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20230917_三条市デザイン論キックオフ

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September 10, 2025

 20230917_三条市デザイン論キックオフ

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  1. 2 Copyright 2023 自己紹介 Profile 地域創生Coデザイン研究所 ポリフォニックパートナー (企業) 大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー

    (地域の中間支援組織) 日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 代表 (全国の地域団体の中間支援組織) 東京理科大学 客員准教授 (研究・教育機関) デザインイノベーションコンソーシアム フェロー (産学連携の研究・教育機関) 大阪大学、奈良先端科学技術大学院大学を修了後、NTT研究所に入社。2016年よりリビングラボ・Coデザインの研究・実 践プロジェクトを立ち上げ、2021年にNTT西日本グループの地域創生Coデザイン研究所の設立に関与し、参画。博士(工 学)。主としてHCI、CSCW、UXデザイン、リビングラボの研究開発に従事。デザイン研究のチームを牽引し、企業内のUXデザ インプロジェクト、地域の社会課題に関するリビングラボプロジェクトを多数実践し、コンサルティングや教育活動も行っている。現 在は、大牟田市などの地域主体ともに、まちづくり、地域経営、サービスデザイン、社会システムデザインなどの文脈で新しいソー シャルデザインのあり方を探求中。著書に「2030年の情報通信技術生活者の未来像」(NTT出版|2015年)等。
  2. 6 Copyright 2023 行政政策: 健康福祉総合計画策定・運用 Coデザのビジョン&ミッション 大牟田から未来をのぞき見る、 対話・体験・テクノロジー 「NINGEN Societal

    Festival」 雇用/労働のあり方を転換 する「超短時間雇用」PJ ×東大等 みんなが自然と元気になるまちPJ w/ 短期集中予防サービス(市) ×NTTデータ等 Well-beingな住まいPJ ×有明高専等 社会の本質に迫る 問いと対話のメディア 「湯リイカ」 ×SMBC等 ・市民の主体性があたたまる場から、社会の価値が共創されていく場や機会づくり ・地域としての課題を乗り越え、新しい住まい・介護予防・働き方を実践するプロジェクト ・現場での実践から生まれる問いを起点に地域や社会のあり方を問い直す対話 大牟田から「人々が主体的に共創できる社会」のモデルをつくる 「わたし」として扱われる場があたたまりを生む 公営住宅モデルルームと住みこなしに必要な家具DIY (2021年~) VRで思い出の場所を散策することができる 多様な労働者のインクルージョンを実現する @超短時間雇用モデル 対話を通じて 市民の主体性があたたまる 「わくわく人生サロン」 主体的なデジタル活用をサ ポートする人材 「インフォナビゲーター」養成 講座 高齢者の主体性を引き出す デジタル体験 「VRを活用した未来の福祉 プロジェクト」 ×東大等 ・・・ 多様な市民が集った「にんげんフェスティバル」 対話を通じて未来について考える仲間が集う
  3. 8 Copyright 2023 外部環境と人口動態・就業人口(構成) カーボンニュートラル(脱炭素) AI(生成系AI等)の実用化 石炭から石油へのエネルギー転換 外部環境の変化(メガトレンド) (人) 基幹産業としての化学産業

    基幹産業としての 医療・介護産業 石炭産業の衰退・消滅 (人) 人口に比例する小売飲 食業の減少がまちの賑 わいを失わせてきた 化学産業は外需、医療・介護産 業は高齢者増により、過去10年 間は雇用を維持し続けてきた →今後、【生産年齢人口減少】の 影響が顕著に出てくる →新たな外部環境の変化(メガ トレンド)が押し寄せ、対応が求 められている(守り・攻め) (2020年までは国勢調査による実績値、2025年以降の総人口は国立社会保障・人口問題研究所による推計値によって作成)
  4. 9 Copyright 2023 生産年齢人口と就業者人口:労働供給制約 仕事場の不足 働き手の不足 生産年齢人口の減少が地域経済を衰退・破壊するため、 短期・中期・長期において徹底した取り組みが不可欠 生産年齢人口と 就業者人口との差が

    年々縮まってきている 局面の転換 生産年齢人口と就業者人口 生産年齢人口の減少(短期的状況) 徹底的なDX・業界ごとの人材確保、社会政策による暮ら しやすい地域の実現、移住・定住政策の推進(近隣地域 との地域選択に勝つこと)が不可欠 【現役最後の世代】 【現役を迎える世 代】 労働市場から 退出 労働市場へ 参入 今後、5年間で 最大2,000人※ (年間400人程度) の働き手不足 が発生するおそれ ※約3,000人×就業率6割強 (国勢調査の実績値に基づき作成) 3,050
  5. 10 Copyright 2023 大牟田の地域課題への重層的アプローチ ⚫ 地域課題を構造的に捉えた上で、官民連携で政策転換を推進し、産業側の課題にも重層的にアプローチしている 既存産業 基幹産業の衰退(石炭産業) 人口減少 (特に生産年齢人口)

    少子高齢化 (10万人以上で有数の高齢化率) 自治体財政の悪化 (税収減・政策対応の財政的・ 人的な制約が強まる) 仕事がない (事務職、高度 技術職等) 人手不足 地縁 コミュニティの 担い手不足 地縁 コミュニティの 脆弱化 都市ストックの需給ギャップ (空き家・空き店舗) ミスマッチ <医療・介護・福祉> 制度の利用増・制度疲弊 (民生費増加) 公共交通網の縮小 (高齢者等の移動困難者) 地域外への 流出 (若い世代) 事業継承 できない 財政圧迫 人口減少(社会減) コレクティブインパクト、 SIB、民間人材活用 乗合、自家用有償 除却、リノベーション NPO、テーマコミュニティ 民間協働、テック活用、 介護予防強化 •地域の社会課題と同期した DX・インキュベーションに取り組む •地域の本質的な社会課題について、官民連携で取り組 む体制を構築し、政策転換を推進している ◯介護予防:「支援」から「力を引き出す」への転換 ◯住まい・住宅:民間賃貸だけでない地方版社会賃貸住宅の創出 ◯雇用・就労:メンバーシップ型からジョブ型への転換・産業構造転 換を見越したリカレント教育や生活保障システム ◦・・・
  6. 11 Copyright 2023 核となる新しい人間観:パーソンセンタード※ 生活者(パーソン)の暮らしを、独立した個人の暮らしとして捉えるのではなく、周りの家族や地域の人と の繋がりと、その繋がりの中で捉え直されるケイパビリティに基づき、豊かで継続性を持ったナラティブによっ て成り立っていると捉えるもの 学ぶ 楽しむ 働く

    出会う 知る つながる 好奇心 意欲 問題意識 潜在能力 capability つながり connection 人生 narrative 【ビジネス】 マーケティング5.0 【教育】 未来の教室(経済産業省) 【福祉】 地域共生社会(厚生労働省) ※木村ら(2019)パーソンセンタードデザイン:その人らしい暮らしを目 指す人間観に基づくデザイン方法論,日本デザイン学会発表大会概要集.
  7. 12 Copyright 2023 パーソンセンタードシティのコンセプト: どのような状態でも本人の存在が肯定され力が発揮されるまち コミュニティケア的視点 その人らしく生きることに向き合う 産業・テクノロジー的視点 その人と支える人を影ながら支える 社会疫学的視点

    その人らしく生きやすい環境を作る 支援者 (専門職等) 参加コミュニティ 未参加コミュニティ 友人 家族 近所住民 同僚 モバイル 戸建住宅 集合住宅 都市 支援者+モバイル ナラティブ DB 社会資源 DB 生活者課題 DB 疫学知見 DB テク ノロジー DB 設計 ガイドライン DB マクロ ミクロ 暮らし 技術 社会課題 DB 保険業 金融業 医療介護 保育教育 サービス業 宿泊業 交通 物流 建築 通信
  8. 19 Copyright 2023 大牟田未来共創センター(ポニポニ)の設立(2019) ⚫ 「認知症」や「高齢者」などの福祉に閉じた課題設定や取り組みでは、地域においてさまざまな領域で生み出される社会 課題や地域創生を視野に入れたアプローチが難しい状況であった ⚫ 認知症ケアで見出されたコンセプトを深め、セクターや領域における縦割りを横断し、既存の社会システムから“独立しな がら埋め込まれる主体”として官民協働で大牟田未来共創センターを設立した(2019年4月)

    大牟田未来共創センター 大牟田市 地域資源 地域・住民 縦割りの打破(調整)、政策展開支援 ビジョンの共有 共創 共創 地域資源の価値を再構築 地域・住民との協働 福 祉 教 育 産 業 地域内のアクター (市民団体、 地場企業など) 地域外のアクター (国内外企業、 研究機関等) ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 国 予 算 制 度 事 業 基礎 自治 体 予 算 制 度 事 業 地域 実 践 取 組 対 象 多世代・横断 政策的統合 大牟田未来共創センター 統合的 アプローチ 計画 統合的実践 支 援 支 援 モデル提案
  9. 21 Copyright 2023 わくわく人生サロン(2019) ※第4回において、睡眠センサーと家電センサーから得た データを「自分の無意識を知るための情報」として利用 •対象者:大牟田市在住の要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方 •募集期間:2019/11/28~2020/1/31、開催期間:2020/1/10~2020/3/13 ※新型コロナウイルスの影響により、後半のグループは一部プログラムを延期(再開時期未定) •サロン申込者(面談参加者):35名/サロン参加者:32名(面談後の辞退:3名)/センサー設置者:18名(センサー設置辞退:14名)

    ⚫ 見出した理念を具現化するプロジェクトとして、「わくわく人生サロン」(住民・行政・企業の協働プロジェクト)を実施 ⚫ 介護予防や健康増進分野で中心となっている「グループに注目して集うこと」を目的とするサロン(居場所)とは異なり、 「一人ひとりに注目し、対話的な関係によってそれぞれの潜在的な力(自由)を引き出していくこと」を目指した ⚫ 安心できる場において対話を行うと、人は役割から外れ、温まり、他者や社会への関心に開かれ、自然と動き出していく
  10. 22 Copyright 2023 大牟田市 従来の介護予防施策では リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 企業の意図 「早期検知」という機能検証

    から、「自らのことを知る新た な方法のデザイン」という意味 探索へと課題設定を変更 地域住民 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない (高齢者として)これまでの経験や興味を活か して地域に関わる機会がない、多様な形でどんな 人でもいれる居場所がない 地域の意図 企業がリビングラボへ支払う対 価(資金)を活用し、高齢 者が仲間を得て、自らのことを 振り返る(知る)過程で意 欲を育み、多様な参加に向 かう仕組みづくり検討 課題の再設定・ 統合的実践 大牟田リビングラボでのあるプロジェクトの始まり 大牟田リビングラボ
  11. 23 Copyright 2023 (チラシを貼る) 第4回において、 睡眠センサーと家電センサーで得た データを「自分の無意識を知るため の情報」として利用 ※参加者にとっても情報提供、セン サー利用に価値がある形にしている

    •対象者:大牟田市在住の要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方 •募集期間:2019/11/28~2020/1/31・開催期間:2020/1/10~2020/3/13 •サロン申込者(面談参加者):35名/サロン参加者:32名(面談後の辞退:3名)/ センサー設置者:18名(センサー設置辞退:14名) わくわく人生サロン 実施概要
  12. 24 Copyright 2023 「大牟田市高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」 総括時の職員の意見 「既存活動に関心が 薄い人もいることから、「わくわく人生サロン」 ように自分こ とを語る場を設けるなど 、新たな活動きっかけを作る必要が

    あると考えます。 」 •地域包括支援センターがリーチすることが難しかった、20年間自宅に引きこもっていた方が参加 •介護保険サービスでは居場所が得られなかった(合わなかった)方の居心地のいい場となる •制度利用がなく生きづらさを抱えている高次脳機能障害のご本人、ご家族への支援を実施 (個別にご本人、ご家族の不安や悩みに寄り添った対応を実施) •配偶者に先立たれた方たちによるピアが生まれる(グリーフケア) •持っている資格やスキルを生かし、地域の課題を解決したいという方が生まれる(例:「防災 士の資格を活かして地域のために活動したい」「子どものための活動をしたい」「大牟田市をアピー ルする商品開発をしたい」などの自発的な言葉がある) •年齢が異なるが同じ大学やサークルに参加していた等「縁」のある人との出会いが生まれる (友人ができる) •前向きな動機をきっかけとして参加し、通所、ピア(グループ)、訪問、家族支援を、個別一 人ひとりの状況に合わせて柔軟に組み合わせて行う「多機能型サロン」とも言える相談支援拠点 の可能性を示唆 •自治体からの資金的な援助を得ることなく開催するモデルを構築(企業との協働) わくわく人生サロン 地域住民にとっての価値 高齢者にとって、自分の経験や興味を起点として地域に関わる機会や、支援されたり、高齢者的なテーマに区切られる ことのない居場所を持つことができ、同じ経験や悩みをもつ人と語らい、意欲が育っていく中で新たなことに取り組もうと する人が現れた
  13. 25 Copyright 2023 わくわく人生サロン 行政にとっての価値 これまでの行政施策でアウトリーチすることが難しかった人に出会うことができるとともに、住民の主体性/潜在能力を核 に福祉計画全体を考えるという本質的な示唆を得た。そして、この示唆を活かして各施策を実行するために、暮らしの 総合計画ともいうべき大牟田市健康福祉総合計画を、縦割りの行政計画でなく、統合的に地域や生活を捉え直す構 造とした計画として策定した。 ✓

    これまで別々に策定されていた、高齢、障害、健康増進、食育など9本の行政計画を、「地域共生社会の実現」という 共通のビジョンに向けて1つにまとめた。 ✓ 概要版については、通常、「計画のサマリー」にとどまりがちであったものを、「計画の理念を体感してもらうもの」へと位置 付けを変え、親しみやすいイラストを活用し、実際に大牟田で暮らしている人たちのエピソードを紹介する形とした。タイト ルにつけた「うずうず」は、わくわく人生サロンの際に見出した「温まる」を言葉にしたものである。この考え方(感覚)を行 政、市民と共有することを試みている。あわせて、計画策定の大牟田市側の担当者と強く理念を共感できるようにな り、それ以降計画推進全体のキーマンとなっている(現在、健康づくり課長)。
  14. 26 Copyright 2023 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 知る意味のデザイン (サービスコンセプトの転換) UI 生活者 知る意味の体験デザイン

    UX 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 地域の調剤薬局 睡眠センサー・睡眠レポート 生活者 新規事業における体験デザイン UX わくわく人生サロン 企業にとっての価値 ⚫ 企業としては、これまで開発してきたアルゴリズムをサービスに活かすための土台となる、「(自らのことを) 知る意味のデザイン」の知見を獲得することができた ⚫ この知見をもとに、地域のかかりつけ薬局が地域住民と対話的な関係性を構築し、自らのことを知る体験 (UX)を提供するサービスモデルを提供
  15. 28 Copyright 2023 人間観の問い直し(2020) 自己定立 変化のなりゆきを見守る他者との関係 意思の自由 その人の力の表現 客観世界の側にある 主観的公共性

    自己同一性 自由 公共性 ⚫ ビジネス開発、地域での実践、政策展開を総合的に支えることができる新たな人間観を明らかにするため、地域内 外の先進的な実践者や有識者との対話を行った ⚫ 制度やビジネスの前提となっている人間観「近代的主体」が現実と合わなくなり社会課題を生み出していること、そし て、アイデンティティ自体が他者や環境と共有されているとする人間観(環境人間)を見出した ▪対話した実践者や有識者 ・小規模多機能型居宅介護施設「てつお」管理者 ・社会福祉士・主任介護支援専門員 ・大牟田市立病院 社会福祉士(医療ソーシャルワーカー) ・宅老所よりあい代表 ・大牟田市手鎌地区包括支援センター ・大阪大学大学院 知能ロボット研究者 ・コンピュータメディア研究者
  16. 29 Copyright 2023 健康福祉総合計画(2020~2021) ✓ これまで別々に策定されていた、高齢、障害、健康増進、食育など9本の行政計画を、「地域共生社会の実現」という 共通のビジョンに向けて1つにまとめた。 ✓ 概要版については、通常、「計画のサマリー」にとどまりがちであったものを、「計画の理念を体感してもらうもの」へと位置 付けを変え、親しみやすいイラストを活用し、実際に大牟田で暮らしている人たちのエピソードを紹介する形とした。タイト

    ルにつけた「うずうず」は、わくわく人生サロンの際に見出した「温まる」を言葉にしたものである。この考え方(感覚)を行 政、市民と共有することを試みている。あわせて、計画策定の大牟田市側の担当者と強く理念を共感できるようになり、 それ以降計画推進全体のキーマンとなっている(現在、健康づくり課長)。 ⚫ 個別プロジェクトでの示唆を体感的に共有し、住民・企業・行政が社会システム全体をデザインし直すため、暮らしの総 合計画ともいうべき大牟田市健康福祉総合計画の策定を大牟田市と協働 ⚫ 縦割りの行政計画でなく、統合的に地域や生活を捉え直す構造とした計画として策定。あわせて、行政リソースや過去 の実績をベースとした「今できること」ではなく、協働が期待される余白を生み出すために「今方法は見出せてないが、取 り組むべきこと」を記載
  17. 30 Copyright 2023 地域包括支援センター受託(2021~) ◯手鎌地区地域包括支援センター(公民館内) ◯三川地区地域包括支援センター(公民館内) •地域包括支援センターとは 地域の高齢者の総合相談、権利擁護や地域の支援体制づくり、介護予防の必要な援助などを行い、高齢者の保健医療の向上及び 福祉の増進を包括的に支援することを目的とし、地域包括ケア実現に向けた中核的な機関として市町村が設置しています。 厚生労働省ウェブサイトより引用

    https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/ ⚫ より実践的に社会システムをデザインするため、地域に根ざす公益的な実践主体でもある地域包括支援センターを 2箇所受託。これにより、地域において発生するいわゆる「狭間の問題(システムエラー)」を受け止め、ネットワーク を通じて協働を引き出し、領域を超えて取り組むことができるようになった
  18. 32 Copyright 2023 これまでの実践を踏まえた介護予防における理念・構造の転換 ⚫ 介護予防は本人視点では意識することができない概念であることを整理し、本人視点に立ったBeing- well※(本人の力が発揮されている状態)に転換。そのうえで、関わる事業者・団体についても、従来 の医療・介護サービス事業者ではない新たな事業者・団体が担う方向で、企業や地域と協働 要介護状態にならないように 予防する

    要介護状態 介護予防 介護が必要な状態になったことがない人にとって、 それを予防するという意識を持つことができない Being-well※(本人の力が発揮されている状態) どのような状態でも、本人の存在が肯定され、 力が発揮されている状態を目指す ※Well-beingが「Well(良い状態)」を先に規定していることに対して、「Being(存在)」を肯定した上で、多 様な「Well(良い状態)」に開かれていることを目指す理念。造語。 高齢者等 • 医療・介護サービス事業者が担う • 制度の構造として、医療や介護が必要な状態 になったほうが収益が上がるため、予防に対す るインセンティブが働かない 要介護状態 高齢者等 一緒に力を引き出す(見出す) ような関わり方 • 医療・介護サービス事業者ではない事業者・団体が担う (新たなビジネス領域の可能性) • 誰もが、どのような状態になっても、社会参加ができるよう参加機会のユ ニバーサル化を図る
  19. 39 Copyright 2023 介護予防・ヘルスケア関連の一連の取り組み 中間支援組織・リビングラボ活用の 可能性と重要性 高齢者の自立支援に向けた リエイブルメントのモデル事業 ヘルスケアプラットフォームの開発 参考)Health

    Data Bank https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2022/0221/ 理念「どのような状態でも本人の存在 が肯定され力が発揮されるまち」の共 有 政策の立案と運用 リアルプロトタイププロジェクトとしての わくわく人生サロン 企業協働プロジェクト (リサーチ、サービス開発、実証等)
  20. 40 Copyright 2023 行政政策: 健康福祉総合計画策定・運用 Coデザのビジョン&ミッション 大牟田から未来をのぞき見 る、 対話・体験・テクノロジー 「NINGEN

    Societal Festival」 雇用/労働のあり方を転換 する「超短時間雇用」PJ ×東大等 介護予防・ヘルスケアPJ w/ 短期集中予防サービス(市) ×NTTデータ等 Well-beingな住まいPJ ×有明高専等 社会の本質に迫る 問いと対話のメディア 「湯リイカ」 ×SMBC等 ・市民の主体性があたたまる場から、社会の価値が共創されていく場や機会づくり ・地域としての課題を乗り越え、新しい住まい・介護予防・働き方を実践するプロジェクト ・現場での実践から生まれる問いを起点に地域や社会のあり方を問い直す対話 大牟田から「人々が主体的に共創できる社会」のモデルをつくる 「わたし」として扱われる場があたたまりを生む 公営住宅モデルルームと住みこなしに必要な家具DIY (2021年~) VRで思い出の場所を散策することができる 多様な労働者のインクルージョンを実現する @超短時間雇用モデル 対話を通じて 市民の主体性があたたまる 「わくわく人生サロン」 主体的なデジタル活用をサ ポートする人材 「インフォナビゲーター」養成 講座 高齢者の主体性を引き出す デジタル体験 「VRを活用した未来の福祉 プロジェクト」 ×東大等 ・・・ 多様な市民が集った「にんげんフェスティバル」 対話を通じて未来について考える仲間が集う
  21. 42 Copyright 2023 VRを活用した地域とつながるプロジェクト ⚫ 東京大学先端研 登嶋氏が展開する「VR旅行」の取組みをベースに、大牟田に暮らすシニアや若者たちと一緒に、大牟田市内の好きな 場所や懐かしい場所を360度カメラで撮影し、介護施設に入居する方々にVR映像を見てもらうことで、「地域」や「人」とのつながりを生み 出すプロジェクト ⚫

    VR映像を見る人(例:介護施設入居者)の欲求(意欲)を引き出すこととに加えて、VR映像を撮る人(例:シニアや学生)にとっ ても、これまでとは違った形で「地域」や「人」とつながり直すきっかけづくりをめざす タイトル 方式 時間数 第1回 VRを楽しもう 座学・体験 3H 第2回 360度カメラ&VRゴーグルを試そう 座学・体験 3H 第3回 360度カメラ&VRゴーグルを深めよう 座学・体験 3H 第4回 まちを歩きVR映像を撮影しよう 撮影会 5H 第5回 VR映像を披露しに行こう 介護施設訪問 3H 本PJのベースとなる「VR旅行」WSプログラム
  22. 43 Copyright 2023 にんげんフェスティバル 大牟田から未来をのぞき見る、対話・体験・テクノロジー ⚫ これまでの大牟田での地域の実践を通じて深まっている問いや理念を、地域内外の人たちと共有し体感できる場イベン ト「にんげんフェスティバル2022」を開催(共創学会年次大会 共催) ⚫

    「IdentitieS ~わたしの行方」をテーマに掲げ、そのテーマに応じて先進的な実践をしている15名の有識者を招いた トークイベントやVRなどのテクノロジー体験などを実施。運営自体を地域関係者と共に担った。 ▪問いと対話のトークイベントのゲスト(一部) ▪大牟田駅前でのテクノロジー体験企画 ・主催:大牟田未来共創センター ・共催:地域創生Coデザイン研究所、大牟田ビンテージのまち ・後援:大牟田市
  23. 44 Copyright 2023 参考:アルスエレクトロニカ(オーストリア・リンツ市) 「アルスエレクトロニカ」とは、リンツ市が所有する公営企業、アルスエレクトロニカ社(Ars Electoronica Linz GmbH)が手掛ける、さまざまな文化・教育事業の総称。社会的ミッションをもった事業体であり、リンツ市民に対する 文化・教育面での社会サービスの提供が第一義の事業目的である。現在、年間予算のうち、約3割がリンツ市からの 資金であり、残り7割は社自身の事業収益が支えている。

    44 社会(福祉) 産業 •1850年:25,000人程度だった人口が、50,000を超えた •戦中:激しい空爆にあい、1/5の住宅が半壊もしくは全壊 •戦後:ヨーロッパ各地を結ぶ高速道路や鉄道が整備 •1970年代:製鉄工場が排出するスモッグで大気汚染が進む。 基幹産業の衰退は生活面にもおよび、街を疲弊させた •1840年代:産業都市リンツの本格的な工業化が起こる •19世紀半ば:軍事産業の拠点として、「鉄鋼の街」へと変貌 •戦後:産業の国有化が進められ、社会福祉国家を目指す •1970年代:重工業都市としての発展は、急速に影り始める。 失業率は12~15%。社会システムの変革が最大の政治課題 に •(最初の取り組みである)アルスエ レクトロニカ・フェスティバルは、「コン ピュータ」を新しい生活文化として捉え、 その可能性を一般市民に体験させるこ とで、地域社会全体をシフトさせようとい う目的を持って始まった点で画期的で あった •リンツ市がとったユニークな戦略:産業だけの問題として切り分けて捉えるのではなく、人々 の考え方、マインドセットを変え、技術者、労働者、市民が未来の変化に備えうる状況をつくり だしていくこと、つまり市民社会全体に関わる課題として捉えた •新しい街のアイデンティティ、市民の拠り所を、過去ではなく、これから訪れるテクノロジーと創 造性とがつくりだす新しい社会のあり方、そしてその生活文化に求めた •その市民自発的な取り組みから「アルスエレクトロニカ」が生まれた •2000年:リンツ市は「文化発展計画」を発表。「鉄鋼の街から、文化都市へ」 •アルスエレクトロニカ・センター:「経済的、科学的な資源を地域社会にもたらす、リンツ市およびオーバーエスターライヒ州にとっての ネットワーク・インターフェース •2005年:リンツ市は2009年における「欧州文化都市」として選定された 経 緯 (鷲尾和彦『アルスエレクトロニカの挑戦』、https://www.aec.at より引用・作成)
  24. 45 Copyright 2023 参考:アルスエレクトロニカ(オーストリア・リンツ市) 45 150名のスタッフ、年間予算18~19億円、純利益0.8億円(2015年) ※予算3割はリンツ市からの資金、残りの7割は自社の事業収益 •アルスエレクト ロニカ・センター •アルスエレクトロ

    ニカ・フェスティバ ル、プリ・アルスエレ クトロニカ・展覧会 •アルスエレクト ロニカ・フュー チャーラボ •アルスエレクト ロニカ・ソリュー ションズ センター フェスティバル・プリ・展覧会 フューチャーラボ ソリューションズ (鷲尾和彦『アルスエレクトロニカの挑戦』、https://www.aec.at より引用・作成) アルスエレクトロニカ社(公営企業) 社会的ミッションをもった事業体であり、リンツ市民に対する 文化・教育面での社会サービスの提供が第一義の事業目的 4つの部署それぞれが、約1/4ずつ収益に貢献している リンツ市の文化教育施 設 毎年9月に開催れる フェスティバルとそれと連 動した国際コンペティ ション 独自の研究開発チー ム 独自開発した技術サー ビスを産業界などに提 供している 欧州文化首都年プロジェクト「リンツ09(Linz09)」 オーバーエスターライヒ州にもたらした経済効果:GDP換算で約505.4億円 オーバーエスターライヒ州全体で4625人分の雇用が生まれた (2005~2011年) ▪アルスエレクトロニカが地域社会にもたらした変化 (1)デジタル技術の高度な先端テクノロジーを地域資源と位置付けた (2)アートとテクノロジーへのアクセシビリティを高め、知的人材を育成した (3)アートとテクノロジーの国際的ネットワークを形成した (4)科学技術の社会(産業、教育、生活)への実装力を高めた (5)重工業の街から文化創造都市への転換に成功した
  25. 46 Copyright 2023 参考:アルスエレクトロニカ(オーストリア・リンツ市) 実施体制・具体的な取り組み 46 150名のスタッフ、年間予算18〜19億円、純利益0.8億円 (2015年) ※予算3割はリンツ市からの資金、残りの7割は自社の事業収益 •アルスエレクト

    ロニカ・センター •アルスエレクトロニ カ・フェスティバル、 プリ・アルスエレクト ロニカ・展覧会 •アルスエレクト ロニカ・フュー チャーラボ •アルスエレクト ロニカ・ソリュー ションズ センター フェスティバル・プリ・展覧会 フューチャーラボ ソリューションズ (鷲尾和彦『アルスエレクトロニカの挑戦』、https://www.aec.at より引用・作成) アルスエレクトロニカ社(公営企業) 社会的ミッションをもった事業体であり、リンツ市民に対 する 文化・教育面での社会サービスの提供が第一義の事業目的 4つの部署それぞれが、約1/4ずつ収益に貢献している リンツ市の文化教育 施設 毎年9月に開催れる フェスティバルとそ れと連動した国際コ ンペティション 独自の研究開発チー ム 独自開発した技術 サービスを産業界な どに提供している 欧州文化首都年プロジェクト「リンツ09(Linz09)」 オーバーエスターライヒ州にもたらした経済効果:GDP換算で約505.4億円 オーバーエスターライヒ州全体で4625人分の雇用が生まれた (2005〜2011年) ▪アルスエレクトロニカが地域社会にもたらした変化 (1)デジタル技術の高度な先端テクノロジーを地域資源と位置付けた (2)アートとテクノロジーへのアクセシビリティを高め、知的人材を育成した (3)アートとテクノロジーの国際的ネットワークを形成した (4)科学技術の社会(産業、教育、生活)への実装力を高めた (5)重工業の街から文化創造都市への転換に成功した
  26. 48 Copyright 2023 学び:管理的な学校教育から、安心して学びたくなる場への転換 (正解に向けた)知識や正解を得る学びの場から、生きることの多様性を体感し存在肯定される学びの場への転換 事例:市立宅峰中学における総合的学習(学びの場を規定している先生が安心して生きることの多様性を語る場をも つことで、生徒も安心して学びの場に参加できる状況を生みだした) 学校 ≒管理的(ねばならないの優先) 上

    下 関 係 ・ 画 一 性 教員 生徒 不登校 大牟田未来共創センター /NTTチーム フラットな関係・多様性 総合学習の時間 <実施時のポイント> ・「ねばならない」の解除 ・徹底した自己開示 ・できる限り管理的ではない授業運営 ・多様なメンバー ・「好き」を生かした授業企画 (例 アニメを活用した授業) ※不登校児等への個別的な支援の必要性は言うまでもないが、 学校がもつカルチャー・システムをフラットで多様性を尊ぶものへ転 換していかないと応急処置的にならざるを得ないと考えている 教員、生徒 双方に 過度なストレス 生徒 教員 不登校
  27. 49 Copyright 2023 インフォナビゲーター養成事業(2021~) ⚫ コロナ禍の集いが難しい状況において、出合い、学びの機会が減り、フレイルリスクが高まるとともに、デジタルリテラ シーの格差(デジタルデバイド)がそれを加速している。デジタルツールに関する知識提供だけでなく、意欲的にデジタ ル活用できる人材や組織・地域に変わっていくために、住民・公民館/行政職員・企業社員向け講座(インフォナビゲー ター養成講座)を実施し、人々がデジタル活用の中で新たな学び、気づき、助け、出合いを得られる地域を目指す オンライン空間

    公民館 住民 既知の世界 (コミュニケーション) 未知の世界 =学び、気づき、助け、出会い デジタルデバイドの解消 未知の世界(情報)へナビゲート ・デジタルデバイドの解消 ・未知の世界へのナビゲート (学びへの転換) Wi-Fi オンライン空間への平等な 入り口(環境整備) ・既知の人とのやりとり ・既知の人との集い 公民館がオンライン空間と 生活のインターフェースになる 市民ボランティア 市民ボランティアの育成 デジタルデバイド(2) 未知の情報(世界)との接点 (オンラインを介する) サービス デジタルデバイド(1) 機器の保有 機器の使い方 デジタルデバイド(3) サービスの利用 インフォナビゲー ターの育成 人の可能性を引き出す インフォナビゲーター 機器の 使い方 機器の 保有 日々使う サービス利用 未知の情報と の接点 ※デジタル活用支援員推進事業等 人の可能性を引き出す情報社会
  28. 50 Copyright 2023 重点的に取り組むべきテーマと方向性(ビジョン)検討 • 行政各部署におけるデジタル化の指針を 作成する必要 • 具体的なプロジェクトの推進によるデジタル 化の推進

    • 市民のデジタル技術活用の拠点としての 公民館の可能性 • 地域のボランティアが教職員をサポートした り学校教育を補完 • 地域の企業のデジタル課題の把握と課題 解決の仕組みの構築 • 地域課題・政策課題とICT(デジタル技 術)が接続するプロジェクトの創出 • 多様な参加者が集い、楽しく学び、活用 する場・機会づくり • 市民のデジタル技術活用を支える人(イ ンフォナビゲーター)としての公民館職員の 可能性
  29. 51 Copyright 2023 「VRを活用した地域とつながるプロジェクト」概要 ⚫ 東京大学先端研 登嶋氏が展開する「VR旅行」の取組みをベースに、大牟田に暮らすシニアや若者たちと一緒に、大牟田市内の好きな 場所や懐かしい場所を360度カメラで撮影し、介護施設に入居する方々にVR映像を見てもらうことで、「地域」や「人」とのつながりを生み 出すプロジェクト(2022年12月~2023年3月でWSを1クール実施完了。今年度は拡大して実施予定) ⚫

    VR映像を見る人(例:介護施設入居者)の欲求(意欲)を引き出すこととに加えて、VR映像を撮る人(例:シニアや学生)にとっ ても、これまでとは違った形で「地域」や「人」とつながり直すきっかけづくりをめざす タイトル 方式 時間数 第1回 VRを楽しもう 座学・体験 3H 第2回 360度カメラ&VRゴーグルを試そう 座学・体験 3H 第3回 360度カメラ&VRゴーグルを深めよう 座学・体験 3H 第4回 まちを歩きVR映像を撮影しよう 撮影会 5H 第5回 VR映像を披露しに行こう 介護施設訪問 3H 本PJのベースとなる「VR旅行」WSプログラム
  30. 53 Copyright 2023 「VRを活用した地域とつながるプロジェクト」の体制とねらい ⚫ ~~~ 大牟田市/他地域展開 医療機関 ・・・ 大牟田市(生涯学習課)

    地域に向けた広報・参加者募集 大牟田未来共創センター プロジェクト事務局(全体調整、医療介護DX支援) プロジェクト事務局(全体調整) 介護施設 延寿苑 (特養) ・・・ 施設入居者 長期入院者 介護職員 医療職員 地域創生Coデザイン研究所 地域活動団体 サークル NPO ・・・ 教育機関 高専・大学 小中学校 ・・・ 映像を撮る人 (WS参加者) 映像を見る人 (施設入居・長期入院) 対話的 関わり NTT社会情報 研究所 Well-beingデザイン プロセスの研究 記憶にある 住み慣れた地域(まち) 住み慣れた地域(まち) 東大先端研 (登嶋氏) VR旅行WSの運営、 ノウハウ移転 VR旅行WS 地域(まち)の 再発見 地域(まち)との 関係の再構成 市民 介護施設 大牟田市 (生涯学習課) 大牟田未来 共創センター Coデザ NTT社会研 役割 入居者向けVR映 像視聴会の場の 設定 職員のWS参加 推奨 地域に向けた広 報・参加者募集 地域関係者の調 整 WSの企画運営・ 技術サポート Well-beingデザ インプロセスの研究 ねらい ⚫ 施設外(地 域)とのつな がり創出による 入居者の意欲 喚起 ⚫ 介護の質向上 ⚫ 介護現場にお けるICT活用 の推進(職員 のテクノロジー 慣れ) ⚫ 市民が地域に関わりはじめる(再発見する)きっかけづくり ⚫ 市民の生きがい、意欲の醸成(特にアクティブシニア等) ⚫ Well-being なサービスデザ インプロセスの 知見蓄積・論 文発表等 ⚫ 地域のICT活 用・地域DXを 支援する人づく り(ボランティア 育成) ⚫ 地域の介護 サービス事業 者協議会と連 携した大牟田 における介護 DXの推進 ⚫ 医療介護業 界のDXの推 進(ICTソ リューションと の接続) ⚫ 他地域展開メ ニューとしての 本プログラム の簡易パッ ケージ化 プロジェクト事務局
  31. 54 Copyright 2023 雇用・就労のモデル事業(2022~) ⚫ 健康福祉総合計画に位置づけた超短時間雇用モデル※(東京大学先端科学技術研究センター:近藤武夫教授が提 唱)を大牟田をフィールドに実装 ※ 障害や疾患などある人々が、週に最短15分から、一般の企業・職場で、特定の職務を担当して働くワークスタイルを実現する雇用・労働モ デル。一般的な日本型雇用での働き方にマッチせず、排除されがちだった人々が一般企業で働く機会を生み出している

    ※ 障害の状況から長時間安定して働くことが非常に難しい人、特定の職務であれば果たすことができるものの職場で汎用的に様々な職務を こなすことには大きな困難がある人などが対象 (https://ideap.org/project/job/ より抜粋) 大牟田のプレイヤー 実施体制イメージ 大牟田 未来共創 センター 障害者 就業・生活 支援センター 東大 先端研 大牟田市 ハロー ワーク 大牟田 商工 会議所 協力 包括連携協定 (予定) 地域創生 Coデザイン 研究所
  32. 56 Copyright 2023 広義のリビングラボ: 主体的な人たち・共創活動・問いが持続的に生まれる仕掛け 共創活動 総体的・連続的 に深める問い 主体的に 動き出せる土壌

    やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、(調査資料2020-6)国 立国会図書館調査及び立法考査局 ※木村(2021)「リビングラボの可能性を広げるためにできること」,第3回全国リビングラボネットワーク会議基調講演 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会 CoデザHP “Our Mission”
  33. 57 Copyright 2023 広義のリビングラボ: 主体的な人たち・共創活動・問いが持続的に生まれる仕掛け 共創活動 総体的・連続的に 深める問い 主体的に 動き出せる土壌

    やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる 何もないよう に見える状態 関わりの中でも やもや/うずう ずし始める状態 ムーブメント (活動)が生ま れる状態 どんな人も存在を大切にされ,主体的に動き出すま での過程を待つ仕組み 個人の ムーブメント 社会的 ムーブメント 互いに問い・示唆・ ファクトを深めて,社 会をより良くする変化 を生む活動ができる仕 組み ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡 張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会
  34. 58 Copyright 2023 地域の人々とデジタル技術の関わりや活動の醸成 •「うずうずマイン」の活用 ✓ 大牟田未来共創センターが「にんげん フェスティバル2022」に合わせてプレ オープンしたJR大牟田駅前の建物。 ✓

    いつもと違う雰囲気で体験し、学ぶこ とができる場所として活用が可能。 ③ICT(デジタル技術)を活用し、地域課題を解決する取り組みの創出 【政策課題とICT(デジタル技術)がリンクする取り組みを生み出す】 ①幅広い市民が、楽しくICT(デジタル技術)を体験する機会の創出・利活用の機運醸成 【多くの市民が楽しみながらICT(デジタル技術)を体験できる日常、非日常的な機会をつくる】 ②学びながら主体的にICT(デジタル技術)に関わる市民の創出・サポート 【①への主体的な参加(参画)を実現し、既存の活動に対してもサポートを提供する】 行政 民間 健康 学校 教育 生涯学習 ・・・ 公民館 事業 (起業) 業務 市民活動 ・・・ デジタル化推進 DX推進 図書館 「人々が主体的に共創できる社会」の実現 VR を 活 用 し た プ ロ ジ ェ ク ト (例)にんげんフェスティバル2022(毎年開催予定) •VR世界旅行クイズツアー ✓ 親子連れなど、20組程度が体験。 •3DVR世界旅行 ✓ 多世代、80名程度が体験。 •心臓ピクニック ✓ 100名程度が体験。 •テクノロジストとの協働 ✓ 東京大学先端科学技術研究センター 登嶋健太氏 ✓ NTTコミュニケーション科学基礎研究 所 上席特別研究員 渡邊淳司氏 ※その他、AI、ロボット等の研究者が大牟田を訪れ、 多くの市民(高専生含む)と交流した •VRを活用した未来の福祉プロジェクト ✓ 公民館でのパソコンサークルの講師、 参加者(アクティブシニアが中心)、 高専生などが参加。健康づくり課と協 働。 ✓ スマートフォンの使い方、Facebook の利用など、初歩的な学びからスター ト。 ✓ アクティブシニア等が撮影したVR映像 を施設で暮らす市民が見る。 研修開催 ※今後、①②の機会としての協働・連携を検討 •ボランタリーなチームによって運営 ✓ 50名程が参加(参画)。 ※今後、リカレント教育や副業・起業の方向性も検討 実践 見直し ※今後、地域に関するデータを 体験できる機会の創出も検討
  35. 59 Copyright 2023 存在が肯定され人が意欲をあたためる場・機会 意欲的に動き出す担い手がいる(社会参加)と解消される社会課題 存在不安になり社会的孤立になると発生する社会課題 不登校 少年犯罪 摂食障害 援助交際

    育児不安 孤育て 幼児虐待 うつ病休職 失業 自殺 フレイル 認知症 孤独死 ・・・ 空き家 防犯 防災 介護 買い物難民 貧困 フードロス 環境問題 ・・・ 原因 解消 担い手 創出 参考)大牟田で実証済みの「これまでの人生や日々の生 活を振り返りながら、続きの人生をわくわく考える場:わくわ く人生サロン」の効果 •地域福祉がリーチできなかった、20年間自宅に引きこもっていた方が参加 •介護保険サービスに合わなかった方の居心地のいい場となる •配偶者に先立たれた方たちによるピアが生まれる(グリーフケア) •看護師や防災士の資格を活かして地域のために活動したい人 •子どものための活動をしたい人 •大牟田市をアピールする商品開発をしたい人 ※エンパワーメント:環境的制約により発揮されていなかった、本人が本来持っている力を、社会 資源や条件整備によって発揮できる状態にすること。1970年代アメリカ公民権運動で重要性を 指摘され、人権運動や看護・介護さらにはビジネスの分野でも使われるようになっている。 ※木村ら (2020) 人の暮らしを中心に体験を考えるリビングラボの実践知、日本デザイン学会研究発表大会概要集. 地域をエンパワーメントする地域共創拠点のコンセプト ➢ 地域や住民がエンパワーメント※される状態をつくることで、おのずと動き出す住民・みずからの手で変えていける持続可能な地域が生まれる。その実態は「存 在が肯定され人が意欲をあたためる場・機会」によって、社会的孤立が解消され、社会参加が活性化(担い手創出)される状態である
  36. 60 Copyright 2023 オーストリア リンツ市のアルスエレクトロニカ・フェスティバル 市民が主体的にまちづくり・テクノロジー活用に関われ、未来に向けた体験や対話が起きるフェスティバル 図:人とテクノロジーを問いなおす展示 鷲尾和彦, アルスエレクトロニカの挑戦: なぜオーストリ

    アの地方都市で行われるアートフェスティバルに、世界 中から人々が集まるのか, 学芸出版社, 2017. 図:子供も大人も楽しめるラボスペース 1970年代後半から80年代において、リンツ市最大の政治的課題は地域の「社会システム」の変革にあった。産 業の復興と雇用の確保を最優先課題としつつも、いかにして市民が置かれた生活環境を改善し、未来へとシフトで きるか。そのためには、鉄鋼に依存した社会そのものを見直すこと、経済的開発と、文化・社会面での街の再生を 切り分けることなく、一つの「社会システム」として地域社会全体の方向性を転換させることが必要とされた。 参考)まちを統合的に転換することを志向したリンツ市のアルスエレクトロニカ
  37. 62 Copyright 2023 地域構造分析/ 未来予測/有識者対話 存在が肯定される 機会 創造的衝動(うずうず) が現れる機会 社会活動/参加の機会

    (リテラシー、価値創出経験等) ビジョン形成 (経済政策・社会政策等) 社会実装/実践 (サービス/政策/コミュニティ) 主体性のあたままり 為すことによって学 ぶ チャレンジできる空気の醸成 未来に向けた問い バックキャスティングから見出すアクション 新たな違和感/問題意識 トップダウンでもボトムアップでもない共創のプロセス 地域のエンパワーメントを理念とする 地域共創拠点 地域主語の共同運営メンバー (地域・企業等が参画) 地域の生活者 企画者 ▪社会的孤立解消/社会参 加活性化のための運用資金 自治体の既存課題であり、自治体予 算の組み替え(介護予防、デジタルリテ ラシー、防災共助、社会教育などの人 材育成系事業や、移動・交通、中心市 街地活性化/立地適正化、地域コミュニ ティなどの場づくり系事業など) 企業・国・公的機関 ▪普遍的な価値を生み 出すための運用資金 企業の新たな事業開発や国の 政策モデル実証事業(企業の新 規事業開発部署のリサーチ、PoC や、各省庁・公的機関の研究・モ デル事業など) 自治体 地域のエンパワーメントを理念とする地域共創拠点:体制イメージ ➢地域や企業がそれぞれ地域にコミットして共同運営することで、それぞれのメンバーが地域に主語を持つ立ち位置で、 問いを持ち、ビジョンを語り、社会実装に取り組むことができる ➢運用資金は、共同運営メンバーや関係者で知恵を絞り、既存の自治体予算の組み替えや国や企業のモデル事業と の重ねあわせをするなどから獲得する
  38. 63 Copyright 2023 大牟田から未来をのぞき見る、対話・体験・テクノロジー ⚫ これまでの大牟田の実践を通じて深まっている問いや理念を地域内外の人たちと共有し体感できる場(地域共創拠点 のハード×ソフトのモデル)として、対話×テクノロジーの祭典「にんげんフェスティバル2022」を企画し、12月2~4日 に開催(共創学会年次大会も共催) ⚫ 今年は「IdentitieS

    ~わたしの行方」をテーマに掲げ、そのテーマに応じて先進的な実践をしている15名の有識者を 招いたトークイベントやVRなどのテクノロジー体験などを企画。運営自体を地域関係者と共に担った。 にんげんフェスティバル2022 ▪問いと対話のトークイベントのゲスト(一部) ▪大牟田駅前でのテクノロジー体験企画 心臓ピクニック VR旅行 うずうずマイン/体験装置Popper
  39. 66 Copyright 2023 大牟田で得られた社会システムの構造転換に必要な知見の軌跡 ⚫ 地域の現場での違和感/当事者性をもとに背景の分析、理念への問い・対話を繰り返し、理念に基づく実践を展開 ⚫ 社会システムのエラーが生じているいくつかの領域(介護・福祉、住まい、就労、デジタルデバイド等)で重層的なプロ ジェクトを構築・実践することで、地域の多様なプレイヤーやパートナーとの関係が構築されている 違和感/

    当事者性 背景の 分析 理念への 問い・対話 理念に 基づく実践 大牟田未来共創センターの設立 (2019年) • 老人保健健康増進等事業 (2019年) • • わくわく人生サロン(2019年) • 人間観の問い直し(2020年) • • 市営住宅での相談支援の取組み (2020年~) • • • 健康福祉総合計画策定 (2020~2021年) • • 地域包括支援センター受託 (2021年~) • • 健康福祉総合計画推進 (2021年~) • 住まいの国土交通省モデル事業 (2021年~) • • インフォナビゲーター養成事業 (2021年~) • • 雇用・就労のモデル事業 (2022年~) • • • 新しい 社会システムへ 社会システムデザインプロセス モデル地域大牟田での成果 理念を共有するメンバーの拡大 Coデザとして得られた知見 パーソンセンタードな人間観、構造転換(新たな ビジネス領域獲得)のコア体制確立 ポニポニ創業メンバー※ パーソンセンタードな人間観、中間支援組織設立 ノウハウ(学会発表) 福祉現場担当者と企業担当者の協働体制の確 立 +行政職員、医療機関・介護事業所職員 (ソーシャルワーカー等) 地域課題獲得体制+企業協働との連動体制 → 地域共創拠点フレーム 理念を体感できるプロトタイプの確立と実証結果 獲得 +行政職員、医療機関・介護事業所職員、住 民 社会的孤立解消&担い手創出(学会発表) → 地域共創拠点コンセプト パーソンセンタードな人間観の深化(環境人間) +実践者・有識者 パーソンセンタードな人間観の深化(環境人間) 地域の社会福祉法人や関係機関との関係構築 住民に身近な場所での相談支援運営ノウハウ +社会福祉法人、市営住宅管理センター 政策的経緯がもたらす帰結の現実的理解 行政が理念的に活動できる計画を構築 +行政職員(福祉課を核として暮らしに関する部 署と関係構築) コンセプトを政策に組み込み、人中心の行政計画 を立案(中間支援組織運営ノウハウ) 地域課題獲得体制を実運用できる体制確立 +包括(×2)職員 (地域共創拠点フレームが社会実装) 理念に向けて行政と協働できる定期的な課長会 議を開始、介護予防のモデルプロジェクト組成 +行政職員、医療機関・介護事業所職員(セラ ピスト等)、NTTデータ等の企業担当者 人中心の行政計画を実行(中間支援組織運営 ノウハウ) 福祉課だけでなく建築住宅課との重層的なプロ ジェクトの着手 +地域の事業者、有明高専の教員・学生 重層的なプロジェクト構築(中間支援組織運営 ノウハウ) 生涯学習課との重層的なプロジェクト着手 地域のデジタル化・DXへの足掛かり +公民館職員、行政職員(生涯学習課) 地域におけるデジタル化の課題/重層的なプロジェ クト構築(中間支援組織運営ノウハウ) 障害者就業・生活支援センター等との重層的なプ ロジェクトの着手 +地域の就労支援機関、商工会議所、東大研 究者 重層的なプロジェクト構築(中間支援組織運営 ノウハウ) ※(地域内で事業を展開している者、地域外から大牟田市のまちづくりに関わっていた者、コンセプトに共感する地域外の政策形成に強み がある者、企業の研究者、行政職員などで構成)
  40. 67 Copyright 2023 構造転換を志向する社会システムデザイン方法論※ ①既存の社会システムのエラー(≒政策的帰結)を捉える ②社会のエラーを乗り越える実践者・研究者との対話から、新たな問い・理念を見い出す ③新たな理念に基づいたプロジェクトを実施する(政策・サービス・コミュニティ) 既存の社会システム 理念への 問い・対話

    違和感/ 当事者性 社会へ 開かれる 新たな 理念 政策的 経緯 役割が解除され 存在が保障される位相 (社会システムが持続的に変革し続ける土壌) 政 策 的 帰 結 システムエラー システムエラー 理念 参加 参加 解除 問い・対話への展開 一人目になる 転換へ 組成・協働 温まる 新たな理念に基づいた 仕組みの実装(プロジェクト) 既存システムの構造・ 理念の把握 背景を捉える 1 2 3 4 ※木村ら (2022)新たな社会構造に転 換するための社会システムデザイン方法 論, 日本デザイン学会 第69回春季研 究発表大会. ※Kimura et al.(2022),Social System Design Methodology for Transitioning to a New Social Structure, In Proc. of Open Living Lab Days 2022.
  41. 70 Copyright 2023 地域拠点 -持続可能な地域づくりのために- まちサポ(包括) 老人福祉センター ↓ 地域の居場所 地域福祉センターの活用

    〇本当に支援が必要な人は、つながりがない。 ➡ 必要な人へ支援を届けたい。 〇活動は変わっても、活動メンバーはほとんど同じ。 ➡ みんなに協力してほしい。新たな担い手を見つけたい。 〇支える側、支えられる側という一方通行の関係 ➡ 別の場面では支える側となり、支えあう関係へ 多様な主体との新たな出会いによって、担い手不足などの課題を乗り越え、活動の活性化を図りたい。 2
  42. 75 Copyright 2023 社会背景:地方自治体の変化 地方自治体の運営は限界を迎える。持続可能な形で住民サービスを提供し続けるために、ICT活用による「スマート自治 体への転換」と、公共私(自治体・コミュニティ・民間企業等)の連携による自治体の「プラットフォーム・ビルダー化」が必 須 ※自治体戦略2040構想(総務省、2018) スマート自治体への転換 •

    新たな自治体や国の施策(アプリケーション)の機能が最大限発揮できるような自治体行 政(OS)の大胆な書き換えが必要 • 破壊的技術(AI・ロボティクス等)を使いこなす自治体へ 公共私によるくらしの維持 (自治体のプラットフォームビルダー化) • 自治体は新しい公共私相互間の協力関係を構築する「プラットフォーム・ビルダー化」が必要: 公 • くらしを支えるための地域を基盤とした新たな法人が必要:共 • 全国一律の規制見直し、シェアリングエコノミー等の環境整備の必要性:私 減少する地方公務員 ひっ迫する財政 増加するインフラ更新費用
  43. 77 Copyright 2023 社会背景:自然災害の多発 気候変動などの影響で、猛暑日、集中豪雨などの自然災害は増加傾向にあり、人命が失われ、インフラが崩壊するなど、 暮らしの継続が難しくする状況が高まっている。 日本全国(13地点平均)での猛暑日(最高 気温35度以上)の年間日数は増加している。 最近30年間(1993~2022年)の平均年 間日数(約2.7日)は、統計期間の最初の

    30年間(1910~1939年)の平均年間日 数(約0.8日)と比べて約3.5倍に増加して いる。 気象庁, https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html 大雨の年間発生回数は有意に増加しており、よ り強度の強い雨ほど増加率が大きくなっています。 1時間降水量80mm以上、3時間降水量 150mm以上、日降水量300mm以上など強 度の強い雨は、1980年頃と比較して、おおむ ね2倍程度に頻度が増加しています。
  44. 78 Copyright 2023 現場での問題は 発生している 共通の課題認識が ない 縦割りを超えた リーダーシップがない 共創していく

    ムーブメントは 生まれていない 地域の現状とその課題 1. 個人ごと、事業者ごと、業界ごとで目の前で起きている問題に困っている 2. それぞれの問題が、個人、事業者、業界を超えた共通の課題である認識が持ちづらい 3. 共通の課題に対して、縦割りを超えてリーダシップを発揮するきっかけがない ➢ 結果として、差し迫った構造的な課題にも関わらず、 構造的な転換(ソーシャルインパクト)に向けて共創していくムーブメントは生まれていない
  45. 79 Copyright 2023 なぜセクターを超えた共創に取り組むのか? 自治体 従来の介護予防施策では リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 地域住民

    他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない (高齢者として)これまでの経験や興味を活かし て地域に関わる機会がない、多様な形でどんな 人でもいれる居場所がない 地域として、あるいは、企業として協働 できるで広い課題として設定し、目の前 の課題を共に乗り越える 今までの役割・専門性・課題設定だけでは乗り越 えられないことに直面している 地 域 で 協 働 で き る 課 題 設 定 企 業 と 協 働 で き る 課 題 設 定 地域住民の課題 地域団体の課題 地域事業者の課題 ・・・ 地域の政策的課題 ・・・ 企業の社会的課題 ・・・
  46. 80 Copyright 2023 リビングラボプロジェクトの段階的ねらい ①関わりが生まれる リビングラボ 単独 関わり 活動 問題解決

    既存の意味 新しい意味 ②問題解決の リビングラボ ③新しい意味を生み出す リビングラボ パターン ねらい ⓪ 共創なし ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 新しいインパクトが生み出せる (企業投資、国モデル事業などとの連携) 目の前の問題が解決される (行政施策、NPO活動との連携) 共創の土壌となる 関係性が生まれる 行 政 の 関 わ り 代 企 業 の 関 わ り 代
  47. 82 Copyright 2023 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる +

    個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換を志向 課題意識:ソーシャルインパクト 2022/3/14 第4回全国リビングラボ ネットワーク会議 趣旨説明資料
  48. 83 Copyright 2023 課題意識:暮らしの質感(conviviality, polophony) 暮らしの質感をとりこぼさないシステムに向けてハックし、転換を志向する 暮らしの時間 ・主観的、生成的、多様 ・歴史的な絆、人間、世間 e.g.

    自立共生的、生活世界 両方の構造に対して デザイン実践をする立ち位置 システムの時間 ・客観的、計画的、均質 ・政策的経緯、公論 e.g.操作的、システム イヴァン イリイチ(2015)コンヴィヴィアリティのための道具,筑摩書房. 2022/6/25-26 デザイン学会 オーガナイズドセッション企画資料
  49. 84 Copyright 2023 課題意識:セクターを超えた共創 = リビングラボ 福 祉 教 育

    産 業 環 境 ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 国 予算 制度 事業 基礎 自治体 予算 制度 事業 地域 実践 取組 対象 単世代・特定カテゴリー ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 予算 制度 事業 予算 制度 事業 実践 取組 対象 多世代・横断 政策的統合 統合的実践 転 換 統合的 アプローチ
  50. 87 Copyright 2023 福祉政策起点で新しい人間観にもとづく まちづくり(パーソンセンタードシティ)を 目指す(福岡県大牟田市) 産業政策起点で日本的サスティナビリティに もとづく持続可能な地域や社会が うまれるまちを目指す(奈良県奈良市) 地域住民

    自治体 企業 地域のソーシャル ワーカー等 大牟田 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 ・奈良市在住の就業者の 約50% が市外で勤務 ・ベッドタウンとしての魅力+働く人の創造性を引き出す 文化財や自然が豊富にある特性を生かした多様な ワークプレイス(サテライトオフィス)がある地域をめざす ・子育て世代の支援 抜本的な公共私連携による解決策の創出 ・高齢化率(65歳以上人口) 36.8% ※全国高齢化率 28.6% ・10万人以上の都市では全国で2番目に高い 高齢化率※ ・日本の中でも20年先をいく超高齢社会モデル都市 (一般社団法人) (一般社団法人) 地域住民 自治体 企業 奈良 リビングラボ 真に解くべき課題を 探索・設定できる主体 地域創生Coデザイン研究所にて取り組んできたリビングラボ モデル地域(大牟田、奈良)において、ソリューションではなく地域の構造的問題を捉えた社会システム(サービス・政 策・コミュニティ活動)を①提案・実装する中で、持続可能な社会システムの②知見を体系化し、③展開する。
  51. 103 Copyright 2023 本報告の狙いとアプローチ 社会システムデザインに資する2つの事例を論文・インタビュー等に基づいて分析し、社会 システムデザイン方法論を洗練化する。 近藤武夫 氏 東京大学 先端科学技術研究センター

    社会包摂システム分野・教授 服部真治 氏 医療経済研究機構 政策推進部 副部長(企画推進担当) 研究部 主席研究員 既存の社会システム 理念への 問い・対話 違和感/ 当事者性 新たな 理念 政策的 経緯 役割が解除され 存在が保障される位相 (社会システムが持続的に変革し続ける土壌) 政 策 的 帰 結 システムエラー システムエラー 既存の理念 開かれた 発信と参加 プロジェクトに参 加 既存の社会シス テムからの解除 問い・対話への展開 プロジェクトを リード 転換に向け 社会システムを ハッキング 組成・協働 温まる 新たな理念に基づいた 仕組みの実装(プロジェクト) 既存システムの構造・ 理念の把握 社会的背景の分析 2 3 4 1 2 図:社会システムデザイン方法論のプロセスモデル 事例1:介護予防に 関する実践 事例2:障害者就労 に関する実践
  52. 105 Copyright 2023 現状の問題(プロセス1) https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/appContents/kaigo-seido- 0904.html できる限り要介護状態等になら ない、もしくは重度化しないことを 目指し、予防給付の見直しや地 域支援事業の創設

    2014年改正において、地域支 援事業の充実と併せて、介護予 防・日常生活支援総合事業が 開始された 介護保険制度を貫く理念として 「自立支援」
  53. 106 Copyright 2023 現状の問題(プロセス1):軽度者の増加が大きい 2014年介護予防・日 常生活支援総合事業 が開始されたが、対象 としている軽度者の増 加は大きい。 厚生労働省の調査に

    おいても、制度の活用 が十分でないことが指 摘。(厚生労働省「介護保険制 度をめぐる最近の動向について」 (2021年3月24日))
  54. 107 Copyright 2023 現状の問題(プロセス1):普及が進まない総合事業 1,619 860 266 383 52 1,618

    923 243 681 176 351 77 94.2% 50.0% 15.5% 22.3% 3.0% 53.7% 14.1% 39.6% 10.2% 20.4% 4.5% 0 500 1,000 1,500 従前相当 A B C D 従前相当 A B C 見守り 配食 その他 サービスを実施している市町村数 94.1% 市町村数 n=1,719 令和元年6月時点で従前相当サービスを実施している市町村は、訪問型で1,619市町村(94.2%)、通所型で1,618市町 村(94.1%)である。サービスAを実施している市町村は、訪問型で860市町村(50.0%)、通所型で923市町村(53.7%) である 。次いで通所型サービスCを実施している市町村が多く、681市町村(39.6%)である。 訪問型の従前相当以外のサービスを いずれか実施している市町村 1,051市町村 (61.1%) 通所型の従前相当以外のサービスを いずれか実施している市町村 1,193市町村 (69.4%) 訪問型 株式会社NTTデータ経営研究所 令和元年度「介護予防・日常生活支援総合事業及び生活支援体制整備事業の実施状況に関する調査研究事業」 通所型 その他生活支援 自立支援に向けた新た なサービスの普及が進 まない状況
  55. 109 Copyright 2023 従来のシステムの理念(プロセス2) 介護施設(現場)の状況 ・要介護状態区分ごとの区分支給 限度額 →改善は収入減 ・利用できる期間に限りがない →利用が持続

    ・使えるなら使おうという利用者心理 自治体(制度)の状況 ・全国一律での実施ではなく、 市町村の実情に応じて 取り組める制度設計 →自治体次第となり普及が進まない 「介護がいらない状態までの回復」ではなく、 「継続的な制度利用を促進する」という理念が実体的なシステムを駆動 ※厚生労働省「介護サービスの質の評価・自立支援に向け た事業者へのインセンティブ(参考資料)」(2017)
  56. 110 Copyright 2023 新しいシステムの理念(プロセス3) 介護施設(現場)の状況 ・要介護状態区分ごとの区分支給 限度額 →改善は収入減 ・短期集中予防サービス以外は利 用できる期間に限りがない

    →利用が持続 自治体(制度)の状況 ・全国一律での実施ではなく、 市町村の実情に応じて 取り組める制度設計 →自治体次第となり普及が進まない 「介護がいらない状態までの回復」を理念としたプロジェクトが実現し 既存システムをハッキング ※厚生労働省「介護サービスの質の評価・自立支援に向け た事業者へのインセンティブ(参考資料)」(2017) 介護施設(現場)の状況 ・回復を専門性の核とするリハ専門 職を中心としたサービスの建付け ・介護がいらない状態までの回復を 目標として設定 ・市町村委託による安定的な収益 自治体(制度)の状況 ・自立支援=介護がいらない状態ま で回復 ・短期集中予防サービスを運用 ・エビデンス・事例を共有 高齢者、専門家、それを支える行政職員が主体化する仕組みに転換
  57. 111 Copyright 2023 システム転換に繋がる実践(プロセス4) ①介護・支援ではなく、軽度者の意欲に働きかける プログラム「短期集中予防サービス」の活用 ③既存の介護保険制度の前段のステップとして運 用することを推奨 ②介護ではなく回復の専門性を持つ リハ職をシステムの核に据える

    ④地域の介護予防システムの中心的組織である 地域包括支援センターと実践的な共有ができる ⑤地域リハ事業、地域ケア会議、生活支援コー ディネーターとの有機的な連携をモデル事業で示す ※三菱UFJリサーチ&コンサルティング「地域支援事業の連 動性を確保するための調査研究事業 報告書」(2019) https://chiikihoukatsucare.net/pdf/manual/training_manual.pdf 新 た な 理 念 へ の 転 換 既 存 シ ス テ ム の ハ ッ キ ン グ
  58. 112 Copyright 2023 事例:介護予防に関する実践 既存の社会システム 理念への 問い・対話 違和感/ 当事者性 新たな

    理念 政策的 経緯 役割が解除され 存在が保障される位相 (社会システムが持続的に変革し続ける土壌) 政 策 的 帰 結 システムエラー システムエラー 既存の理念 開かれた 発信と参加 プロジェクトに 参加 既存の社会シス テムからの解除 問い・対話への展開 プロジェクトを リード 転換に向け 社会システムを ハッキング 組成・協働 温まる 新たな理念に基づいた 仕組みの実装(プロジェクト) 既存システムの構造・ 理念の把握 社会的背景の分析 2 3 4 1 2 ②既存のシステムの理念 は専門職が中・重度者を ケアすること ③新しいシステムは軽度 者の回復を専門職が手 助けし、軽度者が主体性 を取り戻すこと ④リハ職のアセス メント、対話プロ グラムなど ①介護予防サービ スで軽度者が良く ならない ・政策のガイドライン作成、展開だ けでは、地域が変わっていかない 実情 ・服部さんが仲間を得ながら、海 外調査なども踏まえて、国内で事 例を生み出した際の試行錯誤 ・自治体の職員や現場の専門職 の性質を踏まえたうえで、彼らの意 欲に働きかけるコミュニケーション ・他の自治体でも広がるように、戦 略的にエビデンスや事例創出に取 り組んでいる 服部さんの 実践ポイント
  59. 115 Copyright 2023 現状の問題(プロセス1) https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/service/shurou.html 障害者雇用率制度の 問題 ・他国に比べ法定雇用率は低い ・現在の法定雇用率(2.3%)を 満たす企業は48.3%であり半数に

    満たない ・週20時間以上の短時間労働 者をカウント 一般就労への移行 率は ・54.7% (就労移行支援) ・25.1%(A型) ・13.2%(B型) 高齢でなく施設入所 していない人(働ける 人)の母数に対して 15%程度しか就労し ていない(他国に比べ 障害者雇用率が低い)
  60. 117 Copyright 2023 現状の問題(プロセス1) 障害者権利条約に基づく理念が、日本における障害者雇 用をめぐるシステムの理念としては機能していない 近藤氏「どうすれば理念が実現するのか」 障がいのある子供たちの親の相談を聞く中で、親たちが子どもの将来を考えて、良い作業所のある地域を選んで、 そこに住むことを選ぶことを見聞きしてきました。 また、DO-IT

    Japanという障害のある子どもたちの進学や就労を支援する活動を行う中で、学校での学びからの 排除から、自らの将来を自分で決めることを放棄する子どもたちを見てきました。 (中略) 街角のレストランや、花屋さんや書店、それにその地域での代表的な会社など、「あそこで働いてみたい」と思う所 は、障害の有無に限らず、ひとりひとりにあるはずです。
  61. 118 Copyright 2023 東京大学先端科学技術研究センター 近藤武夫さんの活動紹介 テクノロジー活用により大学進学や雇用・キャリア移行を長期的に支援することで、障害のある子どもたち (小学校3年生~中学生)、若者たち(高校生・大学生)の中からリーダー人材を育成するプロジェクト です。2007年より、共催企業及びその他の協力企業と産学連携で事業を行なってきました。サマースタディ でのテクノロジーを活用した自分らしい学び方の体験、大学生活体験、インターンシップ、海外研修、専門 相談その他、年間を通じた様々な機会提供を行っています。

    近藤武夫 氏 東京大学 先端科学技術研究センター 社会包摂システム分野・教授 障害の有無に関わらず、学び働くことができるしくみを、 研究&展開中。 広島大学教育学研究科助教、米国ワシントン大学計 算機科学・工学部客員研究員を経て現職。多様な障 害のある人々を対象に、教育や雇用場面での支援に役 立つテクノロジー活用や合理的配慮、修学・雇用制度 のあり方に関する研究を行っている。著書に『知のバリア フリー』(共著、京都大学出版会)、『バリアフリー・コン フリクト』(共著、東京大学出版会)等。 https://www.rcast.u- tokyo.ac.jp/ja/research/people/staff- kondo_takeo.html DO-IT Japan 自己決定を徹底的にやる!必ずやる! 大学の紙の入学試験、視覚障碍者が受けられない! 合理的配慮に基づいて、主張して変える 「俺はこうじゃないと困るから」と相談する 自分で考えて準備して行動する DO IT Japanの品川ソニーの会場に1人で朝集合 ホテルの予約も移動も自分で これまで、家に閉じこもっていたから慣れていない子どもたちなので ラッシュにまみれて気絶することもいる。遅れてくる子供たちもいる 心優しく誘導しない!本人の思考を奪わない! 心優しいスタッフは駆け寄って誘導する人がいる が、そのスタッフには指導が入る せっかくの本人が考えるチャンスを奪っている! 失敗や遅刻を怒るでもなく、聞けるかどうか! それを考えて、どうしたいどうする? 本人に「どうしたいか言って」と言う 冷たく見えるかもだけど、いろいろ試してみることが大事
  62. 119 Copyright 2023 超短時間雇用について • 障がい者のための仕事を作るのではなく、業務プロセスを見直した(DX)結果、 普段の業務から価値あるものとして業務を切り出す • あくまでも障がい者のために、と業務内容に優劣をつけるのではない •

    「魅力ある職場」とは、働く人にとって「働きがい」と「働きやすさ」が感じられる職場。 •就労継続支援 A型:最低賃金 B型:1万円/月 程度 •障がい者の法定雇用率 ・ ・ ・ 既存の障がい者雇用の仕組み 雇用側に対して非効率に集中している業務を整理する これまでの雇用環境では働きづらさを感じていた人の雇用機会を創出 さまざまな状況にある人が社会に参加できる仕組みを構築 雇用主や従業員が本来するべき業務以外の仕事を 超短時間雇用のワーカーに任せる。 ➡残業時間の削減や業務効率の向上が期待できる ➡新たな企画立案や商品開発に取り組む余裕が生まれる ➡自分の状況に合わせた働き方を希望する人が創出される ➡超短時間雇用をとおして、 雇用者:能力を最大限発揮することで「働きがい」を感じ 雇用主:業務を整理することで従業員への負担を減らして 「働きやすい」職場を作ることができる。 超短時間雇用の仕組み ・事業社の業務整理~雇用者のマッチングを行う ・コーディネート機能でマネタイズする ・働きがいのある仕事を提供し、雇用主、雇用者ともに魅力ある職場を作る
  63. 121 Copyright 2023 従来のシステムの理念(プロセス2) 「長時間働く必要がある」 「採用時に職務定義がない」 (他者との高度なコミュニケーション を行う能力が全員に求められる) 障害者を排除する環境 臨機応変にどんな職務も果たせる人材を画一的に重視する理念が実体的なシステムを駆動

    一つの企業にフルタイムで任期の定めなく長期雇用される「常用雇用」が前提とされ、これに基づく年功序列 の賃金体系が長期展望のある生活保障を実現してきた。「メンバーシップ雇用」(濱口,2011)
  64. 123 Copyright 2023 システム転換に繋がる実践(プロセス4) ①フェアな関係で、業務分解を行う (組織に必要だが、そのスタッフでなくていい業務 例:デザイン、翻訳、パンの成形等) ③各組織をまたがりながら 超短時間雇用を創出するコーディネーター ②ジョブとして明確にした上で、ジョブを担える人の

    採用・雇用・定着(ジョブ以外求めない) ④働きやすい職場を作りたい組織(企業、行政) の課題にアプローチ(働き方改革、人手不足) ⑤地域の就労支援団体(B型事業所、障害者 業・生活支援センターなど)との連携 新 た な 理 念 へ の 転 換 既 存 シ ス テ ム の ハ ッ キ ン グ 神戸市超短時間雇用事例集 https://www.city.kobe.lg.jp/documents/46683/jireisyuu.pdf
  65. 124 Copyright 2023 事例)障害者就労を取り巻く実践 既存の社会システム 理念への 問い・対話 違和感/ 当事者性 新たな

    理念 政策的 経緯 役割が解除され 存在が保障される位相 (社会システムが持続的に変革し続ける土壌) 政 策 的 帰 結 システムエラー システムエラー 既存の理念 開かれた 発信と参加 プロジェクトに 参加 既存の社会シス テムからの解除 問い・対話への展開 プロジェクトを リード 転換に向け 社会システムを ハッキング 組成・協働 温まる 新たな理念に基づいた 仕組みの実装(プロジェクト) 既存システムの構造・ 理念の把握 社会的背景の分析 2 3 4 1 2 ②既存のシステムの理念 は人が仕事に合わせて働く ④社員の本務と現状の職 場で扱うのが難しい職務 を明らかにしたうえで、そ の難しい職務を本務にで きる人をマッチする ① 長時間働けない障 害者は仕事を選べない ③新しいシステムは 仕事に合う人が働く ・仕組みが“変えられる”という心構 えを持てていない障害者の現状 ・“変えられる”実践を、障害者自 身ができるようになることの伴走の スタンス(ツールで受験、一人で 準備など) ・障害者の働きたいだけでなく、地 域・企業の人手不足で困っている、 を互いにWin-Winとなる形でつ なげる提案をするプロセス ・積算型雇用率という既存制度に 繋がる仕組みのプロトタイプと政 策提案 近藤さんの 実践ポイント
  66. 125 Copyright 2023 「社会のデザイン」に向けた示唆 • オルタナティブな活動とシステムへの ハッキングの重なりと違い • 重なり:システム内部とは異なる価値提案 •

    違い :システムの転換を志向するかどうか、持続可能 な仕組みになるのか (局所的なWell-being, Sustainabilityの実 現) → 服部氏の事例は、高齢者が自立するプログラム 開発に留まらず、その理念や実践を起点にシステムを ハッキングしに行っている • 実践者の違和感を生み出している問 題を、どのスコープで捉えるのか? (短期~長期、テーマ単体~テーマ横断) →近藤氏の事例は、障害者雇用の違和感を起点に、 誰にとってもフェアな地域の学び・就労・雇用システム を実現するスコープで実践に取り組んでいる。 既存の社会システム 理念への 問い・対話 違和感/ 当事者性 新たな 理念 政策的 経緯 役割が解除され 存在が保障される位相 (社会システムが持続的に変革し続ける土壌) 政 策 的 帰 結 システムエラー システムエラー 既存の理念 開かれた 発信と参加 プロジェクトに参 加 既存の社会シス テムからの解除 問い・対話への展開 プロジェクトを リード 転換に向け 社会システムを ハッキング 組成・協働 温まる 新たな理念に基づいた 仕組みの実装(プロジェクト) 既存システムの構造・ 理念の把握 社会的背景の分析 2 3 4 1 2 図:社会システムデザイン方法論のプロセスモデル
  67. 126 Copyright 2023 事例3:森林の可視化・公有化に関する実践 既存の社会システム 理念への 問い・対話 違和感/ 当事者性 新たな

    理念 政策的 経緯 役割が解除され 存在が保障される位相 (社会システムが持続的に変革し続ける土壌) 政 策 的 帰 結 システムエラー システムエラー 既存の理念 開かれた 発信と参加 プロジェクトに 参加 既存の社会シス テムからの解除 問い・対話への展開 プロジェクトを リード 転換に向け 社会システムを ハッキング 組成・協働 温まる 新たな理念に基づいた 仕組みの実装(プロジェクト) 既存システムの構造・ 理念の把握 社会的背景の分析 2 3 4 1 2 ②小規模分散・民有林で は市場の原理で活性化の 循環が回らない ④省力化された可視化や 需給把握機能、カーボン クレジット創出との連動に より、地域の森林が地域 の価値を生む仕組み ①土砂災害・水源涵 養・地球温暖化など林 業の不活性化による課 題山積 ③大規模かつ公益的 なマネジメント主体に より、循環を回す
  68. 129 Copyright 2023 行政政策: 健康福祉総合計画策定・運用 Coデザのビジョン&ミッション 大牟田から未来をのぞき見る、 対話・体験・テクノロジー 「NINGEN Societal

    Festival」 雇用/労働のあり方を転換 する「超短時間雇用」PJ ×東大等 みんなが自然と元気になるまちPJ w/ 短期集中予防サービス(市) ×NTTデータ等 Well-beingな住まいPJ ×有明高専等 社会の本質に迫る 問いと対話のメディア 「湯リイカ」 ×SMBC等 ・市民の主体性があたたまる場から、社会の価値が共創されていく場や機会づくり ・地域としての課題を乗り越え、新しい住まい・介護予防・働き方を実践するプロジェクト ・現場での実践から生まれる問いを起点に地域や社会のあり方を問い直す対話 大牟田から「人々が主体的に共創できる社会」のモデルをつくる 「わたし」として扱われる場があたたまりを生む 公営住宅モデルルームと住みこなしに必要な家具DIY (2021年~) VRで思い出の場所を散策することができる 多様な労働者のインクルージョンを実現する @超短時間雇用モデル 対話を通じて 市民の主体性があたたまる 「わくわく人生サロン」 主体的なデジタル活用をサ ポートする人材 「インフォナビゲーター」養成 講座 高齢者の主体性を引き出す デジタル体験 「VRを活用した未来の福祉 プロジェクト」 ×東大等 ・・・ 多様な市民が集った「にんげんフェスティバル」 対話を通じて未来について考える仲間が集う
  69. 131 Copyright 2023 核となる新しい人間観:パーソンセンタード※ 生活者(パーソン)の暮らしを、独立した個人の暮らしとして捉えるのではなく、周りの家族や地域の人と の繋がりと、その繋がりの中で捉え直されるケイパビリティに基づき、豊かで継続性を持ったナラティブによっ て成り立っていると捉えるもの 学ぶ 楽しむ 働く

    出会う 知る つながる 好奇心 意欲 問題意識 潜在能力 capability つながり connection 人生 narrative 【ビジネス】 マーケティング5.0 【教育】 未来の教室(経済産業省) 【福祉】 地域共生社会(厚生労働省) ※木村ら(2019)パーソンセンタードデザイン:その人らしい暮らしを目 指す人間観に基づくデザイン方法論,日本デザイン学会発表大会概要集.
  70. 132 Copyright 2023 パーソンセンタードシティのコンセプト: どのような状態でも本人の存在が肯定され力が発揮されるまち コミュニティケア的視点 その人らしく生きることに向き合う 産業・テクノロジー的視点 その人と支える人を影ながら支える 社会疫学的視点

    その人らしく生きやすい環境を作る 支援者 (専門職等) 参加コミュニティ 未参加コミュニティ 友人 家族 近所住民 同僚 モバイル 戸建住宅 集合住宅 都市 支援者+モバイル ナラティブ DB 社会資源 DB 生活者課題 DB 疫学知見 DB テク ノロジー DB 設計 ガイドライン DB マクロ ミクロ 暮らし 技術 社会課題 DB 保険業 金融業 医療介護 保育教育 サービス業 宿泊業 交通 物流 建築 通信
  71. 133 Copyright 2023 パートナー 地域・住民 中立的な地域ビジョンの共有 統合的・横断的な政策展開 協働 地域・住民との協働 保

    健 福 祉 部 生 涯 学 習 課 産 業 振 興 課 地域包括支援センター 保健福祉部(福祉課、健康づくり課) 生涯学習課、建築住宅課・・・ (一社)大牟田未来共創センター 大牟田市 総 合 政 策 課 建 築 住 宅 課 ▪地域内の連携組織 ・ 大牟田医師会 ・ 大牟田商工会議所 ・ 有明高専 ・ 大牟田障害者協議会 ・ 社会福祉法人福因寺福祉会 ・ 医療法人CLSすがはら 等 ▪地域外の連携企業 ・ SMBC、NTTデータ 等 地域創生Coデザイン研究所 NTT西日本/NTT研究所 ほ か ◆ 2018年から大牟田市・NTT西日本・NTT研究所による共同実験を開始。その知見を踏まえて、認知症ケアで見出されたコンセプトを深 め、セクターや領域における縦割りを横断し、地域経営を担う民間主体として官民協働で2019年に大牟田未来共創センターを設立。 ◆ また、NTT西日本・NTT研究所は、大牟田市での取り組みをモデルと位置づけ、それを含めた地域創生の活動を加速するため、2021年 7月に地域創生Coデザイン研究所を設立。 ◆ これまで3者が協働して、大牟田市内における各種プロジェクト(住まい、介護予防、就労、地域のICT活用など)に取り組んでいる。 ▪地域での関係性 ※過去の地域外の連携企業/省庁 ・ オムロン、大日本住友製薬、西部ガス、NECソリューションイノベータ ・ 厚生労働省、経済産業省 3者(大牟田市・ポニポニ・Coデザ研)の関係性
  72. 137 Copyright 2023 大牟田市 従来の介護予防施策では リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス

    の実証実験に人が集まらない 「早期検知」から、 「自らのことを知る新たな方法のデザイン」へと 課題設定を変更 地域 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない 高齢者が自らの意欲育て、 多様な形で社会参加する機会が 十分ではなかった 「早期検知」から、 「自らのことを知る新たな方法のデザイン」へと課 題設定を変更 企業がリビングラボへ支払う対価(資金)を活用し、 高齢者が仲間を得て、自らのことを振り返る(知る)過程で意欲を育み、 多様な社会参加に向かう仕組みづくり検討 課題の再設定・統合的実践 別々に 見える 別々に 見える 企業との共創)地域課題解決とサービス開発の連動 •大牟田市民がこれまでの人生や 日々の生活を振り返りながら、続き の人生をわくわく考えることを目的と した全5回のプログラム「わくわく人生 サロン」を実施 •市民の主体的な関わりを通じて、 企業はサービス/テクノロジーのコン セプトやユーザ体験をリフレーム
  73. 138 Copyright 2023 市民との共創)市民が力を発揮する機会づくり デジタルデバイドへの対応だけでなく、意欲的にデジタル活用できる市民や地域に変わっ ていくために、市民・職員向け講座(インフォナビゲーター養成講座)を実施し、人々が デジタル活用の中で新たな学び、気づき、助け、出合いを得られる地域を目指す オンライン空間 公民館 住民

    既知の世界 (コミュニケーション) 未知の世界 =学び、気づき、助け、出会い デジタルデバイドの解消 未知の世界(情報)へナビゲート ・デジタルデバイドの解消 ・未知の世界へのナビゲート (学びへの転換) Wi-Fi オンライン空間への平等な 入り口(環境整備) ・既知の人とのやりとり ・既知の人との集い 公民館がオンライン空間と 生活のインターフェースになる 市民ボランティア 市民ボランティアの育成 デジタルデバイド(2) 未知の情報(世界)との接点 (オンラインを介する) サービス デジタルデバイド(1) 機器の保有 機器の使い方 デジタルデバイド(3) サービスの利用 インフォナビゲー ターの育成 人の可能性を引き出す インフォナビゲーター 機器の 使い方 機器の 保有 日々使う サービス利用 未知の情報 との接点 ※デジタル活用支援員推進事業等 市民が力を発揮する機会づくり
  74. 141 Copyright 2023 これまでの実践を踏まえた介護予防における理念・構造の転換 ⚫ 介護予防は本人視点では意識することができない概念であることを整理し、本人視点に立ったBeing- well※(本人の力が発揮されている状態)に転換。そのうえで、関わる事業者・団体についても、従来 の医療・介護サービス事業者ではない新たな事業者・団体が担う方向で、企業や地域と協働 要介護状態にならないように 予防する

    要介護状態 介護予防 介護が必要な状態になったことがない人にとって、 それを予防するという意識を持つことができない Being-well※(本人の力が発揮されている状態) どのような状態でも、本人の存在が肯定され、 力が発揮されている状態を目指す ※Well-beingが「Well(良い状態)」を先に規定していることに対して、「Being(存在)」を肯定した上で、多 様な「Well(良い状態)」に開かれていることを目指す理念。造語。 高齢者等 • 医療・介護サービス事業者が担う • 制度の構造として、医療や介護が必要な状態 になったほうが収益が上がるため、予防に対す るインセンティブが働かない 要介護状態 高齢者等 一緒に力を引き出す(見出す) ような関わり方 • 医療・介護サービス事業者ではない事業者・団体が担う (新たなビジネス領域の可能性) • 誰もが、どのような状態になっても、社会参加ができるよう参加機会のユ ニバーサル化を図る
  75. 142 Copyright 2023 大牟田の地域課題への重層的アプローチ ⚫ 地域課題を構造的に捉えた上で、官民連携で政策転換を推進し、産業側の課題にも重層的にアプローチしている 既存産業 基幹産業の衰退(石炭産業) 人口減少 (特に生産年齢人口)

    少子高齢化 (10万人以上で有数の高齢化率) 自治体財政の悪化 (税収減・政策対応の財政的・ 人的な制約が強まる) 仕事がない (事務職、高度 技術職等) 人手不足 地縁 コミュニティの 担い手不足 地縁 コミュニティの 脆弱化 都市ストックの需給ギャップ (空き家・空き店舗) ミスマッチ <医療・介護・福祉> 制度の利用増・制度疲弊 (民生費増加) 公共交通網の縮小 (高齢者等の移動困難者) 地域外への 流出 (若い世代) 事業継承 できない 財政圧迫 人口減少(社会減) コレクティブインパクト、 SIB、民間人材活用 乗合、自家用有償 除却、リノベーション NPO、テーマコミュニティ 民間協働、テック活用、 介護予防強化 •地域の社会課題と同期した DX・インキュベーションに取り組む •地域の本質的な社会課題について、官民連携で取り組 む体制を構築し、政策転換を推進している ◯介護予防:「支援」から「力を引き出す」への転換 ◯住まい・住宅:民間賃貸だけでない地方版社会賃貸住宅の創出 ◯雇用・就労:メンバーシップ型からジョブ型への転換・産業構造転 換を見越したリカレント教育や生活保障システム ◦・・・
  76. 143 Copyright 2023 大牟田におけるサービス創出と産業転換に向けて ⚫ 大牟田の地域課題のひとつである医療・介護領域において、DX・インキュベーションに取り組むことを検討 医療・介護 DX・インキュベーション 市政の重要な 政策テーマ(市長公約)

    フレイル予防 イノベーション創出(拠点) × × ・産業としての集積が進んでいる(例:病床数)。 ・就労者数が最も多い。 ・高齢者減(市場の縮小)に向けた再編が起きている。 ・DXは十分に進んでいない。 ・人材不足。 ・産業全体でDXの取り組みが進んでいない。 ・新産業創出の必要性がある。 ・ICT・ロボット等の産業集積がない。 ・イノベーション創出拠点を整備(22年9月オープン予定)。 社会システムの転換・産業構造の転換(新産業の創出)
  77. 144 Copyright 2023 参考:介護予防(健康増進)の理念・構造転換 ⚫ 介護予防(健康増進)領域でのサービス創出を行うにあたり、理念および構造を転換することで新たなビジネスドメイ ンの創出を検討 • 医療・介護サービス事業 者が担う

    • 制度の構造として、医療や 介護が必要な状態になっ たほうが収益が上がるため、 予防に対するインセンティブ が働かない • 医療・介護サービス事業者 ではない事業者・団体が担 う(新たなビジネス領域の 可能性) • 誰もが、どのような状態に なっても、社会参加ができる よう参加機会のユニバーサ ル化を図る
  78. 145 Copyright 2023 • 主体的な社会参加のために は、 「したくなる」という意欲 を温めるような対話的な場 (機会)が地域にあることが 重要

    • 意欲は、本人が意識的に高 めることが難しい 参考:介護予防(健康増進)におけるビジョンマップ ⚫ 理念を転換しビジョンを描くことで、地域において多様な事業者の参画ができるドメインの存在に気づき直した • 介護予防とは、介護が必要 な状態になったことがない人に とっては意識を持つことができ ない、対象者を客体化した 概念 • Well-beingが「Well(良い 状態)」を先に規定しているこ とに対して、「Being(存 在)」を肯定した上で、多様 な「Well(良い状態)」に開 かれていることを目指す理念 としてのBeing-wellを設 定 1 2 • 社会参加を実現するために は、日常生活の中で「ユニ バーサルな就労」「ユニバーサ ルな学び」「アクセシビリティ (コミュニケーション・移動)」 が充実していることが必要 3 • 総合事業C型は、介護保険 事業の中でも、介護保険 サービスから卒業を目指す事 業であり、戦略的に理念を再 構築し、展開する起点として 位置づける 4 • データ化・システム化は、個人 の豊かな意味世界(幸せ・ 喜び・生きがい)をそぎ落とす ため、意味世界を豊かにする ための情報の再意味化が必 要 • 例えば、患者役割を担う病 院ではなく、元気になりたくな る病院をめざす 5
  79. 146 Copyright 2023 介護予防(健康増進)におけるNTTデータとの協働 ⚫ 理念転換した新たなビジネスドメインでの産業・サービス創出に向けてNTTデータと協働中。産業開発・サービス創出の 切り口でも大牟田で企業協働が行える土壌が整ってきている リアルな生活者像 (実在する大牟田の方をモデルとしたペルソナ) サービス創出が期待されるシーン

    (大牟田の実践を踏まえて転換された理念・コンセプト) (↓)8/25に開催したNTTデータ社員向けアイデア創発ワークショップ資料抜粋 × アウトプットの一例(→) (←)ワークショップ参加者のみなさんと 大牟田未来共創センター/探索Tメンバー
  80. 147 Copyright 2023 大牟田におけるDX・インキュベーションの実施体制 ⚫ 人の暮らしを中心としたDX・イノベーション創出・地域共生社会の実現に向けた地域創生に関する連携協定を締結 ⚫ 大牟田市が新たに開設したイノベーション創出拠点等を活用し、産学官金が連携のもと、新たなビジネスの創出、デジ タル技術の活用等による地域企業の発展、次世代を担う人材づくりなどを推進(イノベーション推進協議会) ※大牟田市・大牟田未来共創センター・

    地域創生Coデザイン研究 所の3者で地域創生に関する連携協定を締結(2023年2月) カルチャー醸成 事業承継(人材育成) イノベーション(インキュベーション) DX 域内ネットワーク 【商工会議所】 域外ネットワーク 【FDC等】 産業分析 【DBJ】 資金 【大牟田柳川信 用金庫】 フィールド 【CLSすがはら等】 技術シーズ、知見、DX推進 【NTTグループ等】 技術シーズ、知見、人材 【有明高専等】 フェスティバル テーマ、プログラム構築、全体コーディネート 大牟田市・大牟田未来共創センター・地域創生Coデザイン研究所
  81. 148 Copyright 2023 参考:データ活用の展開とデジタル化に関する現状把握 ⚫ 未来予測のために行政内のデータと国等のデータを統合し、シミュレーション・意味化した上での活用について市長と合意 ⚫ 大牟田における地域のデジタル化に関する現状・課題について、行政・事業者等にヒアリングを実施予定 既存の社会システム(政策体系) 帰納法的

    活用しきれない 縦割り 福 祉 ( 部 局 ) 住 ま い ( 部 局 ) 教 育 ( 部 局 ) 産 業 ( 部 局 ) ・ ・ ・ 計画 計画 計画 計画 計画 ビジョン(総合計画) データ データ データ データ データ KPI KPI KPI KPI KPI 政 策 的 経 緯 調査の重複 国等のデータ (統計・調査) 統合的データ (統計・調査) 未来予測 データ 集積・統合 物語(体験)的な未来像 「具体的な暮らしのシーン がどうなっているか?」 シミュレーション 統合的・横断的戦略 (アジェンダ)A 統合的・横断的戦略 (アジェンダ)B ・・・ 問い・対話 (理念的問いを含む) 意味的な読み出し KPI KPI KPI KPI KPI 人間・暮らし(統合的) 未来志向のビジョン (新たな社会システム) 意味的に共有する データも活用する 多様な市民 業界関係者 有識者 政策担当者 KPI再検討 政策再検討 政策的に分断 データから 見えない 協働 プロジェクト プロジェクト 海外の自治体・教育研究機関等 バックキャスティン グ (演繹的) ファクトだけでは伝わらない 具体的に未来を検討できない 地域共創拠点 地域外の企業群 見直し続ける 創業 市民活動 KPI KPI KPI KPI KPI KPI 質的なヒアリング 未来シナリオの検討 見直し続ける 足りないデータの収集 1 2 3 4 シチズンシップ、リーダーシップ • 行政だけでは統合・分 析しきれないデータにつ いて、共創センターが統 合しつつ、統合した政 策についてのKPIを設 定 • 地域共創拠点において コーディネートすることで、 市民や市内の事業者 等とデータを共有しな がらコミュニケーションす る機会を創出 • 行政内には、 データ加工・分析 をする専門部署 がない • 行政内では、帰 納法的なビジョン 作成に陥りがち
  82. 149 Copyright 2023 「VRを活用した地域とつながるプロジェクト」概要 ⚫ 東京大学先端研 登嶋氏が展開する「VR旅行」の取組みをベースに、大牟田に暮らすシニアや若者たちと一緒に、大牟田市内の好きな 場所や懐かしい場所を360度カメラで撮影し、介護施設に入居する方々にVR映像を見てもらうことで、「地域」や「人」とのつながりを生み 出すプロジェクト(2022年12月~2023年3月でWSを1クール実施完了。今年度は拡大して実施予定) ⚫

    VR映像を見る人(例:介護施設入居者)の欲求(意欲)を引き出すこととに加えて、VR映像を撮る人(例:シニアや学生)にとっ ても、これまでとは違った形で「地域」や「人」とつながり直すきっかけづくりをめざす 大牟田市 タイトル 方式 時間数 第1回 VRを楽しもう 座学・体験 3H 第2回 360度カメラ&VRゴーグルを試そう 座学・体験 3H 第3回 360度カメラ&VRゴーグルを深めよう 座学・体験 3H 第4回 まちを歩きVR映像を撮影しよう 撮影会 5H 第5回 VR映像を披露しに行こう 介護施設訪問 3H 本PJのベースとなる「VR旅行」WSプログラム
  83. 151 Copyright 2023 「VRを活用した地域とつながるプロジェクト」の体制とねらい ⚫ ~~~ 大牟田市/他地域展開 医療機関 ・・・ 大牟田市(生涯学習課)

    地域に向けた広報・参加者募集 大牟田未来共創センター プロジェクト事務局(全体調整、医療介護DX支援) プロジェクト事務局(全体調整) 介護施設 延寿苑 (特養) ・・・ 施設入居者 長期入院者 介護職員 医療職員 地域創生Coデザイン研究所 地域活動団体 サークル NPO ・・・ 教育機関 高専・大学 小中学校 ・・・ 映像を撮る人 (WS参加者) 映像を見る人 (施設入居・長期入院) 対話的 関わり NTT社会情報 研究所 Well-beingデザイン プロセスの研究 記憶にある 住み慣れた地域(まち) 住み慣れた地域(まち) 東大先端研 (登嶋氏) VR旅行WSの運営、 ノウハウ移転 VR旅行WS 地域(まち)の 再発見 地域(まち)との 関係の再構成 市民 介護施設 大牟田市 (生涯学習課) 大牟田未来 共創センター Coデザ NTT社会研 役割 入居者向けVR映 像視聴会の場の 設定 職員のWS参加 推奨 地域に向けた広 報・参加者募集 地域関係者の調 整 WSの企画運営・ 技術サポート Well-beingデザ インプロセスの研究 ねらい ⚫ 施設外(地 域)とのつな がり創出による 入居者の意欲 喚起 ⚫ 介護の質向上 ⚫ 介護現場にお けるICT活用 の推進(職員 のテクノロジー 慣れ) ⚫ 市民が地域に関わりはじめる(再発見する)きっかけづくり ⚫ 市民の生きがい、意欲の醸成(特にアクティブシニア等) ⚫ Well-being なサービスデザ インプロセスの 知見蓄積・論 文発表等 ⚫ 地域のICT活 用・地域DXを 支援する人づく り(ボランティア 育成) ⚫ 地域の介護 サービス事業 者協議会と連 携した大牟田 における介護 DXの推進 ⚫ 医療介護業 界のDXの推 進(ICTソ リューションと の接続) ⚫ 他地域展開メ ニューとしての 本プログラム の簡易パッ ケージ化 プロジェクト事務局
  84. 153 Copyright 2023 岡崎市地域福祉センターのコンセプト企画書 ◆ ねらい: 地域福祉センターを高齢者だけでない、地域の子供たちも含めた多世代のまちづくりの起点にすることで、地域共生社会 の実現をめざす。ただし、福祉関係者間だけの連携では難しいため、民間事業者や市民団体にも開かれた連携によって実 現する。 ◆

    企画の考え方: ・「施設(ハード)」の改修から始まった企画ではあるが、施設に閉じない地域における面的な活動(ソフト)を企画し、 結果として地域のにぎわいや課題解決につながることが重要である。 ・中央地域福祉センターにおいて具体的なトライアルを開始するが、この課題は岡崎市全域に関わるものであるため、様々 な場所で「だれもが安心して自分らしくいられ、、新たな出会いからわくわくする活動が生み出される」状況にするための知見 を得て、その状況を広げることも視野に入れることが重要である。 ◆ 参考事例: 芝の家(東京都港区) 、ネイバーフッドハウス(カナダ)、エグモントホイスコーレ(デンマーク)、うずうずマイン(福岡県 大牟田市)
  85. 154 Copyright 2023 岡崎市地域福祉センター 新コンセプト案 ①だれでも、安心して自分らしくいられる場(地域)(Inclusive=ごちゃまぜ) ②新たな出会いから、わくわくする活動を生み出す起点 (Base=起点/地域拠点) 生きづらさを感じる人※が一緒にいて 尊重され、安心できる場・関係性(土)

    世代や属性を超えた対話から、わくわくする活動や変化 が生まれてくる(花) 具体的な活動 (趣味的) 具体的な活動 (NPO/福祉的) 具体的な活動 (ビジネス的) … ※例えば、自宅や学校内に居場所がない子ども 子育て中で孤立しているお母さんと子ども 地域の中に安心して過ごせる場所がない障害者 誰とも話す機会がない高齢者 など Inclusive Base ごちゃまぜ地域拠点 ①安心して自分らしくいられる場 ②わくわくする活動を生み出す起点 理念を共有するチーム(主体者)による 運営および場づくりが重要 具体的な活動は、住民や各団体がやりたいこと (行政と住民が、サービス提供者⇄利用者の関係ではない)
  86. 155 Copyright 2023 都市OS設計に向けた地域活性化活動の創出 インクルーシブな社会の実現に向けて、①市民の暮らしのウェルビーイングが向上する体 験・活動をプロトタイピングし、そこで得られた指針を元に、②それらの体験・活動を支える 都市OSを設計・構築する 行 政 教

    育 交 通 観 光 防 災 健 康 市民 自治体 ・・・ ②DXを実現する都市OS設計 ・・・ ICTソリューション等により実現 ウェルビーイング向上 デジタルツール活用 ①DXを実現する 活動プロトタイピング
  87. 157 Copyright 2023 ウェルビーイングシティ政策形成支援ツール(仮) ⚫ 昨年度から検討を開始している「ウェルビーイングシティ政策形成支援ツール(仮)」について、今年度は具体的な自治体向けコンサルツールと位置付け開発し、 支店支援メニューとして位置付けたい ⚫ 持株SSPPとの連携(補完)も想定している。「SUGATAMI」は都市機能・そこで暮らす人々の満足感・幸福感などの指標で可視化することで、まちのマク ロな状態を把握できる一方で、指標をより良くするための具体的な施策の検討は自治体職員の属人的なプロセスとなっているのが課題と認識

    ⚫ そこで、ウェルビーイングを生み出す社会疫学のエビデンス(JAGES/日本老年学的評価研究機構)を元に、自治体職員による具体的な施策検討を支援 するツールをCoデザとして開発し、自治体の政策デザインを支援するコンサルメニューとして展開することで、N西の案件獲得に向けた入り込みに繋げる ※大牟田市・岡崎市・鳥取市等での実証に向けて調整中 ウェルビーイングシティ政策形成支援ツール(イメージ) 社会疫学のエビデンスに基づく「自然と健康になるまち」の具体施策検討ツール SUGATAMI まちの状態をマクロに把握する 今年度施策/他地域展開
  88. 160 Copyright 2023 関連情報 地域創生Coデザイン研究所(Coデザ) https://codips.jp/ 社会システム転換を志向する地域経営団体 大牟田未来共創センター(ポニポニ) https://poniponi.or.jp/ ポニポニとCoデザが人間・社会を問いなおす問いと対話のメディア「湯リイカ」

    https://dialogue-eureka.jp/ ポニポニの連載記事「ぐにゃりのまち」 https://digital-is-green.jp/branding/human-centered/001.html ポニポニのインタビュー記事「「匂い」を呼びさます地域経営」 https://note.com/pub_lab/n/n4b6f780cbc14 リビングラボ解説論文 https://www.jstage.jst.go.jp/article/serviceology/5/3/5_4/_article/-char/ja/ 根本的な社会課題解決を目指す社会システムデザイン方法論 https://codips.jp/news/data/20220608.pdf その他の論文リスト https://sites.google.com/view/co-creation-on-ubuntu/#h.z70gmdfc6v8 一緒にやってくださる方、発表資料を見たい方などおられましたら、お気軽にご連絡く ださい。[email protected]
  89. 161 Copyright 2023 関連文献 1970年代後半から80年代において、リンツ市最大 の政治的課題は地域の「社会システム」の変革にあっ た。産業の復興と雇用の確保を最優先課題としつつ も、いかにして市民が置かれた生活環境を改善し、未 来へとシフトできるか。そのためには、鉄鋼に依存した 社会そのものを見直すこと、経済的開発と、文化・社

    会面での街の再生を切り分けることなく、一つの「社 会システム」として地域社会全体の方向性を転換さ せることが必要とされた。 グルントヴィは教育や信仰を通じてデンマーク国民が精 神を養い(中略)対話と相互の 人格形成による 「生のための学校」の必要性を説き、国民すべてが平 等な生活を送ることを唱えた。(中略) グルントヴィの 理念は、現在のデンマーク社 会に次のような影響を与 えている。①国民すべてが平等な生活を送ることに価 値をおく=格差の少ない北欧型社会システム②知識 ではなく対話を重視=コンセンサス型 社会システム ③死の学校から生のための学校=知識から、 知恵 や問題解決能力を習得する教育 「持続可能性」 は「環境」と関わり、「福祉」は富の分 配の公正や個人の生活保障に関わるものなので、「持 続可能な福祉社会」とは、「個人の生活保障や分配 の公正が実現されつつ、それが環境・資源制約とも 調和しながら長期にわたって 存続できるような社会」 を意味している。言い換えれば、「持続可能な福祉社 会」というコンセプトの主眼は、「環境」の問題と「福 祉」の問題をトータルにとらえる点にあり、 図表7-1 はまさにそうした観点から の国際比較なのである。
  90. 164 Copyright 2023 地域創生をめざす地域共創拠点の全体像 •「地域創生のドライバー」をドライブする仕組み(機能の集積であり、場であり、チーム・ネットワークでもある) •構成する要素の連関・循環の仕組みこそが地域共創拠点そのもの •地域共創拠点が地域創生の象徴となり、ホットスポットとしてムーブメントを起こしていく起点 地域共創拠点 (地域創生のドライバー) 可視化

    地域創生 プロジェクト プロジェクト プロジェクト プロジェクト 問い 対話 他地域との 人的・知的交流 拠点 関与・参画・共創 コアチーム ネットワーク 地域の他拠点との連携 エリアとしての動き 駅前等の地域の顔としての象徴性 空きビルという社会課題としての象徴性 デジタル体験 開かれた場づくり 共創を促す体験設計 問いを深める対話企画 地域内のネットワーク コアチームの構築 目に入る・立ち寄れる さらされた立地における 存在感のある空間設計
  91. 165 Copyright 2023 存在が肯定され人が意欲をあたためる場・機会 意欲的に動き出す担い手がいる(社会参加)と解消される社会課題 存在不安になり社会的孤立になると発生する社会課題 不登校 少年犯罪 摂食障害 援助交際

    育児不安 孤育て 幼児虐待 うつ病休職 失業 自殺 フレイル 認知症 孤独死 ・・・ 空き家 防犯 防災 介護 買い物難民 貧困 フードロス 環境問題 ・・・ 原因 解消 担い手 創出 参考)大牟田で実証済みの「これまでの人生や日々の生 活を振り返りながら、続きの人生をわくわく考える場:わくわ く人生サロン」の効果 •地域福祉がリーチできなかった、20年間自宅に引きこもっていた方が参加 •介護保険サービスに合わなかった方の居心地のいい場となる •配偶者に先立たれた方たちによるピアが生まれる(グリーフケア) •看護師や防災士の資格を活かして地域のために活動したい人 •子どものための活動をしたい人 •大牟田市をアピールする商品開発をしたい人 ※エンパワーメント:環境的制約により発揮されていなかった、本人が本来持っている力を、社会 資源や条件整備によって発揮できる状態にすること。1970年代アメリカ公民権運動で重要性を 指摘され、人権運動や看護・介護さらにはビジネスの分野でも使われるようになっている。 ※木村ら (2020) 人の暮らしを中心に体験を考えるリビングラボの実践知、日本デザイン学会研究発表大会概要集. 地域をエンパワーメントする地域共創拠点のコンセプト ➢ 地域や住民がエンパワーメント※される状態をつくることで、おのずと動き出す住民・みずからの手で変えていける持続可能な地域が生まれる。その実態は「存 在が肯定され人が意欲をあたためる場・機会」によって、社会的孤立が解消され、社会参加が活性化(担い手創出)される状態である
  92. 166 Copyright 2023 エンパワーメントを理念とした地域共創拠点 図:シティ・チェンジ・テストの様子 鷲尾和彦, アルスエレクトロニカの挑戦: なぜオーストリアの地方都市で行われるアートフェスティバルに、世界中から人々が集まるのか, 学芸出版社, 2017.

    図:上空から見たリンツ 地域共創拠点の要件 (1)人の流れがあり、地域に対して「さらされている」立地にある (2)社会構造の中心にありながら、既存のあり方、社会システムから自由になれる (3)地域のキーマンが集い、所属組織・専門領域を超えたテーマの議論が行われる (4)地域の人たちに開かれ、問いを得て、動き出すサポートを得ることができる
  93. 167 Copyright 2023 フェスティバルの一環として「共創学会」を誘致 参考:アルスエレクトロニカフェスティバル 【1】 地域共創拠点 構築・運営 【2】 フェスティバル

    【3】 問いと対話の メディア 【4】 テクノロジー体 験・実証実験 地域共創拠点を含む一連の取り組み 地域をエンパワーメントする地域共創拠点(大牟田)の取り組みについて ➢ 大牟田市では、これまで自治体職員や市民、事業所、民間企業と協働し、Coデザビジョンである人々が主体的に共創できるまちのモデル構築に取り組んでき た ➢ 活動の理念を体感的に共有し、多くの市民が参画できる場として、地域をエンパワーメントする地域共創拠点※の構築を行っている ➢ 地域共創拠点ビルの運営と並行し、フェスティバル開催、有識者対話、テクノロジー体験提供に取り組むことで、地域の関係者が主体的に「我々が人間である ことを社会との関係の中で見つめなおす場」を持つ ※地域創生のキーコンセプトとなる「地域をエンパワーメントする地域共創拠点」については別ページに記載
  94. 168 Copyright 2023 問いと対話のメディア(湯リイカ) ⚫ さまざまな有識者との対話において、老いや疾病、社会、テクノロジーのあり方などについての問いを深めるとともに発信 ・老いはアップデート ・お年寄りは今ココを生きている ・介護されたいお年寄りはいない ・数値化された「わたし」の苦しさ

    ・one and onlyの自分と確率論的な自分 ・食べることのままならなさ ・対話が持つ力 ・他の人と考えることは楽しい ・自分の発言が否定されない安心感 ・生き心地よさ(自殺希少地域) ・ゆるやかなつながり、失敗の許容 ・選択肢がないことの苦しさ ・存在が肯定されると行動する勇気がわい てくる ・「交通」から「移動」へ ・行きたいところに行けることは「人間らしさ」 ・移動保障は生活保障 ・憲法13条を基盤とする社会保障 ・自立ではなく自律 ・自分なりの生き方は、リスク保障からは生 まれない ・隣にいることの価値 •村瀬孝生氏 •磯野真穂氏 •梶谷真司氏 •岡檀氏 •野村実氏 •菊池馨実氏
  95. 169 Copyright 2023 オーストリア リンツ市のアルスエレクトロニカ・フェスティバル 市民が主体的にまちづくり・テクノロジー活用に関われ、未来に向けた体験や対話が起きるフェスティバル 図:人とテクノロジーを問いなおす展示 鷲尾和彦, アルスエレクトロニカの挑戦: なぜオーストリ

    アの地方都市で行われるアートフェスティバルに、世界 中から人々が集まるのか, 学芸出版社, 2017. 図:子供も大人も楽しめるラボスペース 1970年代後半から80年代において、リンツ市最大の政治的課題は地域の「社会システム」の変革にあった。産 業の復興と雇用の確保を最優先課題としつつも、いかにして市民が置かれた生活環境を改善し、未来へとシフトで きるか。そのためには、鉄鋼に依存した社会そのものを見直すこと、経済的開発と、文化・社会面での街の再生を 切り分けることなく、一つの「社会システム」として地域社会全体の方向性を転換させることが必要とされた。 参考)まちを統合的に転換することを志向したリンツ市のアルスエレクトロニカ
  96. 170 Copyright 2023 地域構造分析/ 未来予測/有識者対話 存在が肯定される 機会 創造的衝動(うずうず) が現れる機会 社会活動/参加の機会

    (リテラシー、価値創出経験等) ビジョン形成 (経済政策・社会政策等) 社会実装/実践 (サービス/政策/コミュニティ) 主体性のあたままり 為すことによって学 ぶ チャレンジできる空気の醸成 未来に向けた問い バックキャスティングから見出すアクション 新たな違和感/問題意識 トップダウンでもボトムアップでもない共創のプロセス 地域のエンパワーメントを理念とする 地域共創拠点 地域主語の共同運営メンバー (地域・企業等が参画) 地域の生活者 企画者 ▪社会的孤立解消/社会参 加活性化のための運用資金 自治体の既存課題であり、自治体予 算の組み替え(介護予防、デジタルリテ ラシー、防災共助、社会教育などの人 材育成系事業や、移動・交通、中心市 街地活性化/立地適正化、地域コミュニ ティなどの場づくり系事業など) 企業・国・公的機関 ▪普遍的な価値を生み 出すための運用資金 企業の新たな事業開発や国の 政策モデル実証事業(企業の新 規事業開発部署のリサーチ、PoC や、各省庁・公的機関の研究・モ デル事業など) 自治体 地域のエンパワーメントを理念とする地域共創拠点:体制イメージ ➢地域や企業がそれぞれ地域にコミットして共同運営することで、それぞれのメンバーが地域に主語を持つ立ち位置で、 問いを持ち、ビジョンを語り、社会実装に取り組むことができる ➢運用資金は、共同運営メンバーや関係者で知恵を絞り、既存の自治体予算の組み替えや国や企業のモデル事業と の重ねあわせをするなどから獲得する
  97. 171 Copyright 2023 拠点呼称 主な狙い 概要 コワーキングスペース/ 地域交流施設 連携の機会 集い、連携する機会。価値共創が主題ではなく、ネット

    ワーキングやイベントなどがメイン イノベーションラボ (創業支援施設) 共創の促進 (価値を生みだす) イノベーション(価値創出)を主題とした場。価値創 出プロセスを支援するサービスなども提供。地域に設置さ れることで、地場産業や地域リソースとの協働を促す。 エンパワーメントする 地域共創拠点 共創土壌の耕転 (価値を生む人や地 域を耕す) 地域や住民をエンパワーメントする場。価値創出するモチ ベーションがある人だけでなく、地域のすべての人の可能 性をひらいていくことを目指す。地域の価値創出や産業 転換を目標に、変化やそれに対する価値創出が生まれ る土壌を豊かにする。 参考)カフェ・パブなど の公共の場 集う場 集う機会。連携や共創が主題ではなく、個別の集いがメ イン 「地域で共創する拠点」の類型 地域共創に取り組む拠点や活動は多数あるが、「エンパワーメントする地域共創拠点」の特徴は、人の存在が肯定さ れ、意欲があたためられ、社会に関わる活動に向けて動き出すまでを伴走するような存在である。
  98. 174 Copyright 2023 大牟田の地域課題への重層的アプローチ ⚫ 地域課題を構造的に捉えた上で、官民連携で政策転換を推進し、産業側の課題にも重層的にアプローチしている 既存産業 基幹産業の衰退(石炭産業) 人口減少 (特に生産年齢人口)

    少子高齢化 (10万人以上で有数の高齢化率) 自治体財政の悪化 (税収減・政策対応の財政的・ 人的な制約が強まる) 仕事がない (事務職、高度 技術職等) 人手不足 地縁 コミュニティの 担い手不足 地縁 コミュニティの 脆弱化 都市ストックの需給ギャップ (空き家・空き店舗) ミスマッチ <医療・介護・福祉> 制度の利用増・制度疲弊 (民生費増加) 公共交通網の縮小 (高齢者等の移動困難者) 地域外への 流出 (若い世代) 事業継承 できない 財政圧迫 人口減少(社会減) コレクティブインパクト、 SIB、民間人材活用 乗合、自家用有償 除却、リノベーション NPO、テーマコミュニティ 民間協働、テック活用、 介護予防強化 •地域の社会課題と同期した DX・インキュベーションに取り組む •地域の本質的な社会課題について、官民連携で取り組 む体制を構築し、政策転換を推進している ◯介護予防:「支援」から「力を引き出す」への転換 ◯住まい・住宅:民間賃貸だけでない地方版社会賃貸住宅の創出 ◯雇用・就労:メンバーシップ型からジョブ型への転換・産業構造転 換を見越したリカレント教育や生活保障システム ◦・・・
  99. 175 Copyright 2023 介護予防:企業・行政視点から本人視点(Being-well)への転換 介護予防は本人視点では意識することができない概念であることを整理し、本人視点に立ったBeing- well※(本人の力が発揮されている状態)に転換。そのうえで、関わる事業者・団体についても、従来の 医療・介護サービス事業者ではない新たな事業者・団体が担う方向で、企業や地域と協働 要介護状態にならないように 予防する 要介護状態

    介護予防 介護が必要な状態になったことがない人にとって、 それを予防するという意識を持つことができない Being-well※(本人の力が発揮されている状態) どのような状態でも、本人の存在が肯定され、 力が発揮されている状態を目指す ※Well-beingが「Well(良い状態)」を先に規定していることに対して、「Being(存在)」を肯定した上で、多 様な「Well(良い状態)」に開かれていることを目指す理念。造語。 高齢者等 • 医療・介護サービス事業者が担う • 制度の構造として、医療や介護が必要な状態 になったほうが収益が上がるため、予防に対す るインセンティブが働かない 要介護状態 高齢者等 一緒に力を引き出す(見出す) ような関わり方 • 医療・介護サービス事業者ではない事業者・団体が担う (新たなビジネス領域の可能性) • 誰もが、どのような状態になっても、社会参加ができるよう参加機会のユ ニバーサル化を図る
  100. 176 Copyright 2023 住まい:空き家マッチングから「はたらく」と繋ぐ仕組みへの転換 顕在化した空き家をマッチングする制度があるが、近隣トラブルや社会的孤立、自治会運営困難化の加速 につながるため、転換したアプローチが必要。潜在している空き家を地域住民と連携して探すとともに、可処 分所得の少ない若者や移住希望者も住宅確保が困難な人と捉え、「はたらくこと」や「地域とのつながり」も 含めてコーディネートする仕組みを創出 顕在化した空き家 (安価で借りることが

    できる) 住宅確保が困難な人 (ひとり親、高齢者など) 空き家マッチング 地域で増加する空き家を、住宅確保が 困難な人にマッチング 潜在している空き家 *地域住民と連携して探す (家主へのアプローチ) 住宅確保が困難な人 の範囲を拡張 (若者、移住者も含む) 日本版社会賃貸住宅※ 住まいを、生活や人との関係等を「つくる」場と捉え直し、 「はたらく」ことや移住・定住等の文脈に位置づける ※イギリスやオランダ等において「国から認可された家主が、家賃、入居者の所得、 住戸割当方法に関する協定を国と結び、供給・管理する賃貸住宅」。一般の賃貸 住宅よりも安価で借りることができる。日本においては公営住宅(全体の戸数の 3%程度)しかないのに対し、イギリスやオランダ等では社会賃貸住宅が2~3割 あり、ある程度の所得がある人も住むことができる。 はたらく リノベーション/管理 移住・定住 地域との つながり コーディネート 中間支援団体 ※住宅セーフティネット制度等
  101. 177 Copyright 2023 移動:公共交通政策から人を真ん中にした移動へ 個人 移動 (モビリティ) 目的 (目的地・機会) 徒歩(移動する力)

    自家用車 地域交通(コミュニティバス等) 公共交通(鉄道・バス・タクシー等) 私的 公的 ト レ ー ド オ フ 社会的包摂(地域共生社会) 地域経済活性化・地域活性化 免許返納 少子高齢化 つながり つながり 社会的孤立 フレイル 医療・介護政策 交通政策(狭義) コミュニティ政策 地域包括ケアシステム 産業政策 まちづくり政策 事業者 (医療介護・商業) 福祉輸送(移送) 財政負担増 減便・空白地 医療・介護政策 財政負担増 ※移動制約者は高齢者以外にもいる 移動主体 移動手段 モビリティミックス 経済的制約 •人口カバー率(大牟田市地域公共交通網形成計画より抜粋) 交通政策(狭義) 人を真ん中にした交通政策(広義)
  102. 178 Copyright 2023 情報:デバイド解消から人の可能性を引き出す情報社会への転換 コロナ禍の集いが難しい状況において、出合い、学びの機会が減り、フレイルリスクが高まるとともに、デジタルリテラシー の格差(デジタルデバイド)がそれを加速している。デジタルツールに関する知識提供だけでなく、意欲的にデジタル活 用できる人材や組織・地域に変わっていくために、住民・公民館/行政職員・企業社員向け講座(インフォナビゲーター 養成講座)を実施し、人々がデジタル活用の中で新たな学び、気づき、助け、出合いを得られる地域を目指す。 オンライン空間 公民館

    住民 既知の世界 (コミュニケーション) 未知の世界 =学び、気づき、助け、出会い デジタルデバイドの解消 未知の世界(情報)へナビゲート ・デジタルデバイドの解消 ・未知の世界へのナビゲート (学びへの転換) Wi-Fi オンライン空間への平等な 入り口(環境整備) ・既知の人とのやりとり ・既知の人との集い 公民館がオンライン空間と 生活のインターフェースになる 市民ボランティア 市民ボランティアの育成 デジタルデバイド(2) 未知の情報(世界)との接点 (オンラインを介する) サービス デジタルデバイド(1) 機器の保有 機器の使い方 デジタルデバイド(3) サービスの利用 インフォナビゲー ターの育成 人の可能性を引き出す インフォナビゲーター 機器の 使い方 機器の 保有 日々使う サービス利用 未知の情報 との接点 ※デジタル活用支援員推進事業等 人の可能性を引き出す情報社会
  103. 179 Copyright 2023 個別の活動領域ごとのビジョンとアクション 学び:管理的な学校教育から、安心して学びたくなる場への転換 (正解に向けた)知識や正解を得る学びの場から、生きることの多様性を体感し存在肯定される学びの場への転換 事例:市立宅峰中学における総合的学習(学びの場を規定している先生が安心して生きることの多様性を語る場をも つことで、生徒も安心して学びの場に参加できる状況を生みだした) 学校 ≒管理的(ねばならないの優先)

    上 下 関 係 ・ 画 一 性 教員 生徒 不登校 大牟田未来共創センター /NTTチーム フラットな関係・多様性 総合学習の時間 <実施時のポイント> ・「ねばならない」の解除 ・徹底した自己開示 ・できる限り管理的ではない授業運営 ・多様なメンバー ・「好き」を生かした授業企画 (例 アニメを活用した授業) ※不登校児等への個別的な支援の必要性は言うまでもないが、 学校がもつカルチャー・システムをフラットで多様性を尊ぶものへ転 換していかないと応急処置的にならざるを得ないと考えている 教員、生徒 双方に 過度なストレス 生徒 教員 不登校
  104. 181 Copyright 2023 広義のリビングラボ: 主体的な人たち・共創活動・問いが持続的に生まれる仕掛け 共創活動 総体的・連続的 に深める問い 主体的に 動き出せる土壌

    やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会 CoデザHP “Our Mission”
  105. 182 Copyright 2023 社会的インパクト創出に向けた企業の関わり A.事業開発・サービス開発活動(社会的インパクトを志向するすべての企業) B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動(公益的な企業、地域密着型企業など) 共創活動 総体的・連続的に 深める問い 主体的に

    動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる A.事業開発・サービス開発活動 B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会
  106. 183 Copyright 2023 社会的インパクト創出に向けた企業の関わり A.事業開発・サービス開発活動(社会的インパクトを志向するすべての企業) B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動(公益的な企業、地域密着型企業など) 共創活動 総体的・連続的に 深める問い 主体的に

    動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる A.事業開発・サービス開発活動 B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会
  107. 185 Copyright 2023 社会的インパクト創出に向けた企業の関わり A.事業開発・サービス開発活動(社会的インパクトを志向するすべての企業) B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動(公益的な企業、地域密着型企業など) 共創活動 総体的・連続的に 深める問い 主体的に

    動き出せる土壌 やってみる どうあるべきか のんびりする やってみる A.事業開発・サービス開発活動 B.地域経営プラットフォームとしての中間支援的活動 ※木村ら(2021)持続的な活動/持続的な変化に向けたリビングラボ概念の拡張,第68回 日本デザイン学会 春季研究発表大会
  108. 187 Copyright 2023 リビングラボに関するこれまでの活動 NTT研究所・NTT西日本はこれまで福岡県大牟田市や奈良県奈良市をフィールドとしたリビングラボによる社会課題 解決PJの実践を実施してきた。 大牟田・奈良での自治体連携・地域課題解決・企業サービス開発などの実績を踏まえ、新事業体設立を検討。並行 して、地域活性化プロジェクトの加速を狙いとした事業体検討と重なり、2021年7月、地域創生Coデザイン研究所 設立。 2018/02~12

    2019/08~2020/07 2017/05 大牟田共同実験1 (大牟田市・N西・EV研) リビングラボ構築・運営の検証 大牟田共同実験2 (大牟田市・センター・N西・EV研) 社会課題解決PJ実践 2019/04 大牟田市 関係者との対話 2021/07 新事業体 設立を検討 ▲4月 大牟田未来共創 センター設立 <これまでの主な活動> 地域創生 Coデザイン 研究所設立 奈良共同実験 (奈良市・TOMOSU・N西) 社会課題解決PJ実践 奈良市 関係者との対話 2016/10 デンマーク 共同研究 リビングラボ実践 ノウハウの言語化 リビングラボ研究 プロジェクト開始
  109. 188 Copyright 2023 大牟田未来共創センター(ポニポニ)の設立(2019) ⚫ 「認知症」や「高齢者」などの福祉に閉じた課題設定や取り組みでは、地域においてさまざまな領域で生み出される社会 課題や地域創生を視野に入れたアプローチが難しい状況であった ⚫ 認知症ケアで見出されたコンセプトを深め、セクターや領域における縦割りを横断し、既存の社会システムから“独立しな がら埋め込まれる主体”として官民協働で大牟田未来共創センターを設立した(2019年4月)

    大牟田未来共創センター 大牟田市 地域資源 地域・住民 縦割りの打破(調整)、政策展開支援 ビジョンの共有 共創 共創 地域資源の価値を再構築 地域・住民との協働 福 祉 教 育 産 業 地域内のアクター (市民団体、 地場企業など) 地域外のアクター (国内外企業、 研究機関等) ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 国 予 算 制 度 事 業 基礎 自治 体 予 算 制 度 事 業 地域 実 践 取 組 対 象 多世代・横断 政策的統合 大牟田未来共創センター 統合的 アプローチ 計画 統合的実践 支 援 支 援 モデル提案
  110. 194 Copyright 2023 大牟田市 従来の介護予防施策では リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 企業の意図 「早期検知」という機能検証

    から、「自らのことを知る新た な方法のデザイン」という意味 探索へと課題設定を変更 地域住民 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない (高齢者として)これまでの経験や興味を活か して地域に関わる機会がない、多様な形でどんな 人でもいれる居場所がない 地域の意図 企業がリビングラボへ支払う対 価(資金)を活用し、高齢 者が仲間を得て、自らのことを 振り返る(知る)過程で意 欲を育み、多様な参加に向 かう仕組みづくり検討 課題の再設定・ 統合的実践 企業が関わるリビングラボ 大牟田リビングラボ
  111. 195 Copyright 2023 リサーチ@リビングラボ 医療・福祉の政策的な地域拠点である地域包括支援センターの、現場での課題と政策的経緯を明らかにし、地域内 外の実践者との対話を重ねることで、「生存権の保障(憲法25条)から幸福追求権(憲法13条)の保障へ」(菊 池:2019) という新たな理念を見出した。 幸福追求権(13条)とパーソンセンタード 大牟田まちづくり国際センター準備室

    現実・問題 生存権(25条) 理想 幸福追求権(13条) 【問題解決型】 例)足が痛い→リハビリ 【幸福追求(自己実現)型】 例)お友達と買い物に行きたい 例)お友達を作る、 移動手段を確保する (動機を得た上で)リハビリをする 集積 地域生活課題 (他セクターと の協働) ナラティブ 関係性 相談支援 (ソーシャルワーク) 課題 菊地馨実(2019)社会保障再考 〈地域〉で支える
  112. 196 Copyright 2023 (チラシを貼る) 第4回において、 睡眠センサーと家電センサーで得た データを「自分の無意識を知るため の情報」として利用 ※参加者にとっても情報提供、セン サー利用に価値がある形にしている

    わくわく人生サロン 実施概要 •対象者:大牟田市在住の要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方 •募集期間:2019/11/28~2020/1/31・開催期間:2020/1/10~2020/3/13 •サロン申込者(面談参加者):35名/サロン参加者:32名(面談後の辞退:3名)/ センサー設置者:18名(センサー設置辞退:14名) コンセプト検証@リビングラボ
  113. 197 Copyright 2023 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 知る意味のデザイン (サービスコンセプトの転換) UI 生活者 知る意味の体験デザイン

    UX 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 地域の調剤薬局 睡眠センサー・睡眠レポート 生活者 新規事業における体験デザイン UX リビングラボ@事業モデル ⚫ 企業としては、これまで開発してきたアルゴリズムをサービスに活かすための土台となる、「(自らのことを) 知る意味のデザイン」の知見を獲得することができた ⚫ この知見をもとに、地域のかかりつけ薬局が地域住民と対話的な関係性を構築し、自らのことを知る体験 (UX)を提供するサービスモデルを提供
  114. 198 Copyright 2023 2つのアプローチの違い 「Petoco」プロジェクト 「わくわく人生サロン」プロジェクト リサーチ ユーザの声や行動が起点に ユーザの価値観などが重視された 現場の現象が起点に

    その原因となる社会の構造が重視された コンセプト検証 コンセプトそのものよりも、技術実装を含め た形で検証に取り組んだ 技術実装のクオリティの低さが影響 コンセプトそのものを、技術を部分化してリアルな体 験という形で検証した 技術実装のクオリティの影響を受けなかった 事業モデル 企業のビジネス、テクノロジーによって実現 されるモデルのみ検討した 従来型のモノ売りモデル 企業だけでなく、地域や行政のリソースを活用して どのように実現できるかを模索した 地域の調剤薬局と連携した対話サービスのモデル
  115. 199 Copyright 2023 総合ICT事業 グローバル・ソリューション事業 その他(不動産、エネルギー等) 地域通信事業 県内通信サービス 携帯電話 県間通信サービス

    国際通信サービス システム開発 システムインテグレーション ネットワークシステム クラウド データセンター 不動産 エネルギー NTTグループフォーメーション
  116. 200 Copyright 2023 う 西日本30府県に支店を設置 地域密着力・現場力 (営業・サポート・保守部隊を保有) 技術力 (ローカル5G・IOWN等) 住宅

    エンタメ 製薬 メディア インフラ 観光 防災 教育 民間企業 自治体 環境 ・・・ ・・・ NTT西日本グループの強み
  117. 202 Copyright 2023 ビジョン :人々が主体的に共創できる社会へ ミッション:生活者とその暮らしの目線に立ち、生活者やパートナーが 主体性を発揮できる対話的関係・環境を重視し、 ともに持続可能な社会づくりに向けた価値を探索し生み出しつづける 人々が 主体的に共創できる社会

    ②地域の人々とともに 社会課題を解決する事業創出 ①本質的なサービス・政策創出の基盤となる 新しい地域の仕組み(社会システム)の構築 地域の内部に入り込み、 中立的・統合的な立場でビジョン策定 地域経営(政策×ビジネス)のアプローチで 課題探索・解決を主体的に実施 真の暮らしの価値の理解 ビジネス価値追求 ねらい・ゴール 地域のビタミン 地域の体質改善 (=新しい社会システム探索) ③社会課題解決サービス・ 地域経営を変革するPF等の デジタルツールの構築 地域創生Coデザイン研究所 (Co-Designing Institute for Polyphonic Society) Coデザのミッション
  118. 203 Copyright 2023 ポリフォニー(Polyphony)の由来 • 本来、polyphony とは、複数の独立したメロディからなる多声音楽のこと。 • 「ドストエフスキーの詩学」において文芸学者バフチンは、作者が登場人物を意のままに操り、それを通して作者の思想 を表現するという既存のヨーロッパ的形式をもつモノローグ小説とは対照的に、ドストエフスキーの小説では登場人物が

    作者と対等の存在として設定され、それぞれのイデオロギーや階層といった社会的差異を前提としつつ、融合していない 自立した複数の声や意識が織りなす対話的関係によって、高度な統一を実現していく構造をもつことを指摘した。 • また、「中動態の世界 意志と責任の考古学」において哲学者國分は、本来の人間の意図や欲求とは本人と周囲の 関わりの中で対話的に形成(例:惚れる)されるものであり、社会的要請によって作られた近代の意思概念は、その 本来の対話的な因果関係を切断し、純粋な自発性があるとし、責任を問うための根拠にされていることを指摘している。 そして、医療・福祉の分野における意思決定支援のあり方に問題提起をしている。 ポリフォニック ソサエティ(Polyphonic Society) 社会を構成する一人ひとりが、ひとつに物語(シンフォニー)に回収されるこ となく、つながりの中で価値をもち、力を発揮していける(人々が主体的に 共創できる:ポリフォニー)社会
  119. 207 Copyright 2023 リビングラボに関するこれまでの活動 NTT研究所・NTT西日本はこれまで福岡県大牟田市や奈良県奈良市をフィールドとしたリビングラボによる社会課題 解決PJの実践を実施してきた。 大牟田・奈良での自治体連携・地域課題解決・企業サービス開発などの実績と、各支店の地域活性化プロジェクトの 取り組み加速を狙いとし、2021年7月、地域創生Coデザイン研究所設立。 2018/02~12 2019/08~2020/07

    2017/05 大牟田共同実験1 (大牟田市・N西・EV研) リビングラボ構築・運営の検証 大牟田共同実験2 (大牟田市・センター・N西・EV研) 社会課題解決PJ実践 2019/04 大牟田市 関係者との対話 2021/07 新事業体 設立を検討 ▲4月 大牟田未来共創 センター設立 <これまでの主な活動> 地域創生 Coデザイン 研究所設立 奈良共同実験 (奈良市・TOMOSU・N西) 社会課題解決PJ実践 奈良市 関係者との対話 2016/10 デンマーク 共同研究 リビングラボ実践 ノウハウの言語化 リビングラボ研究 プロジェクト開始
  120. 208 Copyright 2023 地域創生Coデザイン研究所の概要 会社名:株式会社地域創生Coデザイン研究所 (Co-Designing Institute for Polyphonic Society)

    設立日:2021年7月1日 所在地:〒 534-0024 大阪府大阪市都島区東野田町4-15-82 NTT WEST i-CAMPUS 株主 :西日本電信電話株式会社(100%) 代表者:代表取締役所長 北山 泰三 事業概要: ・地域課題解決コンサルティング、 自治体・国に対する政策策定支援 ・地域データを活用したデジタルデータビジネス ・上記に付帯又は関連する一切の事業 等 CoデザHP
  121. 209 Copyright 2023 ビジョン :人々が主体的に共創できる社会へ ミッション:生活者とその暮らしの目線に立ち、生活者やパートナーが 主体性を発揮できる対話的関係・環境を重視し、 ともに持続可能な社会づくりに向けた価値を探索し生み出しつづける 人々が 主体的に共創できる社会

    ②地域の人々とともに 社会課題を解決する事業創出 ①本質的なサービス・政策創出の基盤となる 新しい地域の仕組み(社会システム)の構築 地域の内部に入り込み、 中立的・統合的な立場でビジョン策定 地域経営(政策×ビジネス)のアプローチで 課題探索・解決を主体的に実施 真の暮らしの価値の理解 ビジネス価値追求 ねらい・ゴール 地域のビタミン 地域の体質改善 (=新しい社会システム探索) ③社会課題解決サービス・ 地域経営を変革するPF等の デジタルツールの構築 地域創生Coデザイン研究所のビジョン・ミッション Coデザのミッション
  122. 210 Copyright 2023 地域創生Coデザイン研究所の事業内容 地域社会や住民のウェルビーイング向上を実現する地域創生 NTT西日本グループの地域創生の無形資産 (知見やノウハウ等) 課題探索 シナリオ構想 実行計画策定

    シナリオ検証 社会実装 ②多様なサービス・ データ活用による 構想の具現化追求 ①地域への深い入り 込みによる真の地域 課題・ 解決プロセスの探索 ③活動地域・事業領 域の連鎖による広い 社会への浸透・波及 地域創生に志を持ち、多様な経験を有する多彩なメンバーの集結 ・・・ ・・・ “持続可能な共創循環”の創出・推進 地域創生Coデザイン研究所 サービスメニュー • リビングラボにおける社会実装伴走 (大牟田リビングラボなど) • 日本リビングラボの視察サポート • リサーチ・新規事業サポート • マインドセット研修(人材育成) • 地域DXヒアリングサポート • デジタルデータビジネスサポート
  123. 211 Copyright 2023 【宮崎県】 森林・林業DXによる自然資 本循環型の地域活性化 【福岡県大牟田市】 超高齢社会の人の暮らしを中心と した地域創生モデルの実現 211

    【愛媛県西条市】 自助・共助を育む 協働と共創のまちづくり 【大分県】 地域共同雇用による 障がい者の就労モデルの確立 【福井県坂井市】 地域資源をいかした観光まちづくり 全30府県で展開する地域創生プロジェクト(2019年9月~)
  124. 212 Copyright 2023 大牟田市・大牟田未来共創センター・Coデザ 3者連携協定 ▪題目:地域創生に関する連携協定書 ▪連携事項 ・イノベーション創出に関すること ・地域におけるDX及びデジタル技術活用に関すること ・地域共生社会の実現に関すること

    ▪調印式: 2023年2月27日(月) これまで共同実験等を通じて、福岡県大牟田市にて大牟田市保健福祉部・大牟田未来共創センターと協働し、人の暮らし を軸とした地方都市の重層的な社会課題解決の実践を行ってきた。地域におけるデジタル課題やイノベーション創出、地域共 生社会実現に向けた関心が高まる中、人の暮らしを中心とした地域創生を支える新しいスマートシティモデルを実現するため に、大牟田市・大牟田未来共創センターとの3者で連携協定を締結した。
  125. 213 Copyright 2023 ウェルビーイングな政策形成に向けたプロセス 0. フラットな対話・多様な声を知る 実行可能性に縛られないフラットな価値の対話が できる関係性を構築(ローカルダイアログ等) 1. 情報収集・実働チーム組成

    ファクト分析、現場関係者・自治体原課のキーマン との対話から実働チーム組成(VoC等) 2. 地域コミュニティ活動プロトタイピング 市民や自治体職員が価値を実感できる、具体的 な課題解決活動のプロトタイピング 3. 政策形成支援 実感した価値を統合的にまちづくりに生かすための 政策立案 行 政 教 育 交 通 観 光 防 災 健 康 自治体 ・・・ ③政策形成支援 ・・・ ウェルビーイング向上 ②地域コミュニティ活動プロトタイピング ※LWCI等の指標を活用 ※一部、ICTを活用して実現 ①情報収集・実働チーム組成 ⚫ 住民のウェルビーイングな暮らしやサスティナブルな地域を実現するために、縦割りの政策やサービスによる問題解決だ けでなく、統合的なアプローチで、プロトタイピングや政策形成に取り組む 住民
  126. 214 Copyright 2023 各地域でのウェルビーイングな政策形成に向けた取り組み概要 大牟田市 (介護予防・健康増進) 大牟田市 (市営住宅) 岡崎市 (地域共生社会)

    A市 (介護予防~総合計画) ⓪フラットな対話 協定を組成し活動開始 自治体職員からの相談 自治体職員からの相談 個別相談 ①情報収集・実働 チーム組成 個別キーマンヒアリング ・調査事業 個別キーマンヒアリング ・ワークショップ 個別キーマンヒアリング ・ワークショップ 個別キーマンヒアリング ・ワークショップ ②地域コミュニティ 活動プロトタイピング わくわく人生サロン 市住モデルルーム ごちゃまぜ地域拠点 A市版わくわく人生サロン ③政策形成支援 健康福祉総合計画策定・推進 (国交省事業受託) ※今後検討 ※今後検討 本日事例紹介
  127. 215 Copyright 2023 探索チームの他地域展開状況 候補 地域 PJの 主体 協働概要・テーマ・今後の展望等 愛知県

    岡崎市 人口約38.5万人 支店+ 探索T ⚫ 探索チームがふくし相談課・長寿課による中央地域福祉センターの地域共創拠点化に向けたトライアルに伴走(受託案件)。 ⚫ 地域住民、地域団体、自治体と連携しながら、福祉機能とビジネス機能を混ぜたごちゃまぜの地域拠点活動を企画・運営する予定 ⚫ 都市OS提案につながるソリューションの検証も織り交ぜた地域拠点活動とすることで、都市OS設計の示唆を得て、東海支店から総合政策部企画課への 都市OS提案につなげる 奈良県 天理市 人口約6.25万人 支店+ 探索T ⚫ 奈良PJのヘルスケア事業は現状睡眠センサーの配布とデータ取得がひとつのKPIとなってしまっているため、大事にしたい地域の理念や住民のWell-beingに まで踏み込めていないという課題をきっかけに、昨年度、「わくわく人生サロン」体験会を実施(ただし、担当職員退職に伴い停滞) ⚫ 奈良支店・地域まちづくりチームから総合政策策定業務委託に関する相談を受け、デジ田のLWCI専門家の南雲氏の提供するウェルビーイングに基づく 政策デザイン人材研修と連携した総合政策策定について議論。6月公募予定。 島根県 美郷町 人口約4,500人 支店+ 探索T ⚫ 島根PJの支店メンバー(蔵重さん)との意見交換後、個別キーマンヒアリングを提案したが、並行して立ち上がった「みんなと、みさとと。」オープンディスカッ ションのため、ヒアリング実施が延期に。 ⚫ 地域まちづくりチームからデジ田TypeX採択後の協議会組成、住民連携に課題があるとの相談を受け、マイナンバーカード普及推進に閉じない、地域の DX化を目的とした協議会組成、住民体験設計、住民コミュニケーションを連動した形で実施する方針について議論。島根支店、協議会メンバーとの対 話を踏まえて、連携開始予定。 鳥取県 鳥取市 人口約18.6万人 支店+ 探索T ⚫ 探索チーム知見展開として政策立案に向けたメニュー検討に着手し、熊本チーム、DDBチーム、ローカルダイアログチームとの意見交換を開始。 ⚫ その中で、鳥取市(農政企画課、政策企画課、地域振興課)へのローカルダイアログお試し体験の後に続く提案として、政策立案メニューを鳥取市提 案に繋げられないか、鳥取支店とCoデザで検討中。まずは、鳥取市の課題ヒアリングと探索チームの顔合わせを兼ねて、6末前後で打合せ予定。 奈良県 天川村 人口約1,300人 探索T ⚫ 医療介護を起点としながら統合的な地域づくりを担う天川村の一般社団法人てとわとの繋がりをきっかけとして、2024年度から施行される第9期介護保 険事業計画の策定支援を実施予定。奈良県南和エリア(3町8村)の連携を見据えた計画策定は全国的にも先駆的な取組であるため、次年度 の厚労省の老健事業(国のモデル事業:5-10M)の予算獲得を目指す ⚫ 自治体向けコンサルティング事業の拡充をねらいとして、介護保険事業計画策定ノウハウを蓄積し、次年度以降の他地域展開メニューとする 山口県 人口約137.8万人 支店+ 探索T ⚫ 山口支店、リンクスパークが実施する、やまぐちDX推進拠点 Y-BASE」整備・運営事業(約3億円@令和5年度)に関連し、今年度より着手するやまぐ ちリビングラボ推進事業や昨年度から開始したやまぐちデザインシンキングカレッジ開催事業について相談。 ⚫ 地場の中小企業の巻き込みやリビングラボ活動の立ち上げが課題。それぞれのイベント登壇・活動支援について相談中。 神奈川県 横浜市 人口約372.5万人 探索T ⚫ 横浜市政策局、よこはま共創コンソーシアム等よりイベント登壇の依頼、横浜市のリビングラボ組成についての相談あり。 ⚫ 6/4のセッションを企画し、LWCI専門家の南雲氏、東大・三重大リビングラボ実践者の近藤氏をコーディネートして登壇。 ⚫ 横浜市立大によるJSTプログラム産学官共創によるメタバースを活用した若者のこころの支援を推進(10年,32億円)において、当事者巻き込み、社会実 装を見据えた、横浜市、よこはま共創コンソーシアム、地域の子ども若者支援団体と連携したよこはま子ども若者リビングラボ(仮)の組成について検討中。
  128. 218 Copyright 2023 ▪多様性受容▪ 課題解決シナリオを一方的に押しつけるのではなく、地域の多様な 意見・声に耳を傾けながら、地域活性化をともに実現する・作り上 げる姿勢 ▪可能性探求▪ 視認できる部分のみの地域活性化ではなく、当初は認識されな かった地域の潜在力や可能性を柔軟に見出し、育んでいく姿勢

    ▪共創(Co)▪ 研究所が志向する地域民民・公民共創を表す「Coデザイン」 「Co」が一目で認識できる形態 ▪ティール色▪ 地域を構成する一人一人が自律的に動き、全体性の調 和を保ちながら自律的に進化する社会づくりをめざす 組織名:Co-Designing Institute for Polyphonic Society(CoDIPS)やロゴに込めた想い ▪Polyphonic▪ 社会を構成する一人ひとりが、ひとつに溶け合うことなく、それぞれ れっきとした価値をもち、各自の独自性を保っている状態:ポリフォ ニック・ソサエティをめざす
  129. 219 Copyright 2023 Polyphony(ポリフォニー)の意味 • 本来、polyphony とは、複数の独立したメロディからなる多声音楽のこと。 • 「ドストエフスキーの詩学」において文芸学者バフチンは、作者が登場人物を意のままに操り、それを通して作者 の思想を表現するという既存のヨーロッパ的形式をもつモノローグ小説とは対照的に、ドストエフスキーの小説で

    は登場人物が作者と対等の存在として設定され、それぞれのイデオロギーや階層といった社会的差異を前提とし つつ、融合していない自立した複数の声や意識が織りなす対話的関係によって、高度な統一を実現していく構 造をもつことを指摘した。 • また、「中動態の世界 意志と責任の考古学」において哲学者國分は、本来の人間の意図や欲求とは本人と周 囲の関わりの中で対話的に形成(例:惚れる)されるものであり、社会的要請によって作られた近代の意思 概念は、その本来の対話的な因果関係を切断し、純粋な自発性があるとし、責任を問うための根拠にされてい ることを指摘している。そして、医療・福祉の分野における意思決定支援のあり方に問題提起をしている。
  130. 220 Copyright 2023 ホモフォニーとポリフォニーの違い ◆ホモフォニー:メロディー(主旋) + 伴奏 • 一神教的、コントロールされた調和、 西洋的、ルール・法に基づく契約社会、役割分担・序列・優劣・分離

    ◆ポリフォニー:メロディー + 異なるメロディー • 多神教的・八百万の神、バランス感覚・感性による自然的調和、 東洋的、自然崇拝・互助(お互い様)の精神に基づく調和社会、融合・統合 (参考)モノフォニー:一つのメロディー ヘテロフォニー:モノフォニーの派生。 一つのメロディーをリズム・テンポをずらしたもの 参考)https://atelier-eren.com/mono-poly-homophony/
  131. 222 Copyright 2023 デンマーク工科大 共同研究の概要 ◆研究目的 地域との共創によるサービスデザインで世界最先端をいくデンマークの実践ノウハウを抽出し,日本 企業の実践者でも容易に参照可能な形式(冊子など)にまとめる. ◆期間 2017年8月~2018年2月

    ◆共同研究相手 安岡美佳 准教授(IT University of Copenhagen) ◆創出する成果のイメージ 1. 地域との共創によるサービスデザインの実践するためのノウハウを収録した冊子 2. 成果を論文化 北欧における地域共創型サービスデザインの 実践ノウハウの言語化に関する研究 言語化された 実践ノウハウ 北欧・日本の実践家 実践ノウハウ の抽出 分類・整理 ・取捨選択 日本の実践家が 参照できる冊子
  132. 223 Copyright 2023 アプローチ 北欧(先進地域)と日本において,リビングラボ実践者が参加するWSを行い,リビングラボ実践ノウハウを 抽出した.そして,抽出したノウハウを言語化し,ノウハウ集の形式にまとめて,実践者の検証を通じて洗練 化した. WSの 設計 北欧WS

    の実施 北欧WS 結果分析 WSの 再設計 日本WS の実施 総合分析 および ノウハウ集 作成 MEISTERの 知見を活用 北欧の研究者 /実践者 日本人向け WSの再設計 日本の研究者 /実践者 ノウハウの分類・集 約・記述 検証・洗 練化
  133. 224 Copyright 2023 ポイント1:実践者から幅広いノウハウを抽出 ノウハウは論文や書籍に掲載されることはほぼない.そこで,EUP成果「MEISTER」の知見を活用した「ノウハウ抽出 WS」を設計・実施し,リビングラボ実践者が暗黙的に持つノウハウを幅広く抽出した. STEP1 プレゼンテーション 事例と成功/失敗要因の 共有

    STEP2 ディスカッション 参加者間での対話を通じた ノウハウの引き出し合い STEP3 リフレクション 思考整理とワークシート 作成 STEP4 シェア リフレクション結果の 全体共有 写真 写真 ワーク シート 写真 ノウハウ抽出WS 1 プ レゼン M 314 大野 変えたいも のは何か?, 変えら れるも のは何か?, 変えら れないも のは何か?を ちゃんと 見極めて議論する. 変えたいも の, 変えら れるも の, 変えら れないも の 2 プ レゼン M 314 大野 変えら れるも のは何か?を 見つけると きに研究者だけで議論せずに, たく さ んの職種の人, 専門家が集まっ て, 変 えら れるも のは何かを 多様な視点から 発見するこ と , 増やし ていく こ と が大事. 参加者の多様性 3 プ レゼン M 314 大野 変えら れるも のを 増やすと きは, 3 つの次元を 考える. 社会次元( 社会全体と し ての課題) →生活次元( 人間の生 活の次元) →生活要素次元( 製品の部品と か人の心理と か) . 社会, 生活, 生活要素の3 次元 4 プ レゼン M 314 大野 各次元を 考えら れるステーク ホルダと コ ラ ボレーショ ンし ていく . 例) 社会次元→消防庁, 生活次元→Safe-Kids Japan(NPO), 生活要素次元→デザイ ナ 参加者の多様性 5 プ レゼン M 314 大野 実際にプ ロト タ イ プ を つく っ てみて, それを 使っ て見ても ら う と いろいろなこ と がわかる. みんなト マト の汁が飛び散 ると 思っ て手を 離し てし まう と か, 大きいのが切り にく いと 思っ てし まう と か. そう いう こ と も ちゃんと デザイ ナに戻し て改良品を 作っ ても ら う . プ ロト タ イ ピング 6 プ レゼン M 314 大野 多次元相互型であるこ と が重要. つまり , 社会問題の全体像を 把握できる人, 生活者と かその実態を 理解できる 人, 生活要素を 変えら れる人, を きちんと 整理し て, こ の3 者を 巻き込むこ と が重要 参加者の多様性 7 プ レゼン M 314 藤本 同じ ユーザコ ミ ュ ニティ と 長く 付き合う こ と が重要. タ ーゲッ ト ユーザがぶれて, 誰のイ ンサイ ト であるかが不明瞭に なる. ユーザコ ミ ュ ニティ 8 プ レゼン M 314 藤本 お金を 出すのは誰か?オーナーシッ プ は誰が持つのか?最初から こ れを はっ きり さ せておく こ と が重要. オーナーシッ プ 9 プ レゼン M 314 藤本 ゴールはなんでも あり にすると 何にも なら ない. プ ロダク ツ, ツール, スペース, メ ディ アなど など なんでも あり にし た のでだめだっ た. まずはサービスの青写真( ビジョ ン) を 描いてそこ から 各領域に落と し ていく こ と が重要. ビジョ ンづく り 10 プ レゼン M 314 藤本 いろいろな領域の企業を 集めると , それぞれ自分のフ ィ ールド に持ち込みたく なるので, なかなか折り 合いがつか ない. 企業数を 限定する 11 プ レゼン M 314 藤本 リ モート はなかなか機能し ない. 結局直接顔を 合わせてミ ーティ ングを し たら プ ロジェ ク ト が前に進んだ? 直接顔を 合わせて対話 12 プ レゼン M 314 藤本 カ スタ マージャ ーニーマッ プ が重要だっ た 可視化( 構造化と 共通認識) 13 プ レゼン M 314 藤本 参加企業それぞれの目的・ ゴールを 明確にするこ と . 無理やり オープ ンイ ノ ベーショ ンにすると , 噛み合わなく な る. 各参加者の目的の明確化 14 プ レゼン M 314 藤本 異業種参加より も , 産官学民の参加の方が重要 産学官( 異なるセク タ ) の連携 15 プ レゼン M 314 藤本 ユーザより も ユーザコ ミ ュ ニティ . ユーザ単位だと 実験対象者と かイ ンタ ビュ ー対象者と いう 位置づけになり がち. コ ミ ュ ニティ 単位で参加し ても ら う と , そも そも コ ミ ュ ニティ メ ンバの方が当事者意識を 持っ ているので, そこ が活用で きる. ユーザコ ミ ュ ニティ , 当事者意識 16 プ レゼン M 314 藤本 参加するユーザや市民のなじ みのあると こ ろで実施できる方がいい. その方が当事者意識を も っ て参加できるか ら . 生活から かけ離れた場所でやると ど う し ても お客様気分になっ てし まう . なじ みの場所 17 プ レゼン M 314 藤本 シンプ ルな構造にする. 産官学民のコ ラ ボはいいが, 企業は増やし すぎない. 企業数を 限定する, 産学官の連携 18 プ レゼン M 314 藤本 お金を 出す人は最初から はっ きり さ せておく . オーナーシッ プ 19 プ レゼン M 314 藤本 プ ロダク ト より も サービスの方がプ ロト タ イ プ が軽く 作れるから サービスの方が相性がよい プ ロダク ト より も サービス 20 プ レゼン M 314 藤本 デザイ ンスプ リ ント . だら だら と ずっ と アイ デアを 考えているのではなく , アイ デアだし のワーク ショ ッ プ は短期集中で やる. ただそれで終わり ではなく て, そこ から 具体的なプ ロジェ ク ト ( 実現に向けた) に移行し ていく . 短期集中, 繰り 返し 21 プ レゼン M 314 藤本 ユーザコ ミ ュ ニティ と 一緒にやる. 同じ 地域で生活し ているこ と に加え, すでに関係性ができているユーザコ ミ ュ ニ ティ . 問題意識と か当事者意識が統一さ れており , かつ, 高まっ ているので. ユーザコ ミ ュ ニティ 22 プ レゼン M 314 TX 子育て中のママは「 生活のプ ロ」 である 役割 23 プ レゼン M 314 TX 子づれのママがく ると いう こ と も あり , できるだけやわら かく 楽し い場になるこ と を 心掛けている. 楽し い場, 来たく なる場 24 プ レゼン M 314 TX 保育士さ んに来ても ら っ たり , 手遊び歌を やる時間を 設けたり . 楽し い場, 来たく なる場 25 プ レゼン M 314 TX ママたちにメ リ ッ ト を 感じ て頂けるイ ベント ( スト レッ チなど ) を 入れている 参加者のメ リ ッ ト 26 プ レゼン M 314 TX 月4 回, 5 月から 継続的にできている. その要因は市民の方に参加するメ リ ッ ト を 提供し ている. 情報提供や保育 士など . 会場も 同じ と こ ろを 借り てやっ ている. 参加者のメ リ ッ ト 27 プ レゼン M 314 TX 情報/コ ンテンツ→スト レッ チ, 絵本紹介, アウト ド ア入門, 海外旅行入門, 手遊び入門, 写真撮影講座 参加者のメ リ ッ ト 29 プ レゼン M 314 TX 参加者の声: 社会と のつながり になる 社会への貢献 ノウハウに関する要素 計526種の 具体事例 計30種の ノウハウサンプル 抽出 分 類 ・ 集 約 KJ法による ノウハウ マイニング
  134. 225 Copyright 2023 (参考)WSの開催概要と参加者 北欧・日本WSともに,多様な組織から多くのリビングラボ実践者/研究者にご参加頂いた. ※NTT-Gからの参加者:NTT西,TX(西はオブザーバ参加) 北欧WS 日本WS 日程・場所 2017/12/5(デンマーク)

    2018/1/24(東京) 参加者数 16名 35名 参加組織 【民間企業】 ・リビングラボのコンサルティング(Public Intelligence,Bespoke) ・参加型まちづくりのコンサルティング (Vigor) 【大学・研究機関】 ・デンマーク工科大,Roskilde大 【民間企業】 ・NTT事業会社(西,TX) ・通信系(富士通研,KDDI研) ・デザインコンサル(Concent) ・電鉄/街づくり(東急電鉄) ・メーカ(リコー) 【大学・研究機関】 ・産総研,東大,愛知淑徳大 【行政・NPO】 ・横浜市 ・横浜や鎌倉のNPO団体
  135. 228 Copyright 2023 対話を促進するノウハウサンプル 30のノウハウサンプルは,エッセンスをPattern Language(PL)[Alexander,77]の方法論を参考にした以下の4つの特徴を 備えることで,対話しやすい形式とした. 特徴① 印象的なネーミングとイラ スト

    特徴② 形式的で簡潔な記述 (いつ→コツ→結果) 特徴③ 具体的な事例やエピソード 特徴④ 逆引きマトリクス 実現したいこと(新しい アイデアを出したいな ど)に対して,参照す べきノウハウを提示 PL: 過去の成功事例の経験則を言語化したもので,建築,福祉など多様な分野で活用されている.
  136. 229 Copyright 2023 (参考)収録しているノウハウ(30種) 現場の課題探索から始める 対話や議論を促進する仕掛け 入れる キャラ立ちしたチームを つくる 1.

    問いから始める 2. 想定にこだわり過ぎない 3. 個人的ものがたりの共有 4. 自分たちの再発見 参加者が相互に学習しながら アイデアをつくる 5. カタチにする,刺激する, 反応をみる 6. 現場に新しい視点を投げかける 7. 変えられるもの探し 8. 多数決に頼らない アイデアを社会に出す 9. テストと失敗の活用 10. 小さく濃く始める 11. 議論のための可視化 12. 参加のハードルを下げる デザインの場をデザインする 13. 自分たちの場所 14. 場を明るくする存在 15. WSで満足するな 1. ユーザとの共創 2. プロセスマネジメント 3. チームビルディング 達成感や貢献意識を生み出す 16. 小さな達成の積み重ね 17. 参加者へのフィードバック 18. たまに振り返る 参加者の役割をデザインする 19. 参加者の関わり方をあえて分ける 20. 役割の変化を柔軟に許容する 21. 弱さの情報公開 22. 多様なスペシャル 23. コアを絞る 強力な仲間を味方につける 24. 変人・ボス猿をつかまえる 25. コミュニティとの連携 26. 想いのある人と始める チームで目指すものをつくる 27. CSV: Creating Shared “Vision” 28. 走りぬくためのゴール ユーザとの関係性づくり 29. 参加者に響く言葉・メリット 30. 現場からの信頼 ※赤字で示しているものは,リビングラボ独自のノウハウ
  137. 230 Copyright 2023 ノウハウサンプルの特徴の検証 • 私が暗黙的に考えていることや,普段注意している ことが言葉になっていて,大変いい冊子だと思った. • 構成もわかりやすく,イラストもどれも素敵で印象的 に感じた.

    リビングラボ実践者A リビングラボ実践者B • こんな考え方もあるんだ!という新たな発見が得られ た. リビングラボ実践者C • ここに書いてあるノウハウはどれも強く共感できる.書 いてあることがトリガーになって,過去の事例やノウハ ウを思い出した. • この冊子を使って,他の人たちとノウハウの対話会 や討論会をやったら学びが多いだろう. リビングラボ初心者a • 幅広いノウハウが書いてあって勉強になる • 実践経験が少ないため,ノウハウをどう実行すればい いかイメージしづらい.取るべきアクションが具体的 に書いてあると嬉しい. 試用・ヒアリングによる検証を通じて以下のことがわかった. • リビングラボ実践において重要なノウハウを収録していること • ノウハウ集として内容が記憶・理解しやすいこと • 初心者がアクションを起こすためには,より具体的な情報も必要なこと • 実践者から過去の経験やノウハウを引き出すためにも有効に利用可能なこと