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Difyをはじめよう!

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May 12, 2025
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 Difyをはじめよう!

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MIKIO KUBO

May 12, 2025
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  1. はじめに このスライドでは、AI (特に大規模言語モデル LLM )を活用したアプ リケーションを、プログラミングの知識が少なくても簡単に開発でき るプラットフォーム Dify の使い方を、基本から丁寧に解説します。 ゴール:

    Dify がどのようなツールか理解する。 Dify の基本的な機能(Studio, Datasets )を使えるようになる。 簡単なチャットボットやテキスト生成アプリを作成・公開できるよ うになる。 Dify を使ったAI アプリ開発の流れを体験する。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 2
  2. 一言でいうと? Dify ( ディファイ) は、LLM ( 大規模言語モデル) を活用したAI アプリケ ーション

    を 直感的に開発・運用 できる オープンソースのプラットフ ォーム です。 ノーコード/ ローコード: プログラミング不要、または少しのコード でAI アプリを構築。 Backend as a Service (BaaS): AI アプリに必要なバックエンド機能 (プロンプト管理、モデル連携、データ管理、ログなど)を提供。 Visual Ops: GUI 操作でプロンプト作成、データ連携、アプリ公開 までを一気通貫で実現。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 4
  3. Dify でできること (1) 多様なAI アプリ開発: チャットボット ( カスタマーサポート、社内FAQ) テキスト生成 (

    記事作成、メール文面作成) 質疑応答システム ( ドキュメントベースQA) ワークフロー自動化 など 簡単なプロンプト管理: GUI でプロンプトを作成・テスト。 複数LLM の利用: GPT シリーズ (OpenAI), Claude (Anthropic), Gemini (Google) など、様々なモデルを切り替えて利用可能。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 5
  4. Dify でできること (2) 独自データの活用 (RAG): PDF やテキストなどのドキュメントをア ップロードし、それに基づいた回答を生成。 外部ツール連携: Web

    検索やAPI 連携による機能拡張。 アプリの公開・埋め込み: 作成したAI アプリをWeb API や埋め込み ウィジェットとして簡単に公開。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 7
  5. Dify の構成要素 Dify は主に以下の機能で構成されています。 Studio: AI アプリの設計・構築・テストを行う中心的な場所。 Datasets: 独自データ(ナレッジ)を管理・利用するための機能。 Model

    Providers: 利用するLLM を選択・設定する場所。 Logs & Annotations: アプリの利用状況やユーザーとの対話ログを 確認・分析する機能。 Tools: Web 検索やカスタムAPI などの外部機能を連携させるための 機能。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 9
  6. Datasets ( ナレッジ) AI に知識を与える: PDF, TXT, Markdown, CSV などのファイルをアッ

    プロードし、AI が回答の根拠として利用できるようにします (Retrieval-Augmented Generation - RAG) 。 データ処理: アップロードされたドキュメントは、AI が理解しやす いように自動的に分割(セグメンテーション)され、ベクトル化さ れます。 検索設定: ユーザーの質問に関連する情報を効率的に検索するため の設定(類似度検索など)が可能です。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 11
  7. Model Providers LLM の選択: OpenAI (GPT-4, GPT-3.5), Anthropic (Claude), Google

    (Gemini) など、様々なプロバイダーのモデルを選択できます。 API キー設定: 利用したいモデルのAPI キーを設定します(モデルに よっては必須) 。 モデルパラメータ調整: Temperature ( 応答の多様性) などの詳細パラ メータを調整できます。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 12
  8. Logs & Annotations 利用状況の把握: ユーザーからの入力、AI の応答、使用されたナレ ッジなどを記録・確認できます。 応答品質の評価: AI の応答が良いか悪いかを評価(アノテーション)

    し、改善のためのデータとして活用できます。 コスト追跡: モデルの利用にかかったトークン数やコストを確認で きます。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 13
  9. なぜDify を使うの? 開発スピード向上: 面倒なバックエンド構築やAPI 連携をDify が 肩代わり。アイデアを素早く形にできます。 専門知識のハードル低下: 高度なプログラミングやLLM の専門知

    識がなくてもAI アプリ開発を始められます。 高いカスタマイズ性: プロンプト、モデル、データ、ツールを柔 軟に組み合わせ、独自のAI アプリを構築できます。 運用と改善の容易さ: ログ分析やアノテーション機能により、公 開後のアプリの改善サイクルを回しやすくなります。 コスト管理: 複数モデルの利用状況やコストを一元管理。 オープンソース: コミュニティによる開発が活発で、セルフホス Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 15
  10. クラウド版 vs セルフホスト版 (1) Dify は2 つの形態で利用できます。 クラウド版 (Dify Cloud):

    dify.ai で提供されるサービス。 アカウント登録だけですぐに利用開始可能。 インフラ管理不要。 無料枠あり、有料プランも提供。 初心者にオススメ! Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 17
  11. クラウド版 vs セルフホスト版 (2) セルフホスト版: GitHub で公開されているソースコードを自身のサーバー環境 (Docker など) にデプロイして利用。

    完全に無料で利用可能(サーバー費用、LLM API 費用は別途必 要) 。 データの管理やカスタマイズの自由度が高い。 インフラ構築・運用の知識が必要。 このスライドでは、主にクラウド版について解説します。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 18
  12. 画面構成 Dify にログインすると、最初に表示されるのがダッシュボードです。 ヘッダー: ワークスペース名、アカウント情報、通知など。 サイドバー: アプリ一覧 (Studio) 、データセット一覧 (Datasets)

    、モ デル一覧 (Providers) 、ツール一覧 (Tools) など、主要機能へのナビ ゲーション。 メインエリア: 作成済みアプリの一覧、新規アプリ作成ボタンな ど。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 26
  13. アプリタイプの選択 まず、作成したいAI アプリケーションの タイプ を選択します。 Chat App ( チャットボット): 対話形式のアプリケーション。会話履

    歴を考慮した応答が可能。例: FAQ ボット、キャラクター対話。 Text Generation App ( テキスト生成): 入力に基づいて特定のテキス トを生成するアプリケーション。例: 記事生成、メール作成、翻 訳。 ( その他) Agent ( 自律型エージェント) など、将来的に追加される可 能性あり。 今回は例として Chat App を選択してみましょう。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 29
  14. アプリ名とアイコンの設定 App Name: アプリケーションの名前を入力します ( 例: 「はじめて のチャットボット」 ) 。

    App Icon: アプリのアイコンを選択またはアップロードします。 入力後、 「Create 」ボタンをクリックすると、アプリの設計画面 (Studio) に移動します。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 30
  15. アプリ開発の中心地 Studio は、AI アプリの振る舞いを設計・設定するメイン画面です。 ① Prompt ( プロンプト): AI への指示を記述するエリア。

    ② Context ( コンテキスト): ナレッジ(Datasets) を組み込む設定。 ③ Variables ( 変数): ユーザー入力など動的な値を受け取る設定。 ④ Model and Parameters ( モデルとパラメータ): 使用するLLM とそ の設定。 ⑤ Tools ( ツール): Web 検索などの外部機能を追加。 ⑥ Preview and Debug ( プレビューとデバッグ): 設定した内容でAI の応答をテストするエリア。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 32
  16. Dify でのプロンプト設定 (Studio) Studio 画面の「Prompt 」セクションで設定します。 Instructions ( 指示): AI

    の役割、タスク、応答スタイルなどを具体的 に記述します。 例: 「あなたは親切なFAQ アシスタントです。以下のコンテキス ト情報に基づいて、ユーザーの質問に日本語で回答してくださ い。 」 Conversation Starters ( 会話のきっかけ): チャットボットの場合、 ユーザーが最初に押しやすい質問例を提示できます。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 35
  17. 良いプロンプトのヒント 明確な役割を与える: 「あなたは〇〇です」 具体的なタスクを指示する: 「要約して」 「翻訳して」 「リストアップ して」 出力形式を指定する: 「マークダウン形式で」

    「箇条書きで」 「JSON 形式で」 制約条件を与える: 「100 文字以内で」 「専門用語を使わずに」 思考プロセスを促す (CoT - Chain of Thought): 「ステップバイステ ップで考えてください」 例を示す (Few-shot): 良い応答の例をいくつか示す。 試行錯誤が重要! プレビュー機能を使って、いろいろな指示を試す。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 36
  18. 動作確認はリアルタイムで Studio 画面右側の「Preview and Debug 」エリアで、設定したプロン プトやモデルでAI がどのように応答するかを リアルタイムにテスト で

    きます。 1. ユーザーからの入力を模擬的に入力します。 2. 送信ボタン ( ) をクリックします。 3. AI からの応答が表示されます。 4. 応答の裏側(使用されたプロンプト、コンテキスト、モデルなど) の詳細情報も確認できます。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 38
  19. AI の頭脳を選ぶ Studio 画面の「Model and Parameters 」セクションで、アプリが使用 する LLM (

    大規模言語モデル) を選択・設定します。 Model Provider: OpenAI, Anthropic, Google などから選択。 Model: 具体的なモデル名 (gpt-4o, gpt-3.5-turbo, claude-3-sonnet など) を選択。 API Key: ( 重要) 選択したプロバイダーのAPI キーを入力します。事 前に各プロバイダーのサイトでAPI キーを取得しておく必要があり ます。Dify の「Settings 」> 「Model Providers 」で一元管理も可能 です。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 41
  20. 主なモデルパラメータ Temperature ( 温度): 応答のランダム性・創造性を制御。 低い値 ( 例: 0.2): より決定的で一貫性のある応答。

    高い値 ( 例: 0.8): より多様で創造的な応答。 Max Tokens ( 最大トークン数): 応答の最大長を制限。コスト管理に も影響。 Top P, Frequency Penalty, Presence Penalty: 応答の多様性や繰り 返しを制御する高度なパラメータ。 最初はデフォルト設定で試し、必要に応じて調整しましょう。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 42
  21. コンテキスト (Context): ナレッジの組み込み Studio の「Context 」セクションで、作成した Datasets ( ナレッジベー ス)

    をアプリに組み込むことができます。 1. 「Add Context 」をクリック。 2. 利用したいDatasets を選択します。 3. Retrieval Settings ( 検索設定): Top K: ユーザーの質問に対して、ナレッジベースからいくつの関 連情報を検索してプロンプトに含めるか。 Score Threshold: 関連性のスコアが閾値以上の情報のみを利用。 Retrieval Mode: N-to-1 ( 複数の情報をまとめて利用) など。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 44
  22. 変数 (Variables): 動的な入力 プロンプト内で ユーザーからの入力 や 外部データ を動的に扱いたい 場合、変数を使います。 Studio

    の「Variables 」セクションで定義します。 1. 「Add Variable 」をクリック。 2. Variable Name: 変数名 ( 例: user_query , document_content ) 。 3. Field Type: Text Input, Select, Number など。 4. ( 任意) Description, Default Value など。 定義した変数は、プロンプト内で {{変数名}} のように記述して埋め込 むことができます。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 45
  23. 独自データをAI に サイドメニューの「Datasets 」から、AI に参照させたい独自のドキュ メントを管理できます。 1. 「Create Dataset 」で新しいデータセットを作成。

    2. 作成したデータセットを開き、 「Upload Document 」または「Sync from Website 」などでドキュメントを追加。 対応形式: TXT, Markdown, PDF, HTML, CSV, XLSX など。 Web サイト同期: 指定したURL の内容を定期的に取り込むことも 可能。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 47
  24. データ処理と設定 Indexing Mode ( インデックスモード): High Quality: より高品質な埋め込みベクトルを生成 ( 処理時間と

    コストがかかる場合あり) 。 Economic: 速度とコストを優先。 Segmentation ( 分割): ドキュメントを意味のある塊(チャンク)に 分割する方法を設定。 Cleaning ( クリーニング): 不要な空白やヘッダー/ フッターを削除す る設定。 ドキュメントが追加されると、自動的に Embedding ( ベクトル化) 処 理が行われ、AI が内容を理解し検索できるようになります。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 48
  25. AI の能力を拡張 Studio 画面の「Tools 」セクションで、アプリに 外部の機能 を追加。 Built-in Tools (

    組み込みツール): Web Reader: 指定したURL の内容をプロンプトに含める。 Google Search / Bing Search: Web 検索結果をプロンプトに含め る。 (API キーが必要な場合あり) Custom Tools ( カスタムツール): 自分で定義した外部API を呼び出すことができます。これによ り、社内DB へのアクセスや他のSaaS 連携などが可能。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 51
  26. 公開方法 API Access: 生成されたAPI エンドポイントとシークレットキーを使って、他 のプログラムからAI 機能を呼び出せます。 ドキュメントも自動生成されます。 Web App:

    スタンドアローンのWeb アプリケーションとして公開されます。 Embed ( 埋め込み): 生成された iframe タグや script タグを既存のWeb サイトに貼 り付けることで、サイト内にチャットウィジェットなどを埋め込 めます。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 54
  27. アプリの利用状況を確認・改善(1) サイドメニューの「Logs & Annotations 」から、公開したアプリの利 用状況を確認できます。 Logs: いつ、誰が ( 匿名または識別子)

    、どのような入力を行い、AI がど のように応答したかの履歴。 使用されたプロンプト、コンテキスト、モデル、トークン数など の詳細情報。 -- アプリの利用状況を確認・改善(2) Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 56
  28. Dify Cloud の料金体系 Free プラン: 基本的な機能を無料で試せます。 一定のメッセージ数、データセット容量、モデル利用(一部制限 あり)の上限があります。個人利用や学習目的なら十分な場合が 多いです。 Professional

    プラン / Team プラン: モデル利用料: Dify のプラン料金とは 別に、OpenAI やAnthropic などの LLM API 利用料 が発生します。これは各モデルプロバイダーに直接支 払います。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 58
  29. Dify でこんなことができる! カスタマーサポートFAQ ボット: Web サイトに埋め込み、よくある 質問に自動応答。 社内ナレッジ検索: 社内ドキュメントをDatasets に登録し、従業員

    が必要な情報を自然言語で検索。 ブログ記事生成アシスタント: キーワードや概要を入力すると、記 事のドラフトを生成。 メール文面作成ツール: 目的や相手に応じて、丁寧なビジネスメー ルの文面を生成。 議事録要約ツール: 長い会議の議事録テキストを入力すると、要点 をまとめたサマリーを生成。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 60
  30. Dify のポイント LLM アプリを ノーコード/ ローコード で開発できるプラットフォー ム。 Studio でプロンプト設計、モデル選択、テストが可能。

    Datasets で独自データを活用したAI 応答 (RAG) を実現。 多様なLLM を 簡単に切り替え・利用 できる。 ログ分析とアノテーション でアプリを改善。 API や埋め込みで 簡単に公開 できる。 クラウド版 ( 無料あり) と セルフホスト版 がある。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 62
  31. 学習のヒント まず触ってみる!: 無料のクラウド版でアカウントを作り、テンプ レートから簡単なアプリを作ってみましょう。 プロンプトを色々試す: 期待通りの応答を得るには、プロンプトの 試行錯誤が不可欠です。 Datasets を使ってみる: 手持ちのドキュメントをアップロードし

    て、RAG の効果を体験しましょう。 公式ドキュメントを読む: より詳細な機能や設定について書かれて います ( docs.dify.ai ) 。 コミュニティに参加する: Discord などで他のユーザーと情報交換す るのも有効です。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 63
  32. Dify の世界は広大です!基本をマスターしたら、さらに探求してみま しょう。 高度なプロンプトテクニック: Few-shot Learning, Chain of Thought など。

    カスタムツールの作成: 外部API との連携。 Agent 機能の活用: より自律的なタスク実行 ( 利用可能になった場 合) 。 ファインチューニング: アノテーションデータを使ったモデルの改善 ( 対応状況による) 。 セルフホスト版の構築: より自由なカスタマイズと運用。 Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 65
  33. Let's build AI Apps with Dify! Dify を使えば、あなたのアイデアが簡単にAI アプリとして形になりま す。

    ぜひ、色々な可能性を試してみてください! ご清聴ありがとうございました! Dify Comprehensive Guide Mikio Kubo 66