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DTD_アジャイル開発組織立ち上げのためのモブプログラミング

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September 01, 2025

 DTD_アジャイル開発組織立ち上げのためのモブプログラミング

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  1. 2 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential 蓬田光樹(よもぎだみつき) 2020年~ブレインパッド • 機械学習プロジェクトのプレイングマネージャー •

    生成AI、画像解析、DX推進、数理最適化などプロジェクトに携わる • 現在はアジャイル開発組織におけるアジャイル推進リーダーも担う ~2020年以前 Sier • アジャイル開発の標準化、教育、普及を担当 自己紹介
  2. ©BrainPad Inc. Strictly Confidential 3 1. 組織紹介(簡単に) 2. アジャイル開発組織立ち上げのための取り組み 3.

    モブプログラミングをやってみての気づきと効果、今後の展開 Agenda 専門領域の異なる人材を1つに集めた組織において、 アジャイル開発推進組織のリーダーに任命された私が、 どのように組織内のチームビルディグを実施していったか の取り組み(モブプロ)の軌跡を語ります。
  3. 5 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential データエンジニアリングユニット ビジネス開発領域 紹介 データアーキテクチャ データの構造・連携を再設計し、データとシステムを段階的に進化させる中長期の

    発展計画策定を行う データ価値創出アジャイル開発 コンサル・DS・エンジニア等が一体となり、ビジネス起点で“使われる”データ活用シ ステムを素早く構築。 ミッション 「データ活用の促進を通じて持続可能な未来をつくる」という企業理念のもと、 データを価値に変えるエンジニアリングで企業のデータドリブン経営を支援します。 提供サービス
  4. 6 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential 具体的なイメージ(サプライチェーンに合わせたデータ連携) 従来の縦割り構造による各事業内に閉じたデータ管理を、データ軸で複数事業を横断して管理できるようにする 現状 目指すべき方向性 •

    各システムのデータ連携を図りながら、全体最適を図る。 • 1つの製品を製造するのに、どれくらいのコストがかかったのか可視化、各事業の最 適化状況により、変動するコストを可視化、PDCAサイクルにつなげる。 • 販売/出荷状況の最新状況から、生産する拠点、在庫拠点のバランスを変える などを、鮮度の高いデータを元に実現する 資源生産計 画 製造計画 輸送計画 在庫計画 生産管理部 製造管理部 輸送管理部 在庫管理部 • 各部門での責務を元に、独立したシステムで最適化を実施 • 最適化の結果が制約事項として関連部署に連携 資源生産 計画 製造計画 輸送計画 在庫計画 生産管理部 製造管理部 輸送管理部 在庫管理部 生産量の 最適化 製造量の 最適化 輸送の 最適化 在庫の 最適化 横断したデータを元 にして、企業活動、 生産~出荷までの 最適化を図る 例:資材調達から出荷
  5. 7 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential 多様な専門家が集まるプロジェクトを成功させるには? 〜T型人材の力〜 課題 ⚫ 専門分野ごとの考え方・優先順位の違いによるコミュニケーション障壁

    例: コンサルタントが「ROI(投資対効果)」を最優先するのに対し、エンジニアは「システム安定性」や「保守性」を重視する。 データサイエンティストは「モデルの精度」にこだわるが、データアーキテクトは「データガバナンス」や「スケーラビリティ」を優先する。 ⚫ サイロ化による連携不足: 専門外への関心の低下や境界線の曖昧化による、品質への影響 例:「あの人の言うからあっているんだろう、専門家じゃないのに口出していいのか」ではなく、自ら確かめる文化が必要(情報リテラシーと建設的批判) 解決策:「T型人材」でクラスファンクショナルなチームを活性化 T型人材とは? • 自身の専門分野に深い知識を持ち、 • 関連分野にも知識・理解があり、踏み込める人材 ※「全部ができる万能型」ではない T型人材がもたらす効果 • 迅速な意思決定・実装 : 複数専門知識を共有し、その場での判断・実装を可能に • 「意見を出し合う」文化醸成 : 相互理解と尊重により、部署間の壁を越えた活発な議論を促進 • 自ら確かめる文化の支援 : 他者の発言の根拠や妥当性を自ら確認・評価する姿勢を促しやすい。 • 建設的批判の促進 : 自身の理解範囲を広げることで、多角的な視点からの疑問提起や提案が可能に →相互理解を深め、スキトラも兼ねることができるモブプログラミングを試してみようと思い至った
  6. 9 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential そもそもモブプログラミングとは? モブプログラミングとは、複数のプログラマーが1台のコンピューターを共有し、同じ作業を実施する 役割分担 • ドライバー:

    実際にキーボードを操作し、コードを入力する担当者 • ナビゲーター: ドライバーに指示を出し、コードの設計や実装方針を考える担当者 ドライバー
  7. 10 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential モブプログラミングのメリットや目的 1. 相互理解 2. 知識共有と品質向上

    3. フロー効率(価値提供までのリードタイムの速さ)の向上※下図 リソース効率(全員100%稼働)を重視 職能などでチームを分け、様々なプロジェクトを兼任などして、稼働が余 らないようにする。一方、ボトルネックになりやすく、リリースまでは遠のく可 能性がある。 フロー効率(価値提供までのリードタイムの速さ)を重視 1つのチームでリリースまでの機能開発の全てがまかなえるチーム。一方でデザイ ナーなどの手が余るなど稼働を余らせることはある。 コンポーネントチーム フィーチャーチーム
  8. 12 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential これまでに実施したLTの例 データサイエンス関連 • LLMのプロンプトエンジニアリングtips •

    ローカルLLMモデルの近況 • 画像生成AIの歴史とこれから • ML案件の流れ紹介 エンジニアリング関連 • Model Context Protocolの紹介 • 「PJ標準化・品質向上」の取組内容 • AIエディタの紹介&デモ コンサルティング関連 • 行動分析学を用いた教育設計 • 人の巻き込み方 データアーキテクト関連 • データプラットフォームに関する概念や 技術要素の概要を紹介 • tableauやPower BIのようなツール での分析のやりかたや進め方について 多角的なテーマを取り上げてきました。特に生成AIに関連する最新技術や、作業効率化に繋がる実践的な内容は、データサ イエンティストでなくとも多く関心が寄せられています。
  9. 13 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential モブプログラミングを始める際に気を付けたこと 心理的安全性の担保を最優先 • 専門領域が異なる&顔なじみがないメンバーも (これ知らない、理解できないってまずい・・・?)

    →モブプロ内で各自で頭の中を整理&共有する時間をもうける • リモートでのモブプログラミング:初期のドライバーはプレッシャーを感じやすい →ドライバーが知識を持っている領域を初期のテーマに設定 最初はうまくいかない、やりづらいところもあるだろうという前提 • モブプロの進め方を定期的にKPTで振り返り&改善していけばよい • テーマも固定せず、定期的に変えていく
  10. 14 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential モブプログラミングで扱ったテーマの変遷 画像分類の 疑似案件 体験 生成AIを

    用いた疑似 案件体験 MCPの 案件適用性 模索 AI駆動開発 の実用性検証 AI案件の流れをイメージしてもら うために、よくあるプロジェクト の進め方に沿って解説&体験 定着させるためにAI案件をもう1度 難易度を少し下げ、プロンプトエンジニア リング中心の検証設計と検証 エンジニアとデータサイエンティストが 共通で議論ができる技術の調査や実装 実案件でも一緒に動けるように より実用性があり、踏み込める領域を
  11. 15 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential モブプログラミングのプロセスの変遷 画像分類の 疑似案件 体験 生成AIを

    用いた疑似 案件体験 MCPの 案件適用性 模索 AI駆動開発 の実用性検証 画像分類ではハンズオンに近い形になった。 議論活性化のため、Vertex AI Studioの画面を 共有し、わかりやすく議論が生まれるように テーマの企画が重い。 →企画自体もモブプロで決めていく • 意思決定の場面が多いが遠慮がちに →意見を吸い上げた後に、 どれを採用するかを持ち回りで。 各専門領域の観点を知るきっかけに • テーマのゴール設定が曖昧のため、 ゴールを定める
  12. 17 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential 気付き、良かったこと、学んだこと • モブプロ内で自分の意見を整理する時間は重要。他人の意見や観点を知れるきっかけに • 専門領域外の方がケイパを広げる際、何を不安に思われているか理解できた

    • 様々な専門領域の方々の関心・スキルを確認でき、こちらが提供すべき情報がわかった • Vertex AI Studioで画面共有しながら実行結果を確認して進められたので、理解しやすい • 「自分だけでは思いつかない観点」を知ることができた。一人より多人数で意見を出すことで思考が広がった • モブプロの時間内で、同じコードを見ながら足並みをそろえていたので、理解を深めやすかった ここまでの取り組みが今後チームで仕事をするうえで活きるか? • 話が進まないときの方向の作り方 • コードの読み合わせ時に、お互いに問いかけあうことで仕様の理解が深まり、実装が進みやすくなる • モブプロの活動の中で実施したモブプロやKPTなどアジャイルのプラクティス • 参加者同士が話し合いを重ねることで、相互理解や信頼が深まり、心理的安全性が向上し一緒に活動がしやすくなった • 普段の業務で一緒にならない人ともかかわれた点 モブプログラミングをやってみて 何度も次どうしよう など行き詰ったが、 その都度打開策が出て、 乗り切ってきた 誰に相談すればよいかの情報 も得られて一石二鳥。 早速頼らせていただいている 週1時間でも チームビルディング可能
  13. 18 ©BrainPad Inc. Strictly Confidential もっとよい勉強会にしていくためには 1. 準備と計画の改善 • 1時間の枠だけでは準備が足りず、「表面的な議論に留まる」、「打開策がひらめかない」ことも

    2. 実施内容と深掘りの深化:スムーズに一緒に仕事できるよう、プロジェクト標準・品質担保に踏み込む • 外部の専門知識や視点を取り入れる(コンサルも巻き込んだテーマ) • 表面的な議論に留まらず、専門知識や実務的な側面を深く掘り下げることへの期待 • テーマ選定の幅を広げ、最新技術だけでなく、古典的な基礎技術にも目を向ける 3. アウトプットへのコミットメント • 単なる情報共有や議論に留まらず、 アウトプットを生み出すための仕組みや時間の確保 • ※ただし、インプットも重要