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LLM活用の壁を超える:リクルートR&Dの戦略と打ち手

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February 27, 2026

 LLM活用の壁を超える:リクルートR&Dの戦略と打ち手

2026/2/27に、RECRUIT TECH CONFERENCE 2026で発表した三田の資料になります。

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February 27, 2026
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Transcript

  1. 三田 雅人 料理・テニス・ゲーム 経歴 / Career 理化学研究所、CyberAgent AI Labの研究者を経て、 2025年にリクルートにキャリア採用入社。

    専門は、自然言語処理、計算心理言語学。 R&D組織にてLLMのプロダクト実装を推進。 2025年言語処理学会年次大会にて最優秀賞受賞。 趣味 / Hobbies プロダクト開発 データ推進室 データテクノロジーラボ部 R&Dグループ 2
  2. リクルートにおけるR&D体制 - WhaleLM - 限られたLLM専門リソースを集中し、R&Dから事業実装のできるチームを育成、 全社レベルの事業優先度の高い中長期プロジェクトにアサイン R-ICT GPT 既製LLMの事業活用 OpenAI(Azure)のGPTシリーズ

    中心でプロダクト適用、 Prompt Engineeringがメイン WhaleLM PoC ~ 事業実装 DS/MLEが中心でより高度なモデリング が必要かつ事業クリティカルになりうる LLM活用を推進 3
  3. LLM活⽤フェーズが進み、ニーズがシャープに⾼難易度に 4 • カーセンサー ◦ チャットではなく既存UXに組み込み ➔ システム性能要件(レイテンシ等)が高い ◦ 効果直結の打ち手が明確:

    レコメンド再ランキング/レコメンド軸提案 • HR キャリアアシスタントAI ◦ LLMがコア機能 ◦ SLM置換でインパクト大:コスト最適化+UX向上 ※画像はイメージです
  4. LLM活用の壁 • 非機能要件への対応(レイテンシ/スループット/コスト) ◦ 既存UXに組み込むには応答速度と安定運用が必須(=品質とのトレードオフ) ◦ ➔ 小型化・高速化・運用設計で“必要十分な品質”を保ちながら最適化 • 出力の制御性・指示追従性(フォーマット遵守/一貫性)

    ◦ 期待通りの形式・粒度・制約で出させないと、後段処理やUIが壊れる (=自由度とのトレードオフ) ◦ ➔ 運用側の制約設計に加え、学習で指示追従性を底上げして、狙い通りの出力を安定化 6
  5. 非チャットUIにおける生成文表示 • 課題:LLMで品質の高い生成文は実現できるがレイテンシやコスト面で△ ◦ 例: Gemini-2.5-flashを用いて推薦文を生成 ▪ 想定リクエスト量(30RPS)を保証するためには約970万円/月*1 ▪ レイテンシ:

    1380ms/件(5000ms/5件) • 打ち手:SLMおよび推論高速化技術の活用 ◦ 例:SFT・知識蒸留・投機的デコーディング...など ◦ ➔ 性能改善しつつ約17.5倍高速化&運用料金を98.5%削減 モデル 最低要件遵守率 (%) ↑ レイテンシ (ms) ↑ 月額 (¥) ↓ 実タスク GPU=10 GPU=3 gemini-2.5-flash 97.4 1380 N/A N/A 9,700,000 llm-jp-3-150m w/ 蒸留・推論高速化 99.4 79 258 472 145,800 7 *1. 入力トークン:700, クエリあたりの出力レスポンステキストトークン数:150 設定における見積もり(2026年2月時点)
  6. 知識蒸留における忠実性改善 • 課題:「ショートカット学習」 ◦ 生徒モデルが教師モデルの推論・出力形式を真似せず、独自フォーマット/冗長回答 に逃げる(=忠実性の低下) • 打ち手:Adaptive Z-score Weighting

    (AZ-Weighting) を提案 ◦ 学習中の損失履歴から各サンプルのZ-scoreで難易度を動的に推定 ◦ 教師との乖離が大きい(ショートカットしがちな)サンプルに勾配重みを強めて教師 分布へ寄せる ➔ フォーマット追従性(strict-match)が改善 モデル flexible-extract strict-match GKD [Agarwal+24] 68.69 43.85 w/ AZ-Weighting 69.75 47.16 JSAI2026 発表予定 8 例: GSM8K
  7. まとめ:LLMをプロダクトに“組み込む”ためのR&D • ミッション:LLM専門人材・知見を集約し、R&D〜事業装着を一気通貫で推進する体制を 構築し、全社優先度の高い中長期テーマに集中投下 • 壁① 非機能要件(レイテンシ/スループット/コスト) ◦ SLM+推論高速化で“必要十分な品質”を保ちながらレイテンシ・コスト最適化 •

    壁② 制御性・指示追従性(形式遵守/一貫性) ◦ 知識蒸留における忠実性を向上させるための道具立てを研究開発 • R&Dの提供価値: ◦ 横断組織として横展開:成功パターンをモジュール化(学習・推論・評価)して 複数領域・プロダクトへ再利用 ◦ ゼロイチで技術を作る:既存技術では解消が難しいギャップに対しては、 研究アプローチにより新技術を創出して課題解決に向けた道具立てを整備 9