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20240626_DICOMO2024R_Dを社会課題解決につなげる共創PF.pdf

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Kimura Atsunobu

September 10, 2025
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  1. 2 Copyright 2024 木村 篤信 (Kimura Atsunobu) Profile 地域創生Coデザイン研究所(NTTグループ) ポリフォニックパートナー

    大牟田未来共創センター パーソンセンタードリサーチャー 日本リビングラボネットワーク 代表理事 日本デザイン学会 情報デザイン研究部会 幹事 東京理科大学 客員准教授 京都大学デザインイノベーションコンソーシアム フェロー ソーシャルビジネスネットワーク フェロー 横浜市PTA連絡協議会 理事 社会課題解決/企業ビジネス開発の実践 リビングラボ/社会システムデザイン方法論の研究 ソーシャルデザイン/サービスデザインの教育 ・一人ひとりの存在が肯定され、社 会的な理由で孤立することなく、多 様な選択肢の中でそれぞれの力が 発揮され、わくわくする持続的な社 会・都市の実現を目指し,地域経 営目線で社会課題解決に取り組 む地域団体(大牟田未来共創セ ンター@大牟田市①・TOMOSU @奈良市②)設立&地域共創 拠点(うずうずマイン,BONCHI) 構築. ・地域団体がリーダーシップを担う 形で,産官学民のPJを実施 ・サービス開発③(発達特性のあ る人の視覚認知能力をVRで分析 するサービスなど) ・行政計画策定④(人が真ん中の まちづくりを推進する大牟田市健康 総合福祉計画など) ・コミュニティづくり(リロケーションダ メージを受ける市営住宅在住高齢 者の引っ越し伴走支援など)等 セクターを超えた共創を促進する方法論リビングラボ,理念的 に社会システムを転換する社会システムデザイン方法論を軸に 実践&研究し,学術論文(査読付き7件,査読付き国際会 議11件,受賞3件),メディア取材(書籍2件⑤⑥,新聞 ⑦⑧・Web多数),講演・アドバイザー委嘱多数. セクターを超えた共創(リビングラボ)/社会システムの転換を リードできる人材の育成のため,学生,企業,行政向け教育 プログラム開発⑨,教科書作成⑩を多数実施(ソーシャル デザイン講義,地域連携デザイン演習,リビングラボ運営者 /社会システムデザイナー育成プログラム,ウェルビーイング政 策デザイン研修,新規事業リフレーミングプログラム,美学思 考ビジョンメイクプログラム等).共に学び合う実践者コミュニ ティ(一社)日本リビングラボネットワークを設立・運営⑪. ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⑩ 佐渡自然共生ラ ボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉 LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまち づくりスタジオ ふじみ野 LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy ⑪
  2. 3 Copyright 2024 個別の地域活動や企業サービス、 領域ごとの政策による対応で バケツの穴(問題)を事後的に塞ぐ 新しい社会構造(システム)への 転換を志向することで 穴(問題)が生まれづらい状態をつくる +

    個別の穴(問題) を防ぐ 構造(システム)の転換を志向 課題意識:ソーシャルインパクト 2022/3/14 第4回全国リビングラボ ネットワーク会議 趣旨説明資料 e.g.本籍校に復帰できることを目標にする適応指導教室 e.g.学校への適応ではなく学ぶことを真ん中にした教育 (学習計画を子どもたち自身が作るイエナプラン教育)
  3. 4 Copyright 2024 ビジョン :人々が主体的に共創できる社会へ ミッション:生活者とその暮らしの目線に立ち、生活者やパートナーが 主体性を発揮できる対話的関係・環境を重視し、 ともに持続可能な社会づくりに向けた価値を探索し生み出しつづける 人々が 主体的に共創できる社会

    ②地域の人々とともに 社会課題を解決する事業創出 ①本質的なサービス・政策創出の基盤となる 新しい地域の仕組み(社会システム)の構築 [教育,就労,住まい,医療・介護,移動,産業・・・] 地域の内部に入り込み、 中立的・統合的な立場でビジョン策定 地域経営(政策×ビジネス)のアプローチで 課題探索・解決を主体的に実施 真の暮らしの価値の理解 ビジネス価値追求 ビジョン 地域のビタミン 地域の体質改善 (=新しい社会システム探索) ③社会課題解決サービス・ 地域経営を変革するPF等の デジタルツールの構築 地域創生Coデザイン研究所のビジョン・ミッション Coデザのミッション
  4. Copyright 2024 【宮崎県】 森林・林業DXによる自然資 本循環型の地域活性化 【福岡県大牟田市】 超高齢社会の人の暮らしを中心と した地域創生モデルの実現 5 【愛媛県西条市】

    自助・共助を育む 協働と共創のまちづくり 【大分県】 地域共同雇用による 障がい者の就労モデルの確立 【福井県坂井市】 地域資源をいかした観光まちづくり 各地で展開する地域創生プロジェクト 【奈良県生駒市】 市民力を高めるスマートシティの実現 【愛知県岡崎市】 ごちゃまぜ地域拠点を軸にした 市民の主体的な地域づくり 【東京都八丈町】 島しょ地域の価値循環モデル創出
  5. Copyright 2024 社会背景:新しい価値観の台頭 サスティナビリティ(地球規模の価値)や ウェルビーイング(人間一人ひとりの価値)などの 新しい価値観の台頭 Sustainable Development Goals 2030

    (SDGs) wedding cake from Azote Images for Stockholm Resilience Centre, 2016. https://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2016-06- 14-the-sdgs-wedding-cake.html
  6. Copyright 2024 社会背景:地方自治体の変化 地方自治体の運営は限界を迎える。持続可能な形で住民サービスを提供し続けるために、ICT活用による「スマート自治 体への転換」と、公共私(自治体・コミュニティ・民間企業等)の連携による自治体の「プラットフォーム・ビルダー化」が必 須 ※自治体戦略2040構想(総務省、2018) スマート自治体への転換 • 新たな自治体や国の施策(アプリケーション)の機能が最大限発揮でき

    るような自治体行政(OS)の大胆な書き換えが必要 • 破壊的技術(AI・ロボティクス等)を使いこなす自治体へ 公共私によるくらしの維持 (自治体のプラットフォームビルダー化) • 自治体は新しい公共私相互間の協力関係を構築する「プラットフォーム・ビ ルダー化」が必要:公 • くらしを支えるための地域を基盤とした新たな法人が必要:共 • 全国一律の規制見直し、シェアリングエコノミー等の環境整備の必要性:私 減少する地方公務員 ひっ迫する財政 増加するインフラ更新費用
  7. Copyright 2024 科学技術・イノベーション基本法からの示唆: 「変革を⾒据えた社会的価値の創造」 ①「社会的価値」を問う(一人ひとりの価値、地球規模の価値) (出典)内閣府:科学技術・イノベーション基本計画, (2021). ②社会そのものの変革を⾒据えた価値創造(トランスフォーマティ ブ・イノベーション※) ※地球環境問題などの複雑で広範な社会的課題へ対応するため、社会の変⾰を志向するもの。

    科学技術・イノベーション政策が、研究開発だけでなく、社会的価値を生み出す政策へと変化してきた中で、これか らの政策には、一人ひとりの価値、地球規模の価値を問うことが求められているという点が挙げられる。 今後は、 人文・社会科学の厚みのある「知」の蓄積を図るとともに、自然科学の「知」との融合による、人間や社会の総合的 理解と課題解決に資する「総合知」の創出・活用がますます重要となる。科学技術・イノベーション政策自体も、 人文・社会科学の真価である価値発見的な視座を取り込むことによって、社会へのソリューションを提供するものへ と進化することが必要である。 この25年間のイノベーションという概念の含意の大きな変化が挙げられる。かつて、企業活動における商品開発や 生産活動に直結した行為と捉えられがちだったイノベーションという概念は、今や、経済や社会の大きな変化を創出 する幅広い主体による活動と捉えられ、新たな価値の創造と社会そのものの変革を⾒据えた「トランスフォーマ ティ ブ・イノベーション」という概念へと進化しつつある。
  8. Copyright 2024 ビジネス分野への影響:新領域に向けた事業戦略 Virtual Real Serious Casual GAFA等の スマホ・Web 上のサービス

    命が関わる モビリティ、 建設、医療介護、 食農など ※冨山: AI時代のグローバル経済とローカル 経済,2050年研究会,(2018).を元に筆者が作図 競争激化が想定される市場=Serious × Realにおけるアーキテクチャの覇権争いにどう打ち勝つか? AI・IoT・ロボット技術等の 進化により領域がシフト アーキテクチャの 覇権争い 新たなアーキテクチャの 覇権争い? (例)MaaS ローカルDX スマートシティ トランスフォーマティブ・イノベーションのマップ
  9. Copyright 2024 HCI研究への影響:「フィールドを離れる」ノウハウの必要性 技術の社会的利用を目的としたフィールドベースの研究において、どのようにすれば「プロジェクトの後」にも 現場でテクノロジーが活用されるのか? Scheepmaker, L., Kender, K., Frauenberger,

    C., & Fitzpatrick, G. (2021). Leaving the field: Designing a Socio-material toolkit for teachers to continue to design technology with children. In Proc. the SIGCHI Conf. Human Factors in Computing Systems (CHI ’21), 1-14. 図1教師たちとのデザイン・ワーク ショップを通じた活動の様子 図:社会物質的なツールキットに関連する基盤的要素 技術の社会的利用を目的とした フィールドベースの研究におい て、「プロジェクトの後」を考慮 することが不可欠であるとの指 摘.たとえば,教育現場で子ども たち向けのテクノロジーを開発し た場合,研究期間中に効果が示せ たとしても,そのテクノロジーと 運用プログラムだけがあっても, 現場では活用されない(できな い)状況が発生する.そのような 際に,社会実装のためのノウハウ やプロセスがないと,テクノロ ジーは社会に普及しない.
  10. Copyright 2024 変革を⾒据えた社会的価値の創造のために ①対話・共感 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 地域の実証実験疲れ:

    企業と一部の地域の人たちが、 地域の現状を考えずに技術・ ビジネス実証を行うため、他 の地域の人たちが動員される。 地域の価値になるのか実感が 沸かず、搾取感だけが残る。 R&Dチームの実証実験疲れ: 地域の人たちとの関係性づくりに 時間がかかる。地域の未来に向け た活動をしても地域の人たちがつ いてこれず止まってしまう 地域の課題設定の罠: 目の前で起きる表層的な問題 にひっぱられ、持続的に問題 を解消するための構造的な問 題に行きつきづらい(企業な どが取り組むデザイン思考も この罠に陥りやすい) R&Dチームの課題設定の罠: システム思考や未来の可能性を探 索する手法(アート思考・スペキュ ラティブデザイン等)により、幅 広い問いを生み出しうるが、暮ら しの変革につながる課題設定を生 み出しづらい 具体的に暮らし(地域)の中でR&Dプロセスを進めようとすると、多くのプロジェクトは「課題設 定」と「社会実装」のフェーズがボトルネックとなり、活動が停滞する。(もしくは、ボトルネッ ク解消にコストがかかるため,ビジネス開発や研究開発の論理が優先することになる)
  11. Copyright 2024 参考)協働と共創 「Co-Procuction:協働」 (行政学・社会学用語) 1977年~ 米インディアナ大の政治学者Vincent Ostromが、「地域 住民と自治体職員とが協働して自治体政府の役割を果た してゆくこと」の意味を一語で表現するために造語した

    もの。 (Comparing Urban Service Delivery Systems, 1977) 日本では、荒木昭次郎がCo-Procuctionを「協働」と訳し、 「地域住民と自治体職員とが、心を合わせ、力を合わせ、 助け合って、地域住民の福祉の向上に有用であると自治 体政府が住民の意思に基づいて判断した公共的性質をも つ財やサービスを生産し、供給してゆく活動体系であ る」と定義 (参加と協働:新しい市民=行政関係の創造, ぎょうせい, 1990) 「Co-Creation:共創」 (経営学・マーケティング学用語) 2004年~ 米ミシガン大ビジネススクール教授C.K.プラハラードと ベンカト・ラマスワミが提起した「企業が、様々なス テークホルダーと協働して共に新たな価値を創造する」 という概念。 (The Future of Competition: Co-Creating Unique Value With Customers,2004) これからの時代、顧客と一緒になって価値を生みださな ければ企業は競争に生き残れないと説き、「企業主体の 価値創造」から「顧客中心の価値共創」の時代へという 新しいパラダイムを提示した。
  12. Copyright 2024 リビングラボとは『セクターを超えた共創活動』 Steen, K. & Bueren, E. (2017). The

    Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本にお ける構造的課題、(調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model
  13. Copyright 2024 リビングラボプロジェクトの事例 生活者・自治体・企業が地域の現場で試行錯誤を重ねることで,社会課題解決をする サービスを開発し,社会実装する事例が増えている 子 ど も の 成

    長 ( 妊 娠 週 数 や 生 ま れ て か ら の 月 日 ) が 一 目 で わ か り 、 予防接種スケジューリング機能がキラーコンテンツとなった【母子モ】 B t o G t o C な の で 、 ユ ー ザ と 自 治 体 の 、 双 方 が よ り 便 利 で 使 い や す い サ ー ビ ス に し て い く 必 要 が あ っ た . た と え ば 、 紙 の 母 子 健 康 手 帳 の 内 容 の 中 か ら 、 電 子 化 す る べ き 項 目 を 取 捨 選 択 す る こ と に も 悩 ん だ が , 実 際 に 子 育 て し て い る 人 へ の ヒ ア リ ン グ や 、 母 子 健 康 手 帳を何 度 も 読み 込み な が ら 開 発を 行 った . 今で は約 400 の 自 治 体で 導入さ れ て いる. 高 齢 者 サ ー ビ ス に 民 間 の 力 を 使 う こ と で 、 介 護 保 険 給 付 や 税 金 の 支出を減らせる乗り合い送迎サービス【チョイソコ】 未要 介護認定高齢者への調査で 「徒歩移動がつ ら い ・きつ い 」 「 バスの本数が少な い 、時 間 が 合 わ な い 」 な ど 不安 や 不 便 を 感 じ る 声 を 掴 ん だ 自 治 体 の 福 祉 担 当 ・ 公 共 交 通 担 当, ア イ シ ン は , 大 量 輸 送 で は な い 「 少 数 輸 送 」 の サ ー ビ ス が 地 域 に 必 要 と い う 目 的 意 識 を 共 有 し 、 バ ス と タ ク シ ー の 特 徴 を い い と こ 取 り し た サ ー ビ ス を 開 発 し た. 現 在 , 全 国 30 地域に展開さ れている .
  14. Copyright 2024 日本のリビングラボの年表と分布 2005.03 仙台フィンランド健康福祉センター 2006.09 Lions Living Labo 2010.01-2014.03

    湘南リビングラボ 2010.11 経産省 情報政策課 リビングラボ紹介 「情報政策の要諦ー新成長戦略におけるIT・エレクトロニクス政策の方向性」 2011.10 みんなの使いやすさラボ(みんラボ) 2011.12 BABAラボ 2012.08 富士通総研 リビングラボ研究レポート 2012.10 おたがいさまコミュニティ 2013.02 Living Lab Tokyo 2013.07 Virtual Living Lab 2014.12 松本ヘルスラボ 2015.01 三浦リビングラボラトリー 2015.04 子育てママリビングラボ 2015.09 Cyber Living Lab 2016.01 第5期科学技術基本計画(Society5.0) 2016.01 八千代リビングラボ 2016.06 みなまきラボ 2016.07 産総研スマートリビングラボ 2016.07 東急WISE Living Lab 2016.11 鎌倉リビング・ラボ ほか5件 2017.01 井土ヶ谷アーバンデザインセンター(井土ヶ谷リビングラボ) 2017.05 ともに育むサービスラボ(はぐラボ) 2017.06 福岡ヘルス・ラボ 2017.09 経産省 ヴィンテージ・ソサエティ構築実証事業(リビングラボ4 件) 2017.09 神奈川ME-BYOリビングラボ 2017.10 高石・僥倖リビング・ラボ 2017.12 ドリームハイツ ヘルスケア リビングラボ(とつかリビングラボ) ほか9件 2018.02 大牟田リビングラボ 2018.03 横浜リビングラボ創生会議 2018.04 第一回リビングラボネットワーク会議 2018.04 こまつしまリビングラボ 2018.07 経産省 「未来の教室」実証事業(大牟田リビングラボ含む4件) 2018.10 サイクル・リビングラボ 2018.11 地域共創リビングラボ ほか10件 2019.02 Well Being リビングラボ 2019.03 第二回リビングラボネットワーク会議 2019.10 岡山リビングラボ ほか3件 2020.07 関内リビングラボ 2020.08 厚労省 「介護ロボットの開発実証普及のプラットフォーム事業」 (リビングラボ6件) 2020.03 経産省 リビングラボにおける革新的な社会課題解決サービスの 創出に係る調査「リビングラボ導入ガイドブック」 2020.10 おやまちリビングラボ 2020.11 奈良リビングラボ ほか8件 凡例) オレンジ色:日本全体の動き 黒色:他の日本での取り組み ※木村 (2021)「高齢者を支える技術と社会的課題」第5章 リビングラボの可能性と日本における構造的課題、 (調査資料2020-6)国立国会図書館調査及び立法考査局を元に作成 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ ( 2023/04 時点 ) 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづ くりスタジオ ふじみ野LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy
  15. Copyright 2024 リビングラボに期待される効果 Steen, K. & Bueren, E. (2017). The

    Defining Characteristics of Urban Living Labs. Technology Innovation Management Review, 7(7), 21–33. 4重螺旋モデル:Quadruple Helix Model 自治体にとっての効果 市民の参加、意見の収集、問題の把 握 人手不足の解消(地域共生社会) コスト削減 企業にとっての効果 ユーザの参加、コミュニティとの連携 ニーズ把握 フラットな価値の対話が可能 市民にとっての効果 行政政策や企業サービスへの関 わり(自分が必要なものを作り 出せる) 社会参加、学びの機会 大学にとっての効果 人材育成 社会課題解決、地域貢献 地域コミュニティの連携強化
  16. Copyright 2024 R&Dプロセスに対するリビングラボの機能1: セクター/組織/役割に縛られず暮らしの価値に集中できるプロセス 組織 企画者 暮らし 組織(システム) の論理 一方的なサービス提供

    (客体化) ブラックボックス 非対称・リスク回避 生活者 (利用者) 企業/行政 (提供者) 企画者 組織 暮らし(ナラティヴ) の論理 フェア & 学び合う パートナー関係 (主体化) 安心・オープン 生活者 生活者 暮らし 組織による障壁が主題化しやすく、 暮らしの価値を優先しづらい 暮らしの価値を優先し、その中で, 組織の力を手段的に活用できる
  17. Copyright 2024 R&Dプロセスに対するリビングラボの機能2: 暮らしの現象を構造的に捕らえて試行錯誤できる地域との関わり 提供者目線の 構造的理解 一方的なサービス提供 (客体化) ブラックボックス 非対称・リスク回避

    生活者 (利用者) 企業/行政 (提供者) 暮らし目線の 構造的理解 フェア & 学び合う パートナー関係 (主体化) 安心・オープン 生活者の暮らしを機能的/断片的 に捉えてしまい、社会実装(サー ビス提供)がズレて定着しない 生活者の暮らしの質感をとりこぼ さず統合的に捉えることで、社会 実装(サービス提供)のズレを調 整でき定着につながる 生活者 生活者& 企業/行政
  18. Copyright 2024 変革を⾒据えた社会的価値創造のためのリビングラボ ①対話・共感 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 地域の現在と未来にコミットして、セクターを超えた共

    創をコーディネートする「リビングラボ」組織 地域の構造や当事者の実感を掴みながら、地域としての 問いから課題設定を行う「リビングラボ」プロセス × 地域の実証実験疲れ: 企業と一部の地域の人たちが、地域の 現状を考えずに技術・ビジネス実証を 行うため、他の地域の人たちが動員さ れる。地域の価値になるのか実感が沸 かず、搾取感だけが残る。 R&Dチームの実証実験疲れ: 地域の人たちとの関係性づくりに時間がか かる。地域の未来に向けた活動をしても地 域の人たちがついてこれず止まってしまう 地域の課題設定の罠: 目の前で起きる表層的な問題にひっぱ られ、持続的に問題を解消するための 構造的な問題に行きつきづらい(企業 などが取り組むデザイン思考もこの罠 に陥りやすい) R&Dチームの課題設定の罠: システム思考や未来の可能性を探索する手 法(アート思考・スペキュラティブデザイン 等)により、幅広い問いを生み出しうるが、 暮らしの変革につながる課題設定を生み出 しづらい
  19. Copyright 2024 大牟田未来共創センター(ポニポニ)の設立(2019) ⚫ 認知症ケアで⾒出されたコンセプトを深め、セクターや領域における縦割りを横断し、既存の社会システムから“独立しな がら埋め込まれる主体”として官民協働で大牟田未来共創センターを設立(2019年4月) ⚫ 行政の政策形成支援、具体的な地域課題の解決(プロジェクト)に加え、地域内外のネットワークを生かし、企業の 課題・仮説探索の伴走、コーディネートを行っている 大牟田未来共創センター

    大牟田市 地域資源 地域・住民 縦割りの打破(調整)、政策展開支援 ビジョンの共有 共創 共創 地域資源の価値を再構築 地域・住民との協働 福 祉 教 育 産 業 地域内のアクター (市民団体、 地場企業など) 地域外のアクター (国内外企業、 研究機関等) ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ ¥ 国 予 算 制 度 事 業 基礎 自治 体 予 算 制 度 事 業 地域 実 践 取 組 対 象 多世代・横断 政策的統合 大牟田未来共創センター 統合的 アプローチ 計画 統合的実践 支 援 支 援 モデル提案 従業員数:20名 事業規模:1億円
  20. Copyright 2024 パーソンセンタードシティのコンセプト: どのような状態でも本人の存在が肯定され力が発揮されるまち コミュニティケア的視点 その人らしく生きることに向き合う 産業・テクノロジー的視点 その人と支える人を影ながら支える 社会疫学的視点 その人らしく生きやすい環境を作る

    支援者 (専門職等) 参加コミュニティ 未参加コミュニティ 友人 家族 近所住民 同僚 モバイル 戸建住宅 集合住宅 都市 支援者+モバイル ナラティブ DB 社会資源 DB 生活者課題 DB 疫学知見 DB テク ノロジー DB 設計 ガイドライン DB マクロ ミクロ 暮らし 技術 社会課題 DB 保険業 金融業 医療介護 保育教育 サービス業 宿泊業 交通 物流 建築 通信 対話を通じて市民の主体性があたたまる 「わくわく人生サロン」 その人らしく住みこなすプロセスとスマートシティ設計指針 の研究開発「大牟田市営住宅モデルルームPJ」 高齢者の主体性を引き出すデジタル体験 「VRを活用した未来の福祉プロジェクト」 ×東大等 誰もが持てる力を生かし、参加できる社 会を理念とした「暮らしの総合計画」 (健康福祉総合計画)
  21. Copyright 2024 大牟田市 従来の介護予防施策では リーチすることが難しい人がいる (財政的制約も強まる) 企業 企業の意図 「早期検知」という機能検証 から、「自らのことを知る新た

    な方法のデザイン」という意味 探索へと課題設定を変更 地域住民 他地域で実施した 疾病の早期検知サービス の実証実験に人が集まらない (高齢者として)これまでの経験や興味を活か して地域に関わる機会がない、多様な形でどんな 人でもいれる居場所がない 地域の意図 企業がリビングラボへ支払う対 価(資金)を活用し、高齢 者が仲間を得て、自らのことを 振り返る(知る)過程で意 欲を育み、多様な参加に向 かう仕組みづくり検討 課題の再設定・ 統合的実践 プロジェクトのはじまり 大牟田リビングラボ
  22. Copyright 2024 第4回において、 睡眠センサーと家電センサーで得た データを「自分の無意識を知るため の情報」として利用 ※参加者にとっても情報提供、セン サー利用に価値がある形にしている わくわく人生サロン 実施概要

    •対象者:大牟田市在住の要支援・要介護認定を受けていない65歳以上の方 •募集期間:2019/11/28〜2020/1/31・開催期間:2020/1/10〜2020/3/13 •サロン申込者(面談参加者):35名/サロン参加者:32名(面談後の辞退:3名)/ センサー設置者:18名(センサー設置辞退:14名) リアルプロトタイピングによるコンセプト検証
  23. Copyright 2024 「大牟田市高齢者保健福祉計画・第7期介護保険事業計画」 総括時の職員の意⾒ 「既存活動に関心が 薄い人もいることから、「わくわく人生サロン」 ように自分こ とを語る場を設けるなど 、新たな活動きっかけを作る必要が あると考えます。

    」 •地域包括支援センターがリーチすることが難しかった、20年間自宅に引きこもっていた方が参加 •介護保険サービスでは居場所が得られなかった(合わなかった)方の居心地のいい場となる •制度利用がなく生きづらさを抱えている高次脳機能障害のご本人、ご家族への支援を実施 (個別にご本人、ご家族の不安や悩みに寄り添った対応を実施) •配偶者に先立たれた方たちによるピアが生まれる(グリーフケア) •持っている資格やスキルを生かし、地域の課題を解決したいという方が生まれる(例:「防災 士の資格を活かして地域のために活動したい」「子どものための活動をしたい」「大牟田市をアピー ルする商品開発をしたい」などの自発的な言葉がある) •年齢が異なるが同じ大学やサークルに参加していた等「縁」のある人との出会いが生まれる (友人ができる) •前向きな動機をきっかけとして参加し、通所、ピア(グループ)、訪問、家族支援を、個別一 人ひとりの状況に合わせて柔軟に組み合わせて行う「多機能型サロン」とも言える相談支援拠点 の可能性を示唆 •自治体からの資金的な援助を得ることなく開催するモデルを構築(企業との協働) わくわく人生サロンの体験(地域住民にとっての価値) 高齢者にとって、自分の経験や興味を起点として地域に関わる機会や、支援されたり、高齢者的なテーマに区切られる ことのない居場所を持つことができ、同じ経験や悩みをもつ人と語らい、意欲が育っていく中で新たなことに取り組もうと する人が現れた
  24. Copyright 2024 健康福祉総合計画(自治体にとっての価値) ⚫ 個別プロジェクトでの示唆を体感的に共有し、住民・企業・行政が社会システム全体をデザインし直すため、暮らしの総 合計画ともいうべき大牟田市健康福祉総合計画の策定を大牟田市と協働 ⚫ 縦割りの行政計画でなく、統合的に地域や生活を捉え直す構造とした計画として策定。あわせて、行政リソースや過去 の実績をベースとした「今できること」ではなく、協働が期待される余白を生み出すために「今方法は⾒出せてないが、取 り組むべきこと」を記載

    ✓ これまで別々に策定されていた、高齢、障害、健康増進、食育など9本の行政計画を、「地域共生社会 の実現」という共通のビジョンに向けて1つにまとめた。 ✓ 概要版については、通常、「計画のサマリー」にとどまりがちであったものを、「計画の理念を体感 してもらうもの」へと位置付けを変え、親しみやすいイラストを活用し、実際に大牟田で暮らしてい る人たちのエピソードを紹介する形とした。タイトルにつけた「うずうず」は、わくわく人生サロン の際に見出した「温まる」を言葉にしたものである。この考え方(感覚)を行政、市民と共有するこ とを試みている。あわせて、計画策定の大牟田市側の担当者と強く理念を共感できるようになり、そ れ以降計画推進全体のキーマンとなっている(現在、健康づくり課長)。
  25. Copyright 2024 「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 知る意味のデザイン (サービスコンセプトの転換) UI 生活者 知る意味の体験デザイン UX

    「疾病を前もって知ること=価値」の社会的合意 疾病の早期検知技術 地域の調剤薬局 睡眠センサー・睡眠レポート 生活者 新規事業における体験デザイン UX 企業による新しいビジネスモデルの開発(企業にとっての価値) ⚫ 企業としては、これまで開発してきたアルゴリズムをサービスに活かすための土台となる、「(自らのことを) 知る意味のデザイン」の知⾒を獲得することができた ⚫ この知⾒をもとに、地域のかかりつけ薬局が地域住民と対話的な関係性を構築し、自らのことを知る体験 (UX)を提供するビジネスモデルを開発し,会社設立
  26. Copyright 2024 介護予防・ヘルスケアに関連する一連の取り組み 市民・自治体・企業をつなぐ 中間支援組織 計画の核となる高齢者の自立支援に向けた リエイブルメントモデル事業の実施 新しいプラットフォームの開発 参考)Health Data

    Bank https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2022/0221/ 理念「どのような状態でも本人の 存在が肯定され力が発揮されるま ち」の共有 健康福祉総合計画の立案と運用 リアルプロトタイププロジェクト としての 「わくわく人生サロン」 新しいビジネスモデルの開発
  27. Copyright 2024 変革を⾒据えた社会的価値創造のためのリビングラボ ①対話・共感 ②課題設定 ③アイデア創出 ④プロトタイピング ⑤テスト ⑥社会実装 地域の現在と未来にコミットして、セクターを超えた共

    創をコーディネートする「リビングラボ」組織 地域の構造や当事者の実感を掴みながら、地域としての 問いから課題設定を行う「リビングラボ」プロセス ×
  28. Copyright 2024 日本リビングラボネットワーク(JNoLL) 日本において共創やリビングラボの実践がさらに活性化し、普及することを目指して、設立(2023/11/1一般社団法人 化)。多様なステークホルダーが立場を超えてフラットにつながり、実践知や課題を共有し合うことで、さら なる実践や成果をもたらす場や機会をつくり出していきます。また、関連団体と連携したリビングラボのポー タルサイトでの情報発信や、支援サービスの提供も行っています。 リビングラボ運営者支援サービス 日本のリビングラボ実践者ネットワーク &実践知対話会

    実践を支えるフレームワークの 研究開発 チーム組成& ビジョン形成 計画立案・ 共有 予算・ 契約 具体的な 共創 価値の 振返り・ 発信 国内実践者・研究者と共に、事例対話の分析を通じて 実践支援の核となるフレームワーク等を研究開発 25地域を超える実践者が集い、コアチームを組成し、 実践者による実践者のためのコミュニティを運営。 1000名を超えるリビングラボ関心層に発信可能なネットワーク (企業7割,自治体2割,研究者1割) 研究開発の知⾒を核に、 体系化されたリビングラボ運営者支援メニューを開発・提供
  29. Copyright 2024 JNoLL連携パートナー JNoLLは、企業・組織が事業課題を進展させるうえでの価値あるフィールドプログラムを提供しています。 今年度より,文部科学省関係組織と連携し,トライアルも可能ですので,ご興味のある方は相談ください。 日本のリビングラボデータベース (100件以上のリビングラボが存在) ※日本リビングラボネットワーク 実践事例部会調べ (

    2023/04 時点 ) 大牟田市 10万 佐渡市 5万 鎌倉市今泉台5千 世田谷区尾山台6千 磯子区杉田2万 西粟倉村1.4千 天川村1.3千 京丹後 5万 VesthimmerLands 3.6万 佐渡自然共生ラボ 大牟田LL おやまちLL 丹後LL 鎌倉LL 未来LL 磯子杉田LL みんなのまちづ くりスタジオ ふじみ野LL はぐラボ むlabo TEN no KUNI Folke LLs Academy
  30. Copyright 2024 日本リビングラボネットワークの当面のイベント 日本リビングラボネットワークでは、共創の利用者・実践者がつながる機会、学ぶ機会、実践 する機会を提供しています。詳しくは、リビングラボ・ポータルサイト,リビングラボ・メー リングリストをご活用ください JNoLL リビングラボ メーリングリスト ▶リビングラボ対話の場(オンライン)

    日本のリビングラボの実践事例の話題提供とともに、 リビングラボについて対話する会 7/24(水)18:00-19:30 地学連携×リビングラボ 三重大/東大 近藤早映さん ▶リビングラボ基礎セミナー(オンライン) 主に共創活動・リビングラボの実践にこれから取り組 もうとしている人材を対象に、体感,理論,対話, ケースメソッド実践の4要素から、マインドセット転換 を促すプログラム 8/10(土) 13:00-18:00 事例)鎌倉リビングラボ 東大IOG 吉田涼子さん ▶リビングラボ現地視察プログラム 全国各地の実践者の現場を訪問し、関係者とのミート アップやフィールドワークなどを行う会 (おやまちLL,大牟田LL,竹山団地LL等)