Upgrade to Pro
— share decks privately, control downloads, hide ads and more …
Speaker Deck
Features
Speaker Deck
PRO
Sign in
Sign up for free
Search
Search
入門Envoy
Search
Kurochan
December 10, 2020
Technology
7
10k
入門Envoy
社内エンジニアカンファレンスで発表したものです
Kurochan
December 10, 2020
Tweet
Share
More Decks by Kurochan
See All by Kurochan
入門 電気通信事業者
kurochan
12
5.2k
AWS x さくらのクラウドのハイブリッドクラウドによる安価なフレッツ閉域網接続の実装
kurochan
9
5.1k
GoでTCP Proxyを実装してみよう
kurochan
1
850
サイバーエージェントの広告配信におけるIPoEトラフィックの概況
kurochan
0
390
スケールするというのはどういうことなのか
kurochan
14
4.5k
サイバーエージェントのGitHub Copilot導入と 開発生産性
kurochan
45
42k
Cloudflare Zero Trustを利用したセキュアな開発環境へのアクセス手法の確立
kurochan
10
3.1k
セキュキャンを卒業してその後
kurochan
0
1.3k
サイバーエージェントの実践×実験Snowflake 導入の経緯から最新機能のトライアルまで / How Snowflake Is Used In CyberAgent - Go To the Future
kurochan
1
1k
Other Decks in Technology
See All in Technology
Amazon CloudWatch Network Monitor のススメ
yuki_ink
1
210
Lambdaと地方とコミュニティ
miu_crescent
2
370
Adopting Jetpack Compose in Your Existing Project - GDG DevFest Bangkok 2024
akexorcist
0
110
これまでの計測・開発・デプロイ方法全部見せます! / Findy ISUCON 2024-11-14
tohutohu
3
370
Platform Engineering for Software Developers and Architects
syntasso
1
520
OCI 運用監視サービス 概要
oracle4engineer
PRO
0
4.8k
rootlessコンテナのすゝめ - 研究室サーバーでもできる安全なコンテナ管理
kitsuya0828
3
390
Lambda10周年!Lambdaは何をもたらしたか
smt7174
2
110
安心してください、日本語使えますよ―Ubuntu日本語Remix提供休止に寄せて― 2024-11-17
nobutomurata
1
1k
ISUCONに強くなるかもしれない日々の過ごしかた/Findy ISUCON 2024-11-14
fujiwara3
8
870
インフラとバックエンドとフロントエンドをくまなく調べて遅いアプリを早くした件
tubone24
1
430
初心者向けAWS Securityの勉強会mini Security-JAWSを9ヶ月ぐらい実施してきての近況
cmusudakeisuke
0
130
Featured
See All Featured
For a Future-Friendly Web
brad_frost
175
9.4k
Stop Working from a Prison Cell
hatefulcrawdad
267
20k
Testing 201, or: Great Expectations
jmmastey
38
7.1k
The Art of Programming - Codeland 2020
erikaheidi
52
13k
Designing on Purpose - Digital PM Summit 2013
jponch
115
7k
The Myth of the Modular Monolith - Day 2 Keynote - Rails World 2024
eileencodes
16
2.1k
Statistics for Hackers
jakevdp
796
220k
Building an army of robots
kneath
302
43k
Typedesign – Prime Four
hannesfritz
40
2.4k
Rails Girls Zürich Keynote
gr2m
94
13k
Site-Speed That Sticks
csswizardry
0
28
No one is an island. Learnings from fostering a developers community.
thoeni
19
3k
Transcript
⼊⾨Envoy 株式会社サイバーエージェント AI事業本部 黒崎 優太 (@kuro_m ) @AI Tech Developer
Conference
黒崎 優太 • 株式会社サイバーエージェント Dynalyst 開発責任者 • 業務は Scala +
AWSが中⼼ • イラスト図解でよくわかる ITインフラの基礎知識 •書きました • ⾃宅サーバなどが好きです @kuro_m @kurochan
Contents • Envoyとは • Envoyができること • Envoyのつかいかた • サービスメッシュについて •
Dynalystでの導⼊事例
Envoyとは
Envoyを使ったことがある⼈? •!
Envoyに対する誤解 • EnvoyとIstioは同じですか? • いいえ、違います (役割違い) • Envoyはサービスメッシュですか? • いいえ、違います
(Envoyだけでは成⽴しない) • Envoyはマイクロサービスですか? • いいえ、違います (Envoy⾃⾝はサービスではない) • Envoyとは何者なのか • いろんなところで単語は聞くけれど…
Envoyとは? • OSSのL /L プロキシ • 「モダンなサービス指向アーキテクチャ」向け • 「ユニバーサルデータプレーン」を⽬指して開発されている •
パフォーマンスに優れ、拡張性が⾼く、API経由でコントロール可能なプロキシ • C++で書かれているらしい, ⼿元でビルドしてみたら1時間以上掛かった https://www.envoyproxy.io/docs/envoy/latest/intro/what_is_envoy
Envoyのユースケース • Edge Proxy • 外部(インターネット)との境界に設置する • API Gatewayのようなものとしても •
サービスやInternal Proxyにトラフィックをロードバランシング/転送する • Internal Proxy • 内部での通信をロードバランシング/転送する • Egress Proxy • 外向きのトラフィックをプロキシする(後述)
Envoyができること
Envoyができること • Envoyの「プロキシ」としての動作を理解するために、まずはシンプルに httpのリクエストを受け取ってバックエンドのサーバに転送することを考える • 慣れ親しんだNginxとの⽐較で⾒ていきましょう
Nginxと⽐較 • 構成 backend Nginx or Envoy proxy . .
. . . .
Nginxと⽐較
Nginxと⽐較: listen
Nginxと⽐較: virtual host
Nginxと⽐較: ルーティング
Nginxと⽐較: ロードバランシング
Envoyができること • 基本的なプロキシができることはわかったので、 さらにできることをかいつまんで紹介します
各種プロトコル対応 • HTTP( . / ) • gRPC • AWS
Lambda, DynamoDB • Kafka • MySQL • Postgres • Redis • Thrift • ZooKeeeper
サーキットブレーカー • 突発的な負荷の増⼤、何かしらの障害によりプロキシ先の レスポンスタイムやエラーレートが増⼤した時にトラフィックを転送しないよ うにする • 障害の連鎖が防⽌できる • 条件指定で⾃動でリトライをさせることもできる
トラフィック分割 • A/Bテストやカナリアリリース、ローリングアップデートなど
ロードバランシング • Random • Weighted round robin • Weighted least
connection • Ring Hash • Maglev • 昔紹介記事を書きました • https://www.slideshare.net/kuro_m /maglev-a-fast-and-reliable-software-network- load-balancer
Dynamic Configuration • 動的に設定を変更することができる • 今まで紹介したのは設定ファイルによる静的な設定⽅法 • Dynamic from filesystem
• ファイルの変更を監視して⾃動で反映 • 外部から設定変更するアプリケーションが作りやすい • Dynamic from control plane • gRPC streamingで管理サーバと通信して リアルタイムに設定変更可能(xDS protocol) • これが特徴的(後述)
Envoyのつかい⽅
Envoyの使い⽅ • Envoyのデプロイパターンを紹介します
Edge Proxy • ⾃分たちのサービス群の中と外の境界に置くプロキシ backend Envoy
Egress Proxy • 外向きのトラフィックの通信先などを透過的に書き換える • クライアントサイドロードバランシングのようなことができる • 通信先のリストを知らないといけないのでサービスディスカバリが必要になる backend Envoy
サービスメッシュ • サービス間の通信をEnvoyが媒介する • コンテナで動くアプリケーションの場合はEnvoyのコンテナを並べてプロキシ • 「インジェクション」すると表現されることもある • アンバサダーパターンとも •
詳しくは後述 Service B Envoy Service A Envoy host A host B
Envoyを「インジェクション」する? • コンテナを横に並べるだけですべての通信が勝⼿にEnvoyを経由する訳ではない • iptablesで出⼊りするトラフィックをすべてEnvoyに吸い込む • Egressはすべて吸い込むとEnvoy⾃⾝のトラフィックも吸い込んでしまうので除外条件つき iptablesの設定例
サービスメッシュについて
サービスメッシュとは • サービス(アプリケーション)同⼠が連携するために直接通信し、 メッシュ状になっているもののこと • そのために必要な機能をプロキシによって透過的に提供する インフラレイヤのこと
サービスメッシュを導⼊する動機 • 機能ごとにサービスを分割し、サービス間が通信で連携することによりシステム全体を 構築する(サービス指向アーキテクチャ) • サービスの単位が⼩さくなるとマイクロサービスアーキテクチャ • サービスが分割されると通信が発⽣するため考えることが増える • 通信先のリストが欲しい(サービスディスカバリ)
• サービス間の通信の流れをトラッキングしたい(分散トレーシング) • 障害時に影響範囲を⼩さくしたい(サーキットブレーカー) • 負荷分散したい(ロードバランシング) • などなど • ⾃前で実装していたら⼤変なので全てProxyを挟んで透過的に、 しかも⾃動で設定変更の反映をしてほしい => Envoy登場
コントロールプレーンとデータプレーン • ここまで話した内容だとEnvoyは外部から設定しないと動作しない • データプレーン(D-plane)と それらを管理するコントロールプレーン(C-palne)が必要
D-planeが⾏うべきこと • サービスディスカバリ • バックエンド(upstream)の転送先は? • ヘルスチェック • 転送先は⽣きているのか? •
ルーティング • どのリクエストをどのバックエンドに転送する? • ロードバランシング • 認証/認可 • JWTの検証やTLSの終端など • mTLSを⽤いてサービスメッシュ内のトラフィックを 暗号化 + 認証/認可することも • 可観測性(Observability) • 各種メトリクス, トレーシング, ロギングなど
C-planeが⾏うべきこと • D-planeの制御 • D-planeは単独では何をするべきなのか知らないので、司令をする • 直接データを転送することには関与しない(D-palneの仕事) • C-planeはサーバだったりDBで構成されていて、 D-planeはC-plalneに⾃分は何をすべきか問い合わせにいくパターンが多い
EnvoyをD-planeに採⽤している例 • C-planeの例を3つ紹介します
Istio https://istio.io/latest/docs/ops/deployment/architecture/
AWS App Mesh https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/introducing-aws-app-mesh-service-mesh-for-microservices-on-aws/
Google Cloud Endpoints https://cloud.google.com/blog/ja/products/api-management/announcing-api-management-for-services-that-use-envoy
Dynalystでの導⼊事例
Envoyを導⼊することになった動機 • 広告⼊札価格決定の機械学習の推論部分を外部サービス化することになった • データサイエンティストが増えてきてA/Bテストをたくさん回すようになった • サービスとして切り離してA/Bテストをたくさん回しやすいようにしたい • データサイエンティストはScalaよりもPythonでロジック実装できたほうが嬉しい •
⾼パフォーマンスが要求される • ms程度でレスポンスしてほしいのでサービス間で直接通信させたい • きちんとトラフィックをモニタリングしたい • サーキットブレーカーが欲しい • => サービスメッシュが向いてそう • 検証中
AWS App Mesh • AWSのサービスメッシュのマネージド サービス • EC , ECS,
EKSでサポートされている • Envoyのことを知らなくても使えるように抽象化されて提供されている印象 • ⾃分の場合は抽象化されていると逆に挙動が気になってしまうため今回の発表に⾄る • 実務上はEnvoyのことをほぼ意識することなく使えて便利 • AWS X-Rayでトレーシング可能
C-plane • AWS App Meshのマネージド サービスとして提供 • サービスディスカバリはxDS APIを使う •
AWS Cloud Map(サービスディスカバリのマネージド‧サービス)と連携できる • Amazon ECSを使っている場合は Cloud Map連携をオンにするだけで⾃動でコンテナが登録されて便利
D-plane • Envoyを利⽤ • AWSが提供しているApp Mesh⽤のEnvoyコンテナを使うと 起動時にApp MeshのAPIを叩いて初期設定を⽣成しEnvoyを起動してくれる https://docs.aws.amazon.com/app-mesh/latest/userguide/envoy.html
パフォーマンス問題 • Pythonで書かれた機械学習推論サーバが推論サーバ単体の時と⽐較して Envoyを間に挟むとスループットが半分以下になる • CPU使⽤率も100%近くあったのが半分以下になってしまう
原因 • 推論サーバとの通信にはgRPC(HTTP/ )を使っていた • Pythonをマルチプロセスで動かし、SO_REUSEPORTを使って コネクションごとの負荷分散をしていた • HTTP/ は1つのコネクションに複数のストリームを同時に流すことができる
• Envoyはコネクションを有効活⽤するためにできるだけ多くのリクエストを1つの ストリームに流そうとする • Pythonは並列処理が苦⼿(GIL)なのでコネクション数が少ないと スループットが出しにくい • Envoyと推論サーバのコネクション数を増やせば解決しそう
対処 • EnvoyはデフォルトだとCPUのコア数と同じ数のワーカースレッドを⽣成する • EnvoyはHTTP/ において1つの宛先につきワーカー数以上のコネクションを貼 らない(ようにみえる, 要出典) • --concurrency
を起動時にオプションで渡すことでスレッド数は変更可能 • App Mesh⽤の公式Envoyコンテナはオプションが変更できない • 起動スクリプトを改造しカスタムのEnvoyイメージを作成 • Feature requestしました: https://github.com/aws/aws-app-mesh-roadmap/issues/ • スループットは改善した • (あまり綺麗な解決ではないものの…)
まとめ
まとめ • Envoyの概要を紹介したあと、 Envoyとサービスメッシュの関係性、 Dynalystでの導⼊事例について紹介しました。 • これから使ってみたいと思っていた⼈の参考になれば幸いです
None