Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

組織づくりをエンジニアリングする / Engineering Organizational D...

tbpgr
February 10, 2023

組織づくりをエンジニアリングする / Engineering Organizational Development

2023/02/10 のDevelopers Summit2023の発表

ウェブエンジニアから人事・組織領域に転身して3年の私が、エンジニアの手法を組織に転用する方法について紹介します。

# Developers Summit2023イベントページ
https://event.shoeisha.jp/devsumi/20230209/session/4194/

tbpgr

February 10, 2023
Tweet

More Decks by tbpgr

Other Decks in Business

Transcript

  1. 自己紹介
 • てぃーびー(TaBei Katsuhiko)
 ◦ Employee eXperience Engineer
 • 個人のミッション


    ◦ 人が成長し、充実して働ける場を作る 
 • 所属
 ◦ クラスメソッド株式会社(2021年11月入社) 
 ◦ エンジニアリング統括室 室長 
 ▪ ミッション - 開発者の従業員体験向上 
 ◦ 全社人事業務を兼任 
 ◦ https://dev.classmethod.jp/author/tb/ 
 • Twitter
 ◦ @tbpgr
 • e-Book
 ◦ Zenn Book - ITエンジニア採用入門 
 ▪ https://zenn.dev/tbpgr/books/214cd4a0052a92 
 • 経歴
 ◦ 2001年~2019年 - ウェブエンジニア 
 ◦ 2019年~現在 - 人事、組織領域 
 2
  2. 自己紹介
 • てぃーびー(TaBei Katsuhiko)
 ◦ Employee eXperience Engineer
 • 個人のミッション


    ◦ 人が成長し、充実して働ける場を作る 
 • 所属
 ◦ クラスメソッド株式会社(2021年11月入社) 
 ◦ エンジニアリング統括室 室長 
 ▪ ミッション - 開発者の従業員体験向上 
 ◦ 全社人事業務を兼任 
 ◦ https://dev.classmethod.jp/author/tb/ 
 • Twitter
 ◦ @tbpgr
 • e-Book
 ◦ Zenn Book - ITエンジニア採用入門 
 ▪ https://zenn.dev/tbpgr/books/214cd4a0052a92 
 • 経歴
 ◦ 2001年~2019年 - ウェブエンジニア 
 ◦ 2019年~現在 - 人事、組織領域 
 エンジニアのバックグラウンドを 持ち、人事領域に取り組んで3 年
 
 →それを踏まえての「組織づく りをエンジニアリングする」 
 3
  3. 3年間、人事業務をして感じていること
 5 エンジニア採用について実際に取り組んだ内容
 • 開発採用チームの立ち上げ
 • 組織が求める人材像の明確化
 • 求人票の明確化
 •

    ペルソナの作成
 • 訴求要素の明確化
 • 選考の質向上
 当時のブログ記事「Recruiting Operations のお仕事 Part 1 - 質向上編」
 https://tbpgr.hatenablog.com/entry/studist-advent-2019-1

  4. 3年間、人事業務をして感じていること
 6 エンジニア採用
 ソフトウェア開発
 • 現状を整理した • 実装が必要な対象を整理した
 • 優先順に並べた

    • 優先順に並べた
 • 一つずつ順に対応した • 一つずつ順に対応した
 ◦ 完了の定義を定めた ◦ テストを実装した
 ◦ 解決方法を調べた ◦ 実装方法を調べた
 ◦ 解決策を実施した ◦ 実装した
 ◦ 完了の定義を満たした 
 ◦ テストを通した

  5. 3年間、人事業務をして感じていること
 11 エンジニア採用
 ソフトウェア開発
 求人要件定義 - 求人の分割
 責務の分割
 求人票 -

    求人票のレビュー 成果物のレビュー
 選考 - マッチング・インタビュー
 期待値の明確化

  6. エンジニアの世界は優れた手法の宝庫
 • 情報共有
 • タスク管理
 • ペアプログラミング
 • モブプログラミング
 •

    ふりかえり
 • 妥当性確認(Validation)
 • 検証(Verification)
 • 継続的インテグレーション
 • バージョン管理
 • モニタリング
 • リファクタリング
 12
  7. 優れた手法を概念化
 • 情報共有
 • タスク管理
 • ペアプログラミング
 • モブプログラミング
 •

    ふりかえり
 • 妥当性確認(Validation)
 • 検証(Verification)
 • 継続的インテグレーション
 • バージョン管理
 • モニタリング
 • リファクタリング
 組織づくりの領域に転用
 概念化
 15
  8. 目次
 • エンジニアの考え方 - 三大美徳💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 怠惰🏢💻
 •

    エンジニアの手法で組織課題を解決 - 短気🏢💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 傲慢🏢💻
 • 組織づくりにエンジニアの手法を転用する📡
 17
  9. 目次
 • エンジニアの考え方 - 三大美徳💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 怠惰🏢💻
 •

    エンジニアの手法で組織課題を解決 - 短気🏢💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 傲慢🏢💻
 • 組織づくりにエンジニアの手法を転用する📡
 18
  10. 💻エンジニアの考え方 - 怠惰 - Laziness
 “The quality that makes you

    go to great effort to reduce overall energy expenditure. It makes you write labor-saving programs that other people will find useful, and document what you wrote so you don't have to answer so many questions about it.” 
 from C2 Wiki, 「Laziness Impatience Hubris」 - https://wiki.c2.com/?LazinessImpatienceHubris
 20 怠惰とは、全体として必要となる労力を減らすためとなれば、
 努力を惜しまないような姿勢

  11. エンジニアの考え方 - 短気 - Impatience💻
 “The anger you feel when

    the computer is being lazy. This makes you write programs that don't just react to your needs, but actually anticipate them. Or at least pretend to.” 
 from C2 Wiki, 「Laziness Impatience Hubris」 - https://wiki.c2.com/?LazinessImpatienceHubris
 22 短気とは、単に目の前のニーズを満たすだけではなく、
 先を見越してプログラミングするような姿勢

  12. エンジニアの考え方 - 傲慢 - Hubris💻
 “Hubris: The quality that makes

    you write (and maintain) programs that other people won't want to say bad things about.”
 from C2 Wiki, 「Laziness Impatience Hubris」 - https://wiki.c2.com/?LazinessImpatienceHubris
 24 傲慢とは、他者に文句を言わせないような質の高い成果物を作るような姿勢

  13. 目次
 • エンジニアの考え方 - 三大美徳💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 怠惰🏢💻
 •

    エンジニアの手法で組織課題を解決 - 短気🏢💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 傲慢🏢💻
 • 組織づくりにエンジニアの手法を転用する📡
 26
  14. 具体例 - 組織施策一覧の作成
 33 組織施策を共有する一覧を作成した。
 施策名
 概要
 部内課題共有カンバン
 部への問題提起、リクエストをかんばんで管理
 部門ダッシュボード


    部の目標と成果の可視化
 マネージャーズMTG
 隔週で部長・マネージャー間で部内施策およびメン バー状況等に関する相談・共有を行う
 RACI図
 RACI図によって部門内の責務を可視化
 Welcomeティータイム
 入社メンバーとの雑談コミュニケーション

  15. 具体例 - 組織施策一覧の作成 - 今後の展開
 36 こんなことができたらいいかも?
 • 横展開可能な施策の確認と展開
 •

    マネージャーが集まる雑談会での情報交換
 • マネージャー同志の1対1での情報交換
 • 社外へのノウハウ開示や未来の同僚に向けたブログ発信

  16. まとめ - エンジニアの手法で組織課題を解決 - 怠惰編
 37 • 課題 - 効率化に関わる組織課題


    ◦ 良い施策のノウハウが部門内に閉じている
 ◦ 問題解決のノウハウが部門内に閉じている
 • 解決策 - 情報共有
 情報共有の実施

  17. 目次
 • エンジニアの考え方 - 三大美徳💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 怠惰🏢💻
 •

    エンジニアの手法で組織課題を解決 - 短気🏢💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 傲慢🏢💻
 • 組織づくりにエンジニアの手法を転用する📡
 38
  18. 組織課題 - 先見性に関わる組織課題
 40 • エンゲージメントセンサスサーベイを半年に1回実施している
 ◦ 社員のエンゲージメントの確認が半年に1回しかできない
 💡エンゲージメントとは「 社員が会社に貢献したいという意欲を持って

    いる状態」です。単なる社員満足度とは異なります。 
 最近話題になっている Developer eXperience では、開発者の社員満足 度が取り上げられがちですが、本来重要なのはエンゲージメントで す。

  19. EPS
 独自サーベイの作成
 • 自社の文化を踏まえた設問が作成可能
 • 設問の継続改善が可能
 設問の例
 • Q2. 資源

    - 仕事を進めるために必要となる資源(人、時間、予算、情報、権 限、設備等)が提供されている
 • Q11. 文化「情報発信」 - 社内外への情報発信(ブログ、登壇、ポッドキャス ト、動画配信など)を行うことの価値を実感している
 43
  20. サーベイ疲れ(Survey Fatigue)が発生する
 • 目的がわからない
 • 何に使われてるのかわからない
 • 意味があるのかわからない
 EPS -

    目的説明
 46 1回目の
 サーベイ実施
 回答
 用途不明
 2回目の
 サーベイ実施
 回答意欲低下
 真剣に
 回答しない

  21. EPS - トライアル
 トライアル実施
 MVP(Minimum Viable Product)での実施
 • 5ヶ月間の実施
 •

    2事業部4部門 約100名が対象(全社だと約500名)
 • アンケート - Google Form
 • レポート - Google Spreadsheet + Google Docs
 47
  22. トライアル実施
 • サーベイフィードバックの実施
 ◦ アンケートの実施
 ◦ 結果レポートの作成 
 ◦ 結果レポートの共有

    
 ◦ 参加部門のマネージャーと協力 
 ▪ 問題選定
 ▪ 原因特定
 ▪ 解決策の実施
 ▪ 改善確認
 
 ※2023年1月から全社への本番導入を開始しました
 EPS - トライアル
 48 アンケートの実施
 問題選定
 解決策の実施
 改善確認
 サーベイフィードバック 

  23. EPSにおける原因の特定
 追加調査
 • EPSの設問は抽象度が高い
 ◦ Q2. 資源 - 仕事を進めるために必要となる資源(人、時間、予算、情報、権限、設備等)が提供され ている


    • 低スコアの原因を特定するためには追加の情報が必要
 ◦ どの資源が不足しているのか? 
 ◦ なぜ不足しているのか? 
 54
  24. EPSにおける原因の特定 - Tips 事実を引き出す
 質問のコツ
 解釈を確認する質問ではなく、事実を確認する質問をする
 • 解釈質問 - Why


    ◦ 「なぜ、リソースが足りないのですか?」 
 ▪ 解釈の回答「みんな忙しいからだと思います」 
 • 事実質問 - When、Where、Who、What、How
 ◦ 「具体的に、どの程度リソースが足りないのですが?」 
 ▪ 事実の回答「本来4名必要なプロジェクトを3名で実施しています」 
 57
  25. EPSにおける解決策の実施
 解決策の実施に関する具体例
 • 低スコアの設問 - 資源の不足
 • 追加調査の実施 - 追加調査

    個別インタビュー
 • 原因の特定 - 人の工数の不足。コンテキストスイッチの時間
 • 解決策の立案 - コンテキストスイッチを加味した見積もり
 ◦ 20%余力を持てるように調整をする
 • 解決策の実施 - 契約の切れ目で段階的に実施
 60
  26. EPSにおけるポストモーテム
 ありえそうなパターン
 • ポストモーテム
 ◦ サーベイ結果 - 最近入社したメンバーの貢献実感のスコアが低い 
 ◦

    原因 - 入社直後に身につけるべきことが身についていないから活躍に至りにくい 
 ◦ 解決策 - 部門特有の入社オンボーディングを整備する 
 • 横展開
 ◦ 問題が発生した部門以外においても、部門特有の入社オンボーディングが十分でない場合は整備 する
 67
  27. まとめ - エンジニアの手法で組織課題を解決 - 短気編
 68 • 課題 - 先見性に関わる組織課題


    ◦ 社員のエンゲージメントの確認が半年に1回しかできない
 • 解決策 - モニタリング
 モニタリングの実施

  28. 目次
 • エンジニアの考え方 - 三大美徳💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 怠惰🏢💻
 •

    エンジニアの手法で組織課題を解決 - 短気🏢💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 傲慢🏢💻
 • 組織づくりにエンジニアの手法を転用する📡
 69
  29. ふりかえりの運用 - 当日の運用
 • Keepを登録する - 5分
 • Keepのカテゴライズ +

    説明 - 5〜10分
 • Problemを登録する - 5分
 • Problemのカテゴライズ + 説明 - 5〜10分
 • Keepから1件Tryを選ぶ
 • Problemから1件Tryを選ぶ
 具体例 - 組織施策のふりかえり
 75
  30. 1年間のふりかえりからの改善例
 • 2022/04/27 - 月次活動報告
 ◦ Problem - 何をしている部門か、部外に伝わりきっていない 


    ◦ Try - 月次で活動報告を実施する 
 • 2022/09/07 - ドッグフーディングをValueに追加
 ◦ Keep - 組織施策のドッグフーディングをやってみたが大事。有効 
 ◦ Try - エンジニアリング統括室のValueにドッグフーディングを加える 
 • 2022/12/14 - 組織施策紹介データベースを作成し、紹介する
 ◦ Keep - 自部門の組織施策を他部門に紹介したら役立ててもらえた 
 ◦ Try - 組織施策紹介データベースを作成し、紹介する 
 具体例 - 組織施策のふりかえり
 77 詳しくは以下の記事を参照ください
 2022年の1年間、毎週ふりかえりから改善を続けた話 〜各月の改善サンプル12件つき〜
 https://dev.classmethod.jp/articles/continuous-retrospectives/

  31. まとめ - エンジニアの手法で組織課題を解決 - 傲慢編
 78 • 課題 - 品質維持に関わる組織課題


    ◦ 組織施策の業務の質と効率を高めたい
 • 解決策 - ふりかえり
 ふりかえりで
 継続的な改善

  32. 目次
 • エンジニアの考え方 - 三大美徳💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 怠惰🏢💻
 •

    エンジニアの手法で組織課題を解決 - 短気🏢💻
 • エンジニアの手法で組織課題を解決 - 傲慢🏢💻
 • 組織づくりにエンジニアの手法を転用する📡
 79
  33. エンジニアの手法の転用 - モニタリングの事例
 • エンジニアの手法 - システムのモニタリング
 • 組織づくりに転用 -

    エンゲージメントのモニタリング
 81 システムのモニタリング
 エンゲージメントのモニタリング

  34. エンジニアの手法の転用 - ふりかえりの事例
 • エンジニアの手法 - 開発業務のふりかえり
 • 組織づくりに転用 -

    組織施策のふりかえり
 82 開発業務のふりかえり
 組織施策のふりかえり

  35. 組織づくりにエンジニアの手法を転用する - 対象
 • 情報共有
 • タスク管理
 • ペアプログラミング
 •

    モブプログラミング
 • ふりかえり
 • 妥当性確認(Validation)
 • 検証(Verification)
 • 継続的インテグレーション
 • バージョン管理
 • モニタリング
 • リファクタリング
 83 今回はこれらを紹介
  36. 組織づくりにエンジニアの手法を転用する - 対象
 • 情報共有
 • タスク管理
 • ペアプログラミング
 •

    モブプログラミング
 • ふりかえり
 • 妥当性確認(Validation)
 • 検証(Verification)
 • 継続的インテグレーション
 • バージョン管理
 • モニタリング
 • リファクタリング
 • +α
 84 あなたが発見し、
 転用できるものもある
 

  37. Appendix
 • Extract Method - https://refactoring.guru/ja/extract-method 
 • Composed Method

    - https://wiki.c2.com/?ComposedMethod 
 • 従業員エンゲージメントサーベイの2種類の実施方法と2種類の作成方法とは? - https://dev.classmethod.jp/articles/engagement-survey-types/ 
 • 従業員体験の改善におけるアドホックサーベイとは - https://dev.classmethod.jp/articles/adhoc-survey-for-ex/ 
 • 意見の裏にある解釈と事実を引き出す - https://tbpgr.hatenablog.com/entry/2020/04/13/005331 
 • サーベイフィードバック超入門 - NAKAHARA-LAB.net - http://www.nakahara-lab.net/blog/wp-content/uploads/2020/04/surveyfeedback2020_nakaha ra_presentation.pdf
 88