Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
Androidテスト基礎講義
Search
tonionagauzzi
April 29, 2025
Programming
0
210
Androidテスト基礎講義
tonionagauzzi
April 29, 2025
Tweet
Share
More Decks by tonionagauzzi
See All by tonionagauzzi
Android 15以上でPDFのテキスト検索を爆速開発!
tonionagauzzi
0
210
Googleの新しいコーディングAIエージェントJulesを使ってみた
tonionagauzzi
0
190
Compose におけるパスワード自動入力とパスワード保存
tonionagauzzi
0
330
Android Composeでの自動入力(作成:GPT-4o)
tonionagauzzi
0
88
Jetpack Composeで自動入力(Autofill)を実装しよう(作成:claude-3.7-sonnet)
tonionagauzzi
0
87
Jetpack Composeにおける自動入力の実装と注意点(作成者:Gemini 2.5 Pro Exp 03-25)
tonionagauzzi
0
86
Jetpack Composeで自動入力を完全攻略(作成:o3)
tonionagauzzi
0
81
ペアプログラミングにQAが加わった!職能を超えたモブプログラミングの事例と学び
tonionagauzzi
1
230
サイボウズの開発チームが行っているスクラムの紹介
tonionagauzzi
0
990
Other Decks in Programming
See All in Programming
Android 16 × Jetpack Composeで縦書きテキストエディタを作ろう / Vertical Text Editor with Compose on Android 16
cc4966
1
200
もうちょっといいRubyプロファイラを作りたい (2025)
osyoyu
1
430
Performance for Conversion! 分散トレーシングでボトルネックを 特定せよ
inetand
0
140
AIでLINEスタンプを作ってみた
eycjur
1
230
The Past, Present, and Future of Enterprise Java
ivargrimstad
0
360
Go言語での実装を通して学ぶLLMファインチューニングの仕組み / fukuokago22-llm-peft
monochromegane
0
120
速いWebフレームワークを作る
yusukebe
5
1.7k
Testing Trophyは叫ばない
toms74209200
0
860
ProxyによるWindow間RPC機構の構築
syumai
3
1.2k
はじめてのMaterial3 Expressive
ym223
2
270
意外と簡単!?フロントエンドでパスキー認証を実現する WebAuthn
teamlab
PRO
2
740
アセットのコンパイルについて
ojun9
0
120
Featured
See All Featured
Making Projects Easy
brettharned
117
6.4k
Gamification - CAS2011
davidbonilla
81
5.4k
Learning to Love Humans: Emotional Interface Design
aarron
273
40k
Typedesign – Prime Four
hannesfritz
42
2.8k
Practical Tips for Bootstrapping Information Extraction Pipelines
honnibal
PRO
23
1.4k
Statistics for Hackers
jakevdp
799
220k
Making the Leap to Tech Lead
cromwellryan
135
9.5k
Writing Fast Ruby
sferik
628
62k
Templates, Plugins, & Blocks: Oh My! Creating the theme that thinks of everything
marktimemedia
31
2.5k
Building an army of robots
kneath
306
46k
[Rails World 2023 - Day 1 Closing Keynote] - The Magic of Rails
eileencodes
36
2.5k
GraphQLの誤解/rethinking-graphql
sonatard
72
11k
Transcript
Androidテスト基礎講義 1
登壇者情報 トニオ(@tonionagauzzi) Androidエンジニア 趣味はブログ 2
目次 1. テストとは何か 1-1. ソフトウェアテストの定義 1-2. テストの目的と利点 2. なぜテストが必要か 2-1.
失敗事例から学ぶ 2-2. プロジェクトとプロダクトのテストの違い 3. ワークショップ「もし、テストが不十分だったら…」 3-1. テストが無いときの解答例(失敗例) 3-2. テストがあるときの解答例(成功例) 3
目次 4. テストの種類 4-1. テストのスコープ 4-2. テストのサイズ 4-3. テストの分布 4-4.
テストダブル 5. Androidでテストを作るには 5-1. Androidテストの実行場所 5-2. Androidテストのツール 4
1. テストとは何か 5
1-1. ソフトウェアテストの定義 ソフトウェアテストとは、ソフトウェアが期待通りに動作するかを検証するプロ セスである システムや機能が仕様や要件を満たしているかを確認する バグや欠陥を発見し、品質を保証するための活動 テストプロセスは、特定の活動における開発成果物がその活動の要件を満たして いるかどうか、そしてシステムおよび/またはソフトウェアが意図された用途と ユーザーニーズを満たしているかどうかを判定します。 IEEE
829-2008 より 6
1-2. テストの目的と利点 欠陥の発見:早期にバグを見つけ、修正コストを削減 品質の保証:ソフトウェアが要求仕様を満たしていることを確認 リスクの低減:本番環境での問題発生を防止 信頼性の向上:継続的なテストによる安定したソフトウェアの提供 開発者の信頼:変更を加える際の安心感を提供 ドキュメントとしての役割:期待される動作を示す生きた仕様書 7
2. なぜテストが必要か 8
2-1. 失敗事例から学ぶ 個人的な話 「テスト無くていいじゃん!動いてるし!!」 → 環境の違いで重大バグ発生。ユーザー企業へ謝りに行った。 「機種ごとに違うんだ。新機種が出るたびに"手動"で検証しよう!」 → 莫大な費用と時間を費やした。 9
Googleウェブサーバーの物語 Googleウェブサーバーの規模と複雑性の膨張による生産性の劇的な低下 リリースはバグを含むようになり本番で初めて見つかることも 10
2-2. プロジェクトのテストとプロダクトのテストの違い プロジェクト:明確な終わりがある、目標は成果物の納品 テストの主な目的は、納品を成功させること プロダクト:明確な終わりはない、目標はユーザー価値の最大化や持続すること テストの主な目的は、プロダクト継続におけるリスクを最小化すること 11
3. ワークショップ「もし、テストが不十分だったら…」 12
問1:晴れ、曇り、雨を取得できる"WeatherApp"を、雪に対応してください。 https://github.com/tonionagauzzi/WeatherApp 13
3-1. テストが無いときの解答例(失敗例) 解答例 「雪のステータスコードに対応、文言も追加した。ヨシ!!」 そして、雪が降った。 雪のマークが出なかった!! 14
3-2. テストがあるときの解答例(成功例) 解答例 「雪のステータスコードに対応、文言も追加した。ヨシ!!」 でも、テストが通っていない… 「修正しよう!」 15
テストが通るようになった! そして、雪が降った。 問題なく表示された! 16
4. テストの種類 17
4-1. テストのスコープ ユニットテスト メソッドやクラスなどが対象 インテグレーションテスト 2つ以上のユニット間の統合部分が対象 E2Eテスト、UIテスト ユーザーシナリオや画面全体が対象 図:Android アプリのテストの基礎
18
4-2. テストのサイズ 小規模 単一プロセス 中規模 単一マシン 大規模 制約なし 参考: 【t-wada】自動テストの「嘘」をなくし、望ましい比率に近づける方法
【Developer eXperience Day 2024 レポート】 19
4-3. テストの分布 図:Test Automation Strategy Syllabus - ISTQB 問2:どれが最もバランスの取れたテスト配分でしょうか? 横軸はテストの実行数。
20
ピラミッド型が良いといわれることが多いが、すべてに通じる正解はない ピラミッド型は、低コスト、高速、決定性が高い Googleなど多くの企業が採用する一般的な考え方 アイスクリームコーン型は、E2Eテストを多く実施できる テストのないレガシーシステムをリファクタリングする際に効果的 複雑なシステム間連携、マイクロサービスなどの分散システムではインテグレーシ ョンテストが増えることもある 最適なテスト分布は、プロジェクトの特性、チームの規模、技術スタック、リスク許 容度などによって異なる。 21
4-4. テストダブル フェイク、モック、スタブ、スパイ、ダミー、シャドウ 詳細:Android でテストダブルを使用する Android公式はフェイクを強く推奨 詳細:Android アーキテクチャに関する推奨事項 フェイクは本物の実装と同様に振る舞う フレームワークを必要としない
書くのに労力はかかるが、修正の影響を受けやすいので保守に強い 忠実性の担保が大事 モックはフレームワークで本物を模倣して振る舞う 少ないコードで書けるが、修正の影響を受けにくいので保守に弱い 22
5. Androidでテストを作るには 23
5-1. Androidテストの実行場所 開発マシン、Androidでないサーバー ローカルテストに向いている 小〜中規模テストに向いている 実行速度と決定性が高い 実機、エミュレーター インストルメンテーションテス ト、E2Eテストに向いている 中〜大規模テストに向いている
忠実性が高い 24
5-2. Androidテストのツール JUnit4:Javaベースの標準的なテストフレームワーク AndroidJUnitRunner:Androidデバイス上でJUnitテストを実行するランナー JUnit Rules:テストの開始/終了処理を共通化できる Robolectric:実機を使わずAndroidコンポーネントをテストできる Compose UIテスト:Jetpack Composeで構築されたUIをテストできる
Espresso:AndroidアプリのUIと操作をテストできる UI Automator:AndroidアプリのUIと操作をテストできる(他アプリも操作可能) Screenshot Testing:UIの変化の有無を自動で検出できる MockK:Kotlinのモッキングフレームワーク 25
さいごに 自動テストは、テストのタスク全てに適しているわけではない。 よく理解されている挙動を扱うために自動テストを用いると、人間のテスタ ーの高コストかつ定性的な労力を、人間のテスターが最大の価値を提供でき る製品部位に集中させることができる。 ( 『Googleのソフトウェアエンジニアリング』 、オライリージャパン、268- 269頁、2021年) 26
補足:参考リンク Androidでアプリをテストする Android Studioでテストする Androidのテスト戦略 【動画】開発生産性の観点から考える自動テスト 27
補足:テストを学べるおすすめ本5選 28