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[SRE NEXT 2025] すみずみまで暖かく照らすあなたの太陽でありたい

[SRE NEXT 2025] すみずみまで暖かく照らすあなたの太陽でありたい

「いつもヨドバシカメラのご利用ありがとうございます」

お客様への感謝の心をもっていつでも快適にサービスをご利用いただけるように、インフラとアプリケーションの安定稼働は私たちの使命です。SREは、システム全体に光を照らし、目を背けたくなるような問題も直視する包容力を持ち、潜在的なリスクを早期に発見し、解決することで、安定した状態を維持します。

ヨドバシカメラのシステム運用は、1985年のPOS導入から始まり、ポイントシステム、EC、配送システムなど、規模を拡大してきました。それぞれのシステムで複雑性が増す「カオス化」と呼ばれる状態も経験しました。

この状況を打破するため、私たちは継続的に運用方式を見直してきました。監視ツール、IaCやデプロイメントパイプラインによる標準化と自動化の実現。インシデントによる対応管理なども行いました。

現在注力しているのは、オンサイトプライベートクラウドの構築と運用です。セキュリティと柔軟性を両立させ、変化の激しい環境に迅速に対応するための重要な戦略です。仮想化技術やマイクロサービスアーキテクチャの導入により、効率性と独立性を高めています。

過去の経験を活かし、最新技術を取り入れながら、これからもお客様に安全なサービスを提供し続けられるよう、私たちは挑戦を続けています。

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Hiroshi Toda

July 16, 2025
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Transcript

  1. 概要 「いつもヨドバシカメラのご利用ありがとうございます」 ヨドバシにとっての SRE = Service Reliability Engagement です。 信頼の商品、信頼の商品説明、信頼のお届けなどに取組んでおります。

    この取組みを支えるインフラとアプリケーションの安定稼働について 本日は事業会社の視点からご紹介させていただきます。 1985 年の POS からシステム運用が始まり、サービスや規模が拡大してきました。 複雑性が増す中でもすべてのシステム・チームメンバーに光をあて、 問題の発見・解決へと取組んでいます。 本日は • オンサイトプライベートクラウド • デプロイ アーキタイプ • ハイブリッド・マルチクラウドのモニタリング についてお話しをさせていただきます。
  2. ヨドバシの取り組み 主役はお客様なので、手前の情報公開は控えておりましたが・・・ 2022年10月 : Actionable Insights Day 2022 @CreationLine Event

    プライベートクラウドの自社構築・運用 2023年10月 : Actionable Insights Day 2023 @CreationLine Event ゼロトラスト・API 開発 2024年12月 : re:CONNECT 2024 @Briscola Event マイクロサービス I/F としての REST API と開発効率向上 2025年01月 : エンジニア Type のインタビュー 「成果なんてすぐに見えるものじゃない」 ヨドバシが圧倒的な自前主義と長期的視点に立てる理由 この中から、SRE に強く関係する プライベートクラウド を簡単に振り返ります。
  3. Yodobashi Cloud – 実装モデル NIST SP 800-145, -146 でクラウドの実装モデルは以下が定義されています。 ※

    NIST=米国国立標準技術研究所 一般的にイメージしやすいのはパブリッククラウドですが、 ヨドバシではオンサイトプライベートクラウドを採用しています。 SP 800-145 SP 800-146 意味 プライベートクラウド オンサイト プライベート 利用者施設内 単一組織専用 外部委託型 プライベート ホスティング型 単一組織専用 コミュニティクラウド オンサイト コミュニティ 利用者施設内 共同体専用 外部委託型 コミュニティ ホスティング型 共同体専用 パブリッククラウド プロバイダ施設内 一般向け ハイブリッドクラウド 上記の組合せ
  4. Yodobashi Cloud – 提供内容の定義 NIST SP 800-145 ではクラウドを以下のように定義しています。 特徴: オンデマンド・セルフサービス

    幅広いネットワークアクセス リソース共有 スピーディな拡張性 サービスが計測可能 サービスモデル: SaaS PaaS IaaS ヨドバシではこのクラウド要件を満たす環境を構築・運用しています。
  5. Yodobashi Cloud – 対義語としてのオンプレ 「クラウド」の対義語として「オンプレミス」が使われることが多いです。 Google Cloud のドキュメントでもそうなっています。 オンプレミスの意味は 組織の施設内で

    IT インフラを構築・管理・保有し運用する形態 です。 ただ、オンサイトプライベートクラウドでも同じくこの形態をとります。 ということは、クラウドの対義語としてはオンプレミスは苦しいです。 そこで、オンデマンド性・伸縮性のない非クラウドな形態を 事前調達型オンプレミス と呼ぶことにしています。 オンサイトプライベートクラウド ⇔ 事前調達型オンプレミス
  6. Yodobashi Cloud - XaaS 2017年 IaaS, RDB PaaS, MQ PaaS

    などの稼働を開始 2018年 よく使う Web PaaS, AP PaaS を投入 2019年 CaaS を運用開始 その後も各種 PaaS の投入, バージョンアップを継続 また、CaaS では PaaS 同等 にカスタマイズした Image と Helm chart を用意し、開 発者・運用者の負担を低減 左図にはない SaaS, FaaS, ML 環境も稼働中
  7. デプロイ アーキタイプ 昨年の SRE NEXT 2024 で Steve McGhee さんがデプロイ

    アーキタイプを紹介されていました。 実際に事業会社であるヨドバシがどのアーキタイプを採用し どのように安定稼働を実現しているかをお話しします。 まず、 McGhee さんの Google Cloud デプロイ アーキタイプを 振り返ります。 次に、ヨドバシのオンサイトプライベートクラウドでは どのようなアーキタイプを採用しているのかをご紹介します。
  8. Yodobashi Cloud – デプロイ アーキタイプ ヨドバシでは高可用アーキタイプである Regional または Multi-Regional タイプを採用しています。

    なお、PaaS, SaaS, CaaS, FaaS ははじめから Regional または Multi-Regional タイプでクラスタ化されており、 アーキタイプを誰も意識することはありません。 このことで、お客様へのサービスは継続され、インフラチームのオンコール対応もほとんどありません。 ヨドバシでは、責任共有モデルにくわえ、アーキタイプでも各チームの負担を軽減しています。
  9. Yodobashi – デプロイ アーキタイプ さらに、ヨドバシでは、Yodobashi Cloud 以外に ・ 事前調達型オンプレミス :ERP

    パッケージ、既存システム(Cloud Native 化待ち) ・ 開発環境・検証環境 Cloud があります。 これらは下のように Hybrid・Multi-Cloud アーキタイプで連携しています。 この構成により、ドメイン分離や安全なデプロイを実現しています。 ※ yodobashi.com では画像検索、自然文検索、購入履歴検索がじつは稼働しています ※ 検証環境・開発環境も高可用 Regional アーキタイプで開発を止めない環境になっています