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SREの技術力を評価させる技術
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kesompochy
May 22, 2025
Business
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SREの技術力を評価させる技術
https://forkwell.connpass.com/event/350514/
の発表資料です。
kesompochy
May 22, 2025
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Transcript
SREの技術力を評価させる技術 GMOペパボ株式会社 シニアエンジニア 染矢健人 2025-05-22 1
キャリア 2
3
本イベントは自身の成長やキャリアに課題を感じているSRE/インフラエンジニア を対象とします。 SRE/インフラエンジニアは、その業務の性質上、成果が見えに くいという課題を抱えがちです。 本イベントでは、SRE/インフラエンジニアの成 長をどのように支援し、評価していくべきか、そして、より上位の職位を目指す にはどうすればよいのか、といったテーマについて深く掘り下げます。 GMOペパボ株式会社のエンジニア、事業部CTO、技術責任者を登壇者に迎え、講 演とパネルディスカッションを通じて、SRE/インフラエンジニアのキャリア形成 に関するリアルな情報を提供します。特に、客観的な評価を可能にする職位・等
級制度に焦点を当て、参加者の皆様が、自身のキャリアについて改めて考えるき っかけとなり、具体的な行動へと繋がるような、実践的な内容をお届けします。 https://forkwell.connpass.com/event/350514/ 4
キャリ ア???? 5
キャリアの話を考えるのが苦しい 人生設計はしたくない、したことがない 「キャリア」と表記すると、途端にうさんくさくなる 「人によるよね」ですべて完結するだろう 個人的には今の職種をいつ放り捨ててもいいと思っているくらいには、 「キャリ ア」を大切にしていない 6
評価 7
カネの話ならしやすい 雇われソフトウェアエンジニアの多くは評価で報酬が決まっているのではないだ ろうか カネに近しい卑近な話なら気楽だ ソフトウェアエンジニアの評価の話をしよう 8
今日話すこと 技術力を高く評価されるには、技術力を高く評価させる技術が必要 技術力を評価させる技術は、ソフトウェアエンジニアの技術力を高めることに有 効 9
自己紹介 GMOペパボ株式会社 技術部データ基盤チーム シニアエンジニア 2022年4月 新卒入社 母語はJavaScriptです 好きなアザラシはワモンアザラシです Twitter: @kesompochy
GitHub: @kesompochy 10
外的キャリア(客観的にわかりやすい道のり) 2022年4月 新卒入社 2022年8月 技術部プラットフォームグループ配属 2024年8月 技術部データ基盤チーム配属 2025年4月 技術部シニアエンジニア昇格 11
ペパボの評価制度 専門職ラインと管理職ライン 「シニアエンジニア」は専門職 ラインの4等級 https://tech.pepabo.com/engineers/ 12
専門職ラインの評価 「自薦」による「昇格」 他薦による昇進ではない 「すでにその等級の役割を果たしている」という主張とともに立候補し、認 められれば昇格する 「事業を差別化する技術」が求められる 他者/他社と比して、相対的優位性をもたらす技術力を持っているか? 13
立候補資料はこんな感じで一万字くらい書いた 14
Q. 自薦資料を書くの、つらくない? 15
A. つらい 16
自薦資料の執筆は楽ではない 自らの実績をもとに自らの能力を客観評価可能な形式で再構築して主張する必要 がある 1~2年くらいの間で、自分が何を為したのかが丸裸になる 自分が他者と比べて、何が優れているのかを自覚する必要がある 17
https://twitter.com/kesompochy/status/1877688407247171692 18
Q. つらいならやめた方がいいんじゃない? 19
A. 便利な側面もあるのよ 20
個人にとって評価制度の便利なところ 評価軸と自身の実績と長時間にらめっこして言語化することにより、価値観が内 面化される 内面化してしまえば、キャリアについて考えなくても評価されるだけの技術 力がつく 評価をテコにして技術力を伸ばす 21
テコ 22
23
テコのイメージ 少ない力で大きな成果を出す 自分を持ち上げる力 それがないときよりも大きく飛ぶことができる 24
テコの構成要素 支点 力点 作用点 25
環境を契機に 評価制度を支えにして 実力をジャンプアップさせる 26
27
テコの具体例 超めでたい先輩と超優秀な後輩 28
テコの具体例① 超めでたい先輩 29
契機 チームメンバーが立て続けに育休突入(めでたい) 3等級 -> 4等級メンバーの育休リレーになった 当時の自分は2等級 30
支え ペパボの評価制度は「追認」 すでにその等級のはたらきをしていると評価されれば、等級が上がる仕組み -> 自然と上の等級を意識できる 31
跳躍 自分は「実質」その育休メンバーと同等級である という主張をするためにキャッチアップした 「実質」は、GMOペパボ社内でうっすら流行り続けているミームである。社内文化もテコの支点になれると思う。 参考: https://tech.pepabo.com/2025/04/04/really-method/ 32
テコの具体例② 超優秀な後輩 33
契機 自分の翌年から新卒初任給が倍になった[1] GMOインターネットグループによる「新卒年収710 万プログラム」[2] [1]正確には1.97倍。 [2]https://www.gmo.jp/710program/ 34
支え 「みんなと仲良くすること」が価値観として内面化されているので特にハレーシ ョンなど起きなかった(と思う) インターネット世論では、初任給アップについて、既存社員とのハレーショ ンがよく議論されていますね ここで、専門職ラインの報酬制度を意識し始める 35
跳躍 先述の専門職評価制度を利用してシニアエンジニアと呼ばせた 36
テコの具体例 SREっぽい話 37
具体例③ OSSコントリビューション 使っているOSSのトラシューをしていたらバグを発見した(契機) ワークアラウンドで回避することも可能だった 「影響を広げる力」が評価軸にある(支え) 勢いで直してコントリビューションまで持って行った(跳躍) https://tech.pepabo.com/2024/12/11/airflow-trouble-shoot/ に詳しい 38
具体例④ 祈るな、手を動かせ システムからのアラートや人々からの叫びは毎日各所で起きている(契機) SREはユーザーのためなら何をやってもいい(支え) 実際に社内で評価されているSREエンジニアは、全部やる人間だった 壊れていることに気づいたら、それが他部署の成果物だろうと、自分で直す習慣 がついた(跳躍) 39
まとめ 40
まとめ 「技術力を評価させる技術」は、 評価軸を内面化することで、周辺環境を契機に 技術力をジャンプアップさせる技術である。 41
ぶっちゃけたまとめ 環境大事 文化や評価軸を内面化しやすい組織に入ると「技術力を評価させる技術」が身につき やすそう。 42
恵まれているなあと思える環境の例 質問するとだいたい返ってくる 質問ではない独り言でもだいたい何かしら返ってくる 過去の障害ポストモーテムや評価資料がすべて読める 「やるぞ!」と言うとだいたい「うおおおお」と反応が来る 「やったぞ!」と言ってもだいたい「やったー!」と反応が来る 技術成果を社外に公開することが推奨される 社外の技術コミュニティと交流することが推奨される mini PCが安くなると紹介してくれるbotのような先輩がいる
キーボードを分割することに悦びを覚える同期がいる 43
おわり 44