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生成AI開発案件におけるClineの業務活用事例とTips

 生成AI開発案件におけるClineの業務活用事例とTips

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  1. RAGシステム構築・ 精度改善 中小企業向け金融機関 ◼社内ドキュメントを活用した RAG システムの回答精度向上を 目的にアドバイザリーを実施 ◼プロンプトエンジニアリングなど 最適化手法を適用 ◼大規模改修なしで精度改善を達

    成 コンテンツ作成支援 AIサービス PoC 大手デジタルソリューション 企業〈ユーザー系 SIer〉 ◼アナログだったコンテンツ作成 業務のDXを推進する体制を構築 ◼既存データ/ノウハウを活かし 生成AIサービスのプロトタイプを 迅速開発 ◼PoC後、リリース予定 RAGシステム構築・精度改 善 生成AIシステム開発・ 顧客向け提案研修 大手 IT ソリューション プロバイダー ◼生成AIを活用した提案活動がで きる社員を増強 ◼提案書・企画書作成を目的とし たアイデア企画/ PoC伴走型研 修を実施 生成AIコンサル・ 専用環境開発 大手自動車部品メーカー ◼社員が安心して使える生成 AI チャット環境を構築し継続開発を 支援 ◼利用ガイドライン策定+教育・ト レーニングを実施 ◼生成AI活用を包括的にサポート コンサルタント用 資料作成支援AI開発 大手コンサルティング ファーム ◼過去の提案資料を踏まえ、 RAG でパワポ提案資料を自動生成 ◼社内開発プロジェクトとして AIエ ンジニア/PMを配置し支援 大手エレクトロニクス・ エンターテインメント企業 ◼製品問い合わせ対応用チャット ボットのシステムプロンプト改善を 提案 ◼RAG精度向上施策を含む技術 アドバイザリーを提供 生成AIチャットボットの 回答精度改善 ◼社内独自データを活用する閉域 環境を構築 ◼Azure OpenAI Service+独自ナ レッジ×RAGで高精度回答を実現 AOAIを活用した 専用環境構築 中堅銀行業務を展開する 独立系金融機関 ◼社内AIワーキンググループの設 立を加速 ◼要件に応じた生成 AIプロトタイプ 開発を支援 ◼最新技術教育&グローバル動 向の提供で戦略策定を後押し AIワーキンググループ 立ち上げ 大手総合印刷・ 情報ソリューション企業 ◼図面作成工程の DXをAIで推進 ◼精度要件に応じたシステムと AI のすみ分けを設計 ◼新業務プロセス構築で効率化を 推進 大手自動車用 照明機器メーカー 製造の図面作成を AIで効率化支援 大手システム インテグレーター〈 SIer〉 ◼電話対応時に RAGを用い必要 資料を自動検索 ◼オペレーターが正確に回答でき る支援システムを開発 ◼AIエンジニアをアサインしてプロ ジェクト遂行 金融・保険・ コールセンターAI開発 4
 様々な企業の生成AI開発プロジェクトを支援 コンサル/システム開発 コンサル コンサル システム開発 システム開発 システム開発 システム開発 システム開発 研修 コンサル/研修
  2. 株式会社ギブリー Givery AI Lab AIエンジニア 知田 悠生 <プロフィール> 京都大学理学部卒。ソフトウェア開発会社で PoC開発に従事し、

    Docker・AWS・Google Cloudを活用しながら、バックエンド開発 (Python/Flask)、フロントエンド開発(TypeScript/React)、DB設計等を 担当。自然言語処理や大規模言語モデルの研究経験があり、国立情報 学研究所ではRAとして小規模言語モデルの訓練・評価を経験。現在は ギブリーでAIエンジニアとして活躍中。 Speaker
  3. Clineについておさらい ❏ Cline Bot社が開発をリードする OSSのコーディングエージェント ❏ エディタの拡張機能として実装 ❏ Planモード/Actモードという2つのモード ❏

    必要に応じてコンテクストを自ら取得 ❏ 利用者自身が管理する LLMのAPIキーを利用する限り、 input tokenやoutput tokenなどのユーザーデータは Cline Bot社によって収集されない
  4. ❏ コンサルタント向けAIシステム開発案件 ❏ 外部エンジニア含む複数人のチームからなる開発で、 AI Labからの担当者はバックエンドのコーディングや AI関連機能開発担当。 ❏ 使用技術はPython、Claude 3.7

    Sonnet、 Gemini 2.5 Proなど ❏ 開発予算が十分にあり様々な試行が可能だった ❏ AIが絡むPoCのような部分に関しては、設計のフェーズから Clineを活用 ❏ 半年以上の長期プロジェクト Cline活用事例①:コンサルタント向け AIシステム開発 背景
  5. まず「これをしたいんだけど、マークダウン形 式でプランを立ててください」と指示。 Clineが 調査し、提案した実装方針を確認・修正。 Planモードでの準備 Actモードでの実装・テスト実装 プランが固まったら、Actモードでコードを生 成。最終的にテストコードまでClineに書かせ る。 エラー解決

    エラーメッセージをClineに貼り付け、原因と 解決策を質問。簡単な修正は自身で行い、 複雑な場合はClineにコードを生成させ、確 認後に適用する。 使用モデルとしては、コーディングスキルが高い Claude 3.7と、処理速度が速くドキュメント作成に適している Gemini 2.5 Proを使い分け。ほぼ全ての開発業務で Clineを使用し、コードの大部分を Clineに書かせ、自身 で修正するスタイルを採用。 Cline活用事例①:Clineを活用した開発業務の流れ
  6. ➢ 長いファイルを扱う際には、直接編集を避け、新しくファイルを生成・分割させる方が効率的。 ➢ コンテキストウィンドウの限界 により、過去のやり取りやファイル全体を考慮できなくなる傾向がある ため注意が必要。 Cline活用事例①:Clineを活用した所感 メリット デメリット ❏

    作業時間の大幅削減 (体感2~3倍の開発速度) ❏ 試行錯誤の高速化 ❏ エラー解決の効率化 ❏ 未経験言語への対応 ❏ 長いファイルの取り扱いが困難 ❏ コーディングの癖 (安易なエラーハンドリング、冗長な記述) ❏ テストコードが意図と完全に一致しない場合がある ❏ 長いファイルを扱うとコスト (時間・お金 )がかさむ
  7. システムプロンプトの活用 AIのコーディングの癖を抑えるため、具体的なルールを記述する。 グローバルルール(一般的なコーディングスタイル) とワークスペースルール(プロジェクト固有のルール) の 使い分けが重要。 Planモードの徹底 実装前に必ず Planモードで設計方針を検討 させ、開発に必要なコンテクストを十分に生成させる。

    大規模な機能の場合、最初にマークダウン形式で計画書を作成させると効果的。 コードの分割・整理 AIが読みやすいように、1ファイルあたりのコード量を 500行程度に抑えます (ex: Python)。 コードが長くなったら積極的にファイルを分割 し、AIに構造化させることでリファクタリングも可能。 Cline活用事例①:Cline活用を促進するTips
  8. 背景 ❏ AIエージェントによる事例収集・調査・リスト作成業務の 自動化システムの開発。 ❏ 担当業務としては、システム開発全般・ Clineを使用した コード生成と修正開発 ❏ 使用技術はPython、Gemini

    2.5 Pro Preview、Google Custom Search APIなど ❏ 開発期間は、プロジェクト全体で約 1ヶ月 ❏ Clineを使った実際の作業期間は約 3週間 ❏ 最初のデモ提出までは約 1週間。 Cline活用事例②:事例収集自動化システム開発案件
  9. 計画フェーズ ユーザーストーリーマップを基に、 Planモードを使用して具体的な実装計画を立てる。当初 はActモードを直接運用していたが、コード生成の質の安定性に問題があったため Plan モードを軸とした運用に変更。 実装フェーズ Planモードで立てた計画を元に、 Actモードに切り替えてコードを生成。簡単なプログラ ミングであれば直接

    Actモードでも問題ありませんが、複雑なシステムの場合は必ず Planモードから始めることが重要。 レビュー・修正フェーズ Clineが生成するコードはそのままでは実行できない場合があり、自身で修正が必 要。最終的なコードのうち 70%~80%はClineが生成するが、コードの読解やデバッ グに時間がかかるため、効率面では大きく上がらないパターンも。 Cline活用事例②:Clineを活用した業務の流れ
  10. Cline活用事例②:Cline活用を促進するTips Planモードの徹底 必ずPlanモードで計画を立ててから Actモード に移行することで、手戻りを防ぎ効率を上げら れる可能性が高まる。 セッションの切り替え 手動でコードを修正したりした場合は、同じセッ ションを継続せず、新しいセッションを作成して 作業をやり直すのが効果的。頻繁な手作業修

    正があるセッションではバグが出やすい。 コード管理 Clineの履歴ファイルは自動生成部分のみな ので、Gitなどのバージョン管理システムを使用 し、自動生成と手動修正の部分をコメント付き で管理することがお勧め。 詳細なプロンプティング 細かい粒度(使用する言語・フレームワーク・ パッケージ・実装手順・モジュール分けなど )で 詳細な実装計画を言語化してプロンプトに加え る。
  11. 総括:事例を踏まえての活用方針 ➢ Planモードを活用した、自身のタスクへの理解の深化 ◦ モデルに適切な説明を与えるために、まず自身の解像度を高める ➢ セッションの切り替え・プロンプトを活用したコンテクスト整備 ◦ Clineの履歴管理機能を活用 ◦

    何度も必要なコンテクストはマークダウンに落とし込む ➢ 高速なイテレーション ◦ 特定のアルゴリズムやライブラリを用いたボイラープレートの記述は AIがやってくれる ◦ テストを書くことはこれまで以上に重要になる コーディング作業の高速化という側面もあるが、 プロジェクト・プロダクトに対する 自身の理解を高速に高める という側面で活用していくことがおすすめ