Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Fable 5直伝!データ分析コンペ必勝法/compe2026
Search
Oka Natsuki
July 11, 2026
Technology
11
0
Share
Embed
Copy iframe code
Copy JS code
Copy link
Start on current slide
Fable 5直伝!データ分析コンペ必勝法/compe2026
「統計データ分析コンペティション2026」の必勝法
補足資料:
https://sites.google.com/view/genai4e/compe
Oka Natsuki
July 11, 2026
More Decks by Oka Natsuki
See All by Oka Natsuki
統計的仮説検定のロジック/hypothesis-testing
okana2ki
0
2
生成AI時代に身につけるべき力を学ぶ/opcam2026
okana2ki
0
31
生成AIの活用/high_school2026
okana2ki
0
110
第2部-高校生とAI活用/high-school2026-2
okana2ki
0
72
生成AIの使い方/how-to-use-GAI
okana2ki
0
140
みんなの生成AIワークショップ:キックオフ/gai4ews20260409
okana2ki
0
78
生成AI利用プログラミング:誰でもプログラムが書けると 世の中どうなる?/opencampus202508
okana2ki
0
280
ChatGPT-4oによるデータ分析/Data-analysis-with-ChatGPT-4o
okana2ki
0
940
生成AI利用プログラミング:誰でもプログラムが書けると 世の中どうなる?/open-campus202408
okana2ki
0
390
Other Decks in Technology
See All in Technology
どうして今サーバーサイドKotlinを選択したのか
nealle
0
200
プロンプト_きのこカンファレンス2026_LT
yurufuwahealer
0
140
認証認可だけじゃない! ID管理の構成要素と ライフサイクルを意識しよう
ritou
1
490
そのハーネス、本当に境界になっていますか? AIエージェント時代の実行環境設計【MEGU-Meet #4】
cscengineer
PRO
0
110
はじめてのWDM
miyukichi_ospf
1
120
AI時代のエンジニアキャリアについて今一度考える
sakamoto_582
1
1.2k
FinOps X 2026 Recap from Engineer Side #JapanFinOps
chacco38
0
260
なぜ私たちのSREプラクティスはなかなか機能しないのか 〜システムより先に組織を見る〜 / Why our SRE practices aren't really working
vtryo
0
830
Oracle Exadata Database Service on Cloud@Customer X11M (ExaDB-C@C) サービス概要
oracle4engineer
PRO
2
8.3k
オブザーバビリティ、本当に活用できてる? 〜API連携×生成AIで成熟度を自動評価〜
dmmsre
0
440
型は壁、Rustでもバグを直すな、表現できなくせよ
nwiizo
11
1.4k
実装だけじゃない! CCA-F取得エンジニアが教えるClaude Code開発プロセス活用術
diggymo
1
120
Featured
See All Featured
Exploring the relationship between traditional SERPs and Gen AI search
raygrieselhuber
PRO
2
4.1k
Imperfection Machines: The Place of Print at Facebook
scottboms
270
14k
A designer walks into a library…
pauljervisheath
211
24k
How to make the Groovebox
asonas
2
2.3k
A better future with KSS
kneath
240
18k
Fashionably flexible responsive web design (full day workshop)
malarkey
408
66k
How Fast Is Fast Enough? [PerfNow 2025]
tammyeverts
3
640
Let's Do A Bunch of Simple Stuff to Make Websites Faster
chriscoyier
508
140k
<Decoding/> the Language of Devs - We Love SEO 2024
nikkihalliwell
1
270
The Myth of the Modular Monolith - Day 2 Keynote - Rails World 2024
eileencodes
28
3.5k
VelocityConf: Rendering Performance Case Studies
addyosmani
333
25k
Improving Core Web Vitals using Speculation Rules API
sergeychernyshev
21
1.5k
Transcript
高大連携授業(Zoom遠隔) データから 社会課題を発見する ― 統計データ分析コンペティション2026 へのいざない ― 宮崎産業経営大学 経営学部 エコノデータサイエンス学科
岡 夏樹 | 50分 × 2コマ | 2026年7月13日 * このスライドはFable 5で初版を作成し、授業担当者が加筆修正した。内容についての責任は授業担当者が負う。
は じ め に 今日のゴールと、リモート授業の約束 今日のゴール • データ分析の面白さを体感する • SSDSE(教育用データセット)を使えるよ
うになる入口に立つ • 自分の「もやもや」を研究テーマに変換す る方法を身につける • コンペに「出てみようかな」と思って帰る Zoomでの3つの約束 1 指で答える クイズは 1・2・3 の指をカメラと現地の先生に 見せてください 2 困ったら即・合図 何か困ったことがあったら、その場で現地の先 生に伝えてください 3 ワークは現地主導 ペアワーク中は現地の先生が回ります。私は画 面から応援します
い き な り ク イ ズ 宮崎市が家計調査で「全国1位」なのは? 1 ぎょうざ
の支出金額 2 焼酎 の支出金額 3 どちらも 1位 → 指で 1・2・3 を出してください!(現地の先生、集計お願いします)
正 解 発 表 正解は 3 ── どちらも全国1位! 出典:総務省統計局「家計調査」 この地域差データが、今日の主役
SSDSE に入っています (参)このグラフを作成した Colabノートブック
こ こ が 出 発 点 いまのクイズ、実は「研究」の入口です 1 地域差を 見つける
→ 2 「なぜ?」 と問う → 3 仮説を 立てる → 4 データで 確かめる → 5 解決策を 提案する 例:なぜ宮崎は焼酎1位? 気候のせい? 芋の産地だから? 文化・歴史? ── 同じ流れを「人口減少」や「医療」でやると 、それはもう立派な研究論文。
コ ン ペ 紹 介 統計データ分析コンペティション2026 • 共催:総務省統計局・統計センター・統計数理研究所 ・日本統計協会 •
2018年度から毎年開催、2026年度で第9回 • SSDSE を使ったデータ分析論文で「課題解決のアイデ ア」を競う • 賞:総務大臣賞/優秀賞/統計数理賞/統計活用奨励 賞/審査員奨励賞/学校表彰 • 受賞論文は月刊誌『統計』に掲載される 高校生の部 がある! グループ応募もOK 先生の指導もOK (募集要項より)
受 賞 論 文 2 0 2 5 ・ 高
校 生 の 部 これ、ぜんぶ高校生が書きました 総務大臣賞 医師数偏在の要因と医師数偏在の診療科偏在への影響 優秀賞 都市類型別にみる所得格差のメカニズム ―主成分分析 とクラスター分析による都市分析― 統計数理賞 地方移住の決定要因に関するパネルデータ分析 ―ラグ 効果の検証を通じて― 統計活用奨励賞 介護職の離職率に影響する地域要因の分析と介護人材確 保策の推進 審査員奨励賞にも:小中高生の自殺要因の地域差/消滅可能性自治体を救うには/不登校の原因究明/合計特殊出 生率の変動要因 など6本
事 例 1 | 総 務 大 臣 賞 医師数偏在
── 「なぜ医師は偏る?」を掘り切った • 問い:なぜ医師は地域的に偏る? 診療科まで偏るのはな ぜ? • 相関分析+統計的検定で、医師数の偏在と診療科の偏在の 関係を分析 • 都道府県 → 県内のばらつき → 二次医療圏 と、どんどん 解像度を上げた • 審査講評:「重要な社会課題に着目して適切に問題設定を 行い、的確な枠組で分析している」 評価されたのは 深掘りの階段 国 → 県 → 医療圏 ズームインするほど、隠れて いた偏りが見えてくる
事 例 2 | 審 査 員 奨 励 賞
「消滅可能性自治体を救うには」── 一番の当事者 は私たち 「自分の町は大丈夫?」という問いから出発できるテーマ。 人口・仕事・移動のデータ(SSDSE-A/B)で、町の未来を数字で語れる。宮崎県の市町 村も他人事ではない。 奨励賞クラス=「手が届く」目標。 しかも要項では、過去に応募した内容でも改良点を明記す れば再応募できる。「先輩の論文を改良する」のも立派な戦略。
受 賞 論 文 の 共 通 点 勝ち筋は、「地域差」 医師の不足
= 地域による医師数の差 所得の格差 = 都市のタイプによる差 介護職の離職 = 地域要因による差 人口減少・移住 = 地域間の人の移動の差 個人の悩みそのものはデータにない。でも「地域の差」なら測れる。 SSDSE は 47都道府県 × 約1,700市区町村 を比べるためのデータ。
考 え 方 データサイエンスは「ぐるぐる回す」学問 問い → データ → 分析 →
解釈 → 提案 新しい問いが生まれて、また最初へ 分析やAIは道具。始まりと終わりは、いつも「人の困りごと」。
プ ロ っ ぽ く な る 2 つ の
心 得 「相関≠因果」と「外れ値は宝」 心得 1|相関 ≠ 因果 アイスの売上が増えると、水難事故も増える。 → アイスが事故を起こす? → 犯人は「気温」(第3の変数) 一緒に動く=原因と結果、とは限らない。 心得 2|外れ値は宝 みんなと違う動きをする県を、邪魔者扱い して消さない。 「なぜこの県だけ外れた?」 ── その問いが、そのまま論文になる。 審査基準にも「外れ値等の考察」が明記されてい ます。
そ の 他 の 心 得 分析すべき仮説を探求する 出典:「高校生のデータ分析向上のための課題」
そ の 他 の 心 得 人口の影響を除去/加味 出典:「高校生のデータ分析向上のための課題」 適切なグラフを使う
そ の 他 の 心 得 回帰分析は因果の方向性が必須 出典:「高校生のデータ分析向上のための課題」
そ の 他 の 心 得 相関が高い変数を見つけても原因とは限らない 出典:「高校生のデータ分析向上のための課題」
そ の 他 の 心 得 統計的仮説検定で主張できることに注意 出典:「高校生のデータ分析向上のための課題」
あるコインを100回トスしたら、表が65回出たとする。この結果から、「このコ インは公平ではない」と言えるだろうか。 → 2つの仮説を立てる。 𝑯𝟎 :このコインは公平である(帰無仮説)、𝑯𝟏 :この コインは公平ではない(対立仮説) → 𝐻0
の仮説のもとで今回の証拠以上に極端な結果が生じる確率、すなわち p 値 を計算する → p 値が有意水準以下なら 𝑯𝟎 の下では今回のような結果はかなり起こりにくい と判断 → 𝑯𝟎 を棄却し、「このコインは公平ではない」ことを示す統計的な証拠がある と主張 → p 値が有意水準を超えていれば、コインが公平であるという仮説を否定できる ほど、今回の結果は珍しくないと判断 → このデータからは、「このコインは公平ではないとは言えない」 → ただし、それは「このコインは公平である」ことを意味しない;データの数 が少なかったために違いを検出できなかった可能性や、偏りがあっても非常に 小さかった可能性がある
今 日 の 主 役 SSDSE ── 6種類ぜんぶ無料・ダウンロードしてす ぐ使える 記号
名前 中身 向いているテーマ A 市区町村 全国約1,700市区町村 × 多分野 自分の町を全国と比べる B 県別推移 47都道府県 × 複数年の推移 変化・政策の効果を追う C 家計消費 県庁所在市 × 消費226項目 食文化・暮らし・物価 D 社会生活 県 × 男女 × 生活時間など121項目 睡眠・部活・スマホ・自由時間 E 基本素材 47都道府県 × 93項目(小さくて軽い) 迷ったらまずこれ! F 気候値 気象データの平年値 気候 × 暮らし・産業 出典:独立行政法人 統計センター(A・B・C・Eは2026年版を公開中/全項目一覧のExcelもサイトにあります)
デ ー タ 分 析 例 47都道府県を「食」でグループ分けしてみる 分 析 例
SSDSE-C(家計消費)× クラスタリング 「食べ物の買い方が似ている県」を、コンピュータに自動で グループ分けさせます。Colabを使いました。 見るポイント 1 コードは読めなくてOK 2 宮崎はどの県と同じグルー プ? 3 「なぜ?」と思ったら、そ れが研究の種 (参)分析で使用したColabノートブック
None
None
• 導入スライド用(宮崎のぎょうざと焼酎支出金額) • ソート、マップ表示 • ランキング、ヒストグラム、散布図 • ランキングと割合ランキングの散布図 • K-meansクラスタリング、階層的クラスタリング(前ページの例)、主成
分分析 デ ー タ 分 析 例 Colabでの可視化/分析例へのリンク
ここまでのまとめ • データは暮らしを映す鏡(宮崎=焼酎・ぎょうざ) • コンペの勝ち筋は「地域差」 • SSDSEなら、今日からその分析ができる 休憩 10分 休憩中の宿題(考えるだけ):
「最近、ちょっと困ったこと・不便だったこと・もやもやしたこと」を 1つ 思い浮かべておいて ください。後半、それが研究テーマに化けます。
第2部|テーマ設定ワークショップ もやもやを、 研究テーマに変換する。 ここからは手と口を動かす50分。主役は皆さんです。
ワ ー ク の 地 図 5ステップ・約45分(時間は現地の先生が計ります) 1 ペアインタビュー 3分×2
2 「なぜ?」で深掘り 3分×2 3 問題定義 5分 4 社会課題へ翻訳 10分 5 仮説カード&共有 15分 3つのルール • 正解はない • 相手の話を面白がる • 気づきは全部ワークシ ートにメモ
S T E P 1 | ペ ア イ ン
タ ビ ュ ー ( 3 分 × 2 ・ 交 代 制 ) 相手の「もやもや」を取材する 「最近、日常生活でちょっと困ったこと・不便だったこと・ もやもやしたことは何ですか?」 聞き役 うなずく・共感する・メモする ・「たとえば?」で具体化 話し役 かっこつけない。小さい話ほど 良い 3分たったら 先生の合図で交代!
S T E P 2 | 「なぜ?」で深掘り( 3 分 ×
2 ・ 交 代 制 ) 本当の問題は、3つ下の階にある 例 「夜ふかししてしまう」 なぜ? →「スマホがやめられない」 なぜ? →「寝る前しかスマホできない」 本当の問題:睡眠ではなく「自由時間の不足」かも! ルール • 「なぜ?」を最低3回 • 尋問にしない(責めない) • 意外な答えこそ大歓迎
S T E P 3 | 問 題 定 義
( 5 分 ) 相手の問題を、1つの文にまとめる 「 さんは、 をしたかった。(←ニーズを動詞で) なぜなら/驚いたことに/でも… 」 (↑一つ選ぶ) ( ↑インサイト: インタビューから推測 ) 記入例:「〇〇さんは、夜ふかしをやめたかった。でも本当に欲しかったのは昼間の自由時間。」
S T E P 4 | 社 会 課 題
へ 翻 訳 ( 1 0 分 ) ★ 今 日 の 心 臓 部 「個人の問題」を「地域差の問い」に変える3つの質問 1 それは「どんな人たち」の課題? 相手個人 → 同じことで困っている人は、社会のどこに? 2 地域差はありそう? 県や町によって、事情は違いそう? それはなぜ? 3 SSDSEのどれで測れる? 早見表(次のスライド&ワークシート)から探そう 翻訳の例 自由時間の不足 ↓ 高校生みんな? 働く人も? ↓ 通学時間・部活は県で違う ↓ SSDSE-D「生活時間」で測れ る! 個人の悩みは測れない。でも「地域差」に翻訳した瞬間、データで語れるようになる。
翻 訳 の お と も 困りごと → SSDSE 早見表(ワークシート3ページ目
と同じ) こんな困りごとは… このデータへ 睡眠不足・スマホ・部活・自由時間がない D 社会生活(生活時間・行動、男女別) 物価が高い・こづかい・食べ物・買い物 C 家計消費(226品目の支出、県庁所在市別) 通学が大変・病院が遠い・進学先がない A 市区町村 / E 基本素材 まちに人が減る・仕事がない・将来が不安 A 市区町村 / B 県別推移(時系列) 暑すぎる・雨・気候のこと F 気候値(+B・Cと組み合わせ) どれか迷ったら…軽くて見やすい E から眺めるのがおすすめ
S T E P 5 | 仮 説 カ ー
ド & 共 有 ( 1 5 分 ) 書けたら、画面の向こうの私に聞かせてください 仮説カードの型: 「◯◯(課題)は、△△(地域差)と関係があるのではないか?」 使えそうなデータ: 書く ペアで1枚、仮説カードを完成 (7分) 発表 代表3ペア、教卓マイクで30秒 ずつ 返し 私がその場で「どのデータで検 証できるか」をコメント
し め く く り コンペ必勝法・6か条 1 「地域差」の土俵で戦う 受賞論文の共通点。SSDSEが一番強い切り口 2
審査基準を目次にする 課題→データ→分析→解決策、の一本の物語に 3 一枚の刺さるグラフ 高度な手法は必須ではない、と要項に明記 4 外れ値を捨てず考察する 審査基準に名指しで書かれている差のつけどころ 5 出典・参考文献を書く 高校生はほぼやらない。それだけで上位に見える 6 「意外な発見」を1つ 常識と逆・条件で変わる結果は記憶に残る
応 募 へ の 道 今日の仮説カードが、そのまま出発点になる 5/11〜8/7 エントリー 高校名だけでOK(氏名未定 でも可)
夏休み 分析・執筆 SSDSEで検証 → A4数枚の 論文に 9/4(金)正午 提出締切 高校生の部。メールで提出 10月 受賞発表 受賞論文は雑誌『統計』に 掲載 裏技:迷っていても「学校名だけエントリー」を先に済ませておけば、書くかどうかは9月ま で考えられる。
大 事 な 注 意 AIとのつきあい方 ── 書かせるのはNG、鍛えても らうのはOK やってはいけない
生成AIに論文を書かせること (募集要項に明記。見つかれば即失格の重大ルール) 良い使い方(自分の言葉で書くのが大前提) • わからない用語を質問する • 分析のやり方を相談する • 自分の文章に質問・ツッコミをもらう 合言葉:答えをもらうな、問いを返しても らえ。 ※ 使い方の細かい線引きは、応募前に必ず最新の募集要項・Q&Aで確認しましょう。
最 後 に まず、散布図一枚から。 今日の仮説カードは捨てないで。それが皆さんの論文の1ページ目です。 コンペ公式:www.nstac.go.jp/statcompe/ (募集要項・過去の受賞論文が全部読めます) SSDSE:www.nstac.go.jp/use/literacy/SSDSE/ (データと解説を無料ダウンロード) 質問・相談はいつでも、担当の先生を通じてどうぞ。