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継続的な研究費獲得のための考え方

 継続的な研究費獲得のための考え方

大学において研究を実施する上で外部資金の獲得は必須である.研究費配分制度には,研究者の発想に任せて自由に研究テーマを設定できるボトムアップ型のものと,現在の社会問題解決や国の方針に沿った研究テーマを実施するトップダウン型のものがある.自身が提案する研究内容に応じて,個人的興味に基づく研究内容であればボトムアップ型,社会で注目される問題の解決に取り組む研究内容であればトップダウン型の研究費配分制度に研究提案を行うこととなる.しかしどちらか一方だけに研究提案を行っていては研究費の継続的獲得が難しい.そのため,個人的興味に基づく研究内容であってもこれを柔軟に変化させ,社会問題解決や国の方針に役立つ研究提案とし,ボトムアップ型とトップダウン型の研究費配分制度の両者に研究提案を行っていくこと必要だろう.このようなハイブリッドな研究提案を行うためには,国内外の学術会議に参加し最新の研究動向を把握すると共に,社会問題,研究費配分機関や各省庁の方針など幅広い情報収集を行う必要がある.さらに異分野の会議に参加し,新たな応用先を見出すことも重要である.本発表では,上記の内容を含む継続的な研究費獲得のための考え方について述べる.

Masahiro Oda

April 15, 2024
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Transcript

  1. 基本的な外部資金と大型外部資金 • 基本的な外部資金 – 目標:論文,プロトタイプ開発 – 研究参加者は1人か少人数 • 大型外部資金 –

    目標:学術の新たな潮流の開拓,社会的インパクト – 研究参加者は多数 • 目標達成が可能と信じさせる材料(業績)を 持っている必要あり 3 科研費 若手研究,基盤C JST ACT-I/ACT-X/さきがけ/創発 科研費 基盤S/学術変革 JST CREST 将来的な大型外部資金の獲得を見据え,若手の頃から準備していく 継続的な研究費獲得にもつながる
  2. 外部資金獲得に向けた研究目標の設定 • 外部資金の性質に合わせて目標設定 • ボトムアップ型研究費(科研費) – 自分の興味に沿って自由に目標設定 – あまり注目されていないテーマの研究 (でも将来重要になると信じている)も実施できる

    • トップダウン型研究費(JST さきがけ/創発,AMED) – 設定された課題に沿った研究を提案する必要がある – 政府の方針や社会的に着目されている課題を把握しておく – 社会的インパクトにつながる目標を選定 5 どちらも 獲得を 目指したい
  3. 若手期間に行うこと(1/2) • 研究者ネットワークの構築 – 自身が持つ研究者ネットワークが強みとなる – 国内/国際会議参加を通じて多くの人と積極的に交流 • 継続的に現地参加して発表する –

    ボスが持つ研究者ネットワークを活用させてもらう • 大講座制の研究グループは有利 • 国際的な共同研究実施 – 海外に長期滞在しての研究実施 – 自分とは異なる考え方,研究モチベーション,将来目標などを知る – 外から見ることで内の強みと弱みが見える 6
  4. 大型外部資金の獲得へ • 積み重ねた経験をもとにした研究課題設定 – 広範な研究領域に横たわる課題,これまで気づかれていない新たな課題 – 社会的に重視される課題(トップダウン型研究費) • 周辺研究領域の知見を得る –

    様々な専門の研究者と組む可能性がある – 幅広い分野の情報収集,異分野の学会参加 • 研究者ネットワークの拡大 – 同じ専門分野の研究者はだいたい皆知っている状態.異分野へネットワーク拡大 を進める. • あきらめない – 不採択となっても何度もチャレンジ 8
  5. むすび • 大型外部資金の獲得を目指してどう準備するか • 研究成果の蓄積 – 論文化だけでなく他にない独自の成果を目指す – 研究者ネットワークの構築 –

    国際的共同研究の実施 – あきらめない • 成果の蓄積と継続的な資金獲得チャレンジが 継続的な研究費獲得につながる 9