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マネージャー&リーダー向け 社内トレーニング / Training of management and leadership for Stockmark

iwashi
August 01, 2023

マネージャー&リーダー向け 社内トレーニング / Training of management and leadership for Stockmark

ストックマークの社内研修の公開版※資料です。
(※実際に研修で利用したものとは異なります)

iwashi

August 01, 2023
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Transcript

  1. © 2023 Stockmark Inc. 本資料での マネジメント と リーダーシップ • 本資料では、ざっくり以下の解釈で利⽤ ◦ マネジメント =

    ⽬標に向けて何とかする       (様々な⼿段でやりくりする)⽅法 ◦ リーダーシップ = ⽬標達成に向けてチームや組織を         動かすための1つの⾏動‧考え⽅
  2. © 2023 Stockmark Inc. 続:本⽇の注意点 • 完全に同⼀条件の組織やチームは存在しない = 確実に再現する‧通⽤する答えがない •

    ⼀⽅で多くの場合に効果的な考え⽅や振る舞い、 パフォーマンスを下げるアンチパターンは存在 • そのため、本⽇の内容は⾃⾝の環境に読み替えて応⽤すること
  3. © 2023 Stockmark Inc. • 岩瀬 義昌 (@iwashi86) • 最近は通信企業で⽣成AI系のPJ

    Lead ◦ その前はアジャイル開発や プロダクトマネジメントの全社⽀援 ◦ その前は⼈材開発 (マネージャー育成を含む) • Podcaster (fukabori.fm) • 書籍翻訳者 ⾃⼰紹介
  4. © 2023 Stockmark Inc. マネージャーのアウトプットとは? • マネージャーのアウトプット = ⾃分の組織のアウトプット +

    ⾃分の影響⼒が及ぶ隣接諸組織のアウトプット ※組織 ◦ 意識的に調整された2⼈、 またはそれ以上の⼈々の活動や諸⼒のシステムである (バーナード)
  5. © 2023 Stockmark Inc. マネージャーのアウトプットとは? • マネージャーのアウトプット = ⾃分の組織のアウトプット +

    ⾃分の影響⼒が及ぶ隣接諸組織のアウトプット → では、組織のアウトプットは?
  6. © 2023 Stockmark Inc. 組織のアウトプット 組織のアウトプット = メンバーの能⼒ x メンバーの熱量 -

    チームや組織の摩擦‧制約など • 補⾜ ◦ 能⼒がなければ、どんなに熱量があってもアウトプットは出ない ◦ どんなに能⼒が⾼くても、熱量ややる気がゼロならばアウトプットは出ない ◦ どんなに能⼒や熱量があっても チームや組織の摩擦‧制約‧阻害要因があれば⼒が発揮できない
  7. © 2023 Stockmark Inc. 組織のアウトプット 組織のアウトプット = メンバーの能⼒ x メンバーの熱量 -

    チームや組織の摩擦‧制約など 上げる or 下げる ために何をするか? 今日の残りの話は、すべてここにつながる
  8. © 2023 Stockmark Inc. チームの5つの機能不全要因 1. メンバー間の信頼の⽋如 2. 信頼がないことによる、衝突への恐怖 3.

    衝突への恐怖による、責任感の不⾜ (たとえば、表⾯上は同意して⾏動を起こさない) 順 序
  9. © 2023 Stockmark Inc. チームの5つの機能不全要因 1. メンバー間の信頼の⽋如 2. 信頼がないことによる、衝突への恐怖 3.

    衝突への恐怖による、責任感の不⾜ (たとえば、表⾯上は同意して⾏動を起こさない) 4. 責任感の不⾜により、説明責任の回避 (たとえば、良くない⾏動や態度を⾒て⾒ぬふりに) 順 序
  10. © 2023 Stockmark Inc. チームの5つの機能不全要因 1. メンバー間の信頼の⽋如 2. 信頼がないことによる、衝突への恐怖 3.

    衝突への恐怖による、責任感の不⾜ (たとえば、表⾯上は同意して⾏動を起こさない) 4. 責任感の不⾜により、説明責任の回避 (たとえば、良くない⾏動や態度を⾒て⾒ぬふりに) 5. 互いの説明責任の回避による、結果への無関⼼ 順 序
  11. © 2023 Stockmark Inc. (反対に)チームの5つの機能要因 1. 互いを信頼する 2. 信頼を⼟台に、アイデアをめぐって遠慮なく衝突する 3.

    衝突して合意した決定や計画に責任を持って取り組む 4. 計画を守れなかった場合に、互いに責任を追求する 5. チーム全体の⽬標達成へ
  12. © 2023 Stockmark Inc. (反対に)チームの5つの機能要因 1. 互いを信頼する ⇐ どうやって作り上げるか? 2. 信頼を⼟台に、アイデアをめぐって遠慮なく衝突する 3.

    衝突して合意した決定や計画に責任を持って取り組む 4. 計画を守れなかった場合に、互いに責任を追求する 5. チーム全体の⽬標達成へ
  13. © 2023 Stockmark Inc. 先に知っておいてほしいこと • 前頭前⽪質 ◦ 脳内で理性と論理を司る ◦

    深く‧複雑な問題解決時に活動 • 扁桃体 ◦ 安全性や脅威を分析する ◦ 脅威に遭遇したときに考えるのではなく闘争 or 逃⾛反応を起こす → その個⼈の⼤事なこと(コアニーズ)が脅かされると反応し始める
  14. © 2023 Stockmark Inc. コアニーズの6分類 : BICEPS • Belonging:所属感‧帰属意識 •

    Improvement:改善‧進捗 • Choice:(⾃主的な)選択 • Equality / Fairness:平等 / 公平 • Predictability:予測可能性 • Significance:重要性 https://www.palomamedina.com/biceps
  15. © 2023 Stockmark Inc. コアニーズの6分類 : BICEPS • Belonging:所属感‧帰属意識 ◦

    チームやグループからの拒絶により脅かされる 例:⾃分だけミーティングによばれていない • Improvement:改善‧進捗 • Choice:(⾃主的な)選択 • Equality / Fairness:平等 / 公平 • Predictability:予測可能性 • Significance:重要性 https://www.palomamedina.com/biceps
  16. © 2023 Stockmark Inc. コアニーズの6分類 : BICEPS • Belonging:所属感‧帰属意識 •

    Improvement:改善‧進捗 ◦ 組織‧チーム‧個⼈であれ前に進んでいないと脅かされる 例:⽇々の仕事にチャレンジがない、キャリアが停滞している • Choice:(⾃主的な)選択 • Equality / Fairness:平等 / 公平 • Predictability:予測可能性 • Significance:重要性 https://www.palomamedina.com/biceps
  17. © 2023 Stockmark Inc. コアニーズの6分類 : BICEPS • Belonging:所属感‧帰属意識 •

    Improvement:改善‧進捗 • Choice:(⾃主的な)選択 ◦ ⾃分の⽣活や仕事に仕事に決定をくだせる。ただし、要バランス。 選択肢が多すぎると圧倒されるが、少なすぎると無⼒感に。 • Equality / Fairness:平等 / 公平 • Predictability:予測可能性 • Significance:重要性 https://www.palomamedina.com/biceps
  18. © 2023 Stockmark Inc. コアニーズの6分類 : BICEPS • Belonging:所属感‧帰属意識 •

    Improvement:改善‧進捗 • Choice:(⾃主的な)選択 • Equality / Fairness:平等 / 公平 ◦ 全員が情報‧リソース‧サポートに、平等に公平にアクセスできる ◦ 仮に、⼀部の特権メンバーだけが優遇されていたら‧‧‧? • Predictability:予測可能性 • Significance:重要性 https://www.palomamedina.com/biceps
  19. © 2023 Stockmark Inc. コアニーズの6分類 : BICEPS • Belonging:所属感‧帰属意識 •

    Improvement:改善‧進捗 • Choice:(⾃主的な)選択 • Equality / Fairness:平等 / 公平 • Predictability:予測可能性 ◦ 変化が⼀定予測できること。これも要バランス。 ◦ 変化がなさすぎると退屈。⼀⽅で、毎⽇劇的な変化があっても疲弊。 • Significance:重要性 https://www.palomamedina.com/biceps
  20. © 2023 Stockmark Inc. コアニーズの6分類 : BICEPS • Belonging:所属感‧帰属意識 •

    Improvement:改善‧進捗 • Choice:(⾃主的な)選択 • Equality / Fairness:平等 / 公平 • Predictability:予測可能性 • Significance:重要性 ◦ ⾃分が重要だと感じされているか ◦ 肩書や責任の範囲もこの領域 https://www.palomamedina.com/biceps
  21. © 2023 Stockmark Inc. BICEPS を考えるときの注意点 • ⾃分の価値観を相⼿に投影しないこと • 何かイベントが起きたとしても個⼈によって受け取り⽅が異なる

    ◦ 例:週5リモートワークだったが突然の⽅針変更で、   週4リモート & 週1 出社必須 になったら? ▪ Choice (⾃主的な選択) が重要な⼈であれば強制に反発するかもしれない ▪ Equally/Fairness: 家が遠い⼈は不公平に感じるかもしれない
  22. © 2023 Stockmark Inc. チームメンバーのコアニーズ(BICEPS) を相互把握するために • チームレベル ◦ ミーティングの冒頭で先程のワークをしてみる

    • 個⼈レベル ◦ 観察(どこでテンションが上がったか or 下がったか⾒てみる) ◦ 1on1 で聞いてみる ▪ 直接的:特に重要なものは?⼀⽅で、どっちでもいいものは? ▪ 間接的:どういうときに不機嫌になる?何でテンションが上がった? https://static1.squarespace.com/static/59b1c7dee45a7c768c8c3c9f/t/614136c888b0610ebde014ca/1631663816980/_BICEPS+Core+Needs+at+Work+for+Teams.pdf
  23. © 2023 Stockmark Inc. ここまでの内容の効果 組織のアウトプット = メンバーの能⼒ x メンバーの熱量 -

    チームや組織の摩擦‧制約など 熱量に影響する コアニーズを理解できる ‧信頼の構築 ‧健全な衝突の実現
  24. © 2023 Stockmark Inc. ここまでの内容の効果 組織のアウトプット = メンバーの能⼒ x メンバーの熱量 -

    チームや組織の摩擦‧制約など 採⽤のコストも⼤きい できれば能⼒を⾼めたい
  25. © 2023 Stockmark Inc. マネージャーの4つの帽⼦ • メンタリング‧ティーチング ◦ ⾃分の経験に基づいてアドバイスを提供し問題解決を⽀援する •

    コーチング ◦ ⾃分の意⾒を共有したり、すばやく問題を解決したりするのではなく オープンな質問をしてチームメンバーの内省を⽀援
  26. © 2023 Stockmark Inc. マネージャーの4つの帽⼦ • メンタリング‧ティーチング ◦ ⾃分の経験に基づいてアドバイスを提供し問題解決を⽀援する •

    コーチング ◦ ⾃分の意⾒を共有したり、すばやく問題を解決したりするのではなく オープンな質問をしてチームメンバーの内省を⽀援 • フィードバック ◦ チームが⾏うべきことに⼀致しているか否かの⾏動を観察し その観察結果を賞賛や提案とともに共有する
  27. © 2023 Stockmark Inc. マネージャーの4つの帽⼦ • メンタリング‧ティーチング ◦ ⾃分の経験に基づいてアドバイスを提供し問題解決を⽀援する •

    コーチング ◦ ⾃分の意⾒を共有したり、すばやく問題を解決したりするのではなく オープンな質問をしてチームメンバーの内省を⽀援 • フィードバック ◦ チームが⾏うべきことに⼀致しているか否かの⾏動を観察し その観察結果を賞賛や提案とともに共有する • スポンサリング ◦ チームメイトがレベルアップしたり 新しいリーダーの役割を引き受けたり、昇進したりする機会を探す
  28. © 2023 Stockmark Inc. スポンサリングの注意点 • マイノリティなグループは過渡にメンタリングされがち ◦ かつスポンサーも少ない ◦

    例:開発組織における⼥性エンジニア • イングループバイアス※が無意識に発動していることを意識する ※ ⾃分が所属する集団のメンバーを肯定的に評価しやすい傾向
  29. © 2023 Stockmark Inc. コーチング帽⼦の注意点 • 「コーチングを受け⼊れられるコーチャブルな⼈だけをコーチングした」 • 「コーチャブルな資質とは、正直さと謙虚さ、  あきらめず努⼒を厭わない姿勢、

     つねに学ぼうとする意欲である。」 • ⾔い換えれば、コーチャブルな状態でない⼈に コーチングスタンスで接しても効果がない、 むしろ反感を招くことがありうる
  30. © 2023 Stockmark Inc. なぜ⾔語化? • チームメンバーが兼務無しで2-3⼈であれば 容易に考えやステータス同期可能 • ⼀⽅で⼈が増えると、メンバー同⼠で

    誰が何をやっているか‧考えているか徐々に分からなくなる → その結果、仕事が宙に浮いたり、⽅向性がずれたりして   望むべきアウトカムが得られなくなっていく
  31. © 2023 Stockmark Inc. ⽬標設定 • 次の4つの組み合わせになっているもの ◦ たどり着きたい⽬標の状態 ◦

    現在のベースライン ◦ 現在のトレンド(現在のベロシティを表している) ◦ 時間の区切り
  32. © 2023 Stockmark Inc. ⽬標設定 • 次の4つの組み合わせになっているもの ◦ たどり着きたい⽬標の状態 ◦

    現在のベースライン ◦ 現在のトレンド(現在のベロシティを表している) ◦ 時間の区切り • 例: ◦ 2Q のリード獲得は60件だったが 3Q ではリード獲得を100件を⽬指す。
  33. © 2023 Stockmark Inc. ここまでの内容の効果 組織のアウトプット = メンバーの能⼒ x メンバーの熱量 -

    チームや組織の摩擦‧制約など 余計な摩擦や制約を 極⼩化したい
  34. © 2023 Stockmark Inc. マネージャー‧リーダーの⼤きな仕事 • コミュニケーションといっても⾊々ある ◦ 打ち合わせ /

    テキスト ◦ ⽇々の会話‧雑談 / 特別な情報の伝達 ◦ 個別 / 全体 • 特に厄介なのは⾔いにくい情報を伝える場合 ◦ プロダクトの撤退 / レイオフ / 退職 / 買収 / etc…
  35. © 2023 Stockmark Inc. 厄介な情報を戦略的‧計画的に伝える • なぜ戦略的? → 場当たり的にコミュニケーションしているとリスクが⾼まる  (たとえば、誰かの感情が爆発する など)

    • 抑えておくべき要素 ◦ 背景 ◦ 伝えるべき相⼿ ◦ タイムライン(どの順番で、いつ) ◦ 伝える内容 • 伝える相⼿のコアニーズは? • どんな⾔葉を選ぶべき?
  36. © 2023 Stockmark Inc. 具体的な計画例 日時 誰に どうやって 伝えること 8/1

    10:00〜 Aさん 開発ミーティングの終わりに 対面で • プロダクトの開発方針の変更 • Aさんはプロダクトのリードであり 最初に相談したこと • Bさんには自分から言うこと 8/1 16:00〜 Bさん オンラインの1on1で • 開発方針の変更 • Aさんには伝えてあること 8/3 13:00〜 ユニットリーダー全員 部門リーダー横断の 定例ミーティングで • 開発方針の変更 • 今後の予定 8/4 10:00〜 会社全員 会社全体のオールハンズで • 開発方針の変更 • 質問の対応
  37. © 2023 Stockmark Inc. 暗黙の前提がある 組織のアウトプット ※ = メンバーの能⼒ x メンバーの熱量

    - チームや組織の摩擦‧制約など ※ 結局は、⾃⾝の⼼⾝の健康状態に強く左右される
  38. © 2023 Stockmark Inc. 気にすべき対象は「⾃分も」 • 組織再編‧競争激化‧厄介な情報のコミュニケーションは マネージャーやリーダーの体⼒‧精神⼒を削る ◦ チームメンバーの感情にも向き合う必要がある

    • 「⾃分⾃⾝の疲れをどう対処すべきか?」 ◦ ⾃分の疲れやすい仕事‧タスクを知ってスケジュールを調整 ◦ タスク優先度の定期的な⾒直し ◦ プロジェクトの委譲 ◦ 「No」と⾔う
  39. © 2023 Stockmark Inc. No と⾔う • 多くの⼈にとって「嫌な」選択肢 ◦ 相⼿からネガティブな印象をもたれる可能性があるため

    • ⼀⽅でエネルギー消耗を改善する最も効果的な選択肢 • どうすれば No と⾔えるか? ◦ ミッション‧ビジョン‧今期の⽬標と照らし合わせて理由付け 例:「今期の重要⽬標は性能改善なので、そのタスク着⼿は難しいです」 ◦ 上位のマネージャーやリーダーに「No」の数を増やしてもらえるように依頼