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学術機関におけるID連携とOpenID Connect
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Naohiro Fujie
September 18, 2024
Technology
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740
学術機関におけるID連携とOpenID Connect
AXIES認証基盤部会での勉強会向け資料。
SAMLを知っている人向けのOpenID Connectの説明をしています。
Naohiro Fujie
September 18, 2024
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Transcript
学術機関におけるID連携とOpenID Connect 2024/09/17 富士榮 尚寛 OpenIDファウンデーションジャパン代表理事 OpenID Foundation eKYC and
Identity Assurance WG共同議長 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社 みらい研究所長
はじめに 学術機関で利用するIdP/SPの傾向 SAMLを知っている人向けのOpenID Connect OpenID Connectの基本 OpenID Connect/OAuthの応用 機関IdPをOpenID Connect対応にするためには
その他の話題 本日のお話し(アジェンダ) 2 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
SAMLとOpenID Connectの比較や優劣について話す セッションではありません あくまで学術機関でOpenID Connectに対応した機関 IdPを使うために必要な技術情報の提供が目的です はじめに 3 Copyright ©
2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
主要プラットフォームでの採用 OpenID Connectは、Google、Facebook、LINE、Yahoo! JAPAN、Appleなどの主要なIDプロバイダーによって採用さ れています。これらの大手プラットフォームが対応していることから、間接的に多くのユーザーがOpenID Connectを利用してい ると推測できます。 企業での普及 クラウドサービスの利用が企業でも一般化する中、新しいサービスへのログイン時にGoogleやFacebookなどの認証サーバーを 使ったID連携が広まっています。これにより、企業ユーザーの間でもOpenID
Connectの利用が増加していると考えられます。 技術的な採用 多くのWebアプリケーションやモバイルアプリが、ユーザー認証にOpenID Connectを利用しています。これにより、ユーザーは 新規登録の手間を省き、既存のアカウントでログインできるようになっています。 将来的な普及 OpenID Connectは、業界大手が仕様策定作業に参画しており、実装も積極的になされているため、今後さらに普及する ことが予想されています。 ただし、具体的な利用者数を示す統計データは見つかりませんでした。OpenID Connectは認証の仕組みであり、多くのユー ザーが意識せずに利用している可能性が高いため、正確な利用者数の把握は難しいと考えられます。 OpenID Connectの普及状況 by Perplexity 4 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
5 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
用途による選択 企業向けシステム SAMLは企業システム間の認証に広く利用されており、社内の複数アプリケーションへのシングルサインオンに適しています。 消費者向けサービス OpenID Connectは消費者向けWebサイトやモバイルアプリでの利用に適しており、ソーシャルログインなどに広く採用されています。 技術的特徴 SAML XMLベースのプロトコル、仕様が複雑で実装が難しい、企業システムとの親和性が高い OpenID
Connect JSONベースのプロトコル、実装が比較的容易、モバイルアプリやWebアプリとの相性が良い まとめ 企業内システムの認証連携にはSAMLを、消費者向けサービスにはOpenID Connectを採用するのが一般的 です。ただし、具体的な要件や連携先システムの状況を踏まえて判断することが重要です。両方の規格に対応で きるソリューションを選択することで、柔軟な対応が可能になります。 SAML or OpenID Connect by Perplexity 6 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
IdP Shibboleth一択からEntra ID(Microsoft)やExtic(Exgen)などのIDaaS への切り替えが進んできた Shibbolethのバージョンライフサイクルの問題、破壊的変更の多さ サーバインフラの運用の手間とコスト IDaaSのプライマリ対応プロトコルはOpenID Connectにシフトしつつある SP Shibboleth
SPを組み込む自前アプリからSaaSの利用拡大が進んできた BoxやMicrosoft 365など まだエンタープライズ向けのSPはSAML対応しているものもあるが、OpenID Connect対応のものが増えてきた 学術機関におけるIdP/SPの傾向(私的観測) 7 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
SPファーストで機能選択が行われる 繋ぎたいSPが対応しているプロトコルが重要 キラーアプリは? 学認対応のためのSAML/Shibboleth? 学内利用はEntra ID、学認連携用にShibboleth、という多段構成にすることも 現実論としての機関IdP 8 Copyright ©
2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
やれることは表層的には殆ど変わらない ID連携(Federation)のためのプロトコル IdPで発行されたアサーションをSPへ連携する仕組み 結果、認証情報の集中管理やSSOによる利便性提供を実現 ものすごく雑にいうと SAMLはXML、OpenID ConnectはJSONでID情報を表現する ID情報のやり取りはどちらもHTTPベースで実装が可能なのでほぼ変わらず バインディングの種別も類似(主流は若干異なるが同じことはできる) SAMLの主流はHTTP
POST Binding(OpenID Connectでいうところのimplicit flow) OpenID Connectの主流はcode flow(SAMLでいうところのArtifact Binding) SAMLを知っている人向けのOpenID Connect 9 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
あえて比較してみると殆ど変わらない SAMLを知っている人向けのOpenID Connect 10 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All
Rights Reserved SAML OpenID Connect 仕様策定時期 2005年(SAML2.0) 2014年(OpenID Connect 1.0) ID情報(Assertion)のフォーマット XML JSON(JSON Web Token) Assertionへの署名方法 XML Signature (正規化の上で署名) JWS(JSON Web Signature) (正規化不要) 署名検証鍵の公開方法 Metadata交換 Metadata公開(JWKS_URI) Assertionの暗号化方法 XML Encryption JWE(JSON Web Encryption) IdP-SP間の信頼関係 Metadata交換 Client登録 エンドポイント情報の探索 Metadata交換 Metadata公開(Discovery) トランスポートプロトコル HTTP、SOAP HTTP バインディング フロントチャネル)HTTP POST、HTTP Redirect バックチャネル)HTTP Artifact ※HTTP系のみ(SOAP系は省略) フロントチャネル)Implicit Flow バックチャネル)code flow
モジュラー型の設計 JWS/JWE/JWK/JWT/WebFinger/ID Tokenをうまく利用 最も重要な思想 making simple things simple and complicated
things possible →シンプルなことは簡単に実装でき、複雑なことも実現できるように そのための意思決定 正規化しない、ASCIIアーマー、JSON、REST 全ては実装の簡素化によるバグ・脆弱性の入る余地を最小化するために OpenID Connectの設計思想 11 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
OpenID Connect 1.0 は, OAuth 2.0 プロトコルの上にシンプルなアイ デンティティレイヤーを付与したものである. このプロトコルは Client
が Authorization Server の認証結果に基づいて End-User のアイデン ティティを検証可能にする. また同時に End-User の必要最低限のプ ロフィール情報を, 相互運用可能かつ RESTful な形で取得することも 可能にする. OpenID Connect Core 1.0 日本語訳 http://openid-foundation-japan.github.io/openid-connect-core-1_0.ja.html OpenIDファウンデーション・ジャパン翻訳・教育WG OpenID Connectの基本 12 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
OAuth 2.0 は, サードパーティーアプリケーションによるHTTPサービスへの 限定的なアクセスを可能にする認可フレームワークである. RFC 6749: The OAuth 2.0
Authorization Framework 日本語訳 http://openid-foundation-japan.github.io/rfc6749.ja.html OpenIDファウンデーション・ジャパン翻訳・教育WG OAuth2.0とは 13 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
リソースオーナー:利用者(リソースサーバで提供されるリソースの持ち主) OAuthクライアント:Webアプリ、スマホアプリなど リソースサーバ:API、サービスを提供するサーバ スコープ:認可の範囲を表す 認可サーバ:認可を行う(アクセストークンを発行する)サーバ 基本的な構成要素と考え方(OAuth2.0) 14 Copyright © 2024,
Naohiro Fujie, All Rights Reserved OAuthクライアント (Webアプリ、スマホアプリなど) リソースサーバ (API、サービス) 認可サーバ (OAuthサーバ) スコープに基づき許可 (認可) 認可に基づき アクセストークンを発行 アクセストークンを 提示してアクセス リソースを所有 利用者 (リソースオーナー)
3rdパーティのカレンダーアプリからGoogleカレンダーへアクセスする許可を与える(利用者に代 わってカレンダーアプリがGoogleカレンダーへアクセスすることを認可する) アクセス制御というよりも「権限委譲」という意味合いの方が近い 3rdパーティアプリへID/パスワードを覚えさせなくてもユーザの代わりにAPIアクセスができる 典型的な使われ方 15 Copyright © 2024, Naohiro
Fujie, All Rights Reserved カレンダーアプリ Google Calendar API Google Account 利用者 (リソースオーナー) カレンダーアプリに対してアイテ ムの読み出しを許可 認可に基づき アクセストークンを発行 アクセストークンを 提示してアクセス リソースを所有
OAuthクライアントがリソースサーバのID情報を取得する リソースオーナーの認証結果、属性情報など OpenID Connectでの呼び方 OAuthクライアント=RP/Relying Party(SAMLでいうSP) リソースサーバ=OP/OpenID Provider(SAMLでいうIdP) ID情報の取得 スコープとしてopenidを指定することでアクセストークンに加えてid_token(SAMLでいうAssertion)を取得
スコープとしてemailやprofileなどを指定することでuserInfoエンドポイント(通常IdPが提供するAPIエンドポイ ント)からID情報(属性など)を取得 ※id_tokenにもID情報を含められるがトークンのサイズの巨大化の問題や認証時以外の情報取得に対応する ためuserInfoエンドポイントを併用するケースが多い →ID連携のいつもの動き(RPへアクセスするとOPへリダイレクト、認証結果とユーザ属性が返却される)へ IDのレイヤーを付加する→OpenID Connect 16 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
SAMLでいうところのBinding(雑な説明) 以下の3つが定義されている 基本的なフロー 17 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All
Rights Reserved フロー 特徴 RPからOPへの直接通信 SAMLでいうところの Code flow 一番基本的なフロー バックエンドで処理 あり Artifact Binding Implicit flow ファイアウォールなどでRPからOPへ直接通信 できない環境などで利用するためフロントエン ドで処理 なし ※jwks_uri, userInfoを使わな い場合 HTTP Redirect Binding Hybrid flow Code flowをよりセキュアにするためのフロー あり 該当なし
Code flow 18 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights
Reserved 署名検証用の鍵の取得やuserInfoへのア クセスをしなくてもRPからOPへのイン バウンド通信が発生する
Implicit flow 19 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights
Reserved 署名検証用の鍵の取得やuserInfoへのア クセスをしなければRPからOPへのイン バウンド通信は発生しない
JWT(JSON Web Token)形式 JSON Web Token (JWT) - draft-ietf-oauth-json-web-token-11 日本語訳
http://openid-foundation-japan.github.io/draft-ietf-oauth-json-web-token- 11.ja.html OpenIDファウンデーション・ジャパン翻訳・教育WG 内部構造 ヘッダ:署名や暗号化形式など ペイロード:クレーム(属性)セット、暗号化する場合も シグニチャ:デジタル署名 Base64Urlエンコードし、”.”で各パートを連結する eyJhb--snip--iJ9.eyJpc3--snip--pwIn0.gC4ub--snip--yBm0 id_token(SAML Assertionに相当) 20 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
id_tokenの中身(LINE OPの例) 21 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights
Reserved Claim Type Value Notes iss https://access.line.me JWTの発行者(issuer)を表す識別子 sub U9f1cac4f164ef3f5c02c92d0067a11 a1 JWTの主体(subject)を表す識別子 LINEの場合はuserId aud 1516319320 JWTの発行先(audience)を表す識別子 LINEの場合はclient_id exp 1552324580 JWTの有効期限(UNIX Time) iat 1552320980 JWTの発行時刻(UNIX Time) nonce 51501f6a-9a12-4d42-ad72- 0d36e44df96f リクエスト時に設定したnonceの値 リクエストと発行されたid_tokenの中の値がマッチするかどうかを検 査し置き換え攻撃を検知する name Naohiro Fujie 名前。LINEの場合は表示名 picture https://profile.line-scdn.net/0m0-- snip-- xxx プロファイル写真のURL email
[email protected]
メールアドレス
OAuthはフレームワーク OpenID Connectを含め様々な仕様やプロファイル (ユースケースに特化した使い方)を策定 例) 身元確認)OpenID Connect for Identity Assurance
高セキュリティ環境での利用)Financial-grade API Security Profile トラスト確立)OpenID Federation 資格情報の発行・提示)OpenID for Verifiable Credentials関連仕様 リスク情報の共有)Shared Signals Framework OpenID Connect/OAuthの応用 22 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
OpenID Connect for Identity AssuranceではOPによ るアイデンティティに関する保証状態を表現可能 例) XXXというトラストフレームワークに基づき YYYという確認書類を使い 対面で
トランザクション番号ZZZで 確認を行った 組織と個人の関係性の表現についても策定中 個人が組織の中でどのような権限を持つか、誰がその権限を付与したか、など 身元確認とトラストフレームワーク 23 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
OpenID Connect for Identity Assuranceの例 24 Copyright © 2024, Naohiro
Fujie, All Rights Reserved "verified_claims": { "verification": { "trust_framework": "authority_claims_example_framework", "time":"2020-04-23T18:25Z", "verification_process":"f24c6f-6d3f-4ec5-973e-b0d8506f3bc7" }, "claims": { "given_name": "Bob", "family_name": "Smith", "birthdate": "1981-01-26", "authority": [ { "applies_to": { "organization_name": "Example Company Limited", "trading_as": "XAmple", "registered_address": "123 Acacia Avenue, Newtown, UK", "registration_number": "12351235", "registration_authority_code": "RA000585", 身元確認がどのトラストフレームワー クに則っていつ実行されたのか? 確認済みの属性情報 確認済みのアイデンティティ関連す る組織の情報
色々と選択肢が出始めてきている Shibboleth or IDaaS or オンプレIdP Shibbolethはいつまで経ってもPlugin扱い 留意点(結局はどんなSP/RPを使うか次第) IdPの配置とフローをどうするか(ファイアーウォールの中?外?IDaaSかどうか) インバウンド通信を許可したくなければImplicit
flowとなるがjwks_uriやuserInfoをどうできるかはRP次第 (RP側にスタティックに公開鍵を設定できるかどうか、userInfoのアクセスを止められるかどうか) id_tokenを暗号化するか(意外と対応していないOP&RPが多い) 学認IdPのノリでカジュアルに考えているとダメなこともある 学認IdPと兼用にするか(SAMLが喋れるか、学認メタデータを読み込めるか) SAMLは喋れても学認メタデータを読み込むところは開発が必要(開発できる余地があればまだマシ) 結局Shibbolethと多段構成にするとIDaaSのメリットは激減 機関IdPのOpenID Connect対応時の留意点 25 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
認証コンテキストと認証手段を表すClaim SAML:AuthnContextClassRefでまとめて表現 OpenID Connect:acrとamrに分かれている SPからの認証コンテキストの要求 SAML:AuthnRequest内でAuthnContextClassRefを指定 OpenID Connect:リクエスト時にacr_valuesをqueryで指定 →結構対応していないOP/RPが多いので注意 (特に次世代学認に対応させようとすると注意)
その他留意点)認証コンテキストの話 26 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
学認の識別子フォーマット(学認運用基準より) nameid urn:oasis:names:tc:SAML:2.0:nameid-format:transient(匿名値) eduPersonTargetedId urn:oasis:names:tc:SAML:2.0:nameid-format:persistent(仮名値) OpenID Connectにおける識別子(sub) Subject Identifier Type
public:すべてのRPへ同一の値を提供する Pairwise:RPごとに一意の値を提供する(仮名) SAMLのtransientに該当するフォーマットは存在しない その他留意点)識別子の話 27 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
SAML is Deadの真の意味 十分に成熟、仕様拡張はほぼされない→良い意味で枯れた技術 OpenID Connect/OAuth周辺仕様は進化中 Internet Identity WorkshopではAuthnContextClassRefをSAML/OpenID Connectで共通化する取り組み(by
Pam Dingle) エンタープライズ向けアイデンティティに関する新WG「Interoperability Profiling for Secure Identity in the Enterprise」の設立に向けた動き 資格証明(Verifiable Credentials関係)の利活用を見据えた仕様 オープンエコシステムの中で仕様開発(ISO/IEC、W3C、IETF、DIF等と協業) その他の話題 28 Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
学術機関における次世代IdPの あるべき姿を一緒に考えていきましょう! Copyright © 2024, Naohiro Fujie, All Rights Reserved
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