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群論入門:集合と対称性の数学
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ymgc
October 05, 2024
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群論入門:集合と対称性の数学
ymgc
October 05, 2024
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Transcript
群論入門 集合と対称性の数学 1
想定読者 数学に興味がある高校生・大学生 ▶ 群論の基礎を学びたい方 ▶ 数学の応用に関心がある方 ▶ 2
目次 1. 集合はセット、群はグループ 2. 対称性を記述する〝言語〟が群 3. フーリエ変換とリー群の関係 3
まとめ 群は集合と演算によって定義され、3つの基本的なルールを持つ ▶ 群は対称性を記述する数学的言語として機能する ▶ リー群は連続的な対称性を扱い、物理学など他分野でも重要 ▶ 群論の応用は多岐にわたり、現実世界と深くつながっている ▶ 4
用語まとめ 群: 集合と演算によって定義される数学的構造 ▶ リー群: 連続的な対称性を扱う群の一種 ▶ 表現論: 群を行列で表現することで性質を研究する理論 ▶
フーリエ変換: 関数を周期関数の和で表現する変換 ▶ 対称性: ある操作を行っても全体の性質が変わらない性質 ▶ 単位元: 演算を行っても元の値が変わらない特別な元 ▶ 逆元: ある元と演算して単位元になる元 ▶ 5
集合はセット、群はグループ 6
集合はセット、群はグループ 群は集合と演算によって定義される ▶ 集合は英語で "Set"、群は "Group" - 集合内に演算という操作が定まっている - 演算は数を足したり、掛けたりするような操作
- 演算結果も同じ集合の中に含まれる必要がある(閉じている) - 7
群:3つの基本的なルールがある 1. 結合法則が成り立つこと - 演算の順序を変えても結果が同じになる - 例: - 2. 単位元が存在すること
演算しても答が変わらない数が存在する - 例: 足し算の場合は0( ) 、掛け算の場合は1( ) - 3. 逆元が存在すること 各数に対して、演算結果が単位元になる数がある - 例: 足し算の場合、2の逆元は-2( ) - 例: 掛け算の場合、3の逆元は1/3( ) - 8
群であるもの/群でないもの 整数の集合における足し算は群である ▶ すべての整数を足し合わせても整数になる(閉じている) - 結合法則が成り立つ: for all - 0が単位元として存在する:
for all - すべての整数に対して逆元(負の数)が存在する: for all - 自然数の集合における足し算は群ではない ▶ 自然数には負の数がないため、逆元が存在しない - 例: 5の逆元である-5は自然数ではない - 9
群の表現論 群の表現論は、群を行列で表現することで性質を引き出す ▶ 群の各元に行列を対応させる - 群の積が行列の積に対応するようにする - これにより抽象的な群をより具体的な行列のコトバで理解できる - 10
対称性を記述する〝言語〟が群 である 11
対称性を記述する 群や表現は対称性を記述する数学的概念である ▶ 図形や関数、式に現れる対称性を捉えるのに必要 - 対称性を使って何かを調べたい時に群が必要になる - 12
対称性の基本概念 対称性:ある操作を行っても全体の性質が変わらない性質 ▶ 数学的には「不変性」として定義される ▶ 対称性の例 ▶ 図形の対称性:三角形の線対称、円の回転対称性 - 物理学での対称性:時間の向きを逆にしても成り立つ時間対称性
- 結晶構造の対称性:原子の配列パターンの繰り返し - 13
対称性の種類 幾何学的対称性 ▶ 線対称:鏡に映したように左右が同じ - 点対称:中心点を軸に180度回転させても同じ - 回転対称:ある角度回転させても同じ形になる - 時間的対称性
▶ 物理法則が時間の向きを逆にしても成り立つ性質 - 例:ニュートンの運動方程式 - 離散的対称性 ▶ 結晶構造:原子の配列パターンが繰り返す - フラクタル:部分と全体が相似形 - 連続的対称性 ▶ 並進対称性:空間のどの位置でも物理法則が同じ - 回転対称性:あらゆる角度の回転で不変 - 14
対称性の数学的表現 群論を用いて対称性を厳密に記述できる ▶ 例:正三角形の回転対称性は 群で表される - 対称性の操作: ( は群) ▶
不変性: ( は対象の性質を表す関数) ▶ 15
対称性の応用 物理学:保存則(ネーターの定理) ▶ エネルギー保存則 : 時間並進対称性 - 運動量保存則 : 空間並進対称性
- 角運動量保存則 : 回転対称性 - 化学:分子構造の理解と予測 ▶ 生物学:DNAの構造、ウイルスの形状 ▶ 芸術・建築:美的設計、構造の安定性 ▶ 16
対称性の破れ 対称性が破れることで新たな現象が生じる ▶ 例:相転移、素粒子の質量獲得(ヒッグス機構) ▶ 自発的対称性の破れ:系が対称性を持つが、状態が非対称 ▶ 17
まとめ 対称性は自然界の基本的な性質の一つ ▶ 数学(特に群論)で厳密に記述できる ▶ 18
対称性を記述する 円周は群の一例で、回転という変換が群をつくる ▶ 円は回転させても形が変わらない(回転対称性) - 0度から360度までの回転変換全体が円周を形成し、群の条件を満たす - 30度回転と60度回転を組み合わせると90度回転になる(閉じている) - 回転の組み合わせ順序は関係ない(結合法則)
- 0度回転が単位元となる - 各回転に対して逆向きの回転が逆元となる - この円の変換は2行2列の行列で表現可能 - 例: 度の回転を表す行列 - 19
対称性を記述する リー群は連続的な対称性を扱う ▶ 19世紀にソフス・リーが発展させた - 連続的に動かしても常に同じ形になるものを扱う - 例: - 円周(2次元の回転)
- 球面の3次元的な回転(3次元回転群) - 空間の並進対称性(位置を平行移動しても物理法則が変わらない) - リー群の研究は連続的な対称性を解析すること - 微分幾何学や位相幾何学との深い関連がある - 20
対称性を記述する〝言語〟が群 群の表現論は物理学でも重要な役割を果たす ▶ 1950年代頃に量子力学の要請から大きく発展 - 自然科学に現れる対称性を数学的に定量的に捉えるのに必要 - 例: 素粒子の分類や相互作用の理解に群論が使われる -
フーリエ変換はリー群の表現を通じて捉えることができる ▶ 音や光を基本的な波に分解する際に使用 - ノイズキャンセリング技術などで活用されている - 複数の波長の波が重なり合ったものを基本的な波に分解する - 基本的な波は対称性の高い波と見なせる - 21
フーリエ変換とリー群の関係 22
フーリエ変換とは 任意の関数を三角関数(サイン波やコサイン波)の和で表現する変換 ▶ 数式: - 複雑な波形を単純な波の重ね合わせとして表現できる ▶ 23
リー群との関係 1. 円周群 との関係 フーリエ級数展開は円周上の関数の解析に対応 - は円周群 の要素を表す - フーリエ級数:
- 2. 平行移動群との関係 フーリエ変換は実数上の平行移動群の既約表現と密接に関連 - 平行移動操作: - フーリエ変換下での平行移動: - 3. 調和解析との関係 フーリエ解析はコンパクトリー群上の調和解析の特殊ケース - 一般のコンパクトリー群上でも同様の展開が可能 - 例: 球面調和関数は回転群 の表現と関連 - 24
まとめ フーリエ変換はリー群の表現理論と深く結びついている ▶ この関係は、信号処理や量子力学など様々な分野で応用される - リー群の視点からフーリエ変換を見ることで、その数学的構造がより明確になる ▶ 25
全体のまとめ 群は集合と演算によって定義され、3つの基本的なルールを持つ ▶ 群は対称性を記述する数学的言語として機能する ▶ リー群は連続的な対称性を扱い、物理学など他分野でも重要 ▶ 群論の応用は多岐にわたり、現実世界と深くつながっている ▶ 26