Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

Google Agentspaceを実際に導入した効果と今後の展望

Google Agentspaceを実際に導入した効果と今後の展望

本資料は、2025年8月5日(火) から開催されたGoogle Cloud Next Tokyoで講演した際の資料です。

▼Google Cloud Next Tokyo サイト
https://www.googlecloudevents.com/next-tokyo/

▼セッション詳細
https://www.googlecloudevents.com/next-tokyo/sessions?session_id=3149208

タイトル:
Google Agentspace を実際に導入した効果と今後の展望

概要:
MIXI では今年5月、国内で初めて Google Agentspace を導入し、全社展開に向けて準備を進めてきました。Agentspace は、Google Cloud が提供する、企業内の様々な情報へのアクセスと活用をAIエージェントで効率化するプラットフォームです。本セッションでは、導入の経緯、デモンストレーションを交えた使用例から、業務プロセス改善の実例、今後の展開計画まで具体的事例を交えてお話しします。

取り上げる主な Google Cloud 製品 / サービス
・Vertex AI

Avatar for MIXI ENGINEERS

MIXI ENGINEERS PRO

August 06, 2025
Tweet

More Decks by MIXI ENGINEERS

Other Decks in Technology

Transcript

  1. Proprietary 03 Google Cloud Next Tokyo 株式会社MIXI エモーションと コミュニケーションで 「心もつながる」場と機会を

    創造し続けます。 MIXI GROUP は、 ただ「つながればいい」という効率的な機能の提供ではなく、 歓喜や興奮、温かな思い、幸せ、居心地の良さの共有を通じて、 その先に、もっと深くて濃く豊かな、心のつながりを生み出すような、 サービスの開発・提供を目指しています。 現在、スポーツ・ライフスタイル・デジタルエンターテインメント の 3 領域を中心に事業を展開しており、 それぞれの主な事業内容は右の通りです。 スポーツ事業 プロスポーツチーム運営および 公営競技ビジネスの推進 ライフスタイル事業 インターネットを活用し、 人々の生活に密着したサービスの提供 デジタルエンターテインメント事業 スマホゲームを中心としたゲームの提供 3領域を中心に “「心もつながる」 場と機会” を創造する事業を推進
  2. Proprietary 04 Google Cloud Next Tokyo アジェンダ 01 Google Agentspace

    とは 02 導入前の課題と検証プロセス 03 実際の活用事例とデモ 04 導入効果と得られた知見 05 今後の展望 06 まとめ
  3. Proprietary 06 Google Cloud Next Tokyo 企業内の情報を統合し AI エージェントが横断検索・活用 •

    4 つの要素 • 検索:必要な情報を適切なタイミングで発見 • 要約:企業内の知識を集約して要約 • 生成:既存知識と Web 情報から新規コンテンツ作成 • アクション:カスタム エージェントでワークフロー効率化 Google Agentspace の概要
  4. Proprietary 07 Google Cloud Next Tokyo Google Agentspace の主要な機能について •

    カスタム エージェント ◦ ノーコードで AI エージェントを設計構築可能 • アシスタント アクション ◦ 自然言語での指示によりアクションを実行 ◦ メール作成、カレンダー予定作成、JIRA 起票など • NotebookLM Enterprise • Deep Research
  5. Proprietary 08 Google Cloud Next Tokyo 連携可能なデータソース • 事前構築済みコネクタを利用して様々なデータソースとの連携が可能 ◦

    ネイティブソース ▪ BigQuery, Cloud Storage, Cloud SQL など ◦ Workspace ソース ▪ Google Drive, Google カレンダー, Gmail など ◦ サードパーティーのソース ▪ JIRA, Confluence, Slack, Dropbox, Sharepoint など • ACL (アクセス制御) を継承し検索可能なデータソースをユーザごとに制御可 能
  6. Proprietary 09 Google Cloud Next Tokyo Google Agentspace 一般的な RAG

    ソリューション データ連携 Google Workspace や主要 SaaS ツールとの事前統合済み (Slack, Jira, Confluence など) 個別に連携開発が必要 セキュリティ データソースの ACL を自動継承 ACL 実装に別途開発が必要 導入スピード 事前統合により設定ベースで導入可能 開発工数を大幅削減 カスタマイズにリードタイムが必要 運用不可 SaaS として提供され基盤の保守が不要 自社での保守・運用が必要 Google Agentspace の特徴
  7. Proprietary 011 Google Cloud Next Tokyo 導入前の課題 • 情報の分散 ◦

    複数にまたがるデータソースにデータが点在 ◦ 横断的な検索手段がない • 検索の非効率性 ◦ データソースごとに個別検索 ◦ 必要な情報の発見に時間がかかる • 部門間の情報共有の壁 ◦ 部門により利用しているツールが異なる
  8. Proprietary 012 Google Cloud Next Tokyo なぜ Google Agentspace を選んだのか

    1. 既存ツールとのシームレスな連携 ◦ 既存アプリケーションへの安全なアクセスによる統合検索 2. セキュリティ要件への適合 ◦ ACL を活用したユーザごとのデータの閲覧制御 3. 全社展開を見据えたスケーラビリティ ◦ ステークホルダーの検証による Google 社との協働改善
  9. Proprietary 013 Google Cloud Next Tokyo フェーズ 1: 準備 PoC

    体制構築 フェーズ 2: 初期検証 技術的な実現可能性を確認 フェーズ 3: 限定公開 各部署の主要なステークホ ルダーにて有用性を評価 フェーズ 4: 実務検証 4 つの部署での実践的な活用 導入検証の全体像
  10. Proprietary 014 Google Cloud Next Tokyo • フェーズ 1: 準備

    ◦ PoC の体制構築 • フェーズ 2: 初期検証 ◦ 対象ユーザ ▪ 導入プロジェクト メンバー ▪ 情シス担当 / セキュリティ担当 ◦ 各種ツールとの連携方法の確立 ◦ ACL などの基本動作の検証 検証プロセスの詳細
  11. Proprietary 015 Google Cloud Next Tokyo • フェーズ 3: 限定公開

    ◦ 対象ユーザ ▪ 各部門のステークホルダー • 役職者および、AI 関連業務の担当者 ◦ 全社導入前の限定利用による安全性・有用性の評価 ◦ 全社展開に向けた活用事例の創出 検証プロセスの詳細
  12. Proprietary 016 Google Cloud Next Tokyo • フェーズ 4: 実業務検証

    ◦ 対象ユーザ ▪ プロダクト (モンスト / コトダマン) 関係者 ▪ 間接部門 (情シス部門 / DX 推進部門) 関係者 ◦ 連携するデータを絞り込んだ上、各部署に最適化した事例の創出 ◦ 実際の業務データを用いた、実務への応用方法の検証 検証プロセスの詳細
  13. Proprietary 018 Google Cloud Next Tokyo プロダクト部門での活用事例 ① 資料検索・要約の効率化 大量の資料から特定の情報を素早く見つけ出し、要約も同時に提供

    • 高精度な検索機能により、曖昧な言葉や短いプロンプトでも適切な資料をピック アップ • 複数にまたがるデータソースの情報をまとめて展開してくれるため、情報収集時 間が大幅に短縮
  14. Proprietary 019 Google Cloud Next Tokyo プロダクト部門での活用事例 ② 過去案件・類似事例の調査 過去の不具合チケットから関連する改修情報などを見つけ出し、関連性を整理

    • 関連情報の見落としや整理に役立つ • 関連情報のピックアップにより、類似の不具合や改修チケットを効率的に発見
  15. Proprietary 020 Google Cloud Next Tokyo プロダクト部門での活用事例 ③ 施策・イベントの実施履歴管理 特定の時期や条件での施策・イベントの実施状況を調査

    • 「2024 年 7 月に実施した施策は?」など、期間を指定した質問に正確な回答 • 開催期間が重複する案件のピックアップが可能 • 過去に実施時した施策内容の詳細なども参照元を明確にして提示
  16. Proprietary 021 Google Cloud Next Tokyo • Confluence の情報を検索や Jira

    で問い合わせの補助 • 検索結果で Confluence 上のマ ニュアルを提示、未解決の場合は JIRA を起票して問い合わせ 間接部門での活用事例 ① ※ はたかん=社内IT
  17. Proprietary 022 Google Cloud Next Tokyo 間接部門での活用事例 ② ヘルプデスク 一次対応支援

    問い合わせの定型・個別対応の判断と初期対応を支援 • 蓄積された過去事例をもとに定型・個別対応を自動判別 • 定型対応:回答テンプレート集から適切な回答候補を提示 • 個別対応:過去の類似案件を参考情報として提示 対応者の習熟度に関わらず一定水準の対応品質を維持
  18. Proprietary 025 Google Cloud Next Tokyo Google Agentspace を導入した効果 ①

    1. 検索性能と業務効率の向上 • 複数のデータソースの情報を自動統合し要約、情報収集時間を大幅短縮 • 曖昧なキーワードでも関連資料を正確に特定 2. 情報処理と業務品質の向上 • 大量資料からの検索と要約を同時実行 • データの関連性を自動整理 • 対応者の経験に関わらず一定品質の業務対応が実現可能
  19. Proprietary 026 Google Cloud Next Tokyo Google Agentspace を導入した効果 ②

    3. 多様な業務への活用可能性 • 資料検索・要約だけでなく施策履歴管理まで幅広く活用 • ヘルプデスク業務の一次対応を支援 4. 導入・拡張の容易性 • Google Workspace、Slack、Jira、Confluence 等と標準統合 • データソース連携もコネクタを利用し容易に可能 • 導入までの開発工数とリードタイムを大幅削減
  20. Proprietary 027 Google Cloud Next Tokyo 導入・検証から得られた知見 1. データの選別と品質管理の重要性 •

    データ範囲が広すぎると精度低下 • 全社向け Confluence などには古い情報が混在し、不要な情報を参照するリスク • プロンプトの工夫で一定回避可能だが、根本的にはデータ選別と品質管理が重要 2. 業務プロセスとの連携設計の重要性 • 導入だけでは利用促進に直結せず、既存フローの一部置き換えに留まる • 既存フローとの不整合によりAI の利用範囲が制限される場合がある • 業務フロー可視化とAI 導入による改善ポイントの明確化 • AI 活用前提のフローへの再構築が導入効果を最大化
  21. Proprietary 030 Google Cloud Next Tokyo 成功のための 2 つの要素 データ品質が精度を左右

    取捨選択とクレンジングが必須 • 不要なデータは精度低下の原因 • 必要なデータを厳選して活用 構造化されたデータ管理 データの構造化と保持 • データを適切な形で整理・保存 • アクセスしやすい形での管理体制構 築 継続的なメンテナンス 定期的な見直しの実施 • 古いデータ・不要データの削除 • データの鮮度と関連性の維持 • AI の回答精度に直結する最重要要素 1. データが成功の鍵を握る
  22. Proprietary 031 Google Cloud Next Tokyo 成功のための 2 つの要素 既存業務の徹底分析

    業務フローの完全可視化 • 現在の作業工程を詳細に把握 • 各工程の人数と所要時間の測定 • 作業の発生頻度の調査 導入効果の予測と測定 定量的な効果測定 • 導入前後の比較データ作成 • 時間短縮・人員削減効果の数値化 • ROI(投資対効果)の算出 戦略的な導入計画 優先順位の明確化 • インパクトの大きい領域から着手 • 効果が見込める業務の特定 • AI 活用前提での業務フローの見直し 2. 業務フローの可視化で効果を最大化
  23. Proprietary 032 Google Cloud Next Tokyo 今後の Google Agentspace の展開計画

    データ品質の整備 • 既存データの品質評価・クレンジング • データ管理ルールの策定 • 継続的メンテナンス体制の構築 業務フロー分析 • 全業務プロセスの可視化 • 工数・頻度の定量調査 • 導入優先順位の決定
  24. Proprietary 033 Google Cloud Next Tokyo 今後の Google Agentspace の展開計画

    導入・運用 • カスタム エージェントの作成支援と効果検証 • 各プロダクトから有志を募りオンボーディング実施 • 成功事例の横展開と部門を跨いだ情報共有の可能性
  25. Proprietary 035 Google Cloud Next Tokyo Key Takeaways Google Agentspace

    は情報探索の非効率を解消し、業務の効率化が可能 • 分散した情報を横断検索・要約が可能 • 曖昧なキーワードでも検索が可能で情報収集時間を大幅短縮 AI 導入成功の鍵は「データ品質」と「業務プロセスの可視化」 • 回答精度はデータ品質に依存、データ管理が重要 • 既存業務フローを可視化しておき、AI 導入の効果を最大化