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企業における副業・兼業制度運用関係者意識調査2023

fkske
February 06, 2023

 企業における副業・兼業制度運用関係者意識調査2023

本調査は、企業の副業制度立案・運用に関わる関係者の実態を明らかにすべく管理部門に所属する制度担当者(人事、法務、経営企画、リスク管理部門など)・制度運用に関わる副業を希望する部下を持つ上司を対象に実施した「副業・兼業制度の運用者」に焦点を当てたものです。副業希望者の裏側で会社のリスクガバナンスに関わる関係者の制度運用上の潜在課題を具体化し、持続化を促す目的で実施しました。

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February 06, 2023
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Transcript

  1. www.fkske.com 調査概要
 調査名称 
 企業における副業・兼業制度 運用関係者意識調査 2023 
 調査内容
 ・副業制度関係者全体の意識と課題を明らかにする 
 ・副業・兼業制度の持続運用に関わる制度担当者の潜在課題と関係者構造を明らかにする

    
 ・制度運用における関係者【副業希望者の上司・兼任者】と制度担当者のギャップを明らかにする 
 調査手法
 モニター会社を利用したインターネット定量調査 
 調査時期
 2023年1月10日-1月27日
 調査対象
 全国の正社員 22~60歳男女(農業、林業、漁業、鉱業、除く)
 ・【276名】管理部門に所属する副業・兼業制度担当者
   └人事(労務・制度企画・研修)、経営企画、リスク管理、法務など、管理部門人材
 ・【452名】副業・兼業制度の運用に関わる上司
   └副業の承認に関わる、副業希望者の上司
 ・【218名】上記2つを兼任する関係者 
 実施主体
 株式会社フクスケ 
 引用について:本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
 出所の記載例:株式会社フクスケ「企業における副業・兼業制度 運用関係者意識調査 2023」

  2. www.fkske.com 目次
 概要 
 調査概要・サマリ・提言
 調査結果①
 企業における副業・兼業制度 運用関係者意識調査 
 調査結果②
 制度担当者編(管理部門)

    
 調査結果③
 副業希望者上司と制度担当者のギャップ編 
 調査結果④
 副業・兼業制度のプライベート・プライバシー編 
 提言
 調査結果①-③を踏まえ 
 Appendix

  3. www.fkske.com 調査結果サマリ
 ①企業における副業・兼業制度 運用関係者意識調査
 • 制度関係者全体の75%がストレスを感じながら会社の副業・兼業制度を運用して いる。65%が通常業務含め人手不足を感じている。
 
 
 • 会社が従業員の副業・兼業を制限できる4大項目のチェック充実度では平均20%

    程度が十分チェック・運用できていると感じている。一方2倍の40%程度が十分に チェックできていないと感じる。
 
 
 • 自社の副業・兼業制度が届出しやすいと感じる回答は41%、業務時間外へのプ ライベート・プライバシー配慮の懸念を感じる関係者は54%と半数を超え、関係 者内でも制度のあり方に関する懸念を感じる結果になった。

  4. www.fkske.com 副業・兼業制限4大項目の運用充実度5段階評価 
 副業制度の運用で確認が必須な4大項目※に対する運用・確認の充実度を5段階評価。十分確認できているとの回答は 20%前後の回答だった。十分確認できていないとの回答が全項目で40%と比較的高い数値を示した。
 ※モデル就業規則(R4.11版) 第14章 第70条2 ①-④(厚生労働省)
 n=946(%) 副業・兼業者の


    過重労働防止など安全配慮
 副業・兼業者の競業化
 (競合先企業取引、業務内容の競業化等)
 情報資産の横領、守秘情報漏えい、不正活用(情 報漏えい、不正競争防止等)
 信用毀損、コンプライアンス違反
 (反社チェック、副業内容の法令遵守等)
 確認できている 確認できていない 判断できない n=947選択率(%)

  5. www.fkske.com 調査結果サマリ
 ②制度担当者編
 • 制度担当者は関係者より高いストレスを受ける傾向があり、副業を希望する関係者からのクレームや ハラスメント、トラブルを受けやすい。(75.8%) 
 
 
 •

    ストレスを受ける制度担当者の中でも人事関係者(労務・研修・企画)担当がトップで影響を受けやす い。
 
 
 • ストレス度が高い業務は「副業のリスクチェック」(50.5%)「副業者からの問い合わせ」(47.3%)「副業 制度の説明」(46.4%)。副業希望者とのコミュニケーション時に発生する業務が高い割合を示した。 
 
 
 • 本業に支障を出した副業の78%が何かしらの処分が必要な深刻な事故。制度運用には管理部門 関係者が広く関わり、コミュニケーション面では人事、危機対応になると非人事関係者が関わる傾向 がある。
 
 
 • 制度担当者の半数以上が副業・兼業希望者からの問い合わせに困っていて、制度運用を外部に 移転したいと考えている。中でもトラブルやハラスメントを受けた担当者は未経験者よりも20%も高い 非内製化意向を持っている。 

  6. www.fkske.com 事故事例の1部抜粋 
 
 【製造業】【1000-10000名未満】 
  機密情報の漏洩 
 
 【商社・卸売り・小売業】【100-1000名未満】

    
  本業労務への支障 
 
 【製造業】【100-1000名未満】 
  本業資産の不正利用、資金横領 
 
 【サービス業】【1000-10000名未満】 
  情報漏えい
 
 【金融・証券・保険業】【1000-10000名未満】 
  顧客情報の漏洩 
 
 【金融・証券・保険業】【10000名以上】 
  本業先、副業先を巻き込んだトラブル 
 副業経由での事故トラブルの78%が処分が発生する事故
 事故経験者 n=161
 副業による事故やトラブルの深刻度調査では全体の78%が何らかの処分が発生するトラブルだった。中 でも損害賠償請求や副業先と本業先を巻き込む深刻なトラブルは全体の44%と半数近くを占め、顧客情 報の盗難などの内部不正として発生する事がわかった。 
 発生した副業経由での本業トラブルの深刻度

  7. www.fkske.com 制度を外部移転したい 
 制度を外部移転したくない 
 ハラスメント・ヒヤリハット を受けた事がある ハラスメント・ヒヤリハット を受けた事がない 副業制度担当者の運用持続化の危機意識ギャップ


    副業制度の運用を内製化せずに外部移転したいと答えた担当者のうち、72%が制度運用での逆ハラスメントやヒヤリハットを 経験している。ハラスメントやヒヤリハットを経験していない担当者でも半数が非内製化を希望しており、危機経験の有無により 20%近くの差が出た。
 (%) 制度担当者n=224

  8. www.fkske.com 調査結果サマリ
 ③関係者と制度担当者のギャップ編
 • 制度担当者(管理部門)の半数は自社の副業・兼業制度は届出がしやすく、プライバシー配慮も十 分と感じているが副業希望者の上司や兼任者では反対の意見が半数を超え、中でも兼任者の 71%が届出しにくいと回答した。 
 
 •

    制度担当者と副業希望者上司との意識ギャップの中で制度へのスタンスや従業員への配慮の仕 方に差分が大きく出る傾向があり、78%-74%の制度関係者全員が届出しやすいと感じる副業・兼業 制度は副業希望者へのプライバシー配慮を感じる傾向があった。一方プライバシー配慮が十分で ないと感じる制度の届出しやすさは29%-19%と非常に低く、中でも兼任者のプライバシー配慮が 一番低い80%という回答が出た。 
 
 • 副業・兼業制度の内製化方針と外部移転の質問クロスでは、プライバシー配慮が高い組織ほど制 度を外部移転したい傾向が高く、関係者の74%-64%が非内製化を希望した。一方制度関係者の プライバシー配慮が低いほど、制度の内製化需要が高まり最大75%(兼任者)-最低53%(制度担 当者)が外部移転したくないと回答した。制度関係者の制度運用とプライバシー配慮に関する思想 の違いがうかがえる結果がでた。 
 

  9. www.fkske.com 関係者と管理部門における副業・兼業制度のユーザビリティギャップ③ 
 届出がしにくいと感じる副業・兼業制度の傾向として関係者全員からプライバシーへの配慮が十分でないと感じるものが多く、 最大で70-80%近くまで高まることが分かった。関係者、管理部門両者が届出しやすいと感じる制度は高いプライバシー配慮 があることが分かった。
 プライベート・プライバシー配 慮を感じる
 プライベート・プライバシー
 配慮を感じない


    届出しにくい
 副業・兼業制 度が届出しや すい
 非 内 製 化
 プライバシー への
 配慮意識が 薄い
 勤務時間外 などプライバ シーへの配 慮意識が高 い
 傾向
 【n=200】制度担当者(管理部門)
 【n=200】兼任者
 【n=200】従業員の上司
 ※全回答者種別が同等になるように補正した 上で比較分析。

  10. www.fkske.com 関係者と管理部門における副業・兼業制度のユーザビリティギャップ④ 
 制度を外部移転したい 
 制度を外部移転したくない 
 プライベート
 プライバシー配 慮が十分だと

    感じない
 プライベート
 プライバシー配 慮が十分だと 感じている
 非 内 製 化
 内 製 化
 内 製 化
 意向度
 制度関係者がプライバシー配慮が十分でないと感じる制度ほど外部移転を希望せず、内製化の希望が高い傾向があった。制 度関係者が制度利用者のプライバシー配慮を重視しているほど、制度運用の外部移転を希望する傾向が高いことが分かる。
 【n=200】制度担当者(管理部門)
 【n=200】兼任者
 【n=200】従業員の上司
 ※全回答者種別が同等になるように補正し た上で比較分析。

  11. www.fkske.com 調査結果サマリ
 ④副業・兼業制度のプライベート・プライバシー編
 
 • プライベートの副業を知られたくないが副業者が会社へ副業を届け出しない理由として1位の結果 がある中、制度に関係する上司・兼任者では70−80%がプライベート配慮したいと回答した。一方 両者のうち18−28%はプライベートを尊重しない関係者もいる事が分かった。 
 


    • 副業を希望する上司のスタンスではほぼ半数が部下の副業を推奨・応援するスタンスを持ってい る。一方否定的なスタンスを持つ回答も10%程度存在し、上司が副業制度に関わる際のスタンス の違いがある事がわかる。 
 
 • プライバシー配慮を感じない制度の特徴として、副業者からの過度な情報収集、社内での情報の 過度な共有や取り扱い、本業評価連動、上司が承認プロセスに入るなど、厚労省ガイドラインでも 本業先に注意喚起される項目が上位にきた。 
 
 • 組織規模別では1,000名以上の組織で本業評価の連動や情報の取り扱い、一貫性のない不許可 理由の説明などが問題に上がりやすい傾向がでた。 

  12. www.fkske.com 副業希望者の上司(n=420)
 
 上司兼制度担当者(n=201)
 副業者からの必要以上の情報収集
 1
 副業者情報の過度な社内共有(取り扱い)
 副業者情報の過度な社内共有(取り扱い)
 2
 副業者からの必要以上の情報収集


    本業評価への連動
 3
 上司が承認プロセスに入る事
 制度関係者からみたプライベート・プライバシー配慮を感じない制度の特徴
 配慮がない制度の特徴上位は副業希望者の情報の過度な取得、取り扱いなど、個人情報に関わる項目が多い。次に上司が承認プ ロセスに入ることや本業評価への連動など本業内の上意下達型統制システムと公私が交じりやすい連動系項目が上位に入る。副業 を理由に本業内で不利益な扱いを行うことや過度な情報取得など最新の厚労省ガイドラインで本業先へ注意喚起されている内容が 上位にくる結果となった。 
 選択率(%)

  13. www.fkske.com 提言
 今一度持続的な運用方法を見直す機会に
 2018年の働き方改革による副業・兼業解禁で企業への副業・兼業の一律禁止の禁止が明示され、2022 年7月の副業兼業ガイドライン内での企業への制限理由の開示など、従業員の個人時間でおこなう副業 ・兼業への配慮が高まる一方、企業内での副業・兼業への対応には未だ混乱が見られる。 
 
 労働人口が確実に減少し、今後も副業・兼業が推奨され続ける中で副業・兼業制度担当者が制度運用 で受け続ける負荷課題と、会社内での制度のあり方に関する潜在的なギャップを今回複数可視化する

    事ができた。
 
 人的資本経営を推進する人材版伊藤レポート内でも自律的なキャリアを形成する目的での社外への越 境機会とする副業・兼業が推奨されるが、会社側が従業員の個人時間でおこなう副業への高いプライバ シー配慮が前提にない場合使われづらく、隠れ副業者の増加や関係者との一貫性のない運用ギャップ 増加などトラブルや事故に繋がる危険性が見えた。 
 
 副業・兼業制度にどのような構造課題があり、誰のための、どのような課題を解決するための手段なの か、改めて社内で振り返るための一助としていただきたい。