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APNIC 56での取り組みについて 〜イベントネットワークとわたし〜
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Fuminori -Tany- Tanizaki(谷崎文義)
June 09, 2025
Technology
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APNIC 56での取り組みについて 〜イベントネットワークとわたし〜
2023/10/27に大分県で行われたQUNOG27でのスライド
Fuminori -Tany- Tanizaki(谷崎文義)
June 09, 2025
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Transcript
APNIC 56での取り組みについて 〜イベントネットワークとわたし〜 Fuminori –Tany- Tanizaki 2023/10/27 QUNOG 27
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project 自己紹介 □ 名前:谷崎文義(たにざきふみのり) □
所属:NTT西日本 & NTTスマートコネクト • 福岡大学公開NTPサービスの中の人の一人 □ 属性:エンジニア • ネットワークが主、たまにサーバー □ コミュニティ活動 • サイバー関西プロジェクト(CKP) • 九州ギガポッププロジェクト(QGPOP) • JPOPF運営チーム(https://www.jpopf.net/) □ 趣味 • メタル/飛行機/猫/土器・土偶・埴輪・古墳/スターウォーズ – アソーカ最高!!マンダロリアン最高!! □ 最近はまっていること:ゲーム • スイカゲームやばいw
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project サイバー関西プロジェクト(CKP)とは? □ 先進的なインターネット技術の開発、実証実験を進め る関西をベースにした産官学共同コンソーシアム
• 結成:1996年 –1995年に開催されたAPEC大阪会議の際に構築された APECインターネットシステムに関わったメンバーが中心 • 現在の加盟組織:30以上 □ 『先進的なインターネット技術の研究開発、実証実験 の実施、技術の商用化に向けた試験運用、さらに、地 域社会におけるインターネット技術の利用促進などを 行ってきました』 https://www.ckp.jp/about_ckp.html
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC(組織)とは? □ 世界に五つある地域レジストリ(Regional Internet
Registry:RIR)の一つ □ アジア・太平洋地域のIPアドレス・AS番号等の管理業務を行っている □ 今年はAPNIC30周年!! Asia Pacific Network Information Centre (APNIC) https://www.nic.ad.jp/ja/profile/services.html
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC(会合/イベント)とは? □ 年二回、APNIC主催の大規模な会合がある □
各地域で小規模イベントを開催 https://www.apnic.net/events/conferences/ https://academy.apnic.net/events
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC(会合/イベント)とは? □ 内容 •
ワークショップ • SIG(Policy、NIR、Routing Security、Cooperation…)、BoF • APNIC Member Meeting • その他様々な会合(APIX、FIRST…) □ 日本開催は4度目 • 2002年:APNIC 14 (福岡) • 2005年:APNIC 19 with APRICOT 2005 (京都) – WIDEプロジェクトを中心にイベントネットワークを構築 • 2015年:APNIC 39 with APRICOT-APAN 2015 (福岡) – 九州のコミュニティを中心にイベントネットワークを構築 – ネットワークチームチェアをやりました! • 2023年:APNIC 56 (京都) • ん?次に日本であるときはまた福岡?!
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC 56とは? □ 開催概要
• 日時:2023年9月7日(木)~14日(木) –前半:ワークショップ –後半:カンファレンス • 場所:京都国際会館 • 参加費:有料 –カンファレンス3日間:USD 75 – 昼食、軽食、プレナリーなど… • https://conference.apnic.net/56/
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC 56での我々の役割 □ 『Internet
Connectivity and Bandwidth Sponsors』 • APNIC 56会場へのインターネット接続の提供 □ 回線:NTT西日本 □ トランジット:NetIRD、NTTスマートコネクト □ 全体調整:サイバー関西プロジェクト https://conference.apnic.net/56/sponsor/sponsors/
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project スケジュール □ 2023/2:ローカルホストであるJPNICから協力依頼 □
2023/4:具体的な調整開始 □ 2023/6:トランジット提供ISP決定 □ 2023/7中旬:APNICとの具体的な調整を開始 □ 2023/7後半:APNICとの契約締結 □ 2023/7末-8前半:回線工事のための現地調査 □ 2023/9/1:回線開通 • 京都国際会館〜NetIRD拠点 • 京都国際会館〜NTTスマートコネクト拠点 □ 2023/9/5:機器設置開始、BGP peerアップ □ 2023/9/7~14:本番
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project ローカルホストであるK氏との当初の会話 □ あれ?そうなのか…。機材とかもろもろどうするんだろ? わたし:対外接続部分の調整、やりますね!
ところで、会場内のネットワークって どうなるんですか? K氏:なんかAPNIC側で全部やるみたいなんですよー 現地調査もすでに終わってて、これで大丈夫って いってましたよー
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNICと交わした契約(NTT西日本の場合) □ Internet Connectivity
and Bandwidth Sponsors □ 契約内容(意訳) • APNIC 56のインターネット接続のために回線を提供すること • 回線は2回線をMDF室にひくこと – 9/4にAPNICがセットアップを開始するまでに完了すること – APNICは準備された回線をCisco ISR(SFP) に接続する – ONUからルータまでの光ケーブルはAPNICが準備する • 9/4以降会議終了までエンジニアを常駐させること • APNICからは、二人分のカンファレンスチケット、webサイトや会場内でのロ ゴの掲載、その他を提供 □ 責任範囲が明確 • NetIRD、NTTスマートコネクトもそれぞれAPNICと契約
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project 会場内ネットワークについて -1- □ AS番号、IPアドレスはAPNIC側が持ち込み
• ASN 24555 • 220.247.144.0/20 • 2001:df9::/32 □ 機器は全てAPNICが設定済みのものを持ち込み • ネットワークの規模感:PoEスイッチ 10 台強、無線LAN AP 30台弱 • 建物は1F(メイン会場+サブ会場その他)と5F(ワークショップ、その他会合)を利用 □ 配線:会場内の既設の光ケーブルやパッチ、情報コンセントを借用 • 情報コンセントから設置場所まではUTPを新規に敷設 コア部分 無線LAN AP 持ち込まれた機材の一部
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project 会場内 ネット ワーク NETIRD
(AS7529) MCNET (AS7671) Kyoto International Conference Center APNIC Router/Switch (AS24555) NTT ONU NTT ONU 1G-LX 1G-LX 1G-LX 1G-LX 日本側で準備 APNICが準備 会場内ネットワークについて -2-
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project これは今までとは勝手が違うぞ… □ なるほど…『全部やる』とはそういうことか… □
契約内容を見る限りBGPが上がれば、わたしは何もすることないかも??? □ ネットワーク機器の設定情報などは不明 • 結局最後までわからなかった • 持ち込み機材も当日に実際に見るまで不明 □ 具体的な構築スケジュールは当日/直前になるまで不明 □ となると、構築スタッフとして学生さんを呼んでも……… K氏:なんかAPNIC側で全部やるみたいなんですよー 現地調査もすでに終わってて、これで大丈夫って いってましたよー
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project 学生さんに声をかけるときに気をつけていること - わたしの場合 -
□ 無理のない期間設定 • 授業や研究等、学業に支障がないか? □ 周囲の反応 • 学校や先生方の理解、後押し □ 金銭面の負担度合い • 宿泊費や旅費の補助ができるか? □ 何をしてもらうか?どういう学びの場を提供できるか? • 実際の作業内容とスケジュール • 学生さんにあった内容か? • 学生さんへの動機づけ、本人の興味、自身で考える目的や目標
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project イベントネットワークでよくあるパターン □ 人:イベントに合わせてネットワークチームを結成 •
大人:無償、個人の努力 • 学生さんに対して参加を呼びかける □ モノ:会場にお願い、協力してくれる企業等を探して声かけ □ カネ:ネットワークチームが使える予算 • ある:部材を買う、学生さんの補助 • ない:自費、手持ちでなんとか… □ 期間: • 事前準備&設計:nヶ月 • ホットステージ、設置、本番、撤去、後片付け:n週間 □ おまけ:研究や実験をイベントネットワークに組み込む □ 会の成功のため、参加者のため、若手の経験/育成のため、自分たちが楽しむため □ 個人的には… • 楽しい、いろいろ経験できる、めっちゃ勉強になる、若者育つ、友達たくさんできる • いろんな調整が大変、稼働はがっつりとられる
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC 56では? □ 人:全てAPNICで実施
□ モノ:(設定済み)機材、アドレス、AS番号はイベント専用 • 毎年2回の会合や各種イベントで利用しているもの □ カネ:それなりにある?そもそも参加費が有料 □ 期間:単発で行う場合よりかなり削減されている? □ メモ:充実したイベントのための作り込みが多数 • 映像配信などリモート参加機能が必須&充実 – APNICそのものの運営のための議決や役員選挙がある • 英語字幕(transcript) □ 安定したイベントネットワーク運用のために • 機材や設計ポリシー、具体的な設計の定型化でコストを削減 • 他社/他団体に協力してもらう部分は契約によって明確化 • 私見)自分がAPNICのスタッフであれば同じような枠組みで行う気がする https://www.flickr.com/photos/apnic/5320 5306885/in/album-72177720311127255/
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project 実際の設置作業は? □ 配線/設置:APNICスタッフ2名で作業 •
PoEスイッチ 10 台強、無線LAN AP 30台弱 • 映像配信用機材のセットアップもあった模様 □ 『大変そう!これ間に合うのかな?!』 □ やり方の違い、会場側の立場 • 会場側スタッフの立ち会いの元で作業 – 既設配線を使用するため、既設機器のケーブル抜去作業あり • 設置ポリシーやケーブリングで意識のずれ □ 作業の一部を(善意で)お手伝い • 作業立ち会い • 機器運搬、設置、配線 • 撤去 • 設定変更はなし □ 『NOCの人』ではなく作業員
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project イベントネットワークに対する考え方 □ 使われ方によって様々な形態があり得る •
運営用途:スタッフ連絡、運営用システム(レジスト用) • 発表やデモ、ワークショップ用途:特別なネットワーク • リモート参加用途:映像配信、リモートからの議論参加 • 現地一般参加者:生活用 • イベントに合わせた実験等 □ 会の主旨や予算/稼働、機材を考慮しつつ、どこに重きを置くか?を選択 インターネット イベントネットワーク 現地参加者 スタッフ リモート参加者 映像配信システム
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC 56イベントネットワークの場合 □ イベントネットワークの利用用途
• 運営用途:スタッフ連絡、運営用システム(レジスト用) • 発表やデモ、ワークショップ用途:特別なネットワーク • リモート参加用途:映像配信、リモートからの議論参加 • 現地一般参加者:生活用 • イベントに合わせた実験等 □ (どんなイベントもそうだが)主催するAPNICとしては失敗できない • ワークショップがある • リモートからの議論参加環境が必須 □ 会合毎のイベントネットワークのbuild & crushは非効率 • 各イベントでの機材の使い回し • 事前の設計と設定で全体を効率化 – APNIC側と現地で0から準備するのはかなり大変そう… • 現地側との責任分界点を明確化 □ 会の成功のため、参加者のためを重視 • 若手の経験/育成のため、自分たちが楽しむため
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project 企業 教育機関 QUNOGコミュニティでのイベントネットワーク構築 □
コミュニティが存在 □ 経験豊富な大人 □ 企業と教育機関の密な関係 □ 『みんなでやろうぜ!』感 □ 若手育成の土壌 □ 過去の実績多数 □ 継続性がある □ QUNOGっていいよね! イベント主催者 学生 先生 若手エンジニア エンジニア 先生 連携 コミュニティスタッフ QUNOG 若手エンジニア 学生 先生 イベント ネットワークチーム
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project APNIC 56が終わって… □ 『Internet
Connectivity and Bandwidth Sponsors』を関西でまとめられた □ 若手/学生にネットワーク構築スタッフとして参加してもらうことはできなかった • 『APNIC56ミーティング参加支援プログラム』 • 国際会議参加支援プログラム(JPNIC) – https://www.nic.ad.jp/ja/intl/fellowship-program/ □ (個人的には)イベントネットワークについて深く考える機会になった • イベントによってネットワークの形態が変わる • 主催者側の立場として • ネットワーク構築スタッフの立場として • やり方は様々、正解はない □ QUNOGっていいよね! □ 『動いている/生きている』コミュニティは重要 Internet Connectivity and Bandwidth Sponsors & JPNIC
Copyright (c) 2023 Cyber Kansai Project https://x.com/tanyorg/status/1717361831017316432?s=20 小ネタ https://wifistand.com/