Upgrade to Pro — share decks privately, control downloads, hide ads and more …

ロードマップの本音と建前

 ロードマップの本音と建前

「【 PM勉強会:PdM Lab. 】Vol01.SaaSをグロースさせるPdMが描くロードマップとは」のLTスライドです。
https://medicalforce.connpass.com/event/351847/

Avatar for Yuya Akiba

Yuya Akiba

May 13, 2025
Tweet

More Decks by Yuya Akiba

Other Decks in Business

Transcript

  1. © LayerX Inc. 2 自己紹介 秋葉 佑哉 (あきば ゆうや) 株式会社LayerX

    CEO室 BizDev / プロダクトマネージャー プロダクト マネージャー 新規事業 BizDev ソフトウェア エンジニア バックグラウンド ‧広義のプロダクト創りが好きです(リアルオペレーション‧営業‧サポートなど含む) ‧最⾼の仲間とともに、愛されるプロダクトを創り続けていきたいです ‧あらゆる⼈の可能性を最⼤化するお⼿伝いをしていきたいです #ドラム #キャンプ #サウナ #⼤相撲 #ラジオ #AI BPO #新規事業開発 #⼀級船舶 #宅建⼠ @yuyaki_0618 こんな人です 略歴: 主にプロダクトづくりや仕組みづくりを軸としながら、 事業をつくる・伸ばすに必要なことを「何でもやるマン」としてやってきました 1人目エンジニア兼PdM ギフトEC「TANP」の企画・開発 バクラク PdM(エンプラ・アライアンス系) CEO室 新規事業開発・BizDev・PdM 印刷事業「ラクスル」 部門横断PdM 事業責任者・新規事業立ち上げ
  2. 4 © LayerX Inc. 会社概要 「すべての経済活動を、デジタル化する。」をミッションに掲げ、 法⼈⽀出管理サービス「バクラク」や企業内業務のデジタル化を⽀援するサービスを提供しています。 バクラク事業 企業活動のインフラとなる 法⼈⽀出管理(BSM)SaaSを開発‧提供

    Fintech事業 ソフトウェアを駆使したアセットマネジメ ント‧証券事業を合弁会社にて展開 AI‧LLM事業 ⽂書処理を中⼼とした、LLMの活⽤による プロセスのリデザイン 第4、第5・・・の新規事業
  3. © LayerX Inc.  6 AI BPOとは ➢ AIエージェントを業務プロセスに適切にアサインしてフル活⽤をするBPOサービス ➢ ⼈とAIが協働する最適化されたオペレーションを通じて企業の業務を無くしていく

    労働集約場所を単純に移⾏するだけの従来型のBPOではなく、 本来は⼈がやらなくてもいい仕事を無くしながら業務プロセスの上流から下流までをまるっとカバーする付加価値型のBPO これによって、労働⼈⼝減少という社会的な課題の解決と企業の課題の解決に対して価値を発揮していく
  4. 7 © LayerX Inc. 我々がAI BPOをやる理由 CEO福島 のnote記事はこちら 秋葉 の

    note記事はこちら 記事より⼀部抜粋) AIが⽣み出す体験を通して、価値として正しく利⽤者にデリバリーするこ とが重要であり、それを最も⼤事にしてきました。 優秀なAIエージェントを⽣み出すこと。 そしてそのAIエージェントが最⼤限パフォーマンスを発揮できるような環 境を築き上げること。 そうして作り上げられた⼈とAIが協働する最適化されたオペレーションを 通じて、企業の業務プロセスを変⾰して、価値を届けること。 それがLayerXの強みであり、AI BPOを通して成し遂げたいことです。 記事より ⼀部抜粋) AIによる⽣産性向上の恩恵は受けたいが、AIをハイレベルにマネージでき るか不安というのが多くの⽇本企業の現状なのではないでしょうか。これ がAI BPOという形で参⼊する理由1です。 特にバクラクが提供する「コーポーレート業務」は、ミスが許されない‧ ぬけもれが許されない業務です。そういった背景もあり、AIエージェント を活⽤し⽣産性をあげながら、⼈もプロセスに組み込んで、品質を担保す るというのが必須であると考えました。
  5. © LayerX Inc. 9 本⽇のテーマ ロードマップのあるべきみたいな話は既に溢れていて、同時にプロダクトマネジメントの永遠のテーマの⼀つだと思ってい ます。“永遠のテーマ”であるのは、正解がないから。 正確にはあらゆるケースに当てはまるような正解がない。だって事業やプロダクトの特性や組織に依存するので。 そんなの当たり前なのだが、前提が全く違う中で「こうあるべきだ」みたいな議論が⾶び交っているのもよく⾒かける。 何事にも⾔えることだが、他者の成功例やフレームワークなどをそのまんま取り⼊れるのではなく、

    多くのケースを知りながら、それらを⼀度噛み砕いて、エッセンスを抽出して、⾃分のケースに当てはめて試⾏錯誤をしな がら改善を回していくことが重要。 ⼤事なのは、「守破離」です。「理解‧分解‧再構築」です。 そのうえで本⽇は、 ロードマップに関連する「こうあるべきだ(建前)」に対して、「私はこう思う(本⾳)」の主観の話をしようと思います。 本⽇のテーマ:ロードマップの本⾳と建前(≒理想と現実)
  6. © LayerX Inc. 10 「ロードマップ」への個⼈的な解釈 「巻き込むべき⼈達の共通認識を揃え、コミュニケーションを円滑にするためのツール」 ex) 経営と事業と開発の時間軸を揃えるためのコミュニケーションツール  → いつどんな状態が具体的に作られていて、それによりどれほどのアウトカムを⽣むかが可視化されているもの

    ex) 顧客と⾃社間で、⽬指すプロダクトの⽅向性と提供価値の進化についてコミュニケーションを図るツール  → プロダクトが⽬指す進化の⽅向性と、それにより実現できることが中~⼤粒度で⽰されているもの 「ロードマップ」への個⼈的な解釈
  7. © LayerX Inc. 11 KPI(先⾏指標)よりKGI(遅⾏指標)が⼤切であり、それに対してコミットすべきということは⼤前提ではある。 ⼀⽅で、⼤きな⽬標(KGI)だけが⽰されていて、そこへ向かう地図(アクション)が⽰されていなければ何も⾔っていな いのと変わらない。みんなかっこよくてインパクトが⼤きそうなものを掲げたくなりがち。じゃあそれを達成するには? チームが持っているケイパビリティではコントロールができないアウトカムを⼊れるのは無責任であり「道なき夢」を描い ているだけである。 🙅悪い例)

    「アウトプット:A機能, B機能リリース ⇨ アウトカム:新規x件受注‧売上x円」 “⇨” の中⾝が何も⽰されていない。機能がリリースされるだけで受注が増えるわけではない。 アウトカムを掲げるなら、そこへ⾄るための道までをちゃんと描き切ること。 プライシングや顧客へのデリバリー‧サクセス‧営業武器化などGTMまで責任を持てないのであれば、例えば「リリース 後n期間の利⽤率‧定着率」みたいなコントロール&トラッキング可能なものに責任を持ってそれを⽰すべき。 本⾳①:「チームでコントロール可能なアウトカムだけ⽰せ」 建前:「アウトプットではなくアウトカムを⽰せ」 → 本⾳①:「チームでコントロールが可能なアウトカムを⽰せ」
  8. © LayerX Inc. 12 本⾳②:「あるべき計画を建て、⾜りないものは調達しろ」 よく⾒かけるのが「現状リソースだとBacklogの上からここまでを次の期中でできそう。ここまでやれるとこれくらいの成 果出せそう」というやつ。 本来は、達成したい⽔準や成果を描き、それに対して必要な⽬標計画‧指針を⽴てるべき。 今あるリソースを前提としてできることだけやろうとするのではなくて、実現したいことに対して必要ならば調達‧採⽤な ども含めロードマップを引けばいい。

    🙅 「これくらいのリソースがあるので、これくらいのことをやります」 🙆 「これくらいの成果を出すので、これくらいリソースをください or 調達します」 ※ ⼀⽅で、どのコミュニケーション時に使うロードマップなのかにもよる。 すでに期の採⽤計画‧予算等が固まり切った後に、調達‧リソースリクエスト前提のロードマップを出してこられても、経 営からすると「いや、遅いよ」となってしまう。 建前:「今あるリソースでストレッチかつ最適な計画を建てろ」 → 本⾳②:「あるべき計画を建てて、⾜りないものは調達しろ」
  9. © LayerX Inc. 13 中⻑期を⾒据えて描けること⾃体は⼤事。だけどロードマップなんて5-10年とかで建ててもたいていは意味がない。 3年とかのロードマップがそれ通りにいっているケースなんてほぼ⾒たことないし、私がこれまで建ててきたロードマップ も振り返ってみても、当時描いた通りにいっていることはまずない。あくまで当時⾒えている景⾊や引けるレバーで建てた もの。今のAI時代は特にそうだが1年後に同じことしか⾔えていないことの⽅が不健全である。 ⼤体PdMが変わると、前任の意思も引き継ぎつつ、新任のPdMがゼロから再構築することになる。その時にしっかり意思 を込められることが重要。

    張りぼての⻑期ロードマップであれば、パズルをしていれば誰でも描ける。 意思を持って個⼈‧チームとして腹落ちしてこうあるべきだというものを描けなければ、ただの「意思なき予測図」にな るだけ。今のBacklogを上から並べただけの誰が描いても変わらないありきたりなものが誕⽣してしまう。 PdMやプロダクトチームの顔が透けて⾒えるくらいのロードマップがちょうどいい。 本⾳③:「⾃分の意思を強く持ち、主張ができるPdMになれ」 建前:「中⻑期のロードマップを描くPdMになれ」 → 本⾳③:「⾃分の意思を強く持ち、主張ができるPdMになれ」
  10. © LayerX Inc. 14 問い 1. そのアウトカム、本当に⾃分たちでコントロールできますか? 2. 「実現したいこと」から逆算して、必要なものを取りに⾏けていますか? 3.

    そのロードマップに、あなた⾃⾝の意思は込められていますか? まとめ “うまく作る”よりも、“腹落ちして動ける”ロードマップを