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息づく学食作りで見えてきた、生き生きとした価値創造を体得する授業とは

 息づく学食作りで見えてきた、生き生きとした価値創造を体得する授業とは

2021/11/5 に Scrum fest sapporo 2021で話しました。
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-sapporo-2021/proposal/16045

研修や授業で「アジャイル開発を学ぶ」という言葉に違和感を感じたことはないですか?

私はこれまでアジャイル開発を体得する授業を売りにしてきながら、もやもやとした違和感を感じてきました。それを学ぶことがゴールなんだろうか、なぜ手段から入るんだろうか、と。

生き生きとしたものづくりの、もっと根幹を体得する授業とはなんだろう、ひょんなことからそんな疑問に対するヒントを見つけたかもしれない、という話をしたいと思います。

きっかけは、休業中でがらんとした学食を舞台に、情報・建築・機械・デザインを専攻する学生や教員と一緒に始めたプロジェクト型授業でした。ここを自分たちの居心地の良い場所に変えようと、毎週学食にあつまり、観察・実践・発見のサイクルを回しているうちに、ささやかな工夫で大きな知見が見つかり、その連鎖で空間が変わっていきました。

・色あせた長いカーテンを外したら、窓の向こうに息を飲むほどの素敵な緑の風景が広がった

・薄暗くて嫌だと思ったけど、案外落ち着くことに気がついた

・学食に関わる様々なステークホルダーの存在、それぞれの事情と思いが見えてきた

・古びたパイプ椅子に少し明るい色のカバーをかけたら、それだけで部屋が彩づいた

・小上がり空間を作ってみたらだだっ広くて落ち着かずパーゴラを作ったら、複数の意味ある領域の構成が緩やかに出来ていた

シンプルな工夫と、見えた景色にハッとする瞬間。その場に過ごしてじんわり気が付く感覚。その蓄積。これってソフトウエア開発でも同じだな。ていうかものづくりに共通だなと。

もしかして、学食プロジェクトで得られるこの経験は、とてもわかりやすい入り口になるんじゃないか。そんなふうに感じ、このプロジェクトを元にしたカリキュラムを考え始めました。

そんな今現在の話と、その先の話をする予定です。


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Outline/Structure of the Talk
筑波大でのAgilePBL(アジャイル開発を取り入れたプロジェクトベース学習)
新天地で展開しようとしてふと思い悩んだこと
生き生きしたモノの構造と創造を知ろうとして知り合った他専攻の同僚
OnOffプロジェクトで得られたワクワクドキドキする発見
わかりやすい観察/試行/発見の連鎖は入門にもってこいでは
ソフトウエア開発での体験にマッピングするには
Learning Outcome
生き生きした空間作りの活用
アジャイルを導入しよう、ができなくて立ち止まってしまった時のヒントになるかもしれない
大学で企んでいることを知れる
Target Audience
組織へのアジャイル導入の取り掛かりで悩んでいる方, 大学での人材育成に興味のある方

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Chiemi Watanabe

November 05, 2021
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Transcript

  1. 筑波大 enPiT • 情報系学部のプロジェクトベース学習(PBL)に 担当教員として 8年ほど関わる • ICT技術を利用し、チームで問題解決 • 「自分の身の回りの困りごとを解決する」

    • 2016年からアジャイル開発を導入 • 1週間の夏合宿でスクラム開発のリズムを体感 • 10月〜12月に 15スプリントを実施 • 1月に発表 enPiT: 2012年度〜2020年度に実施された文部科学省補助金事業の名称。 もう終了しましたが、名前が定着したのでそのまま使ってます。 顧客の価値、良いものを提供する良いチームに本気で向き合う
  2. 今年のスケジュール 4月〜6月 7月〜8月 現状を把握する 未来を考える 関わる人と思いを知る 経験可能なもの を作る 9月〜1月 経験を重ねる

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