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若人が1年間にわたってIETFにおける標準化に関わってきた話

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February 05, 2024
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 若人が1年間にわたってIETFにおける標準化に関わってきた話

2023年3月に横浜でIETFが開催され、それからIETFの日本人参加者が大きく増加しました。これから、学生や社会人にインターネットの標準化に熱心にかかわっていくことを促進するために、個人・組織どのようなことかできるかを考え、標準化に参加する意義について検討します。セッションでは、IETFの基本的な話から始まり、インターネット標準を策定するための仕組みなどを話します。また、実際に組織で行われている、IETF参加を促進するためのプログラムについて紹介し、実際にIETFに参加し、現地で議論や提案を行ってきた登壇者からIETFでの活動について紹介します。1年間で多くて3回IETFに参加してきた登壇者から、IETFで提案されているホットなインターネットドラフトやRFCなどの話や、登壇者が提案しているインターネットドラフトの内容について紹介します。また、それらの内容を、実際のインターネットで運用する上での課題について議論します。

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February 05, 2024
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Transcript

  1. セッションの流れ • IETFとは - 石原 • 学生としてIETFに参加してdraftを書いてみた話 - 柚山 •

    IETF NOCボランティアに参加してみた話 - 石原 • 若手社会人としてIETFに参加した話 / IETFハッカソンの話 - 三島 • ディスカッション ~若手社会人がIETFに参加するためには~ 2
  2. 自己紹介 • 石原 匠 / takuan ◦ 所属 : 慶應義塾大学大学院

    政策・メディア研究科 修士1年 / WIDE Project ◦ 研究テーマ : Multi-access Edge Computingのアーキテクチャ ▪ keyword : MEC, 5GC, ULCL, LADN ◦ 趣味 : 旅行, ももいろクローバーZ (赤推し), 阪神タイガース ◦ 英語力 : ▪ スピーキング:最低限のコミュニケーションができる ▪ リスニング:6割くらいは聞き取れる ▪ リーディング:技術文章,論文が読める 3 @takuan517
 https://github.com/ takuan517

  3. IETFとは Internet Engineering Task Force (IETF) • インターネット技術の標準を推進する団体.1986年に活動を開始 • 標準化の議論は

    Working Group (WG) 単位で推進 • 技術仕様は Request For Comments (RFC) という名前で文書化 WG • 技術仕様を議論するための単位.それぞれのテーマに分かれて構成される ◦ それぞれの WG は対応する Area にわかれる ▪ Internet Area(int), Operation and Management Area(ops), Routing Area(rtg) など ◦ WG一覧 https://datatracker.ietf.org/wg/ ▪ Computing-Aware Traffic Steering(cats), Distributed Mobility Management (dmm) など 5
  4. (参考) WG の例 • Computing-Aware Traffic Steering (cats) : ネットワークエッジがクライアントとサービス提

    供サイト間のトラフィックを誘導する方法の問題を検討する WG • Distributed Mobility Management (dmm) : モバイルと通信対応ノード間のトラフィックが最 適なルートを取るためのIPネットワーク向けのソリューションを検討する WG • Source Packet Routing in NetworkinG (spring) :Segment Routingの標準化と拡張を目 的とする WG → WG のテーマは相互に関連するため,ある WG の I-D が別の WG のセッションにも 持ち込まれ,議論されることも 6
  5. (参考)IRTFとRG Internet Research Task Force (IRTF) • IETFの姉妹組織.インターネットに関する長期的研究を,主として理論的な観点から 行う組織 •

    仕様策定はしないが,Experimental か Informational RFC (後述) は発行する Research Group (RG) • IRTF の研究単位.2023/10時点では15の RG が存在 ◦ Computation in the Network Research Group (COINRG) ◦ Quantum Internet Research Group (QIRG) ◦ Internet Congestion Control Research Group (ICCRG) など 7
  6. RFCとI-D Request for Comments(RFC) • インターネット技術の仕様や運用方法などをまとめた技術文書 • 広く意見を募り,情報共有することが名前の由来.現在は事実上の技術標準として扱われる ◦ 基本的に公開不可能な

    ARPA の研究成果を,「より良くするためにコメントを募る」という建前で公開したもの Internet Draft(I-D) • 標準化が進むにつれ,Individual Draft → WG draft → RFC という流れで推移する IETF Datatracker • IETF 標準のデータベース ◦ IETF のドキュメントや WG,過去の IETF meeting のアジェンダや議事録,公開資料などが含まれる • I-D から RFC に至る流れや Standard Track の状態なども Data Tracker で確認可能 9 RFC9433より引用 https://datatracker.ietf.org/doc/rfc9433/
  7. RFCとI-D RFC はその性質からいくつかに分類される (参考:RFC 1796, RFC 6410) • Standard Track:標準化過程に含まれる

    RFC ◦ Proposed Standard (PS) :Standard Track の初期状態 ▪ 安定していることやコミュニティに価値があることが条件.実装の有無は問われない ◦ Internet Standard (STD) :Standard Track の最終状態 ▪ PS に加え,技術的な成熟,2種以上の実装,既存の実装と共存できることなどが認定条件 • Informational (Info) :標準化過程にないベンダ独自仕様やデファクトなど • Experimental (Exp) :研究成果や実験結果を広く公開するもの • Historical (Hist) :別の標準で置き換えられた,あるいは役割を終えた過去の標準 • Best Current Practice (BCP) :インターネット関連組織の規約や管理のための情報 10
  8. IETF/IETF NOCボランティア参加の動機 IETFへの参加動機 • 存在自体は元々知っていた ◦ 興味本位で一度だけオンラインで参加もしていた →何をやっているか詳細はわかっていない ▪ RFC,I-Dを知っているレベル

    → タイミングよく横浜で開催されるので参加してみた NOCボランティアへの参加動機 • せっかく参加するなら無駄にしたくない → タイミングよくNOCボランティアの募集メールが来たので参加してみた 13
  9. IETFのネットワーク 15 • ホテルWi-Fi (客室・ホテルロビー等) ◦ SSID : ietf-hotel ▪

    オープン (パスワードなし) • 会場ネットワーク ◦ 有線ネットワーク ▪ ハッカソン ▪ ターミナルルーム (Terminal Room) の一部 ◦ Wi-Fi ▪ 詳細は次のスライドで
  10. 会場Wi-Fiネットワーク 16 • ホテル内で開催する場合:IETFで利用する会議室内 ◦ SSID:ietf (ロビーやバー等のパブリックスペースや客室など、それ以外は ietf-hotel) ◦ セキュリティ:WPA2/3-EAP(802.1X(PEAP

    or TLS)による認証) ◦ 5GHz帯のみ (2.4GHz帯オフ) • SSID:ietf以外のネットワーク ◦ ietf-legacy116 ▪ オープンなネットワーク,5GHz帯/2.4GHz帯 ◦ ietf-nat64 ▪ IPv6 + NAT64のみ,ietfと同じ認証・5GHz帯のみ ◦ ietf-nat64-unencryoted ▪ ietf-nat64 のオープン(パスワード・暗号化なし)かつ5GHz帯/2.4GHz帯版 ◦ ietf-v6ONLY ▪ IPv6のみ(NAT64もなし),ietfと同じ認証・5GHz帯のみ ◦ ietf-2.4ONLY ▪ ietfと同じ認証・2.4GHz帯のみ ◦ eduroam ▪ 名前のとおりeduroam(学術機関の認証連携によるローミングサービス ),5GHz帯/2.4GHz帯 参考 : https://meeting.ietf.org/ietf-116-yokahoma-japan.html
  11. IETF NOCチーム • 全体統括・リーダー • External & Routerチーム • Switchesチーム

    • Monitoringチーム • Serversチーム • Wirelessチーム • Guest roomsチーム • Hackathonチーム • Deployment and Help Deskチーム → ローカルボランティアは主にHelp Desk等で日本語対応のサポートを行う予定だった 17
  12. ボランティアとして行ったこと • Switch/APの展開,配線(Deploymentチーム) ◦ NOCチームの指示に従って,各部屋に機材を展開 • ケーブルの養生 ◦ 海外規格の強粘着養生テープを貼り続けた •

    会場の担当者とNOCチームの人の通訳係 ◦ 機器室やの確認などを会場担当者に依頼する際に通訳係として参加 • Help Deskでの対応 ◦ 会場ネットワークについての問い合わせ窓口 18
  13. 今後に向けて • 1年を通してIETFに参加する機会をいただけた ◦ NOCボランティア,ハッカソン, WGへの参加(BoF, メーリスを含む) ▪ 初めての国際的なコミュニティ活動 ◦

    継続参加することで, WGの方やNOCメンバーの方に覚えていただけた • I-Dを執筆する ◦ ある程度自分の興味を持つ WG/分野が定まってきた ▪ 過去のドラフトやメーリングリストでの議論もある程度追えた ◦ モバイルが研究テーマなのでそこと絡めていく ▪ MEC を背景に、地理的情報に基づいたルーティングを検討中 • 有識者の方は是非ディスカッション&替え玉へ! • (機会があれば) NOCボランティアへの継続参加 19
  14. 野良BoFの案内 野良BoF 学生/若手エンジニアのための国際動向/標準化 • 部屋:210A • 時間 : 15:45~16:45(このプログラムの後すぐ!) •

    ディスカッション内容 ◦ 今までの体験の中で楽しかった /充実した/国際動向を把握していて良かったこと ◦ 国内ではどのような機会があると国際動向をウォッチ /情報交換しやすいのか 21
  15. ディスカッションしたいテーマ • (学生向けに) 標準化活動や国際会議に興味はありますか? ◦ ある場合:過去に参加経験はありますか?また、どのような活動を行いましたか? ◦ ない場合:行くにあたって障壁や課題と考えることはありますか? • (社会人向けに)

    過去に標準化活動に関わったことがある方はいますか? ◦ ある場合:社内でその案件はどのように誕生し、何名規模でどのように進めましたか? ◦ ない場合:ネタはあったけどこんな理由で動けなかった、みたいな事例はありましたか? • 若手社員・学生がIETF等の国際標準に関わりやすくするには? ◦ 研究テーマで考案した技術を広く使われるものにしたい場合、どのように進めれば良い? ◦ 企業の方が標準化をすすめる際に、他社を巻き込みやすくする&現地に行けるようにする? ◦ 趣味で参加しているという話も聞いたことがあります • その他のディスカッションテーマや、質問もお待ちしています! 22