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なぜ私たちのSREプラクティスはなかなか機能しないのか 〜システムより先に組織を見る〜 / W...

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July 10, 2026

なぜ私たちのSREプラクティスはなかなか機能しないのか 〜システムより先に組織を見る〜 / Why our SRE practices aren't really working

SRE NEXT 2026 Platinum Sponsor Talk
https://sre-next.dev/2026/schedule/#slot070

【概要】
SLOを設定した。ポストモーテムも始めた。On-callも回している。でもなぜか組織に根付かない。改善のループに乗らない。もしかしてみんな忘れてる?
そんな感覚を持ったことはありませんか。

私はこれまで一人目SREや、SREプラクティスが未成熟なチームに参画し、文化醸成を担う役割を複数の現場で担ってきました。
その中で、SRE本を参考にしながらも機能しなかったり、形骸化していたりするケースを見てきました。

なぜ本の通りに実施しても、なかなかうまくいかないのでしょうか?

ここで思い出してほしいのは、SREはGoogleという組織の中で定義され、実行されたものだということです。
彼らの組織には、DevOps的な協働文化Blamelessな振る舞いなど、SREという役割が機能するための「土台」がすでに備わっています。
私たちの組織はどうでしょうか。Googleとはサービスも、文化も、人の構成も違います。

だからこそ、SRE本のプラクティスをいきなり実践する前に、組織そのものを「見立てる」必要があります。

本セッションでは、SREプラクティスを実践しているが「なかなかうまく機能していない」と感じている方に向けて、なぜシステムより先に組織を見るのか、組織を見るときに何をチェックすればよいのかを、例とともに共有します。

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July 10, 2026

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Transcript

  1. SRE as a Service - 技術支援 私たちは Cross-Company Embedded SRE

    として、 課題を解決する。 クライアントが変わっても、 SRE と してやるべきことは変わらない。 SRE NEXT 2026 | VTRyo 4
  2. SLO = 「信頼性」 をデータで見えるようにするため 「どれだけの信頼性があれば十分か」 を、 ユーザが気にかけることに基づいて、 測れる目標として決める。 SLO は、

    SRE と開発の作業の優先順位を決める主要因になりうるし、 そうあるべきだ。 ユーザが 気にかけることを反映しているのだから。 "SLOs can—and should—be a major driver in prioritizing work for SREs and product developers, because they reflect what users care about." → もともと彼らは強いデータドリブンの意思決定文化が存在する。 例 「41種類の青から最適な青を選ぶ」 参考:Google SRE Book — Service Level Objectives SRE NEXT 2026 | VTRyo 17
  3. エラーバジェットポリシー = 政治でなく 「データ」 で行動を決めるため エラーバジェットを使い切ったら何をするか事前に合意しておく 「ポリシー」 。 動機 こうした決定は、

    政治・恐怖・希望で左右されるべきではない。 交渉力に左右される非公式なバ ランスでなく、 双方が合意できる客観的な指標が要る。 "…Nor should such decisions be driven by politics, fear, or hope." 利点 SRE と開発のインセンティブを整合させ、 共同責任を強調する。 複数チームがわだかまりなく本 番リスクについて同じ結論に達せる。 "An error budget aligns incentives and emphasizes joint ownership…" 参考:Google SRE Book — Embracing Risk (Motivation for Error Budgets) SRE NEXT 2026 | VTRyo 18
  4. ポストモーテム = 失敗を 「学び」 として次に活かすため 失敗の代償は、 学びである "The cost of

    failure is education." インシデントから学ぶための正式なプロセスがなければ、 インシデントは際限なく繰り返される 可能性があります。 "Unless we have some formalized process of learning from these incidents in place, they may recur ad infinitum." ポストモーテム文化を定着させるには、 エンジニアリングリーダーが率先して 「非難しない」 姿 勢を体現する必要がある。 "…engineering leaders should consistently exemplify blameless behavior…" 参考:Google SRE Book — Postmortem Culture: Learning from Failure SRE NEXT 2026 | VTRyo 19
  5. トイルの削減 = 効率的にサービスを管理し、 エンジニアリングに集中するため GoogleのSREはトイル (運用作業) を各自の時間の50%未満に抑える。 トイルが少ない方がいい理由 SREの時間の少なくとも50%は、 将来のトイルを減らすか、

    サービスに機能を加えるエンジニア リング作業に充てるべきだ。 "At least 50% of each SRE's time should be spent on engineering project work that will either reduce future toil or add service features." 雑務を減らし、 サービスを拡張する作業こそが、 サイト信頼性エンジニアリング (SRE) における 「エンジニアリング」 である "The work of reducing toil and scaling up services is the "Engineering" in Site Reliability Engineering." SREが運用に埋没するのを防ぐ この上限は、 SREが運用作業に埋没せず、 チームの構成が純粋な運用チームへ傾かないことを 保証する仕組みとして働く。 "This cap acts as a mechanism that ensures that the SRE team members do not become entrenched in operational work, and that the team makeup does not drift toward a pure operations team." 参考:Google SRE Book — Eliminating Toil / Why Less Toil Is Better 20
  6. 各プラクティスと組織文化の対応 Googleは、 守りたい価値観や文化を維持するために、 SREプラクティスとして設計していると考えられる。 プラクティス 組織の文化 組織の価値観 SLO / エラーバジェッ

    トポリシー データによる意思決定 データに基づいて判断したい ポストモーテム 正直かつ率直に意見を述べて フィードバックループを回す 常にユーザに焦点を当てたい。 (ユーザに集中するより、 自分自身や同僚を非難か ら守ることが最優先事項になるような状況を防ぐ) *1 トイルの削減 (SREの運用作業は全 体の50%未満に) *2 SREをエンジニアリング組織 に保つ。 運用過多で人が離れるのを 防ぐ (エンジニアリングによってスケールに耐え) ビジネスの成長を止めない 参考: *1 Google Cloud Blog — Shrinking the impact of production incidents using SRE principles—CRE Life Lessons *2 Google SRE Book — Eliminating Toil 22
  7. 分かれ目は 「SRE内で閉じる」 かどうか SRE内で閉じる内容は、 比較的すぐに成果が見える。 一方で、 ステークホルダーが増えるほど組織にある文化や構造が SREプラクティスの機能に影響し始める。 SRE内で完結 課題意識が共通で持ちやすく、

    チーム内で小さく素早く開 始できる。 スモールスタートはこちらの方法にメリットが ある SRE以外のステークホルダーと協働する 調整コスト、 コミュニケーションコスト、 事前合意といった 縛りも発生するため難易度が高い トイル削減や運用作業率も、 開発チームと調整が必要な 場面になると難易度が上がる SRE内で完結することが、 すべて悪いわけではないので注意。 スモールスタートは大事 「どうもSREプラクティスがうまく機能してないのでは」 と思うときは、 SRE以外の関係者が必要な領域で起きがち SRE NEXT 2026 | VTRyo 26
  8. 実際にあったフィクション① 目的もなく導入したプラクティス — Dev環境のポストモーテム 当時の私 「開発環境でもポストモーテムを書くといいらしい」 と読み聞きして導入した。 しかし、 まったく定 着しなかった。

    この Dev環境には、 学ぶべき差し迫ったことも無く、 目的意識も伝えられなかった。 メンバーはDev環境へのポストモーテムに時間を割く理由を持てず、 時間をつくる調整ができなかった なんならSREも結局書くことなはく、 無に帰った SRE NEXT 2026 | VTRyo 28
  9. 何のためにあるのか。 どうなるべきなのか明確にすると? — Dev環境のポストモーテム ポストモーテムは失敗から学ぶための SREプラクティスであり、 同時に人を非難しない場作りの練習にもなり得る。 新人育成の場として利用する。 「失敗を学びに変える」 「非難しない」

    を習慣や雰囲気をオンボーディングか ら意識してもらう場 本番環境のポストモーテムを初めから書くのは難易度が高いため、 執筆練習として使う 社内ユーザに影響がある環境 (Platform / QAなど) として利用する。 実際に信頼性が必要な環境であれば意味がある SRE NEXT 2026 | VTRyo 29
  10. 自律的に信頼性と開発速度を最大化できる状態をつくる — SREがやった方が速い件 SREが開発チームに対してボトルネックになるような構成になると、 必然的に 「開発チームがSREと同じスキルを持っていたほうが良い」 ことになる SREの実装、 レビュー、 リリースを待つなら開発チーム自身で回せる方が効率的

    *1 どうしても対処不能、 あるいは相談したい事を依頼式にする *1 ロードマップ進捗と運用作業の比率をタスク数や消費時間で割合を算出する SREと開発チームが異なるSLOに責任を持つことで、 互いに開発から運用を担当するインセンティブをつくる *2 *1 参考:SRE Kaigi 2025 — 一人から始めたSREチーム3年の歩み - 求められるスキルの変化とチームのあり方 - *2 参考: クラウドネイティブ会議 — そのSLO 99.9%、 本当に必要ですか? 〜優先度付きSLOによる責任共有の設計思想〜 31
  11. 例1. SLOが仮で設定されており、 その数値が悪化した段階で 対処しているのでそれで十分 これは設定したSLOを検知として使っている例。 SLO違反まで行かなくとも、 数値が悪化した段階で気がつく 悪化した段階で、 何かが悪いことを理解できるので調査が始まる 実質的に行動が促されているため、

    ポリシーとして明文化するメリットが見えにくい 暗黙の裁量によって運用が回せている → SREと開発チーム間で対立したり、 行動が先送りになっていないのであれば問題ない 暗黙の裁量が届いているなら十分である SRE NEXT 2026 | VTRyo 36
  12. 例2. エラーバジェットポリシーを決めるにしても、 関係者と合意を取るコストが高いため後回しになっている 関係者が多いと調整や合意コストが高くなる。 一方でエラーバジェットポリシーのメリットを振り返ると、 気がつくことがある エラーバジェットポリシーがなくても回るケース → 暗黙の裁量が機能するとき (先述の仮説)

    合意コストが高いとき → 関係者が多く越境や説明が必要になるとき = 暗黙の裁量が破綻する可能性あり 「後回しにしているコストの高さ自体が、 ポリシーが必要なとき」 → 小さく始めたいときは、 関係者数よりも 「暗黙の裁量が届かない最小単位」 「かつ行動を約束させられる権限がある」 境界を探すと良さそう 暗黙の裁量が届いていないなら施策を打つ余地がある 37
  13. 「エラーバジェットポリシーがユーザのためになる」 わかりやすい例 — ファミレスのエラーバジェットポリシー 某黄色いファミレスの厨房では、 オーダー状況が色分け表示されていた。 顧客影響度が可視化されており、 現場リーダーが即時判断 できるようになっている 5分以内

    許容 (目標内) 5〜10分 注意 (バジェット減り始め) 15分経過 至急 (バジェット枯渇) 。 他作業を止めてで も対応 時間を基準に、 優先度が明確に決まっている このルールに従うことで、 アルバイトでも自然とユーザに価値を提供できる バイトだろうと店長だろうと、 15分を超えたときは優先的にリソースを割く → 待たされる時間は顧客満足度に直結する重要な指標 39
  14. 本日と明日、 スポンサブースにTopotal社員がたくさん来ている! ! SREコミュニティに特化したメンバーともカジュアルにお話! ゆっくりしていってね! 過去 SRE NEXTを始めとしたカンファレンスで登壇した現役SREの CEO nari_ex,

    CTO rrreeeyyy 本日 「事業価値を生み出すSREへ ー SREが担うべき意思決定の5層」 で登壇した COO kenta_hi (過去 SRE NEXT で Co-Chair を担当) 本日 「Tamachi.sre 地域SREコミュニティ最前線」 にて広島代表として登壇する gr1m0h (過去 SRE NEXT の Chair を担当しながら同時に登壇) 過去 SRE NEXT、 SRE Kaigi、 クラウドネイティブ会議で登壇した VTRyo ← ここに載っていない、 SRE最前線で活躍するメンバー多数もブースに! SRE NEXT 2026 | VTRyo 42