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統計学入門講座 第3回スライド

統計学入門講座 第3回スライド

てくますプロジェクトで行った統計学入門講座の第3回スライドです。
実施:2024/11/18

TechmathProject

November 24, 2024
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Transcript

  1. てくますプロジェクトについて • てくますプロジェクトは, 「考える楽しさを探そう!」が合言葉の, 数学と情報科学の学習コミュニティです. • 数学や情報科学は, 誰にとっても役立ち, 趣味としても楽しめるものです. その魅力を伝えるために,

    私たちは活動しています. • 輪読会や講座の実施, 記事などのコンテンツ制作を行っています. • X などで宣伝いただけると大変嬉しいです. (#てくますプロジェクト) • 講師はゆっきん(桑原)が担当します. ◦ 数学教師→システムエンジニア→プログラミング講師 ◦ 数学, プログラミング, ボードゲームが好きです. ◦ てくますプロジェクトやボードゲームコミュニティの運営を 行っています.
  2. 本講座について • 本講座は統計学を初めて学ぶ方や, 学び直したい方を対象としています. 本講座の前半は高校数学レベル, 後半は大学教養レベルです. 統計検定2級を目指す方にも適した内容です. • 本講座は各回, 前半で知識のインプット,

    後半で問題演習を行います. • 高校や大学以外で数学を学ぶことのできる貴重な場です. 数学を学びたい人たちが集まっていますので, ぜひ交流してください! • 本講座作成にあたり, 特に参考にした本を 右に挙げておきます. 2冊ともオススメです. • 後ろから顔が映らないように写真を撮ることがあります. ご了承ください.
  3. スケジュール 第1回 データの整理 2024/10/07 第4回 確率分布 2024/12/02 第3回 確率の基本 2024/11/18

    第2回 データの散らばり 2024/10/28 第5回 検定の枠組み 2024/12/16 第8回 2標本t検定 2025/02/10 第6回 母平均の検定 2025/01/06 第7回 母分散, 母比率の検定 2025/01/27 本講座は全8回です. 各回の内容は以下の通りです.
  4. 目次 1. 場合の数 順列, 組合せ, 同じものを含む順列など, 場合の数の基本的な内容を説明します. 2. 確率 確率の計算方法,

    反復試行の確率, 条件付き確率などを説明します. 今回は、高校数学Aの「場合の数と確率」を速習する感じの内容となっています.
  5. 場合の数とは 場合の数とは, ある事柄について考えられるすべての場合の総数のことです. 場合の数を求める際は, 順序よく整理し, 漏れや重複がないようにすることが大切です. 例題:a, a, b, c

    の 4 文字のうち, 2 文字を選んで一列に並べる方法は何通りでしょうか. a b c a b c a c a b 樹形図より, 答えは 7 通り. 辞書順に並べることが大切
  6. 順列とは(1) 異なる n 個のものから r 個を選んで 1 列に並べたものを, n 個から

    r 個取る順列といいます. 例題:a, b, c, d, e の 5 文字のうち, 3 文字を選んで一列に並べる方法は何通りでしょうか. a b c d e c d e b c d e 5 通りのそれぞれに対して, 4通りの選択肢. そしてそのそれぞれに対して, 3通りの選択肢. 5 × 4 × 3 = 60 通り.
  7. 順列とは(2) n 個から r 個取る順列の総数を   と表し, 次のように計算する. r 個の積 例題:a,

    b, c, d, e の 5 文字のうち, 3 文字を選んで一列に並べる方法は何通りでしょうか. 通り. n 個すべてを並べる順列の総数を n の階乗といい,   と表す. 例題:a, b, c, d, e の 5 文字を一列に並べる方法は何通りでしょうか. 通り.
  8. 組合せとは(1) 異なる n 個のものから r 個を選んだものを, n 個から r 個取る組合せといいます.

    例題:a, b, c, d の 4 文字のうち, 3 文字を選ぶ方法は何通りでしょうか. a b c d c d b c d 4 通り. d c d × × × × d 4 文字のうち, 3 文字を選んで並べる方法は, 4 × 3 × 2 = 24 通り. 3! しかし実際は並べず選ぶだけなので, abc, acb, bac, bca, cab, cba の 6 通りはすべて同じもの. よって, 24 ÷ 6 = 4 通り. 4 文字のうち, 3 文字を選ぶことは, 選ばない 1 文字を選ぶことと同じである. よって, 4 通り.
  9. 組合せとは(2) n 個から r 個取る組合せの総数を   と表し, 次のように計算する. 例題:a, b, c,

    d の 4 文字のうち, 3 文字を選ぶ方法は何通りでしょうか. 通り. • • • ※ 順列(P)と組合せ(C)の違いは,   順番の違いを意識するかどうかです.   abとbaを異なるものと考えるのが順列,   abとbaを同じものと考えるのが組合せです.
  10. 同じものを含む順列 先ほどの順列では異なるものの並べ方を調べましたが, 今度は同じものを含む場合について考えます. 例題:a, a, a, b, c の 5

    文字を一列に並べる方法は何通りでしょうか. 3 つの a を別物の a であると仮定します.(a1, a2, a3 としましょう) このとき, 5文字の並べ方は, 5! = 120 通りです. しかし実際には, 3 つの a は 同じ物です. a1, a2, a3, b, c a1, a3, a2, b, c a2, a1, a3, b, c a2, a3, a1, b, c a3, a1, a2, b, c a3, a2, a1, b, c a, a, a, b, c 6通りは同じもの! 3! よって, 求める場合の数は,     通りとなります. 同じものを含む順列では, 同じものの個数の階乗(!) を分母に置けばOK.
  11. 確率とは 確率とは、ある事象が起こる可能性の度合いを数値で表したものです. • 確率は、0から1の間で表され、0は「絶対に発生しない」を、1は「必ず発生する」を意味します. • 試行の結果, 起こる事柄のことを事象と呼び, 事象の中で, それ以上分けることのできないものを 根元事象と呼びます.

    • 試行において, どの根元事象が起こることも同程度に期待されるとき, 同様に確からしいといいま す. • 根元事象がすべて同様に確からしい試行では, 事象Aが起こる確率は, P(A) =(Aが起こる場合の数)/(全場合の数)で求められます.
  12. 例題:さいころを2個投げたとき, 次の確率を求めなさい.    (1) 2個のさいころが同じ目である    (2) 2個の目の和が4以上である (1) 全場合の数は, 6×6=36通り. 2個のさいころが同じ目となるのは,

    6通り. よって, 1 2 3 4 5 6 1 ◯ 2 ◯ 3 ◯ 4 ◯ 5 ◯ 6 ◯ (2) 余事象「2個の目の和が4未満である」は 3 通り. よって, 1 2 3 4 5 6 1 ◯ ◯ 2 ◯ 3 4 5 6 Aの余事象とは, Aが起こらない事象のことです. 確率の基本問題
  13. 確率の乗法公式 2 つの試行 S, T について, 試行の結果が互いに影響されないとき, 試行 Sと T

    は独立であるといいます. 試行 S と試行 T が独立のとき, 試行 S で事象 A が起こる確率を P(A), 試行 T で事象 B が起こる確率を P(B) とすると, A と B がともに起こる確率は, 次の式で計算されます. 例題:コインを投げて 2 回とも表となる確率は 例題:10本のくじの中に当たりが2本ある. 順番に2本引いて, 2本とも当たりの確率は 試行 S, T が独立でない場合, A と B がともに起こる確率は, 次の式で計算されます. Aが起こるという条件のもとで Bが起こる条件付き確率
  14. 反復試行の確率 例題:さいころを 5 回投げたとき, 次の確率を求めなさい.    (1) 5 回とも 3 の倍数の目が出る

       (2) ちょうど 3 回, 3 の倍数の目が出る (1) (2) ではない! ◯ ◯ ◯ × × ◯ ◯ × ◯ × ◯ ◯ × × ◯ ・ ・ ・ 組合せで考えると 通り. 同じものを含む順列で考えると 通り. この問題のように, 同じ試行を繰り返し行うことを, 反復試行と呼びます. 5回中どの3回で 3の倍数の目がでるか
  15. 条件付き確率とは U A が起こるという条件のもとで B が起こる条件付き確率を, 次の式で表します. A が起こると分かっていることから, A

    を確率の全体として考えています. 例題:さいころを投げて 4 以上の目が出たという条件のもとで, 出た目が偶数となる確率は, この式は, 確率の乗法公式の見方を変えただけの式です.
  16. まとめ • 場合の数を求める際は, 順序よく整理し, 漏れや重複がないようにすることが大切です. • 順列, 組合せ, 同じものを含む順列の概念と計算方法を理解しましょう. •

    根元事象がすべて同様に確からしい試行では, 事象Aが起こる確率は, P(A) =(Aが起こる場合の数)/(全場合の数)で求められます. • 確率の乗法公式: • 反復試行:5 回さいころを投げて, 3 の倍数の目がちょうど 3 回でるのは • 条件付き確率: