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AI時代に非連続な成長を実現するエンジニアリング戦略

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September 02, 2025

 AI時代に非連続な成長を実現するエンジニアリング戦略

■ イベント
AI×開発組織Summit
https://jp.findy-team.io/conference/ai-dev-org-summit/

■ 発表者
執行役員 / VPoE / Bill One Engineering Unit 部長 /
Bill One事業部 プロダクト室 室長
大西 真央

■ 技術本部 採用情報
https://media.sansan-engineering.com/

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September 02, 2025
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Transcript

  1. ⼤⻄ 真央 Sansan株式会社 執⾏役員 / VPoE / Bill One Engineering

    Unit 部⻑ / Bill One事業部 プロダクト室 室⻑ SEとしてエンジニアのキャリアをスタートさせ、2012年以降は アジャイルやDDDなどの開発スタイルを経験。 2016年にSansanに⼊社し、ビジネスデータベース「Sansan」 の⼤阪開発拠点⽴ち上げや経理DXサービス「Bill One」の⽴ち 上げにプロダクト開発責任者として携わる。 現在は、VPoEとしてエンジニアリング組織の強化と「Bill One」のプロダクト開発責任者を担う。
  2. 会社概要 2 本社 神⼭ラボ Sansan Innovation Lab 社 名 Sansan株式会社

    所在地 本社 東京都渋⾕区桜丘町1-1 渋⾕サクラステージ 28F グループ 会社 Sansan Global Pte. Ltd.(シンガポール) Sansan Global Development Center, Inc.(フィリピン) Sansan Global (Thailand) Co., Ltd.(タイ) ログミー株式会社 株式会社ダイヤモンド企業情報編集社 ナインアウト株式会社 株式会社⾔語理解研究所 従業員数 1,961名(2025年5⽉31⽇時点) 2007年6⽉11⽇ 設 ⽴ ⽀店:関⻄⽀店、福岡⽀店、中部⽀店 サテライトオフィス:Sansan神⼭ラボ、Sansan Innovation Lab、 Sansan⻑岡ラボ 拠 点 寺⽥ 親弘 代表者
  3. 働き⽅を変えるDXサービス 請求 ⼈や企業との出会いをビジネスチャンスにつなげる「働き⽅を変えるDXサービス」を提供し、 ビジネスフローにおけるさまざまな分野でサービスを展開しています。 名刺管理 名刺DX 営業 営業DX 契約 契約DX

    経理DX 個⼈向けDX 法⼈向けDX 必要な情報を すぐに⾒つけられる 情報の管理がしやすく すぐに共有できる 情報を分析・活⽤しやすく データに基づいた判断ができる SansanのDXサービスの活⽤で変わる働き⽅
  4. 1. なぜ今「挑戦型組織」への変⾰が必要なのか 2. AI時代のエンジニアリング戦略:挑戦型組織の実現 1. AIネイティブ組織の構築 2. 全エンジニアのリーダーシップ発揮 3. AI駆動開発の実践例と具体的な成果

    4. AI時代に進化するエンジニアの本質的な価値 5. OKRで事業戦略・AI活⽤・組織変⾰を統合する⽅法 3. 今後の展望:AIとの共存と競争⼒強化 Agenda
  5. 実装の相対的な価値低下 - コーディングの半⾃動化 - GitHub Copilot、Claude Code、 Cursorなどの⽣成AIによって、 コーディング作業が半⾃動化 -

    テスト・リファクタリングの効率化 - AI⽀援によるテストや リファクタリングの効率化で ⼈的差別化が困難に 実装 プロダクト 改善 プロダクト 設計
  6. プロダクト設計が競争⼒の源泉に - 上流⼯程の重要性拡⼤ - AIをどう活⽤するかというプロダクト戦略・要件定義が競争⼒の源泉に 実装 プロダクト 改善 プロダクト 設計

    ✓ AIを組み込んだ体験設計 ✓ AIと⼈間の役割分担の最適化 ✓ プロンプトエンジニアリング ✓ AIシステムアーキテクチャ設計
  7. イーサン・モリック⽒が提唱する原則 21 1. 常にAIを参加させる あらゆるタスクの最初からAIをパートナーとして 活⽤する AIとの「共同知能」を実践し、失敗を恐れない⽂化を作ることが重要 2. ⼈間参加型にする AIに最終判断を任せず、⼈間が批判的思考と監視

    を⾏う 3. AIを⼈間のように扱う 明確なペルソナ設定とプロンプトエンジニアリン グで効果的な対話を⾏う 4. AIの進化を前提とする 「今使っているAIは、今後使⽤するどのAIよりも 劣悪だ」と仮定する
  8. - 現状の枠を超えた新しい価 値の創造 - 未踏の領域への挑戦 - ゼロからの課題発⾒と解決 - 組織全体を巻き込む変⾰の 推進

    - 仕組みや制度を整える - チームの⽣産性を⾼める - ⽇々の課題を解決する - 安定した成果を出す マネジャーとリーダーの役割の違い 23 マネジャーの役割 連続的な成⻑を実現する リーダーの役割 ⾮連続的な成⻑に責任を持つ
  9. チャレンジから⽣まれるイノベーション 27 1 従来の枠を超えた価値創造へ 知⾒の共有 各プロダクトで得られた知⾒ を共有する会を設ける AIへの積極投資 各プロダクトそれぞれで AIへの投資を積極的に⾏う

    2 3 4 プロダクト間連携 他プロダクトの挑戦にヒントを 与え、新しい発想をもらう ⾃発的学習 エンジニアたちが⾃発的に 学習し、新しいアイデアを 提案 「正解を求めないチャレンジ」 に取り組む⽂化の醸成
  10. 失敗から学んだ教訓 31 AIツールを使っても、設 計段階での曖昧さは解決 されません。むしろ、AI が曖昧な設計をそのまま 実装してしまうため、後 で⼤きな問題になること があります。 設計の曖昧さは

    解決されない 完璧な設計書を作っても、 実装段階で新たな課題が 発⾒されることがありま す。AI時代では、設計と 実装を並⾏して進め、継 続的に改善していくアプ ローチが重要です。 設計と実装の 並⾏進⾏ 実装⽅針や仕様の変更・ 軌道修正をした際、内容 を仕様書側にフィードバ ックしておかないと、後 続タスクを実⾏するAI Agentへの引き継ぎが上 ⼿くいかず混乱します。 仕様変更の ⽂書化
  11. 実践知と今後の⽅向性 32 実施の推奨事項 - PdM/デザイナーとの協⼒によるAI駆動開発 - イベントストーミングの実施で設計精度向上 避けるべきこと - ⼤きなプルリクエスト(段階的にPRを分割)

    - 設計ドキュメントの過度な詳細化(必要最⼩ 限の情報に絞る) 今後に向けて 設計ドキュメントの テンプレート改善 AIツールの協業⽅法検討 PdM・デザイナー・エンジニアの 新しい分業・協業モデルの確⽴
  12. アンラーン(学びほぐし)の必要性 35 コードを書く=価値創出 実装だけが評価される時代は終わり、「課 題を定義すること、AIを活かす構造を設計 すること」に価値が移ります。 ⾃分の⼿でやらないと意味がない ⾃分が理解して実装したものが⼀番安⼼と いう考えから、AIによる⽣成物を理解し、 意図をもって選択・検証できることが重要

    になります。 正解のある世界での最適化志向 仕様が決まっていて、それをいかに速く・ 正確に実装するかが問われた時代から、 「問いを設定する」側に回る必要がありま す。 知識=差別化の幻想 ⾃分だけが知っている技術や⼿法が強みだ った時代から、「知識を活⽤する⼒・構造 化する⼒・共有する⼒」が真の強みとなり ます。
  13. 磨くべき本質的な価値 36 問題を定義する⼒ 技術の⼒で何を解決すべきかを ⾔語化・構造化できる⼒。良い 問いなしに、AIをどう使っても 価値は⽣まれません。 ⼈間にしかできない 直感と意味づけ なぜそれを作るのか?誰が幸せ

    になるのか?という、プロダク トの本質的な問いに向き合い、 価値に「意味づけ」をする⼒。 構造設計・ ワークフロー設計能⼒ AIを単に使うだけでなく、⼈、AI、そ して既存のシステムが連携する最適な ワークフローを設計する⼒。 コラボレーションと知識流通⼒ AIが⽣成する知識を、チーム・組織全 体に流通させ、再利⽤可能にする設計 ⼒。 スピードと打席数の最⼤化 AIによって試⾏錯誤のサイクルは劇的 に⾼速化。この速度を最⼤限に活かし、 フィードバックを⾃動で得る環境を整 える⼒。
  14. OKRによる統合戦略 38 AI活⽤ AI x 事業 AI x 組織 OKRで実現する最⼤価値

    戦略 x 変⾰ 組織変⾰ 事業戦略 Company OKRレベル 事業戦略 × AI活⽤ × 組織変⾰ 全マネージャー主導で、各組織の業務をAIに置き換える プロダクトOKRレベル 事業戦略 × AI活⽤ 進化するAIに対するプロダクトのポジショニングを定める エンジニアリング組織のOKRレベル AI活⽤ × 組織変⾰ AI駆動で開発されたPBIを1件以上リリースする 具体的な実践例