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20241212_【Progmat】デジタル証券の国内外の現在地、鍵となる信託税制変化と方向性

progmat
December 10, 2024
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 20241212_【Progmat】デジタル証券の国内外の現在地、鍵となる信託税制変化と方向性

20241212_【Progmat】デジタル証券の国内外の現在地、鍵となる信託税制変化と方向性

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December 10, 2024
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  1. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #2 © Progmat, Inc. ユ

    ー ザ ー 主たる生活圏/プロセス(”慣性”の働く方向) リ テ ー ル 機 関 投 資 家 / 法 人 【米国市場】 「BUIDLファンド」 etc. (BlackRock×Securitize) 【欧州市場】 欧州各国の債券×中銀マネー プロジェクト群 (…PoC?) オフチェーン オンチェーン #海外ST市場マップ|「オンチェーン×機関投資家/法人」中心でマスリテールはこれから #1 デジタル証券(ST)の国内外の現在地
  2. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #3 © Progmat, Inc. #国内ST市場マップ|海外と真逆、むしろ「オフチェーン×リテール」が先行(STとクリプトにライセンスの壁)

    ユ ー ザ ー 主たる生活圏/プロセス(”慣性”の働く方向) リ テ ー ル 機 関 投 資 家 / 法 人 【国内市場】 証券会社顧客向け オルタナ投資系ST(不動産~) クリプト(プロ)ユーザー/ VASP顧客...etc. 【ライセンスの壁?】 クリプト関連企業/ VASP...etc. 【国内に市場存在?】 効率化+α系ST(グリーンボンド等) 【既存プロセス併存の壁】 オフチェーン オンチェーン #1 デジタル証券(ST)の国内外の現在地
  3. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 【RWA/アセットホルダー】 【原簿管理者】 【投資家】 【仲介チャネル】 【ST発行・管理基盤】

    【SC発行・管理基盤】 【ST流通市場】 …and more 金商業者 金商業者 自己管理 金融機関 金融機関 自己管理 … 不動産 動 産 等 債 券 持 分 等 既存の上場商品市場 非上場商品市場⇒ST市場化 直 接 取 引 直 接 取 引 金 銭 債 権 2021年~ 2023年~ 2024年~ (国内) (海外) (開発型) #4 #国内全体構造|2024の差分は「ST流通市場取扱拡大」「出資持分ST」「新規発行体/証券会社参入」 © Progmat, Inc. #1 デジタル証券(ST)の国内外の現在地
  4. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #5 #ST市場規模の推移|ST案件残高:約2,807億、ST発行累計額:約1,486億、案件累計数:51案件 © Progmat, Inc.

    32億超 235億超 811億超 4 15 33 0 10 20 30 40 50 60 0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600 1,800 2,000 2,200 2,400 2,600 2,800 3,000 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2021 2022 (単位)億円 2023 公募ST案件残高 公募ST発行累計額 公募ST案件累計数 (出典)公開情報(≒公募案件)を基にProgmat作成 ※ST案件残高:有価証券届出書上のB/S総額(償還=0へ) ※ST発行累計額/案件累計数:償還済案件含む総計 2,807億超 2024 (単位)案件 1,486億超 51案件 #1 デジタル証券(ST)の国内外の現在地
  5. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #6 #ST案件数/発行金額の内訳|これまでのST市場は公募不動産STが大宗(特に金額面で顕著) © Progmat, Inc.

    38 10 2 1 2,670 152 3 4 (単位)億円 (単位)案件 74.5% 94.4% 公募不動産ST 公募債券ST 公募金銭債権ST 公募その他ST 案件累計数シェア(アセット別) 発行累計額シェア(アセット別) (出典)公開情報(≒公募案件)を基にProgmat作成 ※ST案件累計数/発行累計額:償還済案件含む総計 #1 デジタル証券(ST)の国内外の現在地
  6. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #7 #ST案件数の内訳推移|映画出資持分等「新規アセット」登場も、2024は不動産も横ばい © Progmat, Inc.

    0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 2021 2022 2023 2024 【不】03 【債】01 【不】07 【債】04 【不】 14 【債】 03 【金】 01 4 11 18 (単位)件 公募不動産ST新規組成数 公募債券ST新規発行数 公募金銭債権ST新規組成数 (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※各年度におけるST案件新規組成数(償還済案件含む) 【債】 02 【金】 01 【不】 14 18 公募その他ST新規組成数 【他】 01 #1 デジタル証券(ST)の国内外の現在地
  7. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #8 #ST案件組成額の内訳推移|金額ベースでは不動産は引き続き伸長も、伸び率は鈍化 © Progmat, Inc.

    0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 2021 2022 2023 2024 【不】056 【債】001 【不】377 【債】017 【不】 976 【債】 122 【金】 001 57 394 1,099 (単位)億円 公募不動産STファンド新規組成額 公募債券ST新規発行額 公募金銭債権STファンド新規組成額 (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※各年度におけるST案件新規組成額(償還済案件含む) 【債】 012 【金】 002 【不】1,262 1,278 公募その他STファンド新規組成額 【他】 004 #1 デジタル証券(ST)の国内外の現在地
  8. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #10 #不動産ST案件組成時期/規模|2024/1Qに案件集中、規模も100~200億超の案件が複数有り © Progmat, Inc.

    161 129 130 311 226 124 166 223 0 50 100 150 200 250 300 350 (単位)億円 個別案件 近似曲線 (出典)公開情報(≒公募案件)を基にProgmat作成 ※ST案件組成規模:有価証券届出書上のB/S総額 2021 2022 2023 2024 #2 不動産ST市場の最新概況
  9. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #11 #発行体|組成件数面ではケネディクスとMDMの2社が牽引、金額面ではケネディクスが過半 © Progmat, Inc.

    【ウェ】ウェルス・リアルティ・マネジメント(WRM) 14 12 5 4 1 1 1 1 1,377 702 219 166 118 70 22 19 (単位)億円 (単位)案件 35.9% 51.1% 不動産ST組成累計数シェア(発行体別) 不動産ST組成累計額シェア(発行体別) 【ケ】ケネディクス(KDX) 【三】三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM) 【ト】トーセイ 【い】いちご 【丸】丸紅 【D】ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント(DREAM) 【り】りそな銀行 30.8% (出典)公開情報(≒公募案件)を基にProgmat作成 ※ST組成累計数/累計額:有価証券届出書上のB/S総額、償還済案件含む総計 26.1% ※複数AM協働案件では、参加AM各社の組成額/件数にそれぞれ反映(ダブルカウント) #2 不動産ST市場の最新概況
  10. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #12 #発行体|新規件数の内訳推移|2024はKDXの組成数が前年比減少も、新規AMの新規案件増 © Progmat, Inc.

    3 5 3 3 4 6 2 2 2 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 2021 2022 2023 2024 3 7 14 (単位)案件 【ケ】ケネディクス(KDX) 【三】三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM) 【ト】トーセイ (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 【い】いちご 【丸】丸紅 2 【D】ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント(DREAM) 【ウェ】ウェルス・リアルティ・マネジメント(WRM) 15 【り】りそな銀行 ※複数AM協働案件では、参加AM各社の組成件数にそれぞれ反映(ダブルカウント) #2 不動産ST市場の最新概況
  11. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #13 © Progmat, Inc. #発行体|新規組成額の内訳推移|2024はMDMの案件規模拡大の影響が相対的に大きい

    0 250 500 750 1,000 1,250 1,500 2021 2022 2023 2024 【ケ】029 【三】007 56 377 976 (単位)億円 【ケ】ケネディクス(KDX) (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※各案件の組成額=有価証券届出書上のB/S総額 【ト】020 【ケ】215 【三】110 【い】052 【ケ】717 【い】098 【ト】060 【丸】019 【ト】038 1,284 【い】069 【ケ】417 【D】070 【三】三井物産デジタル・アセットマネジメント(MDM) 【ト】トーセイ 【い】いちご 【丸】丸紅 【D】ダイヤモンド・リアルティ・マネジメント(DREAM) 【ウェ】ウェルス・リアルティ・マネジメント(WRM) 【り】りそな銀行 ※複数AM協働案件では、参加AM各社の組成金額にそれぞれ反映(ダブルカウント) 【三】082 【三】503 【り】166 【ウェ】022 #2 不動産ST市場の最新概況
  12. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #14 #仲介者|ケネディクスは販路拡大、MDMは製販一体、他AMは特定証券との取引深耕 © Progmat, Inc.

    #2 不動産ST市場の最新概況 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ケネディクス MDM いちご トーセイ 丸紅 DREAM WRM りそな (単位)案件 野村證券 大和証券 SBI証券 (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※1案件で複数の証券会社が協業している場合、各証券にそれぞれ+1件(ダブルカウント) 東海東京証券 SMBC日興証券 MDM HashDasH 9 7 2 2 3 1 4 3 5 4 三井物産デジタル ダイヤモンド・リアルティ ・アセットマネジメント ・マネジメント ウェルス・リアルティ ・マネジメント ※複数AM協働案件では、参加AM各社の組成件数にそれぞれ反映(ダブルカウント)
  13. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #15 © Progmat, Inc. #仲介者別|取扱件数ではチャネル分散/シェア拮抗、金額面では野村/大和の大手証券2社が牽引

    9 9 8 8 6 2 1 506 324 183 169 95 41 9 (単位)億円 (単位)案件 20.9% 38.1% 不動産ST取扱累計数シェア(仲介者別) 不動産ST取扱累計額シェア(仲介者別) 18.6% 野村證券 大和証券 SBI証券 東海東京証券 SMBC日興証券 MDM HashDasH 20.9% 24.4% 18.6% 14.0% 13.8% 12.8% (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※1案件で複数の証券会社が協業している場合、各証券にそれぞれ+1件(ダブルカウント) ※1案件で複数の証券会社が協業している場合、発行金額を参加証券会社数で除した金額を便宜的に各社にカウント #2 不動産ST市場の最新概況
  14. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #16 #仲介者別|野村/大和の大手2社は大型案件に注力、他証券は1件あたり20億前後の取扱いが多い © Progmat, Inc.

    63 41 20 19 14 21 9 8 8 9 9 6 2 1 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 0 20 40 60 80 100 野村證券 大和証券 SBI証券 MDM 東海東京証券 SMBC日興証券 HashDasH (単位)億円 (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※1件あたり平均取扱額=仲介対象案件の発行総額を合計し各社取扱累計数で除したもの(複数協業時の取扱いは他同様) (単位)件 1件あたり平均取扱額 取扱累計数 三井物産デジタル・アセットマネジメント #2 不動産ST市場の最新概況
  15. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #17 #仲介者別|新規件数の内訳推移|2024はMDM/東海東京の業容拡大、大和/SBIが減少 © Progmat, Inc.

    0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 2021 2022 2023 2024 (単位)案件 野村證券 大和証券 SBI証券 東海東京証券 SMBC日興証券 MDM HashDasH (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※1案件で複数の証券会社が協業している場合、各証券にそれぞれ+1件(ダブルカウント) 6 3 2 4 2 2 3 3 2 3 5 2 4 2 #2 不動産ST市場の最新概況
  16. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #18 #原簿管理者|AM横断的にMUTBが多く、MDM/KDXは+2信託との取引傾向有り © Progmat, Inc.

    0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 MDM ケネディクス いちご トーセイ 丸紅 DREAM WRM りそな (単位)案件 三菱UFJ信託銀行(MUTB) みずほ信託銀行(MHTB) 三井住友信託銀行(SMTB) SMBC信託銀行(SMBCTB) 他(GK-TK等) 8 4 1 8 2 3 3 10 3 りそな銀行 2 三井物産デジタル ダイヤモンド・リアルティ ・アセットマネジメント ・マネジメント ウェルス・リアルティ ・マネジメント (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 ※複数AM協働案件では、参加AM各社の組成件数にそれぞれ反映(ダブルカウント) #2 不動産ST市場の最新概況
  17. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #19 #原簿管理者|管理件数/金額両面でMUTBが牽引も、特に金額面で各信託銀も伸長 © Progmat, Inc.

    25 3 3 3 1 3 1,303 434 346 341 166 80 (単位)億円 (単位)案件 65.8% 48.8% 不動産ST管理累計数シェア(原簿管理者別) 不動産ST管理累計額シェア(原簿管理者別) 三菱UFJ信託銀行(MUTB) みずほ信託銀行(MHTB) 三井住友信託銀行(SMTB) SMBC信託銀行(SMBCTB) 他(GK-TK等) りそな銀行 (出典)公開情報(≒公募案件)を基にProgmat作成 ※ST管理累計数/累計額:有価証券届出書上のB/S総額、償還済案件含む総計 #2 不動産ST市場の最新概況
  18. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #20 #原簿管理者|新規件数の内訳推移|2024はMUTBの受託件数が減少し、他信託の業容が拡大 © Progmat, Inc.

    0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 2021 2022 2023 2024 (単位)案件 三菱UFJ信託銀行(MUTB) みずほ信託銀行(MHTB) 三井住友信託銀行(SMTB) SMBC信託銀行(SMBCTB) 他(GK-TK等) (出典)公開情報(公募案件のみ)を基にProgmat作成 10 りそな銀行 2 4 5 2 8 2 2 #2 不動産ST市場の最新概況
  19. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #22 #不動産ST案件組成動向(再掲)|2024/2Q以降に何があったのか?(例外除き新規発行が一時停止) © Progmat, Inc.

    #3 鍵となる信託税制変化と方向性 0 50 100 150 200 250 300 350 (単位)億円 個別案件 (出典)公開情報(≒公募案件)を基にProgmat作成 ※ST案件組成規模:有価証券届出書上のB/S総額 2021 2022 2023 2024
  20. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #23 #税制改正要望|2025春に向けて、受益証券発行信託(JS)について「2つの税制改正」を要望中 © Progmat, Inc.

    #3 鍵となる信託税制変化と方向性 第2パラグラフ 「元本の払戻し」の非課税化 ・利益を原資としない分配に係る所得税および法人税の課税関係が不明 確となっていることから、 ・本計算規則(=受益証券発行信託計算規則)において利益を原資としな い分配を「元本の払戻し」として処理する規定を設けた場合に、 ・分配を受ける投資家(受益者)において所得税の課税がないことの明 確化 (出典) 令和7年度税制改正に関する要望(令和6年9月 信託協会) 第3パラグラフ 「純資産計上される評価・換算差額等」の留保金除外 ・その他有価証券に負の評価差額金が生じたとき等に、 ・実態として存在しない利益が留保金として計上されてしまう場合があ ることから、本計算規則の改正を予定している ・そこで、法人税法第2条29号ハ(2)*の規定を、改正後の本計算規則に よる留保金に基づき適用することの明確化 *信託内における留保金を元本に対して2.5%以内としなければ、集団投資信託(二重課 税回避可)に非該当になってしまう(2.5%ルール)
  21. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #「元本の払戻し」の非課税化|そもそも、「利益超過配当(利益を原資としない分配)」とは 収益 (≒現金収入) 諸費用 (≒現金支出)

    当期利益 減価償却費 (=非現金支出) 配当金 配当前 現金残高 配当利益 利益超過配当 (受益権調整引当額) 損益計算書 配当金 #3 鍵となる信託税制変化と方向性 #24 © Progmat, Inc.
  22. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 時系列 信託財産 償却前の簿価 信託財産 償却後の簿価

    減価償却 信託財産 の売却価額 会計上の売却益 受益権調整引当 (利益超過配当) 信託期間 信託財産の売却時(償還時) 受益権調整引当 戻入 分配時に課税 課税減額の効果 課税対象 分配時の利益超過配当(課税所得)相当額が 償還時のキャピタルゲイン圧縮(=課税所得減額)になる 信託財産 償却前の簿価 信託財産 償却後の簿価 減価償却 信託財産 の売却価額 会計上の売却益 受益権調整引当 (利益超過配当) 受益権調整引当 戻入 分配時に課税 課税減額の効果 償還時のキャピタルゲインが分配時の利益超過配当額未満の時には、 課税減額の効果が無い部分があり、分配時に税を払い過ぎたことになる 減額効果なし 【対象資産の売却価額が取得時よりも高くなるケース(不動産等)】 償還時に過去の利益超過配当累計額以上の売却益が生じる場合 【対象資産の売却価額が取得時よりも低くなるケース(多くの動産)】 償還時に過去の利益超過配当累計額以上の売却益が生じない場合 受益者にとっては 税の払い過ぎが生じる 利益超過配当を行わ ない場合と課税総額 は変わらない 凡例: 課税対象 #「元本の払戻し」の非課税化|現状、出口で高く売れるアセットでなければ、払い過ぎた税を取戻しきれない #3 鍵となる信託税制変化と方向性 #25 © Progmat, Inc.
  23. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 時系列 信託財産 償却前の簿価 信託財産 償却後の簿価

    減価償却 信託財産 の売却価額 会計上の売却益 期中元本払戻し ↓ 課税なし 信託期間 信託財産の売却時(償還時) 信託財産 償却前の簿価 信託財産 償却後の簿価 減価償却 信託財産 の売却価額 会計上の売却益 期中元本払戻し ↓ 課税なし 凡例: 課税対象 #「元本の払戻し」の非課税化|売却価額が取得時よりも低くなる資産(動産等)も、税制上不利にならない 利益配当 ↓ 課税対象 課税対象 【対象資産の売却価額が取得時よりも高くなるケース(不動産等)】 償還時に過去の利益超過配当累計額以上の売却益が生じる場合 【対象資産の売却価額が取得時よりも低くなるケース(多くの動産)】 償還時に過去の利益超過配当累計額以上の売却益が生じない場合 #3 鍵となる信託税制変化と方向性 #26 © Progmat, Inc.
  24. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #「評価・換算差額等」の留保金除外|そもそも「2.5%ルール」とは #3 鍵となる信託税制変化と方向性 法人課税対象の受益証券発行信託のうち、過度な課税の繰延べが生じないと考えられる(利益留保が元本の2.5%以下に抑えられる)もの等 一定の要件を満たしたものは「特定受益証券発行信託」として法人非課税となる。この利益留保2.5%以下の要件を指して「2.5%ルール」と呼ぶ。

    通常の受益証券発行信託 特定受益証券発行信託 一定の要件(法人税法等で規定) 受益証券発行信託 1. 税務署長の承認 2. 計算期間終了時における利益留保割合が 2.5%以下の旨の信託契約 3. 計算期間開始時までに利益留保割合が 2.5%を過去、超えていないこと 4. 計算期間が一年を超えないこと 5. 受益者が存しない信託に該当したことがない 法人税 受益者 所得税 分配金 特定受益証券発行信託 法人非課税 受益者 所得税 分配金 2.5%ルール 分配後の貸借対照表 資産の部 負債の部 元本の部 元本 留保金 利益留保割合 元本の額 ≦ 2.5% 留保金の額 分配後の利益留保が元本 の2.5%以下であれば、 法人非課税としても過度 な課税の繰延べにはあたら ないとの評価。 #27 © Progmat, Inc.
  25. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 時価評価差額を 純資産に計上 調整仕訳 #「評価・換算差額等」の留保金除外|「評価・換算差額等」が生じることで「2.5%ルール」抵触の可能性 #3

    鍵となる信託税制変化と方向性 受益証券発行信託計算規則 第25条第5項 (…略…)当該事業年度に係る金銭の分配の額が当該事業年度終了の時における純資産価格(…略…)から元本の額を控除した金額 を上回る場合には、その上回る部分の金額を受益権調整引当額として表示しなければならない。 PLの当期純利益(=現金裏付けのある配当原資) 数値例 その他有価証券 取得価額 その他有価証券 期末時価 200 1,000 900 分配金支払い前の貸借対照表 200 900 1,000 200 ▲100 現金 その他有価証券 元本 留保金 評価・換算差額等 受益証券発行信託計算規則 第25条第5項に従った計算 金銭の 分配の額 純資産価格から元本の額を 控除した金額 留保金 相当額 200 留保金 200 評価・換算差額 ▲100 (差引計算) 100 純資産合計:1,100 純資産価格から元本の額を 控除した金額を上回る部分 受益権調整引当額 100 分配金支払い後の貸借対照表 0 900 1,000 ▲100 100 ▲100 現金 その他有価証券 元本 受益権調整引当額 留保金 評価・換算差額等 【借方】 受益権調整引当額 100 (元本の減額項目) 【貸方】 受益権調整引当益 100 (留保金の増額項目) 分配(留保金を原資に現金200を支払い)の際、受益証券発行信託計算規則第25条第5項に従った計算を実施 利益留保割合計算 時価/為替変動をBS純資産で「評価・換算差額等」として認識し、分配の際、意図しない「留保金」が滞留(2.5%ルール抵触)する可能性あり。 分配後もなお 留保金滞留 元本の額(元本1,000-受益権調整引当100) =11.1%>2.5% 留保金の額(100) #28 © Progmat, Inc.
  26. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #「評価・換算差額等」の留保金除外|B/Sの純資産で評価額変動を認識する資産も、制約が解消される #3 鍵となる信託税制変化と方向性 その他保有目的の有価証券(例:海外LLC) 海外LPS

    VCファンド 海外LLC 特定JS 出資持分ST 海外アセットST 海外LPS 特定JS VCファンド(LPS) 特定JS 海外 アセット 等 LLC持分 LLC持分 (有価証券) 元本 海外 アセット 等 LP持分 LP持分 (出資金) 元本 未上場株 LP持分 LP持分 (出資金) 元本 時価評価 評価差額 時価評価 評価差額 評価差額 特定JSで保有のLLC持分(その他保有目的)は期末に時価 評価(含む為替影響)、差額は特定JSの純資産に計上 海外LPSは出資金処理(金融商品会計実務指針132,308項)、 損益取込の際に為替影響を受ける可能性 換算差額 VCファンドが保有する未上場株は時価評価し純資産計上 (ASBJ公開草案)、特定JSでは当該差額の取込が生じる 損益 取込 受益証券発行信託において、「評価・換算差額等」が生じた際の手当てにつき、受益証券発行信託計算規則の改正が実現した場合、 会計(税務)上の制約は解消される。 #29 © Progmat, Inc.
  27. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #税制改正“実現後”の影響|「動産ST」「出資持分ST」「海外アセット」が“ようやく”発行可能となる #3 鍵となる信託税制変化と方向性 税制改正前(現状) 税制改正後

    不動産ST 動産ST 出資持分ST 海外アセットST ✓ 【「元本の払戻し」の非課税化】により、「利 益超過配当」の取扱いが変わる ✓ 適用開始時までに実務/システム上の変更 対応を実施したうえで、案件継続 ✓ 【「元本の払戻し」の非課税化】により、税金 の払い過ぎ問題は発生しえないため、投資 商品として的確なSTを組成しやすくなる ✓ 【「評価・換算差額等」の留保金除外】により、 二重課税となる虞が極小化し、投資商品と して的確なSTを組成しやすくなる ✓ 開示等、個別案件での課題解決は必要 ✓ 【「評価・換算差額等」の留保金除外】により、 二重課税となる虞が極小化し、投資商品と して的確なSTを組成しやすくなる ✓ 税効率等、個別案件での課題解決は必要 ✓ 売却価額>取得価額となる場合、「利益 超過配当」でも課税総額は不変 ✓ 税改可能性を踏まえ、「利益超過配当」前 提での新発可否は個社判断 ✓ 売却価額<取得価額の資産が大宗 ✓ 「利益超過配当」の場合、期中払い過ぎた 税金を取り戻せず、投資商品として不適 ✓ VCファンドで非上場株式を時価評価のうえ 差額を純資産計上、JSがこれを取り込む ✓ 「2.5%ルール」に抵触し、二重課税となる 虞あり、投資商品として不適 ✓ 海外LLC/LPSの持分等の為替変動をJS の純資産の部で認識 ✓ 「2.5%ルール」に抵触し、二重課税となる 虞あり、投資商品として不適 *1 *2 *1 ファンド(LPS)の出資持分のうち「プライベートエクイティファンド」のLP出資持分については、制度上の制約があるわけではないが、決算期のズレ等の実務上の課題を別途解決する必要がある *2 海外アセットST化スキームのうち「現地信託の受益権(パススルー該当)」については、JSでの現地不動産直接保有のようなもので為替影響なく「2.5%ルール」抵触可能性は低いが、フィージビリティの深掘り検討が必要(WG報告有) #30 © Progmat, Inc.
  28. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 【RWA/アセットホルダー】 【原簿管理者】 【投資家】 【仲介チャネル】 【ST発行・管理基盤】

    【SC発行・管理基盤】 【ST流通市場】 …and more 金商業者 金商業者 自己管理 金融機関 金融機関 自己管理 … 不動産 動 産 等 債 券 持 分 等 既存の上場商品市場 非上場商品市場⇒ST市場化 直 接 取 引 直 接 取 引 金 銭 債 権 2021年~ 2023年~ 2024年~ (国内) (海外) (開発型) #2025の展望|税改を前提とした「新アセット」と、SC利用を前提とした「新たな取引形態」に注目 #3 鍵となる信託税制変化と方向性 #31 © Progmat, Inc.
  29. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only #2025の展望|“ST2.0“の焦点は「SC」「機関投資家/法人」、”レスST×リテール”は暗号資産動向注視 #3 鍵となる信託税制変化と方向性 オフチェーン>パーミッションドチェーン オンチェーン>パーミッションレスチェーン

    ユ ー ザ ー 主たる生活圏/プロセス>「必要十分なチェーン」 リ テ ー ル 機 関 投 資 家 / 法 人 【Progmat ST】 広範な取扱案件/ネットワーク 【ST×Project Pax】 既存プロセスの壁を突破 【Progmat Coin】 広範な取扱案件/ネットワーク クリプト(プロ)ユーザー/ VASP顧客...etc. 【暗号資産の法的建付け議論注視】 #32 © Progmat, Inc.
  30. CONFIDENTIAL / Discussion Purpose Only 免責事項 #33 © Progmat, Inc.

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