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著者による『バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全』120%活用術

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June 24, 2025
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 著者による『バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全』120%活用術

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  1. 自己紹介 馬場俊彰(ばばとしあき) Bluesky: netmarkjp.bsky.social 株式会社X-Tech5 取締役 CTO、株式会社iCARE技術顧問 運用エンジニアリング/DevOps/SRE/コンサルティング/組織構築/ 事業運営... 電気通信大学人間コミュニケーション学科(2004年卒)

    ➔社会人(SCC→ハートビーツ→X-Tech5) ➔産業技術大学院大学(AIIT)情報アーキテクチャ専攻(2011年卒) 主な守備範囲:Webシステムのインフラ・ミドルウェア全般、モニタリン グ、チューニング、プログラミング(Python、Go、TypeScript) 2 Amazon著者ページ https://www.amazon.co.jp/~/e/B004Y4SUBY
  2. 「凄腕」の言語化: 有用性だけでなく保証を実現できるから凄い 5 バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全 p.19 図:ユーザー価値を実現するための構成要素 質 実現の程度 スピード 実現の所要時間

    有用性 保証 保証の実現が顕著に差が出る 有用性の実現はたしかに凄い が、決定打ではない気がする これを凄腕の「地力」と定義。 どうやって獲得・向上するか 高品質・高速・高水準で / 着実に
  3. 「凄腕」の言語化: 有用性だけでなく保証を実現できるから凄い 6 バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全 p.19 図:ユーザー価値を実現するための構成要素 質 実現の程度 スピード 実現の所要時間

    有用性 保証 保証の実現が顕著に差が出る 有用性の実現はたしかに凄い が、決定打ではない気がする これを凄腕の「地力」と定義。 どうやって獲得・向上するか 高品質・高速・高水準で / 着実に 凄腕の地力は、有用性だけでなく保証を実現する能力。 保証を高品質・高速・高水準で、着実に実現する力。 どうやってこれを獲得するか? ︙ ︙ できるかなぁ...? できると信じて進みます
  4. 「凄腕」の言語化: 有用性だけでなく保証を実現できるから凄い 7 バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全 p.19 図:ユーザー価値を実現するための構成要素 質 実現の程度 スピード 実現の所要時間

    有用性 保証 保証の実現が顕著に差が出る 有用性の実現はたしかに凄い が、決定打ではない気がする これを凄腕の「地力」と定義。 どうやって獲得・向上するか 高品質・高速・高水準で / 着実に 凄腕の地力は、有用性だけでなく保証を実現する能力。 保証を高品質・高速・高水準で、着実に実現する力。 どうやってこれを獲得するか? ︙ ︙ できるかなぁ...? できると信じて進みます 『バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全』が あると捗るはずです
  5. Howの結論 Howの方法4つ - 方法1. (場数)システムやユーザーと向き合い、場数をこなす - 方法2. (思考)バランス良く、ひととおり深く思考する - 方法3.

    (対話)周囲と対話し、価値と背景を認識する - 方法4. (継続)執念深く、コツコツと継続する Howの実践(詳しくは後ほど) - 独習アプローチ - OffJTアプローチ - OJT/実践アプローチ 9
  6. 独習アプローチの「地力」獲得活動 まずは『バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全』を読 む!(本日の主旨) p.4 本書の読み方にお勧めを書いてます - まずは1~5章を読むのがお勧め - 実際に運用中のウェブサービスや情報システムに携わっている のならば、11、14~16、19、22章を優先的に読むのがお勧め

    本書の構成 - 1章、2章、3章、4章:情報システムの価値を引き出す基礎技術 - 5章:情報システムの共通言語 - 6章、7章:インターネット通信の基盤技術 - 8章、9章、10章、12章、13章:インフラストラクチャ構成要素 - 11章、14章、15章、16章、19章、22章:システム運用とガバナンス - 17章、18章、20章、21章:データ管理と構成 - 23章:採用選考対応 11 場数 △ 思考 ◎ 対話 △ 継続 □
  7. 独習アプローチでの書籍活用術 12 まずは発見。特にWhyやWhatに向き合って! - Howも重要だけど地力にはまずWhyやWhat WhyやWhatを過去の経験と照らし合わせてみて! - 意思決定時やトレードオフ検討の精度が上がります - 自分(達)の思考の癖や価値観が見えてくるかも

    現状や疑問・意見を要約して、先輩や同僚と対話・ディスカッ ション・雑談のネタにしてみて! - 目的は合意形成ではなく相互理解 - 生身の人間のリアルな経験を話そう 最初と最後は根性と執念 - LifehackやProductivity Toolなどの工夫は補助策 - メンタリングの外部サービスを使うのもあり(X-Tech5でもやってます) 場数 △ 思考 ◎ 対話 △ 継続 □
  8. 独習アプローチでの書籍活用術 13 まずは発見。特にWhyやWhatに向き合って! - Howも重要だけど地力にはまずWhyやWhat WhyやWhatを過去の経験と照らし合わせてみて! - 意思決定時やトレードオフ検討の精度が上がります - 自分(達)の思考の癖や価値観が見えてくるかも

    現状や疑問・意見を要約して、先輩や同僚と対話・ディスカッ ション・雑談のネタにしてみて! - 目的は合意形成ではなく相互理解 - 生身の人間のリアルな経験を話そう 最初と最後は根性と執念 - LifehackやProductivity Toolなどの工夫は補助策 - メンタリングの外部サービスを使うのもあり(X-Tech5でもやってます) 場数 △ 思考 ◎ 対話 △ 継続 □ ソロで完結するなら / さらに強化するならアウトプット - ブログエントリーやSNSへのポストでもOK - 実際に投稿しなくても、書いて寝かせるだけでもOK - 一度忘れて、後から他人事として客観的に見返してみて
  9. 前提として、技術力について確認しておく 15 2019.12.8 July Tech Festa2019 「エンジニア像」を言語化し文化の礎を築く https://speakerdeck.com/netmarkjp/enziniaxiang-woyan-yu-hua-siwen-hua-falsechu-wozhu-ku - 技術力を「自ら切り開くこと、課題の発見と

    解決 を 創造・実現する力」と定義 - 論理的判断と倫理的判断のバランスが重要 - そのために知識と価値の認識がどちらも重要 - なお社会人の成長は自己変革による行動 変容で相手からの期待値をあげる事と定義
  10. ところで、なぜ今「地力」や「保証」の話を? ばばの個人的な志向: - スーパーエンジニアへの憧れ - 金銭的価値があることだけではなくて、他人/業界/社会/未来に意義があること もしたい - 語り部活動、情報発信/執筆/登壇、コミュニティ参加、OSS活動、ICTSCなどなど ばばの個人的な危機感:

    - 前提: 保有能力を効率的に発揮できることは素晴らしい - 前提: 保有能力の発揮可否・効率は環境要因が大きいので、組織は環境整備・維 持に真摯に取り組まねばならない - 危機感: 「個人が保有能力を伸ばすこと」「保有能力発揮の個人要因」がアンタッ チャブルになっていないか? 16 共感したらぜひ 一緒に / それぞれ 活動しましょう!
  11. ところで、なぜ今「地力」や「保証」の話を? 経営者として・業界人として: - 収益に直接繋がる成果や価値も大事だけれども「収益的にはさほどでも/全くないけど 意義があること」もやりたい(企業の「社会の公器」としての側面) - アングラだった「インターネット」や「ソフトウェアエンジニア」という仕事を社会に対して きちんと成熟させていきたい(後進育成、業界健全化) - 夢がある職業・業界としての成立

    - 「真っ当な職業」「真っ当な業界」というポジションの確立 - 公害や麻薬のような存在にならないように AIの台頭: - AIによる「少数精鋭化」の加速(大規模開発→少数メンバーチーム並走/マイクロサービ ス→AI) - 「保証」はコンピューター / ソフトウェアの特性を社会で活かすのに不可欠という事実 - AIは「責任を取ることはできない」。プロフェッショナルの役割・責任は保証の領域が主 戦場と認識している(ただし社会受容により「責任をさほど求めない」ということになる 可能性はある) ➔つまり、もともと志向があったところに、AIが発達して状況が差し迫ってきた 17 共感したらぜひ 一緒に / それぞれ 活動しましょう!
  12. OffJTアプローチでの書籍活用術: 読書会 20 「読む」よりも本をネタにした「対話・ディスカッション」を! - リアルな経験、多様な価値観・価値の認識を知る絶好の機会 - 同じシステムの同じ出来事に対しても、立場や経緯が変われば価値の認識や 評価は変わる、というのをまざまざ知ることができる(チャンス/ピンチ、もう こりごり/年一くらいなら歓迎)

    - きっと「そんなことある!?」という出来事や価値の認識が出てきます - ※経験を聞く場です。正しさを押し付けてはいけません。論理的・倫理的に違 和感があったら「そうだったんですね」「ふしぎですね」を活用しましょう - ➔本の枠組みを活用して観点のバランス/抜け漏れを埋めてみよう 場数 △ 思考 ◯ 対話 ◎ 継続 □ 「続けるコツ」はググるなりパプるなりで探してみて - 下準備なしで 「LLMで要約➔読む(気になったら本文も)➔対話・ディスカッション」 でいいと思う - メンタリングの外部サービスを使うのもあり(X-Tech5でもやってます) (X-Tech5に頼むと著者が登場する可能性)
  13. OffJTアプローチでの書籍活用術: メンタリング/トレーニング 21 先輩や上司とのメンタリングや1on1、トレーニングのときに活 用できます(しています)。 特定の章をテーマに議論すると... - 自分の理解度を客観的に確認できる - 自分の志向性や思考の癖が確認できる

    - ベテランの経験に基づいた、文脈のある知見を得られる - リアルな経験、多様な価値観・価値の認識を引き出せる - アーキテクチャ設計の壁打ち相手になってもらえる 場数 △ 思考 ◯ 対話 ◎ 継続 □ 最初と最後は根性と執念 - LifehackやProductivity Toolなどの工夫は補助策 - メンタリングの外部サービスを使うのもあり(X-Tech5でもやってます)
  14. 24 『バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全』 5-5 OODAループ 定点観測会が最強の OJTエンジンだと思って ます - リアルなシステムのリアル なデータで

    - リアルなコンテキスト・ト レードオフのもとで - リアルな課題をチームで 議論する - サイクルを決めればどん どん次がやってくる ➔場数 / 思考 / 対話 / 継続 の4つを同時かつ継続的に実 践できる
  15. OJT/実践アプローチでの書籍活用術: 定点観測会 25 RTTを短く、かつバランスよく! - 書籍を調査・検討・対話のネタにする - 信頼性 / 可用性

    / キャパシティ / パフォーマンス / セ キュリティ / 持続性 のバランス感や、トレードオフの判断 基準のすりあわせが肝心 場数 ◎ 思考 ◎ 対話 ◎ 継続 □ 『バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全』 5-5 OODAループ
  16. OJT/実践アプローチでの書籍活用術: 定点観測会 26 ガッツリパターン - 週一回、30-60分間 - 事前の下準備をして、Biz / Dev

    / Opsみんなで開催する - SLOに一喜一憂しない - 嬉しいこと / チャンス / 不安なこと / 危険なことなど、価値観のすり合わ せと学びの場にする - 技術的な細かい深堀りは別途行う カジュアルパターン - 週一回、15分間 - ロードバランサーのレイテンシーとエラーレートのグラフと、コストのグラフ をチームで一緒に眺めて、気づきを共有する 場数 ◎ 思考 ◎ 対話 ◎ 継続 □ 最初と最後は根性と執念 - 予定を押さえておく、効率化/トイル削減、などの工夫は補助策 - SRE支援の外部サービスを使うのもあり(X-Tech5でもやってます)
  17. まとめ 29 独習アプローチ - 読書、思索 OffJTアプローチ - 読書会 - メンタリング/トレーニング

    OJT/実践アプローチ - 定点観測会 場数 △ 限定的 △ 他者の経験を聞く ◎ リアルな場数 思考 ◎ 自分のペースで ◯ 多様な視点 ◎ リアルな題材 対話 △ 工夫次第 ◎ 多様な相手と ◎ リアルな文脈 継続 □ 自己規律 □ 相互圧力 □ 仕組み化 『バックエンドエンジニアのためのインフラ・クラウド大全』を「たたき台」にして、 「地力」を育み・発揮する豊かで楽しいエンジニアライフを!