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AIコーディングエージェントを 「使いこなす」ための実践知と現在地 in ログラス / Ho...

AIコーディングエージェントを 「使いこなす」ための実践知と現在地 in ログラス / How to Use AI Coding Agent in Loglass

4/24に開催された「SmartHR AI tech talk#2 ── コード生成×AI 現場のリアル」の登壇資料です。 https://smarthr.connpass.com/event/351870/

r-kagaya

April 24, 2025
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  1. © 2024 Loglass Inc. 0 © 2024 Loglass Inc. SmartHR

    AI tech talk#2 ── コード生成×AI 現場のリアル #smarthr_ai AIコーディングエージェントを 「使いこなす」ための工夫と現在地 in ログラス r.kagaya 2025.4.24
  2. © 2024 Loglass Inc. 4 「私たちが知っているプログラミングの終焉」 https://www.oreilly.com/radar/the-end-of-programming-as-we-know-it/ • AI時代のプログラマは「コードを書く人」から「 AIを

    活用し業務設計する人」 へと役割が変化 • AIによる自動化が進む中でも、人間が「最後の 30%」を補完しなければならず、熟練したプログラ マーの知識が依然として不可欠 • プログラマーの役割は変わるが、AIが新たな需要 を生み出し、より多くの人が「 AIを活用したプログ ラミング」に携わる ようになる
  3. © 2024 Loglass Inc. 5 過去30日間に書かれたAPEXコードの約20%がAgentforce(AI) https://venturebeat.com/ai/this-ai-already-writes-20-of-salesforces-code-heres-why-developers-arent-worried/ • 「Vibe Coding」の登場、AI生成コード

    には新しい品質管理が必要 • アルゴリズム的思考や小さな問題に分解 する能力などは変わらずに重要 • 開発者は「実装者」から「戦略家・パイロット」へ ◦ “何を作るか ” と “どう品質を守るか ” に重点を移していく • AIエージェントを監督・指導する立場となり、最終的な成果物に対する責任を負う • これは職の喪失ではなく、役割の「超越(transcendence)」
  4. © 2024 Loglass Inc. 6 https://venturebeat.com/ai/this-ai-already-writes-20-of-salesforces-code-heres-why-developers-arent-worried/ “Are you going to

    build the next-generation database with vibe coding? Unlikely. But could you build a really cool UI that makes database calls and creates a fantastic business application? Absolutely.” 訳)「バイブコーディング "で次世代データベースを構築する?ありえない。し かし、データベースを呼び出し、素晴らしいビジネス・アプリケーションを作成 する、本当にクールなUIを構築できるだろうか?もちろんだ。
  5. © 2024 Loglass Inc. 13 AIコーディングエージェントを使う文化を作る https://speakerdeck.com/yuitosato/how-to-create-a-culture-of-using-ai-agents-in-a-50-person-organization • 「トップダウン“だけ”でもボトムアップ“だけ” でも炎は広がらない」

    • 配布 → トレーニング → 専用Slack → ルー ルDocsを1か月内に一気に整備。 • 週1回 “自分でコードを書かない” 縛りで実タ スクを解く。ワイガヤでノウハウを共有
  6. © 2024 Loglass Inc. 14 AIコーディングエージェントを使う文化による利点 ”集合知”でAIのオンボーディングを加速させる • AIオンボーディングのプロセスが回り続ける重要性 •

    組織・チーム全体での利用が増えることで、ノウハウやTipsの共有のみならず、 オンボー ディングプロセスの加速にも寄与 • 各々が普段の開発で気づいた/改善したことをRules等で組織全体に反映
  7. © 2024 Loglass Inc. 15 AIコーディングエージェントを使う文化 特定メンバー・基本ルールから始まり、 Cursor Rulesを育てる動きが広がりつつある •

    Rulesを修正したことがあるユーザー: 約13人 / 50 • 4月は特定機能に向けた個別ルールの策定など、より具体な修正も増加
  8. © 2024 Loglass Inc. 17 いかにAIが知っていることを増やすか、 AIができることを増やすか クローズド × 複雑な

    問題 オープン × 複雑な 問題 オープン × 簡単な 問題 クローズド × 簡単な 問題 簡単 複雑 情報がオープン 情報がクローズ
  9. © 2024 Loglass Inc. 19 AIコーディングエージェントを育成する 「.mdcでAIを“社内ルール を一部知っている ”状態に育成」 AIは多くのことを知っているが

    逆に実業務においては 知っておいて欲しい事を知らない 社内や暗黙知として存在する知識 を継続的に与える・学ばせ続ける https://speakerdeck.com/yodakeisuke/dot-mdc-driven-knowledge-management
  10. © 2024 Loglass Inc. 20 AIコーディングエージェントを育成する 「.mdcでAIを“社内ルールを一部知っている ”状態に育成」 AIは多くのことを知っているが 逆に実業務においては

    知っておいて欲しい事を知らない 社内や暗黙知として存在する知識 を継続的に与える・学ばせ続ける https://speakerdeck.com/yodakeisuke/dot-mdc-driven-knowledge-management 特にプロダクト特有のドメイン知識 さらには規約やお作法
  11. © 2024 Loglass Inc. 21 AIコーディングエージェントを育成する 「.mdcでAIを“社内ルールを一部知っている ”状態に育成」 AIは多くのことを知っているが 逆に実業務においては

    知っておいて欲しい事を知らない 社内や暗黙知として存在する知識 を継続的に与える・学ばせ続ける https://speakerdeck.com/yodakeisuke/dot-mdc-driven-knowledge-management ファジーにルールを扱えることの強さ e.g. 「PRの変更行数は200行を目安に」 (その分だけ発生するゆらぎやブレをどうコント ロールするか?)
  12. © 2024 Loglass Inc. 23 AIコーディングエージェントのガードレール 変わらないガードレールとしての型・自動テスト・ Lintの重要性は 今までコードで規定していた制約を自然言語で実現可能に。多少の揺れと幅を許容できるの はメリットもデメリットもある

    = ”決定論的な”制約の表現・検証方法との使い分け 自動テストや型、静的解析ツールの資産はガードレールとして使える。 自動テスト・関数型などの文化が整っていたおかげで一定やりやすかった
  13. © 2024 Loglass Inc. 25 v0のEval Driven Development https://vercel.com/blog/eval-driven-development-build-better-ai-faster テストではなく評価(

    Eval)が開発サイクルの主役 プロンプト変更やモデル更新を合格率という数値ゲートで判定し、失敗例を評価セットへ追 加して学習ループを回し続ける 修正→評価→改善→再評価のループ
  14. © 2024 Loglass Inc. 36 ルール改善プロセスのアップデート Meta‑Rule (ルールを評価するルール )や、複数モデルの実行・結果を評価する仕組みなど •

    ルールを評価する仕組みや評価セットの需要 • ルールの中にもタイプ・分類がある、それぞれ評価や動作確認の仕方が変わりうる • 同一ルールでもモデル毎に挙動は変わりうる ◦ e.g. 「Playwright MCPでの画面テストがモデルによっては上手く動かない」、「必ずxxxを させるルールで必ず実行されていることを確認する」 ◦ 例えば、規約やMCP操作を行うルールであれば、可能な限り同じ/正確な挙動をして欲し い ◦ 手動で細かく修正・モデル変更を繰り返すのは辛い...! • 現時点ではRules/コンテキストが増えすぎても性能は劣化しがち
  15. © 2024 Loglass Inc. 37 ルールの分類(例) 名称 主眼 カテゴリ例 ルール例

    Quality Basis コード品質 スタイル / Lint / フォーマット Prettier相当のimport並び順 デグレ防止 「既存xxxxxを壊す変更は禁止」 Architecture 構造保全 レイヤ責務 「service層から直接dbへのアクセス禁止」 依存ライブラリ制御 「暗黙依存ではなくDI経由で」 Domain 業務知識 ドメイン知識 / ユビキタス言語 「net_sales = quantity × unit_price」 UI/UX 用語統一 「“Investors” を必ず “IR投資家” と訳す」 Workflow 開発プロセス Pull‑request テンプレ / チケット連 携 「AI が書いたコミットには ai: prefix」 Meta‑Rule(ルール自体の管理) 古い/未使用ルールを 90 日ごとに警告
  16. © 2024 Loglass Inc. 38 自動化された改善プロセス Devinのナレッジが自動で増えていく体験は GOOD 利用を続けていれば勝手に”育っていく”体験 ルールやドキュメント、ワークフロー化の拡充は開発者の善意と気づきで行われているが、自

    動化・仕組み化の余地を探したい (e.g.コード<->仕様ドキュメントの相互更新、Slack/PR等からのルール自動提案、自社環境/ タスクにおける最適モデルの発見) LLM As a JudgeやEval Driven Developmentの考えは一定は転用可能と考えている(の で試行錯誤していきたい)
  17. © 2024 Loglass Inc. 40 AI-based operations from scratch. https://hrmos.co/pages/loglass/jobs/1813462408235663396144

    いかにAI前提の業務フローを構築、試行錯誤できるか? 開発組織に限らず、AI前提の業務プロセスを構築できるかが競争力に直結する時代 ログラス社も“AIが活躍することを前提とした業務そのものの再設計”するJDを公開 開発組織に限らず、AI前提での業務 のあり方の探索が求められる
  18. © 2024 Loglass Inc. 42 まとめ • ログラス社のAIコーディングエージェント活用の取り組みについて紹介 • 利用が当たり前の文化は一定生まれたと言っても良さそう

    • これからは、”AIコーディングエージェントの活躍の場を増やす”ための工夫が求められている ◦ e.g. 既存ドキュメント資産の再利用性、コーディングタスク以外での活用、ソフトウェア開 発プロセス全体での活用、etc… • AIコーディングエージェントによる割れ窓の拡散問題にも向き合う必要がある ◦ “どう品質を守るか” 、レビュー・テスト・評価の重要性 • サーバーサイドKotlin問題は、Jetbrains社のJunieに期待