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UserTestGuideline202503

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kouzoukaikaku

March 28, 2025
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  1. 1 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 2 ユーザーリサーチの進め方 ユーザーリサーチとは ……10 ユーザーリサーチの実施 ……13 定性調査について ……15 定量調査について ……21 ユーザーリサーチ結果分析 ……25 事例 デスクリサーチ ……26 事例 ユーザーリサーチ(定性調査/定量調査) ……29 1 はじめに ユーザーテストとは ……03 事例紹介 事業概要/ユーザーテスト全体像 ……06 3 プロトタイピングの進め方 プロトタイピングとは ……37 プロトタイプ作成 ……41 プロトタイピングの実施 ……45 プロトタイピング結果分析 ……52 事例 (プロトタイピング) ……54 目次 ユーザーテスト実施手順書 4 ユーザビリティテストの進め方 ユーザビリティテストとは ……59 ユーザビリティテストの実施 ……61 ユーザビリティテスト結果分析 ……70 事例 (ユーザビリティテスト) ……73 5 サービスリリース後の改善 サービスリリース後の活動について ……77
  2. 3 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 改修を含めた、全てのデジタルサービス/ウェブサイト 等の開発は、ユーザーテストを実施すべき対象となりま す。 東京都のユーザーテストは、「ユーザーリサーチ」「プ ロトタイピング」「ユーザビリティテスト」の 3つで構 成されています。 サービスデザインは、サービス利用者にとって「望まし い体験」を考えることが重要です。そのサービスが本当 にサービス利用者にとって望ましいものか検証し、利用 者の声を取り入れながら開発する必要があります。 その声をサービスに反映する取組の核となるのが「ユー ザーテスト」です。 ユーザーテストとは 1 はじめに/ユーザーテストとは 開発工程前の試作品をテスターに試してもら い、サービス利用者の期待に応えられている かを確認します。 サービスの品質を保証するために、設計時の 目的どおりの体験を実現できているか、最終 確認を行います。 最適な解決策を導くために、サービス利用 者の潜在的なニーズや真の課題を見つけ出 します。 検証観点 機能 見た目・ 使いやすさ 価値 ユーザーリサーチ プロトタイピング ユーザビリティテスト リリース テスト・ 改善 開発 要件定義 ・調達 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計 検証観点 機能 見た目・ 使いやすさ 価値 検証観点 価値
  3. 4 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 ユーザーテスト実施手法の種類 1 はじめに/ユーザーテストとは ユーザーテストの実施手法は、大きく「定性調査」と「定量調査」の2種類に分かれます。 定性調査と定量調査の2種類で調査を行うことが理想ですが、スケジュール上の制約等でどちらか一方の場合は、 直接テスターに対し質問の深堀りができる定性調査(インタビュー)を実施するようにしましょう。 定量調査 ⇒ 全体の意見を知る 定性調査 ⇒ 気づきを得る サービス利用者の言葉や行動といった、数値では表せない主観的な情報や意見を得ることを目的とし、その情報を用いて「感情」 や「行動の理由」等を整理・分析するための調査です。人々の行動や意識の背後にある理由、動機を明らかにするために使用され ます。(ユーザーインタビュー/専門家によるヒューリスティック評価※1 など) 数字で表せる客観的なデータ情報を得ることを目的とし、その情報を用いて特定の現象や問題を分析する調査です。定量調査では 統計的な分析によって傾向や関係性を明らかにすることが可能であり、結果を数値化することで客観的な判断や比較が可能となり ます。(アンケート調査/アクセス解析/ABテスト※2 など) ユーザーテスト実施手法 ※1 ヒューリスティック評価: UI/UXの専門家が、経験則に基づいてWebサイトやアプリの使いやすさを評価し、課題や改善点を特定する手法 ※2 ABテスト:2つ以上のバリエーション(例:Webページのデザインや広告)を比較し、どちらがより良い成果を出すかをデータで検証する手法
  4. 5 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 テスターとは、ユーザーテストに参加し製品やサービスの使いやすさや問題点を評価する役割を担う人のことです。 サービス提供者は、テスターから得られた回答やフィードバックを製品やサービスの改善に活かします。 テスターの選定方法 1 はじめに/ユーザーテストとは 実際にサービスを利用する方に、テスターとなってもらいます。 都民向けのサービスは「都民(または利用者となりえる職員等)」をテスターとします。 ※ 職員で代替する場合は、なるべく別部署のサービスの利用者となりえる方へ依頼するようにしましょう。 「気づき」を探ることを目的とした調査である ため、属性ごとに 3~5名程度に実施するのが望 ましいです。 ※ 統計学上許容誤差5%・信頼度95%とした場合の必要サンプル数 参照:総務省統計局 (https://www.stat.go.jp/naruhodo/15_episode/toukeigaku/taishosha.html) 【参考】 5名のテスターで、85%のUIの改善点が発見できると言われています。 事業ターゲットが特定の属性に限定されている場合は、5名程度を目安に 調査をしてみましょう。 結果に代表性が確保できるレベルとして、1セル 50名以上の回答を回収するのが望ましいです。 【参考】 セルとは特定の属性や特徴を持つ人々のグループのこと (例)30代×男性=セル①・40代×女性=セル②など 属性や特徴を持つ人々のグループが単一または少ない場合は 最低400名以上※から回収するようにしましょう。 定性調査 定量調査 原則
  5. 6 HELLO! TOKYO FRIENDS 6 リ リ ー ス 後

    の ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 都庁事例 事例紹介 本手順書では、ユーザーテストの手順や解説に加えて、具体的な実施イメージを掴んでいただけるよう、実際のユー ザーテストの内容やアウトプット例を紹介します。各ユーザーテストの手順説明とあわせて確認し、皆さまが関わる 開発プロジェクトにおいて、サービスデザインを実践する際の参考にしてください。 紹介事例:HELLO! TOKYO FRIENDS(2024)
  6. 7 HELLO! TOKYO FRIENDS 7 リ リ ー ス 後

    の ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 都庁事例 事例紹介|事業概要 成果物(3コンテンツ) メタバースコンテンツ(Roblox※)、Webサイト AR(拡張現実)を楽しめるWebアプリ プロトタイピングおよびユーザービリティテストの事例紹介においては、 メタバースコンテンツ、Webサイトについてのみ取り上げます。 事業 令和5年度メタバースを活用した観光PR事業 • これまでにやってきた施策/メディア(SNSやマスメディア)ではア プローチしきれなかった層・課題に対応する、新しいプロモーション 手法として、メタバース空間の活用が効果的ではないか検討を進めた。 • 今後一層の普及が予測されているメタバース空間を活用し、東京なら ではの体験型ゲームコンテンツやリアルとバーチャルを交差させた新 たな観光体験の提供、ユーザー間の交流の促進等により、訪都意欲の 向上及び将来的なリピーターの獲得を図ることを目的とする。 • 今後来訪が見込まれる潜在的な訪都旅行者を探索し、どのような層に アプローチを行うべきかを特定する。 • 策定済みの「東京のブランディング戦略」に則り、事業の企画・実施 にあたる。 海外市場に向けて「旅行地としての東京」を印象づけ、効果的に世界の旅行者に東京の魅力を訴求していくため、全世界的なイメージ訴求及び 市場の状況に応じた戦略的なプロモーションを実施 事業 概要 背 景 / 事 業 目 的 / タ ー ゲ ッ ト ス ケ ジ ュ ー ル 2023年1月~ 事業検討 2023年6月28日~ 事業開始 2024年2月15日~ サービス開始 (※)Robloxは、世界中で毎日8,530万人(2024/12時点)のユーザー がゲームや交流を楽しむ、没入型ソーシャルプラットフォーム。 本事業ではメタバースのプラットフォームとして活用しています。
  7. 8 HELLO! TOKYO FRIENDS 8 リ リ ー ス 後

    の ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 都庁事例 β版※で操作性や体験価値を検証 プロトタイピング ビジュアルイメージ/ コア体験の受容性を把握 リリース テスト・ 改善 開発 要件定義 ・調達 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計 事例紹介|ユーザーテスト全体像 ユーザーリサーチ(定性/定量調査) ユーザビリティテスト サービスコンセプトに 反映すべき 利用者の潜在ニーズを把握 実 施 目 的 テ ス ト 内 容 イ メ ー ジ 工 程 若年層利用者(28歳) 海外旅行頻度:年2-3回 Roblox利用頻度:週3回(1~2時間) デバイス:PC・スマホ 米国居住者:合計1,000名 若年層(500人) Robloxを週1回以上利用/東京旅行経験なし ファミリー(500人) 子がRobloxを週1回以上利用/東京旅行経験なし 今回紹介する事例では、ユーザーテストとして、ユーザーリサーチ(定性調査/定量調査)、プロトタイピング、 ユーザビリティテストを実施し、各フェーズでユーザーの声を取得しながら開発を行いました。 プロトタイプを作成し、受容性を検証 定性調査 定量調査 操作性および体験価値を 担保するUI/UXを把握 コア体験の流れをパワーポイントで作成 ※サービスリリース前に最終確認するため、 テスト環境で用意されたサンプルシステム
  8. 10 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 幅広い属性のテスター確保や専門的な分析ができるため、 ユーザーリサーチは事業者へ委託し、実際のサービス利 用者への定性調査と定量調査を行うのが望ましいですが、 職員・家族など身近な人にヒアリングをする方法などで も実施できます。事業の規模やスケジュールに応じて、 それぞれに合った方法で課題を深堀りしていきましょう。 ユーザーリサーチとは、定性調査や定量調査を用いてサ ービス利用者の「潜在的なニーズ」や「真の課題」を抽 出し、最適な解決策を導くための活動です。 利用者が普段どのように行動し、何に困っていて、何を 求めているのかを具体的に洗い出し、課題を見つけ出す ことが重要です。 ユーザーリサーチとは 2 ユーザーリサーチの進め方/ユーザーリサーチとは リリース テスト・ 改善 開発 要件定義 ・調達 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計 ユーザーリサーチは、利用者に満足してもらうためのサービス企画の基盤です。そのため、要件定義よりも前の企画段階で ユーザーリサーチを実施し、サービスの合理性の確認やリスク整理をすることで、要件定義時の負担軽減や満足度の高い サービスの企画につながります。 サービスキャンバス作成※ ユーザーリサーチ ※ 参考:サービスデザインガイドラインVer 2.1.0 P.20
  9. 11 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 私たちが取り組む事業では、サービス利用者自身が「はっきりと自覚していない」ニーズや課題の解決に取り組ま なければならないことがしばしばあります。 ユーザーリサーチを実施することで、表面的なニーズに応える解決策だけではなく、潜在的なニーズや自覚してい ない本音にも応えられる解決策を導き出すことが可能となります。 ユーザーリサーチの重要性 2 ユーザーリサーチの進め方/ユーザーリサーチとは 顕在 ニーズ 潜在 ニーズ 表層心理 深層心理 自分で自覚していて、 自分で話すことができる欲求 自分では自覚しておらず、 聞かれれば思い当たる欲求 自覚しておらず、言葉にも直接的に は表れない、深層にある本音や感情 使いやすく、 吸引力が強い掃除機が欲しい なるべく手間をかけず、 掃除を終わらせたい 家事の時間を減らし、 自分時間や家族時間を増やしたい なぜ? なぜ? インタビューでニーズを深堀っていくと…
  10. 12 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 ユーザーリサーチを実施せずに企画を行うと、「サービス利用者が本当に困っていること」と「サービスが提供す る価値」にギャップが生まれてしまい、誰にも使ってもらえないサービスになってしまいます。 実施するメリットを十分に理解した上で、ユーザーリサーチを行うことが重要です。 ユーザーリサーチを実施することのメリット 2 ユーザーリサーチの進め方/ユーザーリサーチとは ユーザーリサーチのメリット ✓ ユーザーリサーチを行い、ユーザーの声をサービスに反映させることで満足度を向上させることができます。 ✓ 事前のリサーチがしっかりと行われていれば、その後の改修等の手戻りが少なくなり、結果的に時間・コスト の削減へつなげることが可能となります。 ✓ ユーザーリサーチで得られた結果を集計・分析することで、サービ スキャンバスの利用者エリアを記載することができます。利用者が 望むことや困りごと、嬉しさについてリサーチに基づく事実で深堀 りすることで、利用者が求める価値に近づくことができます。 サービスキャンバス(利用者エリア)
  11. 13 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 ユーザーリサーチ 実施 デスクリサーチで得られる情報のみでは、私たちが作る サービスで解決すべき課題を発見したり、検証したこと にならないので、必ずユーザーリサーチを実施しましょ う。 ユーザーリサーチの事前準備として、デスクリサーチを 細かく実施することで、効率良く調査を進めることがで きます。デスクリサーチの結果を整理した上で、ユー ザーリサーチで検証を行います。 ユーザーリサーチの準備 2 ユーザーリサーチの進め方/ユーザーリサーチの実施 定 性 調 査 実 施 ( P. ) 定 量 調 査 実 施 ( P. ) 15 21 デスクリサーチの情報源は、 信憑性が高く、最新のものを 確認するようにしましょう! 【情報源の例】 • 官公庁からの公表データ • 各調査機関の1次情報 • ジャーナルに掲載されている論文 • 出版物 常に、発信元の信頼性を確認し、情報を鵜吞み にすることのないよう心がけましょう。 デスクリサーチのすすめ デスクリサーチで テーマ、業界、 市場の動向の全体 感を掴む 1 事業が対峙する ターゲット や課題を掴む 2 デスクリサーチの 結果を基に、 定性/定量調査の 方針となる視点を 導く 3 ユーザーリサーチを効率的かつ効果的に行うためには、デスクリ サーチで既存のデータを収集し、適切に分析を行うことが必須と なります。信頼できる情報源を活用し、多角的にデータを収集す ることで、誤った仮説を防ぎ、より正確な分析が可能になります。 最新情報の確認や競合・市場・技術の動向を幅広く調査し、後続 のユーザーリサーチの質を向上させましょう。
  12. 14 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 事前準備でデスクリサーチなどを行った後、以下の流れに沿ってユーザーリサーチを行います。 ユーザーリサーチは、リサーチ計画、リサーチ準備、リサーチ実施、リサーチ結果分析の4つのフェーズに分かれ ます。 ユーザーリサーチの活動内容 2 ユーザーリサーチの進め方/ユーザーリサーチの実施 リサーチ結果分析 リサーチ実施 設計 リサーチ準備 リサーチ計画 • 調査目的決定 • 調査手法決定 • 実施スケジュール設定 • テスター属性選定 • テスター確保 • 質問設計 • インタビュー内容作成 • インタビュー (定性調査)の実施 または • アンケート (定量調査)の実施 • インタビュー結果整理 /分析 または • データの整理/分析 ユーザーリサーチ 結果分析 実施 設計 準備 計画
  13. 15 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 定性調査を計画する際は、下記のポイントを確認しながら進めていきましょう。 定性調査の計画 2 ユーザーリサーチの進め方/定性調査について 1 調査目的設定 ✓ 事業の内容、ビジョン、課題認識、検証すべき対象などを整理し、今の段階で把握すべきことを明確にします。 ✓ サービス利用者となるターゲットと、提供者が解決したい課題や実現したいことを確認し、調査目的を定めます。 2 調査手法決定 ✓ 目的やテスターに合せて最適な形式を選びます。(1対1・グループインタビューなど) ✓ 実施体制の検討も行います。 ※進行役はインタビューに集中できるように、記録係とは別の人が行いましょう。 後から振り返ることができるよう、あらかじめテスターに許諾をいただいた上で録音もしくは録画を行いましょう。 テスターの心理的負担にならないように、インタビューする側の人数が多くなりすぎないように注意しましょう。 ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 ✓ テスターの負担とならないよう適切な質問量と所要時間、実施スケジュールを設定します。 ※集めるテスターの属性により開始時間も考慮しましょう。(例:テスターが社会人の場合、定時後に実施できる時間設定をするなど) ✓ ユーザーリサーチ全体のスケジュールをあらかじめ設定し、定性調査を先に行う場合は、しっかりと定量調査の期間も 確保しましょう。 3 実施スケジュール設定
  14. 16 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 2 質問設計/インタビュー内容作成 ✓ 質問は明確で具体的なものにし、対象者が自由に意見を述べられるような質問を心がけます。 ※「はい・いいえ」で答えられる質問は控え、「どれくらい・どのように」などの質問をすることで、テスターの本心をより導き出せます。 ✓ テスターに実際の操作や作業をしてもらう場合は、その操作(タスク)も考えておきます。 ✓ 事前にチーム内で質問のリハーサルを行い、流れはスムーズか、質問量は適切か確認します。 ※特に定性調査においては、深堀りする質問を行っていくと時間が延びていってしまいます。 リハーサルの際、初見の職員にテスターとして協力してもらうことで、実際のインタビューに近い検証ができます。 定性調査の準備をする際は、下記のポイントを確認しながら進めていきましょう。 1 テスター属性選定/テスター確保 ✓ 事業概要や調査目的を基に、適切なテスターの属性を選定します。(属性は複数設定可) ✓ 選定した属性ごとに、3~5名程度テスターを確保します。(参考:P.5) 定性調査の準備 2 ユーザーリサーチの進め方/定性調査について ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  15. 17 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 定性調査で質問を設計する際、以下のポイントに気を付けましょう。 設問のポイント(定性調査) 2 ユーザーリサーチの進め方/定性調査について ユーザーリサーチのメリット 定性調査における設問のポイント ✓ 原則、オープン・クエスチョンで質問する(Yes/Noで回答できる質問はしない) 例:◦「ご家庭の中での育児の分担は、どのようにされていますか?」 ×「ご夫婦の間で、育児や家事のバランスはとれていると思われますか?」 ✓ 1つの質問に対して複数の確認事項を入れない 例:◦「 1歳までの育児で、最も大変だった思うことはなんですか?」「どのようにその課題を解決しましたか?」※1つずつの質問に分ける ×「 1歳までの育児で、最も大変だったことと、その際の解決方法を教えてください 」 ✓ 自分たちに都合の良い回答に誘導するような質問をしない 例:〇「子育ての方針について、ご夫婦間ではどのようにお話しされていますか?」 ×「子育ての方針について、ご夫婦間で意見がすれ違うことは多いですか? 」 ✓ 最初から回答をストレートに求めない 例:〇「普段どのようなルーティンで過ごされていますか?」「子育て支援サービスを使ったことはありますか?」 ×「子育て支援として、東京都にサポートしてほしいことはありますか? 」 ※子育て支援施策の調査例 ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  16. 18 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 定性調査における設問のポイント 設問のポイント(定性調査) 2 ユーザーリサーチの進め方/定性調査について ✓ 確認したい機能1つに対して、1つの操作(質問)を設定する ⇒「確認したい機能」と「テスターに実行してもらう操作」が1対1で対応していないと、どの機能でつまづいているのか、困っているのかを 検証できません。必ず確認したい機能を1つずつ検証できるような設計を心がけましょう。 ✓ サービスを理解し、それを基に操作・質問を設定する ⇒質問設計時に作成者が正しい操作がわからないと、テスターが困りそうな箇所を見落としてしまい、聞きたいことを聞けません。 必ずご自身でサービスを操作してから質問設計を行ってください。 ✓ 操作の中でテスターが戸惑っていた箇所は、インタビューの際に必ず質問する 例:ユーザー登録時に何度もログイン名やパスワード条件が不適でエラーが発生していた。 ⇒質問をしないと、どの条件でつまづいていたのかを把握することができません。必ずどの要素で戸惑ったのか等、質問して聞き出しましょう。 ✓ テスターにサービスの直接的な改善策を聞かない ⇒改善策を考えるのはテスターではありません。 テスターからの意見は参考とし、事業者と連携した上で改善策を立案するようにしましょう。 サービスを操作してもらいながら定性調査を行う際には、さらに以下のポイントに気を付けましょう。 (プロトタイピング/ユーザビリティテストなど) ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  17. 19 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 定性調査でインタビューを行う際、相手の本音を引き出すコツはいくつかあります。 まずは以下の4つについて意識し、効果的なインタビューを行い、利用者の潜在ニーズに迫りましょう。 定性調査でのインタビューのポイント 2 ユーザーリサーチの進め方/定性調査について ・・・ 沈黙を大事にする 沈黙の時間は、じっくり考えている 時間でもあります。 結論を急がずに、相手の沈黙を楽しむ 心の余裕を持ちましょう。 目を見て話を聞く 相手に心理的安心性を 持ってもらうために、常にパソコンや 資料を見るのではなく、 質問の際は目線を上げて、相手の目を見るこ とを心がけましょう。 相手の回答を深掘りする 相手が話してくれたことに対して 「それはなぜですか?」と質問をし、 理解を深めていきましょう。 まずは3回「なぜ」をくり返してみる、 という方法も有効です。 誘導しない 相手の気持ちや思いを 引き出すために、相手に寄り添った 質問をしてみましょう。 「それって◦◦ですよね?」はなるべく 避けましょう。 ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  18. 20 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 × 日中、妻がどんな生活を送っているのか把握できてい ない × 夜はメインで子供のお世話をしているが、不慣れな部 分もあり、よく妻に注意されている 〇 土日は妻のリフレッシュも兼ねて、無理のない範囲で なるべく車で外出するようにしている × 同じ環境の他の夫婦が、どのように育児をしているのか もっと知りたい 〇 子どもの急病の時などは、休みが取れる方が優先的に 休んで対応している 〇 週に1回、夫婦間で話し合う場を設け、コミュニケー ションは積極的に取っている × 育児サービスで使っているものもあったが、引っ越し を機に使わなくなってしまった × 近所に相談できる人がおらず、この地域での子育てに ついて、相談し合える仲間が欲しい 子どもが2人 週4勤務 1年前に引っ越し 定性調査の分析を行う際、以下点を念頭に置いて結果を整理しましょう。 定性調査の結果分析 2 ユーザーリサーチの進め方/定性調査について 30代 男性 まとめ方例 40代 女性 未就学児童が1人 平均帰宅時間は 21時ごろ 〇:ポジティブな意見 ×:ネガティブな意見 XXX:共通テーマ ✓ インタビュー結果を個人の主観や偏見に左右されず、公平かつ客観的に分析する 熱量ある人=正しい意見とは限らないため、テスターの発言全てが正しいと思わないことも大切です。 ✓ 共通のテーマやパターンを見つける 類似した意見が複数回出てくる場合、重要な課題である可能性が高いです。 ✓ 結果から浮かび上がった課題や改善点を明確にし、それに基づいて具体的な対策や施策を立案する ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  19. 21 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 1 調査目的設定 ✓ 事業の内容、ビジョン、課題認識、検証すべき対象などを整理し、今の段階で把握すべきことを明確にします。 ✓ 検証したい仮説や対象としたいユーザーを確認し、調査目的を定めます。 2 調査手法決定 ✓ ユーザー層や回収したい情報によりネットリサーチや郵送調査など調査方法を判断します。 ✓ 調査をリサーチ会社へ依頼するのか、職員で実施するのかを決定します。 ※職員で調査を実施する場合は、アンケート作成ツールは何を使用するのかなどを決めましょう。 ✓ テスターの負担とならないよう適切な質問量と所要時間、回答期間を設定します。 ※必ず回答期限を設定するのを忘れないようにしましょう。 期限が長期間になると、逆に回答率が落ちてしまうため、目安としては2週間程度に設定し、直前のリマインドなども忘れず行いましょう。 ✓ ユーザーリサーチ全体のスケジュールをあらかじめ設定し、定量調査を先に行う場合は、しっかりと定性調査の期間も 確保します。 3 実施スケジュール設定 定量調査の実施の際、下記のポイントを確認しながら準備を進めていきましょう。 定量調査の計画 2 ユーザーリサーチの進め方/定量調査について ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  20. 22 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 ✓ 回答者に偏りがでないよう、幅広くテスターを選定します。 ※ 配信数などを考慮する必要があるため、有効回答数が何件欲しいのか明確にしておきましょう。(参考:P.5) ※調査の精度を高めるため、スクリーニング調査と呼ばれる特定の条件に合致する対象者を選定するための予備調査を行うことも効果的です。 2 質問設計/インタビュー内容作成 定量調査の準備をする際は、下記のポイントを確認しながら進めていきましょう。 定量調査の準備 2 ユーザーリサーチの進め方/定量調査について ✓ 想定される課題や検証したいアイデアに関わることを軸にした質問を設定します。 ✓ 質問する順番は「過去⇒未来」「簡単⇒複雑」など自然な流れで回答できるよう作成します。 ※特に定量調査においては、順序によって回答率や回答の精度が変動します。 なるべく順番によるバイアスがかからないように、事前にチーム内でも回答してみながら確認してみましょう。 ✓ 各質問に対し、単一回答・複数回答・自由回答・制限付き回答などから最適な回答方式を選択します。 ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 回答方式 例 選択肢 単一回答 最も重要だと感じるサービスの特徴を“1つ”選んでください。 価格の安さ/品質の高さ/使いやすさ/サポートの充実/信頼性 複数回答 普段、商品やサービスを選ぶ際に参考にする情報源を“すべて”選んでください。 口コミ・レビューサイト/公式Webサイト/動画サイト/SNS/知人 からの紹介/店舗での実物確認 自由回答 現在のサービスについて改善してほしい点やご意見があればご記入ください。 (自由記述) 制限付き回答 サービスの満足度を1~5の範囲で入力してください。 1~5までの数字 1 テスター属性選定/テスター確保
  21. 23 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 定量調査で質問を設計する際、以下のポイントに気を付けましょう。 設問のポイント(定量調査) 2 ユーザーリサーチの進め方/定量調査について ※子育て支援施策の調査例 ユーザーリサーチのメリット 定量調査における設問のポイント ✓ 基本的には、15分程で回答できるボリュームにする ※質問形式などによって、適切な質問数は異なります。設計段階で数名に回答してもらい、必ず事前に所要時間を計測しましょう。 ✓ 必ず回答期間を設定し、期間は1週間~2週間にする ※長すぎても回答数は期待できません。短めに設定し、後回しにされないように設計しましょう。 ✓ 段階評価の選択肢は、ポジティブで汎用性の高い表現に統一し、原則すべての質問で一貫して使用する 例:子育て中に、このサービスを利用したいと思いますか? 「⑤ とてもそう思う」~「① 全くそう思わない」※選択肢は他の質問でも統一の選択肢にしましょう。 ✓ ネガティブな回答をもらった際の理由の聞き方は、ポジティブな聞き方にする 例: 「どうすればより使ってみたいサービスになると思いますか?」 「具体的な改善ポイントなどはありますか?」など ※子育て支援施策の調査例 ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  22. 24 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 定量調査の分析を行う際、以下の手法を参考に結果を整理しましょう。 定量調査の結果分析 2 ユーザーリサーチの進め方/定量調査について ✓データの整理 回答データをエクセル等に入力し、必要な情報を整理します。 質問ごとにデータを分類し、集計のための準備をします。 ✓集計と統計処理 質問ごとに回答の頻度や割合を集計し、グラフや表にまとめます。 また、クロス集計や相関分析などの統計手法を用いて、データの関連性や傾向を分析することもあります。 ✓データの可視化 グラフやチャートを活用し、回答の分布や比較を行います。 データを可視化することで傾向やパターンを把握しやすくし、データ理解のサポートが可能となります。 ✓データを読み解く 回答データから得られた情報をもとに、調査の目的や仮説に対する結論を導き出します。 ✓レポート作成 分析結果をまとめ、レポートを作成します。 分析の目的や結論、洞察を明確に伝えるために、グラフや表、文章を適切に組み合わせましょう。 ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  23. 25 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 下記に紹介するフレームワークは、チーム内で利用者像 を整理/共有する上で、とても効果的です。分析の際に は、これらの手法を用いて分析を行いましょう。 ユーザーリサーチで見つかった利用者の行動やニーズを 分析し、仮説の精度を高めながら、サービス立案を行っ ていきます。ユーザーリサーチの結果を整理する際には、 「属性」「行動」「考え方」の3つの観点を持つことが 重要です。 ユーザーリサーチのまとめ方 2 ユーザーリサーチの進め方/ユーザーリサーチ結果分析 ▼ペルソナ 利用者の具体的かつリアルなイメージ像 参考:サービスデザインガイドラインVer 2.1.0 P.31 属性 ▼カスタマージャーニーマップ 利用者が実際に取る行動の一連の流れ 行動 ▼共感マップ 環境から利用者の考え方や価値観を整理 考え方 ユーザーリサーチ 結果分析 実施 設計 準備 計画 参考:サービスデザインガイドラインVer 2.1.0 P.33 参考:サービスデザインガイドラインVer 2.1.0 P.32
  24. リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ ー

    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 26 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 訪都意欲や旅行者のニーズの現状把握 ・コロナ禍を経て、海外旅行/訪日旅行の意欲が高まっている中、訪都旅行における障壁を 把握し、東京が旅行先として想起されるための手がかりを見つける ・新しいプロモーションを展開する環境として、メタバースが有効なタッチポイントとなり えるか、定量情報などから把握する メタバースを活用したインバウンド向け観光プロモーションを検討するために必要なデー タを事前に調査し、ユーザーリサーチの方針を作成する デスクリサーチ|設計 結果分析 実施 設計 デスクリサーチ デスクリサーチ ① デスクリサーチでテーマ、業界、市場の動向の全体感を掴む ⇒訪日外国人客の現状を定量データから把握する メタバースサービスを利用している属性を把握する ⇒年齢や性別など属性で分類しながら、今回の施策の対象となり得る属性を理解する ② 事業が対峙するターゲットや課題を掴む ⇒各属性が抱えている意識や課題の概要を把握する 結果分析 ③ リサーチ結果を基に、定性調査/定量調査の方針となる視点を導く ⇒誰に対して詳細な調査を行っていくべきか、どのような項目を調査すべきかをまとめる デスクリサーチで正確な分析を行うためには、 大きな視点から調査を始め、徐々に調査する 領域を狭めていきましょう。(参考:P.13) デスクリサーチの流れ ポイント いきなりデスクリサーチを行うのではなく、 ユーザーリサーチを行うために必要な情報は 何か(デスクリサーチを行う目的の設定) 、 チーム内で目線を合わせたうえで、デスクリ サーチを実施します。 デスクリサーチでは、サービスの担当者が解 くべき、利用者のニーズや課題を“直接的”に 発見、検証することはできません。 この後に行う、ユーザーリサーチを設計する ための事前調査という位置づけを理解した上 で、収集した情報を取り扱いましょう。 調査手法 決定 調査目的 設定 前提となる 状況
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 27 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 リサーチの目的/流れに沿って、それぞれ“信頼性の高い”情報ソースから情報を取得する。 デスクリサーチ|実施 結果分析 実施 設計 デスクリサーチ 実施 デスクリサーチの流れ 訪日外国人客の現状を定量データから把握する ・訪日機運(訪日外客数推計値) 出典:JNTO メタバースサービスを利用している属性を把握する ・メタバース(VR)ユーザー層 出典:eMarketer2020 記載したデータ以外にも、各属性が抱えている意識や課題の概要を把握するために「年代・年収別海外旅行意欲」「東京旅行の制約」などの データも合わせて確認
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 28 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 デスクリサーチ|結果分析 デスクリサーチから読み取れる事実の整理 ・訪日機運:訪日外客数推計値(JNTO) ⇒訪日米国人数が4月単月で+8.0%、1~4月累計で+3.6%(2019年比) ・年代・年収別海外旅行意欲 ⇒ 男性20~40代・女性20~30代の訪問意欲が高い/高所得者ほど訪問経験・意欲が高い ・東京旅行の制約 ⇒ 旅行先として認知・関心がない/知人がいないことが東京旅行への制約となっている ・メタバース(VR)ユーザー層( eMarketer2020 ) ⇒ アメリカのVRユーザーは、10~30代前半の利用者が多い 結果分析 実施 設計 デスクリサーチ デスクリサーチの流れ ポイント ターゲット、課題の種の発見 ・ターゲット 訪日需要が回復基調にある中、メタバースの利用率が高いアメリカの10~20代にターゲットを 絞ることで、VRを活用したプロモーションにより新たなタッチポイントの創出が期待できる ・課題仮説 現在、東京は旅行先として認知されていない中で、VR空間で多様な観光資源を体験してもらい、 さらにその中で友だち作りができれば、訪問の意欲が高まるのではないか? デスクリサーチまとめ(ユーザーリサーチの設計準備) ユーザーリサーチで、アメリカの10~20代の若年層に対して東京の既存イメージ、旅行先としての期待や障壁についてインタビューをすることで、 事業目的である「東京の旅行先としての認知、訪問意欲を獲得する」ためのヒントを得られると考えられる 情報の信憑性が高い発信元のものかどうか、 改めて確認しましょう。 (参考:P.13) 調査がいつ行われたのか、どのような方法 (調査の母集団や実施方法)で行われたのか などは、特に見落としやすいポイントです。 しっかりと確認し、精度の高いデスクリサー チを実施しましょう。 事実を基にして、ターゲットや課題に関わる 情報を整理をしていきましょう。 デスクリサーチでは、多角的な数的根拠を集 めることが重要です。 > > 調査結果 分析 複数の情報を掛け合わせて、ユーザーリサー チで検証すべき対象やテーマを絞り込みます。 この事例では、「アメリカ在住の10~20代」 という属性にターゲットの絞り込みを行い、 定性調査に向けた視点を導いています。
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 29 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 ユーザーリサーチ(定性調査)|計画 オンラインインタビュー形式 ・オンラインミーティングツールを用いた、口頭による回答で行う ・パワーポイント等の資料(コンセプトやコンテンツ案)を画面共有しながら実施する メタバースにおける行動、課題・ニーズを把握 ・メタバースプラットフォーム「Roblox」での具体的な利用状況や行動を把握する ・ターゲットの課題/ニーズを発見する ・作成したコンセプト案・コンテンツ案について意見・感想聴収を行う ・事前調査からアメリカの10~20代の若年層が有効なサービス利用者になる可能性 ・メタバース上における行動を具体的に把握し、新しいサービスの可能性を探索したい 「サービス利用者」になりえると考えた層の 行動や意識を把握し、課題や潜在的なニーズ を引き出すことを調査目的に設定しましょう。 (参考:P.15) ユーザーリサーチの流れ ポイント ・調査規模決定 ⇒2日間に分け、全5回を実施 ・実施スケジュール ⇒時差を考慮したインタビュー実施時間を設定 ・所要時間/想定質問量 ⇒1時間30分で回答可能な質問量 必ず事前にプレインタビューを行い、どれく らいの時間がかかるか、回答のしやすさを確 認しましょう。(1~2時間が目安) 本事例では、アメリカ在住の方をテスターと しているため、オンラインでのインタビュー を選択しました。 対面でインタビューを行う際には、必ず下見 を行い、自分がテスターになった気持ちで、 答えやすい環境になっているかチェックしま しょう。 デスクリサーチで調査した内容をもとに、事 実と推測を分けて、どのような調査が必要な のか明確にしましょう。 実施 スケジュール 設定 調査手法 決定 調査目的 設定 前提となる 状況
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 30 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 インタビュー質問項目抜粋 1. 調査概要説明、テスターの属性確認(5分) • アメリカに住んでいる期間はどのくらいですか? 2. [日本旅行] 旅行における行動/ニーズ確認(20分) • 海外旅行はどれくらいの頻度で行かれますか? • 普段、旅行前の情報収集はどのような手段を使っていますか? • 旅行先として、日本や東京に対してどんな印象を持っていますか? 3. [Roblox全般] Robloxにおける行動確認(20分) • 利用前後を含め、Robloxを利用する際の行動について教えてください • Robloxを利用する目的や体験したいことはなんですか? 4. [コンセプト・コンテンツ案] 検討アイデアへの意見/感想(40分) • (投影資料を見せ)このサービスの率直な印象を教えてください。 5. クロージング、全体振り返り(5分) ユーザーリサーチ(定性調査)|準備/実施 ユーザーリサーチの流れ ポイント 質問設計/ インタビュー 内容作成 若年層:2名(29歳以下/Robloxを週3回以上利用/東京旅行経験なし) ファミリー:3組6名(10代の子がRobloxを利用/東京旅行経験なし) 米国居住者:合計8名 検証したいコンセプトやアイデアがある場合 は、資料化してインタビューを行いましょう。 投影資料イメージ (コンセプト/コンテンツ案) 実際にサービス利用者と想定される方をテス ターとしてインタビューを実施しましょう。 ・若年層のRobloxのヘビーユーザー (Robloxを週3回以上利用) ┗ 既存ファンに受け入れられるかを検証 ・東京の魅力を訴求したいファミリー層 (10代のRobloxユーザーがいる親子) ┗ 親子の行動を把握し、訪都可能性を検証 ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 テスター 属性選定/ テスター確保
  29. リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ ー

    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 31 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 ユーザーリサーチ(定性調査)|結果分析 ユーザーリサーチの流れ ポイント 調査結果 分析 [Roblox全般] 〇 アバターをカスタマイズするのが楽しい [コンセプト・コンテンツ案] 〇 友だちと遊びたい!絶対アバターをゲットしたいし、レベル上げも楽しそう! 複数のテスターの意見の中から共通のテーマ やパターンを見つけましょう。 (参考:P.20) この事例では、利用者の目線、親の目線どち らにおいても「文化を学ぶきっかけとなる」 という意見を得ることができました。 意見や視点を、〇 ポジティブな意見/× ネガ ティブな意見に分けて整理しましょう。 (参考:P.20) ユーザーリサーチ(定性調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 浮かび上がった課題/改善点 ・日本への旅行は「何があるかわからない」という心の距離が存在 (知らないため予算や日程のハードルを超えて行く動機がない) ・「クリエイトできる」「他ユーザーと交流できる」要素が重要 [日本旅行] × 日本に興味はあるが、何があるのか分からず、旅行するには至っていない [Roblox全般] 〇 距離が離れている友達/家族と同時に遊べて、交流できる手軽さが嬉しい [コンセプト・コンテンツ案] 〇 歴史、学び、チャレンジの要素のバランスが良く、とってもクール 若年層利用者(28歳) 海外旅行頻度:年2~3回/Roblox利用頻度:週3回(1~2時間)/デバイス:PC・スマホ こども利用者(12歳) Roblox利用頻度:週2~3回(1~2時間)/友人や兄弟と一緒に楽しむ/デバイス:PC・スマホ 子どもの母親(50歳) 海外旅行頻度:年2回/Robloxへの課金:月に$5~20許容している [日本旅行] × 日本へ旅行するには、1週間は最低必要。子の学校もあり、躊躇してしまう [コンセプト・コンテンツ案] 〇 違う文化を学ぶきっかけになり、視野が広がる良い方法だと思う 定性調査まとめ コンセプト案は、利用意向/評価においても高いスコアが得られた 東京への興味関心を深め、心の距離を縮める可能性がある ⇒定量調査では東京旅行をより深掘りし、課題の精緻化を図る > 定性調査で発見した課題やニーズを、定量調 査で検証し、より明確にすることで、課題の 全体像を把握し仮説を立てることができます。
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 32 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 実施 スケジュール 設定 ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 ユーザーリサーチ(定量調査)|計画 Webアンケート形式 ・オンライン回答フォームを作成し、メールで対象者へ送付 コンセプトに反映すべきニーズを把握 ・旅行前~旅行後における現状の行動や懸念事項を調査し、ニーズをより明確にする ・Robloxの利用状況を調査し、コンセプトに反映すべき内容を明らかにする ・企画コンセプト/コンテンツ案の受容性を確認する デスクリサーチ、定性調査を経て、ターゲットの課題を特定し、本事業のコンセプト案「東京に友 だちをつくろう」を立案 コンセプト案の精度を更に高めるために、定量調査によってニーズを深掘りしたい ユーザーリサーチの流れ ポイント ・調査規模決定 ⇒本調査の対象者を合計1,000名として実施 ・実施スケジュール ⇒実施~回答回収までの期限は10日間 ・所要時間/想定質問量 ⇒15分程度(スクリーニング調査:5問 本調査:20問) テスターとして設定する属性に応じて、適切 な調査手法を選びましょう。 Webフォームを使った簡易的なアンケートな どであれば、職員で実施することも可能です。 調査手法 決定 調査目的 設定 前提となる 状況 目安としては1~2週間で、必ず回答期限は設 定しましょう。 (参考:P.21) 期限の手前でリマインドの連絡を送ることが、 回答率アップにはとても効果的です。 サービスデザインの考え方では、定性調査を 通して発見した課題や立案した仮説を、定量 調査で検証する、という流れが効果的です。 設計を行う前に、現状、どんなことが分かっ ていて、何を検証すべきなのかを明確にして から、調査目的設定を行いましょう。 定量調査にかかる時間は、長くても15分程度 に収めましょう。回答にかかる時間は、「単 一回答」⇒「複数回答」⇒「自由回答」の順 に長くなる傾向があります。
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 33 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 ユーザーリサーチ(定量調査)|準備/実施 ユーザーリサーチの流れ ポイント ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 質問設計/回 答方式選択 テスター 属性選定/ テスター確保 若年層:500人(29歳以下/Robloxを週1以上利用/東京旅行経験なし) ファミリー(親子):500人(子がRobloxを週1以上利用/東京旅行経験なし) 米国居住者:合計1,000名 アンケート項目抜粋 ・属性調査:テスターの属性を確認する設問 ・本調査 :定量調査として調査を行う設問 1. ターゲットの東京旅行における懸念事項/ニーズ確認 • レジャー目的の旅行先として、東京に興味がありますか? • 日本に旅行したときに東京に行かなかった理由を教えてください。 • レジャー目的の旅行で東京に行く場合、東京で体験したいことを教えてください 2. 企画コンセプト/コンテンツ案の受容性確認 • Robloxの中では、どのように遊んでいますか? • Robloxに、次のワールドがあったら興味をもちますか? (検討中のワールドのイメージを回答フォーム内に提示) • 旅行中に楽しめる次のようなコンテンツがあったら興味を持ちますか? (「スマートフォンでアバターが観光案内してくれる」「Roblox限定アイテムをゲット できる」などの選択肢を回答フォーム内に提示) 企画コンセプト・コンテンツの受容性確認に おいては、イメージコラージュ画像を作成し、 文章と共に提示することで、制作の意図や狙 いをより分かりやすく伝えることができます。 質問の順番としては、「簡単⇒複雑」など、 自然な流れで回答できるように設計を行いま しょう。(参考:P.22) 本調査の前に行うスクリーニング調査で、年 代や訪日経験などの要件に合う対象者を絞り 込みます。(参考:P.22) 今回の事例では、ターゲットの前提となる内 容を抽出条件として設定し、調査会社にスク リーニング調査を依頼しました。
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 34 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 ユーザーリサーチ(定量調査)|結果分析① ✓データの整理 テスター全体 (1,000人) ファミリー層 (500人) 若年層 (500人) 東京に関心がない人(199人 / 19.9%) 東京に関心がある人(301人 / 30.1%) 東京に関心がない人(103人 / 10.3%) 東京に関心がある人(397人 / 39.7%) ユーザーリサーチ(定量調査)|結果分析① ユーザーリサーチの流れ ポイント 調査結果 分析 ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画 ✓集計と統計処理 テスター属性 テスター数 異文化を学ぶ 機会になる 旅行先選びの 参考になる 東京を知る 機会になる 外国の友人を 作る機会になる ファミリー層_関心がある 397人 77.2 53.7 76.5 59.6 ファミリー層_関心がない 103人 60.0 67.7 72.3 26.2 若年層_関心がある 301人 49.5 57.8 70.1 30.6 若年層_関心がない 199人 43.7 54.3 59.3 28.1 ・東京旅行についての懸念事項 ・企画コンセプトに対して感じた印象 ・結果分析を行う“軸”として、「東京に関心があるか」という軸でテスターを分類 テスター属性 テスター数 楽しめるイベ ントがない 良い宿泊施設 がない 日本語が 分からない 物価が高い ファミリー層_関心がある 397人 3.8 7.8 58.9 44.6 ファミリー層_関心がない 103人 21.4 23.3 28.2 41.7 若年層_関心がある 301人 17.9 31.6 18.6 28.6 若年層_関心がない 199人 30.2 30.7 15.1 22.6 ※単位:% 「東京に関心があるか」という軸で分けるこ とで、東京に関心がない人でも、本企画に よって東京に関心を持つきっかけになりえる かを検証することができます。 分析を行う際の軸は、初めは複数パターン設 定しておき、分析を行っていく段階で適切な ものを選択できるようにしましょう。 質問ごとにグラフや表にまとめ、特徴のある 部分をハイライトすることで、それぞれの属 性や項目の分析を行うことができます。その 際には、ルールを決めて行いましょう。 例)縦軸で他よりポイントが高い:赤く塗る 横軸で他よりポイントが高い:青く囲む このデータから、本施策が東京に関心がない 人にとっても、旅行先としての東京の認知啓 発・理解促進に繋がる可能性が高いことが分 かりました。 ※単位:%
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    リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 は じ め に 1 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 35 HELLO! TOKYO FRIENDS 都庁事例 ユーザーリサーチ(定量調査)|結果分析② ユーザーリサーチの流れ ポイント 調査結果 分析 ✓データを読み解く(抜粋していないデータの分析も掲載) 1. ターゲットの東京旅行における懸念事項/ニーズ • 東京への関心の有無によって、東京旅行に対する懸念事項にギャップが存在した 関心がある人:物価が高い/日本語が分からない 関心がない人:楽しめるイベントがない/良い宿泊施設がない ⇒認知啓発を行うことで、このギャップを埋めることができると考えられる • ファミリー層と若年層で、東京旅行に対するニーズにギャップが存在した ファミリー層:家族で快適に旅行地を回りたい 若年層:歴史やカルチャーをより感じたい 2. 企画コンセプト/コンテンツ案の受容性 • 「旅行先選びの参考になる」「東京を知る機会になる」はどの層でも高かった ⇒東京に関心がない人でも、旅行前のコンテンツ(Roblox)を通じて、東京を旅行先 として認知してもらえる可能性が高い • 親目線でコンセプト案に感じた要素として、「子どもが異文化を学ぶ良い機会になる」 が高く、親の期待値も高いことが分かった • 旅行中に楽しめるコンテンツは、知らない地での回遊をサポートしてくれる要素として 評価が高く、東京への関心がない層にも受け入れられる可能性が高いことが分かった 定量調査まとめ 企画コンセプトおよびコンテンツ案は、ターゲットに受け入れられる可能性は高いことが分かった ゲームとしての直感的な操作感や楽しさは担保しつつ、東京の文化や歴史を学べる学習要素を組み込むことで、親から子への推奨にもつながる また、旅行中にサービスを使ってもらうためには、回遊を促しながら、適切な情報提供を行うことも重要となると考えられる > 得られた情報と集計結果を基に、調査の目的 や仮説に対する結論を導き出します。 本来の事業目的とズレが生じていないか、事 前に行った定性調査などの情報も踏まえなが ら、分析を行いましょう。 ターゲット層によって、ギャップが存在して いる部分があった時は、特に注目してみま しょう。 特定の層が抱えた課題は、よりクリティカル な課題となる可能性が高いです。 サービスデザインのプロセスでは、ユーザー リサーチの後は企画/サービス立案に進みま す。 ペルソナなどのフレームワークや、東京都 サービスキャンバスなども活用して、これま でに分かったことやターゲットとなる利用者 を具体的に整理してみましょう。 ユーザーリサーチ(定量調査) 結果分析 実施 設計 準備 計画
  34. 37 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ✓ ✓ ✓ ✓ プロトタイピングでは、開発工程前の試作品をテスターに試してもらい、サービス利用者の期待※1に応えられてい るか、ビジュアルイメージやサービスのコア部分の使い勝手を確認します。 これらを事前に確認することで、事業者とサービスの最終イメージを早い段階からすり合わせることができます。 プロトタイピングとは 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングとは ※1 サービス利用者の期待:ユーザーリサーチを実施しサービスキャンバスで整理をした利用者がもっとも実現したいこと ※2 プロトタイプ:システムの試作品(P.42) 課題があれば本格 開発で反映 解決すべき課題 ユーザーリサーチ で得た課題に対す る解決策を踏まえ 仕様書を作成 プロトタイピング プロトタイプ※2 文字情報だった仕様(解 決策の仮説)をプロトタ イプで具体化 テスト テストシナリオを元にイ ンタビューやアンケート を行い、ユーザーの期待 に応えられているか確認 事業者と打合せ 確認したい事項を整理し、 必要な画面や機能を調整 の上、プロトタイプ作成 依頼 リリース テスト・ 改善 開発 要件定義 ・調達 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計
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    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 サービスのコア部分について、文字情報(仕様書)を具体化したプロトタイプを作成する際の作業項目と、都の作 業分担は以下のようになります。 プロトタイピングの作業分担表(プロトタイプ作成) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングとは 活動 作業項目 都 事業者 説明/ポイント プロトタイプ作成 対象の決定 確認ポイントの整理 〇 サービスのコア部分について、UI/UX観点で「満たさなければならない確認ポ イント」を整理しておきましょう。 プロトタイプを作成 する画面や機能の 決定・合意 〇 〇 確認ポイントを検討の上、プロトタイプを作成する対象はどこが適切か、事業 者と協議します。 テスト計画書 テスト計画書作成 〇 テストの目的、実施スケジュール、テスト方法(テスター確保等も含む)及び テストでの確認ポイントを記載した計画書を作成します。 計画書承認 〇 事前に整理した確認ポイント等について、適切にテストができる計画になって いるかどうかを確かめた上で、承認を行います。 プロトタイプ作成 プロトタイプ作成 〇 プロトタイプを作成します。 プロトタイプの確認 〇 出来上がったプロトタイプを確認し、事業者にフィードバックを行います。
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    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 プロトタイピングを実施する際の作業項目と事業者との作業分担は以下のようになります。 プロトタイピングの作業分担表(プロトタイピング実施) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングとは 活動 作業項目 都 事業者 説明/ポイント テスト仕様書 テスト仕様書の作成 〇 当日の手順、テストシナリオ、テスターが実施する操作(タスク)、テストに 利用する質問、テストに使用する機器等を記載したテスト仕様書を作成します。 テスト仕様書の承認 〇 テスト仕様書を確認、承認します。 プロトタイピング 実施 テスト実施 〇 プロトタイプを用いてテスト(定性調査/定量調査)を行います。 結果分析 報告書作成 結果分析・修正方針 〇 〇 テスト結果を分析し、ユーザーの期待に応えられているかを検証の上、課題が 出た個所について本格開発に反映すべきか(修正方針)を検討します。 テスト結果報告書 作成 〇 実施結果・修正方針を記載したテスト結果報告書を作成します。 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
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    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ① プロトタイプ作成対象の決定 確認ポイントを整理し、プロトタイピング実施対象の画面や機能を 決定します。 サービスのコア部分※は必ずプロトタイプの作成対象としましょう。 ② プロトタイプ作成の注意点 サービスの疑似体験ができることが大切で、カバーされるべき業務 や業務フローを考慮した疑似UI/疑似UXが必要です。 プロトタイピングは、大きく2つの活動に分かれます。 プロトタイピングの概要 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングとは プロトタイプ作成 プロトタイピング実施 ① テスト計画書・テスト仕様書の作成 テスト方法やテストでの確認ポイント等を記載したテスト計画書 及びシナリオやタスク等を記載したテスト仕様書の作成を行います。 ② テスト実施 インタビュー(定性調査)またはアンケート(定量調査)を実施 します。ユーザー目線で使い勝手等に問題のある点を確認します。 ③ 結果分析・修正方針検討 テスト結果からサービスのコア部分がサービス利用者の期待に応え られているかを確認します。本格開発に反映すべきか、次回以降の 開発に持ち越すべきか、優先度付けを行います。 ※ 例えば、紙で行っていた申請手続をデジタル化するケースでのコア部分は、 「申請部分の機能」です。登録から完了までのフローをプロトタイプで確認しましょう。 仕様を具体化したプロトタイプを作成します。 プロトタイプをテスターに操作してもらいながら、 サービスのコア部分の使い勝手を確認します。 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  38. 41 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 プロトタイプの段階では、リリース後の運用や更新を見据え、提供者の視点からも確認を行うことが重要です。 そのため、以下の観点に基づいて確認ポイントを設定し、事業者と共有することが求められます。 プロトタイプの作成と確認ポイントの整理 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイプ作成 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 確認ポイントの観点 UIの観点 ✓ サービス利用者へのメッセージが適切である(分かりやすい、誤認されない) ✓ ボタンやリンクなどユーザーのアクションを促すものが正しく認知されている(見つけやすい、迷わない) ✓ サービス利用者が操作に詰まらない(操作不能にならない) UXの観点 ✓ 提供するサービス/機能がサービス利用者の期待に応えられている(期待を下回っていない) 提供者の観点 ✓ 無理なく運用できるか/将来他のサービスに展開可能かなど(提供者目線)
  39. 42 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 モックアップ デザインプロトタイプ イ メ ー ジ 説 明 • 完成品を模した画像や画面、Webページなどのことを 指します。 • ワイヤーフレーム※を元に、具体的なビジュアルデザイ ンが追加されたものです。 • 中身の動きなどは実装されていないものです。 • モックアップを使ったテストでも、手動で画面を切り 替えることで、実際の動きを再現することができます。 • モックアップのようなデザインイメージに加えて、実 際の画面遷移や画面上の動きを実装したものです。 • ユーザー目線での評価を行うにあたり、画面遷移は重 要な要素であるため、プロトタイピングで用いるプロ トタイプはこちらを推奨します。 プロトタイプには、下記の2種類があります。 ユーザー目線での評価を行うには、画面の遷移ができるデザインプロトタイプの作成が望ましいです。 プロトタイプの種類 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイプ作成 画面遷移 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 ※ 参考:サービスデザインガイドラインVer 2.1.0 P.44
  40. 43 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 下記の例を参考に、サービス利用時の利用者の行動を再整理してみましょう。 一連の利用者の行動を可視化するには、「カスタマージャーニーマップ」を活用するのも効果的です。 (参考:サービスデザインガイドラインVer 2.1.0 P.32 ) プロトタイプの作成範囲を考える(行動整理) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイプ作成 Aさんは、先日子供が生まれました。出生届を出すために、東京都▲市電子申請システムで提出する必要があります。 申請に必要な資料を確認するために、検索エンジンで「▲市電子申請」と検索し、東京都▲市電子申請システムにア クセスしました。 届け出には出生証明書と母子手帳の画像が必要だと分かり、準備しました。 その後、システムで出生届の提出を行い、市から申請の完了メールが届いたことを確認しました。 利用者の 行動例 このサービスでの利用者の行動は、下記の4つに整理できます。 ① 検索エンジンで電子申請のHPへアクセスする ② 出生証明書と母子手帳の画像を準備する ③ 出生届の提出をする ④ 申請完了メールを確認する 行動の 整理 行動の整理ができたら、プロトタイピングで確認したいこと(次ページ)について考えてみましょう。 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  41. 44 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 今回の例で確認したいことは、「電子申請システムで出生届を提出できるか」です。 その観点から改めて行動を確認すると、全体のフローのうち「①検索エンジンで電子申請のHPへアクセスする」や、 「②出生証明書と母子手帳の画像を準備する」は、今回の確認したいこととは異なるため対象から除きましょう。 そのため、今回の例では、「③出生届の提出」から「④申請完了メールを確認する」までを確認するのに必要なプロ トタイプを作成するようにしましょう。 作成範囲の 決定 ユーザーの行動が整理できたら、プロトタイピングで確認が必要な事項を整理しましょう。 確認したい内容を中心として、プロトタイプの作成範囲を決めます。 プロトタイプの作成範囲を考える(範囲決定) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイプ作成 ① 検索エンジンで電子申請のHPへアクセスする ② 出生証明書と母子手帳の画像準備 ③ 出生届の提出をする ④ 申請完了メールを確認する※ 確認対象 ※プロトタイピングでのメール確認は、プロトタイプ上で「登録」ボタンを押したときに、紙に印刷したメール文案を「このタイ ミングでこちらのメールが届きます」とテスターにお渡しする形などを取ることで実現したりします。 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  42. 45 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 テスト結果分析 テスト実施 テスト設計 テスト準備 テスト計画 プロトタイピングは、テスト計画、テスト準備、テスト実施、テスト結果分析の4つのフェーズに分かれます。特 に計画と準備がテストの成功の鍵を握ります。 プロトタイピング実施の活動内容 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングの実施 • テストの目的確認 • 実施スケジュール設定 • テスト方法の決定 (テスター確保等も含む) • テストでの確認ポイン トの決定 • 当日の手順 • テストシナリオの作成 • テスターが実施する 操作(タスク)設定 • テストに利用する質問 の準備 • テストに使用する機器 等の準備 • インタビューの実施 または • アンケートフォームを 利用して質問票の回収 • 課題の抽出と分析 • 課題に対する解決策・ 改善案の策定 • 課題が出た個所につい て、本格開発に反映さ せるかどうか(修正方 針)を検討 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  43. 46 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 プロトタイピングを実施する前に、下記の内容を明確にしてテスト計画を立てます。 テスト計画(1/2) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングの実施 テスト計画項目 説明/ポイント テストの目的 確認したいことの概要など、プロトタイピングの目的を記載します。 実施スケジュール 開発工程の前に実施します。 プロトタイピングの結果を踏まえて、開発工程へ進むことができるスケジュールを提示しましょう。 テスト方法 テスト 手法 原則としてインタビュー(定性調査)で実施します。 検証内容に応じて、ユーザー評価がより正しく取得できる環境を選択しましょう。 【対面】直接対面でテスターにインタビューを行います メリット ▸ 直接テスターの操作実態をモニタリングできる デメリット ▸ 会場の規模やテスターの人数によっては緊張感や圧迫感を与える可能性がある 【オンライン】Web会議システムを活用して、オンラインでインタビューを実施します メリット ▸ 会場確保が不要で、実施スケジュールが調整しやすい 操作モニタリングも実施可能 デメリット ▸ カメラに映らない表情や手元の動きなど、細かな気付きを得られない テスター 実際にサービスを利用する人物をテスターとします。(参考:P.5) プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  44. 47 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 テスト計画項目 説明/ポイント テストでの確認 ポイント 以下の観点で確認ポイントを設定しましょう。 UIの観点 ✓ サービス利用者へのメッセージが適切である (分かりやすい、誤認されない) ✓ ボタンやリンクなどサービス利用者のアクションを促すものが正しく認知されている (見つけやすい、迷わない) ✓ サービス利用者が操作に詰まらない (操作不能にならない) UXの観点 ✓ 提供するサービス/機能が利用者の期待に応えられている (期待を下回っていない) ★ネガティブな意見や不足しているものが何かを確認することが重要です。 プロトタイピングを実施する前に、下記の内容を明確にしてテスト計画を立てます。 テスト計画(2/2) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングの実施 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  45. 48 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 テスト計画を立てたあと、下記の内容についても漏れがないか確認し、プロトタイピングに臨みます。 テスト準備(テスト仕様の決定) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングの実施 テスト準備項目 説明/ポイント 当日の手順 テスト当日の流れを記載します。 テストシナリオ の作成 テスト計画で決めた確認ポイントを評価することのできる、ユーザー利用シーンとその一連の行動 (ユーザーの行動や体験をストーリー風にしたもの)を作成します。 タスクの設定 テスターに行ってもらう操作(タスク)を設定します。 テスト質問 テスト計画書作成時に整理した確認ポイントを中心にテスト質問票(アンケート)を作成します。 テストの実施体制 ✓ テスト目的を十分理解したテスト進行者(ファシリテーター)を選出します。 ※進行者はサービスを事前に操作し、テスト前にサービスの流れや機能を理解しておく必要があります。 ✓ インタビューの議事録やテスターの利用状況を書き留めるために、進行者以外に、最低1名はテストに 同席することを推奨します。 ✓ 集合形式(グループインタビュー形式)で行う場合は、テスターのサポートを行える人も配置します。 テストデバイス の準備 ユーザーのサービス利用シーンと同じデバイス(PC、スマホ、タブレット等)を選定します。 必要であれば複数のデバイスで行います。 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  46. 49 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 プロトタイピングの実施手順を確認しましょう。手順は以下のとおりです。 下記の流れをイメージした上で、当日のテスト仕様を検討していきましょう。 テスト当日の実施手順 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングの実施 テスト実施側 テスター側 開 始 終 了 事 前 説 明 タ ス ク の 実 行 タ ス ク の 観 察 と 記 録 イ ン タ ビ ュ ー に よ る 深 堀 り 回 答 確 認 ※ 追 加 質 問 定 性 調 査 ( イ ン タ ビ ュ ー ) プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 ※必要に応じて実施
  47. 50 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 タスクの作成 今回の例で作成するタスクは、「③ 出生届の提出をする」「④ 申請完了メールを確認する」の一連の流れです。 確認項目をタスクとして下記のように整理します。 タスク:電子申請システムで出生届を提出してください。 市から申請完了メールが届いたらタスク終了です。 「プロトタイプの作成範囲を考える(P.43~P.44)」で整理をした確認項目をもとに、テスターに実施してもらう操作 (タスク)と質問内容を作成してみましょう。 タスク・質問の作成(1/2) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングの実施 ・タスクの中に2つ以上の要素を盛り込まない ⇒複数の要素を1つのタスクに盛り込むと操作が不十分になったり、想定した操作を行ってもらえない可能性があります。 複数の要素をテストしたい場合は、複数のタスクを設けるようにしましょう。 (例:× アカウントのマイナンバーカード連携と出生届の提出 等) ・テスターに示すタスクには、具体的な手順を記載しない ⇒手順の指示が無くても、UI上の情報でテスターが操作できるかを確認しましょう。 ポイント プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  48. 51 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 質問の作成 質問作成の際には、自分たちでもタスクを実施しながら設計を行いましょう。 特に注意すべきポイントを下記にまとめています。 具体の質問を考える際は、P.17~P.18に記載してある、設問のポイントも参考にしてください。 タスク・質問の作成(2/2) 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピングの実施 ・テスターが操作に迷ったり詰まったりしそうな箇所 ⇒プロトタイピング実施の前に、必ず自分たちでタスクを行い、操作に詰まりそうな場所がないか確認します。 ある場合はリストアップし、当日注意深く観察/質問できるよう準備しておきます。 ・ユーザーリサーチの結果を反映させた部分 ⇒提供すべき価値を提供できているか、コア部分の体験が利用者の期待に応えたものになっているかを質問でも細かく 深掘りします。 ・フローの中で気になる部分 ⇒内容的に分かりにくい部分や、飛躍がある部分について、補足の説明がなくても問題ないか等、質問の中で深掘りします。 ポイント プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  49. 52 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 1 課題の抽出と整理 テストで得られた結果をもとに以下のステップで結果の整理を進めていきます。 テスト結果の分析 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピング結果分析 ✓ なぜ操作に迷ったのか ✓ なぜ想定と違う操作を行ったのか ✓ なぜテスターの満足度を得られなかったのか テスターの評価を以下の観点で整理し、改善すべき課題を明らかにします。 評価が良い点・平均評価点に着目するよりも、テスターの指摘・不満点に着目することが重要です。 ・サービス提供者から補足説明をしないとタスクが完了できなかったなどの重大な課題は、本格開発で必ず対応するようにします。 ・仕様書の範囲内で対応可能なものは、本格開発時に対応します。 ・今回の開発等で対応しないと判断した項目に対しても、対応しない理由と判断者、延期後の対応スケジュールを記録します。 2 課題の対応範囲の確認 3 課題に対する対応策・改善案の策定(改善活動の管理) プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成
  50. 53 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 インタビューやアンケートの回答結果を整理し、課題管理簿で課題を管理します。 プロトタイピングで現れた重要度の高い課題は、本格開発時に反映することを検討しましょう。 課題の抽出と整理 3 プロトタイピングの進め方/プロトタイピング結果分析 重要な意見を課題として抽出 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 シーン 質問 テスター回答 モニタリング状況メモ 全体 タスク全体を通して の印象をお聞かせく ださい。 ・全体的にはシンプルで分かりやすかった ・最初の説明文が細かすぎて分かりづらかった ・操作自体は難しいと感じなかった ・背景がグレーなので怪しいサイトに入ったかと思った ・相談予約時にカレンダーで日付を選択するが、空いている日がいつなのか分からなかった 入力 フォーム 相談内容入力フォー ムの入力時に感じた ことはありますか。 ・電話番号は080を入力したら自動的に入力欄が次の枠へ移った方がいいと思った ・相談してよい内容なのかどうかの判断ができなかった ・失敗例などのサンプルを掲載した方がいいい。サイト内の情報だけだと分からない ・相談内容の入力時に長考してから入力を始めた No. 入力日 件名 テスター意見 対応方針 対応可 対応不可 修正状況 1 R7.2.5 サイトデザインの 調整 ・背景がグレーなので怪しい サイトに入ったかと思った。 •サイトデザインの変更 ・サイトデザイン案を3案提案 ・その後委託者と協議の上、サイトデザインを決定 ◦ 2 R7.2.6 相談例の掲載 ・相談してよい内容なのかどう かの判断ができなかった。 ・サイトの情報だけだと分から ない。 •相談例を掲載する ・気軽な相談から深刻な相談まで、受け付けていることが分かるような 相談例を4~5件掲載 ◦ ▼インタビュー/アンケート回答結果 ▼課題管理簿 ※対応可:本格開発時に修正 対応不可:プラットフォームやSaaSの制約で修正不可、運用やサポート体制等でカバー
  51. 54 HELLO! TOKYO FRIENDS リ リ ー ス 後 の

    ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 都庁事例 プロトタイピング|プロトタイプ作成 メタバースコンテンツ(モックアップ) コンセプトとメタバース内の各エリアの関係性、個別のエリアで体験で きるコンテンツを、ユーザーが体験するであろう流れに沿って説明し、 パワーポイントで作成 メタバースコンテンツとWebサイトのプロトタイプの開発を行う ・メタバースコンテンツ:コア体験の受容性検証のために流れが分かるモックアップを作成 ・Webサイト:サービスの理解度や使い勝手を検証するために、デザインプロトタイプを作成 定性調査と定量調査で得られたコンセプトへの期待と改善のポイントを踏まえ、本格開発に入る前 に、コア体験を検証し、事業の狙い(東京への観光意向喚起)が達成できそうか確認したい プロトタイピングの流れ ポイント 一連の流れの中でも、特に検証したい体験に 絞ってプロトタイプを作成しましょう。 体験の前後の状況などは、口頭または簡易的 なフロー図で補足説明を行うことで、実際の 利用に近い検証を行うことができます。 プロトタイプ 作成 プロトタイプ 作成対象の 決定 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 前提となる 状況 Webサイト(デザインプロトタイプ) イメージビジュアルとキーメッセージが記載されたデザインプロトタイ プを、UI/UXデザインツールで作成 UI/UXデザインツールを用いると、画面遷移 なども簡単に作成できます。
  52. 55 HELLO! TOKYO FRIENDS リ リ ー ス 後 の

    ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 都庁事例 確認ポイント の決定 テスター 属性選定/ テスター確保 若年層:2名(29歳以下/Robloxを週3回以上利用/東京旅行経験なし) ファミリー:3組6名(10代の子がRobloxを利用/東京旅行経験なし) 米国居住者:合計8名(ユーザーリサーチと同条件) プロトタイピング|計画 ・プロトタイピング実施スケジュール ⇒調査設計:1週間/プロトタイプ作成:4週間/調査期間:2日間 サービスのコア体験の受容性/提供価値を把握 ・コンセプトに基づいたコア体験が受容され、訪都意欲向上に影響はありそうか、各機能や情報に 過不足がないか検証する 事業全体のスケジュールを鑑みながら、プロ トタイプの表現方法の選定とクオリティのコ ントロールを行いましょう。 (デザインプロトタイプが必要か、モック アップや投影資料などでも問題ないか等) (参考:P.42) プロトタイピングの流れ ポイント オンラインインタビュー形式 ・オンラインミーティングツールを用いた口頭による回答 ・プロトタイプを作成し、こちらからの画面共有と実際に操作してもらいながら調査実施 プロトタイピングは要件定義の後の工程とな ります。 サービスのコアとなる体験によって、利用者 が最も実現したいことが提供できているかを 検証していきます。 テスト手法 決定 実施 スケジュール 設定 調査目的 設定 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 ・コア体験が利用者の期待に応え、訪都意欲が向上するか(メタバースコンテンツ) ・利用者のニーズを満たしたコンテンツやレイアウトの設計がなされているか(Webサイト) 実際の操作を伴う調査を行う際は、その場で 詳細な意見を引き出せるインタビュー形式 (定性調査)が適切です。ユーザーリサーチ で実施した際のポイントなども改めて振り 返ってみましょう。(参考:P.17~18) プロトタイピングのテスターは、実際にサー ビスを利用する人を確保しましょう。 (参考:P.5) 確認ポイントは、必ずUI/UXの両方の視点を 取り入れて設定しましょう。(参考:P.41)
  53. 56 HELLO! TOKYO FRIENDS リ リ ー ス 後 の

    ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 都庁事例 ・メタバースコンテンツ(モックアップ) ・Webサイト(デザインプロトタイプ) チュートリアル の実践 友人から勧められて サイトを検索(前提) 質問設計/ インタビュー 内容作成 プロトタイピング|準備/実施 プロトタイピングの流れ ポイント テスト シナリオ の作成/ タスク設定 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 インタビュー質問項目抜粋 1. 調査概要説明、テスターの属性確認(5分) 2. 旅行における行動把握(10分) • 自身がよくとる旅行スタイルを教えてください(家族旅行、一人旅行、カップル旅行) • 旅行先・観光先の選定基準を教えてください 3. メタバースの説明・意見聴取(45分) • どのようなサービスだと感じましたか?(何ができそうか、役立ちそうか) • このサービスに点数をつけて評価してください • 東京を知るきっかけになりそうだと思いますか? 4. サイトの行動観察(20分) • このサイトの印象を教えてください • 閲覧していて気になった部分はありますか? 5. クロージング、全体振り返り(5分) コンテンツの 流れを説明 スライドで VR空間を体験 キャラクター との会話を体験 ゲーム要素を 紙芝居的に体験 Webサイト へアクセス 自由に 操作/閲覧 プロトタイプが複数のフローに分かれている 場合は、各フローごとに疑問点を聴取し、す べてクリアになってから次のフローへ移動す るようにしましょう。 今回の事例では、メタバースコンテンツの パートで、複数のVR空間を体験していただく ため、それぞれの空間において、質疑を挟み ながら進行しました。 原則オープンクエスチョンで質問を設計し、 テスターからの回答に対して、その場で深掘 りを行っていきましょう。 インタビュー終了後、定性調査でのインタ ビューのポイントを振り返り、しっかりとテ スターの課題や意見を深掘りできたか確認し ましょう。(参考:P.19) プロトタイピングの段階で、足りていない情 報や設計箇所については、最初に説明を行い、 できる限り本番に近いフローを体験してもら えるよう工夫しましょう。 例)モックアップの構造、前提条件など サービスを操作してもらいながら定性調査を 行う際のポイントを確認しましょう。 (参考:P.18)
  54. 57 HELLO! TOKYO FRIENDS リ リ ー ス 後 の

    ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 都庁事例 ✓課題に対する対応策の策定 プロトタイピング|結果分析 プロトタイピング実施 プロトタイピング 結果分析 実施 設計 準備 計画 プロト タイプ作成 ✓課題の抽出と整理(メタバースコンテンツパートから抜粋) ✓対応範囲の確認(メタバースコンテンツパートから抜粋) ポイント 調査結果 分析 プロトタイピングの流れ 質問 テスター回答 どのようなサービ スだと感じました か? ・教育的ではあるが、やらされている感はなく、とても面白そうだと思った ・すぐに遊びたい!観光を後押ししてくれそうだし、知識も得られそう ・しばらくは遊べると思うが、新しいアップデートがないと使わなくなるかも どんな要素があれ ば満点に届きそう ですか? ・観光スポットの周辺にあるおすすめのレストランの情報も知れると嬉しい ・建物の歴史や特徴、飲食店や観光施設のマナーなどを知りたい テスター意見 対応方針 観光スポットの周辺のレス トランを紹介して欲しい。 •おすすめレストランの紹介 ・レストランを選定(数が多く選定が難しい) ・随時情報を更新(閉店時など対応できない) 実装は見送り 建物の歴史や特徴、飲食店 や観光施設のマナーなどを 知りたい。 •コンテンツの追加 ・表示する情報を追加する ・キャラクターの会話で補足する 実装する方向で検討 > × 〇 ・表示する情報を追加する 建物の説明をポップアップで 表示し、実際の写真と合わせて 閲覧可能に変更 ・キャラクターの会話で補足する 特定のキャラクターから 見どころやトリビアを聞ける ように変更 見どころ/ トリビア コンテンツを追加 キャラクターの 会話を追加 評価が良い点だけではなく、テスターの指摘 や不満点に着目しましょう。 改善すべき課題点を明らかにするための重要 な観点は以下のとおりです。(参考:P.52) ・なぜ操作に迷ったのか ・なぜ想定と違う操作を行ったのか ・なぜテスターの満足度を得られなかったのか 重大な課題以外でサービスの品質が向上する ものについて対応が可能であれば、本格開発 時に反映しましょう。 それぞれの課題に対して、しっかりと優先度 をつけ、対応しないと判断した課題について も、課題管理簿などで適切に管理を行いま しょう。(参考:P.53)
  55. 59 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ングで確認したポイントがサービスに反映されている か」を確認します。これにより品質が保証されたサービ スをリリースできます。 ユーザビリティテストでは「設計時の目的どおりユーザ ーエクスペリエンスが実現できているかの最終確認」を 目的としています。主に「重要と思われるアクションを ユーザーがストレス無しに行えるか」、「プロトタイピ ユーザビリティテストとは 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストとは ユーザビリティテスト リリース テスト結果を踏まえ、 重要な機能に影響するものや リリース前に対応可能な課題は修正 リリース前に修正対応 できなかった課題について 必要に応じて改修を行う リリース後 開発 β版を作成 プロトタイピング リリース テスト・ 改善 開発 要件定義 ・調達 企画 サービス立案 仮説検討 設計 詳細設計 基本設計
  56. 60 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユーザビリティテストを実施する際の操作(タスク)と事業者との作業分担は以下の表のようになります。 ユーザビリティテストの作業分担表 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストとは 活動 作業項目 都 事業者 説明/ポイント テスト計画書 テスト計画書作成 〇 テストの目的、実施スケジュール、テスト方法(テスター確保等も含む)及び テストでの確認ポイントを記載した計画書を作成します。 計画承認 〇 適切にテストができる計画になっているかどうかを確かめた上で承認します。 テスト仕様書 テスト仕様書の作成 〇 当日の手順、テストシナリオ、テスターが実施する操作(タスク)、テストに 利用する質問、テストに使用する機器等を記載したテスト仕様書を作成します。 テスト仕様書の承認 〇 テスト仕様書を確認、承認します。 ユーザビリティ テスト実施 テスト実施 〇 β版を用いてテスト(インタビューまたはアンケート)を行います。 結果分析・報告書 作成 結果分析・修正方針 〇 〇 テスト結果を分析し、「重要と思われるアクションをユーザーがストレス無し に行えるか」、「プロトタイピングで確認したポイントがサービスに反映され ているか」を検証し、課題が見つかった場合はリリースまでに対応するかどう か(修正方針)を検討します。 テスト結果報告書作成 〇 実施結果・修正方針を記載したテスト結果報告書を作成します。 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  57. 61 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユーザビリティテストは、テスト計画、テスト準備、テスト実施、テスト結果分析の4つのフェーズに分かれます。 特に計画と準備がテストの成功の鍵を握ります。 ユーザビリティテストの活動内容 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 テスト結果分析 テスト実施 テスト設計 テスト準備 テスト計画 • テストの目的確認 • 実施スケジュール設定 • テスト方法の決定 (テスター確保等も含む) • テストでの確認ポイン トの決定 • 当日の手順 • テストシナリオの作成 • テスターが実施する 操作(タスク)設定 • テストに利用する質問 の準備 • テストに使用する機器 等の準備 • インタビューの実施 または • アンケートフォームを 利用して質問票の回収 • 課題の抽出と分析 • 課題に対する解決策・ 改善案の策定 • 重要な機能に影響する 課題は優先的に対応 • リリース前に対応可能 な課題は修正 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  58. 62 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユーザビリティテストを実施する前に、下記ポイントを明確にして実施計画を立てます。 テスト計画(1/2) 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 テスト計画項目 説明/ポイント テストの目的 確認したいことの概要など、ユーザビリティテストの目的を記載します。 実施スケジュール テスト結果を踏まえて修正を行えるタイミングで実施します。 テスト方法 テスト 手法 原則としてインタビュー(定性調査)で実施します。 検証内容に応じて、ユーザー評価がより正しく取得できる環境を選択しましょう。 【対面】直接対面でテスターにインタビューを行います。 メリット ▸ 直接テスターの操作実態をモニタリングできる デメリット ▸ 会場の規模やテスターの人数によっては緊張感や圧迫感を与える可能性がある 【オンライン】Web会議システムを活用して、オンラインでインタビューを実施します。 メリット ▸ 会場確保が不要で、実施スケジュールが調整しやすい 操作モニタリングも実施可能 デメリット ▸ カメラに映らない表情や手元の動きなど、細かな気付きを得られない テスター 実際にサービスを利用する人物をテスターとします。(参考:P.5) ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  59. 63 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユーザビリティテストを実施する前に、下記ポイントを明確にして実施計画を立てます。 テスト計画(2/2) 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 テスト計画項目 説明/ポイント テストでの確認 ポイント 以下の観点で確認ポイントを設定しましょう。 UI/UXの観点 ✓ 設計時の目的どおりのユーザー体験が実現できるか ✓ 重要と思われるアクションをユーザーがストレス無しに行えるかの確認 プロトタイピングからの改善 ✓ プロトタイピングで確認したポイントがサービスに反映されているか ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  60. 64 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 テスト計画を立てたあと、下記の内容についても漏れがないか確認し、ユーザビリティテストに臨みます。 テスト準備(テスト仕様の決定) 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 テスト準備項目 説明/ポイント 当日の手順 テスト当日の流れを記載します。 テストシナリオ の作成 テスト計画で決めた確認ポイントを評価することのできるユーザー利用シーンとその一連の行動 (ユーザーの行動や体験をストーリー風にしたもの)を設定します。 タスクの設定 テスターに行ってもらう操作(タスク)を設定します。 テスト質問 テスト計画書作成時に整理した確認ポイントを中心にテスト質問票(アンケート)を作成します。 テストの実施体制 ・テスト目的を十分理解したテスト進行者(ファシリテーター)を選出します。 ※進行者はサービスを事前に操作し、テスト前にサービスの流れや機能を理解しておく必要があります ⇒インタビューの議事録やテスターの利用状況を書き留めるために、 進行者以外に、最低1名はテストに同席することを推奨します。 ・集合形式(グループインタビュー形式)で行う場合は、テスターのサポート等が行える人も配置します。 テストデバイス の準備 ユーザーのサービス利用シーンと同じデバイス(PC、スマホ、タブレット等)を選定します。 必要であれば複数のデバイスで行います。 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  61. 65 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユーザビリティテストの実施手順は以下のとおりです。 下記の流れをイメージした上で、当日のテスト仕様を検討していきましょう。 テスト当日の実施手順 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 テスト実施側 テスター側 開 始 終 了 事 前 説 明 タ ス ク の 実 行 タ ス ク の 観 察 と 記 録 イ ン タ ビ ュ ー に よ る 深 堀 り 回 答 確 認 ※ 追 加 質 問 定 性 調 査 ( イ ン タ ビ ュ ー ) ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画 ※必要に応じて実施
  62. 66 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 プロトタイピング実施時に使用したテストシナリオを参考にテストシナリオを作成してみましょう。 ユーザビリティテストではリリース直前のβ版を用いてテストを行うため、操作(タスク)が整理しやすいよう、 実際の利用シーンを細かく分割しまとめてみましょう。一連のユーザーの行動を可視化するには、「カスタマー ジャーニーマップ」を活用するのも効果的です。 (参考:サービスデザインガイドラインVer 2.1.0 P.32 ) タスク・質問の作成(1/4) 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 Aさんは、先日子供が生まれました。出生届を出すために、東京都▲市電子申請システムで提出する必要があります。 申請に必要な資料を確認するため、検索エンジンで「▲市電子申請」と検索しHPにアクセスしました。 届け出には出生証明書と母子手帳の画像が必要だとわかり準備しました。 その後、システムで申請フォームを探しクリックし、申請者情報の入力や画像のアップロードを行った上で出生届の 提出を行いました。市から申請の完了メールが届いたことを確認しました。 利用者の 行動例 このサービスでの利用者の行動は、下記の7つに整理できます。 ① 検索エンジンで電子申請のHPへアクセスする ② 出生証明書と母子手帳の画像を準備する ③ システムで出生届申請フォームを探す ④ 申請者情報の入力 ⑤ 用意した画像のアップロード ⑥ 出生届の提出をする ⑦ 申請完了メールを確認する 行動の 整理 行動が整理できたら、ユーザビリティテストで確認したいこと(次ページ)について考えてみましょう。 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  63. 67 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユーザーの行動が整理できたら、ユーザビリティテストで検証する範囲を整理しましょう。 タスク・質問の作成(2/4) 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 今回確認したいことは、「電子申請システムで出生届を提出できるか」です。 その観点から改めて行動を確認すると、「①検索エンジンで電子申請のHPへアクセスする」は、今回の確認したい こととは異なるため対象から除きましょう。「②出生証明書と母子手帳の画像を準備する」についても、事前に写真 を用意しておきましょう。 今回の事例では、「③システムで出生届申請フォームを探す」から「⑦申請完了メールを確認する」までを実際にテ スターに操作をしてもらい、インタビュー(定性調査)を実施します。 ほかにも、ユーザビリティの確認が必要な「システム内の検索機能」や「ユーザー登録機能」等がある場合は、それ ぞれタスクを設定し、テストを実施してみましょう。 作成範囲の 決定 ① 検索エンジンで電子申請のHPへアクセスする ② 出生証明書と母子手帳の画像を準備する ③ システムで出生届申請フォームを探す ④ 申請者情報の入力 ⑤ 用意した画像のアップロード ⑥ 出生届の提出をする ⑦ 申請完了メールを確認する※ 確認対象 ※メール確認は、β版上で申請を確定するボタンを押したときに、別画面で受信メールの内容を表示する方法でも実施できます。 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  64. 68 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 タスク・質問の作成(P.66~67)で整理をした確認項目をもとに、テスターに実施してもらう操作(タスク)と質 問内容を作成してみましょう。 タスク・質問の作成(3/4) 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 タスクの作成 今回の例で作成するタスクは、「③システムで出生届申請フォームを探す」から「⑦ 申請完了メールを確認す る」の一連の流れです。確認項目をタスクとして下記のように整理します。 タスク:電子申請システムの出生届フォームからを提出してください。 市から申請完了メールが届いたらタスク終了です。 ・タスクの中に2つ以上の要素を盛り込まない ⇒複数の要素を1つのタスクに盛り込むと操作が不十分になったり、想定した操作を行ってもらえない可能性があります。 複数の要素をテストしたい場合は、複数のタスクを設けるようにしましょう。 (例:× アカウントのマイナンバーカード連携と出生届の提出 等) ・テスターに示すタスクには、具体的な手順を記載しない ⇒手順の指示が無くても、UI上の情報でテスターが操作できるかを確認しましょう。 ポイント ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画
  65. 69 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 タスク・質問の作成(4/4) 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテストの実施 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画 質問の作成 質問作成の際には、自分たちでもタスクを実施しながら設計を行いましょう。 特に注意すべきポイントを下記にまとめています。 具体の質問を考える際は、 P.17~P.18に記載してある、設問のポイントも参考にしてください。 ポイント ・テスターが操作に迷ったり詰まったりしそうな箇所 ⇒ユーザビリティテスト実施の前に、必ず自分たちでタスクを行い、操作に詰まりそうな場所がないか確認します。 ある場合はリストアップし、当日注意深く観察/質問できるよう準備しましょう。 ・プロトタイピングで課題となった部分 ⇒プロトタイピングを通して改善した部分が反映されているか、利用者の期待に応えることができているかを確認します。 ・フローの中で気になる部分 ⇒内容的に分かりにくい部分や、飛躍がある部分について、補足の説明がなくても問題ないか等、質問の中で深掘りします。
  66. 70 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 テストで得られた結果をもとに以下のステップで結果の整理を進めていきます。 テスト結果の分析 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテスト結果分析 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画 1 課題の抽出と整理 ✓ なぜ操作に迷ったのか ✓ なぜ想定と違う操作を行ったのか ✓ なぜテスターの満足度を得られなかったのか テスターの評価を以下の観点で整理し、改善すべき課題点を明らかにします。 評価が良い点・平均評価点に着目するよりも、テスターの指摘・不満点に着目することが重要です。 ・サービスのコア部分に関する課題や、サービス提供者から補足説明をしないとタスクが完了できなかったなどの重大な課題は、 リリースまでに必ず対応するようにします。 ・仕様書の範囲内で対応可能なものは、リリースまでにできる限り対応します。 ・今回の開発等で対応しないと判断した項目に対しても、対応しない理由と判断者、延期後の対応スケジュールを記録します。 2 課題の対応範囲の確認 3 課題に対する対応策・改善案の策定(改善活動の管理)
  67. 71 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 インタビューやアンケートの回答結果を整理し、課題管理簿で課題を管理します。 ユーザビリティテストで現れた重要度の高い課題は、リリース前に改善をするか検討しましょう。 課題の抽出と整理 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテスト結果分析 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画 重要な意見を課題として抽出 シーン 質問 テスター回答 モニタリング状況メモ 画像の アップ ロード 画像をアップロード する際に感じたこと はありますか。 ・アップロード可能な画像形式に制限がかかっており、アップロードできなかった ・スムーズにアップロードできた ・何度も繰り返しアップロードしようとしていた 出生届の 提出 出生届を提出する際 に、困ったことなど はありますか。 ・各種情報入力のフォームが小さく、タッチするのが大変だった ・分かりやすい内容で、特に困ることはなかった ・確認画面に「修正」ボタンがないため、誤入力があった時に初めからになってしまった No. 入力日 件名 テスター意見 対応方針 対応① 対応② 対応③ 修正状 況 1 R7.3.7 画像アップ ロード制限 ・アップロード画像の制限で、 アップロードができなかった。 •注意事項の追記 ・対応可能なファイル形式/サイズ制限を事前に明記 ・アップロードボタン下にテキストを追加 ◦ 2 R7.3.8 確認画面からの 戻り ・確認画面に「修正」ボタン がなく、誤入力の際に戻るこ とができなかった。 •「修正」ボタンの追加 ・確認画面に「修正」ボタンを追加 ・そこまで入力していた内容を反映した状態で、入力画面に戻る ◦ ▼インタビュー/アンケート回答結果 ▼課題管理簿 ※対応①:修正してリリース 対応②:リリース後の運用段階で改修検討 対応③:改修しない
  68. 72 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ

    ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 ユーザビリティテストによって見つかった問題点について、重要な機能に影響するものやリリース前に対応可能な 課題は修正しましょう。修正を持ち越す場合も、課題管理簿に記載し事業責任者の承認を得るようにしましょう。 ユーザビリティテスト実施後の活動 4 ユーザビリティテストの進め方/ユーザビリティテスト結果分析 サービスリリース ユーザビリティテスト 品質上の問題点 修正 課題管理簿 持ち越す場合も 課題管理簿に記載 ✓ 万一リリース前にサービスのコア領域の課題が発覚した場合は、リリース自体の延期も含め検討します。 ✓ リリース後もサービスに対する意見等を確認し、改善を行いサービスの価値を高めていきましょう。 リリース後の 改修 リリース後の 改修時に対応 (参考:P.78) リリース後はサービスへの ユーザーレビューや行動情報 (アクセス数等)を収集し続 けましょう。 重要な機能に影響するものや リリース前に対応可能な 課題は修正
  69. 73 HELLO! TOKYO FRIENDS リ リ ー ス 後 の

    ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 都庁事例 ユーザビリティテスト|計画 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画 確認ポイント の決定 テスター 属性選定/ テスター確保 若年層:2名(29歳以下/Robloxを週3回以上利用/東京旅行経験なし) ファミリー:3組6名(10代の子がRobloxを利用/東京旅行経験なし) 米国居住者:合計8名(ユーザーリサーチと同条件) ・ユーザビリティテスト実施スケジュール ⇒調査設計:1週間/テスト環境作成:4週間/調査期間:2日間 操作性および体験価値を担保するUI/UXを把握 ・重要なアクションが意図したとおりに行われ、UI面でストレスなく操作できるか確認する ・各コンテンツの内容や構造が理解できるか確認する ユーザビリティテストの流れ ポイント オンラインインタビュー形式 ・テスターがテスト環境のβ版にアクセスし、特定のタスクを操作してもらいながら調査実施 テスト手法 決定 実施 スケジュール 設定 調査目的 設定 ・メタバース空間上で、設計時の目的どおりの体験が実現できているか(メタバースコンテンツ) ・どのような情報が載っているか、その情報の内容を誤解なく理解できるか(Webサイト) β版の作成が完了し、リリースに向けた最終調整に入った状況 前提となる 状況 リリース後は、多くの方が初めてサービスに 触れることになります。 ユーザビリティテストでは、なるべくその状 況に近い、新鮮な目線で見てもらえる方にテ スターを依頼しましょう。 確認ポイントは、必ずUI/UXの両方の視点を 取り入れて設定しましょう。(参考:P.63) ユーザビリティテストはリリース前の最終確 認の工程となります。 サービスの品質を保証するために、設計時の 目的どおりの体験を実現できているかを確認 し、重大な影響を与える課題がないか洗い出 しを行います。 今回の事例では、テスターが海外在住の方な のでオンラインで実施しましたが、可能であ れば対面で行えると良いでしょう。 テスト環境を使用することも多いので、対面 であれば即座に不具合などの確認も行えます。 リリース前の対応/改善作業の可能性も鑑み て、余裕を持った計画を立てましょう。
  70. 74 HELLO! TOKYO FRIENDS リ リ ー ス 後 の

    ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 都庁事例 ユーザビリティテスト|準備/実施 質問設計/ インタビュー 内容作成 ・メタバースコンテンツ(β版) ・Webサイト(β版) ユーザビリティテストの流れ ポイント テスト シナリオ の作成/ タスク設定 実際のインタビュースクリプト抜粋 (Webサイトパートから抜粋) 1. 今回は友人から勧められて、ネットで調べてサイト にアクセスしたという前提でお考え下さい。 2. テスト用のサイトにアクセスしてみてください。 3. 3分ほど時間をとりますので、自由にWebサイトを 見てください。 4. サイトを見て、理解したこと、感じたこと、疑問に 思うことなどをお伝えください。 *2種のコンテンツを紹介していることを理解できるか *ゲームの概略を理解したか *コンテンツのつながりを理解できるか、 言及されない場合は、こちらから深堀りで質問 5. このサービスの現時点での利用意向を点数をつけて 評価し、その理由を教えてください。 チュートリアル の実践 2つのエリアを 探索 他ユーザー と会話 ショップの 利用 友人から勧められて サイトを検索(前提) サイトへ アクセス 自由に 操作/閲覧 β版(テストサイト) ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画 ユーザビリティテストは、リリース前の最終 確認となる重要な工程です。 はじめはオープンクエスチョンで進め、深掘 りや確認が必要な場面では、クローズドクエ スチョンを用いて具体的なポイントを確認し ていきましょう。 具体的な情報を素早く正確に得られる手段と して、クローズドクエスチョンもうまく活用 していきましょう。 β版の制約や不足している情報などについて は、あらかじめ伝えてテストを実施しましょ う。必ずチーム内でシナリオテストの流れを 実際に行って確認し、やりにくいところなど は事前に解消して臨めるようにしましょう。 今回の事例では、Webサイトを見てサービス の詳細を理解してもらうことが重要となるた め、なるべく先入観を入れずに自由に操作し てもらう設計にしました。 口頭での指示や指示書の中では、具体的な手 順を説明せず、UI上の情報でテスターが操作 できるかを確認しましょう。
  71. 75 HELLO! TOKYO FRIENDS リ リ ー ス 後 の

    ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス ト の 進 め 方 4 都庁事例 ✓課題に対する対応策の策定 ユーザビリティテスト|結果分析 ✓課題の抽出と整理(Webサイトパートから抜粋) ✓対応範囲の確認(Webサイトパートから抜粋) ポイント 調査結果 分析 ユーザビリティテストの流れ 質問 テスター回答 サイトを見て思っ たことを教えてく ださい。 ・理解しやすかったし、ゲームの説明も分かりやすかった ・操作が難しい部分はないが、ページが長くて冗長な気がした コンテンツの内容 は理解できました か? ・東京に行ってから使うコンテンツがあることは気付かなかった ・Robloxのゲームの方はイメージが湧いたし、やってみたいと思った! テスター意見 対応方針 東京に行ってから使うコンテン ツがあることは気付かなかった。 •表現方法の修正 ・利用シーンが伝わるUI(アイコン)の追加 > ・利用シーンが伝わるUI(アイコン)の追加 「FLY TO TOKYO!!」というテキストと、飛行機の アイコンを追加し、その部分より下のコンテンツが “東京で利用する“ものであることが伝わるように 【ユーザビリティテスト時】 【修正版】 ユーザビリティテスト 結果分析 実施 設計 準備 計画 得られた意見のうち、サービスのコア部分に 関する課題や不具合は優先度を上げ、サービ スリリース前に対応しましょう。 プロトタイピング同様、対応しないと判断し た課題についても、課題管理簿などで適切に 管理を行い、リリース後の改善につなげま しょう。(参考:P.71) 今回の事例では、ユーザビリティテストを通 し、コンテンツの利用シーンが認識されにく いことが判明し、利用者に正確に伝わるよう な改善をリリース前に行うことが出来ました。
  72. 77 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス

    ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 リリース後もユーザーの行動を観察し、声を取り入れ続けよう 5 サービスリリース後の改善/サービスリリース後の活動について ユーザーテストを十分に行っても、100%完璧なサービスがリリースできるわけではありません。 リリース後もユーザーの行動を観察し、声を取り入れながら改善をし続けることで、QOS(Quality of Service)向上につながります。 常に見直し改善し続けよう リリース後にユーザー意見を取る仕組みを開発段階からしっかりと検討し、現状把握を常に行うよう心掛けましょう。 アンケートフォームの例 継続的なユーザーの行動把握・情報収集 定量情報 ✓ ユーザーレビューの取得 (アンケートフォーム) ✓ アクセス解析 定性情報 ✓ ユーザーインタビュー ✓ ヒューリスティック評価 UI/UXの専門家が、経験則に基づいてWebサイトやアプリ の使いやすさを評価し、課題や改善点を特定する手法
  73. 78 ユ ー ザ ビ リ テ ィ テ ス

    ト の 進 め 方 4 プ ロ ト タ イ ピ ン グ の 進 め 方 3 ユ ー ザ ー リ サ ー チ の 進 め 方 2 は じ め に 1 リ リ ー ス 後 の ユ ー ザ ー リ サ ー チ 5 プロトタイピングやユーザビリティテストで作成した課題管理簿も活用し、リリース後の改善サイクルを作ってい きましょう。アップデートしたものを再度リリースする際にも、プロトタイピングやユーザビリティテストの手順 を踏むことで、より効果的な改善を行うことができます。 リリース後の改善サイクル 5 サービスリリース後の改善/サービスリリース後の活動について サービス リリース 情報収集・ 調査 結果分析 改善 • 情報を分析/評価し、サービスの課題を洗い出す 結 果 分 析 課題 抽出 課題 整理 • 重要度や緊急度の観点から洗い出した課題に優先順位をつけて いく • 費用対効果や提供者視点も意識しながら、優先順位の高い課題に 対し、改善方法を検討し実行する 改善 情報収集 ・調査 • ユーザーレビュー、利用状況のモニタリング(定量調査)や、 インタビュー(定性調査)を実施し、ニーズや課題の把握を行う 改善までの流れ リリース後の改善サイクル