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建設業に関連する国際動向

Wakuto.U
March 19, 2024

 建設業に関連する国際動向

ヨーロッパにおける建設業のサスティナブル領域の取組みについて調査しました。

主なテーマ
①ヨーロッパのBAMB(Building As Material Banks)とマテリアルパスポート

②生物多様性ネットゲインの具体的な評価手法

③生物多様性の情報開示に向けた具体的な測定技術の情報収集

Wakuto.U

March 19, 2024
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Transcript

  1. © TOKYU CONSTRUCTION 2 2023年度に読んだ資料 ① CREATING BUILDINGS WITH POSITIVE

    IMPACTS C2Cの考え方とサスティナブルポジティブな 建築の実践的な方法論について(2019年2月公開) ② MATERIALS PASSPORTS - BEST PRACTICE マテリアルパスポートの説明・ガイドライン (2019年2月公開)
  2. © TOKYU CONSTRUCTION 3 2023年度に読んだ資料 ③ Bloom or bust. Aligning

    technology and finance to address biodiversity challenges 金融業界から見た生物多様性の課題を解決するための テクノロジー(測定技術)と金融の調査レポート (2024年1月公開) ④ The Statutory Biodiversity Metric User Guide 生物多様性メトリックのユーザーガイド改訂版 (2024年2月公開)
  3. © TOKYU CONSTRUCTION 4 Cradle to Cradle(C2C)という考え方 直訳:ゆりかごからゆりかごへ 内容:廃棄物ゼロで資源を循環させる革新的なデザイン原則 観点

    既存の考え方 C2Cの考え方 目的 環境への悪影響を最小化 積極的に環境に良い影響を与える アプローチ 効率性重視 効果性重視 材料の扱い 使い捨て、 ダウンサイクル 生物学的・技術的サイクルで循環 製品設計 性能や価格を重視 安全性、健康性、リサイクル性を重視 エネルギー 化石燃料に依存 再生可能エネルギーを活用 多様性 画一的な製品・サービス 生物・文化・社会・概念の多様性を尊重 経済モデル 線形経済(一方通行) 循環経済(資源循環) 廃棄物 避けられない副産物 存在しない(=食料・原料) 認証 個別の環境基準 包括的なC2C認証 カーボンネガティブ、ネイチャーポジティブを超えた、 サスティナブルポジティブな建築の方法論
  4. © TOKYU CONSTRUCTION 7 C2Cの考え方を基盤とした建築の実践方法 • Reversible Experience Modules (REMs).

    • DfD(Design for Disassembly) • Reversible building design • Tracking products and their materials →マテリアルパスポート BAMB(Building As Material Banks) 資材銀行としての建築という考え方
  5. © TOKYU CONSTRUCTION 8 マテリアルパスポートとは 生物的特性 物理的特性 ・寸法 ・密度 ・熱性能や物理性能

    ・耐久性と安定性 化学的特性 ・化学組成 ・健康および安全性 ・可分解性 ・再生可能性 プロセス関連 の特性 ・設計情報、製造過程 ・配送や保管に関する情報 ・建設時の取扱い ・使用方法、維持管理方法 ・解体と可逆性 デジタル技術、ブロックチェーンを利用し、 建築物の寿命を超える期間に渡って建築材料の価値を残す Building As Material Banksへ
  6. © TOKYU CONSTRUCTION 13 生物多様性ネットゲインでの定量的評価方法 〇開発前 生物多様性ユニット = 生息地の面積 ×

    生息地の質(特色×状態×戦略的意義) 1. 生息場の特定の要素:種の数、個体数、種の希少性などの情報 2. 生息地の大きさと質:生息地の環境の状態や特性に関するデータ 3. 評価目的に応じたデータ:評価目的に合わせて適切なデータ 〇開発後 生物多様性ユニット = 生息地の面積 × 生息地の質(特色×状態×戦略的意義) × その環境の再生困難度などリスクを反映する係数 生物多様性メトリックがオープンデータで公開 必要なデータ それで、これらはどのようにして測定するのか? +10 % !!
  7. © TOKYU CONSTRUCTION 14 測定技術には大きなブレイクスルーは必要ない The biodiversity measurement “toolbox” 1.

    リモートセンシング:人工衛星や航空機などによる、遠距離からの環境データ収集。 2. 新しいセンサー: カメラトラップ、生物音響センサー、バイオロガー (GPSやその他の追跡装置) 3. eDNA:生態系を分析するために、水や土壌サンプルに含まれる生物種が排出する DNA断片など、環境中の遺伝物質を利用すること。 4. 遺伝子学: ゲノムファミリーのマッピングなど、個体群における遺伝的変異を 監視・維持するためのツール。 5. モデリング: 個体群動態、生息環境の変化、種の相互作用など、 環境システムの挙動を研究・予測する技術。 6. ソフトウェア/パッケージ: クラウドでのデータ処理や、誰でもダウンロード できるフィールドデータ収集用のモバイルアプリなど、アプリから コンピューターパッケージまで、さまざまなツール。 7. 人工知能(AI): 膨大なデータから生物種を検出する。
  8. © TOKYU CONSTRUCTION 17 測定技術のスケーリングに対する課題 1. 自然の価値の見える化、定量化 2. 効果的な経済的インセンティブ 3.

    より明確でより効果的な政策の実施 自然と生物多様性には価値はあるが、価格はない 自然の価値を可視化(貨幣価値への転換)し、 経済システムに取り入れる必要がある。 測定技術の スケーリング 自然の価値の 可視化 開発・実施(スケーリング)には コストがかかる 可視化には データが必要