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小さく始める AI 活用推進 ― 日経電子版 Web チームの事例/nikkei-tech-t...

小さく始める AI 活用推進 ― 日経電子版 Web チームの事例/nikkei-tech-talk47

2026/06/18開催、NIKKEI Tech Talkで日本経済新聞社 デジタル編成ユニット Webチームの東條 晃博さんが発表しました。発表スライドです
https://nikkei.connpass.com/event/394429/

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Transcript

  1. 2 東條晃博 • 日本経済新聞社 デジタル編成ユニット Web チーム所属 • 2020年 新卒入社

    • 日経電子版 Web の開発 • Web チームに異動する前は、編集局にてビジュアルコンテンツの制作 ◦ NIKKEI Tech Talk #5 > WebGLやCanvasを使ったデータ可視化コンテンツ開発 自己紹介
  2. 3 今回話すこと • 個人で使えるようになった AI を、どうやってチームの力にしていっているか • 少人数の AI 活用推進チームで、どこから取り組みを始めていったか

    • 実際の案件で AI を活用して、どのような成果が得られたか • AI 活用を進める中で、次にどのような課題が見えてきたか
  3. 4 概要 • 日本経済新聞のデジタル版 • 2010年3月創刊 • ビジネスや経済情報を中心に モバイルアプリ・Web で記事を配信

    規模(資料作成時点) • 有料会員 100万人以上 • 月間 約2.4億PV / 約3000万UB • 1日1000本以上の記事を配信 日経電子版について
  4. 5 Web チーム • 日経電子版 Web や関連サービスのフロントエンド、 CDN を中心に開発・運用 •

    www.nikkei.com へのリクエストを CDN で受け、 各バックエンド(トップページサーバー、記事ページサーバー、 etc)へ ルーティングするマイクロサービス構成 (詳細はこちら👉NIKKEI Tech Talk #3 > 爆速の日経電子版開発の今 ) → 様々なサービスで発生する依頼や修正の対応を、 AI で効率化できないか AI 活用推進チーム • チーム内の AI 活用を進めるイネイブリングチーム。チーム内のサブチームとして発足 • 3名(うち1名は育休中)で活動中 チームについて
  5. 7 例:ミラノ 2026 オリンピック・パラリンピック 特設ページ • 2026年2〜3月に行われたミラノ五輪の記事・試合データ・動画などをまとめたページ • 期間限定かつ電子版の中でも独立したページで、 AI

    活用を小さく試すのに適していた • 従来は5名以上で開発していた特設ページを、 Claude Code を使って1名で開発 この成果に至るまでに、どのような取り組みをしてきたか サービス画面(資料アーカイブ時に削除しています。以下の URL からご覧いただけます) https://www.nikkei.com/special/olympics-paralympics
  6. 8 取り組み ― Phase1 Issue 起票を効率化する 課題 • 依頼やタスクの発生時に、情報を整理して GitHub

    Issue に起票するのが手間 やったこと • Slack の投稿などを渡すと自律的に情報を収集し、 Issue を起票する Agent Skill を作成 • 「何を・なぜ・いつまでに」などの要点を抽出し、 Issue 冒頭に3点要約を入れる 2. 案件 3. チーム 1. タスク ・Slack の投稿 ・Notion の議事録 ・口頭メモ etc. /project-issue 日経太郎 [10:00 AM] XXチームからYYの要望がありま した。 資料:https://app.notion.com/… ・情報内のリンク ・過去の GitHub Issue / PR ・ソースコード etc. ・何を ・なぜ ・いつまでに ・完了条件 etc. インプット情報 Skill に情報を渡す 自律的に情報収集 GitHub Issue を起票
  7. 9 取り組み ― Phase2 仕様書を起点に開発する 課題 • 個々のタスクは回せても、一定規模の案件になると情報が多すぎて一度に捌けない やったこと •

    案件の情報を AI 向けに仕様書に集約 & 仕様書からタスクを切り出す手順を Skill 化 • 仕様書とタスク分割基準をセットで渡すことで、レビューしやすい粒度のタスクにする 2. 案件 3. チーム 1. タスク ・画面一覧 ・外部I/F一覧 ・フェーズ一覧 ・テスト観点 etc. 仕様書 ・ページごと ・機能ごと ・差分がXX行以内に収まる ・単独でテスト可能 etc. タスク分割基準 ▢ XXのパーツを実装する ▢ YYのハンドラを実装する ▢ ZZの結合テストを実施する … Issue リスト ・仕様書の内容を分析 ・基準に従い適切な粒度で  タスクを切り出す Issue 起票の Skill 呼び出し
  8. 10 取り組み ― Phase3 既存のナレッジをルール化する 課題 • 案件の段取りはできても、実装の品質が安定せずレビューに手間がかかる やったこと •

    散在していた Wiki・規約等を AI 向けのルール(CLAUDE.md / .claude/rules)に集約 • CodeRabbit(コードレビュー用のエージェント)によるレビュー時にも活用 2. 案件 3. チーム 1. タスク ・環境構築 ・設計思想 ・運用 etc. Wiki ( GitHub ) ・コーディング規約 ・ディレクトリ構造 ・コミットの積み方 etc. 開発ガイドライン ( Notion ) ・CLAUDE.md  = 共通のルール ・.claude/rules  = 領域ごとのルール AI 向けのルールとして集約 新規メンバー向け資料 ( Google Slides ) ・サービスの全体像 ・サービスの作り方 ・サービス特有の  実装パターン etc.
  9. 11 1. 個々のタスク 2. 案件 3. チーム開発 • Issue 起票を

    Agent Skill 化 • 「何を・なぜ・いつまでに」 などの要点を自律的に収集 • 案件の情報を仕様書に集約 • タスクの切り出し手順を定義 • 散在した規約を .claude/rules へ • レビューにも活用 2025/07 2025/10 2026/01 タスクの段取りを明文化 案件の段取りを明文化 チームのナレッジを明文化 取り組みの全体像 暗黙知を AI 向けの「共通の型」に育てていく作業 目の前の課題から小さく始めて、段階的に範囲を拡大
  10. 12 取り組みの成果① 例:ミラノ 2026 オリンピック・パラリンピック 特設ページ 定量(従来比) • 開発の人員:5名以上 →

    1名 + Claude Code • Pull Request が Open になってからマージされるまで:約4割短縮(約1.6倍高速化) 定性 • 仕様書→タスク分割→実装 の仕組み化により、開発者1人でできることが広がった • 効率化により生まれた時間を、新しいショート動画機能の開発に活用 繰り返し作業の多い特設ページ開発と、整備した AI 活用の仕組みがうまく噛み合った
  11. 13 取り組みの成果② チームへの普及 • AI を使って Issue や PR を作るメンバーが増えた

    ◦ ※世の中の状況もあるので、すべてが AI 活用推進チームによる成果ではないが… • CodeRabbit のレビューが効果的との声が多い(レビューする側・される側ともに) 2025年8月 生成 AI を使ってどれくらい PR を作っているかのアンケート 2025年12月
  12. 15 課題と今後① 直ちにすべての案件やメンバーに効くわけではない 課題 • 領域によって活用のしやすさに差がある • 試してみる時間がない、 忙しいときは従来のやり方を外れづらい、 という声も

    今後 • ただ作って終わりにするのではなく、実際に使える人が増えるよう取り組みを続ける • 規模・性質が異なる様々な作業で試して、得られたノウハウを再び仕組みに取り込む 適用→改善のサイクルを回して、より「使える仕組み」に
  13. 16 課題と今後② 開発の工程以外ではまだ活用しきれていない 課題 • AI 側のボトルネック: ◦ テストや運用の工程が未整備 •

    人間側のボトルネック: ◦ コード外の文脈も踏まえた 関係者間の意思決定で詰まる 今後 • QA・障害調査などのフローの明文化/テスト・リンターなどのガードレールの整備 • 関係者間の調整・課題管理などの進め方を AI 前提で考え、意思決定効率を上げる AI / 人間 双方のボトルネックを解消して、開発スピードを上げていく