NetBSDの解説と NetBSD/luna68kの歴史と ついでにPC-6001展示 / OSC2025Tokyo-spring

オープンソースカンファレンス2025 Tokyo Springの「NetBSDのご紹介」のセミナーで発表した『NetBSDの解説と NetBSD/luna68kの歴史と ついでにPC-6001展示 』のスライドです。（セミナー発表時から一部誤記その他を修正しています）

Transcript

1. NetBSDの解説と NetBSD/luna68kの歴史と ついでにPC-6001展示 オープンソースカンファレンス 2025 Tokyo/Spring 関西ではいつも展示してるんですが関東は初登場？ Izumi Tsutsui tsutsui@NetBSD.org Twitter: @tsutsuii Mastodon: @tsutsuii@social.mikutter.hachune.net
2. 今回のスライドの大半は 昨年のOSC京都および 今年1月のOSC大阪 他の スライドを流用してます
3. いつものように OSCのページの セミナーセッション情報 を見ると、今回は……
6. ということで、 十分に濃い方が 聞きに来られている という前提(?)で お話しします
7. •聴講者が全員PC-6001を知ってる •セミナー後にPC-6001ソフト開発 の思い出を語る方 •展示ブースで Z80マシン語の話 が始まる ……みたいな感じでした なお、昨年 11/9 の大阪南港ATC 関西オープンフォーラムでは
8. 昨年のOSC愛媛で 「NetBSDのご紹介」 に沿ったスライドを 書いたので 今回も再放送から
9. BSDとは？ •Berkeley Software Distribution •カリフォルニア大学バークレー校 で開発されたUNIX系OS •’70年代 UNIX研究として開発開始 •’80年代 ネットワーク機能、 仮想記憶など現代のOSの 基礎を築く •UNIXの進化と普及に貢献
10. BSD timeline (1) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases
11. BSD timeline (1) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 1BSD 1978年3月 PDP-11
12. BSD timeline (1) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 2BSD 1979年5月 viエディタ
13. BSD timeline (1) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 3BSD 1980年3月 VAX 仮想記憶
14. BSD timeline (1) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 4.0BSD 1980年10月 signal機構
15. BSD timeline (1) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 4.1BSD 1981年7月 性能強化
16. BSD timeline (1) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 4.2BSD 1983年8月 TCP/IP
17. BSD timeline (2) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 4.3BSD 1986年4月 VAX以外の 複数機種対応
18. BSD timeline (2) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 4.3BSD Net/2 1991年6月 80386対応
19. BSD timeline (2) https://github.com/FabioLolix/BSD-Timeline/releases 386BSD 0.0 1992年2月 IBM-PC用
20. •Intel 80386プロセッサ向け •初のオープンソースUNIX系OS？ •4.3BSD Net/2ベース •企業や大学が主だった UNIX系OSが一般(?)の ユーザでも利用可能に •実は趣味プロジェクト だった、という話 386BSD
21. •いずれも386BSDをベースとした パッチ集として開始  FreeBSD ➔ 性能重視、x86 PCをターゲット  NetBSD ➔ 設計重視、全CPUをターゲット NetBSD, FreeBSD
22. •“Of course, it runs NetBSD” ➔特定の機種に依存しない設計 •“Reasonable Goal” ➔性能より「理にかなった」設計 •仮想記憶やデバイスドライバ等の 一貫性を持つインタフェース設計 NetBSDの特長　
23. •いろんなCPUやデバイスで動く ➔組み込み系での採用例が多い NetBSDの特長　
24. NetBSD 10.1でのサポート機種 トップページはいったんこれだけ 変なマシンばっかり載せてると 「NetBSDって古いマシンでしか動かないんですよね？」 とか言われるのが嫌、という一部の中の人の主張が…… https://www.netbsd.org/
25. NetBSD 10.1でのサポート機種 トップページはいったんこれだけ 変なマシンばっかり載せてると 「NetBSDって古いマシンでしか動かないんですよね？」 とか言われるのが嫌、という一部の中の人の主張が…… https://www.netbsd.org/ 本題(?)は ここを クリック
26. NetBSD 10.1でのサポート機種 “Tier I”機種 まあ、これも一部古いですが…… https://wiki.netbsd.org/ports/
27. NetBSD 10.1でのサポート機種 “Tier II”機種 一応これだけのリリースバイナリがあります https://wiki.netbsd.org/ports/
28. NetBSD port maintainer  私 (tsutsui@NetBSD.org) の担当分
29. NetBSDの特長　 FreeBSD Press No.12「NetBSDとMI構造」 •「どんなマシンでも動かせるような 　　実装になっている」 　ということが本質 •「いろんなマシンで動く」 　というのは 　「どのマシンに対しても 　　適用できるよう実装する」 　ということの結果に過ぎない
30. •抽象化されたインタフェース実装 NetBSDの特長　 https://social.mikutter.hachune.net/@osa_k/112066453265169340
31. NetBSD/news68kは 「プログラミング わからん」 と言いながら 約半年で 移植できました
32. NetBSDサポート機種数の推移 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 0 10 20 30 40 50 60 5 4 3 3 1 4 4 9 12 7 1 2 1 2 1 0 0 0 1 NetBSD ports removed merged kept added YEAR Number of Ports
33. NetBSD移植バブル期 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 0 10 20 30 40 50 60 5 4 3 3 1 4 4 9 12 7 1 2 1 2 1 0 0 0 1 NetBSD ports removed merged kept added YEAR Number of Ports
34. NetBSD全盛期  手段（移植）のためには目的（機種）を選ばない •「どんなマシンにも適用できる設計」 bus_space, bus_dma, wscons, newconfig 等々の機種に依存しないデバイス実装API ・独自ベンダーH/Wの隆盛と淘汰 PC以外のマシンもそこそこ入手可能に 「このマシンでもNetBSD動くんじゃね？」
35. かつての NetBSD 移植バブル  20数年前の全盛期のNetBSD ・1997年 bebox ・1998年 newsmips macppc next68k sparc64 ・1999年 mmeye evbsh3 hpcmips news68k From Japan From Japan From Japan From Japan From Japan From Japan From Japan
36. かつての NetBSD 移植バブル ・2000年 luna68k arc prep cobalt amigappc arm26 sgimips mipsco dreamcast ・2001年 hpcsh sandpoint hpcarm netwinder sun2 cesfic algor cats evbppc amd64 playstation2 evbarm From Japan From Japan From Japan From Japan From Japan From Japan
37. かつての NetBSD 移植バブル ・2000年 luna68k arc prep cobalt amigappc arm26 sgimips mipsco dreamcast ・2001年 hpcsh sandpoint hpcarm netwinder sun2 cesfic algor cats evbppc amd64 playstation2 evbarm From Japan From Japan From Japan From Japan From Japan From Japan
38. LUNAとは  よしだともこ先生のブロクより LUNAというのは、1980年代から1990年代 の初めごろにかけて、京都に本社を持つ オムロン株式会社が発売していた、 UNIXワークステーションの名前です （その当時、私はこの会社のUNIXワークス 　テーション開発部門で働いていました） http://notredameningen.kyo2.jp/e422862.html
39. LUNAとBSD  4.4BSD/luna68k •純正OSは 4.3BSDベースの UniOS-B SystemVベースの UniOS-Uもあり •前述の4.4BSDには LUNAサポートの 　ソースコードあり ➔「次はLUNAですね」と複数の開発者に 狙われたのは自然な流れでした
40. NetBSD/luna68kの歴史①  25番目(?)のNetBSDサポート機種 •2000年1月5日に本家CVSコミット •12月のNetBSD 1.5 で正式リリース ところが……
41. NetBSD/luna68kの歴史②  カーネル起動問題 •LUNAの ROM上のファームウェアが 　HDD上のファイルシステム上の 　a.outバイナリカーネルを直接ロード •2002年の NetBSD 1.6 において 　バイナリが ELF形式に移行 ➔ NetBSD/luna68k 1.6 以降 「カーネルがロードできない」問題
42. NetBSD/luna68kの歴史③  動くマシンがなくても…… •NetBSD 1.6 以降リリースバイナリは 　クロスビルドで作成される ➔起動できなくてもサポートは続く •以降、news68k他の m68k と合わせ 　カーネルAPI変更やビルド維持などの 　メンテを地味に継続
43. 復活は OSC2011関西＠京都  NetBSD/m68k Never die! ・元々は「MC68030 workstation コラボ展示」 ・ご当地ということで LUNAをサプライズネタに 詳細はこちら http://www.ceres.dti.ne.jp/tsutsui/osc2011kyoto/index.html
44. NetBSD/luna68k復活への道  勢いだけの展示ネタでした •2011年4月のOSC神戸で m68kの 　X68030 と ATARI TT030 を展示 •「次は京都だからLUNAか」と、 　過去MLで見かけた方にお願いして 　LUNA実機を貸していただく •ELF→a.outバイナリ変換を用意し、 　SCSIドライババグを1つ修正して、 　それだけで無事に復活！
45.  OMRON関係の方々に予想以上の反響 ・実行委員長のよしだともこ先生が大喜び ・2日目にLUNAグッズを持ってきてくれた方も http://twitpic.com/5qeizb http://movapic.com/ebijun/pic/3812352 OSC京都展示での反響
46. OSC京都展示まとめ  昨年の2024年で11回目 •2011年 NetBSD/luna68k復活展示 •2012年 LUNA-IIも復活しました展示 •2013年 LUNA+mlterm-fb で Twitter •2014年 LUNA-II mikutter「今年はカラーだ!」 •2015年 LUNA88kとコラボ展示 •2016年 LUNA SubCPUの PSG演奏 •2017年 LUNA+PC-6001 PSGx2の6重和音演奏 •2018年 @moveccrさん LUNA PSG PAM再生 •2019年 LUNA-IIで Mastodon タイムライン •2023年 X.org 256色サーバーとMPlayerとか •2024年 LUNA + NWS-3260 SNS TLデモ
47. OSC京都 2012年 https://twitter.com/tsutsuii/status/232152205275324417  LUNA-II 寄贈お礼報告コラボ
48. OSC京都 2013年 https://twitter.com/tsutsuii/status/363490195179442176 mlterm + LUNAで Twitter / mikutter
49. OSC京都 2014年 https://twitter.com/tsutsuii/status/363490195179442176 「今年はカラーだ！！！」mlterm-fb
50. OSC京都 2015年 LUNA88K2 + LUNA-II 夢の共演
51. OSC京都 2016年 https://twitter.com/ebijun/status/758858671329726464 サブCPU Z80で P6ドライバPSG演奏
52. OSC京都 2017年 PC-6001+LUNA PSG×2台 6重和音演奏
53. OSC京都 2018年 @moveccrさんのLUNA PSG PCM再生
54. OSC京都 2019年 Mastodonタイムライン by nanotodon
55. 2019年で9回目になり 「そろそろネタ切れ」 「LUNAでいいのか」 などと思いつつ、 展示ブース準備で netstat コマンドで ネット接続確認 をしていたところ……
56. ユーザーの方の声 “LUNAが　 IPv6の表示を出している のを見るというのは 感慨深いです” ありがとうございます！ うれしくて急遽スライド作って翌日セミナーで話しました これからも続けたいと思いました！
57. OSC京都 2023年 X.org 256色サーバーで MPlayerとか
58. 過去に LUNA展示で 頂いた 他のコメント
59. • なつかしい • LUNAでTwitterできるんですか！ • LUNA88K使ってました • LUNA-IIに ICEつなげて いろいろやってました • 「今年はカラーなんですね」 LUNAユーザの方
60. • 「LUNAをどうやって 　 液晶につないでいるのか？」 →これ、4回くらい質問されてます • 「これはフレームバッファに 　直接書いてるんですか？」 →これも2回くらい質問されました • 「このフォントはNEWSのフォント」 →展示デモで jiskan24.pcf を使ってたので…… 　次の年からはLUNAフォントを準備しました ディープな方々
61. 過去のOSC東京での NeXT station展示や ATARI TT030展示でも わりと濃いコメントを いただいていたので 楽しんでいただければ
62. NetBSD/luna68k 10.0 新機能一覧  OSC展示したものも OSC休止中作業のものも •SubCPU PSG PAM audio (2018年展示) •X.org 256色サーバー (2023年展示) •フレームバッファコンソール高速化 •キーボードのLED制御とBEEP音制御 昨年12月に NetBSD 10.1 も出ました 地味ながらもまだまだ頑張っています
63. 最後にむりやり LUNAと PSGと PC-6001
64. 前提知識
65. OSC2016京都展示（再掲） https://twitter.com/ebijun/status/758858671329726464 サブCPU Z80で P6ドライバPSG演奏
66. https://www.nicovideo.jp/watch/sm31979305 OSC2017京都 PC6001+LUNA
67. PC-6001マスタ・LUNAスレーブ •PSG演奏ドライバは2ms割り込み駆動 •割り込みでジョイスティックポートに 外部駆動信号を出力 •それをLUNAのシリアルポートに接続 •LUNAサブCPUのシリアル割り込みで LUNAのPSG楽曲を同期演奏 ……という誰にもわからない デモ展示をやってたのでした
68. というわけで NetBSDとは 直接関係なく遊んでいた PC-6001デモも持ってきました
69. •「どんなマシンでも動く設計」 •「移植のためには機種を選ばない」 •LUNAを始めとしたマイナー機種も 　個人レベルでメンテ可能 •イベント駆動開発 ➔展示のためにネタを考えると 　いろいろとがんばれます まとめ