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AIと共創するエンジニア組織のこれから
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aki
May 14, 2025
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AIと共創するエンジニア組織のこれから
2025.5.14(Wed)「組織創りの常識はどう変わる?VPoE・EMと学ぶAI駆動開発 導入後のエンジニア組織設計」 登壇資料
株式会社カンリー 須藤
aki
May 14, 2025
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Transcript
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. AIと共創するエンジニア組織のこれから 〜文化・評価・採用の再設計〜 2025.05.14 株式会社カンリー
EM 須藤 聡之
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. はじめに 2
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. Agenda. 3 1.
自己紹介 2. 事業紹介 3. AIと共創するエンジニア組織のこれから 4. まとめ
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 自己紹介 4
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. • 所属 ◦
カンリーエンジニア部 部長 兼 Dev3チームマネージャー • 経歴 ◦ 2022年2月 カンリー入社。カンリーホームページチームに配属 ◦ 2024年8月 CTO室に異動。組織開発、採用、技術広報に注力 ◦ 2025年2月カンリーエンジニア部部長就任 • 最近のコミュニティ活動 ◦ 2025年2月 EMConf 運営スタッフ ◦ 2025年4月 EMゆるミートアップ 運営スタッフ • 最近続けていること ◦ 個人noteでのブログ発信 ▪ 2025年に入ってから100投稿達成! ▪ 80日以上連続投稿継続中 須藤 聡之 | SUDOU Akiyuki 自己紹介 5
プラットフォーム部 カンリーエンジニア部 エンジニア本部 カンリーのエンジニア組織体制と管掌範囲 2025年4月時点 CTO 小出 CIO 萩野 小出(兼任)
Dev1チーム EM 旧カンリー 店舗集客 Dev2チーム EM カンリー ホームページ Dev3チーム 須藤(兼任) カンリー 店舗集客 SREチーム EM CTO室 小出(兼任) HRエンジニア部 VPoE 長谷川 Dev4チーム EM カンリー 福利厚生 カンリー カスタム シリーズ HR 長谷川(兼任) カンリー ワーク 須藤 AI面接 長谷川(兼任) カンリー /AI面接
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 事業紹介 7
8 名称 代表者 設立 従業員 資本金 株主 株式会社カンリー 代表取締役Co-CEO 辰巳
衛 / 秋山 祐太朗 2018年8月15日 正社員 137名(2025年2月時点) 100,000,000円
会社の沿革
いま、店舗のビジネス環境は、厳しい変化のなかにあります。 デジタル化の加速により、店舗と顧客との接点は複雑化するなか、 店舗の情報発信や集客には、大きな負荷が生まれている一方、 人手不足は深刻化し、店舗本来の仕事に割ける時間は減り続けています。 テクノロジーの力で、店舗経営をもっと生産的に。 店舗に関わるすべての人に、創造的な仕事に向き合える環境を。 カンリーは、店舗運営のDXを実現するプロダクトの提供を通じて、 店舗のコミュニケーションやあらゆる意思決定を円滑にし、 やがて店舗経営に欠かせないインフラとなることを目指しています。 店舗の創造性を解放し、
そこで生まれた価値が世の中を循環することで、 すべての人の豊かな暮らしが社会にあふれていく未来へ。 店舗経営を支える、 世界的なインフラを創る 10 Mission
カンリーが提供する 4つの主要サービス 11 店舗運営を効率化する「 カンリー店舗集客 」 マップで探せる「 カンリー福利厚生 」 アルバイト・パート採用支援「
カンリーAI面接」 スポットワーク活用支援「 カンリーワーク 」
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. AIと共創する エンジニア組織のこれから 12
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 生成AIの台頭と組織づくりの課題 13 AIが隣にいる時代、
「人の価値」を問い直す必要がある
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 生成AIがエンジニアの現場にもたらした変化 14 •
調査・設計・レビューの再定義 従来の人が初稿 →人が確認 から、AIが初稿→人が精査 にシフト。AIがプロトタイプを素早く 出すことで、人は「意図のすり合わせ」や「品質保証」に集中できるようになった。 • 個人作業の再設計 かつて1人でやりきる がスキルの証とされてきたが、今は AIと仮想チームを組んでやりきる ことが新しい形に。AIをいかに味方につけるかが個の生産性の鍵。 • AIは「相棒」かつ「外部脳」 ChatGPTやCopilotは、壁打ち相手や知識の補助役として定着。 まずAIと相談が当たり前の 動きになり、AIと共創する働き方が定着し始めている。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. AI前提の開発プロセスと役割の再定義 15 Before:
• 人が調査→設計→実装→レビュー • すべての工程を人力で担い、調査の精度や実装スピードは 個人のスキル頼り だった。 After: • ChatGPT:AIが調査・設計の初稿を作成 → 人は意図の確認・微調整 に集中 • GitHub Copilot / Cursor:Agentモードで AIがコーディングを実行 し、人はレビューや承認の 役割を担うことで試行錯誤の高速化 が可能に • Devin:タスクを分割して依頼することで、単純作業における 人の実行が減少 結果として、「AIと協働する前提」 でPDCAサイクルが高速化。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. カンリーの AI活用と現場で得た学び 16
• GitHub Copilot & Cursor:Agent型支援による実装高速化 コーディングのアシスト機能に加え、 AIに一旦任せてから人間が承認・修正する Agent的な 使い方が増加。 リアルタイムにAIと壁打ちすることで試行錯誤が加速している。 一方で使いこなしの個人差 が課題となっており、ナレッジファイルの整備や活用共有会を設 けることでノウハウを循環させようとしている。 • PRAgent & Coderabbit:PRレビュー効率化 初期レビューをAIに任せることで作業負担を大幅軽減。ただし 「深い仕様理解はまだ人の領 域」と判断し、AI + 人のハイブリッドで運用している。 • Devin:自動実装支援 まずはPoCで導入しており、CICDの修正や簡単なバグ修正などから検証中。安全性と精度 を見ながら、徐々に任せる範囲 を拡張中。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. カンリーでの AI活用事例も公開しているのでぜひご覧ください! 17
Devinを活用してCIパイプラインを改善した話 https://zenn.dev/canly/articles/701cbd3c7760ed pr-agentを導入してみた話 https://zenn.dev/canly/articles/5978cdfa8b0e18
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 文化の再設計:ナレッジ資産を AIが活かせる形に 18
従来のナレッジは個人の経験 がベース。属人化しがちで、暗黙知が口頭・チャットベースで流通。 開発スピードを重視したりする中でドキュメント化は 後回しになりやすかった。 これからのナレッジは AIにとって再利用可能 な形となる。ドキュメントは 人が読む 前提から、AIが 解釈しやすい構造 へと進化。 結局、AIをうまく活用するためにも 人がきちんと理解できるドキュメントが欠かせない と痛感。これ までまあわかる人が読めればいい で済ませていた資料が、 AIに作業を移譲していく時代では「誰 が読んでも理解できる精度」がますます重要だと再認識した。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. AI時代の組織設計:再現性と透明性が最重要に 19 •
属人性リスクは AI時代でも健在 「AIがあるから大丈夫」と思いがちだが、結局 AIも入力データ(ナレッジ)次第。 特定メンバー に依存する運用はAI時代でも大きなリスクである。 • 情報の民主化:全員が使える知識基盤へ 誰もが同じ情報にアクセスできる環境をつくり、 知っている/知らない の格差を解消する必 要がある。これはAI活用の前提条件としても不可欠である。 • 透明性と再現性の文化を重視 「なぜこうなったか」がチーム全体で説明できることを目指し、 設計思想・意思決定プロセス をドキュメント化( ADR)。AIが関わるからこそ、再現性ある仕組み を組織全体で意識し取り 組んでいく必要がある。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 評価軸の進化: AIを使いこなす力が新しい基準に 20
• 工数ベース →アウトカムベースへ 「どれだけ作業したか」ではなく、 「どんな成果を出したか」 が評価の中心になっていくと思わ れる。AI活用により、単純な工数だけでは価値が見えづらくなった。 • AIを活かす力を評価対象に追加 生産性の差はAIをどこまで味方にできるか で大きく変わる時代。 CopilotやCursorなどのAI ツールを使った課題解決力 を問うスキルが新しい評価項目に入ってくると思われる。 • 実装速度 →価値を届ける力へ 早く作るだけではなく、本当にビジネスインパクトがあるものを届ける力が問われるようにな る。AIが生産性を底上げするからこそ、 何を作るか・なぜ作るか の目線がより重要になって いく。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 従来の評価基準 vs これからの評価基準
21 従来は「工数をどれだけ費やしたか」「作業のスピード」にフォーカスされがちだった。しかしAI時代では、単純な労働 量ではなくどんな成果を出したか が評価の主軸になる。 さらに、成果を出す力に加えて、AIを適切に活用して“再現性高く価値を生む”力も求められるようになっていく。評価軸 そのものが「作業」から「価値+ AI活用」へとシフトしているのがポイント。 評価視点 従来の評価 これからの評価 評価基準 工数ベース アウトカム(成果)ベース 重視するポイント 実装スピード ビジネスインパクト 求められるスキル 個人スキル頼り AI活用力+コラボレーション力 AIの評価対象 評価対象外 AIの使いこなしも加味
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 採用基準の変化: AI時代の新しい評価視点 22
• 「AIと共に働ける人」が今後のスタンダードに これまでの採用では、個人スキルや実装力が中心だったが、業界全体として今後は AIを適 切に活用できる力 が求められていくと考えている。 • 例えばこんな評価観点が加わるかもしれない ◦ GitHub Copilot & Cursorの活用経験や習熟度 ◦ AIに対する問いの立て方 やプロンプト力 ◦ 単なる作業速度ではなく、 AIを組み合わせて成果を出す力 • 今後こうした視点を重視していく可能性 ポテンシャル評価も「問いの深さ」「再現性」 といった観点で、AIを道具として使いこなせるか を見る必要が出てくると感じている。 AIは道具でしかないので、 人が課題を定義し、精査し、 学び続ける姿勢 が、成果を大きく左右すると考えられる。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. AI時代に活躍できる人材のソフトスキル 23 •
課題設定力・ゴール設定力 AIは「問い」に対して答えますが、何が課題か、何をクリアするとゴールか を定義できる力が重要。 例:問題の本質を見抜いてAIに適切な指示を出せる。 • コミュニケーション力 AIをうまく使うだけでなく、人間チームとAIの橋渡しができる力も大事。 例:AIのアウトプットを説明したり、他部署と成果を共有する場面。 • 批判的思考・判断力 AIはミスもするので、結果を鵜呑みにせず精査する力が必須。 例:AIが出したコードや提案をレビューして最適化する。 • 学習力・適応力 ツールや技術の変化が早いので、継続的に学ぶ姿勢が問われる。 例:新しいAI機能をすぐキャッチアップして取り込む。 • コラボレーション・巻き込み力 AIを自分だけで使うのでなく、組織全体で活用を広げる推進力。 例:チームにAI導入を提案して改善サイクルを作る。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. AI活用を根付かせる育成とカルチャーの取り組み 24 現場のリアル×継続的な試行錯誤を意識している。
• 「AI活用の見える化」と情報共有 ChatGPT、Cursor、Copilot、Devinなどを活用し、実際の取り組みを ZennやNoteで公開して いる。単なる広報ではなく、社内外でのナレッジ共有の場としている。 • Slack文化:自発的なナレッジ発信 AI専用チャンネルや、各メンバーの timesチャンネルで活用事例・試行錯誤・学びを日常的に 発信。LT会でも新サービスや活用事例をシェアするなど、全員で学び合う風土がある。 • 「失敗を許容する文化」 AI活用は最初から完璧を求めないことが重要だと考えている。新しいサービスを扱う際など は最初から成果を完璧に求めないなど 試せる空気 をつくることを重視している。
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. まとめ 25
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. AI活用のその先へ ~エンジニア組織が問い続けること ~
26 AIは「導入すること」ではなく「共創すること」へ AIを単なる効率化ツールとして終わらせず、 共に考え、共に成長するパートナー として活用してい く未来を考えていく必要がある。 問い続ける視点 • AIと人、それぞれの強みをどう活かすか? 自動化できる部分と、人がやるべき価値創造のバランス • 育成・評価のあり方はどう変わるか? AIがスキル支援する中で、エンジニアの評価軸も見直しが必要 • 心理的安全性をどう担保するか? AIを安心して使い、「失敗しても学びに変えられる文化」 の構築 「AIと共創し、変化を恐れず学び続ける組織」 を目指していく!
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. まとめ 27 •
AI時代の組織設計は変化に適応できるかが鍵 • カンリーでは文化・評価・採用を横断して変革中 • 技術より「設計」と「問い」が問われる時代へ
Copyright © Canly, Inc. All rights reserved. 28