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その失敗は多様性があれば解決していたかもしれない

いしはら
September 15, 2024

 その失敗は多様性があれば解決していたかもしれない

スクラムフェス三河2024にて発表しました。
https://confengine.com/conferences/scrum-fest-mikawa-2024/proposal/20322

いしはら

September 15, 2024
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Transcript

  1. その失敗は多様性があれば解 決していたかもしれない 
 2024/9/14 
 Scrum Fest Mikawa 2024 


    KDDIアジャイル開発センター株式会社 
 石原汐帆、升野哲志 

  2. KDDI Agile Development Center Corporation 2 / 20 皆さんはこんな状況に遭遇したことがありますか? •

    ふりかえりの場で、ふりかえりたい題材がない  ⇒チームに悪い所がない=問題ない(!?) • ミーティングではいつも特定の人が発言している • 内心モヤモヤしているけど、その場の空気を壊したくないので黙っている • 現状のやり方を大きく変える提案にチームメンバーが非協力的、拒絶的な態度 それらの状況は多様性があれば解決していたかもしれない
  3. 3 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 そもそも多様性とは? 人種や性別、宗教、価値観、性的指向、年齢、学歴、職歴、国籍、民族など

    さまざまな属性を持つ人々が共存している状態 本日伝えたいこと • チームに多様性がある/ないとどんなことが起きるのか • 多様な意見・人間性を受け入れる土壌をつくる難しさ • チームに多様性という小さな一石を投じてみた結果 本日取り扱わないこと • 性別・年齢・人種・国籍など生まれもった外面的な多様性(表層的多様性) • 多様性の追求(なんでもかんでも多様であろうとしているわけではない)
  4. 4 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 大事なこと 本日お話しする内容は組織の見解ではなく、個人の経験に基づいた、あくまでn=1の

    一例となります。 その上で、チームでのコミュニケーション、意思決定、目的意識、心理的安全性、ふり かえりなどに課題を抱えていらっしゃる皆様が少しでもヒントを持ち帰っていただけま すと幸いです。
  5. KDDI Agile Development Center Corporation 5 / 20   石原汐帆  @sh_ishihara518
 


        KDDIアジャイル開発センター株式会社 
 
 経歴 DEV&CS →子育て →テスター →QAエンジニア 
 
 よく遊びにいくコミュニティ
 • テストの街葛飾(毎週火曜21時半〜26時くらいまで) 
 • スクラム道関西のオンサイト開催(月1くらい?) 
 • テスト駆動飲み会 (隔週写経会・隔月モブプロ会) 
 • 人にやさしい組織マネジメント勉強会 (だいたい隔週月曜) 
 
 運営スタッフ🔰
 • JaSST Kansai
 • XP祭り2024(9/28開催!) 
 
 好きなこと 
  娘(9歳)、愛猫、日本酒、飲み会 
  KAGのゆるキャラ カグカグ 
         をよろしくお願いします! 
 自己紹介 
   升野哲志
 
    KDDIアジャイル開発センター株式会社 
 
 運営スタッフ🔰
 • XP祭り2024(参加申込: オンライン・現地WS1部 ・2部)
 好きなこと 
  お城回り、と旅行 
  猫(ROM専)
  岡本太郎作品 
 経歴
 • 機械メーカーで組み込みソフトエンジニア 
 • 電機メーカーでソフトウエア開発改善に従事 
 • KDDIアジャイル開発センターでスクラムマスター 
 ◦ 大阪サテライトオフィス長もやってます 

  6. 6 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ラーニングアウトカム 


    1. チームに多様性がある /ないとどんなことが起きるのか 2. 多様な意見・人間性を受け入れる土壌をつくる難しさ 3. 多様性という小さな一石を投じた結果 

  7. 8 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース1:会議でいつも特定の人が発言しており それ以外の人は空気と化している

    <状況> • 10名体制のスクラムチームの日々のスクラムイベント • 自分が発言しなくても **さんが発言してくれる • 勇気を出して発言したらいつも発言する人たちにその場で論破 されてしまい 不要な発言だったと思った • 意見を言葉にするのに時間がかかるが、会議の流れについていけず 無言=同意 で話題が進んでしまう • もちろん、発言しない=意見がないわけではない
  8. 9 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース1:会議でいつも特定の人が発言しており それ以外の人は空気と化している

    <多様性欠如ポイント> • 同じような内容なら自分は発言しなくても良い • 自分にとって論理的でない意見は不要であり、意見の衝突時は自分の信じる論理で 殴り合う • 発言しないことによって自動的に同意したことになる
  9. 10 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース1:会議でいつも特定の人が発言しており それ以外の人は空気と化している

     <取り組み1> • 立場:特定のいつも喋る人 • 試したこと ◦ あえて先に意見を出さないようにしてメンバーの意見を待ってみる ◦ 普段発言が少なめな人に話を振ってみる ◦ 意見を出す前に基本的な質問をしてみる
  10. 11 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース1:会議でいつも特定の人が発言しており それ以外の人は空気と化している

    <結果・所感> • 待つと別のよく喋る人がめっちゃ喋ってしまい効果を感じるのが難しかった😇 • 話しかければ、意見を話してくれる! • 副作用で、会議全体的にかかる時間が長時間化する傾向に😅
  11. 12 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース1:会議でいつも特定の人が発言しており それ以外の人は空気と化している

     <取り組み2> • 立場:意見を発言すると論破される気がしてドキドキしている人 • 試したこと ◦ 相手への問いかけに自分の意見を混ぜてみる ◦ チャットで意見をコメントしてみる(非同期コミュニケーション)
  12. 13 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース1:会議でいつも特定の人が発言しており それ以外の人は空気と化している

    <結果・所感> • 問いかけた結果に対しても切り捨てられてしまうことがあった • チーム全体の場だけではなく、個別に1on1などして信頼関係を育てていく • チャットコメントを活用すると、発言が少なめのメンバーもコメントやリアクションで反応 してくれた
  13. 15 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース2:チームの雰囲気はいいが、外部からのネガティブ フィードバックを受け入れられない

    <状況> • 社内の開発プロセス改善を推進するチーム(以下改善チーム) ◦ メンバーのスキルと経験が揃い 、モチベーションが高い ◦ 活動の中で活発に議論が行われ、チームの雰囲気も非常によかった • 開発現場に改善案を提案したところネガティブフィードバックを受けた ◦ 改善の必要性に関して意見が大きく食い違っていた ◦ 改善チームとしてうまく受け止められずモチベーションが下がり チームの活動停止
  14. 16 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース2:チームの雰囲気はいいが、外部からのネガティブ フィードバックを受け入れられない

    <多様性欠如ポイント> • 開発現場視点の欠如 ◦ 自分たち基準で改善提案を作成しており(集団浅慮)、開発現場のスキル・経験・ 規則を考慮していない 一方的な改善提案となってしまった ◦ 改善チーム内の議論で開発現場視点の意見が出てこなかった ◦ フィードバックに対して意図を汲み取れず、過剰に反応してしまった
  15. 17 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース2:チームの雰囲気はいいが、外部からのネガティブ フィードバックを受け入れられない

    <取り組み> • 提案会議のオブザーバーと1対1で話す場を設け、異なる視点を取り入れた ◦ 私たちの活動がどのように受け止められたか、感情的な部分も含めて聞いた • 自分たちの意見の偏りに気づく きっかけとなった • 全否定されているわけではなく、理解してもらえていることもあった ◦ もらった意見を整理し、改善チーム内で反省点として共有
  16. 18 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 ケース2:チームの雰囲気はいいが、外部からのネガティブ フィードバックを受け入れられない

    <結果・所感> • 改善チーム内で開発現場観点での意見 が出るようになった • モチベーションが高く全員が主体的に動けるいいチームでも、チーム内の偏りに気づく ことができず 良い成果が出せなかった • チームとして偏りがあってもいいところ、偏りがない方が良いところ を見極めて自己点 検していく活動が必要だと感じた
  17. 19 KDDI Agile Development Center Corporation / 20 まとめ 1.1

    チームに多様性があること起こること • 異なる視点や経験が加わることで、実態に沿った問題解決方法を見出すことができる 1.2 多様性がないチームに起きたこと • 意見が偏り、チーム内での同調圧力が強まる • 新しいアイデアや反対意見が減り、問題解決で取れる手段が単調で非効率的になった 2. 多様な意見・人間性を受け入れる土壌をつくる難しさ • 心理的安全性 が確保されていないと、メンバーは意見を控えチームが多様さを失う 3. 多様性という小さな一石を投じた結果 • チームに多様性を導入するため、1対1の対話や意見交換を促進した結果、反対意見や異な る視点が出やすくなった • 意見の幅が広がることで、効率的な問題解決が可能になった