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2週に1度のビッグバンリリースをデイリーリリース化するまでの苦悩 ~急成長するスタートアップの...

2週に1度のビッグバンリリースをデイリーリリース化するまでの苦悩 ~急成長するスタートアップのリアルな裏側~

株式会社ナレッジワーク/ 樋口直人 @mado (https://x.com/nnhiguchi)
※SRE Kaigi 2025での登壇資料です
https://2025.srekaigi.net/

<セッション概要>
スタートアップでは、生き残りをかけて機能開発のスピードが最も重要視されます。
そのため、弊社においてもデプロイフローの改善は後回しにされ、急成長期におけるビッグバンリリースが大きな足枷となってしまいました。
事業が拡大しプロダクトやチームが増えていく中で、リリースの頻度を上げるための技術的課題やチーム間の調整問題など様々な障壁に直面しましたが、綿密な計画とチーム全体の協力を通じてこれらを解決してきました。
本発表では、具体的にどのようなステップを踏み、どのような工夫を行って理想的なリリース体制を構築したのか、そしてその過程で得た教訓や成功のポイントについて詳しくご紹介します。
https://2025.srekaigi.net/

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Transcript

  1. © Knowledge Work Inc. ⾃⼰紹介 株式会社ナレッジワーク SRE / Scrum Master

    樋⼝ 直⼈ (mado) 経歴 パチプロ / パチスロライター / パチスロエンジニア ビズリーチ: テックリード - Scala, AWS ナレッジワーク: 1⼈⽬SRE - Go, Google Cloud 趣味 まどマギのパチスロ (4⽉の新台マギアレコードが楽しみ) ウルトラマラソン / スパルタンレース サウナ
  2. © Knowledge Work Inc. 皆さんのリリース頻度はどのくらいでしょうか? 3 Elite オンデマンド (複数回 /

    ⽇) High 1回 / 1⽇ ~ 1週 Medium 1回 / 1週 ~ 1⽉ Low 1回 / 1⽉ ~ パフォーマンス デプロイ頻度
  3. © Knowledge Work Inc. ローンチ直後のナレッジワーク 4 DORAのパフォーマンス指標において Lowレベル Elite オンデマンド

    (複数回 / ⽇) High 1回 / 1⽇ ~ 1週 Medium 1回 / 1週 ~ 1⽉ Low 1回 / 1月 ~ パフォーマンス デプロイ頻度
  4. © Knowledge Work Inc. 今⽇のお話 5 ビッグバンリリースを解体して⾼頻度リリース化を⽬指すお話 ナレッジワーク モノリス 🚀

    Server Server Server Server Server Server Server Server 🚀 🌅 🚀 🌆 🚀 🏙 🚀 🌃 🚀 🏙 🚀 🌆 🚀 🏙 🚀 🌅
  5. © Knowledge Work Inc. Agenda 目次 1. 会社/事業紹介 2. マルチプロダクトへの転換

    3. リリースの課題 4. リリース改善の道のり 5. 現状と効果 6. 今後の展望 7
  6. © Knowledge Work Inc. Profile 会社概要 9 創業⽇  2020年4⽉1⽇ 代表者  ⿇野

    耕司 資本⾦  61.3億円(資本準備⾦等含む) 事業内容  ナレッジワークの開発‧提供 主な株主  グロービス‧キャピタル‧パートナーズ、DNX Ventures、WiL  One Capital、ANRI、XTech、Salesforce Ventures  ユーザベース、フォースタートアップス、Sansan
  7. © Knowledge Work Inc. ナレッジワークのミッション 10 できる喜びが巡る⽇々を届ける Deliver the joy

    of enablement 「昨⽇できなかった仕事が今⽇できるようになった」 「今⽇うまく進められなかった仕事も明⽇はうまくできるかもしれない」 そんな想いで働ければ、仕事に希望が持てるはずです。 しかし、世の中の多くの⼈が「上司に恵まれない」「職場に恵まれない」 「会社の仕組みに恵まれない」などの理由で、 「努⼒しても成⻑できない」「努⼒しても成果が出ない」つまりは 「努⼒しても報われない」という環境で仕事をしています。 私たちは『イネーブルメント』を実現するプロダクトを提供することで 世の中の⼈たちが仕事にできるようになることを⽀援し、 働く喜びが巡る⽇々を届けます。 我々はイネーブルメントの会社です
  8. © Knowledge Work Inc. イネーブルメントの4つの提供価値 11 「ナレッジ」「ラーニング」「ワーク」「ピープル」 の4つの領域が必要になります 成果視点 (業務視点)

    能⼒視点 (⼈材視点) できるよう になる (Canの最⼤化) ワーク 領域 ナレッジ 領域 ピープル 領域 ラーニング 領域 やるべきこと が分かる (MUSTの明確化) ワーク領域 業務プロセスの最適化 ナレッジ領域 コンテンツやノウハウの展開 ピープル領域 スキルの可視化 ラーニング領域 学習プログラムの提供
  9. © Knowledge Work Inc. マルチプロダクト戦略は⼤きく2種類 16 ナレッジワークのビジネスではコンパウンド戦略が最適と判断 ⾃律的な独⽴プロダクト 共通基盤を整え全体最適を⽬指す プロダクトA

    基盤A プロダクトB 基盤B 共通基盤 プロダクトA プロダクトB プロダクトごとの⾃由度は⾼いが 複利が⽣まれ⾟い 少ない⼈数で最⼤効率を⽬指せる SaaS界隈ではコンパウンド戦略と呼ばれる
  10. © Knowledge Work Inc. コンパウンド戦略を進められる体制へ 18 当時はSREやPlatform Engineer不在だったが 2022:   

    SRE⼊社 2023:    Platform Engineer⼊社 2024:    SRE⼊社 徐々に⼈材が揃ってきて、コンパウンド戦略を進められる体制に
  11. © Knowledge Work Inc. リリースフロー before 20 prd環境のリリースまで最⼤5週間かかる ブランチ 環境

    master qa stg prd 2週間 2週間 1週間 dev 環境 qa 環境 prd 環境 stg 環境 🌃 🌃 🌅
  12. © Knowledge Work Inc. システムアーキテクチャ before/after 22 モノリス 自律分散アーキテクチャ モノリスから⾃律分散アーキテクチャへ

    プロダクトA プロダクトB プロダクトC LB Cloud Load Balancing backend A Cloud Run backend Cloud Run backend B Cloud Run frontend B Cloud Run frontend A Cloud Run backend C Cloud Run frontend C Cloud Run Frontend Vercel
  13. © Knowledge Work Inc. デプロイ頻度が少ない 25 DORAのパフォーマンス指標においてLowレベル Elite オンデマンド (複数回

    / ⽇) High 1回 / 1⽇ ~ 1週 Medium 1回 / 1週 ~ 1⽉ Low 1回 / 1⽉ ~ パフォーマンス デプロイ頻度
  14. © Knowledge Work Inc. devとopsのサイロ化 28 dev (開発チーム) ops (SRE)

    開発と運⽤でフィードバックサイクルによる改善が回らない 運⽤を無視した開発が横⾏してしまう
  15. © Knowledge Work Inc. hotfixリリースが⼤変 29 prd ブランチ prd 環境

    hotfix時のトラブルが多い hotfixパッチ 変更リードタイムが長いためコンフリクトが発生しやすい 原因となるサービスの特定が大変 サービスごとにデプロイ方法が異なっていて職人芸が必要 リリース時に各所への調整が必要
  16. © Knowledge Work Inc. モノリス 31 リリースタイミングの調整が難しい プロダクトB プロダクトA プロダクトC

    プロダクトD モノリスは頻繁なリリースが難しい オーナーが不明瞭 X月X日にリリースしたい QAが間に合わないから無理
  17. © Knowledge Work Inc. 品質保証 33 dev 環境 qa 環境

    prd 環境 stg 環境 2週間かけてきたQA期間をどう短縮するか 2週間 2週間 1週間
  18. © Knowledge Work Inc. プロジェクト化 37 • 全社巻き込みのためプロジェクト発⾜ • ゴールは2つ

    ◦ モノリスから⾃⽴分散アーキテクチャへの移⾏ ◦ 低頻度ビッグバンデプロイから⾼頻度スモールデプロイへの移⾏ • CTOやPrincipal Engineer、PdMなどを巻き込み • プロジェクト名は Project Bamboo ◦ ⽵を割ったような美しいサービス分割 ◦ 地下茎 (Platform) による驚異的な繁殖⼒と成⻑スピード 印象に残るようにイメージ画像も作成 全社プロジェクト開始
  19. © Knowledge Work Inc. モノリスの解体 38 モノリス ⾃律分散アーキテクチャ プロダクトごとに独⽴してデプロイできるように分割 プロダクトは量産できるようにテンプレート化

    プロダクトA プロダクトB プロダクトC LB Cloud Load Balancing backend A Cloud Run backend Cloud Run backend B Cloud Run frontend B Cloud Run frontend A Cloud Run backend C Cloud Run frontend C Cloud Run Frontend Vercel
  20. © Knowledge Work Inc. デプロイとリリースの分離 デプロイ時に全機能リリース デプロイ時に全機能リリース 39 全機能を機能フラグ管理 機能フラグONはPdMが任意のタイミングで実施

    機能リリースのタイミングのズレを解消 デプロイとリリースを明確に分離することで 頻繁なデプロイと任意のタイミングでの機能リリースを実現 デプロイ & リリース デプロイ リリース PdM Eng
  21. © Knowledge Work Inc. 40 サービスの品質保証 qa example worker example

    backend example gateway e2e 実施 stg example worker example backend example gateway e2e 実施 prd example worker example backend example gateway 🎉 e2eテストを強化 e2eテストが通ると次の環境へデプロイされる Cloud Deploy Delivery pipeline
  22. © Knowledge Work Inc. デプロイとterraform applyの分離 デプロイ時にterraform apply アプリケーションデプロイ時に terraform

    apply 42 terraform applyを分離 デプロイとterraform applyを分離 デプロイとterraform applyを分離 デプロイ & terraform apply デプロイ terraform apply terraform apply terraform apply
  23. © Knowledge Work Inc. デプロイとterraform applyを分離 43 細かい単位で都度prd環境までapplyする運⽤へ master tf/qa

    tf/stg tf/prd Pull request → Approve → atlantis apply Pull request → Approve (SRE) → atlantis apply Pull request → Approve (SRE) → atlantis apply
  24. © Knowledge Work Inc. デプロイとDB migrationの分離 デプロイ時にDB migration アプリケーションデプロイ時に DB

    migration 44 DB migrationを分離 デプロイとDB migrationの分離 デプロイとDB migrationを分離 デプロイ & DB migration デプロイ DB migration DB migration DB migration
  25. © Knowledge Work Inc. デプロイとDB migrationの分離 45 毎⽇深夜にstg/prdへDB migrationする運⽤へ master

    db-migration/qa db-migration/stg db-migration/prd qa 実行 stg 実行 prd 実行 🌃 🌃 • 各ブランチへのマージをトリガーに Cloud Build 起動 ◦ Cloud Build で sql-migrate を実⾏ • stg/prd への実⾏は深夜メンテナンスウィンドウに実 ⾏ ◦ Pull request を Approve だけしておく ◦ GitHub Workflow で⾃動マージ
  26. © Knowledge Work Inc. 48 やりきる実⾏⼒ 完了後 移⾏中 ビジョンを語り続けて実⾏していく必要がある 戦略と実⾏どちらも⼤事

    プロダクト開発チームの時間 新規構築のコストダウン 量産化できる基盤 Platform プロダクト プロダクト プロダクト
  27. © Knowledge Work Inc. 50 完全分割まであと⼀歩 ナレッジワーク モノリス 2022 2025

    🚀 Server Server Server Server Server Server Server Server 🚀 🌅 🚀 🌆 🚀 🏙 🚀 🌃 🚀 🏙 🚀 🌆 🚀 🏙 🚀 🌅 一部サービスで 高頻度デプロイを開始
  28. © Knowledge Work Inc. まだまだやりたいことはたくさん 54 • 全サービスの分割&⾼頻度デプロイ(あと少し!) • DB分割

    • 環境の削減 • Platform Enginneringの推進(テンプレート化、モジュール化) • 開発ポータル作成 理想のプラットフォームへ
  29. © Knowledge Work Inc. SRE as a Service 55 各プロダクト開発チームが

    信頼性の⾼いプロダクトを効率よく開発できるPlatformを開発していきます プロダクトA Platform SRE Platform プロダクトB プロダクトC
  30. © Knowledge Work Inc. Platform & SRE Group 56 樋⼝

    直⼈ ex-ビズリーチ SRE Google Cloud 資格9冠 ギャンブラー 渡邊 尚吾 ex-Google Group Manager Google Cloud Champion Innovator 愛⽝家 SRE k8sとGitHub Actions のスペシャリスト 世界⼀周トラベラー 村岡 宏是 ex-10X 本⽇全員会場に来ています ブースに遊びに来て気軽に話しかけてください
  31. © Knowledge Work Inc. WE ARE HIRING! 57 SRE &

    Platform Engineer 募集中! 新規プロダクトをガンガン⽴ち上げられる 最⾼のプラットフォームを開発していきます! イネーブルメントに興味ある⽅ お声がけください!