ログラス共同創業者の坂本龍太が、CTOを降りてFDE(Forward Deployed Engineer)になった理由を、個人のキャリアと会社の意思決定の両面から話すトークです。
大企業の経営陣からは「AIは賢くなったのに、なぜ経営の自動化も高度化も進まないのか」という相談をよく受けます。経営管理は会社ごとに正解が違い、子会社100社超のグループでは、意味も基準も違う数字が本社に届きます。多くの企業は数字の取りまとめで手一杯で、分析まで手が回っていません。
CTOを降りた理由は、市場、会社、自分の三つにあります。LLMはどの会社も同じものを使えるので、差は社内のデータと業務ロジックで決まります。会社は、AIで経営判断そのものを変えると決めました。そして、会計を学んだエンジニアの価値が一番出るのは顧客の現場でした。現場で作った部品は自社の基盤に戻し、次の顧客でも使います。ここがSESとの違いです。
MIXI様の事例では、月次の定常業務を約70%削減しました。9つの処理のうちLLMに任せたのは文章を書く1つだけで、数字と合否は決定論的なコードで出します。AIは確率で動き、組織は責任で動くからです。
エンジニアに残るスキルとして、正解を顧客と一緒に決める力、社内のコンテキストを読む力、AIが足したコードを削る力、運用に責任を持つ力を挙げます。AI活用を止めているのは、データとセキュリティをめぐる部署間の調整です。その間に入ることが、FDEの一番の価値だと考えています。
最後に、現場で聞いた「もう前には戻れない」という一言と、数十TBのERPや4時間のバッチ処理など、現場に行かないと見えない課題を解く面白さを伝えて締めくくります。