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似たような課題が何度も蘇ってくるゾンビふりかえりを撲滅するため、ふりかえりのテーマをフォーカス...

naiban
April 11, 2025

似たような課題が何度も蘇ってくるゾンビふりかえりを撲滅するため、ふりかえりのテーマをフォーカスしてもらった話 / focusing on the theme

あなたの周りにも「ゾンビふりかえり」、ありませんか?

naiban

April 11, 2025
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Transcript

  1. © DMM 内藤 聡(ナイバン/naiban) (X:@sasatoshin3104) 所属: 合同会社DMM.com 開発統括本部 VPoE室 推進チーム

    やっていること: • スクラムマスターやアジャイルコーチとして 様々なチームへのチームビルディング支援や アジャイルチーム化支援を実施中 • Certified ScrumMaster® • Advanced Certified ScrumMaster® • Google Analytics Certification わたし 2
  2. © DMM 18 本日のアウトカム 事実ベースでのふりかえり方向性(フォーカス)を提示するこ とで、そのふりかえり議論の目線が揃った結果、 チームみんなが勇気もって課題にまっすぐ向き合い、深い議論 ができるようになる、かもしれない 本日の内容 本日のターゲット

    ふりかえりファシリテーター 特に、ふりかえりの進行はスムーズなのに、 議論がどこか生々しくない、ホントにこの結論でいいんだっ け?とモヤりを感じている方 本日お話しすること • 「ゾンビふりかえり」はなぜ起きるのか? • 「ふりかえりテーマのフォーカス」の提案 • やってみた結果、変わったこと・効果
  3. © DMM 前提: • チーム体制 • 4人チーム(PO、SM、開発者 x 2) •

    このチーム体制で約半年、チーム自体は5年目 • 常時Gatherで会話しながら作業 • 以前SM/TLとして在籍していたチーム • 今回アジャイルコーチとして、チーム外から支援 • 開発手法 • スクラム • 1週間スプリント • 毎スプリント、楽しくふりかえりできている ゾンビふりかえりはなぜ起きたのか? 21 PO SM Dev Dev 4年目 コーチ 5年目
  4. © DMM 現象: • 似たような課題が発生する • 出くわすたびに、「なんかまた似たやつだ」と思う • その都度、手を打ってきた •

    ふりかえりで楽しく議論し、納得してTRYを出してきた • TRYには、全員で真面目に取り組んでいる • TRY成果は、ふりかえり冒頭でレビューしている ゾンビふりかえりはなぜ起きたのか? 22
  5. © DMM ゾンビふりかえりはなぜ起きたのか? 25 ゾンビスクラムチームは 1. 失敗に価値を置かない 2. 具体的改善をしない 3.

    失敗するための安全性を作ら ない 4. 成功を祝わない 5. 仕事における人間的要素を理 解していない 6. 仕事のやり方を批評しない 7. 仕事と学習は別と考えている ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部 継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著)
  6. © DMM ゾンビふりかえりはなぜ起きたのか? 26 ゾンビスクラムチームは 1. 失敗に価値を置かない 2. 具体的改善をしない 3.

    失敗するための安全性を作ら ない 4. 成功を祝わない 5. 仕事における人間的要素を理 解していない 6. 仕事のやり方を批評しない 7. 仕事と学習は別と考えている ぱっと見 この辺が原因ぽい ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部 継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著)
  7. © DMM ゾンビふりかえりはなぜ起きたのか? 27 ゾンビスクラムチームは 1. 失敗に価値を置かない 2. 具体的改善をしない 3.

    失敗するための安全性を作ら ない 4. 成功を祝わない 5. 仕事における人間的要素を理 解していない 6. 仕事のやり方を批評しない 7. 仕事と学習は別と考えている 「失敗したくない」 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部 継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) もしかして これが 根本の原因 なのでは
  8. © DMM もしかして: 1. ふりかえりを惰性で実行 (作業的手順的に)してしまった 2. TRYを出すこと、やることで満足 してしまい、やった結果や、うま くいかなかった理由まで深堀りし

    ていない 3. 深堀ること自体に恐れがある(よ うな気がする) ゾンビふりかえりはなぜ起きたのか? 32 もしかして、表面的なのでは? ゾンビスクラムチームは 1. 失敗に価値を置かない 2. 具体的改善をしない 3. 失敗するための安全性を作らない 4. 成功を祝わない 5. 仕事における人間的要素を理解し ていない 6. 仕事のやり方を批評しない 7. 仕事と学習は別と考えている
  9. © DMM チーム観察結果をフィードバック し、観察結果(=事実)から フォーカスを提案する • 原因は断定・特定しない • 事実は断定・特定する •

    「••さんがいつも忙しそうって3 週連続言ってますよね」 • 「今回のTRYって、皆さんからは 高評価みたいですが、課題の状況 は変わってないですよね」 「フォーカスの提案」のさじ加減 37
  10. © DMM フォーカスによる期待 1. ダブルループ学習の実践 38 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) ルールと 信念 行動 良い結果と 悪い結果 行うことの理由 行うこと 得られること
  11. © DMM フォーカスによる期待 1. ダブルループ学習の実践 39 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) ルールと 信念 行動 良い結果と 悪い結果 行うことの理由 行うこと 得られること シングルループ学習
  12. © DMM フォーカスによる期待 1. ダブルループ学習の実践 40 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) ルールと 信念 行動 良い結果と 悪い結果 行うことの理由 行うこと 得られること シングルループ学習 ダブルループ学習
  13. © DMM フォーカスによる期待 1. ダブルループ学習の実践 41 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) ルールと 信念 行動 良い結果と 悪い結果 行うことの理由 行うこと 得られること シングルループ学習 ダブルループ学習 ゾンビスクラムチーム は改善の意欲が弱く、 問題を深堀りしにくい 健全なスクラムチーム は、問題の背景・理由 となる組織のルールや 信念に遡って学習する
  14. © DMM 2. 物事を変える(カエル)難しさの理解 フォーカスによる期待 42 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) 組織
  15. © DMM 2. 物事を変える(カエル)難しさの理解 フォーカスによる期待 43 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) 組織 変化を推進する力
  16. © DMM 2. 物事を変える(カエル)難しさの理解 フォーカスによる期待 44 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) 組織 変化を抑制する力 変化を推進する力
  17. © DMM 2. 物事を変える(カエル)難しさの理解 フォーカスによる期待 45 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) 組織 変化を抑制する力 変化を推進する力 力の均衡 (=変化しにくい)
  18. © DMM 2. 物事を変える(カエル)難しさの理解 フォーカスによる期待 46 ゾンビスクラムサバイバルガイド: 健全なスクラムへの道 / 丸善出版  「第4部

    継続的に改善する」より引用 木村 卓央 (翻訳), 高江洲 睦 (翻訳), 水野 正隆 (翻訳), Christiaan Verwijs (原著), Johannes Schartau (原著), Barry Overeem (原著) 組織 変化を抑制する力 変化を推進する力 「組織とは、力の均衡の上に成り立っている」(フォースフィールド) ということを、自ら認識しないと、変化も適応もできない 力の均衡 (=変化しにくい)
  19. © DMM ここまでのまとめ 話してきたこと • 表面的なふりかえりの継続 → ゾンビふりかえりの発生 背後にあるもの •

    楽しさ偏重の「楽しくふりかえりしたい」(=”ハッピークラッピースクラム”) • 深堀りせず、問題の近くにある解決策に飛びつきがち(=浅い) 期待したこと • 問題の深堀り、問題の背景に目を向けること(ダブルループ学習) • 変化の難しさを理解(変化と抑制の均衡状態=フォースフィールド) やったこと • 課題への向き合いを促す(ふりかえりテーマのフォーカス)を提案 • 具体的指示ではなく、事実をもとにフィードバック 47
  20. © DMM 感じた手応え: • チームは深堀る準備が整いつつあ る、と分かった • 「ふりかえりの議論の目線が揃いや すくなった」 •

    「ふせん内容の理解が深まった」 • 「ふせん内容のメタな情報を踏まえ て、議論しあえるようになった」 結果変わったこと、効果 49 勇気持って問題にまっすぐ向き合うことで、 集中して議論できるようになった、と言えそう 副産物的にわかったこと: • 何回もやるもんじゃない • 1〜2回で十分、 • それ以上だと恣意的に • 容量用法をよく守って正しくお使い くだ云々 チームの感想:「良かったです」(小並)
  21. © DMM まとめ 51 背後 楽しさ偏重のふりかえり、表面的なふりかえり 本日のお話し 狙い 課題の本質への集中を促すため •

    組織の変化をとりまく力の均衡を認識する必要性(フォースフィールド) • 因果関係の更にその前提を疑うことの必要性(ダブルループ学習) 問題再燃するゾンビふりかえり撲滅のため、 ふりかえりのテーマにフォーカスを提案した 成果 チームに変化の兆し(深堀りできる準備)が見えた 副産物 フォーカス、ほどほどに • 自己管理を妨げない程度が良さそう、という気付き