」を考えることが重要です。 *出典4 1 . 2 . 3 「考え方」を捉える 共感マップの活用 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン ゴール 共感の対象となる 利用者は誰? 利用者がやりたい ことは? 何を見てる? 何を言ってる? 何をしてる? 何を聞いてる? 何を考え、感じている? 困りごと 嬉しいこと 行動の動機となる 他の考えや感情は? 1 2 3 4 5 6 7 ©2022 XPLANE | xplane.com※この共感マップのフォーマットは作成元であるXPLANE社の許可を得て掲載・日本語訳しています。
  28. 35 ユーザーリサーチやヒアリングなどを通して、提供者と 利用者それぞれの立場を理解できた後は 「東京都サービ スキャンバス」の「提供者エリア」「利用者エリア」を 記入します。 提供者エリア記入のポイント 利用者エリア記入のポイント サービス提供者の前 提を整理するエリア

    です。提供者が考え るサービスの目的や 狙いを整理しましょ う。 サービス利用者像を 明確にするエリアで す。利用者の立場に 立ってサービスの価 値を考えるために最 も重要な箇所です。 提供者エリア 困りごと 嬉しいと感じること 提供者はどんな人? 提供者がもっとも実現したいこと 住民参加型の地域づくりを目指す部署で、 地域の施設や活動に関する情報発信を担当 より多くの人、特に普段施設を利用しない人たちに、 地域が運営している施設を知ってもらい、気軽に利用 してもらいたい 地域の公共施設の利用率と 認知度が低く、利用者も特 定の人に偏っていること 地域活動に対する住民の関心 が高まることで地域イベント の数と参加者が増えること 1 . 3 東京都サービスキャンバス 提供者 / 利用者 エリア 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 重要な考え方 ⚫ 提供者エリアは事業の内容や目標に基づいて 記入する ⚫ 利用者エリアはサービスのターゲットとなる 利用者像を明確にする 実施すること ✓ ユーザーリサーチ、関係者ヒアリングをもとに東京都サー ビスキャンバスを記入する 利用者エリア 困りごと 嬉しいと感じること 提供者はどんな人? 利用者がもっとも実現したいこと 定年退職後の男性で、妻と二人暮らし。時間に余裕はあり、 地域活動にも関心はあるが、これまで参加したことがない 日中に一人で行けるような、楽しめる場所・コミュニ ティを増やし、仕事以外の新しい友人と出会うこと • 仕事以外の友人が少なく日 中は家にこもりがちなこと • 日中、一人で気軽に行ける 場所がないこと • 興味があることについて、誰 かと楽しく会話すること • 退職前は出来なかった新たな 楽しみを見つけられること
  29. 36 ⚫ 提供者はどんな人:サービス提供者の部署や役職名だけではな く、役割が具体的に分かるように書きます。 ⚫ 困りごと:リサーチ結果を引用し、提供者が業務において課題 と感じていることを書きます。 ⚫ 嬉しいこと:リサーチ結果を引用し、提供者にとって起こると 嬉しいことを書きます。

    ⚫ 提供者がもっとも実現したいこと:「困りごと」「嬉しいこ と」の内容を要約し、今はできていないが解決・改善・達成し たいことを書きます。例えば「利用者や住人が気軽に地域イベ ントに参加してくれる」「定形的な申請業務の手間が無くな る」などです。手段を通じて解決したい困りごとや、叶えたい 嬉しさを考えることが重要です。 チェックすべきこと ⚫ 提供者の事業の目的や、業務を通して解決したい課題 や実現したいことをもとに記入している ⚫ サービス改修の場合は、解決したい課題を予め洗い出 し、それらをもとに記入している 提供者エリア 困りごと 嬉しいと感じること 提供者はどんな人? 提供者がもっとも実現したいこと 住民参加型の地域づくりを目指す部署で、 地域の施設や活動に関する情報発信を担当 より多くの人、特に普段施設を利用しない人たちに、地域が運営 している施設を知ってもらい気軽に利用してもらいたい 地域の公共施設の利用率と認知 度が低く、利用者も特定の人に 偏っていること 地域活動に対する住民の関心が 高まることで地域イベントの数 と参加者が増えること 1 . 3 . 1 提供者エリア サービス検討における提供者の前提や考えを書きましょう 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 ポイント
  30. 37 ⚫ 利用者はどんな人:解決すべき問題を抱える人の情報を書きま す。あなたが実現したいと思っていることに対し、最も多くの 困難を抱えていると考えられる人を想定して書きましょう。 ⚫ 困りごと:リサーチ結果を引用し、利用者が普段の生活の中で 感じている困りごとを書きます。 ⚫ 嬉しいこと:リサーチ結果を引用し、利用者にとって起こると

    嬉しいことを書きます。 ⚫ 利用者がもっとも実現したいこと:「困りごと」「嬉しいこ と」の内容を要約し、今はできていないが解決・改善・達成し たいことを書きます。例えば「必要な情報に簡単にアクセスで き、手間と不安から解放される」「仕事・家庭以外の交流の場 を持つ」などです。手段を通じて解決したい困りごとや叶えた い嬉しさを考えることが重要です。 チェックすべきこと ⚫ 全ての人の要望に応えるのではなく「深刻な問題を抱 えている人」「本質的な要因」を持つ利用者を設定す る(ペルソナの検討) ⚫ 利用者の状況・感情に基づいて記入する (カスタマージャーニーマップの検討) ⚫ 利用者の困りごと・嬉しいこと・実現したいことの整 合性を考慮して記入する 1 . 3 . 2 利用者エリア ターゲットとなるサービス利用者の立場で考えましょう 利用者エリア 利用者がもっとも実現したいこと 利用者はどんな人? 困りごと 嬉しいと感じること 日中に一人で行けるような、楽しめる場所・コミュニティを 増やし、仕事以外の新しい友人と出会うこと • 仕事以外の友人が少なく日 中は家にこもりがちなこと • 日中、一人で気軽に行ける 場所がないこと 定年退職後の男性で、妻と二人暮らし。時間に余裕はあり、 地域活動にも関心はあるが、これまで参加したことがない • 興味があることについて、誰か と楽しく会話すること • 退職前は出来なかった新たな楽 しみを見つけられること 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 ポイント
  31. 38 提供者・利用者の情報やユーザーリサーチから得られた分 析結果をもとに、サービスを通して得られる、提供者や利 用者の価値(望ましい体験やあるべき姿)を考えます。 提供者・利用者の双方のメリットを考えてサービスが提供 すべき価値を記入しましょう。 価値エリア記入のポイント 「利用者(提供者)の実現したいこと」に対して「なぜ?」「それって どういうこと?」と何度も問いかけ、「理想のあるべき姿」を掘り下げ ると「利用者(提供者)の価値」にたどり着くことができます。

    価値は「取り組むべき課題」「解決策」に深く関わる部分ですのでじっ くり考えて書きましょう。 提供者 エリア 利用者 エリア 価値 エリア 解決策エリア ポイント ポイント 価値エリア 提供者の価値 利用者の価値 • 地域住民にとって施設が日常的に利 用される、生活の一部のような存在 となること • 地域活動に対する住民の参加が増え ること • 日常生活で、自分の「居場所」が自 宅以外にもあると実感できる • 地域活動への参加を通して、生活に 張り合いがでること 1 . 4 東京都サービスキャンバス 価値 エリア 重要な考え方 ⚫ 利用者が望むことや困りごと・嬉しさについて その利用者ならではの視点をもとに価値を検討する ⚫ 利用者の価値を書く際、提供者の都合で価値の範囲を 狭めないようにする ✓ 利用者と提供者双方に価値がある状態を想定する ✓ 提供者・利用者の「価値エリア」と「実現したいこと」 の整合をとる 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 実施すること 「価値」とは利用者や提供 者が実現したいことを踏ま えて、「望ましい体験」や 「理想のあるべき姿」を捉 えたものです。 記入の例 夫婦で子育てに関する情報を スムーズに共有したい 夫婦が対等に支え合って 子育てができる 利用者の実現したいこと 利用者の価値 理想のあるべき姿は? 求めていることは情報共有だけ? 結局、どうしたいのか?
  32. 39 利用者の価値・提供者の価値:利用者や提供者の実現したいことの延長 線上にある「望ましい体験」や「あるべき姿」を深掘りします。 チェックすべきこと ⚫ 提供者や利用者が望むメリットや喜びが、そ れぞれの価値に反映されている ⚫ 誰にでも当てはまることを書くのではなく、 その利用者ならではの価値が捉えられている

    ⚫ 利用者の価値を書く際、提供者の都合で価値 の範囲を狭めないようにする ポイント 価値エリア 提供者の価値 利用者の価値 • 地域住民にとって施設が日常的に利用され る、生活の一部のような存在となること • 地域活動に対する住民の参加が増えること • 日常生活で、自分の「居場所」が自宅以外 にもあると実感できる • 地域活動への参加を通して、生活に張り合 いがでること 1 . 4 . 1 価値エリア 利用者・提供者がサービスに対して期待している価値を 双方の立場で考えましょう なぜ居酒屋ではない行きつ けの場所が欲しいか? どうして友人を増やしたい のか? 「生活に張り合いが ある」とはどんな状 態か? 利用者が最も実現したいこと • 居酒屋以外に行きつけの楽しめ る場所を増やす • 仕事以外の友人を増やす 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 1.1ユーザーリサーチ 1.2リサーチ結果整理 1.3利用者/提供者エリア記入 1.4価値エリア記入 利用者の価値 • 新たな居場所での活動を通じ て地域社会へ貢献するなど、生 活にもっと張り合いがほしい 実現したいことの深堀り ・日常生活で、自分の「居場所」が自 宅以外にもあると実感できる ・地域活動(新たな活動)への参加を 通じて生活に張り合いがでること • よく行く場所が増えること • 友人が増えること 利用者の価値 価値エリア検討の流れ 「最も実現したいこと」から直接価値を導くと、単に「行く場 所や友人が欲しい」となってしまいます。実現したいことを深 堀りして「生活にもっと張り合いが欲しい」という欲求まで明 らかにすることで、具体的な価値を導き出すことができます
  33. 40 ユーザーへの提供価値を定めた後はサービスを立 案するために、解決すべき課題と解決策を検討し ます。 専門家や第三者の協力を得ることで企画の精度を 高めることができます。 サービスが社会へ与える影響を考えながら最終的 に目指す成果を検討し、東京都サービスキャンバ スの下半分にその検討した内容をまとめます。 企画

    - サービス立案 サービス立案の全体像 進め方 2 タスク 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン •価値の阻害要因となる課題の洗 い出し •課題の真因の深掘り •課題の優先順位付け 2.1 課題の整理 • 課題一覧 • サービスの図式化・ワイヤーフ レームの作成 • 第三者によるレビュー実施 2.3 仮説の検証 • ワイヤーフレーム • 仮説検証結果 •課題に対する解決策を展開 •行政が実行すべき解決策の絞り込 み 2.2 解決策の整理 • 課題の解決策案 • 「最も実現したいこと」や「価 値」との整合性を考えながら、 短期と中長期の成果を整理 2.4 目指す成果 の整理 成果物例 • 東京都サービスキャンバスの解 決策エリア記入と、記載内容全 体の見直し 2.5 東京都サービス キャンバス記入 • 東京都サービスキャン バス (解決策エリア) 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討
  34. 41 ユーザーの価値を実現するために行政が取り組むべき課 題が何かを特定します。なぜ現状では価値が実現できて いないのか?を深掘りすることでサービスの機能や要件 が明確になります。 課題を深掘りすることの重要性 目の前の理解しやすい表面的な課題だけでなく、課題の真 因まで深掘りすることが、ユーザーにとって満足度の高い サービスにつながります。 課題を深掘りするための2つの観点

    ① 潜在的な課題の深掘り:ユーザーの発言や行動について、 「なぜ、そうなっているのか?」「どういう意味を持つ のか?」など、心の声を掘り下げて潜在的な課題を考え ることが重要です。 ② 様々な視点での課題の深掘り:ユーザーの課題には、 様々な関係者の存在や利害が背景にある場合があります。 「ユーザー自身」「会社や行政の仕組み」「社会通念」 など、様々な視点から課題を深掘りましょう。 ポイント 2 . 1 課題の整理 父親本人の関与を望 む気持ちが薄い 会社や社会の制度的 に関与しづらい 課題の深掘りの例 ユーザー自身視点 会社や行政の仕組み視点 … … … … <課題> 父親による子育 て関与が少ない 観点① なぜそうなっ ているのか? 観点② 他の視点でとらえると? 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 重要な考え方 ⚫ ユーザーの嬉しいこと・困りごと・実現したいこと・価値 などの背景に、どんな根本的要因があるのかを考えた上で、 課題を記入する ⚫ 価値が達成されていない現状に対して、「なぜ?」を繰り 返し問うことで課題の深掘りを行う。また、課題同士の因 果関係も注視し、真因を探るよう努める 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入 実施すること ✓ 潜在的な課題や俯瞰視点を意識しながら、理由や原因を深 ぼる ✓ ユーザーが抱えている課題を洗い出し、優先順位を付ける
  35. 42 解決策の整理の流れ 取り組むべき課題を特定した後は、それらの課題に対し、 より良い解決策の仮説を導いていきます。解決策のアイ デアを、前例や制約に囚われすぎず多様な視点で展開し、 優先度を設けてアイデアを選定した後、行政が取り組む べき解決策の仮説を決定します。 「発散」と「収束」のどちらのための議論か意識しましょう。 • 検討の幅を拡げるため、前例や制約に

    囚われずに、解決のための問いやアイ デアを発散する • アイデアを分類し、他の切り口がないか 検討する • 専門家の知見なども有効活用する アイデアに 更なる切り口は ないか検討する • 利用者観点、提供者観点、社会的観点 といった評価観点を設定したうえでア イデアを評価し、解決策を決定する アイデアを 評価し 意思決定する 利用者観点 価値との整合性があるか / 使いやすいか / 多くの利用者に便益があるか 提供者観点 東京都が行うべきか / 運用性が良いか / 展開性があるか 社会的観点 倫理的か / 不利益者はいないか / リスクは少ないか 2 . 2 解決策の整理 なお、アイデアを議論する際にはホワイトボードや付箋、オンラインホ ワイトボードツールであるMiroなどを積極的に利用しましょう。 多様な視点で アイデアを 考える 評価観点の例 発散 収束 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 重要な考え方 ⚫ 利用者と提供者の価値と解決策が整合しているか確認する ⚫ 民間ではなく、行政が取り組むべきか検討している ⚫ サービス展開により生じるリスクを把握している 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入 実施すること ✓ 解決すべき課題と解決方法を幅広く洗い出す ✓ 解決策は専門家などの多様な知見をもとに検討し、 優先順位を付けて選定する
  36. 43 解決策となるサービスの仮説ができたら、簡易的な検証 方法(ワイヤーフレーム作成など)を用いて立案した サービスが価値提供において妥当かどうか確認し、仮説 を見直します。ユーザーを巻き込んだ検証ができると、 満足度の高いサービスに繋がりやすくなります。 仮説の検証の流れ 仮説をもとにサービスを精緻化したものやワイヤーフレーム などを作成して、関係者にレビューをしてもらいましょう。 •

    東京都サービスキャンバスに記入した内容を もとにサービスの利用の流れや必要な機能を 書き出す サービス の 精緻化 • サービスを形にした時にどのような機能やコ ンテンツが必要か画面のイメージを書き出す ワイヤー フレーム の作成 • サービスの関係者や、利用者に詳しい専門家、 ターゲットとなる想定ユーザーなどに、作成 したサービス図やワイヤーフレームを提示し てレビューをしてもらう 関係者 からの レビュー 自分たちでできる素早く手軽な方法(パワーポ イントや紙とペンなど)で作成しましょう。 デザインの作り込みは不要です 「利用者が価値を感じられるか?」は 可能な限り企画段階で検証してください ポイント ポイント 2 . 3 仮説の検証 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 重要な考え方 ⚫ サービス企画内容が利用者、提供者双方にとってどのよう な価値を提供するか、具体的に把握する ⚫ 定義した価値と解決策が、利用者にとって嬉しいものに なっているか、困りごとを解決しているか確認する ⚫ サービスの利用に際して想定される困難などが明らかに なった場合、対策を検討する 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入 実施すること ✓ 検討したサービスの仮説に対してユーザーが価値を感じら れるか関係者を交えて検証し、必要に応じて仮説を見直す
  37. 44 理想の体験 「自分に合った 授業動画を 探したい」 … 利用者が入力 する内容 利用者の入力 データ

    必要な機能・ コンテンツ 利用者に適切な コンテンツ 課題 「どの授業を受 ければいいか 分からない」… メニュー 学習コンテンツの取 り組み状況をグラフ で可視化 おすすめ 写真と テキスト 写真と テキスト お知らせコンテンツ お知らせ 最後に学習した内容 サービス精緻化の例(テーマ:教育コンテンツ) ・ユーザーの好み ・学年 ・成績 … ・条件に合った 授業動画 ・学習状況 … ワイヤーフレームの例 手書き パワーポイント 素早く手軽な方法(パワーポイ ントや、紙とペンなど)で作成 し、機能やサービス要件につい て具体的に審議しましょう。 サービスの仮説を図や文字で具体化することで、サービスの 要件として考えるべき点や、サービスを提供する際に注意が 必要な点について気付くことができます。まずサービス内容 の精緻化を行い、次にワイヤーフレームを作成しましょう。 ⚫ サービス精緻化:サービスに必要な要件を整理するために 行います。例えば右図のように、仮説検討時にカスタマー ジャーニーマップで整理した「課題」と「理想の体験」か ら、サービスの要件を具体化する手法が有効です。 ⚫ ワイヤーフレーム:サービスのインターフェースのイメー ジを簡易的に書き出したものです。サービスの図式化で具 体化した要件が、実際のサービスにおいてどのような形に なるかを整理することで、必要な機能やコンテンツを検討 します。シンプルな線や図で作成することができます。 2 . 3 . 1 仮説検証のためのワイヤーフレーム作成のポイント サービスを図や文字を使って形にしてみましょう サービスを図式化する中で洗い 出した要件が、どのようなサー ビスとして提供されるかワイ ヤーフレームで表現しましょう。 サービス内容の精緻化 利用者における課題と理想の体験 (カスタマージャーニーマップを参考に記載) 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入
  38. 45 目指す成果を整理する流れ 検討しているサービス企画内容が社会や公共にどのように貢献 できるか考えながら、「中長期的に目指す成果」や「目指す成 果」を具体化します。 次にその目指す成果の達成状況をどのような「活動評価指標」 で測れるかを検討しましょう。 中長期的に 目指す成果 2

    . 4 目指す成果の整理 ポイント サービスの リリース 1-2年後 3-5年後 例のテーマ: シニア層向け地域活動紹介サイト 目指す成果 活動評価指標 行政としてリソースを使い関係者を巻き込んで取り組む ためには、目指す成果をしっかり言語化することが大切 です。サービスが実現した先のビジョンを考えながら、 社会・公共にどのような効果をもたらすか、それはどの ような指標で測れるか、を具体化します。 シニア層にとっての社会的 な居場所が新たにできる 例 地域活動やイベントへの参 加者が増える 例 イベント参加人数の増加、 宣伝ページ閲覧数の増加、 都民満足度評価結果の改善 例 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 重要な考え方 ⚫ サービス実現から成果創出までのストーリーが、 第三者にとって違和感がないか確認してもらう ⚫ 目指す成果に対して、実現したいサービスが本当に有効か、 成果創出までのストーリーを追いながら確認する 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入 実施すること ✓ 実現したいサービス内容・目指す成果・評価指標を、 一貫性のあるロジックで整理する
  39. 46 これまでの検討を踏まえて東京都サービスキャンバスの 解決策エリアを記入します。キャンバスの上半分のエリ アも合わせて確認し、改めて各項目間の繋がりを意識し て見直しましょう。 課題と解決策の記入のポイント 価値を実現するための解決策を考えるエリアです。解決策の良 し悪しは、その前提となる課題設定によって大きく左右されま すので、的確な課題を設定した上で解決策を考えましょう。 目指す成果の記入のポイント

    サービスによって目指したい成果を考えるエリアです。 行政として相応のリソースを使い、関係者(事業者など)を巻 き込んで取り組むためには、その先にどのような社会を目指し たいか?というビジョンを言語化することが大切です。 解決策エリア 取り組むべき課題 解決策(実施内容) 施設に対する住民の認知度が低い(利 用者にとっては自宅以外の「居場所」、 地域活動の拠点になりうるということ が知られていない) • 施設の使い方や地域活動の最新イベントを紹介 するホームページを作り、希望者にはメルマガ を配信する • ホームページでは、自分にあった施設やイベン トをキーワード検索できる機能を搭載する 中長期的に目指すこと 目指す成果 社会的な居場所づくり、市民同士の支え合い活動の推進 • 地域活動やイベントへの参加者が増える • シニア男性が地域活動に参加することで、 独居老人や孤独感に悩む高齢者が減少する 活動評価指標 • 施設利用者数と男性シニア層利 用者の増加率 • ホームページで紹介される地域 イベント数 2 . 5 東京都サービスキャンバス 解決策 エリア 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 重要な考え方 ⚫ 各項目について下記を確認する ・ 課題:行政が合理的に解決できそうか ・ 解決策:行政が取り組むべき妥当性があるか ・ 活動評価指標:実際に計測可能か ・ 施策を普及するための手段: ユーザーやステークホルダー※1に対し、効果的かつ合理的か ・ サービスの開発と運用に必要な活動とリソース: 期限や技術的制約などの留意点を考慮できているか 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入 実施すること ✓ 行政が取り組むべきか、といった観点のもとに記入する ✓ 東京都サービスキャンバス全体を見直す ※1:「ステークホルダー」とは組織の活動により利益・損害を受ける関係者や団体を指します。
  40. 47 解決策エリア 取り組むべき課題 解決策(実施内容) 施設に対する住民の認知度が低い (利用者にとっては自宅以外の「居場所」、地域活動の拠点にな りうるということが知られていない) • 施設の使い方や地域活動の最新イベントを紹介するホームペー ジを作り、希望者にはメルマガを配信する

    • ホームページでは、自分にあった施設やイベントをキーワード 検索できる機能を搭載する 解決策エリアは、必ず左上の「取り組むべき課題」から記入し「解決策(実施内容)」の検討へと進むようにしてください。 解決策がすでに決定している場合でも、その解決策を記入した上で、課題と整合が取れているかを確認してください。 チェックすべきこと ⚫ 利用者の困りごと・実現したいこと・価値などの背景にある 根本的要因を踏まえ課題が策定されている ⚫ 解決することで、利用者に大きな価値が生まれる課題が策定 されている ⚫ 合理的に解決できそうな課題が策定されている ⚫ 解決策は運用しやすく、展開しやすいものである ⚫ 取り組むべき課題:利用者の価値を実現するために、行 政が取り組むべき課題を書きます。 ⚫ 解決策(実施内容):取り組むべき課題を解決するため の方法を書きます。「ウェブサイト」「アプリ」のよう な手段だけではなく、「それを使ってどのようなことが 可能になるのか」を考えてください。 2 . 5 . 1 解決策エリア 課題と解決策 行政が取り組むべき課題と解決策を考えましょう 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入
  41. 48 チェックすべきこと ⚫ 中長期的に目指すこととして、サービス実現後のビジョン を書けているか確認する ⚫ 活動評価指標は成果と因果関係が明確であり、 かつ実際に計測が可能な項目を設定する ⚫ 目指す成果:サービスの実現によって価値が実現された、

    望ましい社会や公共の状態を書きます。 ⚫ 中長期的に目指すこと:「目指す成果」を達成すること で、将来的に行政として社会にどのような良い効果を与 えられるか、長期的な目線で書きます。 ⚫ 活動評価指標:既存の事業目標やKPIをそのまま書くの ではなく、「目指す成果」やその過程の達成状況を適切 に評価するための定量的な指標を考えて書きます。 中長期的に目指すこと 目指す成果 活動評価指標 社会的な居場所づくり、市民同士の支え合い活動の推進 • 地域活動やイベントへの参加者が増える • シニア男性が地域活動に参加することで、独居老人や孤 独感に悩む高齢者が減少する • 施設利用者数と男性シニア層利用者の増加率 • ホームページで紹介される地域イベント数 2 . 5 . 2 解決策エリア 目指す成果 解決策を実現することで社会がどう良くなるかを思い描きましょう 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入
  42. 49 チェックすべきこと ⚫ 施策を普及するための手段が、想定するユーザーや関係者 に対して、効果的かつ合理的か確認する ⚫ サービスの開発と運用に必要な活動とリソースは、期限や 技術的制約などの留意点を考慮できているか確認する ⚫ 期待される成果に対し、実現に必要なリソース

    (予算や運用コスト)が大き過ぎないか確認する ⚫ 施策を普及させるための手段:サービスを利用者に告知 するための手段や、必要な広報活動を書きます。 ⚫ 解決策を実現するための活動とリソース:サービスの開 発と運用に必要な活動とリソースを書きます。期限や技 術的制約など、事業計画上留意すべき条件があればそれ も書いてください。 2 . 5 . 3 解決策エリア 実現可能性を高める要素 解決策を実現するために必要なものを整理しましょう ・予算 ・期間 ・想定利用者数 ・想定される利用者 一人あたりのコスト 解決策エリア 中長期的に 目指すこと 取り組むべき課題 解決策(実施内容) 施策を普及させるための手段 解決策を実現するための活動とリソース 目指す成果 活動評価指標 施設に対する住民の認知度が低い(利用者にとっては自 宅以外の「居場所」、地域活動の拠点になりうるという ことが知られていない) 社会的な居場所づくり、市民同士の支え合い 活動の推進 • 地域活動やイベントへの参加者が増える • シニア男性が地域活動に参加することで、独居老人 や孤独感に悩む高齢者が減少する • 施設利用者数と男性シニア層利用者の増加率 • ホームページで紹介される地域イベント数 ホームページの存在を伝えるチラシを市報に挟 んで配布する • 施設の使い方や地域活動の最新イベントを紹介するホームページを 作り、希望者にはメルマガを配信する • ホームページでは、自分にあった施設やイベントをキーワード検索 できる機能を搭載する • ホームページ開発でXXX万円。運用で月XX万円 • 令和X年X月公開 • 月間アクセス数 XX万人 • 利用者ひとりあたり XXX円 ホームページの開発会社へ依頼、開発後に運用を担当する職員1名が必要 ・予算 ・期間 ・想定利用者数 ・想定される利用者 一人あたりのコスト 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入
  43. 50 企画プロセスの最後には、「提供者エリア」「利用者エ リア」「価値エリア」と「解決策エリア」の内容が論理 的に正しく接続されているかを見直し、解決策が価値を 創出できるものになっているか、確認します。 サービス企画のゴールは企画を考えることではなく、 ユーザーに価値を提供できる解決策を考えることです。 内容が正しく接続されていない場合は、利用者や提供者 の視点を踏まえ企画自体を見直す必要があります。 ⚫

    解決策は利用者が問題なく利用できる方法か確認する ⚫ サービス利用の際に困難が想定される場合、補助手段を検 討しているか確認する 「価値エリア」の内容との接続 ⚫ 解決策と目指す成果は、利用者や提供者に期待する価値を 提供できるものになっているか確認する 「利用者エリア」の内容との接続 ⚫ 提供者にとっても喜ばしいことが生じる解決策になってい るか確認する 「提供者エリア」の内容との接続 チェックすべきこと 2 . 5 . 4 サービス立案の仕上げのポイント サービス企画の全体像を見直しましょう 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 2.1課題の整理 2.2解決策の整理 2.3仮説の検証 2.4目指す成果の整理 2.5キャンバス記入 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  44. 51 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ

    ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 企画がまとまったら、サービスを実現する準備 をします。要件定義を通して解決策となるサー ビス像や必要な機能を整理した後、仕様書を作 成し、共にサービスを作りあげる事業者を選定 します。 仕様書は事業者に向けてサービスイメージが伝 わることを意識し、後続の開発工程・リリース 後の運用像を見据えて作成します。 企画 – 要件定義・調達 要件定義・調達 3 • 解決策となるサービス像を具体的 に整理 • 実現すべき要件抽出 (必要な業務要件・機能要件・非 機能要件) 進め方 • 仕様書の作成とレビュー • 事業者の選定実施 3.1 要件定義 3.2 仕様書作成 タスク ・要件定義書 ・仕様書 成果物例 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討
  45. 52 実現したいサービス像に欠かせない業務要件を具体化し ます。機能ばかりに注目するのではなく、サービスの目 的やユーザーに提供したい価値に立ち返りながら、実現 したい要件を抽出しましょう。※1 要件定義の例 *出典5 業務要件 システム要件 機能

    画面 帳票 データ 外部インター フェース 機能要件 非機能要件 業務実施手順 規模 時期・時間 場所等 管理すべき指標 情報システム化範囲 業務の継続の方針等 情報セキュリティ ユーザビリティ アクセシビリティ … 性能 セキュリティ 運用・保守 決めるべき要件の種類 要件定義で決めるべき範囲を確認した上で、実現する機能ば かりに目を向けるのではなく、利用者・提供者双方への価値 に繋がる要件は何かを検討しましょう。 ポイント 要件が対応可能な範囲を超えた場合、企画の目的や費用対効 果、機能の代替手段といった観点から、要件に優先順位を付 けます。 それぞれの項目は互いに関連しているため、 整合性を意識しながら検討しましょう ポイント ※1:要件定義から事業者が担当するケースもありますが、その場合もサービス目的や価値をふまえた要件となるよう協働しましょう。 3 . 1 要件定義 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 3.1要件定義 3.2仕様書作成 重要な考え方 ⚫ 業務要件・機能要件・非機能要件の違いを理解した上で、 仕様書に盛り込むべき、主要な要件を明らかにする ⚫ 既存システムやデータを有効活用できるか考慮する ⚫ 利用者のアクションに対してどのような業務や処理が発生 するか、サービス全体像を可視化しながら検討する 実施すること ✓ 東京都サービスキャンバスの内容と整合するように、 実現したいサービス像の要件を具体化する
  46. 53 想定する利用者例 仕様書に盛り込むべきポイント例 仕様書の作成で気を付けるべきポイント 仕様書の確認では、東京都サービスキャンバスを用いて ユーザーがサービスを使用する場面をイメージしましょう。 事業者の調達時に、正しくサービス像や要望を伝えられ るよう、要件定義結果をもとに仕様書に落とし込みます。 ポイント 事業者と連携するべきこと

    業務委託の際には、より良いサービスを開発するための要件 を追加し、サービス開発期間を見積もりましょう。 • プロトタイピングによる基本設計確認 • ユーザビリティテストの実施 • リリース後の継続改善に向けたモニタリング機能実装 ポイント サービス開発が事業者任せとならないよう、チーム全体で開発 の全体像が理解できる作成物を準備しましょう。 • サービスブループリント • サービスの業務フロー など デジタル ネイティブ世代 サポートが 必要な人々 スマホをメインに様々なデバイスで 快適に利用しやすいサービス仕様 アクセシビリティ対応や多言語対応 など、利用者がサービスにアクセス しやすいサービス仕様 3 . 2 仕様書作成 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 3.1要件定義 3.2仕様書作成 重要な考え方 ⚫ 事業者と調整する際は、プロトタイピングやユーザビリ ティテストなど、開発工程の重要成果物の作成やそれを見 据えたスケジュールについて予め協議しておく ⚫ 事業者と職員が連携しやすい仕様内容を心がける 実施すること ✓ 実現性も加味しながら、実現したい要件を抽出して仕様 書に落とし込む ✓ 仕様書内容がサービス企画の目的から逸れていないか、 作成後に確認する
  47. 54 イメージしているサービスを適切に実現するため には、サービス開発の関係者間で、サービス全体 像について共通認識を持つことが重要です。共通 認識の形成は口頭で済ませるのではなく、サービ ス全体像を可視化した作成物(サービスブループ リントなど)を用いて理解を擦り合わせましょう。 ⚫ サービスブループリント:サービスの全体的な フローと、利用者と提供者間のやり取りを視覚

    化するための作成物です。これには、利用者の 接触点(タッチポイント)や行動、利用者から 見える提供者の活動、利用者から見えない提供 者の活動が含まれます。 時間の経過 利用者の 行動 利用者 の接触点 提供者の 内部で 発生する 活動 申請サイト を訪問 サポート のための プロセス・ システム 利 用 者 と の や り と り 利 用 者 か ら 見 え な い や り と り 内 部 と の や り と り 申請サイトで 必要な情報を 表示 ゴミ出し内容 に応じた情報 を表示 電子申請 システム サービスブループリントの例(テーマ:粗大ゴミを出す際の申請) 必要な情報を フォームに 入力 申請フォーム 画面を表示 申請内容を 回収業者 と連携 回収業者と 連携するため のシステム 申請内容を 確認して 申請 審査結果及び 回収日連絡 メールを配信 回収日程の 確定メールを 受け取り、 処理券を購入 処理券を 貼り付け、 粗大ゴミを 出す コンビニで 処理券を 販売 粗大ゴミを 回収業者 が回収 コンビニと 処理券を管理 するための システム 粗大ゴミ 回収作業の 管理システム 処理券を回収 業者が受領 3 . 2 . 1 サービスの全体像への共通認識を持つためのポイント サービスブループリントで全体像を可視化し、共通イメージを持ちましょう 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 3.要件定義・調達 2.企画-サービス立案 1.企画-仮説検討 3.1要件定義 3.2仕様書作成
  48. 55 より良いサービスを効率的に開発するために、生成AIを積極的に活用しましょう 東京都では生成AIとしてMicrosoft 365 Copilot Chatを 導入し、利用を推奨しています。サービス開発において も様々な場面で生成AIを活用することで、各タスクを効 率的に実行できます。 生成AIの活用にあたっては、その特徴を事前に理解して

    おくことが重要です。例えば、生成AIの得意分野として は「アイデア出し」 や「文章作成の補助」があります。 一方で注意点として、生成AIの回答は必ずしも正確では ない点などが挙げられます。生成AIの回答はあくまで参 考とし、必ず都職員自身で改めて検討や調査を行いま しょう。詳細は次のページでご紹介します。 ※プロンプトとは、生成AIから応答を引き出すための指示・命令文です。 サービスデザインにおける生成AI利活用(1/2) コラム サービス開発における生成AIの活用例 サービス 立案 要件定義 仮説検討 生成AIの活用例としては以下のようなものが挙げられます。 注釈付きの活用例①〜③については、p57~59で具体的なプロン プトを紹介しています。 ⚫ 利用者における課題仮説のアイデア出し ⚫ アンケートやインタビューの調査票作成 ※活用例① ⚫ 調査結果の要約 ※活用例② ⚫ ネット情報の収集 ⚫ ペルソナのアイデア出し ⚫ 解決策のアイデア出し ※活用例③ ⚫ サービスに必要な機能の洗い出し など 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  49. 56 生成AIから求めている回答を得るためには、プロンプトのコツを理解しておくことが重要です ※生成AIの利活用方法や注意点等の詳細は、「文章生成AI利活用ガイドライン(リンク)」をご確認ください サービスデザインにおける生成AI利活用(2/2) コラム 有効なプロンプト(文章生成AIへの指示・命令文)のコツ 生成AI利用時の注意点 ① 個人情報等、機密性の高い情報は入力しない ②

    生成AIの回答を配信・公開等する場合は既存の著作物 に類似しないか注意する。また類似する文章の生成に 繋がるようなプロンプトを入力しない ③ 生成AIの回答をそのまま使用する場合はその旨を明記 する ④ 生成AIの回答の根拠や裏付けを必ず自身でも確認する ⑤ 定量的なデータの整理・分析(例:選択式のアンケー ト回答結果の分析など)については、生成AIの特性上 回答が誤っている可能性が特に高いため、結果を十分 に確認する ⚫ 立場や目的を具体的に記入する 行政分野や生成AIに与える役割などの「立場」や、プロ ジェクトの「目的・背景」を具体的に入力することで回 答の精度が高まります。 ⚫ 出力形式を指定する 文字数や順番、箇条書きなどの出力形式を指定すること で回答が整理されます。 ⚫ 質問と回答を繰り返す 上手く回答を得られなかった点について条件を追加して 質問することで、回答の内容をブラッシュアップするこ とができます。 ※記載項目が多い場合はハッシュタグ(#)を使い構造を整理しましょう 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  50. 57 生成AI活用例① アンケート調査票の設計 コラム プロンプト例 あなたは地域の公共施設の情報発信を担当してい る東京都庁の職員です。 住民における地域の公共施設への関心を高め、利 用人数を増やす施策を検討しています。 施策のメインターゲットは、定年退職後に家にこ

    もりがちな高齢者です。 施策を検討する上で参考となる情報を把握するた めに、地域住民に対してアンケートを実施する必 要があります。 以下の条件に従ってアンケート調査票を作成して ください。 ・設問数は8個 ・事前に公共施設とターゲットについて情報を検 索し理解を深め、把握すべき情報を洗い出したう えで、アンケート項目を作成してください。 生成AIの回答例 1. あなたの年齢を教えてください。 60歳未満 / 60歳〜69歳 / 70歳以上 2. あなたの現在の生活状況について教えてください。 一人暮らし / 配偶者と同居 / その他 3. 定年退職後はどのような活動をしていますか?(複数選択可) 趣味 / ボランティア活動 特に何もしていない 4. 公共施設を利用したことがありますか? はい / いいえ 5. 公共施設利用の際に重視することは? (複数選択可) 利便性 / 施設の清潔さ / スタッフの対応 / サービスやプログラ ムの内容 6. 公共施設でどのような活動やイベントがあれば参加したいと 思いますか?(複数選択可) 趣味の講座 / 健康プログラム / 地域交流イベント / その他 7. 公共施設利用の際にどのような不便を感じますか?(複数選択 可) 交通手段がない / 施設情報の不足 / 利用料が高い / その他 8. 公共施設に対するご意見やご要望があれば教えてください。 立場 目的・指示 形式 目的・背景 前提 ※Microsoft 365 Copilot Chat(GPT-4の学習データ+Bing検索結果)で作成しました。 生成AIにアンケートの目的や形式を伝えることで、具体的な質問案が得られます。この質問案 を元に項目の追加・修正を行うことで、効率的にアンケート調査票を作成できます 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  51. 58 生成AI活用例② アンケート結果の要約 コラム プロンプト例 あなたは地域の公共施設の情報発信を担当してい る東京都庁の職員です。 地域の公共施設に関するアンケートを実施したと ころ、意見・要望として以下の回答が得られまし た。

    以下の条件に従って回答を要約してください。 #出力形式 ・近い課題はまとめて整理する ・優先順位をつける #回答 ・地域センターに昔は行っていましたが、最近は 知り合いがおらずイベントにも参加しづらいです。 ・イベントの情報をどこで見ればいいか不明。 ・体調的に長時間のイベントは参加が難しいです。 ・イベントの内容が自分に合わないと感じること が多い。(以下省略) 生成AIの回答例 優先順位1: イベントの内容と時間帯 ・内容が自分に合わない、若者向けに感じることが多い ・高齢者向けのプログラムを増やしてほしい ・イベントの時間帯が合わないことが多い 優先順位2: イベント情報の不足 ・イベントの情報をどこで知ればいいか分からない ・イベントの案内が遅れて届くことがある ・施設に行かないとイベント内容が分からない 優先順位3: サポートと案内 ・家族のサポートが必要で、一人で参加するのが難しい ・サポート体制の充実を希望 ・早めの案内を希望 優先順位4: イベントの質と進行 ・過去に参加したイベントが期待外れだった ・質の向上を希望 ・イベントの進行が遅く、待ち時間が長いことがある ・スムーズな進行を希望 定性的な質問は回答結果の整理に手間がかかりますが、生成AIにアンケート結果を読み込ませ ることで、簡単に要約することができます 立場 目的・指示 形式 データ ※回答データを読み込ませる際、個人情報や機密情報が含まれていないことを 確認しましょう。 ※Microsoft 365 Copilot Chat(GPT-4の学習データ+Bing検索結果)で作成しました。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  52. 59 生成AI活用例③ 解決策のアイデア出し コラム プロンプト例 あなたは地域の公共施設の情報発信を担当してい る東京都庁の職員です。 地域の公共施設の利用者を増やすための施策のア イデアを、以下の情報を踏まえて回答してくださ い。

    #条件 ・費用対効果が高い ・メインターゲットは定年退職後に家にこもりが ちな高齢者 #利用者へのアンケート結果 ・公共施設で行われるイベント情報の発信が不足 している ・イベントの内容に興味を持てない ・公共施設に行っても知り合いがおらず心細い (以下省略) 生成AIの回答例 1:イベント情報の発信強化 公共施設で行われるイベント情報をより効果的に発信するため に、地域の新聞やラジオ、SNSなどを活用しましょう。特に、 定年退職後の男性がよく利用するメディアをターゲットにする ことが重要です。また、施設内にデジタルサイネージを設置し、 リアルタイムでイベント情報を表示することも効果的です。 2:興味を引くイベントの企画 定年退職後の男性が興味を持つようなイベントを企画しましょ う。例えば、趣味のクラブ活動(囲碁、将棋、釣りなど)や健 康維持のための運動教室に関する講座などが考えられます。 3:コミュニティの形成 公共施設に来る利用者が知り合いを作りやすい環境を整えるこ とも重要です。例えば、定期的な交流会を通じて、利用者同士 が自然に交流できる場を提供しましょう。また、初めての利用 者にはウェルカムイベントを開催し、他の利用者との交流を促 進することも効果的です。 アイデア出しは生成AIの得意分野です。壁打ち相手として積極的に活用しましょう。アイデア の条件や参考となるデータを伝えることで、回答の精度を高めることができます 立場 目的・指示 条件 データ ※Microsoft 365 Copilot Chat(GPT-4の学習データ+Bing検索結果)で作成しました。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 考 え る 3章 サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン
  53. 61 4章では、サービスを実現する時のプロセスや 注意事項を説明します。 ここから先のサービス開発工程は事業者が担当 するケースが多いですが、3章で検討していた サービス企画をイメージ通りに実現するために は、事業者との協働が重要です。 コミュニケーションする上でも、どのような作 業工程があり職員は何を意識すべきか把握する ことは重要な要素の一つですので、ぜひ事業者

    との調整前にもお読みください。 4章 の 内 容 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 61 設計 – 基本設計 / 詳細設計 1 p.63 開発 2 p.68 テスト・改善 3 p.69 リリース 4 p.70
  54. 62 4章の全体像・使い方 サービスを実現する、設計、開発、テスト・改善、リリース 要件定義・調達完了後は、事業者と協働しながらサービス仕様の設計に着手し、開発を進めます。 これらの工程ではユーザーの価値を達成できるサービスになっているか、確認しながら進めるとともに、 事業者とのコミュニケーションや連携についても密に行うようにしましょう。 企画内容がターゲットユーザーのニーズや課題 に応えているか、プロトタイプをユーザーに試 してもらい検証する。事業者が作成した基本設 計・詳細設計をレビューする。

    事業者が設計内容に 沿ってサービスを開 発する。 サービス品質・仕様が 仕様書通りであり、 ユーザーにとって使い 勝手が良いか確認する。 ユーザーに公開する。 リリース後もユーザー の声をサービスに継続 して反映する。 ※1:「サービス」「プロダクト」とは現在作成・開発しているサービスの総称を指しています。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン リリース テスト・改善 開発 企画 / 要件 定義・調達 設計 詳細設計 基本設計 1 2 3 4 プロトタイピング 設計レビュー ユーザビリティ テスト 開発 リリース 基本設計書、 詳細設計書 β版、テスト実施計 画、テスト実施結果 プロトタイプ、 テスト実施計画、 テスト実施結果 サービス※1 、プロ ダクト※1、ユー ザーレビュー結果 など 成果物例 タスク 凡例 … プロセス
  55. 63 事業者が作成した設計内容をレビューしま す。設計は画面の要素や操作の流れを考え る基本設計と、細かい仕組みを決める詳細 設計に大別されます。 特に基本設計については企画していたサー ビス像から離れていないか、事業者と協働 しながらプロトタイピングを実施し、目指 すべきサービスを実現できるか検証しま しょう。

    設計 - 基本設計 / 詳細設計 設計の全体像 1 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 進め方 • プロトタイプの作成 • テスト計画書作成 • 確認ポイントの整理 • テスト環境やテスターの確保 • テスターによる評価・検証 • 検証結果の分析と設計検討 1.1 プロトタイピング • 事業者による基本設計書作成 • 設計レビューの実施 • レビュー結果を設計へ反映 • 事業者による詳細設計書作成 • 設計レビューの実施 • レビュー結果を設計へ反映 1.2 設計レビュー タスク 成果物例 基 本 設 計 詳 細 設 計 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 • プロトタイプ • テスト実施計画 • テスト実施結果 • 詳細設計書 • 基本設計書
  56. 64 プロトタイピングでは、プロトタイプと呼ばれる開発工程 前の作成物をユーザーに試してもらい、ユーザーの期待に 応えられているか、ビジュアルイメージやサービスのコア 部分の検証を行います。この検証で生じたユーザーの様々 な声の分析を行い、必要に応じて基本設計に反映します。 なお、実施手順の詳細や注意事項は「ユーザーテスト実施 手順書(リンク)」を確認してください。 プロトタイピングの流れ 事業者と協働しながら、「どんなことを検証すべきか?」

    「その検証のためにどんなプロトタイプが必要か?」「検証 結果をどう解釈すべきか?」などを順々に検討しましょう。 • 検証、判断したい事項を整理し、プロト タイピング実施対象の画面や機能を決定 する • 評価したい事項に基づいてテスターの選 定やテストシナリオを整理する 作成 対象の 決定 プ ロ ト タ イ ピ ン グ 実 施 計画 作成 評価 結果 分析 • テスターがプロトタイプを操作する • アンケート・インタビューを通してテス ターの評価を収集する • サービスの主要要件など、利用者の 期待値を満たしているか確認する • 重要な改善点は基本設計に反映する ポイント 1 . 1 プロトタイピング プ ロ ト タ イ プ 作 成 プロト タイプ 作成 • サービスを疑似体験できるプロトタイプ を作成する 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 1.1プロトタイピング 1.2設計レビュー 重要な考え方 ⚫ 検証では「企画どおりのサービスになりそうか?」という 観点だけでなく、「画面構成が分かり易いか?」「利用上 のストレスが無いか?」と言った設計観点も確認する 実施すること ✓ 事業者と協働してプロトタイピングを実施し、その 検証結果を基本設計に反映する
  57. 65 プロトタイピングの結果も踏まえて、事業者が作成した 基本設計の内容が企画していたサービス像と合っている か確認します。事業者から画面イメージの意図やデータ ベースの設計・管理方法などについて、説明を受けた上 で確認することが重要です。 要件定義、基本設計、詳細設計など、工程の呼称や範囲は プロジェクトや事業者によって異なります。 事業者へのコミュニケーション サービスの要件は基本的に要件定義書に記載されます。ただ

    し、サービスの詳細化に必要な発注の背景や要件の意図は、 要件定義書だけでは読み取れないため、設計工程で事業者と コミュニケーションしながら補足する必要があります。 ポイント 設計の検討のポイント 設計工程には大きく基本設計と詳細設計があり、検討するポ イントや成果物が異なります。 ポイント 工程 概要 成果物例 基本設計 システム全体の構成や、 外側から見える部分につ いて定める工程 • 画面イメージ • 機能一覧 • ER図※1 • 基本設計書※2 詳細設計 どのような仕組み・ ロジックで実装するか、 開発に向けて定める工程 • 詳細設計書※2 ※1:「ER図」はEntity Relationship Diagramの略称で、情報システムで扱う対象を実体とし、属性や実体間の関係性を図示した文書を指します。 ※2:基本設計書ではサービスの外部に関わる設計を、詳細設計書ではより詳細な各機能のプログラム構造、エラー処理などを文書化することがあります。 1 . 2 設計レビュー 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 1.1プロトタイピング 1.2設計レビュー 重要な考え方 ⚫ レビューは利用者目線だけでなく、リリース後の運用や更 新を見据えた提供者視点でも実施する (無理なく運用できそうか?将来的に他のサービスに展開できそう か?など) 実施すること ✓ 企画時に描いたサービス像をもとに、利用者視点で基本 設計内容をレビューする ✓ 詳細設計内容が基本設計・仕様書から逸脱していないか、 サービスの背景・意図を踏まえ確認する
  58. 66 申請者 部門 A 部門 B 対 応 事 業

    部 申請 内容 登録 出力 出力/ 発送 決裁 二次 審査 一次 審査 受領 結果 出力 内容 確認 結果 登録 申請者 部門 A 部門 B 対 応 事 業 部 申請 内容 登録 一次 審査 出力/ 発送 二次 審査 結果 確認 受領 結果 出力 内容 確認 結果 登録 決裁 システムにて 自動処理 処理結果の確認業務が 新たに発生 As-Is 業務フロー(現在の業務フロー)図の例 *出典5 To-Be 業務フロー(新たな業務フロー)図の例 *出典5 OK NG OK NG 設計工程では、開発内容が企画から外れていないことを確 認するほか、サービス実現により生じる業務への影響も把 握する必要があります。しかし、事業者の作業すべてを都 職員が理解・確認することは困難ですし、レビュー内容や 業務への影響を様々な関係者へ口頭や文面のみで正確に伝 えることも、容易ではありません。 そのため要件定義や設計では 「As-Is/To-Beの業務フロー 図」や「サービスブループリント※1」など、変更点や影響 範囲の全体像が可視化されたアウトプットを使い、認識合 わせをすることが望ましいです。業務の変更点や効果を可 視化することで、事業者による開発内容への共通認識を持 ちやすくなり、コミュニケーションもとりやすくなります。 1 . 2 . 1 設計レビューのポイント 全体像が可視化されたアウトプットを使い、開発内容の認識を合わせましょう ※1:「サービスブループリント」の概要についてはp54を参考にしてください。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 1.1プロトタイピング 1.2設計レビュー
  59. 67 開発工程は主に事業者が担いますが、開発完了 後にすぐにサービスがリリースされる訳ではあ りません。職員も協働して様々なテストを実施 し、サービスの機能や使い勝手に問題がないこ とを確認する必要があります。 ここでは、事業者が開発工程においてどのよう な作業を行っているか補足しつつ、職員にとっ て関連性の高いユーザビリティテストについて 説明します。

    開発 / テスト・改善 / リリース 開発〜リリースまでの全体像 2 / 3 / 4 ※1:ユーザビリティテストは、事業者が単体テストや結合テストなどを実施し、受入テスト前に作成されるβ版を元に実施されます。 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 進め方 • 事業者と連携して開発し、β 版を作成 • テスト実施準備 テスター確保、テスト環境(会場、 β版のシステムなど)確保 • 検証 テスト実施、結果分析 • 改善 課題を優先順位付けし、システム等 改善 • 事業者と連携してリリース対 応 • リリース後もユーザーの声を サービスに継続して反映 ユーザビリティ テスト※1 プロセス・タスク 成果物例 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 2 開 発 3 テ ス ト ・ 改 善 4 リ リ ー ス • β版 • テスト実施計画 • テスト実施結果 • サービス • プロダクト • ユーザーレビュー 結果
  60. 68 事業者が実施する開発内容は、事業の位置付けやサービ ス内容により異なります。アプリケーションやWebペー ジの開発のみ実施するケースもあれば、サーバーやデー タ基盤導入など環境構築から取り組むケースもあります。 実現したいサービス像から外れないようマネジメントす るためにも、WBS※1などで各作業の工程や期限を可視化 しながら定例会議でコミュニケーションをとり、サービ ス実現に必要な機能・スケジュールを認識しましょう。 開発工程での注意事項

    サ ー ビ ス を 実 現 す る ポイント 環境構築 クラウドサーバーなど、システムを構 築する環境を整備 データ基盤準備 データ格納先となる基盤を構築し、投 入データを加工し準備 ユーザーインター フェース開発 ユーザーが操作する画面やアプリケー ションを作成 アプリケーション・ システム開発 システムパッケージ導入やスクラッチ 開発などで処理機能を実装 「開発」で示される作業例 事業者の開発に関する業務 「開発」と一口にいっても様々な作業が発生します。事業者 の作業内容は具体的にどのようなものか、コミュニケーショ ンをとりながら把握するようにしましょう。 運用・保守のための検討について 開発管理と並行して、運用・保守の内容を事業担当者と共に 検討したり、サービス展開を見据えてマニュアルを作成する 必要があります。 ※1:「WBS」とはWork Breakdown Structureの略称で、プロジェクトの成果物あるいは仕事を分解して構造化したドキュメント、または手法を指します。 開発 2 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 実施すること ✓ 事業者と密に連携し、想定の品質・スケジュールで進行 しているか確認する ✓ 進行上の課題には、事業者や庁内メンバーを巻き込み、 打開策を検討する ポイント
  61. 69 事業者が実施する「テスト」の流れ リリース前にはβ版を作成し、ユーザビリティテストを実 施します。ユーザビリティテストでは、設計時の目的どお り「望ましい体験」が実現できているか、最終確認を行い、 課題があれば改善を行います。なお詳細は「ユーザーテス ト実施手順書(リンク)」を確認してください。 サ ー ビ

    ス を 実 現 す る ユーザビリティテストの流れ ユーザーが実際に開発したものに触れてから気付くことも 多くあります。軽微な修正は対応できるよう、テストから リリースまでは余裕を持つようにしましょう。 事業者は機能品質を確かめるべく、サービス開発後に単体、結 合テストなどを実施しβ版を作成します。β版でユーザビリ ティテストを実施後、都が行う受入テストの支援を行います。 ポイント ポイント ユーザビリティテスト テスト・改善 3 • テスト目的をふまえ確認したい観点を整理する • 想定ユーザーに近いテスターを複数確保する • テスト方法やテストシナリオの作成、スケ ジュールの設定などを行う ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト 計画 作成 評価 結果 分析 • テスターがβ版を操作する • 確認観点例 : 「設計時の目的としたユーザー体験 が実現できるか?」「プロトタイピング指摘箇 所は改善されているか?」など • 確認結果を踏まえて、改善点を洗い出す • サービスの重要機能やすぐに対応可能な軽微な 課題は、リリースまでに改修する β版 作成 • 開発工程でβ版を作成する 開 発 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 重要な考え方 ⚫ テスト実施者は、サービスの想定ターゲット層に近い人物 を選び、複数名で実施する ⚫ 挙がった課題を全て直そうとするのではなく、優先順位を 付けて対応する 実施すること ✓ リリース前にユーザビリティテストを実施し、 ユーザーの使い勝手を確認する ✓ テストによって発覚した課題のうち、重要な機能に影響 するものはリリースまでに対応する
  62. 70 リリース後の改善 リリース 4 改善までの流れ リリース後の情報収集・調査は一時的で はなく継続的に実施することが重要です。 ユーザーの課題やニーズを見逃さないこ とが改善への第一歩となります。 改善

    サービス リリース 情報収集・ 調査 結果分析 • 情報を評価(サービスキャンバスの記載内容と相 違ないか?)し、サービスの課題を洗い出す 結 果 分 析 課題 抽出 課題 整理 • 重要度や緊急度の観点から洗い出した課題に優先 順位をつけていく • 費用対効果や提供者視点も意識しながら、優先順 位の高い課題に対し、改善方法を検討し実行する • サービスキャンバスをアップデートする 改善 情報収集 ・調査 • 「ユーザーレビュー」や「利用状況のモニタリン グ」を実施し、ニーズや課題の把握を行う 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 サービスデザインにはセオリーはあっても正解はありま せん。リリース後も、現在のサービスがユーザーが求め る価値を提供できているか検証を続け、改善し、サービ スの価値を高めていく必要があります。 重要な考え方 実施すること ✓ 結果分析では、情報収集の結果が「なぜそうなったのか」 「ユーザーが求める価値を提供できているか」をサービス キャンバスも参照しながら検証し、課題を洗い出す ⚫ サービス利用状況のモニタリング結果やユーザーの声を もとに、課題やニーズを把握して改善するサイクルを継 続する ⚫ 情報収集・調査で得られた結果を、類似のサービスの結 果と比較し客観的に分析する
  63. 71 リリース後の情報収集・調査のため、ユーザーレビュー、 モニタリングを実施します。サービスキャンバスもアップ デートし、目指すべきサービス像を磨き上げましょう。 4.1 リリース後の改善のポイント ユーザーレビューなどの手法で継続的に情報収集・調査を行いましょう アクセス解析 ・ユーザー レビュー結果

    課題・ ニーズ Ver1.0 Ver1.1 リリース後のサービスキャンバスの活用 サービスキャンバスは、リリース後もレビューやモニタリング の分析結果に応じて、利用者エリア等のアップデートを検討し ます。その後、キャンバスをチームメンバーと共有・議論し、 今後目指すべきサービス像を磨き上げることが重要です。 アンケートフォームの例 ① サービスの評価・ 満足度・その理由 ② 評価・満足度をつ けた理由 ③ 利用して感じた感 想や意見を自由記 載できる項目 ユーザーレビューのポイント アンケートやインタビューを行い、サービスの使い勝手や満 足度などについて利用者に評価してもらいます。 サービス利用状況のモニタリングのポイント ウェブサイトやアプリのモ ニタリングでは、アクセス 解析ツールを活用し「ペー ジごとの閲覧数の状況」や、 「ユーザーの特長/行動」 などを把握しましょう。 • 離脱率が高いページは? • 滞在時間が短いページは? • あまり押されていないボタ ンは? モニタリングする指標の例 ポイント 1章 サ ー ビ ス を デ ザ イ ン す る と は サ ー ビ ス を 実 現 す る 4章 サ ー ビ ス を 考 え る 3章 2章 東 京 都 に お け る サ ー ビ ス デ ザ イ ン 4.リリース 3.テスト・改善 2.開発 1.設計-基本設計/詳細設計 必ず聞くべき項目
  64. 72 問い合わせ先 東京都デジタルサービス局デジタル戦略部デジタル戦略課技術管理担当 [email protected] 参考リンク • ペルソナ Aurora Harley.“Personas Make

    Users Memorable for Product Team Members”.2015-02-16. https://www.nngroup.com/articles/persona/,(参照2024-02-27) • ワイヤーフレーム Kelley Gordon.“How to Draw a Wireframe (Even if You Can’t Draw)”.2021-06-20. https://www.nngroup.com/articles/draw-wireframe-even-if-you-cant-draw/,(参照20 24-02-27) • カスタマージャーニーマップ Sarah Gibbons.“Journey Mapping 101”.2018-12-09. https://www.nngroup.com/articles/journey-mapping-101/,(参照2024-02-27) • 共感マップ Dave Gray.“Updated Empathy Map Canvas”.2017-07-16. https://medium.com/the-xplane-collection/updated-empathy-map-canvas-46df22df3c8a,(参照2025-03-03) • サービスブループリント Sarah Gibbons.“Service Blueprints: Definition”.2017-08-27. https://www.nngroup.com/articles/service-blueprints-definition/,(参照2024-02-27) 引用文献 1. マーク・スティックドーン,アダム・ローレンス,マーカス・ホーメス,ヤコブ・シュナイダー編著,安藤貴子・白川部君江訳,長谷川敦士監修(2020) 『This is Service Desi gn Doing サービスデザインの実践』ビー・エヌ・エヌ、p.245の図をもとに作図、一部追記 2. 長谷川敦士著(2009)『IA100 ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計』ビー・エヌ・エヌ、「21 さまざまなユーザー調査」の図をもとに 図および内容に追記 3. 『UX白書ver.3』.hcdvalue. 2017-05-09. https://site.hcdvalue.org/docs,(参照2023-03-09)をもとに作図、一部改変 4. Dave Gray.“Updated Empathy Map Canvas”.2017-07-16. https://medium.com/the-xplane-collection/updated-empathy-map-canvas-46df22df3c8a,(参照2023-03-2 8) 5. デジタル庁『デジタル・ガバメント推進「標準ガイドライン」研修資料』,2023-03-31, https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143 -ed29-4f1d-9c31-0f06fca67afc/67d846da/20220509_resources_standard_guidelines_guideline_07.pdf(参照2024-02-14)を元に作図、一部改変 出典 出典 出典 出典 出典
  65. 73 • アレックス・オスターワルダー,イヴ・ピニュール著,小山龍介訳(2012)『ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書』翔泳社 • 馬田隆明(2022)『解像度を上げる』英治出版 • 小山田那由他(2021)『未来ビジネス図解 これからのデザイン思考』エムディエヌコーポレーション •

    キャット・ホームズ著,大野千鶴訳(2019)『ミスマッチ 見えないユーザーを排除しない「インクルーシブ」なデザインへ』ビー・エヌ・エヌ • ジェームス W.ヤング著,今井茂雄訳(1988)『アイデアのつくり方』 CCCメディアハウス • 白川克・濵本佳史(2021)『システムを作らせる技術』日本経済新聞出版 • 樽本徹也(2014)『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)―ユーザエクスペリエンスのための調査、設計、評価手法―』オーム社 • 日本規格協会(2019)『人間工学ーインタラクティブシステムの人間中心設計(JISZ8530:2019)』 • 長谷川敦士(2009)『IA100 ユーザーエクスペリエンスデザインのための情報アーキテクチャ設計 』ビー・エヌ・エヌ • 濱口秀司.“日本人の性質を活かした究極のブレストとは?”.WORKSIGHT.2012-09-18. https://www.worksight.jp/issues/59.html,(参照2023-03-09) • マーク・スティックドーン,アダム・ローレンス,マーカス・ホーメス,ヤコブ・シュナイダー編著,安藤貴子・白川部君江訳,長谷川敦士監修(2020) 『This is Service Design Doi ng サービスデザインの実践』ビー・エヌ・エヌ • 宮里隆司(2021)『改革・改善のための戦略デザイン 自治体DX』秀和システム • ルー・ダウン著,ヤナガワ智予訳(2020)『Good Service DX時代における“本当に使いやすい”サービス作りの原則15 』ビー・エヌ・エヌ • 『UX白書 ver.3』 hcdvalue. 2017-05-09. https://site.hcdvalue.org/docs,(参照2023-03-09) • デジタル庁『デジタル社会推進標準ガイドライン』,2023-03-31, https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/e2a06143-ed29-4f1d-9c3 1-0f06fca67afc/8a3b6203/20230331_resources_standard_guidelines_guideline_01.pdf(参照2024-02-14) 参考文献
  66. 74 倉谷 道夫 Michio Kuratani サービスデザインガイドラインをお読みいただきありがとうございました。 サービスデザインの考え方・手法が皆さまの業務で実践され、より良いサービス作りに繋がっていくことを願っています。なお、本ガイド ラインは都の職員向けに作成されましたが、他の自治体の皆さまにも幅広くご活用頂ければ幸いです。 本ガイドラインはデジタルサービス局デジタル戦略部デジタル戦略課技術管理担当を中心に、東京都デジタルサービス会議内にあるUI/UX ワーキングのメンバーの協力を得て、作成・更新されています。ワーキングメンバーからコメントを頂きましたので、ぜひご覧ください!

    プロフィール デザイナー。2018-2023年ラクスル株式会社で物流、 コーポレートIT向けサービスなどのデザイン業務に 従事 コメント 利用者と提供者の両方にとって最適なサービスをデ ザインする方法を探し、過程から得られた洞察をも とにサービスを改善する、より実践的かつ簡潔で効 果的な方法について考えることができたのは、非常 に貴重な経験でした。 北田 荘平 Sohei Kitada 西村 洋 Hiroshi Nishimura プロフィール Goodpatch シニアUXデザイナー 大手電機メーカーでのUXリサーチやコンセプト策定、 コンサルファームでの事業創出支援経験を活かし、 経営戦略を基にした体験設計やサービスデザインへ の落とし込みを得意とする。 コメント 本ガイドラインは、あらゆる現場の実践を想定し、 デザイナー以外の方の意見や疑問を吸い上げ作成さ れており、組織全体のサービスデザイン力の底上げ に寄与できると考えます。 お薦めの書籍やウェブサイト デザインの中心であるヒトの理解が深まる書籍 存在と時間(マルティンハイデッガー) ヒトに深く影響を及ぼす社会の理解が深まるラジオ コテンラジオ プロフィール Co-Founder / UI Designer / Front-end Developer Webサイト、スマートフォンアプリの設計・デザ イン、フロントエンドの開発を軸にデジタルの分 野で活動中。2008年-2011年 thaに在籍。2011年 T-D inc.設立。2014年からニューヨークに居住。2 016年に帰国。多摩美術大学統合デザイン学科非常 勤講師。 コメント 誰かが作ったものを見る時、触る時に、どうして こうなったんだろう。どんなところが参考になる だろう。という視点で毎日過ごしてみましょう! お薦めの書籍やウェブサイト 伝わる[図・グラフ・表]のデザインテクニック ( エムディエヌコーポレーション) UI/UXワーキンググループメンバーより サービスデザインガイドライン作成担当より